電 力総研 水 力あれこれ 天竜川中上流
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と はずがたりな掲示板(利 水スレ電 力スレ)
20.10.9運開
天竜川下流域の発電所【現状篇】
(21.8 船明・秋葉訪問/22.8秋葉・水窪訪問)

 利水模式図・(上中流 方面水窪川・戸中川水窪ダム・水窪発電所大入川[新 豊根ダム・新豊根発電所)→)佐久間(目次) [佐久 間ダム諸元佐久間周遊開発篇)・大 千瀬川川合佐久間 発電所諸元佐久間第二発電所(現況諸元)・水運用豊川用水]]─水窪川(西渡)佐久間(第二 )発電所放水口]─秋葉秋葉ダム21訪問記秋葉 第一発電所秋 葉第二発電所秋葉第三発電所三方原用水秋 葉周辺電力開発(白倉川)(気田川)(横山川)船明船 明ダ ム船明発電所]─(阿多古川)浜名用水(西鹿島取水口跡)─(二俣川)磐田用水(阿蔵取水口跡神 田取水口跡)]─── (河口・遠州灘)]

下流域のメインは何と云っても佐久間ダムと佐久間発電所である。
水 力.com(公開停止・哀しい…)さんに拠ると発電量日本一だそう。頼もしいなあ。
>最高記録は平成3(1991)年の1,830,000MWH(18億3000万キロワット時)、平均的な年間総発電量は1,373,600MWH (13億7360万キロワット時)です。

そして佐久間秋葉船明(ふなぎら)と巨大ダムと発電所の三連発で天竜川河下りの掉尾を飾ってゐる。早速見て行くことしや う。

本項の水利使用模式図は以下の如し。これ本稿の初稿を纏める最後の段階で見付けたので,全面改稿を繰り返してるけど,これを知る前に書いた矛盾も残ってる かもしれない。。

図2-4 天竜川水系の主な水利使用模式図(3/3)
出典:国 交省

先ずは佐久間ダム湖に左右から導水する発電所に新豊根と水窪がある。水窪発電所の水源は佐久間ダムより下流で天竜川に流れ込む水窪川であるが,気田川上流 の門 桁でも取水・導水しており,これらが佐久間ダムへ流れ込む。新豊根発電所は,同じく佐久間ダムよ り下流で天竜川に合流する大千瀬川の支流の大入川上流に造られた新豊根発電所が佐久間ダム湖に放水している。特に新豊根発電所は 佐久間ダム湖と新豊根ダム湖の間で揚水発電も行う混合揚水発電所である。 また発電ではなく潅漑用途で佐久間ダムから豊川方面(宇連川・豊川用水)への 導水(域外への流出)がある。

新豊根の放水口は発電所があって県道1号線も走っているので近く迄接近は可能だが,水窪の放水口は廃道となった悪名高い静 岡県道288号大嵐佐久間線沿いにあって,また飯田線の廃線敷も併走しているものの接近は困難である。 例のごとくヨッキは到達というか踏破している(→この辺[山行が]参照:中ノ沢に 放水口はあるらしい。素人にはとても近づけない!)

天竜川下流利水事業現況図
  • 出典:国 交省

  • 上の国交省の水系別の資料なんかに加え 静岡県は発電量や水使用量に関する資料(2015 年版2017 年度版)を出してくれているので数字を元に色々議論(妄想)出来て良い。(こちら [水量・発電量 データ]に纏めた )
    色々検討した結果,佐久間ダムは水量が秋葉ダムは貯留量が,船明は発電出力と貯留量が,それぞれ制約になってゐそうな事が判つた。

    以下結論(というかアジェンダ)を導出しつつ沿川風景を概観していく。

    ~沿川風景~   

    ~水窪川~(→こちら 参照:水窪ダム・水窪発電所データ) 
    [別頁:水窪ダム・水窪発電所(気 田川)門桁堰堤西渡発電所


    水窪発電所
    参考文献::[① 水力.com][② 静岡県][③電発]
    事業者:電発
    運開:1969.5
    ダム水路式・貯水池式
    認可最大:50,000kW 常時:7,600kW[15%]
    年間総発電量:141,000MWh(1億4,100万kWh)[水力] 158,000MWh/年[wiki]※
    水量 最大使用水量:26.50m3/s(内、気田川取水堰:8.5m3/s) 常時使用水量:5.65m3/s(初掲載時)
    落差:最大出力時有効落差:219.50m 常時出力時有効落差:221.95m(初掲載時データ)
    設備利用率: 27.3 % (2015年度実績)
    流域面積:流域面積:172.3平方キロメートル
    取水(集水面積):水窪ダム(172.3km2)・灰の沢・水窪河内川・瀬戸の沢・門桁堰堤(53.9km2) 505.5m
    放水:水窪川(蓋渠で佐久間湖へ)256.50m

    設備利用率は27.3%とかなり低い。まあ50.0MWと高めの容量を積んであるから仕方が無いけど,ダムもあるのにもっと利用水量を増やして発電量・稼 働率を増やしていきたい。
    と,無知なりに色々苦闘?したのがこちらである。



    ~大入川~(→大入川はこちら参照・大千瀬川はこちら)  

    佐久間ダムの下流で天竜川と合流する大千瀬川の支流の大入(おおにゅう)川には新豊根ダムと発電所がある。(→訪問はこちら参照)

    重要なのはその水運用で,こんな感じらしい。


    新豊根(しんとよね)ダム[水力
    電源開発(株)・国交省中部地方整備局(当初は愛知県)
    目的:発電・洪水
    着工/竣工:1969/1973
    堤高:116.5m、堤頂長:311.0m
    総貯水量:5,350万m3     有効貯水量:4,040万m3    洪水調節容量:1,050万m3

    新豊根発電所[水力
    ダム水路式・混合揚水式
    認可最大出力:1,125,000kW  常時出力:0.0kW
    年間総発電電力量:874,000MWh(8億7,400万kWh)(内、自流分127,000MWh)
    設備使用率:8.86%←低い。。
    最大使用水量:646.00m3/s    最大揚水水量:600m3/s
    有効落差:203.00m
        最大有効落差241.00m、最小有効落差166.00m
        最大全揚程247.40m、最小全揚程184.30m
    流域面積:136.3km2
    取水・上部貯水池:大入川[新豊根ダム]474.00m
    放水・下部貯水池:天竜川[佐久間ダム]260.00m



    佐久間ダム周辺(ダム諸元発電所諸元・蓋渠・第二発電所諸元第二放水口)・ 【運用データ   
    うろうろした時のレポはこの辺(周 遊篇)参照開発篇はこちら


    佐久間(さくま)ダム[水 力][便覧(再開発)]    
    河川     天竜川水系天竜川
    目的/型式     P(佐久間発電所)/重力式コンクリート
    堤高/堤頂長/堤体積     155.5m/293.5m/1120千m3
    流域面積/湛水面積     4156.5km2 ( 直接:3827km2 間接:330km2 ) /715ha(7.15km2)
    総貯水容量/有効貯水容量     3億2,684.8万m3/2億544.4万m3
    ダム事業者     電源開発(株)
    本体施工者     間組
    着手/竣工     1953/1956
    (再開発)総貯水容量/有効貯水容量     3億4,300.0万m3/2億2,159.6万m3
    (再開発)ダム事業者     中部地方整備局
    (再開発)着手/竣工     2004/
        副ダム堤高: 36.00m
           堤頂標高:297.00m
           天端標高:270.00m
          満水位標高:260.00m
         水門下部標高:246.50m
          低水位標高:220.00m
        副ダム堤頂標高:145.00m
    取水:天竜川・水窪発電所(水窪川他)新豊根発電所 (大入川)

    ~大千瀬川~

    佐久間ダムと佐久間発電所の間で大千瀬川が合流する。佐久間川合である。大千瀬川の上流は飯田線沿いの相川と振草・東栄町・別所方面の大千瀬川,更に新豊 根ダムのある豊根・津具方面の大入川に岐れる。分岐点は概ね浦川である。

    豊川用水佐久間導水~(→こちら)
    振草頭首 工(豊川用水)大入川大入頭首 工(豊川用水)]
     
    新豊根ダム佐久間ダムは ほぼ水を漏らさない。また振草から一定数(相当数?)の水が豊川用水に取水される[→豊川用水の項で推計,振草で5,200万トン/年,大入 で 1,800万トン/年,そして佐久間導水が4,000万トン程度であった。] 。西渡発電所が取水分を除いて秋葉ダムへ流れ込む流域は182.7km2 といった所である。
    後で見る様に秋葉ダムの漏らす水は16億トン程ある。この辺をなんとかして有効活用したいなと思って いる。



    佐久間発電所の一寸上流,西隣に周波数変換所がある。
    22.8

    電源開発(株 )佐久間発電所[水 力]    
    運開:1956 / ダム水路式・貯水池式
    認可最大出力:350,000kW  常時出力:93,700kW
    最大出力時使用水量:306.00m3/s  常時出力時使用水量:117.20m3/s
    最大出力時有効落差:133.49m  常時出力時有効落差:93.45m
    年間初電力量:1,373GWh(13億7,360万kW時)(平均)
    設備
        水車: 96000kW×4台(両周波数共用・総出力384MW
        発電機: 93000kVA×4台
     水圧鉄管:内径4800~3800mm
     導水路:総延長1180.6m、主要導水路 圧力トンネル 口径7.00m、延長1180.6m、2条 (断面積:76.93m2)
    流域面積:4,158km2
    取水:水窪川、天竜川[佐久間ダム]260.00m
    放水:佐久間第二発電所、天竜川122.91m
    22.8
    国道側入り口。マウスオーバーで その看板。ここが正面か?ポップな字体がかわいいw
    24.7

    佐久間発電所(→諸元)からそのまま逆サイフォンで 水 を天竜川を潜らせ対岸で発電するのが佐久間第二発電所(→諸元)である。 後補の発電所(1982運開)であり,秋葉ダムとの僅かな落差を利用しての32MWの電源開発となった。

    佐久間ダム(2億0,544.4万m3)260m──佐久間発電所(350MW・306m3/s・ 133.5m)─122.91m─(サイフォン)─佐久 間第二発電所(32MW・ 306m3/s・12.3m)─106.9m/108.00m [→放水口]─秋葉ダム(775.0万m3)

    今,地図を示すとこんな感じである。佐久間発電所の放水レベル122.91mに対して秋葉ダムへの放水レベル106.9mなので総落差16mに対して有効 落差は 12.3mと無効落差は4mを切ってゐる!
    水車効率も86%程度の様で決して悪くはない。佐久間の大水量が活きる瞬間である。
    木曽川の今渡ダムと今渡発電所・美濃川合発電所も似ている(420m3/s・h= 12m程度・ 43.4MW)。向こうがダム式なのに対してこちらは水 路式,特に放水路が長い,形態である。
    この仕組み,是非只見発電所で使って欲しい。他にも坂下(賎母発電所と落合ダム間)や天竜川の直ぐ下流,遠 江横山(秋葉第二発電所・気田川流入と船明ダム間)など開発出来そうな箇所はあちこちにある感じ。
    佐久間程デカくは無いが,桂川(相模川)八ツ沢松留が,更に規模は小さいが三峰川第一と第四 が同様の仕組みで,嘗ては西勝原第一内にも あった様だ。


    佐久間第二発電所[水 力]  
    電源開発(株)
    運開:1982.7
    水路式・流込式
    認可最大出力:32,000kW  常時出力:11,500kW
    最大使用水量:306.00m3/s(=佐久間に等しい)
    有効落差:12.30m
    水車:出力16600kW×2台(=33.2MW)
    導水路:総延長212.8m、主要導水路 逆サイフォン(ボックスカルバート使用) 幅8.80m×高4.70m、延長212.8m(断面積: 41.36m3)
    放水路:口径10.30m、延長3241.2m
    取水:佐久間発電所122.91m
    放水:天竜川(放水口)秋葉ダム]放水位: 106.90m

    【佐久間発電所 群(新豊根・佐久間第二含む)運用】(→他年や秋葉・船明も含めこちらに纏めた)

    佐久間発電所 運転実績
    稼働率:53.7%(2015年度実績)
    出典:静 岡県

    最大利用水量が驚異の117.20m3/s,最大認可出力が脅威の350MWの佐久間ダムであるから24h動かしっぱなしはないとは思うが,巨大なダム湖 と莫大な天竜川の水がある。
    稼働率はそれ程 良くはないとはいえ50%以上はある訳で,例えば平日フル稼働だけでも70%程度になるので,更に深夜は8時間は止めるだけでもう50%を切って仕舞う。 これよりは高稼働ということである。

    新豊根側はあんま良い対策が見込めなかったが,これは協定次第になろうかと思うが設楽ダムが出来たら愛知用水に15m3/s の水源が新たに確保されて余裕が出来るの で色々制約ついての年間5000万トンの供給義務は実行の頻度は下がりそう?

    更に,現在ではほぼ毎日の様に(態々コストを掛けて)新 豊根への揚水をしているようである。
    本来の目的であった夜間に発電量を落とせない硬直的な電源の原発は停まっているのである。ということは,夜間に安い電気が余ってると云うより佐久間ダムの貯水容量が足りずに電 力需要が落ちる夜間に佐久間ダムに上流より到達した水を新豊根に待避させてい るのではないか?(流れ混んでくる水を汲み揚げるタイプの揚水発電に穴内川・三尾・旧小口川第一などがある。・原発と同じく調整のし難い石 炭などは徐々に縮小していける。後は流込式電源,近くの電発だと早木戸PSな どでの発電か?)

    既にほぼフル活用はしてるといってよい佐久間周辺であるけ ど更に水効率 を極限迄高めて行きたい。

    また新豊根側は多少の導水は提案できたが距離に対して面積は狭小で実行可 能性は低かった。水窪側は奥気田発電所の建設などを中心に水窪ダムへの導水量を増やして行きたい。
    その他佐久間近辺からの導水をも検討は し てみた(が,どれも面積が余り取れなかった)。

    豊 川の検討で 見る ように,佐久間ダムの 水利用率は90%を超えていて結構シビアである(確り使い切れてる)。ところ が,稼働率は53%程度である。
    要するにピーク電源であり容量をデカく造ってあるのである。必要な時に発電する必要が電気 にはあって,それに優れてるのが水力発電とLNG火発であり,規模に優れるのが後者,脱炭素に優れて居るのが前者なのである。
    とはいえピーク電源に関しては 揚水を拡充するなどして対応しつつ,佐久間なんかは水量を増やして原発や石炭火発を淘 汰する為に発電総量も増やしていきたいのである。

    水窪 発電所経由で取水を増やす為の門桁方面からの発電豊川用水 大入導水分5m3/sの新豊根発電所・豊川用水佐久間導水経由化・全体の量からみたら誤差みたいなものだとは云えるけど,更にダム建設が必要にな るが大千瀬川の佐久間での活用な ども 検討する。更には上流の貯留量の増加も図りたいところ。。現状では平岡 ダム482.9万m3(→堆砂が進んで今では260万m3)・泰阜ダム155.3万m3とともに物足りぬレベルである。
    支流の一寸大きめの松川の松川ダム640.0万 m3,小渋川の生田ダム3,710.0万m3,三峯川の美和ダム2,074.5万m3を含めても5ダムで合計7000万ト ン超と佐久間ダムの2億トン超には遠く及ばないのである。
    平岡ダムでのかさ上げを検討したが10m,3000万m3 程可能っぽい様だ。是非やりたい。

    佐久間周辺の増強の模索はこの辺に纏めた。

    佐久間第二発電所は第一(佐久間発電所)の放流水をそのまま発電に回している。[地 形図]からもその様子が窺える。放水レベルと取水レベルが122.91mで等しいことからもそれが伺える。

    詰まり両発電所は完全直結してゐるのであるが,のグラフより2015年に佐久間PSが55億トン利用しているのに 対し第二が48億トンし か使ってない。その差700百万m3程(7億トン/年)程第二が少なくなっている。7億トンは流出してしまうのか??メンテナンスの都合でこっちの方がよ り長く停まってた?(佐久間は水車4台に対して佐久間第二は水車2台なのでメンテナンスで水が通れない影響はデカそ う。それ以外に態々水を捨てる意味が分からない。。)

    佐久間第二 発電所運転実 績
    稼働率:54.4%(2015年度実績)

    注) 佐久間第二発電所は、佐久間発電所放水口より直接取水しているため、ダム放水量は無い。 出典:静 岡県


    またこの佐久間第二発電所的な小落差・大容量水による発電は(佐久間程の水量はともかく)ほかの場所でも可能性がありそうである。只見など。

    西渡発電所(→詳 細)…この辺から既に秋 葉ダム湖  
    認可出力 最大:2,300kW 常時:150kW [6.5%]←ちいせえ。。
    最大使用水:3.26m3/s (常時水量:0.21m3/sか?)
    有効落差:89.93m
    設備稼働率:28.4%(2015 年実績)
    流域面積:192.1km2(水窪P/Sと重複)
    取水:西渡堰堤[レポ:手当次第]205.26m
    放水:天竜川[秋葉ダム]106.43m=佐久間第二にほぼ等しい


    (水 窪川合流→こちら参照
    水窪から矢筈にかけて平行して三遠南信道が計画されている国道152号線は天竜川と岐れて水窪川沿いに進む。道路的にも直進が確保されている。佐久間市街 方面へは大井橋を渡ってへろへろと細い国道473号で結ばれている。正面の白い建物は西渡発電所である。


    下で見る様に秋葉ダムは年間13.4億トンの水を 発電に使い切れずに放流してしまっている(一部(年間2億トンぐらい?)は三方原用水へ供給する分も含んでいるかも)。
    その水は概ね大千瀬川流域と水窪川流域から来ている(佐久間ダムはほぼ水を使い切って秋葉ダムを逆調整池として放水している)。
    詰まり水窪川の合流点の此処らにダムを建設して洪水を一旦貯水すると13.4億の水が使えるようになる。その辺の観点から[妄想]西渡ダムここらで検討してみた。

    佐 久間第二発電所放水口(EL.106m)  
    その秋 葉ダムのバックウォーター部,水窪川合流部よりは下流に佐久間第二発電所の放水口はある。規模感が麻痺してきて306.00m3/sの大量の水が 放水されてる感じがあんま解らなくなってくるw
    まあこの時の放水量が300m3/sなのかどうかは解らないけど。。
    また秋葉ダムの満水位は108mであるが106mが放水位である。詰まり満水位以下である。この仰々しい 放水口は満水位時にも放水出来るような設備なのかどうなのか気になる所である。新笠置や松二みたいな感じであれば110m位迄満水位上げれないかな??で検討
    >22.8

    【秋葉(あきは)ダム】(→ダム諸元・発電所諸元(第一第二第三)・運 用周辺電源開発はこちら訪問レポこちら・年間使用水量などはこちら)  
    秋葉ダムだけで押しも押されもせぬ大ダムである(堤高80m!)けどこれは佐久間ダムの逆調整池の機能であって 貯水量はかなり少なめ。よく見てみれば有効貯留量が775万m3しかない。有効落差も堤高の割には小さい。これは岩盤が可成り地中深いところにあったため だそうな。

    [wiki] に拠ると”水力発電については完成と同時(1958)に秋葉第一発電所(認可最大出力:45,300kW)と秋葉第二発電所(同:34,900kW)が建 設さ れた。合計80.2MW。秋葉第二は尖頭用である。更に船明ダムが1976 年に建設され秋葉第一・第二発電所の逆調整機能が強化された。それ以前はどのような形で逆調整していたか不明である。秋葉第一発電所の直下に一寸した堰で も作ったりしてたのかも。

    さらに1989年(平成元年)には秋葉第三発電所(同:46,900キロワット)が増設された。秋葉第一発電所 はダムより下流の天竜区横山町(旧・天 竜市)に建設されたダム水路式発電所であり、秋葉第二発電所はダム直下に建設され夏季のピーク時に対応するための発電を行うダム式発電所である。 2017 年(昭和29年)5月30日、秋葉第一発電所の2号機が更新され、出力が950キロワット向上し、46,250キロワットとなった。秋葉第一・第二・第三 発電所合計で最大128,050キロワットを発電し、首都圏・中京圏の電力需要に応えている ”となっている。嘗ての桃山発電所もそうだったが(今はやってない?)50/60Hz対応の発電機で需要に応じて東西どちらにも供給出来るのである。

    佐久間ダムは殆ど水を漏 らさな いので天竜川本流筋としては佐久間発電所の最大306m3/sを叩き込んでくるだけなので最大で336m3/sの水量を処理出来る秋葉に発電して 船明に逆調整を任せても良し,自分とこ(秋葉ダム調整池)に貯めても良しである(例えば佐久間が306m3/sの水で5時間発電しても550万トンであ る。)。日周期なら難ない仕事であろう。

    なお秋葉は「あきは」である。地元民として恥ずかしながらすっかりアキバかと思い込んでいた。子どもの頃はちゃんと「あきは」と認識していた(例えば掛川 の地名(住宅街)・秋葉路は「あきはみち」である)のに秋葉原の略称アキバにやられてしまったか。確かに秋葉原の秋葉も「あきは」と読んでるけどアキバと 呼んでるのは,この バは原の方由来なのか。。画像とか頁とかファイル名全部akibaにしてもうてるわ。。
    21.8
    秋葉ダム 電源開発(株)[便 覧] [水力] [ダムマスター]    
    河川:天竜川水系天竜川[大千瀬川272 km²・佐久間発電所佐久間第二発電所306m3/s・西渡発電所3.26m3/s・水窪川223.1km2)]
    目的:発電(秋葉第一発電所110m3/s・秋葉第二発電所110m3/s・秋葉第三発電所116m3/s:合計336.0m3/s)・水道・潅漑・工業用水(AWAのいずれも三方原用水と思われる。)
    堤高/堤頂長:89m/273.4m
    流域面積/湛水面積:4,490km2 ( 全て直接流域 ) /190ha
    総貯水容量/有効貯水容量:3.470.3万m3/775.0万m3
    ダム事業者     電源開発(株)
    着手/竣工     1954/1958
    標高: 堤頂標高:131.00m 天端標高:113.00m    満水位標高:108.00m    低水位標高:104.00m 利用水深:4m

    堤高に関してはこんな記述が。膨大な河床砂礫が溜まっていて岩盤まで結構深いらしい。。すげえなぁ。。
    >見 た目の高さは30~40しかありませんが、、、実際の堤高は89mです。これは川底から岩盤まで40~50mほど掘ってそこにダムを建てたためです。ここ まで河床砂礫を取り除いたダムというのは珍しいです。ダムマスター

    裏からみた秋葉ダムの堤体。手前が秋葉第二の取水口のスクリーン?,奥手が秋葉第一と第三用の取水口である筈で ある

    取水口拡大



    三方原用水取水口[農 政局]      
    目的:三 方原用水(9.848m3/s)[上水1.221m3/s・工業3.158m3/s・農業5.469m3/s][国 交省
    年間取水量:約1億トン/年?(→ 調べて見た[三方原用水])

    秋葉ダムの湖畔に三方原用水の取水口がある。秋葉ダムの目的は完全に発電のみの電発のダムであるが,事実上潅漑の取水口の役割も担っているのである。飛騨 川の中電保有の上麻生ダムと 木曽川用水白川取水口の関係に似ている(というか 多分同じ)。ただ上麻生ダムが堤高13m程度とハイダムでないせいで便覧にも不掲載で,秋葉ダムが発電ダムなのに目的にAWIと明記されてるのに対して上 麻生ダムの目的は不明。寧ろ発電ダムに間借りしてるイメージなので秋葉ダムの目的に発電以外が明記されていることが意外である。

    三方原用水は図2-4だと9.848m3/s程度の様だけど。利水現況図(2004[H16]年ぐらいのもの?)だと 16.708m3/sとなっている。
    ダ ムの脇に取水口がある[地理院]ように描かれているが農政局の写真より取水口はこれ↓で場 所はもっとこの辺であった。またも地理院の地下水路の記載ミスら しい。


      
    位置関係は平面 図で判明する。

    左岸には第一と第三の取水口があり,第一は導水路が長いタイプのダム水路式,第三は放水路が長いタイプのダム式で距離を稼いで居る(個人的にはダム水路式 ならぬ"ダム放水路式"と呼んでいる。犀川など各地で結構見る。馬瀬川第二ではまだウオッチ初期でだいぶ惑わされたw)。右岸には第二の取水口 がありダム式で放水路がやや長めであるが第三程では無く結果有効落差が小さいピーク用という位置づけとなる。

    電源開発(株) 秋葉第二発電所[水力]    
    運開:1958.6 (改修:2016.5)
    ダム式・調整池式
    認可最大出力:35,300kW(改修前34,900kW) 常時出力:0kW   年間総発電量:115,040MWh(1億1,504万kWh・改修前)
    稼働率:27.3%(→データ) →秋葉の3発電所中では最も低 い。
    最大使用水量:110.00m3/s
    有効落差:36.50m
    水車:水車 50/60Hz 35000/38000kW×1台
    放水路:1191.3m
    流域面積:4,490.0km2
    取水:天竜川[秋葉ダム]108.0m
    放水:天竜川[船明ダム(満水位57.0m)放水 口]69.82m

    稼働率も低いが有効落差も最も低く,低効率である事も判る。
    落差を抑えて低コストでピーク用整備ってのが関電宮川の 新打保・新坂上なんかの打ち出しや第二藪神に も見えるようにセオリーなんであろう。

    現在使用最大水量が110m3/sで認可最大 出力が 35.3MW。水力.comさんによると水車は50/60Hz 35000/38000kW×1台だそうで,疑問点としては①改修前のもの? ②50/60Hzで出力が違う様だけど認可は周波数関係なく決められてる?とすると110m3/sで発電出来る上限が35.3MWってのは60Hz時で, 50Hz時は32.5MW位の出力になるの?って辺りが疑問であるけど,いずれにせよ60Hz・110m3/s・35.3MWだと仮定すると水量を120m3/sに増やした時は60Hz・ 120m3/s・38.5MWとなる。一寸だけ定格出力オーバーである。60Hz・118m3/s[+8m3/s]・37.8MW[+2.5MW]とすれ ば ギリギリ抑えられるな。

    秋葉第三発電所水力マスタ][DB]      
    電源開発(株)
    運開:1991.8
    ダム式・調整池式
    認可最大出力:46,900kW 常時出力:38,700kW
    稼働率:75.4%(→データ)※1 →秋葉の3発電所中では最 も高 い。
    最大使用水量:116.00m3/s
    有効落差:47.10m
    水車:合計48,300kW(60Hz時)※2水力
     立軸フランシス水車 50/60Hz 45600/46500kW×1台
     横軸フランシス水車 50/60Hz  1700/ 1800kW×1台
    発電機:合計:49,300kW(60Hz時)水力
     立軸三相交流同期発電機 50/60Hz 39600/47600kVA×1台
     横軸三相交流同期発電機 50/60Hz  1700/ 1700kVA×1台
    放水路:口径6.50m、延長3646.5m
    取水:天竜川[秋葉ダム]108.0m
    放水:天竜川[船明ダム]55.20m →(以前の水力さ んや)ダ ムの訪問記さんには放水先が三方原用水となってるけどそれは誤り(取水口が違うし三方原用水は此 処でまだ高度90m以上有るようで放水位55m程度の秋葉第三発電所とは計算も合わない。そもそも水量が全然違う)。放水先は多分これ(こ れ以外にそれっぽいのはない。落差的にも適合的)
    効率:0.40MW/(m3/s)

    ※1:稼働率は8割を越え,メインで利用されている発電所である事が判る。第一より効率(使用水m3/s辺りの発電力kW)悪そうなのに第一は老朽化でも 進んで スペック通りの実力発揮出て来てない とか壊れやすいとか何か理由があるのかね?

    ※2:よく見ると大きい発電機1台小さい発電機1台の2台体制である[DBに は詳細の記載が無く水力さん(公開停止)の現地調査などに拠るものか?私も要現地調査か公的文献調査である。]。小さい方は河川維持流量 発電所だったりするのかもしれない(となると有効落差はもっとずっと小さい筈。第二(H=36.5m・放水位:69.82m)以下であろう。ダム直下は89m(gsi)の 様である。落差13m位で発電してるのかも。但しそんな低落差でフランシスは変?)。秋葉ダム直下の維持流量は 3.2m3/sの様である[国 交省]。112.8m3/sで45600kWの水車を,3.2m3/sで1700kWの水車を回してたりするのかも?但しちょいと計算が合わな い。ブラックスタートなどの目的で最大使用水量の内の中途半端な6.0m3/s分で準備しておいて普段から発電しているのかも。

    ~白倉川~[合 流地点(gsi)]       
    秋葉ダム直下で天竜川に合流。色々開発できそう♪[→秋葉篇]で検討してみた。

    水の流れ。大雨の直後で水量豊富であった。
     




    秋葉第二発電所放水口  
    放水量:110.00m3/s
    放水路:1191.3m
    放水位:EL.69.82m

    秋葉第二の放水口は龍 山大橋の脇にあるこれのようだ。放水位は69.82mとなってるが地図だとこの場所は80mとなって一寸ずらすと72m位 にはなるので80mってことはないと思うが放水位から一寸標高を上げて水は放水されているようである。減勢工的な感じ?この放水位でダムを建設して気田川 の水を併せて秋葉ダムから調整力を増やしつつ,船明から下の発電と含めて船明の逆調整能力を強化したいと思ってるんだけど満水位は69.82mではなく 72m程度で行けそうではないだろうか?
    22.8
    稼働率の低い秋葉第二発電所であるけどこの日は台風が2,3日前に通り過ぎた後だったせいか絶賛稼働中であった。

    第二が効率低いのはここから船明ダム迄10m以上下るからである(繰り返しになるが船明ダムの満水 位は57.0mである)。

    下っていくと天竜スーパー林道(林道天竜線)・雲名橋との交叉点。ここから秋葉山や山住峠を経由して水窪ダムに繋がっている(24に訪問した際は災害で切れてて繋がってなかったけ ど)。
    22.8

    (気田川)←気田発電所・豊岡発電所
    気田川最下流の気田川橋はなかなか雰囲気のある古い橋であった。
    22.8
    橋の上から気田川方向を眺める

    気田川の天竜川の合流方向を眺める

    船明ダムの満水位(船明発電所の取水位)57.00mに対してこの辺はEL.57.8mと殆ど変わらないように見えるけどまあ砂とか貯まってて其処はそれ よりも1,2mは高くなってるという感じか。浚渫すると貯水量増やせそうな感じはする。

    この辺が船明ダムの終わり(バックウォーター)と云う事で秋葉第二の放流水レベルで気田川からの合流水と併せてダムを建設しても良さそう((仮称)遠江横山ダム構想♪この辺で気田川と併せて検討)。
    小落差大容量の発電が出来る。船明と秋葉の機能している逆調整池機能を船明と横山で果たすことで秋葉でも全力発電が出来る様になるのである。

    ほぼ満水に見えた船明ダム湖を遡って行くと国道から岐れた先辺りで中州が見え始めてバックウォーター部となるようだった。
    写真はこ の辺[地理院]下で検討するけど上野部へ水を直送する場合,この辺で 取水すると最短距離。上の遠江横山ダムはこの直下に作るイメージ。
    22.8

    秋葉第三発電所放水口?[] [地 理院]  
    放水量:116.00m3/s
    放水位:EL.55.20m
    放水路:口径6.50m、延長3646.5m

    放水距離も概ね合致

    秋葉第一発電所  
    ダム水路式でちょい離れた天竜川を下がった西岸にあり,対岸を走る国道から遠望できる。

    電源開発(株) 秋葉第一発電所[水力] [中 電][SGフォーラム
    運開:1958.1 (改修:2017.5)
    ダム水路式・調整池式
    認可最大出力:47,200kW(改修前45,300kW) 常時出力:0kW   年間総発電量:357,758MWh(3億5,779万kWh・改修前/2号機の改修で約560万kWh向上[sgfI])
     1号機改修:工期2017(H29).10~2018(H30).5     改修前出力:46,250kW     改修後出力:47,200kW  増減:+950kW
     2号機改修:工期2016(H28).10~2017(H29).5   改修前出力:45,300kW    改修後出力:46,250kW 増減:+950kW
    稼働率:46.3%(→データ) →秋葉の3発電所中では中位。
    最大使用水量:110.00m3/s
    有効落差:48.50m
    水車:立軸フランシス水車 50/60Hz 25000/26300kW×2台
    発電機:立軸三相交流同期発電機 50/60Hz 27000/27000kVA×2台
    取水:天竜川[秋葉ダム]108.0m
    放水:天竜川[船明ダム]54.00m
    効率:0.42MW/(m3/s)[改修後]←0.412MW/(m3/s)[改修前]

    >発電機と水車の更新により、最大出力が45.3MWから46.25MWと、およそ950万kW向上したが、この分によって年間発電量がおよそ 5.6GWh(560万kWh)向上したという。出力向上分だけで設備利用率を計算するとおよそ67.29%となる。改良後の最大出力46.25MWの発 電設備が、この設備利用率で稼働すると想定すると、設備更新後の秋葉第一発電所の年間発電量はだいたい272.63GWh(2億7262万 5435kWh)となる。[SGフォーラム
    改修してもやっぱり秋葉第三を稼働率で凌駕する訳でもなさそう。新しいとはいえ何で秋葉第三がそんなにもて囃されるんだ!?三方原では無いにせよそのまま どっかへ給水し ているのか??第一は古い分,ちょっと動かすとすぐ壊れるとか?

    下流(船明ダム方面)からR152を遡って行くと佐久間線の未成線跡らしい橋があり,更にその先に対岸に発電所が見えてくる。三方向に送電線が延びて居る のが写真からも地 図からも判る。
    110m3/sと2台の発電機を用いて50MW近い電気を叩き出す!と大見得を切ったは良いけど,火力・核力と比べて小ささは否めない。。第二・第三も あって頑張っては居るし。高度成長を支えた電発を思うと胸が熱くなるのも事実だが,まあもっと欲しい所。


    水使用量検討(→データ全体俯瞰はこちら)   

    発電所
    運開
    最大出力
    常時出力
    最大水量
    常時水量
    その他
    水窪
    1969.5
    50,000kW
    7,600kW



    新豊根
    1972.10
    1,125,000kW
    0.0kW


    混合揚水
    佐久間 1956 350,000kW 93,700kW 306.0m3/s
    117.20m3/s
    佐久間第二 1982.7
    32,000kW 11,500kW 306.00m3/s 109.97m3/s*



    382,000kW
    104.200kW
    306.00m3/s
    117.20m3/s
    秋葉第一 1958.1
    47,200kW 0kW 110.00m3/s 0m3/s
    改修(2017.5):+1,900kW
    秋葉第二 1958.6
    35,300kW 0kW 110.00m3/s 0m3/s
    改修(2016.5):+400kW
    秋葉第三 1991.8
    46,900kW 38,700kW 116.00m3/s 95.72m3/s*



    128,050kW
    38,700kW
    336.00m3/s
    95.72m3/s

    船明
    32,000kW 114,000kW  270.0m3/s 96.19m3/s*

    集計







    >常時出力(保証出力)は、年間を通じでほぼ毎日(95%流量程度)発生できる出力である。[JICA]
    とのこと。概ね100m3/s前後が常時水量の様である。西鹿島での維持流量86m3/sに対応していると云えよう。

    過去10年ほどの経年データ第 一の稼働率46.3%に対して第三は75.4%であり,第三が優先して使われていることが判る。1m3/s投入で発電出来る発電効率は第一の方が高いのに何故第三が優遇さ れるかは謎である。改修後の関係か?
    →秋葉第三には小 型の2号機(?) が付随的にか設置されている模様でそれを除くと効率が高いのかも知れない。

    集計してみる

    船明水量
    秋葉水量
    佐久間水量
    秋葉対佐久間比較
    秋葉第一使用量
    なし
    20.8億トン
    55.1億トン(佐久間)※

    秋葉第二 〃
    なし
     7.1億トン
    48億トン(佐久間第二)※

    秋葉第三 〃
    なし
    30.4億トン


    発電合計

    58.3億トン
    55.1億トン
    3.2億トン増
    ダム放流量
    16.1億トン
    5.9億トン
    10.2億トン増
    全体

    74.4億トン
    61.0億トン
    13.4億トン増
    ※:佐久間と佐久間第二は直列である。佐久間で使うが放流して佐久間第二では使わなかった水が7億トンもあるようだ。

    【秋葉ダム の増強】   
    色々秋 葉周りの電源開発[→こちら]考えて構想(妄想)してみた。
    秋葉ダムすぐ脇の西川で天竜川に流れ込む白倉川でも発電だの導水だの大がかりな事せずとも出来 そうであった。


    船明ダム湖を下ると謎の取水工?が。

    不明(こ こらEL.52m・[])
    取水口っぽい感じなんだけど・・・なんだろう。。
      22.8


    船明ダム[→船明篇ダム諸元発電所諸元取水量一覧平面図・データ篇:船明ダム水量]  
    下流篇:ダム諸元・発電所諸元・取水量一覧・水量
    21.8
    天竜川最後のダム。余り落差はない。>>tw

    私に連れられてあちこちのダムを見せられたダムには興味ない息子氏,船明ダムの裏面をちらっと見ただ けで低いダムだねと喝破してしまう。門前の小僧よ,何故判ったんだ!? pic.twitter.com/P6YJ3JNogS

    — とはずがたり (@tohazugatali1) August 15, 2021

    物心つく頃には3ダム体制だったような記憶があるけど私が生まれた時にはまだ未着手で1976(S51)の竣工であった。昭和50年代なんてもう現代やん と思ってたけど流石に50にもなるとだいぶ昔のことになってきた感じはある。
    電発建設用の発電ダムではあるが下で見る様に潅漑用水の確保も本ダムの重要な仕事の様である。が,目的は発電のみとなっている。佐久間の逆調整池として建 設された秋葉の更に逆調整池として機能し得るが,それを具体化してなのかどうなのか,1991年には更に秋葉第三発 電所が建設された。

    電源開発(株)船明ダム[水 力]    
    目的:発電
    着手/竣工:1972/1976
    堤高:24.5m、堤頂長:220m
    総貯水容量:1,090.0万m3    有効貯水容量: 360.0万m3
    利用水深:2.2m 満水位:57.00m
    流域面積:4,895km2    湛水面積:1.90平方キロメートル

    船明発電所[水 力]   
    電源開発(株)
    運開:1977
    ダム式・調整池式
    認可最大出力:32,000kW    常時出力:11,400kW
    最大使用水量:270.00m3/s
    有効落差:14.50m
    取水:天竜川[船明ダム]57.00m
    放水:磐田用水、浜名用水、天竜川42.00m


    天竜川下流地域取水事業[国 交省資料]  
    事業種類
    事業名 取水地点 取水量
    関係市町村
    その他
    出典
    国営農業水利事業
    水利標(写真)
    国営天竜下流
    農業水利事業
    船明ダム 潅漑期:37.977m3/s
    非潅漑期:11.921m3/s
    浜松市、磐田市、 袋井市、森町 潅漑面積:8,905ha
    旧浜名用水(右岸)… 旧鹿島取水口 17m3/s
    旧磐田用水(左岸)…旧阿蔵取水口 13.9m3/s?
    水利権更新に関わる
    河川協議資料
    国営三方原
    農業水利事業
    秋葉ダム
    潅漑期:5.469m3/s
    非潅漑期:1.354m3/s
    浜松市
    潅漑面積:4,405ha
    上水道事業
    三方原用水
    秋葉ダム
    上水1.221m3/s 浜松市


    広域水用道水
    供給事業
    水利標(写真)][詳細
    遠州広域水用道水
    供給事業
    船明ダム 寺谷浄水場・於呂浄水場
    121,300m3/日(1.404m3/s)
    浜松市、磐田市、 袋井市、森町 開始:1979年8月 遠州広域水道用水供給事業 
    静岡県企業局
    都田浄水場
    115,500m3/日(1.337m3/s)
    浜松市、湖西市、 新居町 開始:1989年4月
    工業水用水道事業
    水利標(写真)][詳細
    中遠工業用水道事業 船明ダム 175,000m3/日(2.028m3/s) 磐田市、袋井市 開始:1979年7月
    静岡県 HP
    西遠工業用水道事業 秋葉ダム 241,000m3/日(2.789m3/s) 浜松市 開始:1967年10月








    【取水量合計】

    秋葉ダム
    潅漑期:8.258m3/s





    船明ダム
    潅漑期:42.746m3/s



    件名
    遠州広域水道用水供給事業
    中遠工業用水道事業
    水利使用者名
    静 岡県企業局
    目的
    上水道
    工業用水
    取水量 1・2月
    2.002m3/s
    3・4・12月
    2.128m3/s
    5・11月
    2.253m3/s
    6・10月
    2.378m3/s
    7・8月
    2.503m3/s
    9月
    2.428m3/s
    通年
    0.932m3/s
    給水区域
    浜松・浜北・天竜・磐田・袋井・ 豊岡・豊田・ 森・竜洋・福田・浅羽・湖西・新居 磐田・袋井・豊岡・豊田・竜洋・福田・浅羽




    船明発電 所運転実績
    稼働率:68.2%(2015年実績)
    出典:静 岡県

    発電量は結構一定である(16GWh後半から17GW台が6カ月ある)。上限が23.8千kWhなので結構上に張り付いてる(70%台近い)。まさに逆調 整機能♪
    けど,放流水 もそれなりにあってこれ以上稼働率が上がらないのは,天竜川上流の降雨時に水が押し寄せるタイミングでダムに空きがない(容量はそういう意味では僅かな有 効貯水量360.0万m3(→諸元)では貯めきれない感じかな?

    下で見るように,秋葉ダムと比べて船明ダム地点での最大使用水量は年間通過水量は増えてるのに少なくなってもゐるのである。是非下流に逆調整池を設けても う一段供給力を増やして対 応したい。

    佐久間・秋葉・船明使用水量の検討
    ここで各発電拠点毎の水使用量を纏めてみた。佐久間ダムの優秀さが光 ると共に秋葉・船明も健斗しているとは云へ佐久間には落ちる水利用率である。

    その後静 岡県の経年の数字も載ってる纏め的な資料も得て,得られた数値が以下である。
    佐久間ダムが概ね水を使い切ってる(利用率88%)に対して,船 明のパフォーマンスはそれほど良好とは云えない64%である。秋葉はその中間よりは上方という感じで ある。
    船明は秋葉・船明両ダムに貯留量が殆ど無いのに使用水量が一寸落ちるってのが低利用率に響いていそうである(秋葉は,貯留量は無きに等しいが佐久間 より一寸多めの使用水量でなんとか処理仕切っている感じである)。
    また割合ではなく水量で考えた時,佐久間が逃している水(年間ダム放流量)は7億トンなのに対して秋葉と船明はそれぞれ12億トン・27億トンもある。残 り落差は僅かなもの水量は莫大であり,なんとか使い切りたいものである。
    番号 ダム
    河川
    目的
    総貯水容量 (10^3 m3 )
    (1')有効貯水容量(万m3)
    (2) 湛水面積(ha)
    (3) 深度 (m) 堤高 (m)
    集水面積 (km2 ) (8) 年平均流入量 (万m3 )
    年間発電取扱量(万m3)
    年間ダム放流量(万m3)
    (9') 回転率(/年 )(8)*1000/(1) (10') 貯留時間 (月>)
    (8)/(1>')貯留力
    (8)/(7)平均流域降水量
    年間水利用率
    その他・備考
      佐久間 天竜川 P 326,848.0 20,544.4 715 155.5 4,156.5(直:3,827 ・間:330) 591,149 522,451.3 68,697.5 28.77 0.42 3.48 154.47 0.88
      秋葉 AWIP 34,703.0 775.0 190 89 4,490 677,796 554,652.5 123,143.8 874.58 0.01 0.11 150.96 0.82
      船明 AWIP 14,578.0 415.7 190 24.5 4,895 756,197 480,620.0 275,577.0 1819.09 0.01 0.05 154.48 0.64
      新豊根 大入川 PF 53,500.0 4,040.0 156 34 116.5 136.3 84,000 82,000.0 1,000.0 20.79 0.58 4.81 198.09 0.98
      水窪 水窪川 P 29,981.0 2,283.6 84.1 105 241.8 61,903 59,988.6 1,914.3 27.11 0.44 3.69 256.01 0.97

    秋葉ダムの総貯水量3,470.3万m3,有効貯水量775.0万m3が一杯になって捨ててる水が7月,9月が3億8900~4億2300万あると云う事 で7月・9月は一 週間当たりに直しても押し寄せ る1億m3,一日辺り 1400万m3/sとすると如何にも物足りない容量である。これは上流の水流をがっちり受け止め(年間5億7000万トンは新豊根に 汲み上げしてでも死守す)る佐久間ダムの極小化された放流量に対して秋葉の規模 が小さいとも云えるだろうし佐久間ダムの下流で合流する故に流量を均せ ず天竜川へ雪崩れ込んでいくる大千瀬川や水窪川(や船明ダムにとっては気田川)の流入量が多いとも云える かもしれない。それにしても佐久間ダムを通過した水が年間61億m3位あるのに秋葉で74億m3に達する訳だが,その差は13億m3もある。
    この13億トンの水の内訳を見て100km2辺りの利用可能水トン 数を推計してみる。

    秋葉から船明に掛けて増えた水から流域面積当たりの流下量はこちらで 考えて見た。2.5億ト ン/100km2辺りと 推計するのが良いかな?
    どうも山岳部の方が3億トンで気田川とか考えると2億トンに激減するのは潅漑の慣行水利権等が結構あって取水してるから?


    船明発電所で浜名用水と磐田用水に水を供給して長かった天竜川利水流下の旅は終わる。
    ただその浜名用水と磐田用水の嘗ての取水口の跡地(それぞれ西鹿島取水口阿蔵取水口)がもう一寸下流に残っている。なかなかアツいものがある。(→詳しくは此処でレポ)。

    浜名用水(こちら)

    [廃止]西鹿島頭首工(旧浜名用水取入口)[場 所][静 岡県][浜 松市][廃墟日常 →図面などあり]  
    (取水量:17.0m3/s)

    随分河床が低くなってしまったようだ。
    22.5

    今は船明ダムからの取水になった筈(天竜川下流農業 水利事業に統合された様だ)なので取 水先は船明ダムの直下船明発電所の放流水で導水幹線にどこかで接続しているのであろう。



    磐田用水(こちら=未 完成)


    [廃止]磐 田用水阿蔵取水口(跡)[水土] [自然と歴史][youtube]  
    元取水量:13.9m3/s?[国 交省(22p参照)]
    神田の方に気を取られて忘れていた…orz



    [廃止]磐田用水神田取水口(跡)
    近づけなかった…orz
    たぶんこれ。対岸からの遠写。
    22.5



    (貴布祢市街[西])


    (見付市街[東])


    (浜松市街[西])


    (掛塚市街[東])


    (河口:遠州灘)