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2020.10.11作成

豊川用水・宇連ダム・豊川水系の発電(21.1.4訪問)

さて,佐久間ダムに格斗してゐる内に,どうも豊川用水と自分の計画(妄想w(;Д`))がぶち当たる事に気付いた。


図2-4 天竜川水系の主な水利使用模式図(3/3)
出典:国 交省
なんと天竜川水系大千瀬川から15m3/sも取水しているのである!

更に,天竜川の本流,佐久間ダムからも最大14m3/s取水してることが判明![水資源
最大分水量
14m3/s (120.96万m3)
分水総量
年間5,000万m3以内(フル受水で41.3日分)
分水期間
5/6~9/20
導水路長
14.2km
何故かこの導水の存在については上の国交省資料は無視して?ゐる。

宇連ダムの干上がり(貯水量0)があった2019の記事 [朝日新聞]には”天竜川水系の佐久間ダムから豊川用水への導水を始めたことも明らかにした”とあり,緊急時に対応を行うようである。
このことより佐久間導水が14m3/sであり振草導水がほぼ同じの15m3/sであるから緊急時以外は取水しないかと思っていたが,より詳しい記事を発 見。

(佐久間導水に関して)毎年五月六日から九月二十日までの間,天 竜川の維持流量が毎秒八五トンを越えた分について,年間五千万トンを限度に分水できるとの協定を結んでいる。
1994 年9月12日付毎日新聞(夕刊)
とある。(下線部とはずがたり) 大野頭首工の取水量が30m3/sであることを考えると夏期の農繁期には主力として天竜川の水も利用しているっぽい。

天竜川水系からの取水
さて豊川用水は1957(S32)年1月18日に愛知用水公団と(佐 久間ダムを1953に着手し,1956に竣工させた)電源開発(株)の間で締結された覚書により 天竜川水系佐久間ダムからは佐久間ダム取水施設ならびに大入川からは大入頭首工および大千瀬川からは振草頭首工を通じて取水している。[wiki]。

ダム竣工(1956)後,協定締結(1957)後の1958年に宇連ダムは完成しているが,導水の完成時点は今の所不明。
確かに振草頭首工や佐久間ダムから取水される15m3/sを確保するのは宇蓮ダムの直接流域面積の26.3km2ではなんぼなんでも無理である。。

と云う事で,大入頭首工(大入川上流)→大入導水5.0m3/s→振草頭首工(大千瀬川中流)─振草導水15m3/s→宇 蓮ダム(鳳来湖)─(豊川)→大野頭首工30m3/s→豊川用水という流れになっている。
出典;愛 知県

豊川の水利状況を調べてみるとこんな感じ。
出典:国 交省
用水名
用水目的

件数
最大使用水量
(m3/s)
最大取水量
(m3/s)
備考
豊川用水
豊川綜合用水
水道用水

3
2.962
牟呂松原頭首工8
大野頭首工30
合計:38
4市7町
工業用水

2
2.43
3市1町
農業用水

2
23.79
5市7町(約18,100ha)
上記以外 水道用水

9
0.48677
0.48677 豊橋市・豊川市・新城市他
工業用水

2
0.95074 0.95074 三菱レイヨン・横浜ゴム
農業用水

91
1.9359
1.9359
約500ha

80
8.2017
8.2017
その他

7
0.04676
0.04676

発電

(3)
(14.817)
(14.817)
布里,横川,長篠発電所
計(発電除く)

196
40.80387
49.62187

合計(発電含む)

(199)
55.62087



豊川水系に於ける主な取水
出典:国 交省





大入(おおにゅう)頭首工
取水先:大入導水
取水量:5.0m3/s





取水口付近


山の中にある大入トンネル流出工[場 所]
上の取水口で取り込まれた水は太金和峠をトンネルで越えて此処で河内川に放流される。

施設名は近くの看板より。

近くには別所街道が走っており,その旧道沿いに流出工は存在する。普通に国道指定のままとなっている旧道トンネルだけど既に塞がれていた。


河内川は大千瀬川と合流して中設楽振草に至り,ここでもう一度取水される。

さてここで折角大入で5m3/s取って振草迄送水するなら(現地訪問した1月上旬は正月休みか冬期農閑期のせいか取水は停止してた様に見えたが・・併し太金和峠越えると雪景色の 名残だったし冬期の取水も悪くないような気もする。)視野に這入って来るのは大入(EL=516m)と振草(EL=255m)の間の落差と少なくとも 5m3/sを用いた発電ということになる。
6.6km程トンネルを掘って地下発電所を建設して振草頭首工で放水することにする。

[私案]振草発電所
出力:10,600kW[+10.6MW]
水量:5.0m3/s
落差:256m
導水路(新設):6.6km
取水:大入川大入頭首工
放水:大千瀬川振草頭首工

振草頭首工(大千瀬川中流)[水資源]
流域面積 72.64 km2
下流補償流量 1.44 m3/s
振草導水15m3/s
堰堤:

取水口:

利水標識:

銘板より:
豊川用水流域変更
振草頭首工
昭和43年3月竣工
形式 フィックスドタイプ全可動セキ
セキ上高 4.6m
セキ長 40.0m
 土砂吐 6.0m4.3m ローラーゲート1門
 洪水吐 25.0m2.5m 起伏開閉ゲート1門
   放水口 2.0m2.0m 起伏開閉ゲート1門
 魚道 2.0m38.0m 勾配12%
取水施設 3.0m2.6m ローラーゲート3門

21年の正月早々に訪問したのだが,冬期で水が不要なせいかゲートを倒して一切取水してない様子であった。


さて宇連ダム(地図上でEL=235m程満水位EL=229.15m)と振草頭首工(地図上でEL=255m程)

[私案]宇連発電所
出力:2,400kW[+2.4MW]
水量:15.0m3/s
落差:20m
導水路(新設):0.0km
取水:大千瀬川振草頭首工
放水:宇連ダム

宇連ダム[便覧][水資源]
新城市川合
愛知用水公団→水資源機構
目的:AWI
堤高/堤頂長:65m/245.9m
流域面積/湛水面積: 174.5km2 ( 直接:26.3km2 間接: 148.2km2 ) /123ha
総貯水容量/有効貯水容量:2,911.0万m3/2,842.0万m3
満水位/最低水位:229.15m/178.55m
着手/竣工:1949/1958
湖面標高:230m 程度

間接領域の148.2km2だが振草取水口の直接領域は74.4km2程度だから大入取水口の直接領域が74.4km2あるって感じであるか。

大島ダム[便覧][水資源]
場所:新城市名号
目的:潅漑・上水
堤高/堤頂長:69.4m/160m
流域面積/湛水面積: 18.4km2 ( 全て直接流域 ) /50ha
総貯水容量/有効貯水容量     12300千m3/11300千m3
ダム事業者     東海農政局→水機構水路事業部
本体施工者     間組・大日本土木・大豊建設
着手/竣工     1980/2001

満水位/最低水位:240.70m/205.30m



三河大野は遠美線の経由地となっていて,遠美線(二俣線)の起点掛川生まれの俺としては縁を強く感じているし,金指 から三河大野行きの国鉄バスが出ていたのも懐かしい。
そんな三河大野であるが,豊川用水の鍵となる大野頭首工があった。
宇連ダム,大島ダムで集水された此処迄宇連川を下り,此 処(75m)からは用水路に入るのである。
詰まり,天竜川から給水するにしてもこの標高迄降りてから(各所で発電が終わってから)でOKって事になる(今はダム湖から引いているので佐久間ダムの分 が減じている)。

まずはお約束のこれw

[私案]三河大野発電所
出力:15,200kW[+15.2MW]
水量:15.0m3/s
落差:122m
導水路(新設):11.8km
取水:宇連ダム200m (大島ダムは遠いし水量僅少)
放水:豊川三河大野頭首工(73m)


宇連ダム(直接26.3km2)に負けず劣らず流域面積が小さい大島ダム(18.4km2)からわざわざ導水するかどうかは可成り微妙。。


大野頭首工[便覧
愛知用水公団→水資源機構
目的:AWI
堤高/堤頂長:26m/66.2m
流域面積/湛水面積: 130km2 ( 直接:85.3km2 間接:44.7km2 ) /16ha
総貯水容量/有効貯水容量:  109.6万m3/90.6万m3  
着手/竣工     1949/1961
大島ダムとともに、豊川用水の水源になっている。ダムから放流された水は、下流の大野頭首工や牟呂松原頭首工で取水され、水路で渥美半島などに運ばれる。 [便覧
大野頭首工は、宇連ダムや佐久間ダムからの水を新城市大野地点で豊川用水へ取り入れるための施設です。[愛 知県
豊川用水の取水施設である。約80キロメートル先の渥美半島や蒲郡まで自然流下で水を届けている。緊急改築事業(1998年度完成)により高低差27メー トルの魚道を設置した。[水 資源

設楽ダム



水不足の原因
報    文
豊 川 用 水 の 渇 水 被 害 と水 計 画―渇水の恒常化とその原因―
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsidre1965/57/4/57_4_293/_pdf
農業土木学会誌 第57巻 第4号

昭和44年 か ら,わ  が国 の農政 は稲 作中心か ら米 の生産調整へ と大 き く転換 してい った。 ち ょう ど そ の こ ろ に豊川用 水が通 水 し,そ  の水 を利 用 して高収益 をあげ る畑作,と  くにハ ウス,ト  ンネル栽 培が急増 した。 これ らの栽培方法 は全 量を用水 に依存 す るが,通  水後 に発展 したため,事  業計画 の中で考慮 す ることが できなか った。稲作 の減 少,畑  作 の増加 が秋冬期 の水需要 の増 加を招 き,その上,降  雨を有効 に活用で きない ハウス栽 培等 の盛況が補給必要水量 の増 加に拍車をかけた。 計画では大野頭首工か ら取水す る農 業用水 の秋冬期 の使 用量は年間使 用量 の11%で  あ ったが,実  態 は22%に  な ってい る。 また,宇連 ダム地点 におけ る最近5年(昭和58~62年度)の秋冬期 の降 水量は平均470mmで通水初期の昭和40年 代の平均630mmと比較 して極 めて少な くな っている。 このことが約5百万m3の水不足を もた らすひとつの原因とな っていると考えられる。

表9 豊川用水事業計画
区分
計画(ha)
現況(ha)
増△減(ha)
水田

19,397
9,785
6,977
10,983
△3,420
1,198

20,182
17,960
△2,222

とのこと。

冬期は極端に降水量が減る太平洋型の気候に対して冬期に水が必要なキャベツなど畑作が盛んになったと云うミスマッチが起きたようだ。これはなかなか大変だ な。
1989年の論文で大島ダムは着手されているが完成前という状況である。
今は設楽ダムが鋭意建設中だが,それが出来れば冬期の渇水もマシになるのであろうか?

水需給計画では既設水源(豊川・宇連川自流・宇連ダム・佐久間ダム導水・補助溜池)で2億9,100万m3とのこと。


豊川用水天竜川導水検討

さて,ここで大入川上流から振草,宇連,大野を経て10.6MW(5m3/s),2.4MW(15m3/s),15.2MW(15m3/s)と発電出来る事を確認した。

今後は設楽ダムからの15m3/sをも活用して行くことになる。

振草,宇連,大野経由は天竜川から14m3/s取水出来るのが夏期だけなので冬のキャベツなどの需要を賄う為に設楽ともども貯水して冬期の渇水期に供給を図る運用になるのかも知れぬ。
その場合,最高の15m3/sを流す局面は余りないかも知れないが,通年に亘って発電が可能な気がする。

また大入川の5m3/sは全部で10.6MW+0.8MW+5.06MW=16.46MW発電することになる。

今,大入川・新豊根・佐久間・佐久間導水を考える。発電は新豊根で1,125MW(645m3/s)を発電する。今,大入頭首工で取水する5m3/sをこちら経由で発電すると8.72MWとなる。
更に,今は季節稼働であるし発電していない豊川用水佐久間導水であるが,この導水でも発電することを考えて見る。

夏場のみ引っ張って来る季節的な運用であるから何処迄カネ掛けるかってのがある。。

①新豊根発電所→佐久間ダム(240m)→既設導水路→宇 連川支流(EL=199.8m)
  問題:大入川分5m3/sと協定分14m3/sの19m3/sを既設水路で流せるのか?(大入川で取れない時に要請するルールとするなら問題ないかも)

さて佐久間ダムに於ける豊川用水の取水口であるが模型ではあるが取水位が推定できる画像が見つかった!→[佐久間連合艦隊]
発電用取水塔よりは低いが新豊根発電所建設の時を最後に、建設後、数度しか使われたことがないという放流管よりは高いところにある感じだ。
まあ240m程度と踏んでいいだらう。有効落差35mで14m3/sとなる。

流出工付近で発電するとするとこんな感じとなる。大入頭首工での5m3/sをこちらに回すと1.43MW程の発電となる。都合10.15MWの発電となる。

出力:4,000kW[+4.0MW]
水量:14m3/s
落差:35m

振草経由の方が発電量が多いが,ここは一つ②19m3として堀直して宇連ダムへ導水してみる。

佐久間ダム(245m)→大千瀬川渡河サイフォン→奈根川取水工亀淵川取水工乳岩川取水工→宇連ダム(238m)

こうすると宇連ダムに水を溜めることが可能になり運用に巾も出るかも知れない。とはいえ上述の4MWの発電は諦めることになる。
ただ佐久間ダム湖で貯められるものを態々宇連湖で貯めることも無いし発電力も上がらないのに長いトンネルを掘り直すのもおかしいか。。


結局,振草,宇連,大野を経て10.6MW(5m3/s),2.4MW(15m3/s),15.2MW(15m3/s)の計28.2MWを開発する計画にする。

ただ矢張り渇水常習犯故の水量確保に不安は尽きない。以下の様に取水域を広げて確保を足掻きたい。
この辺の流域の佐久間ダムへの導水は色々検討したけど宇連ダムの方へ回すのが順当であろう。。

柿野川
EL=256.8m
導水路:626m
流域面積:5.035km2
推定取水量:0.4m3/s程度


足込川
EL=260m
導水路:1.9km
流域面積:10.34km2
推定取水量:0.8m3/s程度