電 力 総研 水 力あれこれ 北陸水力発電
とはずがたりな掲示板(利 水スレ電 力スレ)
20.10.15運開

神通川水系宮川流域の水力発電(2020.11.21彷徨)

1.流域の年降水量 2.神通川総扉(神一・神二・神三用水) 3. 高原川(跡津川金木戸川・有峰引水) 4.宮川(4-1.宮川・下小鳥川[→現地4 -2.小八賀川) 5.久婦須川・野積川 6. 井田 川・室牧川・山田川 7.熊野川  8.長棟川


蟹寺発電所・(洞谷)・蟹寺ダム打保発電所・(打保谷)・新打保発電所・打保ダム・坂上 発電所・新坂上発電所・坂上ダム(■森安谷導水= 発電量増強)角川発電所角川 ダム(■二ツ屋谷導水=発電量増強)・下小鳥発電所・持越川堰堤・ 小鳥川堰堤・下小鳥ダム■天生導水・■持越導水=発電量増強)
角川ダム増強・北飛弾第一発電所・北飛弾第二発電 所→新蟹寺発電所(+54.6MW)・洞谷 発電所・戸市川発電所・二ツ屋堰堤・二ツ屋谷発電所・下小鳥ダム増強・[私案]奥小鳥発電所(+5.3MW)

水量に対して発電力が足りない気がしてたが中途半端ではあるがダム式で強化が実現する事になった。今ひとつの発電量増強に向けて導水なんかを多用してみ た。フル稼働できるのではないか。

4.神 通川水系宮川
宮川中枢部の発電利水模式図は以下の通り。(出典:国 交省)
宮 川は関電が水利権を持っており蟹寺~角川は宮川上に,下小鳥はその宮川支流小鳥川上にある。
更 に宮川の支流の小八賀川は中 部電力が 水利権を保有している模様。
水量的な本線系統は関電の開発した宮川から下小鳥川って感じである。

下小鳥発電所の放水方法がいまいち解らなかったのでまずはそこの調査から。
水力.comでは下小鳥の 放水先は宮川と角川発電所角川発電 所の取水は稲越川・小鳥川・宮川となっているが各種資料でまちまちなのだ。

下図では角川の取水と下小鳥の放水は交わらず,下小鳥の放水は宮川と云ふ事に成ってゐる。左図では下小鳥と角川の放水先がクロスしているようにも見える。
出典:北 陸地方整備局


国 土地理院では下小鳥発電所は宮川ではなく稲越川に面しており,と同時に角川発電所の導水路と部で交叉してゐる。
上の表現を参考にすると,下小鳥発電所は目の前を流れる稲越川では一切放水せず(似た様なロケーションに吾妻川流域の松谷発電所と雁ヶ沢川や木曽発電所と木曽川(もう一寸下流で結局木曽川には放流するけど)等がある。),此処で は角川の取水のみで基本的に下小鳥の放水は角川で消費されるが,余水が出ることも あって余水吐が設置されててその場合は宮川に直接流される(→地図をよく見たらただの沢っぽいw現地でもそれらしい雰囲気は余りなかった。),と 云った感 じであろうか?

と云う事で,下小鳥角川を突撃してきたが結局下小 鳥の放水先は良くわからなかった。。が,両発電所の各種の標高データを見れば明らかで,下小鳥の放水は430.30mで,これか下小鳥川or宮川[坂上ダ ム]であり,角川発電所の取水は宮川[角川ダム]等467.00mで明らかに下小鳥の放流水は使えないし下小鳥の発電に使う前に落差殺して角川に水を回す 事もなく放水先は下小鳥と同じで坂上ダムの様である。詰まり水力,comさんの下小鳥の放水先の角川ダムは誤りで,上の地図は下小鳥PSから放水路の地下 水路が書かれて無くて,上の模式図は下小鳥と角川の放水路がクロスしている様に描かれてるのは誤りでそれぞれ直角に折れ曲がってるのが正解で,恐らく小鳥 川沿いに下小鳥PSの放流口があって(多分此 処)それを現地で確認すれば終わりだったけど,皆一寸ずつ間違えてて混乱してて現地ではそれに気づけなかった。データ見てから現地飛べば良かっ た。。

という訳で正しい修正版模式図をここに掲げるとこんな感じになるだろう(→神通川高原川井田川)。実は下の方で判明した新規の開発案件も加えている。


4-1 宮川と下小鳥川

下小鳥のピーク的電源142MWは65m3/sの大量の水を有効落差251m下の宮川付近に叩き込む事で発生させている。
角川発電所も派手さは無いが着実に下小鳥川にまで取水先を拡げて80m3/sの使用水量を確保している。ここで合計145m3/sの最大水 量が発生する。
ところがその後が頂けない。坂上・打保・蟹寺と全て 40m3/sちょいなのである。いずれも小さな打保ダム・坂上ダム・角川ダムで合計299.6万m3の貯水 量があってピーク時には一様にこれらの貯水率が低下してて上から水が降ってきても分担して受け止め可能という事か?
ピーク電源は下流で逆調整池つくって打ち止めがセオリーだけど,宮川の場合はそのまま神通川の三連発に続ける事ができるのである。高原側には新猪谷ダムがちゃ んとあって神通川三連発を4連発にすることに成功している。ここは大きな宮川の課題である。
先ずは角川発電所の81m3/sを坂上で受け止める為にここに一箇所発電所を設置するか坂上発電所を増強するかしたい。
→と思って巨大な発電所構想を練っていたら関電の野郎,先手を 打ちやがった!(笑)
打保と坂上に平行して新打保と新坂上を建設使用というのである!詳細は下。 ダム式に近い,有効落差の小さい発電所を建設してピーク電源に備えようと云う訳である。勿論歓迎ではあるし,多分水量などを勘案して最適な規模なんだろう け ど無駄になる落差もあるしちょっと歯痒い。坂上は大して落差に差がないけど打保は50m程無駄に流して いるし蟹寺なんかそもそも今回の増強に含まれなかった。と云う頃で①新打保PS放流位の380mから 蟹寺放水位=神三取水位の180m迄の200mに少なくとも20m3/sの開発余地があるし,なんなら未だ下小鳥・角川の合計 145m3/sに対して70m3/s程度しか対処出来て無くてもう②最大70m3/s程水を捨てる可 能性が残っているということである。下小鳥がフル稼働するとその下で使い切れないのが増強後でも現状なのである。勿体ない。
→更には坂上・新打保が出来ても新蟹寺に相当するやつがない。この辺も尚残る大きな課題である。個人的には出来れば万波なんかと絡めて,小豆沢辺りにダムと発電所を 考えて居る。
ダム名
ダム湖名・河川・水系名 有効貯水量 流域面積
標高
そ の他・備考(ダム)
発電所名
認可最大出力
最大使用水量
有効落差
その他・備考(発電所)
蟹 寺取水口 飛騨市宮川町 ?万立米

325m 関電1953
関 電:蟹 寺[水力] 51.0MW 43.60m3/s 133.95m 取水:[蟹寺ダム] 放水:宮川181.60m

新万波!?




打 保(うつぼ)ダム 飛騨市宮川町 168.5万立米
402m 関電1953
関 電:新打 保 4.94MW
33.3m3/s
17.2m
21年8月着工、25年2月の運転開始予
関 電:打 保[水力]
24.3MW 42.00m3/s
69.10m
取水:[打保ダム] 放水:[蟹寺ダム]
坂 上ダム 飛騨市河合町 85.3万立米
429.5m 関電1953
関電:新坂上 4.3MW
30m3/s
16.4m
21年3月着工、24年8月の運開予
関電:坂 上 8.6MW 41m3/s
24.80m
取水:[坂上ダム] 放水:[打保ダム]
小鳥川
[私案]二ツ屋谷発電所
1.7W[+1.7MW]


角 川(つのがわ)ダム 飛騨市河合町 45.8万立米
460m
関電1955
関電:角 川 23MW 81.0m3/s
33.15m
取水:[角川D]、小 鳥川、稲越川 放水:[坂上D]
下小鳥(ことり・おどり)ダム 下小鳥湖 9495.8万立米 186.1km2
常時満水位:702.0m
関電1973
関電:下小鳥 142MW 65.0m3/s
251.0m
放水:宮川・角川P/S430m
関電:下 小鳥維持流量 0.48MW 0.64m3/s
100.41m
2021予2.54GWh/y [関電]
小鳥川
奥小鳥発電所
5.3MW[+5.3MW]


合  計
261.8MW
→268.8MW[+7.0MW]




新規開発
出典:関電(pdf)


2020年6月10 日
関西電力株式会社
新坂上(しんさかがみ)発電所(仮称)および新打保(しんうつぼ)発電所(仮称)の新設について
https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2020/0610_1j.html

 当社は、この度、岐阜県飛騨市宮川町に当社が所有する坂上ダムおよび打保ダムにおいて、それぞれのダム直下に「新坂上発電所(仮称)および新打保発電所 (仮称)」を新設することとしました。

 本計画は、水資源が豊富な坂上ダムおよび打保ダムの水を有効活用するものであり、両発電所あわせて最大出力9,240kWの発電所を新設するものです。

 新坂上発電所(仮称)は2021年3月着工、2024年8月の運転開始、新打保発電所(仮称)は2021年8月着工、2025年2月の運転開始を目指 し、関係当局のご指導と地域の方々のご理解を賜りながら、安全を最優先に建設を進めてまいります。

 当社グループは、「低炭素」のリーディングカンパニーとして、2030年代に国内外で再生可能エネルギー電源の設備容量600万kWを目標に、200万 kW以上の新規開発に取り組んでおり、今後も引き続き、地域の皆さまのご理解を賜りながら、再生可能エネルギーの普及・拡大に貢献してまいります。

【参 考: 新坂上発電所(仮称)・新打保発電所(仮称)の概要】

新 坂上発電所(仮称) 新 打保発電所(仮称) 合計
所 在地 岐 阜県飛騨市宮川町 岐 阜県飛騨市宮川町
水 系・河川名 神 通川水系 宮川 神 通川水系 宮川
発 電所形式 ダ ム式 ダ ム式
最 大出力 4, 300kW 4, 940kW 9.240kW
発 電電力量 1, 300万kWh/年 1, 600万kWh/年
最 大使用水量 30. 0m3/s 33. 3m3/s
有 効落差 16. 4m 17. 2m
CO2削減量 約 6,000t/年 約 7,400t/年 約13,500t/ 年
以上


個人的には既存発電所に平行するぐらいの巨大なやちを作ってあげる計画だったので大部規模が減ってしまうがまあしゃーない。。
新蟹寺が立案されなかったのは何故なのかな??どうもダム挟んでの高低差がないからっぽいが。。。

またややこしいが打保発電所の有る場所が打保で打保ダムがある所は全然打保では無く寧ろ坂上であるのに打保発電所用のダムだから打保ダムになってしまっ て,それに付随して新発電所を作るから新打保が坂上に出来る事になってしまった。

【沿川風景】
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増強案

上の方で見た様に課題として

①新打保PS放流位の380mから 蟹寺放水位=神三取水位の180m迄の200mに少なくとも20m3/sの開発余地がある

②最大70m3/s程水を捨てる可 能性が残っている

がある。②の方は,宮川上流に巨大ダムでも出来ないとなかなか難しい様な気がする。下小鳥ダムの1億トン近い有効貯水量が可能とする放水量ではあるのだ。 その下小鳥の186km2,我が導水構想を入れても200km2ちょいの流域面積に対して角川より上流には700km2以上の流域がある。
貯水は丹生川ダムの530.0万m3に深谷ダムの30万m3,建設中の大島ダム385万m3があるぐらいである。

小 八賀川上流,根方の取水をするこの辺にダムが欲しい所である。宮川防水ダムの不特定利水は流域面積が小さいから効果は余りないかも知れないけど, 容量はある。更には川上ダムなんかも欲しい。

これらの上流の安定化を受けて現行(工事中)の中途半端な60m3/s体制を追認するのか80m3/s体制を構築するのかということが頂点だけど神通川第 三の水使用量が150m3/sで,現状,宮川方の蟹寺が43,6m3/s,高原方の新猪谷・猪谷が70m3超。高原川より宮川の方が面積は広いと云う事で こちらも80m3/sに耐えうる施設を検討する。

[私案]新蟹寺発電所
出力:58,300kW[+58.3MW]
水量:40m3/s
落差:175m
取水:宮川[新打保発電所放水]・打保谷380m
放水:宮川[神通川第三ダム]190m


[私案]坂上第三発電所
出力:7,300kW[+7.3MW]
水量:20m3/s
落差:44m
取水:宮川[坂上ダム]・森安谷 428m
放水:宮川[新打保放水・新蟹寺取水]380m

こんな感じであろう。