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流域と水量の関係の現代的改訂

1980~90年代に新開発(もう半世紀も前のことになりつつあるが。。)の水発群には或る種の特徴がある。
高落差・高面積比水量の発電所群である。纏めて見て法則性を見出してみる。
嘗て物部川の法則で流域面積10km2辺り1m3/sの最大使用水量という或る種の経験則を見出したが明らかにそこから逸脱する例が多く見受けられるので ある。
元々高落差の案件は大水量の傾向はあったが,それに開発が偏ったともいえる。これは残された開発余地を求めて比較的高コストでも着手されるようになった可 能性もあるし,資本財価格の低下という傾向から嘗てはペイしなかった,比較的小日数の為に大きめの容量積んでおくことの総体的なコストの低下が発生した可 能性もある。いずれにせよそれが可能になり,新開発の多くを占めるようになったと云う点は注目しておきたい。

発電所名
水系・圏域
社名
運開年
出力
常時比
水量
[m3/s/10^2km]
落差
流域

導放水路総延長
(MW/kW)
摘要
中御所
天竜
中電
1980
10.2MW
18.6%
4.00m3/s[1.74]
310.28m
23.0km2
5,396.25

早木戸 天竜
電発
1983
11.2MW
10.6%
4.2m3/s[1.25] 325.6m 33.5km2
4,774.8m

北山
(越)早川
東北
1983
7.1MW
9.15%
10.0m3/s[1.92]
85.9m
52.0km2
1,938.7m
(越後)早川水系
小坂川
飛騨
中電
1983
21.3MW
20.2%
6.0m3/s[1.56]
423.9m
38.3km2
6,665.8m(3.20)

尾添
手取
陸電
1985
30.9MW
7.2%
6.2m3/s[2.07]
577.0m
29.02km2
8,280.3m(3.7)
※:2010増強(+0.4MW)で今では30.9MW
安蔵川
千代
中国
1985
3.2MW
11.9%
2.8m3/s[1.17]
142.95m
24km2
4,671.5m

烏川第三 穂高
中電
1985 16.5MW
9.15%
4.0m3/s[1.23] 485.35m 32.5km2
8,499.48m(1.94)

上市川第二
上市
富山県
1985
4.3MW
23.2%
6.0m3/s[1.55]
85.55m
38.7km2
295m

猟師ヶ原
神通(井田)
日本海
1985
3.5MW
3.4%
5.0m3/s[2.00]
96.0m
25.0km2
2,201.0m

川原樋川
新宮
関電
1986
11.4MW
8.8%
8.0m3/s[1.12]
174.1m
71.7km2
7,116.0m(1.61)

伊奈川第二 木曽
関電
1986
21.6MW
11.6%
6.5m3/s[1.67] 399.48m
38.8km2
13,383.3m(1.61)

中島第二 九頭竜
福井県※
1986 2.4MW
13.3%
1.4m3/s[1.94] 214.82m 7,2km2
876.5m
※:2010陸電に譲渡
上市川第三
上市
富山県
1986
4.7MW
10.2%
4.8m3/s[1.77]
120.64m
27.1km2
4,406.8m
万波
神通(井田)
関電
1987
12.4MW
5.6%
5.0m3/s[2.50]
303.6m
20.0km2
6,431.1m(1.94)

新熊野
神通(熊の)
日本海
1987
7.0MW
8.6%
6.0m3/s[1.50]
140.00m
40.00km2
3,469.0m

片貝南又
片貝
日本海
1989
5.0MW
4.0%
3.0m3/s[2.72]
208.0m
11.0km2
1,772.0m

赤石
大井
中電
1990
40.5MW
0.0%
28.0m3/s[1.86]
162.0m
202.0km2
10,131.0m(4.01)

大鹿
天竜
長野県
1990
10.0MW
12%
4.5m3/s[0.83]
266.4m 54.2km2
7,098.9m(1.41)

大笹生 阿武隈
東北
1991
11.4MW
15.8%
6.5m3/s[1.18]
215.20m
55.2km2
7,252.5m(1.57)
小雨地帯なので1.18でもなかなか♪
北又渡 天竜
中部
1991 24.2MW
12.3%
11.5m3/s[1.33] 256.0m 86.3km2
11,562.7m(2.09)

実川 阿賀野
東北
1992
8.2MW
11.6%
6.0m3/s[1.79]
165m
34.5km2
3,954.9m

黒谷

電発
1994
19.6MW
7.65%
12.0m3/s[1.45]
194.3m
83.0km2 8,162.4m(2.40)

二軒小屋 大井
中電
1995
26.0MW
8.1%
11.0m3/s[1.50]
283.6m
73.1km2
3,133,5m

赤石沢 大井
中電
1995 19.0MW
7.9%
7.0m3/s[1.56] 323.8m 44.7km2
7,182.8m(2.64)

青田
櫛田
三重県※
1995
2.8MW
12.8%
1.5m3/s[1.27]
224.3m
11.8km2
2,999m(0.93)
※:2015.4中電に譲渡
新薬師
九頭竜
日本海
1995
5.0MW
20.0%
6.30m3/s[1.05]
97.1m
59.8km2
4,131.9m(1.21)
=リプレース事業
平谷 矢作
中電
1996 8.1MW
9.75%
8.5m3/s[1.26] 113.5m 67.2km2
4,370.1m

荒谷 庄川
関電
1998 11.2MW
11.6%
5.0m3/s[2.79] 273.6m 17.9km2
2,511.4m
大鹿第二
天竜
長野県
1999
5.0MW

1.70m3/s
356.22m
23.4km2
4,385.1m












新下平
阿賀野
東北自然エネ
2002
17.7MW
10.7%
9.50m3/s[2.16]
221.5m
44.0km2
4,966.1m
=リプレース事業
新小荒 阿賀野
東北自然エネ 2003
11.0MW
9.1%
17.0m3/s[]
77.1m
100.1km2
4,493.8m
=リプレース事業











清内路
天竜(阿智)
中電








安倍 川
安倍
中電
2024
7.5MW







色々開発構想妄想を書き散らして来た自分ではあるが,或る時期に気にしていた導水距離を開発を5.0MW以上は気にしないみたいな省力化をしてしまってい るが,近年また気になりだして調べだしたという側面も強いのだが,やはり10km以上の導水放水路を持つ発電所は稀で,長めの導水路を持つ発電所でも概ね 2以上の出力距離比(MW/kW)が欲しい感じで ある。。
10MW前半迄だと8MW付近が上限という感じか。
勿論高度成長期の発電所には電化の横川第一発電所み たいに10MWでも9,158.6m(1965運開)といようなものもある。それでも10km云ってないとも云えるか。下で 別途纏めた


例外:
北小谷 1982 既存の発電所の連檐化
只見 1989  〃

その他,ダム建設に伴うものがある。
大川 1986 ダム建設に伴う設置
玉川 1990 〃
美山 1988 〃


増強プロジェクト
有峰第一 1981

大容量小落差発電所
用瀬


非現代の長距離導水発電所(大水量を除く)
発電所名
水系・圏域
社名
運開年[社]

出力
常時比
水量
[m3/s/10^2km]
落差
流域

導放水路総延長
(MW/kW)
摘要
市川発電所 市川水系市川
関電
1911[山陽中央水電]
2.6MW
8.4%
4.30m3/s[0.40]
74.10m
106.4km2
5572.8m(0.46)

勝山第一発電所
旭川水系旭川 中国電
1922
3.9MW




6,393.5m(0.61)

祖谷発電所
吉野川水系祖谷川
四電
1923[徳島水電]
6.3MW
7%
3.70m3/s[0.76]
222.7m
48.2km2
16,057.9m (0.39)

上村合計
矢作川水系矢作川
中電
1925/27[矢作水力]
11.4MW

4.09m3/s[0.52]
355.4m
78.7km2
11,281.3m(1.00)

吉良発電所
吉野川水系貞光川
四電
1925[美馬水力電気]
2.7MW
25.5%
3.80m3/s[0.383]
92.78m
99.112km2
3,023.2m(0.89)

野尻発電所
揖保川水系引原川
関電
1927[兵庫県営]
1.16MW
24.6% 2.50m3/s[0.25]
57.57m
97.9km2 3.393.5m[0.34]
引原川の2発電所であるが,同じ兵庫県営の2発電所である。
各種比率などよく似ていて,出力が小さいのも似ている。
公営だったのも関係している?
上野発電所
揖保川水系引原川
関電
1928[兵庫県営]
0.78MW
28.5%
3.144m3/s[0.28]
30.90m
111.1km2
2,209.0m[0.35]
平泉寺第一・第二
九頭竜川水系女神川
陸電
1934/36[勝山電力]
0.98MW
31.6%
0.83m3/s/1.002m3/s
151.49m
14.3km2/11.1km2
2,140.8m[0.46]

豊発電所
天竜川水系和知野川
中電
1936[矢作水力]
14.5MW
37.9%
5.54m3/s[0.43]
304.8m
129.5km2
13,008.7m(1.11)

安積発電所
揖保川水系
関電
1939[兵庫県]
5.0MW
29.0%
8.9m3/s[0.31]
71.0m
288.7km2
11,933.3m (0.42)

広流域
草野川発電所 淀川水系姉川支流 関電
1939.12
2.3MW
23.0%
1.39m3/s[1.20]
202.1m
11.6km2
3,864.9m(0.59)

伊吹発電所
淀川水系姉川
関電
1940[宇治川電気]
5.4MW
37.0%
3.76m3/s[1.07]
172.90m
35km2
9,904.6m(0.54)




─終戦─







五条方中島
九頭竜川水系真名川
陸電
1953/57[福井県]
36.7MW

16.0m3/s[1.12]
266.0m
141.8km2
20,653.3m (1.78)

松一・松二合計
吉野川水系松尾川・祖谷川他
四電
1953.10[四電]
42.2MW
59.9%
6.30m3/s[0.58]
776.0m
103km2
30,587.7m (1.37)

高野発電所
吉野川水系祖谷川
四電
1954.1
5.2MW
5.5%
8.80m3/s




五王堂発電所
物部川水系上韮生川
住友
1960[住友共電]
11.1MW
20.7%
3.80m3/s[0.79]
349.5m
48.3km2
13,586.5m (0.82)

馬場島発電所
早月川水系
陸電
1963[陸電]
21.7MW
16.6%
7.90m3/s[1.89]
319m
41.7km2
7,542.8m (2.90)

横川第一
横川第二
合計
姫川水系
電化
1965[電気化学工業]
1964[電気化学工業]
10.9MW
16.0MW
26.0MW
13.0%
11.8%
12.3%
一:3.80m3/s
二:5.50m3/s
計:5.50m3/s
319m
351m
670m
33.7km2
45.8km2
45.8km2
9,158m (1.19)
5,752m (2.81)
14,910m(1.74)

高田発電所
名立川他
県企業局
1968[新潟県]
11.5MW
6.1%
7.00m3/s[1.23]
195.5m
57.4km2
10,199.8m (1.12)
1984新高田増設

極端に導水・出力比が低い案件は戦前生まれに多い。