電力 総研 水力あれこれ(天竜川(信州)天竜川(遠州)) とは掲(発 電スレ 利 水スレ)
20.10.25運開

天竜川水系遠山川関連水力発電所現状篇(22.10立 寄・23.4立寄)

(天竜川・平岡ダム・遠山川合流)─飯島発電所─(八重河内川合流)─(池口川合流)─梨本堰堤(北村川合流)─(北又沢合流)北又渡発電所─(易 老沢合流・易老沢発電所)─便が島堰堤─(源流・聖岳) 開発篇はこちら

こういうのにちゃんと向き合ってる所は流石長野県である。歴史や公共事業問題や自然環境問題と向き合いながら電源開発し ていきたい。
信州遠山郷 秘境の旅[遠山.com
昭和18年、第二次世界大戦のさなか。 日本発送電株式会社 は、政府から緊急の電源開発を命じられ、翌19年に飯島発電所の建設工事に着手しました。同年に来村した作業員1500名の中には、朝鮮半島や中国大陸で 徴用された労働者が多く含まれていました。彼らの給料は日本人労働者の半分にも満たず、監視つきの小屋で寝泊りをしながら、過酷な労働を強いられたといい ます。
同じ時期に建設が進んでいた下流の平岡ダムでも、同様の状況でした。満島には捕虜収容所や飯場が立ち並び、建設中の事故や病気で多くの外国人労働者や連合 国捕虜が命を落としました。
飯島発電所は終戦後の昭和22年に完成し、現在でも最大認可出力12,700kwで発電をおこなっています。
遠山川での電力事業は、水利権の補償金や村税として、南信濃村の経済と切っても切り離せない存在です。
平成3年に北又渡発電所が完成したこともあり、現在の村税収入の半分以上は、中部電力からのものです。 (執筆当時)
自然環境をめぐって、脱ダム論議が盛んになっている現在。その一方でわたしたちの生活が、外国人労働者たちの過酷な犠牲の上に成り立っている事実も、忘れ てはならないことなのではないでしょうか。

また中 央道の身延ルート計画時には,中央道はこの遠山川を遡る予定だったようだ。三遠南信道も天竜峡から木沢迄直結すれば良かった物の,大きく北へ迂回 して矢筈経由から上村川を下るルートとなっている。下記地図だと奥茶臼山を水源とする遠山川の支流が描かれているがこれは上村川ではなく北又沢っぽい。



1.現況
遠山川は22.8高校の同窓会の序でに組み込んでみた。…という記憶だったが調べて見ると寄ってない。粕川とかに行ってる。22.10に行っている。弟が再婚するに当たって実家の 母に顔見せに来るというので死んだ親爺に代わって私が顔を出しに云ったがその機会に組み込んだようだ。早木戸川から平岡ダムを見て遠山川へ進入,その後引き返して和知野川を見て帰るという野心的な経路であった。

~天竜川~

平岡(ひらおか)ダム[→天竜川中上流
取水:天竜川(・遠山川・和知野川・万古川)
着工/竣工:1940.5(1938?)/1952.1(1951?)
堤高:62.500m←戦前に建設・計画された天竜川水系のダムの中では最大[wiki
貯留量:260.1万m3(2000-12時点[水力])・ 482.9万m3(建設時[1952か?]時点・利 水標より)(→まあ貯水規模は大し てデカくない。。)堆砂率は、平成15年(2003 年)12月31日現在84.8%で、総貯水容量500万トン以上のダムの中で最も高い[wiki
目的/型式    P(→平岡発電所)/ 重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積    62.5m/258m/252千m3
流域面積/湛水面積    3,650km2 ( 全て直接流域 ) /258ha
総貯水容量    4,242.5万m3
満水位:308.0m
ダム事業者    中部電力(株)(←日本発送電←矢作電力系天竜川電力)
(天竜川・遠山川合流[平岡ダム付近])

22.10

~和知野川 ~[→和阿野川

和知野発電所[→和知野川]  
中部電力(株)
運開:1939(矢作水力)
水路式・流込式
認可最大出力:6,300kW     常時出力:2,000kW[31.7%]
最大使用水量:10.50m3/s[0.64]
有効落差:72.25m
導水路:総延長3386.3m、
取水:和知野川[和知野ダム]397.00m
放水:和知野川[平岡ダム]320.17m


天竜川本流に平岡と泰阜がありその間で天竜川に流れ込む和知野川に三箇所の発電所が存在している。
発電所名
取水
運開
出力
常時(率)
取水位
放水位
落差
水量[面積比]
流域面積
水源
貯留量
早木戸
早 木戸川
1985
11,200kW
1,190kW[10.6%]
596.5m
262.0m
325.6m
4.20m3/s
33.5km2
早木戸ダム
なし
平 岡 天竜川 1952 101,000kW 23,900kW[23.7%] 308.0m 259.6m 45.65m 256.0m3/s[70.1] 3,650.0km2 平 岡ダム 4,242.5万m3
飯島
遠山川
1947
12,700kW
2,000kW[15.7%]
490.0m
324.61m
153.7m
9.87m3/s[41.0]
241.0km2
飯島堰堤
なし
和知野
和知 野川
1939
6,300kW
2,000kW[31.7%]
397.0m 320.17m
72.25m 10.50m3/s[63.6]
165.0km2 和知野ダム
なし
泰 阜 天竜川 1936 52,500kW 12,900kW[24.5%] 355.0m 316.51m 36.86m 178.0864m3/s[59.7] 2,980.0km2 泰 阜ダム

広い川巾にゆったりと流れる遠山川。こ の辺。遠山川最下流の飯島発電所放水位と平岡ダムの取水位には上表の様に18m程の未利用落差があって悶 絶させられるがこんな感じでゆったり無住の空間が広がっている。平岡ダムの貯留量を増やしたいなあと思いながら(→この辺で検討前向きの結論を得た♪)クルマを飛ばしていく。
22.10

そろそろ発電所という所で遠目に建機の姿が。


発電所は一括改修工事と銘打たれて工事中であった。出力とかアップすると自慢げにニュースリリースなど出す電力会社であるが本件に関しては全くヒットしな い。特に出力アップなどはなさそうである。

脇の渓流は名田熊沢川。土石流  渓流とのこと。例によって赤字で肝心の部分が早めに消えて仕舞ってる感じ。


名田熊沢と放水門と建屋


遠山川への放水路。放流は厳密には遠山川では無く名田熊沢っぽい。


中部電力(株) 飯島発電所[水力]              
運開:1947.5[日本発送電(株)]
水路式・流込式→梨元堰堤があるしダム水路式・調整池式ではないのか?
認可最大出力:12,700kW   常時出力:2,000kW[15.7%]
最大使用水量:9.80m3/s (流域水量比:40.6%)
有効落差:153.17m
水車:出力13000kW×1台
導水路:総延長8710.6m
流域面積:241.0km2
取水:遠山川[梨元堰堤](490m)
放水:遠 山川(名田熊沢川)(324.61m)

工事の様子。上で見た様に平岡ダム満 水位(308.0m)との間の微妙な未利用落差(約16m)は勿体ないが,まあ落差は僅少ともいえる。。
22.10

さて,ここから梨本堰堤迄,水路延長でも9km近い距離がある。田舎道で信号などないが結構ある印象。宏大な遠山郷を感じる一時である。

廃校の木沢小学校は見応えあり。23.4に再訪した際には同行していた息子に見せたら喜んでいた。

その木沢小学校の脇に梨本堰堤はあった。22.10に訪問時は工事で発電が停まっていたこともあって水門は全開であった。
22.10

堰直下の床止め工。こいつが無いと川底がどんどん削られて行き先日の明治用水みたいに油断してると底が抜けて取水出来なくなるのであろう。


梨元堰堤遠山.com][場 所(490m)
取水堰
取水量:9.80m3/s→上流の北又渡P/Sでは11.5m3/sなのに減って いる。漁業などへ の配慮なのか?潅漑に利用するのか?それとも開発の時期の問題?(先に(戦後 の混乱期に)開発された飯島PSが過少な能力で運開してしまった?)飯島の取水量が少なめ(40%)なのはあるけど,寧ろ北又渡P/Sがとんでもなく取水量が大きい(133%)ってのもある。似た ような①取水量が大きい・②中電が③比較的最近開発した発電所に平谷発 電所がある。

取水設備。
22.10
利水標


22.10の乾涸らびたダム湖


23.4の満水時のゲート

満水を背景とした利水標。これでも貯留量なしとはねえ。。

ダム湖面。割と土砂が中洲のようになってて,物足りなさはある。もう一寸真剣に堰を造って水貯めても良さそう。その役目は人家のない北又渡発電所直下か ねぇ。。ここで合流する上村川方面の降水は比較的少ない。

現状,取水位は490mだが10m堰堤で嵩上げしてもこんなもんである。142,898m2。77万m3程のサージタンクが形成出来る。現行の 9.8m3/sで22時間弱程持つ。



~上村l川~

上町付近。もう少しで赤石林道と小川路峠の分岐。この辺もなかなか道路的に興味深いシーン[山行が]が存 在する。
23.4



<ここに開発余地!160m程>
この辺も漁業が盛んなよう([釣り師松っちゃんのブログ]) なので配慮は必要。

2020年版の山と高原の地図43『塩見・赤石・聖岳』に拠ると,遠山 川沿いの林道は2018,19の台風被害に拠り芝 沢ゲートから奥はクルマの通行が不可となっているそうだ。
易老渡を経て便ヶ島迄は車道の表記となっているけど。。易老沢の取水口のは元々道路も無いとこの様だけど易老沢発電所や便ヶ島の取水施設とかの巡視も徒歩 になったのか?
あと,国土地理院では林道を経て繋がってる兎洞の調整池だけど上記の山の地図だとこ の辺迄しか描かれていない。奥地の開発は兎も角その維持はなかなか大変そうである。

この印象が強くて22.10も23.4もこれ以上見ることはせずに北又渡はスルーした。

北又渡(もう調べてないけど多分「きたまたど」)である。笹間渡・西渡・奈川渡・黒川渡とどれも 「ど」 と訓(よ)み,合流点(の近く)に多い渡なので落合や二俣(二又),川合(河井etc)と同じ様な合流点で渡河を昔からしてた由来の地名かと判断してたけ ど調べてみたら場所(土・ど)という案もあった。成る程ねぇ。。
> 日本語の「ど」は、「喉のど」「竈くど」「宿やど」「井戸いど」「窓まど」「陰ほど」等の例からして「ある場所(the place)」を示していること は間違いない。
目からウロコの地名由来

中部電力株式会社 北又渡発電所[水力
運開:1991.11
水路式・流込み式
認可最大出力:24,200kW   常時出力:3,000kW
最大使用水量:11.50m3/s (流域水量比:133.2%)←デカい!
有効落差:256.0m
水車:出力24900kW×1台
導水路:総延長11530.0m
流域面積:86.3km2
取水:遠 山川(便(たより)ヶ島)易老沢発電所北 又沢兎 洞沢(937m[易老 沢稼働前は975.00m])
放水:遠山川(666.5m)


遠山川最奥部に張り巡らされた取水罔(もう)の一部だった北又渡(1991運開)の易老沢からの導水路は 落差が30m程 あったので小水力化(2003運開)した様だ。なかなか素敵だ☆

中部電力(株) 易老沢発電所[水力
運開:2003.6.10
水路式・流込式
認可最大出力:250kW     常時出力:31kW
最大使用水量:1.20m3/s (流域水量比:136%)
有効落差:28.67m
水車:出力276kW×1台
流域面積:8.8km2
導水:1.56km程度
取水:易 老沢(975.0m)
放水:遠 山川[北又渡発電所取水堰堤](937.5m)

開発篇へ続く