電 力総研 水 力あれこれ(東北)
と はずがたりな掲示板 (利 水スレ電 力スレ)
21.6.19運開
雄物川系玉川の利水(→玉川支流篇はこちら)

雄物川の電源地帯は皆瀬川も結構立地してるがなんといってもこの玉川である。田沢湖迄動員している。とは言え,その電源開発の過程で玉川温泉の強酸性水を 田沢湖に引き込んだ為に生物が 死滅してしまったそうで自然破潰の影の巨大さも心に留める必要はある。中和施設の稼働で改善されつつはある様だ

大雑把なメカニズムとしては「玉川源流から一旦田沢湖を経由しつつ玉川を下る本流」と,先達川か ら田沢湖へ流れ込む支流」という組み立てである。
そしてジャンクション神代ダムからは潅漑用水が4方向に出ていくと云う組み立てである。
上先達P→先達P→(先達川D)

田沢湖


生保内P夏瀬D夏瀬P


神代 D
【増強案】


神代P玉川T→ 仙北平野幹線
(玉川源流)小和瀬P小和瀬増強案
(渋黒川)→玉川D玉川P鎧畑D鎧畑P見付田D田沢湖P
渋黒開発案


抱返T→田 沢疎水左岸幹線

→田沢疎水右岸幹線

→第二田沢幹線

なおこの辺は多雨地帯である。遠慮なくガシガシ行きたい。とはいえ2100~2500mmということでそこはまあ北東北ではある。
国 交省

~玉川源流部~

山の向こうは藤七温泉等がある松尾・八幡平地区で ある。

秋田県 小和瀬発電所[水力]     
所在地:秋田県仙北市田沢湖玉川[場 所
昭和33(1958)年4月:工事着手    昭和36(1961)年1月:運用開始
水路式・流込式
認可最大出力:8,800kW      常時出力:1,200kW[13.6%]
    平均年間発生電力量:約44,170MWh/年(4417万キロワット時)→稼働率:57.3%
    最大使用水量:5.00m3/s[0.605]
    有効落差:210.54m
    水車:立軸フランシス水車 出力9140kW×1台
    導水路:総延長13267.6m
    流域面積:82.6km2
    取水:玉 川大 深沢湯 ノ沢石 仮戸沢中 ノ又沢大 倉沢湯 ノ又沢、他 635.00m
    放水:小和瀬川[玉川ダム] 403.90m

玉川ダムに近接し,その東隣の山々に導水路を這わせて82.6km2から5.0m3/sを集水,有効落差210mで8,800kWの発電をする頼もしいヤ ツである。
たまたま小和瀬川に立地をしてその名を背負っては居るが基本的に玉川の最上流の発電所という位置づけで間違いは無い。

1958とやや運開が早いせいか,有効落差210mと現代風なら大水量積んで大規模 発電と行きたい所だが,この水量で既に13.6%というそこそこ低い常時出力で,雨量がちと物足りないのかも。。。
ただ稼働率に関しては57%ってのはそこそこ高い(出力増強の余地有りな)のではないか?


[増強私案]小和瀬発電所    
水路式・流込式
認可最大出力:17,700kW[+8.9MW]      常時出力:1,200kW(変わらず?)
最大使用水量:10.00m3/s(1.21)[+5.0m3/s]
有効落差:210.54m
水車:立軸フランシス水車 出力9140kW×1台+もう1台
導水路:総延長13267.6m×もう1条 (全部を2条化する必要はないだろう。)
流域面積:82.6km2
取水:石仮戸沢、玉川、大深沢、湯ノ沢、中ノ又沢、大倉沢、湯ノ又沢、他 635.00m
放水:小和瀬川[玉川ダム] 403.90m

小和瀬発電所は東側をシマにしている。西側をシマとする発電所も構想してみたい。
700mで取水,27.4km2。4.4m3/sと云った所か。403mで発電。落差は280m程。出力は10.5MW程行けそう。これだな

 

[新設私案]渋黒川発電所
出力:10,000kW[+10.0MW]/10,400kW
水量;4.3m3/s[1.57]
落差:273m/284m
流域:27.4km2
導水:9.18km/10.49km
取水:渋 黒川(新玉川温泉)・柳 沢石 黒沢(支流)石 黒沢(本流)岩 屋沢 700m
放水:玉川[玉川ダム]412m401m



※問題は新玉川温泉の水が使えるのか!?ってのはある。。
>こちらのお湯は、世界でも珍しい塩酸を主成分とした強酸性の泉質で、ラジウムを含有しています。[新玉川温泉



~玉川~

玉川ダム[便覧]       
河川     雄物川水系玉川
目的/型式     FNAWIP/重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積     100m/441.5m/1150千m3
流域面積/湛水面積     287km2 ( 全て直接流域 ) /830ha
総貯水容量/有効貯水容量     2億5,400.0万m3/2億2,900.0万m3
ダム事業者     東北地方建設局
着手/竣工     1973/1990

大容量2億3000万トン!朝日・秋神や三浦なんかと同じ様な最上流で流域全体の流量安定化を果たせる頼もしいやつである。

秋田県 玉川発電所[水力]     
所在地:秋田県仙北市田沢湖玉川
    平成2(1990)年6月1日:運用開始
ダム式・貯水池式
    認可最大出力:23,600kW     常時出力: 3,300kW[14.0%]
    平均年間発生電力量:約84,000MWh(8400万キロワット時)→稼働率:40.6%
    最大使用水量:40.00m3/s[1.39]
    有効落差:69.23m
    水車:立軸フランシス水車 出力31000kW×1台
    流域面積:287.0km2
    取水:玉川[玉川ダム]397.40m
    放水:玉川325.0m

玉川ダム287km2の水源に対して早くも40m3/sも使用してかっ飛ばす玉川PS。ここから神代迄大容量で駆け下りる。

鎧畑ダム [秋田県](よろいはた)[便覧]     
河川     雄物川水系玉川
目的/型式     FP/重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積     58.5m/236m/192千m3
流域面積/湛水面積     320.3km2 ( 直接:33.3km2 間接:287km2 ) /255ha
総貯水容量/有効貯水容量     5,100.0万m3/4,300.0万m3
ダム事業者     東北地方建設局
着手/竣工     1951/1957

>鎧畑ダムの目的は洪水調節と水力発電である。当初計画では田沢湖を水源としている約8,800町歩の農地に対する不特定利水と、田沢疏水の水源と して新規開墾農地約2,500町歩への灌漑用水供給も目的としていた。このため当初は高 さ70m、総貯水容量9,400万m3の規模であっ たが、1952年(昭和27年)に下流の玉川頭首工が2メートルかさ上げされたことでそれら農地への用水補給が頭首工単独でも可能になったことからダムに よる灌漑用水供給が不要となり、不特定利水と灌漑目的は外れた。このためダムの規模も現在のもの(堤高56.5m・4,300万m3)へと縮小されてい る。 [wiki (鎧畑ダム)]

秋田県 鎧畑発電所[水力]      
所在地:秋田県仙北市田沢湖田沢
運開;1956(S31).11
ダム水路式/貯水池式
認可最大出力:15,700kW      常時出力: 400kW[2.55%]←常時少なっ
最大使用水量:35.00m3/s[1.09]
有効落差:53.83m
水車:立軸フランシス水車×2台 総出力7130kW
    導水路:総延長1658.5m
    流域面積:320.3km2
    取水:玉川[鎧畑ダム]325.00m
    放水:玉川266.79m

見付田堰堤[水力

~先達川~

東北自然エネルギー(株) 上先達発電所[水力]     
所在地:秋田県仙北市田沢湖生保内駒ヶ岳
運開:1971.1[東星興業(株)]
水路式・流込式
    認可最大出力:5,200kW  常時出力:1,100kW[21.1%]
    最大使用水量:4.60m3/s[1.05]
    有効落差:135.80m
    水車:横軸フランシス水車 出力5600kW×1台
    導水路:総延長3760.0m
    流域面積:43.8km2
    取水:湯ノ沢→先達川、石黒沢、赤倉沢567.30m
    放水:先達川425.32m


東北電力(株) 先達発電所[水力]    
所在地:秋田県仙北市田沢湖田沢
運開:1948(S23).12[日本発送電(株)]
水路式・流込式
    認可最大出力:5,300kW  常時出力:1,570kW
    最大使用水量:4.20m3/s
    有効落差:150.00m
    水車:横軸フランシス水車 出力5460kW×1台
    導水路:総延長5112.5m
    流域面積:60.4km2
    取水:小先達川、岩井川、先達川、大黒沢、小黒沢、馬形沢、他425.2m
    放水:先 達川267.81m



先達川田沢湖導水??
??堰堤[場 所
目的:田沢湖に導水された玉川の酸性水の中和・発電
運開:1943[pdf
水量:5.6m3/s[pdf



~田沢湖~

秋田県 田沢湖発電所[水力]     
所在地:秋田県仙北市田沢湖田沢
運開:1958(S33).12
ダム式・流込式←ダム式なのに流込式とのこと。。
認可最大出力:7,300kW    常時出力:1,300kW[17.8%]
最大使用水量:35.00m3/s[1.05]
    有効落差:25.05m
    水車:立軸カプラン水車 出力5730kW×1台
    導水路:総延長1525.2m(見付田堰堤→発電所)
    流域面積:333.4平方キロメートル
    取水:小保内発電所導水路(玉川[見付田堰堤])265.50m
    放水:田沢湖246.00m

先達川導水放水口
取水:先達川[先達発電所]
放水量:5.6m3/s

生保内発電所取水口
取水:生保内発電所75.00m3/s

田沢湖に流れ込む水量は40.6m3/s,使用水量は最大75m3/s。

~玉川~
生保内というのは田沢湖駅の旧名である。旧田沢湖町の旧名であった。観光目当てで田沢湖なんかに変えよってと思ったけど,今は田沢湖と角館が合併して仙北 市になってしまった。身勝手ながら田沢湖も自治体名として消えるとなるとなんか惜しい気がしてきて,歴史有るであろう郡名ではあるけど仙北よりは田沢湖角 館市とかでよかっ たんちゃうかと思えてくる。大湊田名部市みたいで据わりが悪いのか。

東北電力株式会社 小保内発電所[水力]      
所在地:秋田県仙北市田沢湖生保内[]
運開:1940.1[東北振興電力(株)]
水路式・貯水池式
認可最大出力:31,500kW      常時出力: 8,300kW[26.3%]
    最大使用水量:75.00m3/s[1.68]
    有効落差:49.60m
    水車:立軸フランシス水車×3台 総出力34020kW
    導水路(田沢湖→発電所):総延長2361.0m
    導水路:総延長2626.8m+2199.2m、
    流域面積:446.4km2
    取水:田沢湖(玉川[見付田堰堤]・先達川・[田沢湖発電所]) 249.00m
    放水:玉川[夏瀬ダム] 193.45m

<落差10m>

夏瀬ダム[便覧]       
河川     雄物川水系玉川
目的     P
堤高     40m
流域面積/湛水面積     637.4km2 ( 全て直接流域 ) /86ha
総貯水容量/有効貯水容量     595.9万m3/173.5万m3
ダム事業者     東北電力(株)
着手/竣工     1938/1940

東北電力株式会社 夏瀬発電所[水力]       
所在地:秋田県仙北市田沢湖生保内
運開:1953(S28).1
ダム水路式・調整池式
    認可最大出力:20,000kW←でかい!      常時出力: 2,500kW
    最大使用水量:85.00m3/s
    有効落差:27.67m
    水車:立軸フランシス水車×2台 総出力21600kW
    導水路(堀内沢→夏瀬ダム):総延長1306.3m
    導水路(夏瀬ダム→発電所):総延長337.7m
    流域面積:637.4km2
    取水:玉川[夏瀬ダム]、堀 内沢 183.00m
    放水:玉川[神代ダム] 153.10m


神代ダム[便覧
目的     P / 堤高     26.5m
流域面積/湛水面積     643.6km2 ( 全て直接流域 ) /62ha
総貯水容量/有効貯水容量     510.8万m3/277.7万m3
ダム事業者     東北電力(株)
着手/竣工     1938/1940
取水:玉川[夏瀬発電所Max85m3/s]
送水:神代発電所・神 代右岸取水口[田沢疎水右岸幹線用水路]第 二田沢取水口[第二田沢幹線]

神代右岸取水口     鋼製スライドゲート(B1.4m×H1.4m×1門) 取水量2.047m3/s  
第二田沢取水口     鋼製ローラーゲート(B1.5m×H1.5m×2門) 取水量2.949m3/s


下で見る様に,玉川頭首工迄に潅漑で水が吸い取られてしまうので神代 ダムでの補水 を考える。3.1km程導水路を延ばして3つの沢(谷地の沢・才津川・紫倉沢)から取水出来そう。
とは言え9.3km2位では少ない。神代発電所の稼働率を0.8m3/s~1.0m3/s程の水を補給し稼働率を多少上げるのには役立つかも


抱返頭首工[農 水省
固定堰(堰長47.6m、堰高4.5~7.6m)
 取水量12.090m3/s
EL99.7m
送水:田 沢疎水左岸幹線用水路



東北電力株式会社 神代発電所[水力]     
所在地:秋田県仙北市田沢湖卒田
    所有:日本発送電株式会社[運開]
    昭和15(1940)年12月  :運用開始
ダム水路式/調整池式
    認可最大出力:19,700kW      常時出力: 9,200kW[46.7%]
    最大使用水量:40.00m3/s[0.62]   →抱返頭首 工12.090m3/s神代ダム4.996m3/s を考えると643.6km2で57.086m3/s[0.887]となる。
    有効落差:58.30m
    水車:立軸フランシス水車×2台 総出力23400kW
    導水路:総延長3548.3m
    流域面積:643.6km2
    取水:玉川[神代ダム]152.00m
    放水:玉川85.0m

玉川頭首工[農 水省][秋田県
EL=81.8m程 度
送水:仙北平野幹線用水路
取水量:25.14m3/s 玉川頭首工は,事業地区全体の最大必要水量の80%(25.14m3/s)を取水する施設である。[jstage]


さて流石の玉川も此処らでガンガン取 水されて勢いにも翳りが見え始めるとは云え,未だ40m3/sもある。
直下の井堰でどの位取られるのか不明だが,10m3/s取られるとしても未だ30m3/sはある。→調べてみるとこの立派な玉川頭首工では25.14m3/s も取りやがるようだ(;´Д`)残るは15m3/s位!?これはキツいな。。
7km程山や水田の地下を穿てばEL=54.5mの岩瀬橋の手前に出る。落差24m程は取れそうである。

[私案]角館発電所
出力:5,900kW→3,000kW
水量:30m3/s→15m3/s
落差:24m
導水:7km (0.85→0.425)
取水:玉川
放水:玉川

30m3/sなら形になったんだけど15m3/sと流石にかなり微妙だなあ(口惜しいので2,900kWではなく切り上げ迄したったw)。。もう一寸水源 用意してからかな。。

4kmの導水で才津川とその支流から22km2程取れるが2m3/s弱取れれば御の字であろう。
厳しいかな。。


<角館市街>
(桧木内川合流)

角館を過ぎた辺りで桧木内川と合流する。この上流から水源を取ってきて上の増強を実現する。こ ちら参照

その結果を追加するとこんな感じに:

田沢湖 貯留量:?・集水量:約50m3/s
生保内発電所 31.5MW 75.0m3/s→稼働率向上
夏瀬ダム 貯留量:173.5万m3
夏瀬発電所 20.0MW 85.0m3/s→稼働率向上
神代ダム 貯留量:277.7万m3 取水量:2.047m3/s 田沢疎水右岸幹線・2.949m3/s 第二田沢幹線 追加取水1m3/s
抱返頭首工 取水:12.090m3/s田沢疎水左岸幹線
神代発電所 19.7MW 40m3/s 落差:53.8m→23.7MW[+4.0MW] 49m3/s[+9m3/s]
玉川頭首工 取水量:25.14m3/s仙北平野幹線 残り水量:14.86m3/s→23.86m3/s
角館発電所 なし →出力4,700kW[+4.7MW] ・ 水量23.86m3/s ・ 落差24m ・ 導水7km(0.67)



(雄物川合流)