電力総研 水力あれこれ(紀伊半島)
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とはずがたりな掲示板(利 水スレ電 力スレ)
2020.09.11作成
日高川電源開発(23.3逍遙)

先ず引っ掛かったのは防災対策などではなく釣り絡みであったw
これは清流を破壊しないように気を付けねばならない。

1.地図 2.現状(ダム・発電所一覧) 3.増強案検討


1.地図
日 高川漁協のウェブサイトにあった流域 図はこちら参照。

私は既存設備の上と下にもう一箇所ずつを提唱する者であるけど日高川は典型的に良さそう♪
新設提案を既存設備に混ぜて上流から下流へ一覧に纏めてみる。(マウスオーバーで新設妄想版w→詳細に検討した結果随分違う形にはなった)
    出典:鮎・ 渓流 釣り場データベース(日 高川)
ふ~むこうやって見るともう何カ所か開発したくなるね(笑)
例えば五味付近から分岐する寒川なんか面積持ってる270m付近3箇所ぐらい集水して一気に椿山ダム(堤標高210m)に落とせば有効落差60m程の発電 所が出来そう(水量2m3/sで1,000kWだ。)。源流付近ももう一箇所ぐらい入れられそうだ♪

2.ダム・発電所一覧
この日(逍遙した23.3)は先ずは有田川を攻め,一通り見て満足してしてから残りの時 間 をこちらに全力投入するというプラン。美山大橋付近に取り付いて先ず下流をその後上流を見て行った。頁の記述としては混乱を避ける為に 下流から順に見ていく。
謎が多かった高津尾と甲斐ノ川を先行的に公開しておく。
<(護摩壇山)・柳瀬P・鍋坂D・甲斐ノ川P・(五味 DP=廃)・椿 山(つばやま)D美山P・浅間D・(美山大 橋)・越方P・ 上田原取水堰堤・尾曽谷D・新 高津尾P(高津尾=廃)・船津P・(太平洋)>[地図流域図]


関西電力(株) 船津発電所
運開:1923(T12).7[京阪電鉄(株)]/    平成 5(1993)年9月  :再開発
ダム水路式(ダム式?)・流込式
   認可最大出力:2,500kW  常時出力: 510kW
    認可最大出力(旧発電所):750kW
    最大使用水量:35.00m3/s[69.2]
    有効落差:8.80m
    水車:横軸プロペラ水車 出力2650kW×1台
    水車(旧発電所):開放型横軸二輪単流フランシス水車×1台
    流域面積:506.0平方キロメートル
    取水:日高川[船津取水ダム]41.90m
    放水:日高川32.60m

32mしかなくこの辺迄来るともう新規開発は無理そうである,,
初訪問の日,新高津尾発電所の展示で船津発電所の存在に気付いたが,上流の視察を優先して端折ってしまった。
帰宅後,見て見ると結構近かった。。

高津尾発電所は新旧が入り交じっていて興味津々であった。(マウスオーバーで新施設=紺色・旧施設=水 色・廃止施設=灰色)


[廃止](旧)高津尾発電所[水 力]
運開・廃止 1918.4[和歌山水電(株)]~[関電]
出力;5,800kW
水車:立軸フランシス水車 出力2000kW×3台

現地では綺麗な建屋が並んで残されていて,復習不足の私は高津尾発電所も残したんだっけ?となってた。


この瀟洒な建物の保存を巡って地元と関電が揉めてるようだ。

赤煉瓦の旧高津尾発電所建屋(日高川町)解体へ
2022年09月09日 08時30分00秒 | 記事
紀州新聞 THE KISYU SIMBUN ONLINE
https://blog.goo.ne.jp/ks-press/e/cf639d25b47a9c9df70ad7bd12cb59b3

赤煉瓦造りの旧高津尾水力発電所建屋の南側上部には創業時の和歌山水電の社章も残る

 大正時代から日高川町 高津尾(尾曽地区)のシンボルとして、世紀を跨いで地元民に親しまれている関西電力(株)高津尾水力発電所にある赤煉瓦の旧建屋が、来年度 中にも取り壊されることが地元区と町に伝えられた。同建屋は、1918年に建設され、近代土木では国指定文化財クラスの 貴重な建物だが、104年が経過して老朽化には勝てなかった。地元では建物の一部残存や移設などを望む声が聞かれるが、多額の費用も必要と なる。町議会一般質問でも原孝文議員が町の対応を問う。

 高津尾水力発電所は、きのくに中津荘や日高川ふれあいドームの日高川対岸にある。1918年(大正7年)に、当時和歌山市にあった和歌山水力電気によっ て操業が開始され、山を越えた日高川からトンネルを抜いて導水路を設け、上田原のえん堤から取水された水を 発電所上部の尾曽谷ダムに貯水して発電を開始した。その後、電力会社を変遷して昭和25年から現在の関西電力が事業を受け継ぎ、1999年 (平成11年)には新たなトンネル(導水路)を掘削し、旧発電所建屋に隣接(上流)する形で新高津尾発電所を建設。旧建屋同様に赤煉瓦風の建屋が並んでい る。
 新発電所完成後、旧建屋は2014年まで事務所などに利用され ていたが、築年数が100年を超えて老朽化が著しく、現在は用途がないまま残存してきた。英国から輸入されたという赤煉瓦造りの旧建屋は大正ロマンを 感じさせ、南側上部には、創業時の和歌山水力電力の社章が残るなど国指定文化財クラスの建物だが、耐震化など建物維持には数億円の費用が必要と 考えられる。以前から取り壊しの計画があり、6月初めに地元区長に説明し、区民らにも報告。今月には改めて町にも説明があった。
 取り壊しの方針を知った区関係者は「大正時代からある地元のシンボルで、取り壊されるのは本当に残念。民間会社の所有で、維持には多額の費用も必要だろ うが、貴重な建物の一部だけでも残してもらえないかと願っている。町にも協力をお願いして地元として何か出来ることはないかという気持ち」。関西電力から は「長年地元の皆さんに愛された施設ですが、老朽化がひどく現在は倉庫のような形でしか利用できない状態で取り壊す方針となりました。今後のスケジュール などについては社内で検討しています」と話した。

日高川の関電旧高津尾発電所 取り壊し方針は保留
https://hidakashimpo.co.jp/?p=84926
2022年11月22日 日高新報

 日高川町の久留米啓史町長は21日、大阪市の関西電力本社を訪問し、同社が取り壊しの方針を示している築100年を超える旧高津尾発電所の保存を求める 要望書を提出した。

 旧高津尾発電所の赤れんが建屋は、大正時代から地域のシンボルとして親しまれてきたが、関西電力は、老朽化や耐震性等を考慮し、来年度中に取り壊す方針 を示していた。これを受け、地元高津尾の6区長や県建築士会日高支部、町文化協会から関西電力に対し保存や活用を求める要望書が提出されており、町は自民党の二階俊博元幹事長らに 取り壊しの見直し、保存のための助言や指導を要望していた。

 この日は、久留米町長、小早川幸信副町長、地元地域代表として駒場敏男さんらが同社を訪問。森望社長宛ての要望書を多田隆司常務に提出し、建物の保存活 用を強く求めた。

 多田常務は「当社の調査で南海トラフ地震に耐えられないと判断し、除去する方針としましたが、皆さんに強い要望をいただいたので、今後は当社が一方的なペースで進め るのではなく、関係者の皆さんと相談しながら進めたい」と話し、建物の保存や活用については耐震補強等の課題が残るものの「来年度中に取り 壊すことはありません」と計画を保留にした。



社紋はこれ


新高津尾発電所[水 力]
事業者:関電
運開:1999年7月 (旧・ 高津尾発電所運開:1918年)[運開後71年で大改修]
水路式・流込み式
認可最大出力:14,500kW(旧: 5,800kW)  常時出力:1,620kW
最大使用水量:32.00m3/s
有効落差:51.00m
水車:出力14.850kW×1台
流域面積:457.0km2
取水:日高川[尾曾谷ダム](99.87m)
放水:日 高川(45.38m)
新高津尾建設時に新しく導水路も掘ったけど古い水路も残した様である。


新の建屋。明らかに旧をオマージュしている♪

脇にはお約束の古い水車の展示

看板拡大。ここで始めて船津の存在に気付く(笑)



尾曾谷(おそだに)ダム[水 力][便覧] [地 理院
河川     日高川水系高津尾川
目的/型式     P/アース
堤高/堤頂長/堤体積     26.5m/85.5m/101千m3
流域面積/湛水面積     457km2 ( 全て間接流域 ) /1ha
総貯水容量/有効貯水容量     3.6万m3/3.2万m3
着手/竣工     /1918

A.水圧鉄管


B.余水吐(推定)


C.堤体


D.取水口(制水門?)と側溝…行った時はこの制水門が稼働中で稼働音が谷に響いていた。


E.余水吐…水圧鉄管と見紛うB(しかも位置的には旧高田尾に直結してるように見える)だが違うと推定出来るのはこのEの形状である。青土ダムで見たやつの小さい版 じゃあ無いか!
二枚目は一枚目の軽 トラが停まってる辺りから覗き込んで撮ったもの。


F.貯水池の奥の方,遠景。新しい放水口と古い放水口。



G.放水口(新)…注水しているようだった


H.放水口(旧)…現地では横(画面右手)の側溝は渇水時(調整池の水位低下時)に水位を保ったまま取水口迄導水する為のものだなと納得したんだけど,あ んまそんな感じがしない。。。

昔は此処になんかあって堰止めて側溝に流すようにしてたんじゃ無いかと思うんだけど。


I.奥から堰堤側を望む。半ば水没したコンクリート製の何かが,廃止され撤去された設備の存在を示唆する。


J.堤体から発電所全景


旧導水路…基本,蓋がされていた。


上田原は堰堤のある場所の地名であって現地でも堰堤名は判らなかった(土手の上から写真を撮っただ けであんま近づかなかった。。)有田方面から美山 大橋の所に出て来た我々は先ずは下流をささっと片付けて上流の椿山ダムを含む区間に時間を取ろうと思ったのである。
有田は明恵だったが,日高は井 原西鶴であった。歴史の蓄積で紀伊国,侮れんな~♪(因みに最下流は御坊市だが日高川町の下流部には安珍・清姫で有名な道成寺もある♪)
井原西鶴は勿論,元禄文化の代表者の一人であるが大阪で活躍したらしいが,wikiで 確認して見たがどうやってこの紀伊国中津村から大坂へ出たのかは特に書いてなかった。当時から大坂(大都市)へ出るのは特段変わった事では無かったという 感じであろうか?まあ幼少期は余りはっきりとはしてないらしい。記念館は一寸上流側の三十木(みそきという聚落にあった。そして上田原堰堤から旧導水路を見て発電所,更に尾曽谷ダムへ向かった。

上田原堰堤(仮称)

堰堤。金罔越し。。


取水口部


魚道


新取水口


旧取水口…設備そのものは更新されていて建設当初の物では無いらしい

      




越方発電所[水 力]・[い さぼうネット]・[公 文書館
事業者:関電
運開:1907年8月[和歌山水力電気(株)・県最古] (1953水害で大破。 設備改修1956.12[運開後49年])
ダム水路式・調整池式
認可最大出力:5,240kW  常時出力: 1,800kW (公 文書だと 発電力 最大:5,240kW 常時:850kW 尖頭常時:4,180kW となっている)
最大使用水量:22.80m3/s (公 文書だと 最大使用水量:22.8m3/s 常時使用水量:4.52m3/s 尖頭常時水量:18.4m3/s となっている)
有効落差:27.13m
水車:出力5,600kW×1台
流域面積:429.0km2
取水:日高川[浅間ダム](144.50m)
放水:日 高川(115.60m)

公 文書館で偶々請求した文書に工事実施変更説明書なる資料が付いていた。1956(S31).9.10付けだから1953年の災害で大破して設備改 修も後半,運開の僅か3ヶ月前の文書みたいだけど急な変更でもあったのか?あんま中は詳しく見なかった。。
22.7

姉子測水所(流域面積439km2)

豊水量
平水量
低水量
渇水量
1924(T13)
21.00
11.10
7.04
4.43
1925
23.30
11.90
7.10
4.31
1926
19.80
12.30
8.35
3.98
1927(S2)
22.30
12.60
7.74
4.79
1928
28.70
17.90
12.00
6.85
1929
27.50
15.00?
9.58
3.30
1930
19.30
10.90
7.35
4.64
1931
28.40
15.20
9.20
5.29
1932






















































(単位:m3/s)



この辺だともっと沢山水使えそうな感じだけどこんなもんなんだな。。
勿論,この文書の後に大椿山ダムが竣工して流量は大いに安定化している筈である。また寧ろ椿山大ダム竣工以前のデータで漫然と発電しとるということにもな る。


有田方面から最 初に日高川流域に取り付いたのが美山大橋であった。ここから上流に向かうと椿山ダムがあり,その 途中に浅間ダムがある。下流に向かうと高津尾発電所(先ずは下田原の堰堤)があって,その途中に越方発電所がある。そして浅間ダムは越方発電所に水を送って いるという関係である。また方角的に浅間と越方はほぼ同方向。川が激しく弯曲している故,背中合わせで落差が取れるのである。

浅間(あさま)ダム[sakura(リ ンク切れ)]
設置者:関電
取水堰
有効貯水量:200,000m3(20万立米)
取水量:22.8m3/S

椿山,つばやまでああった。。ダムと下に美山発電所が見える。

副ダム?逆調整池?減勢工?まあダム放流水の勢いダム直下で削ぐ施設である。なかなかデカい。あんなとこに澱む水にはなりたくないなあと思う。


美山発電所[水力
事業者:和歌山県企業局[運開時]→関西電力株式会社[2005年移管]
運開:1988.4
ダム式・調整池式
認可最大出力:114,000kW  常時出力: 2,000kW
最大使用水量:30.00m3/s
有効落差:46.00m
水車:2台 総出力12,360kW
流域面積:396.5km2
取水:日高川[椿山ダム](206.50m)
放水:日高川(159.00m)

椿山ダム[和歌 山県][便 覧][水力
最大放流量400m3/s 通常時60m3/s位か
総貯水容量:49,000,000立方メートル
有効貯水容量:39,500,000立方メートル
  治水容量:35,500,000立方メートル(有効貯水容量の内)
  不特定容量: 4,000,000立方メートル(有効貯水容量の内)
流域面積:396.5 平方キロメートル
湛水面積: 2.68平方キロメートル
堤頂標高:210.50m
給水:美山発電所30m3/s
堤高/堤頂長/堤体積     56.5m/236m/265千m3
流域面積/湛水面積     396.5km2 ( 全て直接流域 ) /268ha
総貯水容量/有効貯水容量     49000千m3/39500千m3
ダム事業者     和歌山県
着手/竣工     1966/1988



五味発電所 (跡)[水 力]
導 水路跡のトンネル?
現地では塞がれてるようだった。

五味発電所取水堰堤 (跡)[水 力]




甲斐ノ川発電所[水 力]
事業者:関電
運開:1925年 設備改修:1995年(運開後70年)
水路式・流込式
認可最大出力:1,190kW  常時出力:430kW
最大使用水量:8.35m3/s
有効落差:18.64m(事業者様データ)・18.22m(水力発電所データベース)
水車:出力1,250kW×1台
流域面積:243.0km2
取水:日 高川(237.00m)
放水:日高川(217.15m) 

地 形図見てもよおわからん。。と云う感想だったかが理解した。

放水口

放水口に注ぎ込むどぶ川みたいな玉谷川?

玉谷橋から見下ろす旧玉谷橋。その向こう側が放水口。この旧玉谷橋恐らく甲斐ノ川トンネルが開通する前のR424(R425重複区間)の旧道。
レベル差が付いてるのは甲斐ノ川トンネルで抜ける前に玉谷を橋で渡る為に高度を稼ぎに来ている為。

玉谷橋から上流を眺める

発電所正面。正面の山腹のガードレールの脇に下で出てくる余水吐が通っている。

道路は地図と違って実際はバイパスとの間に高低差があって繋がってない。

余水吐水門(上の写真は表?が,これは裏からの図)

取水設備


利水標…現地を把握しないで先ず此処に到達したのでえっ,ここってこんなに水量少なかったっけとしばし混 乱する。


調整池。山の中の溜め池みたいな風情。寧ろ上部水槽的な位置づけのようだ。


鍋坂堰堤…夕闇の中に現れた。この日(23.3)はこれで終わりと思い込んでた(柳瀬Pの存在に失念していた。船津も現地で気付いたが近いのを知らずに上 流を優先して切った。頭と尻尾は呉れてやれ,であるw)ので一寸感慨深い。

導水路…現代のBPと同じく正面の山をトンネルでぶち抜いて行く。

横から見た水門。

そして背面。堰堤とか水門は本来,水を押し止めて貯めるのが仕事だからこちらが正面なのかな??

発電所敷地正面。鍋坂ダム管理所とあり,鍋坂ダムという名前の施設であることが判る。鍋坂はこの辺の地名。

そして利水標!

鍋坂堰堤利水標…この日は立ち上がりから充電器が壊れるアクシデントに見舞 われ,有田川流域から既にデジカメからタブレットに移行してたが,ここは最後の 力を振り絞ってデジカメの望遠の登場と相成った♪(その割にはピンぼけしてるけどw)
と,小坂堰堤(引下堰堤)の利水標に引き続きまたしても出た集水用取 水口!

併し数値の整合性から鍋坂で7,51m3/s,玉谷で0.84m3/s取ると云うことで良いだろう。あちら(引下堰堤)サブの取水口だったが,こちらはメインの取水口のようだ。
成果に満足して帰途に就いたのだが,どうやっても再び阪和道に出る方が早いらしい。。ここまで攻め上げてそのまま龍神の方から帰ってくるのがお洒落に思っ てたんだけど,そうも行かぬらしい。龍神高野スカイラインは冬季通行止めの可能性もある。。
とのことで延々と川を下り,今度は行きに忌避した有田ICから阪和道に乗って帰ってくることになった。

柳瀬発電所[水 力]
事業者:関電
運開:1919年 設備改修:1993年(運開後74年)
水路式・流込式
認可最大出力:2,200kW  常時出力:972kW
最大使用水量:6.96m3/s
有効落差:39.39m
水車:2台・総出力2,300kW
流域面積:230.0km2
取水:日 高川(290.20m)
放水:日 高川(249.22m)






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