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23.8.20独立

阿賀野川支流実川の水力発電

 阿賀野川(中下流) 阿賀野川(中流支流開発)実(さね)川 阿賀野川(上流・大川) 磐 梯周辺 只見川(下流) 只見川(上流) 只見 川(支流)[野尻川] 伊南川 (只見川支流)

鹿瀬ダムと豊実発電所の間で阿賀野川右岸に合流するのが実川である。近年再開発が進んで強化された。

飯豊山の裏手に辺り(何処が表かってことになる(w)けど,利水的には加治川(飯 豊川)荒川で ある。)で多雨地帯のようである。
出 典:阿 賀野川河川事務所

また阿賀野川流域では本項の実川の他,奥川と一ノ戸川が近い。奥川 は発電所が立地しているが一ノ戸川は無垢である。一ノ戸川は喜多方の開発で 取水をして置いた。

【東北自然エネ(株)による再開発事業】[ソース
新下平発電所及び新小荒発電所は、東北電力(株)の下平発電所及び小荒発電所を廃止して再開発した水力発電所です。2つの発電所は、新潟県東蒲原郡阿賀町 豊実に位置し、標高2,100m級の飯豊連峰を源とする一級河川阿賀野川水系実川の豊富な水資源を利用しています。阿賀野川水系実川は、古くから水力開発 が行われ、東北電力(株)が継承、建設しこれまで4つの発電所が開発されてきました。最上流の実川発電所(1992年11月運転開始)、その約70年前に は下平発電所(1926年1月同上)、赤倉発電所(1926年10月同上)及び小荒発電所(1923年4月同上)と、このうち、下平発電所及び小荒発電所 は、運転開始以来70数年に及び設備の老朽化が進んだこと、また河川利用率も約58%程度と低い状 況にあることから、1997年2月、既設設備の延命化(とは註:単なる既存施設の延命化工事のことか)と再開発(とは註:全面建て直しとい うことか)との経済比較を行った結果、中小水力開発費補助金制度の活用に よりコストダウンを図り、再 開発によりコストパフォーマンスの高い発電が可能との判断を基に(東北自然エネルギー(株)が)東北電力(株)から地点譲渡を受け建設に着 手しました。1999年6 月、阿賀町に新下平・新小荒発電所建設事務所を設置、同年8月30日、両発電所の工事に着工し ました。その後、順調に工事は進み、新下平発電所は予定より1カ月早い 2002年6月に運転を開始新小荒発電所も予定より6か月早く 2003年1月に発電を開始しました。

沿川風景を最上流から見て行く。

~実川~

最上流にあるのは 下流の下平・小荒発電所の更新に先立つ1990年代初頭に開発された東北電力(株)実川発電所。未だ東北電力の所有で災害復旧工事がなさえれてたらしい[東開工業
落差はそれ程大きくないが水量は可成り厚めに取ってある。早木戸[電83・1.25・ 325.6m]・烏川第三[部85・ 1.23・485.35m]・中 島第二[陸86・ 1.94・214.82m]・伊奈川第二[関86・1.67・399.48m]・北又渡[部91・1.33・ 256.0m]・二軒小屋[部95・1.50・ 283.6m]・赤石沢[部95・1.56・ 323.8m]・平谷[部96・ 1.26・113.5m]・荒谷[関98・2.79・ 273m]なん かと共通する様だ。

実川取水堰[DB
(主要取水設備) 高さ     (m)       12.00
(主要取水設備) 堤頂長     (m)       22.20

実川発電所[東北電] [DB
場所:新 潟県東蒲原郡阿賀町
運開:1992.11
出力:8,200kW 常時水量:950kW  
水量:6.0m3/s[1.79]
落差:165m
流域:34.5km2
水車:横軸フランシス 8500kW×1台
導水:無圧トンネル 3,954.9m
取水:実川(→実川のアシ沢出合付近のこれ[空 撮地 理院]であろう)、オウデ川(→これ[地 理院川の名前] である)、壺安川(→こ の辺にあるようだ) 3箇所 574m
放水:実川[新下平PS(嘗ては下平PS= 廃止)]400.0m

水力さんが未だ辿り着いて無く?資料がないので途端に謎に包まれている発電所。
国土地理院の地図にも水圧鉄管は描かれてるものの,水路は書かれて無く推定を強いられる。
堰があるのでそれっぽいが高さが足りない(地図では567m)。ただ堰の前後で標高が殆ど変わってないので堰の設置工事して高くなってるのを地理院が見逃 しているのかも。実際ズレていることはある。

【実川PS増強】
さて,流域が狭いので稼働率もそれ程高く無さそう(常時は其処迄極端に低くも無いが。。)
裏川方面からも取水を検討してみる。


[増強私案]実川発電所
出力:11,000kW[+2.8MW]
水量:8.0m3/s[+2.0m3/s][1.50]
落差:165m
流域:34.5km2+18.9km2=53.4km2
水車:横軸フランシス 8500kW×1台+3000kW×1台
導水:無圧トンネル 3,954.9m+4,000m程
取水:実川(地 理院)、オウデ川(地 理院)、壺安川(こ の辺)・オ コナイ沢矢 沢裏 川 3箇所 574m
放水:実川[新下平PS]400.0m

実川の出力を2.8MWしか増強出来ていないけど新下平の設備稼働率を増加出来る。

実は後で,実川の奥地開発を試みる。その際に裏川の取水がかち合う事になる。
更に実川の取水は赤倉PSに残された唯一の水源である。
どれを優先するか検討の結果



嘗て実川に直結していた下平は廃止されて下の方に降りて有効落差を増やしたようだ。

下平発電所(=廃止)[水 力]
東北電力(株)
運開:1926.1[新潟水力] 廃止: 1999頃か
出力:(3,830kW)
水量:3.34m3/s
落差:153.42m
取水:実川[実川PS]399.50m?
放水:実川[赤倉PS] 242.17m?(赤倉の再開発前の有効落差より)

赤倉発電所[水力
東北電力(株)
運開:1926.10[新潟水力電気?]
水路式・流込式
認可最大出力:920kW(←2,510kW・ 再開発前) 常時出力:670kW
最大使用水量:1.67m3/s(←5.01m3/s・ 再開発前)
有効落差:68.30m(←67.22m・ 再開発前)
水車:出力960kW×1台
導水路:総延長2439.0m
流域面積:41.0km2
取水:裏川243.25(実川[下平発電 所]242.17m?←再開発で取水廃止)
放水:実川[小荒ダム]171.02m

次ぎに更新時期が来たら取水位上げて新小平に統合?
それにしても降雨地帯なのに41.0km2に対して1.67m3/sしか取水してないのは物足りぬ。新下平は44.0km2に対して9.5m3/sも取水 している。
こちらも同 じ比率で8.85m3/s程度取れば一気に4,800kW[+3.88MW]程行けるのに,,
再開発時に920kWにした赤倉だそうだけど発電機も撤去ではなく取り替えたのか?となると次の更新は相当あとだけど,4MW弱も放置は勿体ないなあ。。
水 力さ んの現地レポきままさん のスライドから判断すると,水圧鉄管は1本で撤去した様子もないから前は5.01m3/s流して1台の発電機で発電してたのではなかろうか?とな ると発電機新しくしちゃったか。。
水量不足はまあ施設の問題だろうから960kWの発電機の他所での使い途が見つかれば本発電所も東北自エネに譲渡して水量増強したい。やはり取水量増強と 併せて取水場所を上流に持って行って新下平に併設する形で増強すればええんちゃうか。


新下平発電所[水 力
東北自然エネルギー(株)
運開:2002.6[東星興業(株)]
水路式・流込式
認可最大出力:17,700kW 常時出力:1,900kW[10.7%]
最大使用水量:9.50m3/s[2.16]←水量が凄い!
有効落差:221.50m
水車:出力18000kW×1台
導水路:総延長4966.1m
流域面積:44.0km2
取水:実川[実川発電所]399.50m
放水:実川[新小荒ダム(新小荒発電所)]165.85m

元々1926新潟電力運開の小平発電所(3.83MW・3.34m3/s・153.42m)を更新した際に強化した発電所。
所有も東北電力から子会社の東星興業に変わった(その後の東星社の合併を経て現在の東北自然エネ社に。)
小平発電所は赤倉発電所にも放水していたが更新に伴って廃止された。有効落差が153.42m→221.50mに大幅に(70m弱)伸ばされたが,上流の 実川発電所より高くする訳にも行かず赤倉発電所の取水口243.25mどころか赤倉発電所の放水レベル171.02mをもすっ飛ばして70m程下の小荒ダ ム・新小荒発電所取水位の165.85mに流し込むことにして距離を稼いだ様である。

分厚い水量は当地が多雨地帯で,降った雨をなるべく利用して沢山発電しようという形である。

(裏 川合流)171m

新小荒ダム(再)[便 覧←小荒ダム(元)[便覧水力
河川     阿賀野川水系実川
目的/型式     P/重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積     19.2m/24.2m/5千m3 ← 23m/27.9m/6千m3
流域面積/湛水面積     100.1km2 ( 全て直接流域 )←109km2 ( 全て直接流域 ) /-- ha ←18ha
ダム事業者     東星興業(株)
着手/竣工     1998/2003←着手/竣工     /1923
取水位:166.0m?

小荒ダムってこ の水溜まりみたいなの!?

小荒発電所(=廃止」)[水力
東北電力(株)
運開: 1923.4新潟水力
出力:(3,700kW)
水量:7.79m3/s
落差:65.75m
取水:実川[小荒ダム]・八ツ 目沢?約170m?(小荒ダムの堤高より)
放水:実川100m?(有効落 差より)

<嘗ての残余25m>

新小荒発電所[水力
東北自然エネルギー(株)
運開:2003.1[東星興業(株)]
水路式・流込式
認可最大出力:11,000kW 常時出力:1,200kW
最大使用水量:17.00m3/s
有効落差:77.10m
水車:出力11600kW×1台
導水路:総延長4493.8m
流域:100.1km2
取水:実川[小荒ダム]、新下平発電所166.0m
放水:実川[鹿瀬ダム]82.3m

此処も元々1923運開の小荒発電所(3.7MW・7.79m3/s・65.74m)を更新した際に強化した物。
所有も東北電力から子会社の東星興業に変わった(その後の合併を経て現在の東北自然エネ社に)
流域面積100km2に対して17m3/sの取水量は可成り優秀。
新しめの発電所にはしばしばある強気の取水量ってやつ?
設備に対してせっちそのものの固定費用の方が高くなってどうせならと余裕を持たせてる感じ。


【再々開発篇】

さてもう一歩再開発・新規開発を進めてみる。

[私案]奥実川発電所
出力:12,000kW[+12.0MW]
落差:235m
水量:6.0m3/s[1.7]
流域:35.3km2(実川流域:19.8km2・裏川流域;13.5km2)
導水路:実川導水路4.8km・裏川導水路6.1km(アシ沢分岐)
取水;裏川導水路[烏 帽子沢裏 川支流裏 川裏 川支流矢 沢・実川導水路[下 追流沢実 川(牛ヶ首沢出合)入 り鳥ノ小沢ア シ沢]815m
放水:実川[実川発電所]574m


なかなか立派なのが出来た♪


奥実川発電所(案)の放流水のうち,裏川取水分は新規水源である。その分実川発電所と新小平の最大使用水量を上げる事が出来る。小さめの発電機の増加が必 要となってしまう。投資効率が見合うかな?
特に新小平は既に十二分に厚めの水量を確保しているので増強は不要な感じ。過剰投資になってしまいそう。こちらは保留で。
また実川の方も導水路まで追加で拡張となるとこれまた過剰投資の危険な匂いが。

[増強私案]実川発電所
出力:13,200kW[+5.0MW]
水量:9.6m3/s[+3.6m3/s][2.0]← 新下平並の流域面積当たりの利用水量に引き上げ
落差:165m
流域:34.5km2+13.5km2=48.0km2
水車:横軸フランシス 8500kW×1台+ 5500kW×1台
導水:無圧トンネル 3,954.9m
取水:実川[奥実川発電所(案)]・オウデ゙川・壺安川 3箇所 574m
放水:実川[新下平PS]400.0m

[増強私案]新下平発電所
認可最大出力:20,500kW[+2.8MW]
最大使用水量:11.00m3/s[+1.5m3/s][2.3]
有効落差:221.50m
水車:出力18000kW×1台+ 3000kW×1台
導水路:総延長4966.1m
流域面積:44.0km2+13.5km2=57.5km2
取水:実川[実川発電所]399.50m
放水:実川[新小荒ダム(新小荒発電所)]165.85m

新小荒発電所では元々裏川の水を使ってるので変更は必要なし。   

過剰投資と言い出したらこの我がのコンテンツそのものへの全否定になりそうだ(苦笑)けど,投資効率を考えるなら奥実川発電所構想は取水 域を実川流域に抑えて(流域面積が20km2程になって水量は高めでも4.0m3/s・その場合の出力は8,000kWに減少する),裏川流域の水は実川発電所で始めて利用す る形でもいいかも。
まあ多雨地帯って事で強気に行けばいいだらう。奥裏川の水量等寧ろ少なすぎる位かも。広域から取水するので時間差で降雨があって取水量が平準化されたりを 一応考えて居る。