電 力総研 水 力あれこれ(東 北) 最上川[最 上・庄内篇村山篇置賜篇
鳥 海山 月 山・湯殿山 朝 日岳・朝日連峰 飯 豊山
子吉 川 奈曽川月光川日向川 鮭川 立谷沢川角川銅山川
梵 字川 寒河江川 大 鳥川
古寺川朝日川野川 三面 川 荒 川 加治 川
実 川
白川
と はずがたりな掲示板(利 水スレ電 力スレ)
21.6.15完成

最上川の水力発電(最上・庄内篇)

山形県は置賜・村山・最上・庄内に分けられるが,その殆どの領域が最上川の流域である。(最上川は酒田で海に流れ込むが鶴岡は赤川,遊佐は二級河川の月光 川・日向川,西置賜は荒川の水域である。)

先ずは雨量図。これがないと始まらない。。水源は鳥海山[→鮭川],月 山[→立会沢川銅山川寒河江川],朝日岳[→寒河江川・朝日川・置賜野川],飯豊 山[→白川]である。

出典:国 交省東北地方整備局


沿川風景は最上・庄内を先ずは対象として纏める。


(酒田市街・河口EL=0m)
[酒田市街]


(立谷沢川合流・EL=17.8m)
出典:農 村土木学会

~立谷沢川(たちやざわ がわ)~[砂 防管内図]    
流域面積:163.8km2
月山麓の雨量豊富な地域を流れる。

床止工[農 村土木学会
巾280m・落差2m・施工開始1983・竣工:1989頃

北楯大堰[場 所

東北電力(株) 立谷沢川第二発電所[水 力
山形県東田川郡庄内町肝煎
運開:1942.2[不明]
水路式・流込式
    認可最大出力:11000kW      常時出力: 2300kW
    最大使用水量:12.85m3/s
    有効落差:105.10m
    水車:立軸フランシス水車×2台 総出力11400kW
    導水路:総延長6757.5m
    流域面積:116.2平方キロメートル
    取水:立谷沢川、水沢、前の川、立谷沢川第一発電所、他201.79m
    放水:立谷沢川88.77m

東北電力(株) 立谷沢川第一発電所[水 力
所在地:山形県東田川郡庄内町立谷沢
運開:1939.2[不明]
水路式・流込式
認可最大出力:12,400kW      常時出力: 2,500kW[20.16%]
最大使用水量:8.35m3/s[1.20]
    有効落差:183.50m
    水車:立軸フランシス水車×3台 総出力13200kW
    導水路:総延長5837.7m
    流域面積:69.7km2
    取水:立谷沢川397.59m
    放水:立谷沢川第二発電所、立谷沢川201.79m

本沢・赤沢川合流(EL=404m)

立谷沢川第1ダム(第一堰堤)[便覧
左岸所在     山形県東田川郡庄内町肝煎
河川     最上川水系立谷沢川
目的/型式     P/重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積     24m/58.5m/9千m3
流域面積/湛水面積     69.7km2 ( 全て直接流域 ) /2ha
総貯水容量/有効貯水容量     9.3万m3/9.3万m3
ダム事業者     東北電力(株)
着手/竣工     /1938

>東北電力第一堰堤(月ノ沢発電所前[とはずがたり註:流域69.7km2])における54年3月28日~8月31日間の 流量は1,600万トンで,これか ら本沢流域の相当降水量を求めると,約2億トンで,流域平均降水量は2,900mmとなる.なお,この期間の実際の流域平均降水量は800mm程度で,残 りの2,100mmは月山の融雪水であることがわかる.『地 理学評論1956

[廃止] 東北電力(株)月ヶ沢発電所こ れ]『地 理学評論1956』『電 力土木2009 >>tw  
運開:?  廃止:2008年6月
出力:3,000kW
水量:1m3/s程度?
落差:350m程度?
流域:7.4km2程度?
放水:立谷沢川[立谷沢川第1ダム]401.5m
取水:に ごり沢743.8m

1956年(昭和31年)の『地理学評論』より
>月山の東側を北流し,東北電力月ノ沢発電所付近で,濁沢および赤沢の2支流を合せる.
記述はばっちりだ。標高差は340m程あってこの論文によると年間降水量も2900mmと可成り多めで水量も期待出来そうで復活させたい。

が,まあうすうす災害絡みで廃止されたんだろうと予想はついてたけど理由も判明。
2009年の『電力土木』より
>月の沢発電所(最大出力3,000kW)は,運転開始当初から地すべりに起因する導水路変状が継続的に生じており,…保安確保の観点から発電所存 続は限界との判断をし,平成20年6月に発電所を廃止することとした。

大所川第三白川谷と同 じ地滑りのおそれで廃止とのこと。無念なり。
地滑り地帯を避ける形で導水管を建設,発電所も地下乃至半地下で再建出来無いだろうか?

(源流・月山)

最上川中流堰(さみだれ大堰)[場 所][農 村土木学会
ゴム引布製起伏堰 堤高2.7m
取水量合計:27.562m3/s
草薙頭首工(取水量: 13.652m3/s, 潅漑面積約 7,100ha・右岸) 国営潅漑排水事業1969年事業完了
最上川頭首工(取水量:13.910m/s, 潅漑面積約. 6,800 ha・左岸) 県営潅漑排水事業1962年取入口完成

 


出典:農 村土木学会

嘗て自然取入式で河床低下に悩んでいたようだ。砂利を川に敷設する涙ぐましい努力で取水していた様だ。

出典:農 村土木学会

直上の測水所のある高屋付近での維持流量は60m3/s程だそうで,上グラフを見れば最大500m3/s程で,100~300m3/s程が通常の様であ る。

吉田堰取水口(EL=21.4m)[場 所

最上川下流右岸疎水取水口(EL=21.4)[場 所


角川(つのかわ)分岐(EL=30m・ 古口駅付近)    
~角川~

水源42.7km2・EL.240mあり。
導水:長倉川~冷水沢で10.5km。角川の中沢川出合で発電(橙線)。一寸導水距離がし んどいかな??規模的にはまあまあ。

下流の発電所が規模が小さくなってしまうので中継標高を55mから79m(角川・沢内川合流位)に変更(赤線)

[私案]角川発電所
出力:9,200kW[+9.2MW]
水量:6.5m3/s
落差:166m
導水:本導水路4.4km・支水路10.5km 合計14.9km
取水;長 倉川(砂防堰堤?)長 倉川西俣(仮称)角 川南俣(仮称)角 川(砂防堰堤?)鹿 ノ沢川中 沢川三 ツ沢川冷 水沢255m
放水:中 沢川[戸沢発電所]79m



[私案]戸沢発電所
出力:6,100kW[+6.1MW]
水量:15m3/s[1.28]
落差:48m
導水:8.6km
流域:116.5直接:91.8km2 間接:33.6km2(三ツ沢川・冷水沢)・▲8.9km(取水位を55m(上図赤範囲・橙線)から79m(赤線)に上げる事による面積減少分[茶斜線部])
取水:角 川(沢内川)鹿 ノ沢川中 沢川[角川発電所]芦 名沢三 ツ沢川79m
放水:最 上川(高屋)23m




鮭川分岐(EL=33m・戸沢村津谷地先)[場 所
最上北部を流域に持つ大きい鮭川の分岐である。新庄の直ぐ西側の戸沢村。月山と鳥海山に挟まれた狭窄部を抜 けて新庄近郊迄来たというのに未だ標高が30mそこそこというのに驚きである。閘門付きのダム幾つか建設したら内航海運とか開発できるん ちゃうか,これ!?

~鮭川~       
鳥海山に降る雨で地域の降水量は豊富な様子である。鳥海山の向こう側は子吉 川となる。


~真室川~
wiki (高坂ダム)に拠ると
>(高坂)ダムは完成後鮭川の治水に大きく貢献しており、特に1975年(昭和50年)8月に県北部を襲った集中豪雨では高坂ダムの洪水調節によっ て鮭川本川については水害の被害を免れた。だが左支川である真室川を中心に大きな 被害を生じており、ダムでカバーできない部分の治水整備が今後の課題と なっている。
とある。雨量図には鳥海山を頂点に2,500mmの等雨量線に覆われる地域に最上流では大沢川となる鮭川と並ん で真室川が流れている。
こちらにもダムの建設が必要であろう。

こ の辺(EL.93mの狭窄部)に満水位LE.130mでダムを造ってみると湛水面積165haのデカいヤツが出来そう♪


~金山川~

山形県企業局 神室発電所[JW] [aic][山 形県
ダム式
出力:420kW 常時:220kW
年間発電電力量:約2,900MWh見込(設備稼働率:78.8%見込)
最大使用水量     1.4m3/s→22.5km2で2000~2500mmではまあこんなものか。
有効落差     38.3m
位置 金山町有屋地内(神室ダム)
水車 横軸フランシス水車 454kW 750min-1 1台
発電機 3φ誘導発電機 50Hz 750kVA 1台
総事業費(百万円) 769
運転開始年月日 2017(H29)年10月28日


神室(かむろ)ダム(旧名:金山ダム)[便覧][山 形県]   
河川     最上川水系金山川
目的     FNW
堤高     60.6m
流域面積/湛水面積     22.5km2 ( 全て直接流域 ) /40ha
総貯水容量/有効貯水容量     740.0万m3/580.0万m3
有効内 洪水調整量/利水容量 230.0万m3/350.0万m3
設計洪水位:391.80m/サーチャージ水位:390.6m/常時満水位:383.8m/最低水位:368.1m
ダム事業者     山形県
着手/竣工     1977/1993

新庄市・金山町・真室川町の上水道用水 22,500m3/日


~上台川・泉田川・土内川~

枡沢ダム[便覧
河川     最上川水系泉田川
目的/型式     A/重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積     65.8m/194.8m/156千m3
流域面積/湛水面積     29.8km2 ( 直接:3.8km2 間接:26km2 ) /45ha
総貯水容量/有効貯水容量     680.5万m3/675.1万m3
ダム事業者     東北農政局
着手/竣工     /1963

泉田川(土内川)[第一頭首工・枡形ダム取水堰][場 所(EL.304m)]

同[第二頭首工][場 所(EL.268m)]
出典:山形土改連



~大沢川~

山形県企業局 大沢川発電所[wiki] [山 形県][DB
当初運転開始年月:  1967.01
ダム式調整池式
認可出力:5,000 kW 常時:1,000kW[20%] 常時尖頭:2,900kW
使用水量:12.00m3/s[1.76] 常時:4.08m3/s 常時尖頭:10.03m3/s
落差 最大:50.10m 常時:43.70m 常時尖頭:34.40m
年間可能発電電力量:22,429MWh
水車:立軸フランシス5,200kW×1台
取水:大沢川[高坂ダム]196.00m
放水:大沢川 144.50m

>大沢川発電所は、当初ダム水路式発電方式の計画でありました が、河川勾配が緩く、調圧水槽計画付近の地質が悪いことなどから、県営発電所で初めて のダム式発電所として完成、昭和42年1月より発電を開始しました。
とのこと。

常時尖頭とは一年間のうち355日間以上で毎日、少なくとも4時間は発生することができる[wiki] と いう基準らしい。

高坂(たかさか)ダム[山 形県][場 所][便覧] [山 形県][wiki
河川     最上川水系鮭川
目的     FP
堤高/堤頂長/堤体積     57m/118.7m/68千m3
流域面積/湛水面積     68.2km2 ( 全て直接流域 ) /110ha
総貯水容量/有効貯水容量     19050千m3/12750千m3
常時満水位:196.00m
制限水位: 6/21~8/20 185.00m 8/21~9/30 187.00m
ダム事業者     山形県
着手/竣工     1962/1967 施工:1963~1966

(源流:鳥海山・山の北側の向こうは子吉川,西側の向こうは月光川日 向川である)

先ずは大沢川発電所の放流水を使って水路式発電所を構想する。調圧水槽の位置は変更すれば良い。と思って調べて見たけどなかなか厳しい。やはり勾配が緩い 様だ。。

更にその東側の真室川流域で発電

~真室川~

釜淵駅レベルEL.117mで取水した図


[私案]真室川発電所
出力:7,200kW[+7.2MW]
水量:17m3/s[1.03]
落差:50m
導水:6.8km+1.0km(小又川導水路)
流域:155.1km2
取水:小 又川[堰堤]真 室川(釜淵)[堰堤(及位発電所)]・三 滝130m
放水:鮭 川72m



[私案]及位発電所
出力:5,600kW[+5.6MW]
水量:7.0m3/s[1.21]
落差:95m
流域:57.7km2(+15.4km2)
導水:主8.7km(サイフォンor水道橋:大 滝足 沢八 敷代川)(+小又川4.4km)
取水:真 室川(及位)大 荒沢小 荒沢234m
放水:真 室川(釜淵)[堰堤(真室川発電所(案))]130m

この奥に神室ダム的(流域22.5km・V=580.0万m3)なダムがあっても良い。




~銅山川(鳥川)~      
>月山を始めとする出羽山地から湧き出る豊富な水量で知られ、いわゆる暴れ川であ る。流域は日本でも最も積雪量の多い地域の一つであり、積雪4mを越える肘折温泉は…豪雪地帯としてニュースに良く登場する。[wiki]
柳渕はデカいがその他は肘折が あるのみで物足りない。肘折の取水位で360m・流域71.0km2である。もう一回ぐらい上で発電出来そうである。

88.6m

東北電力(株) 柳渕発電所[水 力]    
所在地:山形県最上郡大蔵村南山
    昭和52(1977)年11月:運用開始
水路式・流込式
    認可最大出力:12000kW      常時出力: 1650kW
    最大使用水量:14.00立方メートル毎秒
    有効落差:104.10m
    水車:立軸フランシス水車 出力12600kW×1台
    導水路:総延長1106.5m
    流域面積:119.3平方キロメートル
    取水:銅山川、深沢258.00m
    放水:銅山川144.50m

<30m空き有り。。>

山形県企業局 肘折発電所[水 力]    
所在地:山形県最上郡大蔵村南山
  運開:1970.2
水路式・流込式
    認可最大出力:3,300kW     常時出力: 700kW[21.2%]
    最大使用水量:6.00m3/s[0.84]
    有効落差:65.60m
    水車:立軸フランシス水車 出力3500kW×1台
    導水路:総延長1781.0m
    流域面積:71.0平方キロメートル
    取水:銅山川360.00m
    放水:銅山川290.00m




(源流・月山方面)



~最上小国川~

舟形町
出典:小 国川漁協

小国町
出典:小 国川漁協

<沿川風景>

堰(EL=55.3m)

長沢堰堤(EL=88.1m) [→大堰]
県内で唯一アユの遡上を全数目視可能な堰堤だそうな。。[山 形県

遡上鮎の動画!! 2023.6.19③小 国漁協
2023年6月19日 最終更新日時 : 2023年6月26日
6月19日(月)、長沢堰堤の 魚道で大量の鮎が遡上して行くのが確認されました。
ここ2年見ることが出来なかっ た光景です。

堰(EL=116.1m) [→ 三光堰]

<ここ行けそう>

東北電力(株) 瀬見発電所[水力
所在地:山形県最上郡最上町志茂
運開:1912.1[ 所有:新庄町]
  水路式・流込式
認可最大出力:380kW     常時出力:380kW[100%]
最大使用水量:3.34m3/s[0.11]→ちいさ過ぎんだろ。。
    有効落差:14.70m
    水車:横軸フランシス水車 出力413kW×1台
    導水路:総延長2489.3m
    流域面積:300.0km2
    取水:小 国川159.22m
    放水:小 国川(瀬見)140.69m

ここ,大改造したい。

[私案]新瀬見発電所
出力:6,600kW[+6.6MW] (旧瀬見0.38MWは廃止と思ってたけどEL.140m~116mの間で使う水もあるだろうし棲み分けで良さそう。)
水量:20m3/s
落差:39m
流域:300km2
導水:6.3km
取水:小 国川159.22m
放水:小 国川(東長沢)[三光堰]116.8m

この辺は雨量図から2000mm以下なので30km2に対して20m3/sってとこで。雪解け水補正は掛けられ る。

更に長沢堰堤辺り迄落差を使う事も考えたがアユの遡上動画を見ていたらまあ良いかなと云う気になってきた。
新瀬見発電所(案)も十分な河川維持流量を確保してアユの遡上を妨げることの無い様にしたい。

~白川~



[私案]最上白川発電所
出力:5,300kW[+5.3MW]
水量:5.0m3/s
落差:125m
流域:55.22+20.14=75.36km2
導水:11km
取水;東 ノ又沢・白川(白川堰堤)・滝 ノ沢大 横川清 水沢小 荒沢刃 場川戦 沢 EL.290m
放水:小国川158m

一寸導水路辺りの出力が弱いな。。





最上郡舟形町
──・──・──・──・── 最上・村山境界EL.50m
北村山郡大石田町


以下は村山篇・置賜篇=未完で。


此処で豆知識。
>旧村山郡一帯に相当する地域名称であり、日常的な生活圏の名称として定着している。古代の最上郡は、後の最上郡と村山郡の双方を包含していた。 886年(仁和2年)、最上郡は北の村山郡と南の最上郡の南北2郡に分割されたが、両郡の位置関係は現在とは逆である。室町時代初期、山形を本拠地とした 斯波氏の一派が「最上氏」を名乗ったのは、当時の山形が最上郡に属したことによる。江戸時代初期の山形藩最上氏の改易後、最上郡と村山郡とが入れ替えら れ、現在のように南が村山郡、北が最上郡という配置になった。[wiki]
なんと吃驚である。。