電力総研 水力あれこれ(四国) 四電 水発
剣 山
祖谷川名頃
貞光川[現況篇開 発篇穴吹川 那賀川坂州木頭川 物部川上韮生川
とはずがたりな掲示板 ( 利 水スレ電 力スレ )

吉野 川水系貞光(さだみつ)と県道(と林道)(22.2彷徨)
水力発電:吉良発電所土 釜取水堰切 越発電所片川ダム明谷ダム・瀬開谷・桑平谷・開発篇奥 貞光PS[+6.6MW]→吉野川下流部開発
県道・林 道: 255号端山調子野線
258号小谷西端山線
256号上蓮小野線
259号一宇古宮線
304号赤松木地屋線・ 林道大惣線
261号菅 生伊良原線・林道白井線 260号中野木屋平線・林道太合実平線

<貞光川水系>
穴吹川松尾川(発電所)若 しくは川とし ては半田川に挟まれた貞光 川である。吉良発電所切越発電所の2箇所がある。本項は現状のおさ らいと問題点と簡単な拡張を指摘するに止め,本格的な(!?)開発(笑)はこちらでや る。

さて,妄想を逞しくした所で,現地を見たいという気は長年してたけどなかなか地 味な川 で大枚叩いて本四連絡橋を渡って行かねばならない(まあそれよりも代替ルートがなく短調ってのが問題かも。紀淡海峡大橋が欲しくなってゐるw)だけに後回 しになったが,先週の鳥取に 引 き続き今週も連休ということもあって遠征を決行する事にした。

鳥取は恰度大雪に当たり凄い雪だったけどこっちはだいぶ南であるし降水の少ない瀬戸内であるし,チェーンの脱着も習熟してきたということでまあ余裕であろ う。

なお,道路マニアの自分としては最近道路ウオッチは すっ かりご無沙汰とは云え分断県道や行き止まり県道もその興味関心の対象の一つ(例えばこれ) なのではあるけど,ここ貞光川沿いにも香ばしい分断県道行き止まり県道がわんさかある。こんな離れた県の分断県道・行き止まり県道のコンプとか始めたく なったら一大事である(既になりかけてるけどww)。近づいても成るべく見ないように,気付かないようにしていきたい(笑 

自分は土曜日決行の心算が息子は金曜日決行と思って居て一寸立ち上がりに手間取ったが11時過ぎには美馬 ICを降り立って昼飯の物色に入っていた(奈良から四国は意外に近いのである。阿波の三好衆が畿内に覇を唱え天下取れた訳である。勿論これは意外に近い徳 島の分断県道で私が覇を唱える事になるフラグなんかではない筈である…)。
さて,走る内に遠くにマル ナカ(瀬戸内地盤のイオン系スーパー・一時期奈良の近辺のマックスバリューが次々とマルナカになったがその後次々とダイエーになった。運営不安定すぎない か,イオン?イオン推しの俺でも心配になる。)が見えて,好き嫌いが激しくて外食で食えないものが出てくるのを恐れてる息子はマルナカでおにぎりとかで良 いと云ってるがこっちは腹が減ってて名物そうめんという看板を 見かけたのでそうめん喰える場所を探すと道の 駅の中にあるレストランを発見。無事に半 田素 麺にありつけた。写真ぐらい 撮っておけば良かった。

更にダメ押しにマルナカで山越えに備えて色々買い込んでR438を川沿いに遡行開始。
早速変電所が現れてテンションがあがる。
22.2
そして直ぐに二の矢として四国っぽい簡素な橋が現れてテンションがあがる。
22.2

EL =74m付近で調子野という地名が印象的な青看板が見えてくる。徳島県道255号と見恵頭谷川の分岐である。調子野は東隣の穴吹川側の地名であ り。r255は繋がっている様だ。写真ぐらい撮っておけば良かった。
徳 島県道255号端山調子野線




貞光川取水堰吉良発電所     

暫く上がると吉良発電所の水圧鉄管と建屋が見えてくる。

なかなか趣のある建屋である。色々机上で増強検討するもイマイチな感じではあったが,現地で見ると 結構好ましい発電 所である。碌な写真がなかったので上の写真を建屋をアップして再掲。

発電所は分岐する県道(上の写真の青い橋・以下のr258)に入って直ぐの 所にある様だったが先を急いでしまっ た。

徳 島県道258号小谷西端山線[wiki]    
このr258の終点の(西)端山は将 に吉良発電所のある場所であるが半田川流域と貞光川流域の間の峠(安場峠)に通行不能区間が存在している。

(A):安 場峠西側入口
(B):一 番向こう側(H)と近く迄行けそうな(必要建設区間が短そうな)枝路西側入口(末端部EL410m)
(C):r258 西側末端部(既に県道未指定区間)グーグルカー再遠到達箇所(家があってここから未舗装っぽい)
(D):横 野方面(I)への山道分岐?・地図では(C)へ繋がってる山道分岐は見当たらず
(E):安 場峠東側入口?
(F):向 こう側に近そうなヘアピン・山道あり?
(G):東 側県道指定終了区間
(H):一 番向こう側(B)と近く迄行けそうな(必要建設区間が短そうな)枝路東側入口(末端部EL413m)
(I):高 清方面(D)への山道分岐

結局(J)地 点を介して両地域(貞光川流域と半田川流域)が繋がっているからこのままで良いので有ろう。とはいえ,他が林道を介して正式に繋がってるのにここはそれが 無いようである。流動の細さを示唆するものか?

徳島県道256号上蓮小野線[wiki]    
なお半田川が三俣で岐れるr256は焼堂峠という何やら由来ありそうな峠を経て赤松・切越に繋がっているが,県道としては小 野は阿波半田付近,上 蓮は峠より半田側なので半田川流域の行き止まり県道と云う事になる。
地 理院の県道指定末端点(法令上は起点か)す とびゅうだとこの辺,更にス トビュウはここまで来ている。地 理院だと此処らか。後少し行っ た所に人家があって車道としてはそれで終わり(G空撮)のようだ。

四国電力(株) 吉良発電所[水 力.com]    
場所:美馬郡つるぎ町貞光吉良[国 土地理院(85m)][goomap] [DB
運開:1925年(T14) … 水力.comに拠ると高田鉱業(ggっても特にhitせず)が水利権取得とあって1924年に美馬水力電気創立とあり,四電移管は1975年だそう な。何か経緯がありそう。[近 代建築watch]に拠ると香川県に送られていたそうな。大正時代の昔から電気で美馬の山奥と香川が直結してたなんて一寸どきどきする。千頭の山 奥,湯山や大間発電所西渡発電所と繋がっていて更に岡崎・名古屋に送られてたのを知った時 と同じ 様な感覚である。
最大出力:2,700kW (1957年増強。増強前は2.0MW)  常時出力:690kW[25.5%    ]
形式:水路式・流込式
最大使用水量:3.80m3/s[0.383]  
有効落差:92.78m
水車:フランシス・出力2,700kW*1台,発電機:容量3,000kVA*1台
流域面積:99.112km2
導水:3,023.2m
取水:貞光川[貞 光川取水ダム](180.42m)鳴 滝谷川 (180.42m)…ダムは地理院図だとどうみても190m位あるんだけど。。上 部水槽も190m級に位置してる様にも見える。。DBの誤記載か,そもそも図面が古くて基準位が今と違ったりするのかも知れない。1925(大正 4)年の運開である。
放水:貞光川(84.06m)

【半田川導水】
流域面積が多雨地帯に100km2もある割りには3.8m3/sしかな い(まあ吉野川に近づくにつれ少雨傾向となる)。もっと利用したい。。例えば投資に際して半田川の方から水を増やすのもありかもしれぬ。

流域を138.1km2にして11m3/s[+7.2m3/s]とかにすると+5.7MW程出来る。


鳴滝取水口[場 所]    
いつもの事ながら事前知識を全て忘れてフレッシュな気持ちで探索したのですっかり忘れていた。旧 道沿いにあるようなので見に行きたかった。。貞光川取水堰のサブ的な位置づけと思われる。

貞光川取水堰(土釜)     
場所:貞光と一宇の境界付近[国 土地理院][goomap]

暫く走ると谷が深くなる土釜(がま)に着く。渓谷である。取水口がある。

ゲートは特に無いので設置して貯留することは可能っぽい。

利水標もちゃんとある。渓谷で縦長の写真が続いた所で,この利水標も随分のっぽであった。


さて,土釜を通り過ぎてひたすら走っていく。
次に東隣の穴吹に繋がってる(多分登山道で…w)のが県 道259号一宇古宮線[wiki]である。

徳 島県道259号一宇古宮線
ここは剪宇(きりう)の聚落を抜け剪宇峠 (wiki:一宇村のかつての東の玄関・1973年5月にこの峠の南で大蛇騒動(5人が同時に大蛇を目撃)が起こったそうなw)を抜けて穴吹側の 北又谷川方面へ至る県道である。それにしても何処から一宇に向かうと此処が東の玄関になるのであろうか??今時の感覚だと東の徳島市から向かうにしても貞 光から南下するような気がする。穴吹から斜めに南西に向かう方が微妙に近かったのかも。

その剪宇峠付近の県道は破線であり未開通の様だ。東 側末端部(グーグルカー到達点)西 側末端部(グーグルカー到達点)地 理院]。西 側の山道入口箇所地 理院]。

西側と東側で道路の設計思想が違う様な気がする・・。


(片川合流) 切越発電所の直前にはr304 木地屋赤松線[wiki]が片川に沿って分岐している。片川には取水口があるので後ほど遡上をレポす る。

明谷(みょうだに)堰堤切越発電所[水 力.com]       
一宇(いちう)という八紘一宇を思わせる気持ち悪い自治体名だったが今は合併でつるぎ町の大字?になっている。一度通りがかったがこじんまりとした雰囲気 の良い山の中の小さ な街であった。
周辺にはあちこちに宇を使う地名がある(市宇とか西宇とか。祖谷谷には一宇とかいて「いっちゅう」と読むらしい発電所迄ある)ので八紘一宇は関係ないのかも知れな い。こちらも「いっちゅう」と読むこともあるらしい[一 路一会]。七宗を「ひちそう」と読んだり,鶴舞を「つるまい」ではなく「つるま」(ほんとうは「つるみゃあ」)」,尾鷲を「おわし」ではなく「お わせ」(本当は「おわしぇ」)と読むのと同じ様な構造か。

●切越発電所[水 力][国 交省]           
場所:美馬郡つるぎ町一宇切越[国 土地理院][goomap]
運開:1931[水力.comに拠ると1935貞光電力が開発:] →別に吉良発電所と兄弟発電所という訳では無いらしい。 リプレース:2017(増 強:+500kW)
最大出力:4,500kW  常時出力:590kW[13.1%]
形式:ダム水路式・調整池式(下で述べるように明谷ダムのゲートレス化に伴い今は流込式なのかも)
最大使用水量:2.78m3/s[多分毎秒百立方尺が認可水量][0.426]
水車:2台→1台(2017年)
有効落差:185.36m[四 電] ([水力]だと185.15m)
水車:出力4,575kW*1台
流域面積:64.53km2
取水:貞 光川[川又取水ダム]法 正谷明谷川[明谷ダム]久 薮谷?・内 山谷?・片 川・他1?[計7 箇所国 交省資料より(巨大pdf注意)]460.84m
放水:貞光川 268.12m

国道脇に建屋が現れる。

水圧鉄管

看板

1928年水利権取得・1931年運開とのこと。水車・発電機とも欧州製の様だ。電機連合がこくみん党支持産別の一角なのは原発を動かしたいからだが,古 い論文漁ると水車の論文とか日立がいっぱい引っ掛かるのに近年は水車製造の競争力ないのか?規模が小さくて相手に出来ない?
家電産業も重電も惨憺たる結果で,この見通しの悪さが日本の電機産業の不毛・不能を示しているのかも知れない。まあ立憲がいまいち産業政策に信頼が置けな いのが民間労組としても引っ掛かるのであろうけど,立憲も脱原発したかったら民主党政権のダム建設中止を発展的に解消して水力発電を正面に据えたやつは積 極的に後押しして建設業や地方の活性化も促して行く方向に転換しないとあかんやろな~。

~片川~     

片川沿いには切越発電所の取水設備あり。r304 木地屋赤松線[wiki]赤松から川にそっているので進 入す る。
片川が貞光川に合流する地点の内,北側が赤松,南側が発電所名の切越の様だ。

入って直後,荒れた雰囲気の廃屋があった。結構立派な鉄筋混凝土造なのだが使い途が無くなったらしい。。
まあ頑丈そうではあるけど耐震基準とか古くてもう使用出来ないのかも知れない。農協の支所かなんかかな?

玄関部分が取っ払われてた。



内山谷川[場 所]    

途中,作業小屋みたいなもの(スズメバチの巣付き)があって道路脇には何か建物跡のような空き地が有る場所があった。

取水点不明の取水口が何カ所かあるので,探しながら来たのだが支流一つないなと思いながら一応駐車して川等眺める。行きは気付かなかったが帰りがけ,この 付近ちょい上流側で橋脚みたいな色を視認。車を停めて下を覗くと古そうなコンクリート橋と末端部が流されたのか立て掛けられた梯子を発見!林業作業用とは 雰囲気が違う ので多分,水発の施設の巡視路なのだろう。
内山谷に取水口があると推定しても良さそうな気がする。端が流されたか橋桁がなく,梯子が立てかけられてるやっつけ仕事であるw

地図にも書かれてない山道である。此処を重いセメント袋を担いで人夫(なんで俺のATOK変換出来ないの!?差別用語みたいな扱いになってる??)が通っ たのかも知れないと思うと凄みを感じる。

片川ダム           
行きは上の巡視路も見付けていないので,いい加減見逃したかと不安になる頃にやっと片川取水堰堤が現れる。
ここも自由越流である。取水位は460mなのに490m位ありそうな片川堰堤である。どういう設計?ここで取水して明谷ダムで取水したりもしてたのであろ うか?

ここに限ったことでは無いけど随分取水口が高く取られている。ゲートを設置すれば2,3m高い所から取水出来そうではないか。

橋は立入禁止ではない様子だった。山作業用に開放されているのかも。共存共栄である。

山影には雪が残っている。

上流の眺め。綺麗である。

下流の眺め。4月に新車の納車が決まっており,最後の力走を見せてた我が銀色の初代FIT。

取水口はこっちの方が良く解るか。デジカメも交代の時期で未だ使い始めたばかりであった。

地図ではこんな感じになる。概算の領域15.9km2
増強の可能性としては片川の取水堰を増強等はどうだろう?[google][国 土地理院]
先程見た様にゲートを設置すれば良いような気がする。

この片川上流には矢筈山が陣取っていて落合側(r44)へは抜けられない様で ある。 その代わり,以下で見る様に林道を介して半田川流域と繋がっている。

徳 島県道304号赤松木地屋線               

r304を遡上していく。延々と,淡々と上っていく。森しかない場所である。こんな所に県道指定しても,,って感じにはなる。
一応,山の向こう側は松尾川である[松尾川のr44とのr304の距 離感はこんな感じ・若しくは下図(巨大!)参照]が,県道の指定区間が終わると道は林道になって進路を北へ変えて半田川(半田字小谷)の方へ向か う。
その林道を林 道大惣線[とくしま林 道ナビ]と云うらしい。林道を抜けるとと先程の徳 島県道258号小谷西端山線がお迎えに来ている。このr258の起点付近の貞 光川を渡る橋の袂にあったのが吉良発電所と いう訳である。
となると,可成り苦しく繋がっていたr258に対してでこちらはr304とr258が林道を介して正式に(?)繋がっている様である。

地図に拠っては上図の様にr258側がr304になっているものもある。
(wiki の記述の終点木地屋が正しいとすると(路線名でもあるし多分正しいだろう),このgoogleマップが間違いと云う事になるだろう(実際時々ミス をしている)。)
また,r256が元々焼堂峠を通って赤松に抜ける古い道を(途中迄も)辿っ ているとすると,この大惣線こそが半 田方面と赤松を結ぶ古い焼堂峠道の現代版とも云えるかも知れない。。

赤松・切越からは上述のr259経由で穴吹川に 出て,そこから川井峠を経て鮎喰川に 出る ことが出来るので徳島に直結(多分道路台帳上はw)しており,此処が松尾川迄貫通できると,深淵から林道小祖谷三加茂線及びr140腕山宮石線経由で松尾川沿いに三縄発 電所迄 通じているので徳島から祖谷口まで内陸開発の太い幹線ルート(笑)が形成されることになる(更に銅山川を遡れば愛媛方面へ繋がる)♪ばらまきするにしても このくらい高い理想を掲げてやって欲しいところであるw
川井峠は既に国道指定されているので折角なら二 戸谷川をr25で遡上し倉 羅峠辺りを組み込む形を望みたい☆
本名付近で鮎喰川に出て川を下れば徳島に入る迄国道 を使わ ずに済む。
逆に言えば松尾川と貞光川の間にはこの様な分厚い壁が立ちはだかってると云う事でもある。






久藪谷川取水口
事前知識を全て忘れてフレッシュな気持ちで探索したのですっかり忘れていた。ここは怪しいという事で確認は出来てないので見に行きたかった。聚落もあって 道もあったのに。。


明谷取水ダム(旧:明谷ダム)[四国88][便覧][旧 明谷ダム・激渋!]            
四国電力(株)
着手/竣工/改良 : 1929/1931(四国最古のコンクリートダム)/2017
場所:美馬郡つるぎ町一宇明谷[国 土地理院][goomap]
河川:吉野川水系貞光川支流明谷川
目的;P(切越発電所2.78m3/s)
堤高/堤頂長/目的 : 14.6m(旧ダム19.6m→改修でギリギリダム扱いされなくなった)/35.8m(旧:51.3m)
総貯水容量/有効貯水容量: 5.2万m3(旧5.2万m3)/― (旧3.8万m3) 
流域面積:約44km2[直接:14.2km2程度(明谷川)・間接:30km2程度(貞光川)] ←Wiki水 力さんに64.3km2とあるのは切越発電所の流域面積と明谷ダムの面積の混同と思われる。発電所挟んで反対側の片川流域から態々明谷迄水を持っ てこないと思われる。

直接流域面積 


水力.comさんに拠ると取水高は460.84mとのこと。

例 の四国電力[巨大pdf注意]によると四電切越発電所に水を送る明谷ダムは老朽化(wikiに 拠ると1931(S6)年竣工で四国最古級のコンクリートダムとのこと)でダム高を約5m切り下げて堰堤化す る工事が行われたそうな。2015年8月から約2年間掛けて とあるので2017年竣工と思われる。切越発電所そのものは出力4.5MWと小さいけど再エネ利用が叫ばれる今日に堰堤化,恐らく発電総量減少,はちと残 念だが。。

四国堰堤ダム88箇所巡り さんに拠ると
>よる年月の上流からの土砂の堆積についに耐えきれなくなり、
とのこと。

水 力.comさ んの有効貯水容量は特に記述が無いが,改修前のものの様で,有効貯水量3.8万立米(小さいw)だがこれよりも更に減少したであろう。。一応計算してみる と有 効貯水量3.8万立米は最大使用水量2.78m3/sで発電すると3h50m程で使い切ってしまう規模っぽい。約17.1kWh。

どうやらゲートレス化されて貯留量はなくなってしまったようだ。で,ゲートが無くなっても総貯水量は変わらなかったようだ(→23.3追記。今読み返すと 意味不明。ソースは何だ??)。
まあ若宮谷と同じ様な形状(本流から取水して支流に調整池設置)で 容量も 同じというかそれ以上に小さくて調整の余地は余りなかったということであろう。

と,事前知識を仕入れた上で現地へ。
r261菅生(すげおい)伊良 原(いらはら)線[wiki]

R438を南下すると何本か(分断・行き止まり)県道の類を分岐するが,だいぶ南下したEL328m 付近で良い感じの分岐が現れる。
とはいえ分岐部の写真は取り損ねており,分岐後直ぐの橋の上から振り返って撮った写真があるのみ。

これがr261菅生(すげおい)伊良原(いらはら)線である。ヘキサの写真は撮ったのだがこれが偉い傾いとる。ひどいw
まあ私の腕が酷いだけでなく実際に標識も傾いてる感じもあるんだけど。。

これは県道指定としては分断している が林道で小島峠を経て祖谷の菅生に繋がって いる。
~明谷川~
そしてそのr261が沿うのが今回のメインの目的の一つである明谷ダムである。しばし上 がっていくと樹々の間からちらりと真新しいダムの白っぽい正面が見えてくる。

ゲートレスのその姿を見て,ああ,と一寸悲嘆に暮れる調整力命の私だがまあしゃーない。
馬瀬川の西村ダム滝波川の小原ダム姉川の曲谷ダムとゲートレス化の例は 結構沢 山ある。西渡発電所なんかはやる気のある方 だった か。ちゃんと見てくれば良かった(→ちゃんと見て来たw)。
気を取り直して近づいてみる。
堤頂付近

取水口付近。数m増水しても取水可能っぽい。

美しい碧色の水と謎の舞台
改修前のもの?

そして利水標。(画像クリックで拡大)

旧ダムはローラーゲートを3門も有した立派なものだったようである。
また明谷ダムでの取水量 は2.78m3/sと明記されててこれはそのまま切越発電所の使用水量と等しいものに成って ゐる。
貞光川の水も一旦は明谷ダムに放流された時短で明谷川の水になるからそこは良いんだけど,もう一方の片川等での取水量は付加的に取り 入れる感じなのであろうか(→その後公文書とか漁る様にな るとこういうのを補給とかいうらしい事が判明した)。
明谷ダムをゲートレス化してしまったので片川系統の 取水量に応じ て本流系統の水量を調整するという小技が使えなくなってしまったと云うことになるのではないか?(くどいけど)残念だ・・。

切越発電所へ送水する各取水口の名前や取水量である が,調べてみると名前と維持放流量は判明した。[徳 島河川国道事務所
流域面積は概算であり,取水量は明谷ダム以外は判らなかった。
名称
流域面積 取水量 河川維持放流量 その他
明谷調整池ダム 明谷川 15.9km2 2.78m3/s? 0.04m3/s
片川取水ダム 片川 14.7km2
0.04m3/s
川又取水ダム 貞光川 29.4km2 0.10m3/s 所在:川又地先


60.0km2 2.78m3/s

許可年月日(水利権更新日):1995年10月13日…30年ごとに更新なので後5年でまた更新か。
川又取水ダ ムの取水量も 判らなかったがここも2.78m3/sかも知れないと云う気はする。
と云うのも,経験則の10km2で1m3/sの法則に川又取水ダムの流域 29.4km2と明谷ダムからの取水量2,78m3/sが良く合致するからである。

後の取水口 は全て補助的 で川又取水堰(即ち貞光川本流)からの取水が足りない場合の補助って位置づけなのではないだろうか?

その川又取水堰からの取水の放水口。ぼこぼこ水を放流してた。


増強案

で明谷ダムの利水標をきっか けに推 論したように持越発電所の現行使用水量 2.76m3/sは川又分のみで設計されているという暫定的な結論を得た。

小さい存在も確認出来ないような取水口が幾つもあるらしい(計7箇所と のこと)が,三大取水堰からは普通に取水して利用したい 所であ る。持越の使用水量を,从(したが)って出力 を,倍増出来るであろう。

現在5.400kWの出力を倍増させる事も出来るであろう。

問題点は,導水路の容量である。明谷と発電所,片川と発電所の間の導水路がネックになるであろう。

DBに 拠ると

(主 要導水路) 型式    圧 力トンネル
   (主要導水路) 延長    3,571.1m
   (主要導水路) 幅    1.82m
   (主要導水路) 高さ   1.82 -2.12m

とある。この距離3.57kmは私のてきとーな計測ではあるが明谷ダムから上部水槽迄の距離にほぼ一致しているのでこの区間とみて良いだろう。

よくわからんが,水路のリニューアルも当然ある様だし(検 索したらマニュアル?っぽいのが引っ掛かった),必要に応じてリニューアル工事をして欲しい所。

[増強私案]持越発電所
最大出力:9,000kW[+4.5MW]
最大使用水量:5.56m3/s(+2.78m3/s)
水車:2台→1台(2017年)→2台
有効落差:185.36m[四電] ([水力]だと185.15m)
取水:貞光川[川又取水ダム]・法正谷・明谷川[明谷ダム]・久薮谷?・内山谷?・片川・他1?[計7箇所]460.84m
放水:貞光川 268.12m


徳島県道261号菅 生(すげお い)伊良原(いらはら)線(続)

この後小島峠を抜けて祖谷谷の切谷川支流の赤滝川に至る。この時 (22.2)は 小島峠が凍結してて,前を走る大学生ぐらいのお姉さん4人位を乗せたビッツの後を追走していたが,段々雪が積もってきて,遂にスタック。こちらも停まった ら同じ様に動かなくなって,二台で物凄い苦労してチェーン嵌めて転回して引き返してきた。苦労しすぎて写真も撮るの忘れてた。こちらも発電所見にこんな季 節にこんな場所を走ってたのだけど,ビッツのお姉さん達も何処に向かっていたのか謎である。愛媛ナンバーだった。
その後,天下の国道のR438経由で名頃へ再挑戦するものの凍結で引き返してきて結局松二と池田ダム を見て帰って来た。

この分断部分の林道は白井線という様である。未だ発電趣味等欠片も持 ち合わせてない数年前に奥祖谷の方迄息子連れて遠出した時に帰りがけ此処を走った事があったが,その時にもっとあちこち見ておけば良かったw
その時は材木満載のトラックの後と延々と追走させられた。材木が引っ掛かって転がり落ちてこないかハラハラしたのを憶えている。
出典:とくしま林道ナビ

白井線で行き着く祖谷川側は赤滝川であり,更に霧谷川となりこの辺から県道指定されているようだが霧谷林道との分岐手前の赤滝川を渡る橋の手前(祖谷谷寄 り)にr261のヘキサがあった。


暫く下れば祖谷川である。



さて,国道に戻り南下を開始する。南下とは云え四国山地に分け入って高度を上げていく。
暫く行くと本流の取水設備がある。

法正谷取水口
事前知識を全て忘れてフレッシュな気持ちで(以下略w)


川又取水ダム [風 景]         
目的:発電(→明谷堰堤切越発電所)
取水位:462.8m
取水量:2.7m3/s
流域:28.4km2

こぶりな矢張りゲートレスの,此処は元からの,取水堰である。

取水口部分

この直ぐ上流に木屋平方面(25km)を分ける交叉点の脇に剣橋という橋がある。木屋平方面はr260である。

剣橋を渡った所に下に降りる階段があっらが最接近は出来なかった。

流域面積:28.4km2程   △


川又は文字通り川又であり,瀬開谷と貞光川に岐れると思ってたけど川の地図に拠ると県道が寄沿う瀬開 谷が貞光川となっておりそちらが本流格,地 理院が貞光川と明記し国道も从える方は桑平谷川という様だ。桑平という聚落はこ こらにある。
まあ瀬開谷と桑平谷が合流して貞光川という認識でいいのだらう。

~瀬開谷(貞光川)~

徳島県道260号中野木屋平線[wiki]     
起点の"中野"はこ こらにある。此処も途中が途切れていて林道が繋いでいる。此処は林道太合実平線と云 う様だ。



~桑平谷川~
さて,R438は此処から桑平谷に沿って剣山の登攀に挑む。登坂(さか)というより登攀(よじのぼる)であるw

真冬に挑んだら里はからっからなのに小島峠もこちらもがーんこ凍結していて名頃の調査を断念した(代わりに急遽松二と池田ダムに向かった)。
凍結は自然のダムである。高度もあって発電に持ってこいであろう。こちらで開発を検討し た。


いずれにせよ貞光川下流の開発はこちらで改めて検討し直す。