電力総研 水 力あれこれ(四 国) 吉野川本流
剣 山
祖谷川名頃
貞光川穴吹川 那賀川坂州木頭川 物部川上韮生川
とはずがたりな掲示板(利 水スレ電 力スレ)
21.7.13全面改稿
祖谷谷の水力発電(22.2訪問)(22.4再訪)→開発篇

0.概要 1.祖谷発電所(諸 元) 2.高 野発電所(若宮谷ダム(V=5.8万m3)諸元)  3.一 宇発電所 4.出合発電所 5.三縄発電所(三縄ダム(V=15.2万m3)諸元) (松一祖谷川取水堰堤・貯留量なし?)(名頃ダム・121.3万m3) (松尾川ダム・1,260万m3)
祖谷谷の水力発電増強を追う。先ず弊電力総研が水力発電として目を着けたのがこの祖谷渓筋であった。当時の知識では設備が完備され導水路が張り巡らされて る周辺に圧倒されて付け入る隙が見付けられなかったが3四半期程趣味者やってると色々見えてきた。

先ず最上流にあるのは名頃ダムと名頃発電所であるが,それは基本的に松尾川第一・第二発電所のサブ 的な位置づけとなる様だ。宏大な松尾川システムが取り溢した水を拾っ て増強していきたい。
最上流の名頃も松尾側のユニットと判断出来るのでこちらの最上流は祖谷PSの祖谷川本流にあ る堰堤切谷にある堰堤である。結構,規模がある発電所が続くが松尾川 に取られても 猶,日本有数の多雨地帯を控えてるだけの事はありそうである。

また最下流の三縄発電所取水の三縄ダム地点で350km2程有る。松尾川系統を 除くと250km2程で ある。一方貯水量の方は松尾川系統を除くと21.0万m3しかない。松尾川系統を含むとそれなりの1,400万m3程となるが。。松尾川ダムは完璧に水も 漏らさぬ体制っぽいが,名頃ダムや松一祖谷川取水堰堤はそこそこ放流してる感じで祖谷発電所以下,流域の流量安定化に少しは役立っているのかも知れない。

源流の剣山周辺は多雨地帯である。寄ってたかって妄想逞しくしたので別途纏めた。

0.概要(地図現況雨量)  

地図   
出典:四 国電力

現状  
ダム名・取水川名
ダム名・取水川名
貯水量 有 効貯水量 流 域面積
その他・備考(ダム)
事業者:発電所名
最大出力
常時出力
[最大比]
形式
有効落差 使用水量
[]…面積比
流域面積
その他・備考(発電所)
名頃ダム
0.名頃






松尾川参照
祖谷川取 水ダム
松尾川第一





31.5km2

祖 谷川取水堰(菅生)(722)
谷 道川(712)霧 谷川(724)
1.祖谷 6.3MW 0.44MW
[6.98%]
水路式・流込式 222.68m 3.70m3/s
[0.767]
48.22km2 [水 力]1923年運開(徳島水力電氣(株))
祖 谷川取水堰(482)
和 田谷川(486)・小 島谷川(481)
2.高野 5.2MW 0.23MW
[4.4%]
水路式・流込み式 70.20m 8.80m3/s
[0.479]
183.7km3
[水 力]1954年運開(四国電力(株))
若宮谷川[場 所] 若 宮谷ダム(401) 9.4万m3 5.8万m2 212.1km2 水量比:1,631.03‰
祖 谷川取水堰(412) 3.一宇(いっちゅう) 8.7MW 0.84MW
[9.6%]
ダム水路式・調整池式 111.25 9.46m3/s
[0.446]
212.1km2
[水 力]1936年運開(四国水力(株))
祖 谷川取水堰(288.1) 4.出合 9.3MW 1.6MW
[17.2%]
水路式・調整池式 124.75 9.461m3/s
[0.391]
241.9km2
[水 力]1926運開(四国水力(株))
祖谷川[場 所]
三 縄ダム(154.7) 29.9 万m3
18.3 万m3




5.三縄 7.0MW 1.4MW ダム水路式・調整池式 57.60 14.60m3/s
[水 力]1959年リプレース運開
吉野川
池田
5.0MW
1.9MW
ダム式・流込式
10.02
62.00m3/s
[水力]

雨量  
また此処らは多雨のイメージがあるがやや瀬戸内寄りの内陸部で2200以上を概ね確保してるっぽいが北側斜面などへ行くにつれて漸減していきもう一寸低い 様だ。
出典:国 交省
0.祖谷川取水堰堤[松尾川ダム導水]
上流部分,それなりの水量を松尾川ダムが取っていく。
この取水堰堤の流域面積は31.47km2程あるようだ。


1.祖谷発電所    
情 報学研究所]によると1920年に高知県出身の松村覚治が中心となり,高知県実業界の第一人者を取締役として配し祖谷川水力電気が発足。祖谷川発 電所工事に着手,祖谷川本流の菅生と切谷に堰堤を設け,左岸沿いに若林発電所まで送水するものである。出力は祖谷川系が5,000kW,支流の谷道川系が 1,000kWであるとのこと。電力は高知県に送電した。とのことである。
初期に?祖谷発電所は若林発電所と呼ばれていたのか?今は同一と思われるが当時は祖谷川系と谷道川系で発電機が分かれていたのか?その辺が疑問である。取 水量として5:1ぐらいなのはありそうかもしれない。

国道R439の旧道[こ の辺]から菅生堰堤を望む。
22.4

祖谷川取水堰(菅生・すげおい)[場 所][G] [DB]            
取水量:1.86m3/s [45.9(直接:213)]
流域:40.5km2程度[直接:8.74km2程度・間接:31.6km2程度]
  (主要取水設備) 高さ     (m)       5.85
  (主要取水設備) 堤頂長     (m)       35.95

大量の取水箇所があるようだが此処がメインの本流からの取水となる。発電所の最大使用水量の恰度半分を供給する。

あった!ここでの取水量は1.86m3/sであった。全体では3.7m3/sの取水量であ るが祖谷川本流からの取水はここなのだが半分強と少々少ないよう な。。

直接流域はこんな感じである。流れ込む田之内谷川の上流を含め,松一にガメられて8.7km2 程しか残ってないから1.86m3/sでもしゃーないといえばしゃーない。
松一・名頃が出来る前は41.0km2=19.8+21.2(名頃ダム流 域面 積)程の面積があって1/4以下になってしまっている。


行ったのは降雨直後だったせいか水が勢いよく放流されていて少々流れ込んではいそうだが取水も されてない感じであった。やはりダムは必要では無いか。同じ日に行った松 一 の赤滝谷はしっかり取水していた。
この程度の出水で取水取 り止めて発電も止めてしまうとは情けない。。(勿論他の理由があった可能性もある。)


祖谷川最上流の名頃からは流域外の松一に送水されてるが下流にも発電所が連続しててその最上流の祖谷 PS取水堰。此処での取水量は1.86m3/s。本PSは取水堰が9ヶ所もあり最大使用水量は3.7m3/s。古い堰で川原近くから見れた。雨天の凄い水 量で普段からもっと取水出来そうだが逆に出水で殆どスルーさせてた pic.twitter.com/YPKLBlNoXr

— とはずがたり (@tohazugatali1) May 1, 2022


さて,ここにダム湖でも検討してみる。
こんな感じで今より2,3mは嵩上げして水を貯められそうである。

ダム湖底になる辺りの様子。

最大取水量を増やしたいが現行水量の3.70m3/sを越えると6.3MWの発電所本体の増強が必要になるが諸元から水車は7460kW,発電機は 8850kVAまで対応可能っぽい。水量も4.3m3/s程度迄上げられそうだ♪
其処迄の水量はとれないかな。貯水量121万m3の名頃でも3.5m3/s である。
また発電所の増強をせず3.7m3/s迄増やす事もあり得るが,途中の導水管がその水量に対応しているかは不明。名頃ダムを建設後,ここでの取水量が仮に減ら されたとするなら太目の導管が残っているかも知れない。
1.86m3/sの取水量を増やさないとしてもこれ迄無為に流してきた分を貯められるのでトータルでの発電量は増やせる。それがどの程度かって所だけど。

更には取水標高723m程に対して740m位迄は貯水出来そうではある,またR439BPの橋の下辺りなら水没気にせず堤頂長も短くそこそこのダム作れそ うだけどまあ如何せん流域面積が小さい(上流で松一に取水[名頃])ので無理は出来そうに無 い。


水 力DB]には現行施設運転開始年月が空欄だけど1927に6,300kWに増強してる。此処にこそ必要な記述では無いのか?

後年開発の松尾川を思わせる山の中に導水路を這わせて集水するタイプである。先駆者なのかも 知れな い。

~切谷川~[→松一関連はこちら]     

祖谷川筋から小島峠を経て貞光川筋へ出るのがr261菅生伊良原線である。峠付近は県道指定 がなされていない。市道か林道のままの様である。
勝浦川から那賀川や鮎喰川から那賀川へ行った際も見かけた徳島お得意 の?や つである。松一導水路がこの先越えていく落合峠もそうである。
水力発電に興味を持つ前の数年前に通りがかって水管に気付いたけど無論写真を撮る訳もなく,21.2 に名頃への再訪を試みるも積雪で立ち往生した因縁の峠である。

祖谷発電所集水堰[G(SV)] [地 理院
取水量:?
流域:

ここも取水量を知りたかったのに利水標見当たらなかった。
22.4
直接流域は7.0km2程である。こちらも松尾川に取られて僅少。

菅生にあった取水量1.86m3/sの利水標である が,菅谷の流域8.7km2切谷 の流域 7.0km2を併せた15.7km2のものならなかなか良い感じなんだけどなあ。。

松一切谷サイフォン[場 所


霧谷岐れ。
この先迄県道指定されているようだが霧谷林道との分岐手前の赤滝川を渡る橋の手前(祖谷谷寄り)にr261のヘキサがあってこれが最後のヘキサのようだっ た。


奥にある松一関連はこちら


~菅生谷川~      

菅生川取水口?[場 所?
取水量:?
流域面積:3.5km2程度?

地 理院だと渡河があるようだがEL722m程。取水位とほぼ同じか一寸低い位。サイフォンではないのかも。蓋渠とか?
またこの直後に取水堰があっても可怪しく 無い。Google の空撮だとこの辺の異物が怪しいが如何せん解像度が悪い。。




~久保谷川~     

こちらは渡河地点は一寸低めの様子。空 撮ではよく解らない地 図(G)だとなんか線(水管?)が書かれてる。
地理院だと上のように細い黒線だけどストビュウも完備のれっきとした車道である。一度行ってみなくては,,
この車道の渡河点[地 理院EL.768mス トビュウ
この間に取水設備はあるなら見えるだろう。




~西山川~      

久保谷川と釜ヶ谷の間にある西 山川はサイフォンで越えてるっぽい。周囲に比べて比較的に広いのに著しく標高が低いのは雨に削られやすい脆い地質なのかな?
砂防ダムはあるが取水口を取るには一寸上まで上がる必要が ありそうで避けた様子。

第二西山谷EL738付近[空 撮]になんかあるけどどうかなぁ。。


 ~釜ヶ谷 ~

サイフォン?[地 理院][



 ~林~

サイフォン?[地 理院][G]



四国電力(株) 祖谷発電所[水力][DB] [徳 島県]     
所在地:徳島県三好市東祖谷若林
運開:1923.4[徳島水力電気](912kW) (祖谷川水力電氣株式会社(1920.3創立)が水利権を取得後,徳島水力電気と合併)・増強:1927(6300kW)
水路式・流込式
   認可最大出力:6,300kW      常時出力:440kW[7%] 発電力量: 29,359.0MWh (2012年)[稼働率:53.2%]→松一に取られて期せずして適切な水量になってる??常時は結構低いが稼働率はそこそこ確保出来てる様だ。
    最大使用水量:3.70m3/s[0.76] 常時使用水量:0.42m3/s(0.113)
    有効落差:222.68m
    水車:横軸単輪単流渦巻フランシス水車×2台(発電機:4375kVA×2) 総出力7460kW[水車] 8850kVA[発電機] 送電圧:3.3kV
    導水路:総延長16057.9m[西 山谷サイフォン[G]
    流域面積:48.22km2(案内板[水力])→直 接のみ?/99.2km2([水 力DB])→松尾川ダムに取られる間接含む?→松尾川ダムに取られる間接含む?下で計算してみると松一が49km2程取って行ってるので多分あっ てる。
    取水:祖谷川(祖谷川[祖 谷川取水堰(菅生[すげおい]・田乃内谷川)]・切 [霧]谷川菅 生谷川?久 保谷川?・西山川???・釜ヶ 谷???)・ 谷道川(谷 道川中 滝谷川???・阿 佐南谷川阿 佐東谷川)[全9箇所[水 力DB]・後1~2箇所不明]721.288m
    放水:祖谷川[若林堰堤高野発電所] 477.15m

DBによると全部で取水は9箇所
確定…祖谷・切谷・谷道
ほぼ確定…阿佐南谷・阿佐東谷
恐らく…菅生谷
残り3箇所…??


2.高野発電所        
祖谷発電所(1923・徳島水力電気運開)と一宇発電所(1936・ 四国水力運開)の間を戦後になって(1954)四電が運開してシリーズ発 電所化したもの(→発電所一覧はこちら)。高野と更に後年の名頃の稼働で5箇所の発電 所が上から下までズ ラッと並ぶ祖谷川の開発が完了したのである。

若林堰堤
祖谷発電所建屋とその直下というか直上の高野発電所取水堰の利水標
祖谷川の取水堰は祖谷発電所より上流にあるが,上流側に引き込んで取水しているようである。
22.4
余水吐拡大


祖谷谷の上部からまさかの高野発電所の利水標ゲット時のツイート

行く度に四国の厳しい自然を満喫して帰ってくるのであるが昨日の電力的な収穫はこれ。四電高野発電所 (PS)は祖谷PS直下で取水してるがその取水量は高野PSの最大使用量の8.8m3/s。詰まり途中の河川でも取水してるがそちらは補充的な存在。深い 谷底への目一杯ズームで激しい手ブレとの戦いに勝利♪感動☆ https://t.co/rMjcZzNxY8 pic.twitter.com/NbxZ4Ql1Fm

— とはずがたり (@tohazugatali1) April 30, 2022

若林取水堰堤というらしい[
祖谷発電所の直上にある。8.8m3/sは高野発電所の全体を賄える量である。祖谷発電所放流水や谷道川からも補給できる。万全の構えである。というよ り,この若林堰堤,谷道川と祖谷発電所の下流にあるようだ。


~和田谷川~     
高野発電所和田谷川堰堤?[地 理院

~小島谷川~     
高野発電所小島谷川堰堤?[地 理院][G 空撮

小島谷川の上流には松一の取水設備がある。[地 理院

四国電力(株) 高野発電所[水力]     
徳島県三好市東祖谷高野
運開:1954.1
水路式・流込式
    認可最大出力:5,200kW   常時出力: 230kW
    最大使用水量:8.80m3/s
    有効落差:70.20m
    水車:立軸フランシス水車 最大出力5450kW×1台
    導水路:総延長7401.8m
    流域面積:183.7平方キロメートル
    取水:谷道川→祖谷川[祖谷発電所・若林堰堤]→和田谷川→小島谷川→478.00m
    放水:祖谷川[一宇発電所栗寄堰堤]399.58m

入口。しっかり閉じられてるけど,こちらは高野発電所。下の一宇発電所取水 口と同位置にあ るが入口はしっかりと区切られている様だった。

[私案]増強計画

こ の辺(松 尾川・松尾川ダム以下の流域27.3km2・標高520m)から高野発電所上部水槽(478m)に1.3m2/s・落差42mで流すと(小水力の検討も 可),高野発電所発電所の水量を8.80m3/sから10.1m3/sに上げられて以下の発電所の出力も引き上げられそう。
ただしこの場合一宇発電所や出合発電所の水車や導水路が対応か確認してやる必要がある。
また後で見る出合発電所の拡張計画との効率性比較・競合比較も必要。(結果を先取りすると妙 に水車 に余裕のある出合 に寄 せた方が投資効率が高そう。最後に積年の祖谷川綜合開発を構想(未完成)する際に引っ張り出して検討する。
但し上で見た新祖谷発電所の建設に伴い減少するであろう水量を補填するには高野に運ぶのが 最適と なる。




3.一宇(いちう)発電所・栗寄取水ダム              

えっ!?こ んな銘板[加藤]あったの!?

祖谷川取水堰(高野発電所と同位置)・栗寄堰堤
重なってるけど後ろに見えてるのが高野発電所と背後の山にあるその水圧鉄管。手前が栗寄取水堰堤。

取水部

魚道

現地では雰囲気だけ楽しんで構図もなんも考えずに写真を撮っているので後から使おうとして困る事しかないが,堰堤部全景…の心算が左側は隠れている。
22.2
再訪した22.4の全景…と云いたい所だが右側が切れてる。写真ってむずい,,


栗寄谷川取水設備(仮称)
現地では祖谷川の取水堰の沈砂池だと思って栗寄川で取水してるのを確認しなかった。悔恨。こ の辺の地名(バス停名・地名は善徳)は栗寄というらしいので勝手に支流を栗寄谷川と呼ぶ事にした。
画面正面の小さな聚落が栗寄?なのか。見えにくいが川が流れ込んでる。
22.2
祖谷川の取水堰を検討したが,この辺池 田ダムみたいなローラーゲート設置すればもっと貯留出 来そ う!?

どうも両取水を併せてこちらで纏めて沈砂とかしてるらしい。まあ一旦,若宮ダムへ流し込むんだけど。向こう側にちらっと見えてるのが祖谷川本流上の取水堰 の建物。

と云う事でクルマも新調して22.4に再訪したがこっ ちの谷に気を取られててあんまちゃんと確認出来なかった。
22.4
下寄谷川というらしい。

沈砂池が終わってから橋なので下寄谷からは取水してないと云う事で良いだろう。。この沈砂池EL.401m 程若宮谷ダムの取水位と2m程しか差がない。栗寄取水堰 堤がEL413m程度と そこから随分下がってるのに,である。
勾配の利用方法に就いてちょっと問いただしたい気分であるw


若宮谷ダム[便覧]      
河川     吉野川水系若宮谷川[場 所
目的/型式     P(一宇発電所・9.51m3/s[0.45])/重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積     32.2m/93m/23千m3
流域面積/湛水面積     211.2km2 ( 直接:5.2km2 間接:206km2 ) /1ha
総貯水容量/有効貯水容量     9.4万m3/5.8万m3
ダム事業者     四国電力(株)
着手/竣工     1933/1935

物凄い祖谷渓谷を抜けて一宇の大都会(に見える)に着いてホッとするのも束の間,このダムに行くには脇道に反れなければならない。

行き止まりの道の途中にある幽谷とか幽深とかががぴったりくる閑かな谷間にダムは佇んでいた。全景を撮るのが難しくて雰囲気伝えられん。。
またダムの混凝土も随分とくたびれてるように見える。着手から100年経って老朽化が心配される。



利水標に58.000m と小数点と桁のコンマが間違えてるくさい(千立方メートルの間違えかも)のはご愛嬌か。[DB] には9.46m3/sとなっているので近年増量されたのかも知れないが,貯留量の単位間違えてる位なのでこっちが合ってるとも断定しがたい。
→調べたら2020 年(令和2年)に増強増強されたそうなのでその時に一寸だけ取水量増やした様だ。この時に取水量も増やしたとの記述は無いが,許可年月日が 2020.3.27になっててその修正と取水量の修正が同じ字体であるのは有力な状況証拠である。

堰堤から見てダム湖左手,一宇発電所への取水口

堰堤から見てダム湖右手,祖谷川からの放水口。ごぼごぼ水を出して いた。

現在,5.2万m3貯留量がある。9.46m3/sで取水すると1時間40分しか持たない。勿論祖谷川[高野発電所]から補給はあるだろうしそれで終わ りって事はないだろうけどあんま持たないねえ。。
深々と湛えられたダムの水見てると2時間も持たないとは思えないんだけど4割ぐらいは死水容量である。


四国電力(株) 一宇発電所[水力] [DB]      
三好市西祖谷山村一宇
運開:1936.1[四国水力株式会社]・出力増強:2020.7.7(+100kW)
ダム水路式・調整池式
認可最大出力:8,800kW     常時出力: 840kW (9.6%・増強前)
最大使用水量:9.51m3/s(利水標)[0.46]  [9.46m3/s・DB] (+0.05m3/s)
有効落差:111.25m
    水車:立軸フランシス水車×2台 総出力9200kW
    導水路:総延長3179.6m
    流域面積:212.1km2
    取水:祖谷川[高野発電所]→栗寄谷川(仮称)→若宮谷川[若宮谷ダム]399.92m
    放水:祖谷川[出合発電所]286.42m

発電所への入口。谷の中腹を走る県道の脇にある。

発電所は遥か谷底にある。。

水圧鉄管を見上げる写真も撮ったが偉いブレてた。。

さてほぼ同位置の直下にこの下の出合発電所の取水堰が存在する。

看板から判断するに一宇発電所の設備扱いのようだが,鉄製のバケットがあり荷物などをこれで揚げ下げするようだ。斜行エレベーターっぽいけど(船は運ばな いにせよ)インクラインの一種と呼べば良いのか?


(祖谷渓谷)
無人の渓谷が延々と続いていた。絶景。


眠谷川


大宮谷川



4.出合発電所     

何処かで見たことある様な或る種の典型的な発電所建屋の出合発電所。


出合発電所[水 力][DB] [四電(web)] [四 電(pdf)]     
四国電力(株)
場所:徳島県三好市池田町大利
運開:1926.10[四国水力]
水路式・調整池式
認可最大出力:10,600kW  ※   常時出力:1,600kW?
最大使用水量:10.53m3/s→11.63m3/s程度?
有効落差:124.75m →124.53m?
水車:3台 総出力12094kW 立軸フランシス
導水路:総延長7758.4m[導水路に地滑りがあったらしい[ソー ス]。中身は読めてないけど心配である。]
    流域面積:29.8km2(案内板[水 力]) 241.9km2[DB]  ←この差は大きすぎる。29.8km2ってのは直ぐ上の発電所である一宇より上流の流域面積を除いたものと思われる(詰まり一宇の放流水に加えて追加で 取水出来る面積)。241.9km2は主に松尾川に送られると思われる名頃発電所の28km2も恐らく含んでゐるから実際の出合の流域面積は 213km2って所か。取水可能水量(年間降雨量含め本河川の推定方針は冒頭の此処を参照) に関しては南北 の比率が恣意的になってしまうけど北側は松尾川に結構取られるので南側主体で90%ぐらいとすると18m3/s程度迄,本来行けそう。
取水:祖谷川[出合取水ダム・一宇発電所直下]、眠 谷川大 宮谷川(286.238m)
放水:祖谷川[三縄ダム湖直上](151.00m)

※:
水力.com:9,300kW
水力DB:9,500kW
四国電力:10,600kW
随分,出力が増えているがこれらしい。どうも9,600kWから水量を増やして10,600kWにしたらしい。下のNLに拠ると水車を交換せずに最大取水量を増やした様である。 1MW増やせたと云う事で推 定1.1m3/s程度増やした物と思われる。


2017年3月28日 四国電力株式会社
水力発電所の出力増加に向けた取り組みについて
https://www.yonden.co.jp/press/re1703/data/pr007.pdf
2.設備余力を活用した出力増加への取り組み
     2013年、再生可能エネルギーである水力発電の有効利用を促進するため、設備容量に余裕のある水力発電所の最大取水量を変更するための水利使 用許可手続きが簡素化されました。     これを受け、当社では導水路などの設備の余力を利用し、設備を変更することなく増取水によ る出力増加が可能となる発電所の精査を進めたところ、小村発電所、出合発電所が有望と判明しました。両発電所については、河川環境への影響 を踏まえつつ、実証試験ならびに出力増加手続きを完了し、本年より運用を開始したところです。 当社では、引き続き、有望な発電所数か所での検討を進めてまいります。
発電所名 立地自治体 増強前kW 増強後kW 増出力kW
小    村 愛媛県久万高原町 2,900 3,100 200
2017年2月
出    合 徳島県三好市 9,600 10,600 1,000 2017年3月
            

このスキーム,他所でも使いたい。そうそう水車に余裕がある発電所ばかりでは無いのでリプレース時には多用したい。一宇発電所でもこのスキームで実現したようだ。

こんな資料も発見した。
平成29年度水力発電設備更新等事業概要(調査事業)
https://suiryokuhojo.nef.or.jp/equipment_update/pdf/20180330_02_10.pdf

1.事業内容
 補助事業者 四国電力株式会社
 補助事業の名称 出合発電所における増出力・増電力量の可能性に関する調査業務全事業年度   平成29年度

2.調査内容
既存水車のケーシングやランナならびに吸出し管等の解析モデルを作成し、水車の性能検証を行い、効率低下の要因を分析する。

1)増出力・増電力量等
項目 調  査  結  果 備考
水車 最大出力 +176kW(4.6%増)

最大出力時の効率 +3.9%(3.9ポイント増)

最高効率 +3.8%(3.8ポイント増)
発電所
最大出力 +1022kW(9.6%増)

年間可能発電電力量 +2,240,003kWh(4.7%増)


これは水量を増やさずに水車交換して出力上げる調査だから上の増強とは無関係の模様。いずれにせよ1926年の運開以来そろそろ100年経つしリプレース が検討されてるのかも。

この発電所は四国の山中に導水路を張り巡らせて大活躍の松尾川ダムのある松尾川を渡った所に ある。 "出合"という地名は二股とか落合とか同じで此処では松尾川と祖谷川の合流点という地名なのである。

建屋の裏には道路脇から見える三台の水車に対応した3本の水圧鉄管と余水吐の計4本が頼もしい。

余水吐に付属するなんかの機械。なんなんだ?空気でも抜きそうな形状をしている気がするけど。



上流域は松尾川ダムが吸い尽くしてすっからかんの松尾川水系だけど,こ の辺(289m)迄下ってくれば大部貯まってきてる筈。

更にアクセ谷や石立谷へ脚を伸ばしても導管2.9km程度,面積は47km2迄広げられる。 上流での一宇方面への取水をする場合は20km2程である。

上流での一宇方面への取水が無しとすると2.8m3/s程度取水出来る。取水があるケースでは1.3m3/sである。

2.8m3/s追加の場合は出合の出力を12,000kW位には出来そう。水車には(何故か)余裕があってこのくらいだと恰度ぴったり補強不要(凄い偶 然!)。

妙に余裕のある水車容量でしかも水路が妙に松尾川に寄ってから急に方向転換して南に向かっているし,もしかしたら松尾ダム建設前には出合でも松尾川から取 水ぐらいしていたかも知れぬ。

但し松尾川からの導水は高野発電所でも検討,緩衝する可能性も高い。取水があっても結局,高 野・一 宇経由で出合にもって来れるので是非やりたい。
高野への導水をする場合は祖谷発電所や高野発電所の水量が確保出来るかどうかが課題である。

出合発電所
認可最大出力:10,600kW→12,000kW[+1.4MW]
最大使用水量:11.6m3/s→13.8m3/s
落差:124.5m
導水路:総延長7.75(既設)+2.5(新規)=11.25km

祖谷川からの水量を11.6m3/s程度に増強した出合発電所だが,更にそろそろ更新時期が迫っているのではないか?要注視である。



5.三縄発電所     

祖谷川に沿って点在する発電所群の川が吉野川へ流入する前の最後,掉尾を飾るのがこの三縄発電所である。小ぶりながら調整池も持つ。

三縄(みなわ)ダム[便 覧][DB] [便覧(松尾川ダ ム)][→吉野川]     
河川     吉野川水系祖谷川
目的/型式     P/重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積     17m/80.8m/21千m3
流域面積/湛水面積     352,8km2 ( 直接:249.1km2 間接:103.7km2) /7ha →便覧だと間接流域600km2なんて宏大な面積となってるけどどんなもん何処に隠してあるんだw 恐らく松尾川ダム取水域103.7km2の誤り,,
総貯水容量:29.9万m3   有効貯水容量:18.3万m3
常時満水位標高:154.000m
ダム事業者     四国電力(株)
着手/竣工     1957/1959…新三縄発電所は調整池式に改修されたということのようである

調整池の有効貯水容量は18.3万m3。最大使用水量が14.6m3/sだから876m3/m,52,560m3/hであり,凡そ3時間半持つ計算にな る。
ただ行った時にはダムは空っぽだった。。なんだか斜面上の道路から見るとミニチュアみたいなスケール感である。

利水標

ダムからは上の出合発電所がの上部水槽が見えた。


三縄ダムと三縄発電所の間,川が大きく蛇行する此 処でトンネルを掘って短絡工事をしていた。効果は大きそうである。とは云え,この道が祖谷谷へのメインルートだと思って居たが,精々出合とその東 側松尾川沿いの池田町松尾の方々のメインルートであるようだった。
水力発電増強の槌音を立ててインフラを有効活用していきたい。

三縄発電所[水力] [情 報学研究所]     
四国電力(株)
所在:徳島県三好市池田町大利
運開:1912 [四国水力電気・旧三縄発電所・当時2000kW]
改修:1959 [四国電力・新三縄発電所]
ダム水路式・調整池式
認可最大出力:7,000kW    常時出力:1,400kW  
最大使用水量:14.60m3/s
有効落差:57.60m
水車:最大出力7300kW×1台
導水路:総延長1712.7m
流域面積:249.1km2(便覧) /352.8km2(水力DB)  此の流域面積の差に関しては松 尾 川第一の 取水域103.7km2に一致しているのでその差であろう。
取水:祖谷川[三縄ダム]154.00m
放水:祖谷川92.80m

社史に拠ると「起工以来数回の洪水に見舞われたる外種々の困難に逢ひ尋常ならざる辛苦を舐」めたとあるそうな。[情 報学研究所
また同書によると四国水力電気は1898年に設立された香川県の西部電灯が出発点で,これが1900年に讃岐電気と改称され,1903年に開業して西讃地 域に電気を供給,1907年には景山甚右衛門(1855~1937)を社長に迎えた後,急速に発展したそうな。景山は多度津銀行,讃岐鉄道,坂出紡績を経 営する実業家で,後に衆院議員を務めたそうな。


それっぽく写ってるけどブレブレでアップしてもよく読めない。旧三縄発電所が老朽化したので云々と書いてある。
22.2
発電所は道路の下にあって上からの眺めもそれ程良くないのでこれという写真は撮れず。。川の対岸から狙えば良かった。

実は本文の記述とは逆にここはR32から這入って直ぐの場所であり,当日はここから(貞光から名頃に直接抜けるのに失敗して)夕刻迫る中上流へひたすら奥 へ向かったのでこの辺はじっくりよりこの先行けるとこ迄って感じで急いだのであった。

だてここを有効活用するにはのんびり流れる吉野川から導水するのがよい。
154mの高さから持ってくるとなるとこ の辺(三好市山城町下名(しもみょう))となる。嘗ての吉野川綜合開発計画での構想を引っ張り出してくると赤野がイイ感じ。導水路約12km。
まあ色々考えて時々変更したりするが現在の構想はこちら開 発案の項を参照。