電 力総研 水 力あれこれ
と はずがたりな掲示板(利 水スレ電 力スレ)
23.2.19運開

馬瀬川上流・弓掛(ゆがけ)川・瀬戸(第二)発電所(23.2訪問)

飛騨川水系電源開発: 飛騨川 益田川 益田川(源流) 馬瀬川中流(1.水路図・2.現 況) 3.馬瀬川上流(3-1.瀬 戸第 二発電所西村ダム(諸元)・弓掛川 4.開発 4 -0.開発構想史  4- 1.和良川開 発私案 4-2.馬瀬川上流開発私案 )

現在,馬瀬川の水と弓掛川の水は瀬戸(第二)PSと岩屋ダム・馬瀬第一・第二発電所で,和良川の水は下原発電所で使用されている。
弓掛川はずっと「ゆみかけ」かと思ってたら「ゆがけ」の様であった。「ゆかけ」の表記も見かけた。韘・弽・弓懸(ゆがけ)は弓 を射るときに手指が痛まないように用いる革製の手袋だそうな。

馬瀬川は現在は岩屋ダムでガッチリ堰き止められているが,もともとは先駆的な日本電力に拠って1938年運開の瀬戸発 電所及び後に電力の鬼と呼ばれる事となる松永翁率いる東邦電力の手に拠る同じく1938年運開の下原発電所によって馬瀬川の水を益田川に導水する 形で競う様に水力開発が行われた[実際は両社の間で妥協が成立した様である・wiki]。 本 頁では瀬戸発電所とその背後の馬瀬川上流,弓掛川を対象とする。

岩屋ダム完成後,佐見川同様,可成り最后迄更に新規開発が試みられたようだが結局残念な がら実現せず現在に至っている。
いつか前のクルマにMAZEの文字が入ったステッカーを貼ってたクルマがいて,おっ,馬瀬川か!?とテンション上がったが調べたら馬瀬川の民宿かなんかで そのRV車は釣りニキの愛車だったようで,寧ろ水力開発ニキの俺とは利害が一致しないお立場だったようだ。。(´・ω・`)

現在に至る迄開発が実現しなかったのもその清流故かも知れぬ。清流は大事にしたいが水力発電も開発していきたい所である。本頁では先ずは現状をレポ,そして開発構想の実 際の変遷を辿り,更には頁を改めて馬瀬川上流開 発のページでその辺に留意しつつ検討 してみたい。


~益田川~

水力さんに は瀬戸第二とされていて日本電力が開発し日本発送電になるまでは瀬戸発電所だったのに第一と第二に分けられたと書かれているが中 電さんでも特に分けてはないようだ。
便宜的に第一を益田川の水を使う低落差側,第二を馬瀬川の水を使う高落差側と呼称する事にする。

瀬戸発電所(瀬戸第二発電所?)[→益田川瀬戸(第一)発電所]     
認可最大出力:21,000
最大使用水量:15.50m3/s→15m3/s?
有効落差:156.60m
水車:出力10800kW?×2
流域面積:222.4平方キロメートル
取水:弓掛川、床鍋谷、他→馬瀬川[西村ダム]450.00m
放水:益田川[ほぼ下原ダム]271.51m

左の有効落差が高い方が第二。右が益田川瀬戸ダムから来る第一。




飛騨川の川端に建つ瀬戸発電所(第二)は発電所から山を越えて馬瀬川流域に転じるのであるが,細かく取水しつつ水路は西村ダムへ向かう。(勿論水は逆に流れ る。)

~床鍋谷~

瀬戸第二取水堰堤(仮称)
取水量:0.04m3/s

~若佐谷~

瀬戸第二取水堰堤(仮称)[場 所
取水量:0.15m3/s

判りにくいので地図を掲示するとこんな感じ。取水すれば良いのにと云うポイントも橙色のフォントで書き込んでしまってて却って解りにくくなってるけど既設 の(現実の)施設は青丸で描かれている。


~馬瀬川~

西村ダムがある。この下流には中呂発電所からの放流口があり,土砂溜めの砂防ダムがあって岩屋ダムの形成するダム湖(なんかキショい名前が付いてたけど無 視)に至ってゐる。岩屋ダムから下流はこちら参照。

(中呂発電所放流口)


~益田川~


益田川を亘る中呂導水の鉄管。20m3/sを通す。


中呂発電所



東上田ダム(小坂ダム)




西村ダム
23.2

ゲートが撤去されてしまった西村ダム。古いゲート時代のものはネット漁ると出てく る。([pcpulub] [便覧][水力])
よく見るとテンターゲートの弓形の痕が残っている(マウスオーバー)。
23.2

水力さんには「テンターゲートは結構年季が入っている様に見えます。湯ノ上発電所旭ダム(福島県)に次いで古いと思われます。 」と書かれていて,更新の際に廃止になってしまったようだ。
此処で十分取水出来なくても弓掛川もあるし,岩屋ダムでがっちり貯水出来るし良いのであろう。 数mは水位が下がった感じかな。。
この日も数日前に降雪した雪解け水が滔々と利用されず流されており,此 処での川の実力?は15m3/sばかりでは無さそう。勿論岩屋ダムがガッチリ堰止めて完全利用する訳であるけど。
馬瀬川上流開発で西村ダムには馬瀬川と弓掛川の水を受けて岩屋ダムと瀬戸第二発電所へ水を振り分け るジャンクションの役目を果たして欲しいと思って居るのでその際には最新のテンダーゲートを再設置してどうも邪魔者扱いされてる現状を変えてあげたい。

利水標(西村ダム脇にあったものだが若佐谷(若狭谷となっている),弓掛川・床 鍋谷と全部載っている。また基本馬瀬川で全部の使用水量を確保出来る取水量となっているようだ。瀬戸第二の使用水量もこの15.5m3/s。)
ただでさえ過少な取水量の上に弓掛などからも補助的に取れるという形にしてあるようだ。

貯留量,10,630m3となってるがこれは改修後の容量で改修前のものはうっすら200,000m3と見える。この数値はダム便覧でも確認出来る。
新しくなると律儀に(新)と(旧)を併置するのにここが併置されてないのは改修後はハイダムではなく堰堤扱いになって仕舞って,形式に拘るお役所仕事で更 新されなくなって仕舞ったのかも。


西村ダム(改)     
場所:下呂市馬瀬西村[場所]・中部電力(株)・目的:P (開発者:日本電力)
堤高:19.5m
取水量:15.5m3/s
流域面積/湛水面積     217.3km2 ( 直接:163.3km2 間接:54km2 ) /?ha
総貯水容量/有効貯水容量     ?m3/10,630m3(1.06万m3) ← 激減。。
着手/竣工     /
受水:馬瀬川・弓掛川
送水:瀬戸第二発電所[飛騨川]

西村ダム [岐阜県](にしむら) (旧)[便覧
河川     木曾川水系馬瀬川
目的/型式     P/重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積     19.5m/78.7m/15千m3
流域面積/湛水面積     217.3km2 ( 直接:163.3km2 間接:54km2 ) /5ha
総貯水容量/有効貯水容量     276千m3/200千m3
ダム事業者     中部電力(株)
着手/竣工     1933/1938

ここから山を跨いで瀬戸発電所迄おくられる水路


(源流)=高山市清見

~弓掛川~

岩屋ダムの形成するダム湖(なんかキショい名前が付いてたけど無視)で馬瀬川に合流している弓掛川。延々と川沿いの道を遡上し,まだ堰堤は無いのか,これ は見逃したかと薄暮になりかけの中,不安になる頃やっと堰堤が現れ る。

弓掛堰堤(弓掛川)
取水量:2.78m3/s
流域:54km2(西村ダムの間接流域より・若狭谷や鍋倉谷の扱いは不明・とは計測で53.8km2であったので多分この数字で合ってる)


可成り上がった所にある弓掛川取水堰。
23.2

利水標(弓掛堰堤脇にあったものだが此処でも若佐谷(若狭谷となっている),弓掛川・床鍋谷と全部載っている。また基本馬瀬川で全使用水量を確保出来る取 水量となっているようだ)

木々の合間から覗く堰堤。小さな取水口あるあるだが,堰止めるというより嵩上げるだけの機能のように感じる。

取水設備・滔々と流れる馬瀬川の西村ダム地点で水は足りてる様で,此処では取水は していない様子であった。馬瀬川が豊水の時は瀬戸(第二)発電所の水は西村ダムで全水 量を確保出来る設定となっている。当然利用水量は増やせはするのであるけど,まあ岩屋ダムに貯めた方が良いと言う判断もあり得るか。

看板。弓掛川堰堤ではなく弓掛堰堤らしい。しかも「ゆかけ」と振り仮名が振られていた様な。。(潰れてしまって写真からは判読できないけど。。うろ覚えだ が青看板とは逆だった印象である。青看板はYUGAKEだったような。。)


この後山は深くなる。それと共に道路も凍てつき始めた。上流は長良川流域がメインの郡上市となる。一寸ズレ てる様な気がするが[此 処ら]か?川の名前地図でも名称不詳とされてた谷は浅谷という様だ。浅谷峠からそうだと推定してはいたが♪


この辺[地 理院][す とびゅう]であろうか?この辺にダムでも建設して調整力を確保したい。浅谷家 谷の下流が良いかな。。


険しい道を抜けると明宝小川の聚落となる。人里に着いて安堵を覚える。
明宝の中心地は長良川系統の吉田川の上流であり,この小川の聚落が益田ではなく郡上を選んだので飛騨川・木曽川流域なのに長良川流域の郡上市域となってい るようだ。
漁れば色々市町村合併のドラマが掘り出せそうである。日出雲との分岐点[地 理院

この後,(川は最上流に向けて細くなっていくが)道は良くなり,道谷川のどん詰まりが小川峠である。
峠付近で県道の分岐もあるが封鎖されており,呆 れる程立派な道路二つで現代風に作り替えられていた。

(源流・小川峠など)=郡上市明宝