水力発電あれこ れ 九頭竜川(目次)  北 陸電力水力発電所(抄)
と はずがたりな掲示板(利 水スレ電 力スレ)
2022.2.3独立
九頭竜川水系滝波川の利水(23.7訪問)

打波川万 波川と来て滝波川である。

~滝波川~
九頭竜川と105m程で合流(えち鉄の比島駅付近・中部縦貫道の勝山IC近く)。川は北東側へ山を分け入る(というか北東側から流れ出してくる)。
現在では二つ発電所があるが下流側は小さな二箇所の発電所を統合新設したもの。上流側は県営から陸電に売却後,ダムの改修がなされた。この様に継続的に手 は入れら れている様である。

目次:【現況部】:小原ダム滝波川第一発電所新薬師発電所[私案]滝波川第三発電所/【開発部】:

小原(おはら)ダム[便 覧(再開発)][便覧(元)][場 所(冬場の常駐が困難)]    
河川     九頭竜川水系滝波川
目的/型式     P(滝波川第一発電所5.0m3/s)/重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積     35.7m/77.8m/20千m3
流域面積/湛水面積     12.8km2 ( 直接:11.8km2 間接:1km2 [烏 谷か?但し鳥谷だけで3km2程は行きそうなので謎→発 見,皆上谷取水口(0.25m3/s・写 真)!]) /2ha(元)
総貯水容量/有効貯水容量     152千m3 (旧) /37千m3 (旧)
満水位:630.0m(旧) → 628.0m(新)
ダム事業者  (新設)福井県 (再開発) 北陸電力(株)
(新設)着手/竣工     1963/1964
(再開発)着手/竣工     2011/2012

>ダム放流 の安全性向上とダム管理の効率化を目的に、改修。天端部分に新たにゲートレスの洪水吐を設け、既存の洪水吐ゲートは高さを縮小して排砂ゲートとして利用。従来、職員が一年中常駐管理していたが、冬季の常駐 管理は困難であるため、遠隔操作ができるように改修し、無人化を可能とする。
とのこと。

改修基本計画:正面図 …満水位が2m下がってしまった。
出典:陸電
改修計画案のイメージ:

出典:陸電

流域面積は小さく13km2弱しか無い。それだけにこのダムのお陰で滝波川第一発電所が5.0m3/sの最大使用水量で12.6MWを叩き出している訳で 有り,その果たす役割はでかい。勿論,滝谷・護摩堂谷のサポートも効いてるだろうが,それ程広くはなさそう。
そう云う意味で,冬期の 管理コストを考えると已むを得ないのだけどゲートレス化,満水位の引き下げは残念

県企業局が開発したのに治水も目的に入っていない発電専用ダムである。山梨県のような電力開発を意識的・戦略的に行った時期でも あったんであろうか?

結局,更新投資に県は踏み切れず北陸電力に売却されることになった。

厳しい冬に人員を配置して緊急時のゲートの上げ下げをするコストやリスクを考えるとゲートレス化は已む無しなのかも知 れないけど,冷房需要で大きく日中に 需要が増える夏型の需要に較べて冬期は一日中暖房需要が継続して高止まりする特徴がある。
電力需要が安定し降水も より安定的な雨よりも雪の冬期はゲートを開けっ放しにして満水位628mで対応,日周期で需要が大きく変動し雨で一気に水も上がり下がりする夏はゲートの 上げ下げで対応などでどうであろう?

このゲート再設置の際に序でに夏期満水位を232m位に引き揚げると,湛水面積2haなので4万m3増えて貯水量を倍増させる事が出来る。
矢張り需要変動の激しい夏は大いに調整したい所である。

物凄い辺鄙な所にある小原ダムを初めとする滝波川第一の取水口群であるが,R157が大きく迂回して割と後から建設されたBPっぽく,昔よりだいぶアクセ スはし易くなっているのではないか。

北陸電力(株) 滝波川第一発電所[水力] [DB (県企業局時代)][DB (陸電時代)]    
福井県勝山市北谷町木根橋
運開:1965.2[ 福井県企業局](12300kW)・2010.3末:譲渡・2013.5.10:運用変更により出力増(12500kW←そんなこと出来るんや)・ 2015:設備改修、水車取替により出力増加(12600kW)
ダム水路式・調整池式
    認可最大出力:12,600kW   常時出力: 1,400kW(出力増加前12,300kW時の数値・11.4%)
    年間発電電力量:約47,700MWh(4770万キロワット時、出力12600kW時点)
    最大使用水量:5.00m3/s[1.88]
    有効落差:298.40m(298.33m、出力12300kW時点)
    水車:立軸単輪四射ペルトン水車 出力12800kW×1台(出力12300kW時点)
    導水路:総延長6805.857m
 流域:11.3km2[県] 26.54km2[陸]
    取水:滝波川[小原ダム(皆 上谷)]・鳥谷?・すのう谷?・板谷?・滝 谷(から谷)胡 摩堂谷・ 計9箇所(1箇所?→DBの県時代と陸電時代で齟齬有) 630.00m・お いの水谷辺りからも取れそうだけどなあ~。その向こうの奥 河内谷は標高が低い。。福井園企業局時代は取水口1となってるが流石に誤記であろう。
    放水:滝波川312.30m

流域が11.3km2となってるがこれは何のデータか?ダムの直接流域だけで11.8km2あるようだが。県企業局のデータは色々妖しい。

導水の現行の全体像がよく判らないが,すのう谷・鳥谷辺りは小原ダムに導水して貯留し,更に板谷辺りでは取水堰設け,おいの水谷・奥河内辺りへは導水路を 伸ばして水を取って水量増やして行きたい所。

1995年に旧薬師発電所(最大出力800kW)、中尾発電所(最大出力800kW)を廃止し(恐らく中尾 の取水堰堤と薬師の敷地を利用し,導水管路は掘り直して)新薬師発電所 5000kWをリプレースした様だ(95年運開)。
出力は1.6MWから5.0MWに増加。素晴らしい。

日本海発電(株) 新薬 師発電所[水力] [DB] [国 交省]… 日本海発電は陸電グループ。主に水力などの再生可能エネルギー発電を手がける。
福井県勝山市野向町薬師神谷
運開:1995.5
水路式・流込式
    認可最大出力:5,000kW  常時出力:1,000kW[20.0%]
    最大使用水量:6.30m3/s[1.05]
    有効落差:97.10m
    水車:立軸フランシス水車 出力5240kW×1台
    導水路:総延長4106.9m
    流域面積:59.8km2
    取水:滝波川・杉 山川(たぶんこれ) 306.00m →リプレースに際して杉山川からも取水口を設けたようだ。元々(旧)薬師発電所が使ってて認可も取りやすかったのだろうけど,更に近くの牛ヶ谷川からなん かからも取れそう。牛ヶ首川は下の計画で取水考えてるけど。
    放水:滝波川201.30m

旧薬師発電所(最大出力800kW)、中尾発電所(最大出力800kW)を廃止しして建設されたとのこと。地図には古い発電所が載ってるのか二つ載って る。これが旧 中尾,こちらが旧 薬師のへろへろした水路を伴った発電所か?


23.7, 市荒川近傍の調査を終えて下荒井へ移る前にこちらに寄った。小原ダムは有料林道の奥で遠そうでR157沿いにありそうな取水口には興味あったが探 すのは困難そうで取り合えず今回は切った。
新薬師発電所と取水口,中尾発電所跡,滝波第一発電所辺りを見れれば良いだろう。

先ずは道の駅に寄って滝波川の九頭竜川の合 流点(EL.103.6m)を視察。

よく解らんw
横着せずに橋(勝 山恐竜橋)(写真は下)の上から合流点を狙えば良かった。勝山は恐竜推しが酷くてこの後もややげんなり。

この後r112栃神谷鳴鹿森田線に取り付いて坂を上がっていく。栃神谷は新薬師発電所のある地名のようだ。結構上がる。今は新薬師発電所(放水位 EL.201.30m)で終わっているが滝波川の出合で100mである。十分落差は取れそう。

新薬師へは狭い路を入って行く必要があるようだ。ガードレールも駒止も無く一寸躊躇する。雨がちの日で,川は割と巾広くはあるが大量の水がぶ厚く(水深 く)流れてるというよりはさらさらと流れ去っていく感じである。

発電所の直下には取水口と簡単な堰があった。ここから下での発電を考える際には此処への給水の考慮は必要になるか。


到着!

建屋と鉄管

放水している。発電中ヨシ♪

正面の銘板

発電所の壁に利水標が。発電所从(したが)って利水標の設置場所の対岸からの取水だけどさっきの堰と取水口は下向用水なのかな?

発電所の壁に貼ってある点,河川名に新薬師発電所の取水口のある杉山川が載っている点,江戸時代からの慣行水利なら利水標はない(見たことない)等の点か ら発電所の放流水を発電所が出来た後の時点で新規に開発した感じか?


下向用水
取水量:0.112m3/s
潅漑面積:36.8ha

さて次は旧中尾発電所の跡地と思われる杉川と滝波川の出合である。新しい橋の下の方の谷底に取水口らしきものがある。
それ程古い感じはしないので農業用水の取水等に利用してるのかも(新薬師PSの運開はもう30年も前である。使ってなかったらもっと朽ちているであろう。 使ってても朽ちてる施設おおいのにw)。

橋から下流側を覗き込むと余水吐っぽいものが。こっちのコンクリートは古そう。

ちょっとアクロバチカルに覗き込むと魚道もあるようだ。


~杉山川~

ナビを便りに取水口を求めて遡上するも行き過ぎる。

ここが正解らしい。森林管理道杉山恐竜道線とのことで萎えるわぁ~。
 

看板に拠ると旧中尾発電所1号発電機がとんでもない山の中にある。
発電機が移されただけ?一寸探してみたけどどこにあるかも不明であった。

降りて行くと取水口が我々を待っていた。


杉川堰堤(仮称)[場 所
堤高/堤頂長:
取水量:1.30m3/s
流域:

あと。取水箇所は不明ながら利水標も発見した。

太田用水
取水量:0.010m3/s
潅漑面積:5.0ha


さて,更に上流へ向かう。堰堤は河合(「こうご」と読むらしい。北谷町があるから北谷であろうか,支流が合流する場所にある)という聚落の外れにある様 だ。


新薬師堰堤(中尾堰堤?)[仮称][場 所
堤高/堤頂長: 6.00m/28.80m
取水量:5.00m3/s
流域:

河合用水
取水量:0.063m3/s
潅漑面積:3.1ha

滝波第一発電所放流口(かな?)[場 所

拡大

但し発電所の立地から対岸。。また地図だと放水点はこ こ

その滝波第一発電所。殆どまともには撮れなかった。。



さてもう一発考える。滝波川第一PSはあるのに何故か今の所ない(更新後の新薬師PSが滝沢第二PS格なのか?)ので滝波川第二発電所である(新薬師が第二格なら滝波川第三で良い)。
地下放水路等で九頭竜川まで運んで落差を確保したい。

距離が長すぎるなあ・・・。
これが出来れば滝波第一12.6MWと新薬師5.0MWと滝波第三7.3MWと連檐することになる。小原ダムの再ゲート化も試みたいところである。
下流部の農業用水との絡みも不明瞭である。保留とす。

[新設案]滝波川第三発電所or滝波川第二発電所
出力:8,900kW[+8.9MW]
水量:10m3/s
落差:105m
流域:105.1km2(新薬師59.8km2+45.3km2)
導水:9.3km(皿川サイフォン)+1.4km(皿川支水路)=10.7km
取水:暮 見川・滝波川[新薬師発電所(6.30m3/s)]・牛ヶ 谷川野 津又川皿 川約200m
放水:九頭竜川 85m



新薬師の下が不透明感なので新薬師を増強してみる。6.1kmで牛ヶ谷川野津又川皿川の305m程度から取水出来る。18.7km2[3.06]。それほど広くはないが,2.0m3/s程度は上乗せ出来るのではないか?

[増強私案]新薬師発電所[→現況
運開:1995.5
水路式・流込式
認可最大出力:6,600kW[+1.6MW]
最大使用水量:8.30m3/s[+2.0m3/s/1.05]
有効落差:97.10m
水車:立軸フランシス水車 出力5240kW×1台+2000kW追加
導水路:総延長4.1+6.1=10.2km
流域面積:59.8+18.8=79.6km2
取水:滝波川・杉山川・牛ヶ谷川野津又川皿川 306.00m
放水:滝波川201.30m

6kmも導水して1.6MW増では引き合わんな~


700m延伸で牛ヶ谷川からのみだと2.6km2[3.71]程度。0.2m3/s程度増強してQ=6.5m3/sにするとP=5,150kW程度には出来そう。

[増強私案]新薬師発電所[→現況]
水路式・流込式
認可最大出力:5,150kW[+0.15MW]
最大使用水量:6.50m3/s[+0.2m3/s]
有効落差:97.10m
水車:立軸フランシス水車 出力5240kW×1台
導水路:総延長4.1+0.7=4.8km
流域面積:59.8+2.6=62.4km2
取水:滝波川・杉山川・牛ヶ谷川 306.00m
放水:滝波川201.30m