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20.9.28運開

馬瀬川開発・和良川関連【和良川現況・開発篇】

飛騨川水系電源開発: 飛騨川 益田川 益田川(源流) 馬瀬川(1.水路図・2.岩屋ダム周辺現況 3.馬瀬川 上流・弓掛川・瀬戸発電 所 4.和良川現況(本 頁) 5.上流開発
5.上流開発 5-0.開発構 想史 5-1.和良川導水開 発私案(本 頁) 5-2.馬瀬川 上流電源開発私案)

馬瀬川の主な支流に弓掛川と和良川があるが,その内,岩屋ダムでも馬瀬川第二ダムでも貯水出来ない和良川関連を此処で検討する。

和良(わら)は今では郡上に併合された旧和良村の中心聚落であり[地 理院(和良)],和良川は上流で四散して鹿倉川・鬼谷川・入間川・更にオンボ谷・東洞等に岐れるが,本流格は鹿倉川の様である。[川の名前地 理院(鹿倉)

色々検討してみた結果に瀬戸第二の廃止(案)も加味すると1.和良川 から馬瀬川第二ダムへの導水(⑤)と2.鹿倉川・土京川からの導水(④)が良さそうである。また3.馬瀬川になるが祖師野堰堤での戸川導水も良さそう。


4.和良川【現況篇】

4-1-1.和良川利水現状
現状では和良川には何もなく,和良川の水は馬瀬川との合流直後の馬瀬川上の広瀬(=左岸小字名)(or祖師野=右岸(一帯?)字名)で下原発電所が馬瀬川 の水と一緒に 取水している形である。

この祖師野堰堤(広瀬堰堤とも・正式には下原発電所馬瀬川堰堤と云うらしい)の流域面積は137km2程である(和良川のこの領域(130.5km2)馬瀬川のこの領域 (6.4km2)の和となる)。一方の益田川の流域は下原ダムの流域面積であり1,147km2である。面積比は1:8と云った所である。

雨天且つ晩秋の夕暮れ時で薄暗い祖師野(広瀬)堰堤
20.11

以下の様な記述を見付けた(下原発電所の項より再掲)。
下原ダム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

下原ダムに付設された下原発電所は当初の計画では1万6,500キロワット(16.5MW)の発電を行う計画であった。その後1936年(昭和11年) 12月10日には1 万9,451キロワットに出力を増強させる計画に変更、さらに完成直前の1938年11月17日には現在の2万2,000キロワット(22.0MW)によ る出力となり、現 在に至っている。…使用 する水量の割合は飛騨川分と馬瀬川分を5対1の比で取水する

中部電力はその後朝日ダムを皮切りに飛騨川流域一貫開発計画による大規模水力発電計画を進 めていったが、下原ダムはこの計画によって大幅な電力発生量の減 少を余儀無くされた。1976年(昭和51年)馬瀬川に岩屋ダムと馬瀬川第二ダムが完成し揚水発電の馬瀬川第一発電所が運転開始、二年後の1978年(昭 和53年)には中呂(ちゅうろ)発電所が運転開始して馬瀬川からの取水量が減少したことにより、完成当時は年間発生電力量が約1億 3,076万キロワット時(130,760MWh)だったのが、両発電所の運用開始に伴い年間1,800万キロワット時(18,000MWh)減と、約7分の1近く減少した※。[wiki (下原ダム)]『飛騨川―流域の文化と電力』 (1979年) 中部電力株式会社

※:wiki (下原ダム)の項では発電量が1/9に成ったと書かれているが『飛騨川』の記述に拠れば18GWh減,詰まり130GW→112GWという事の様 である。


実際に通過水量を概算で計算

面積比(益田川1,147km2・馬瀬川417km2で3:1)に較べると飛騨川の水量が多いよ うに見受けられる。下原が建設された時点で馬瀬川の水は一 部瀬 戸第二を通じて益田川に導水されていたとは云えるだろ うけど(それを計算すると益田川1369m3・馬瀬川195m2で7:1となる。但し西村ダムでの取水量は面積に対してそれ程大きい訳でも無い。5:1と はその中間でまあ割かし穏当だったか。)。

下原発電所の使用水量80m3/sに対して5:1だとすると馬瀬川の担当水量は13.3m3/s程度となる。

益田川:馬瀬川=5:1で使ってた馬瀬川の水がa %に減ったら発電量は8/9になった(水量が8/9になった)。aを求めよという問題である。

益田川の水量をX,馬瀬川の嘗ての水量をY,嘗ての水量を1と正規化して方程式が3本出来れば良い。
X+Y=1
X:Y=5:1
X+aY=8/9

綺麗に解けて
a=1/3
下原発電所 の取水出来る馬瀬川の水は岩屋ダムの建設の結果1/3になったようだ。

馬瀬ルート運開前の130GWhで計算すると16億8千万m3で益田川14億,馬瀬川2億8千万m3って感じ。瀬戸測水所で14億だとすると東上田ダムで 9億9800万m3/年って所か。
この数字を使うと馬瀬川の水は9千万トン程になったということになる。そしてこの殆どが和良川の水ということになりそうだ(岩瀬ダムの運用は未入手であるが佐久間ダムも新豊根ダムも水窪ダムも殆ど水を漏らしていない[→この辺参照])。
137km2(先程の和良川のこの領域(130.5km2)馬瀬川のこの領域 (6.4km2)の和)で9千万トンだとちょいと少ない感じもするけど,取水量を4割弱[→この辺参照]とすると通過水量は2億4000万トン程度となり100km2辺りの通過水量は1億7000万トン程度となる。

5・馬瀬川開発
5-1.和良川導水開 発私案

1.【和良川導水】   
先ずは直ぐに思いつくし結 構近 いし,川の弯曲部で集水出来る形も良好でお気に入りの「馬瀬川第二ダム(満水位314m)へ送る」である。

和 良川(313m辺り)から馬瀬第二ダムへ導水をしてその分馬瀬第二を動かせば良いだろう(今はピーク用に徹している感がある)。導水距離は僅か1.4km程で 済む。和良川本体から岩屋ダムへは遠い(下の施策(A)がそれである。)。
これは嘗ての岩瀬ダム(構想V=1,750万トン)的な存在となる。満水位314mでダムを検討してみるとこんな感じに。

岩瀬ダム[場所]
堤頂長:130m 堤高:45m程度?
湛水面積:222,000m2 (22.2ha)
有効貯水量:200万m3程度か
導水:1.1km(馬瀬川第二ダム)

こんな感じである。

岩瀬ダムの構想(V=1750万トン)に近づけるにはやはり岩屋ダムと同じ程度の高度にする必要がありそう。満水位411.0mでやるとそんな感じになりそうだが和良中心部の大部分が水没してしまう。

流域面積は 130.5km2もある。友人のお爺ちゃんの家がある超田舎の和良舐 めすぎやった。済まん。郡上八幡のおまけでサンショウウオしかいないぐらいに思ってたw膨大な包蔵水力があるようだ。

ダムがあるので 直接発電に使う訳ではないので多めの水を確保しても良い。観測史上最高は有峰の足谷であり流域:3.3km2に対して取水 量:16.7m3/sと,我が勝手な指数(x=10m3/s/km2)だと驚異の50。まあ通常は石徹白ダム有峰引水の100km2で 20m3/sでx=2.0~2.5程度が穏当?
ここも25~30m3/s程度は取れそうで,しかも大容量の馬瀬川第二発電所(Q= 113.00m3/s)な ので使いこなすことも可能。


2.土京川・鹿倉川導水    
計画図 1965年 (S40)の飛騨川筋開発一覧図 第 4次水力調 査地点(1956~1959)]

和良川支流410m辺りから岩屋ダムに導水する。土 京川(414m)鹿 倉川(422m)辺りが近い。
最上流部での水源開発(青屋川の朝日D貯水小坂川流域での貯水秋神川での貯水)に伴い中呂PSからの20m3/sを尖頭常時的に流せるよう にしつつ和良 川上流の水源を併せて馬瀬川第一・第二発電所をしっかり稼働させるという全体的な意気込みである♪
この場合,鹿倉川と土京川の取水域はこんな感じになる。53.6km2ってとこ。鹿倉川─3.5km─土京川─2.9km─岩屋ダムと云う感じである。
 鹿倉川は和良川本流の最上流の名称の様である。また土京川は(一寸谷が深く 削られていて?)同じ標高から取水しようとすると一寸北 に位置 している。

[私案]計画図   


1965年 (S40)の飛騨川筋開発一覧図    
知らずに妄想したが,やはり『飛 騨川』からの引用だが,現行設備が整ってきた1965年 (S40)の飛騨川筋開発一覧図に拠ると,岩屋ダムと瀬戸第二発電所を前提として,弓掛川を瀬戸第二専 用として馬瀬川上流部から西村ダム (詰まり瀬戸第二取水堰)をスルーする形で岩屋ダム湖に直接落として発電しつつ,土京川と鹿倉川から岩屋ダム湖に導水する図を発見した。瀬戸第二の救済を(諦めがちに)考えつつ岩屋の導水も貪欲に行く。今回の(案)と全く同じ事考える のは俺だけ ではないんだなと共感を禁じ得ないww
こんな形がシンプ ルで理想的なのかも知れない。
出典:『飛騨川』
この前の時点の第4次水力調 査地点(1956~1959)]での構想だと以下の通り。    


3.【下原救済の為の戸川からの導水】     
1.6km程の導水で25.25km2程取水出来る。結果祖師野(広瀬)堰堤の流域面積は和良川導水を前 提とすると130.5km2→78.9km2(直6.2km2・間83.5km2)程度(50km2程減)という 感じ。


ほぼ導水距離無しで利用出来るのが麻生谷(こ こ)5.3km2である。


基本80m3/sも水を使う下原は水不足のまま放置で更新時期が来たら60m3/s程度にリプレースか今2台ある水車を1台にして使用水量も40m3/s にしても良さそうな気はしている。

馬瀬川上流部の開発構想の流れこちらに纏めた。
結果を表に纏めるとこんな感じであった。


取水域
流域面積 放水先 導水
距離
面積効
率指数
発電
指数※1
発電効
率指数
摘要

鹿倉川・土京川 53.6km2 岩屋ダム(410m) 6.4km 8.38
7,611.1
1,189.3


和 良川 130.5km2
馬 瀬川第二ダム(310m)
1.43km
91.26
5,481.0
3,832.9
和良川活用案】 勿 論落差は低い下原に影響を与えるがとんでもなく効率は良い。

⑤+④(鹿倉川・土京川)
76.9km2※2 馬瀬川第二ダム・岩屋ダム
7.83km
16.67
10,841.0
1,384.5

※1:発電指数は流域面積km2×落差(放水位-268m[下原発電所取水位])
※2:和良川の面積(上流導水の残余)の数値
※3:落差は450m(瀬戸2取水位)-406m(馬瀬1取水位)=44m