電 力総研 水 力あれこれ
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24.9.17改造
20.9.28運開

馬瀬川上流開発私案

飛騨川水系電源開発: 飛騨川 益田川 益田川(源流) 馬瀬川(1.水路図・2.現況 3.馬瀬川上流(3-1.上流・弓掛川・瀬戸発電所 3-2.開発 史) 4.上流開発 4- 1.和良川開 発 4-2.馬瀬川上流開発案)


4.上流開発   
4-1.和良 川開 発 4-2.馬瀬川上流開発

馬瀬川上流は清流である。。いつか大阪の道路を運転してて何気なく前のクルマに貼られてたステッカーを凝視するとMaze…となっており,暫くなんのこっちゃと思って考えたら馬瀬の様であった。
馬瀬川やん!とテンション上がったが,冷静に考えれば発電趣味者とは利害が衝突しかねない釣り人のクルマっぽかった。

先ずはそこを何とかクリアしないと行けない。清流とは云え岩屋ダムで完全に川は 分断されており,海から遡上は出来ないのであるけれども。。
海から遡上する魚は無理でも岩屋ダム辺りと繋がる事で回遊が可能になる魚もいるのかな?岩屋ダム建設時には地元からは西村ダム撤去を等という声も上がったそうな。

4-2.馬瀬川上流開発    
現在の私案では以下の2発電所を建設したいと思っている。
[私案]馬瀬川第三発電所(小原第二発電所・西村発電所)  出力:12,700kW[+12.7MW]  水量:15.0m3/s 落差:100m 流域: 185km2 
[私案]馬瀬川第四発電所(小原第一発電所・小原発電所) 出力:18,300kW[+18.3MW] 水 量:10.0m3/s 落差:215m 流域:76.7km2

先ずは最後迄計画に開発候補として残った西村発電所(の可能性)から見て見る。
佐見川の項で纏めたが,1962 年1965年と来て下図が最新(1979)の?最後の?発電計画。
現在と比べて小坂川の計画が入ってないが馬瀬川には西村発電所と小原発電所の2案件が残っている。1965年の計画ではぞれぞれ小原第二と小原第一となっている発電所である。
出 典:『飛騨川』
この1979年(S54)の『飛騨川』執筆時点での計画と思われる計画に以下の様に載っている(こちらに は小坂川が載っている)。
発電所名
最大使用水量
有効落差
発電力
とは記入備考
新七宗
(実現値)
95.0m3/s
(95.0m3/s)
25.4m
(24.57m)
19.7MW
(20.0MW)
1982.6運開
新上麻生
(実現値)
80.0m3/s
(80.00m3/s)
87.17m
(88.5m)
60.2MW
(61.4MW)
1987.6運開
小坂川
(実現値)
6.0m3/s
(6.0m3/s)
432.7m
(423.9m)
21.0MW
(21.3MW)
1983.11運開(こ ちら参照)
西村
18.0m3/s
79.5m
12.0MW

佐見川
9.5m3/s
194.7m
15.7MW
水車効率87%(こちら参照)
小坂川迄は実際にそれも可成り近い値で実現している。西村ダムは清流馬瀬川に沮まれた形か?佐見川はダム建設が付随しておりやはり水没人家の多さが原因 か?
いずれにせよ西村発電所は実現しなかった。最大使用水量18m3/sは結構大きい。また弓掛川からは取水せず馬瀬川の岩屋ダム湖畔から80m程上がった馬 瀬惣島(地 理院G 空撮)辺りでの取水を考えて居たようである。
偶々旧橋と平行してた(こ こ)ので撮った写真。この橋も記憶に残ってるが撮っておけば良かった(ちょっと迷った記憶はある)
23.2

その下流の坂本橋付近。降雪后数日と云った感じで雪解け水で割と冬期にしては水量豊富な感じであった。冬場の戦力としても期待出来そう。
23.2

上流の計画を立てるに当たって,水を何処に落とすのか(西村堰堤か岩屋ダムか)は一つの大きな争点であったが,『飛騨川』のこの計画図及び西村ダムでの運用(割と全部水を取ってく感じでも無い)の二点で岩屋ダム湖畔 で発電案で確定でいいだらう。

【西 村発電所構想】
527mの弓掛川(明宝小川の聚落の真下・家 谷川との合流点名 称不明河川(浅谷川?)との合流点の下部に堰堤建設か?)と馬瀬川(惣島より上流の名 丸付近)で取水すると良さそう。
185km2あって18.5m3/s(1979案の水量と近い!弓掛川からもこちらは含んでいる(詰まりもう一寸沢山取水出来そ う)上に有効落差も100m)程 度はガメれそう☆
その分,計画の18.5m3/s程取らなくても(その分川に流せる!)12.7MWと計画程度の出力を得られる。

[新設私案]馬瀬川第三発電所(西村発電所)   
出力:15,700~12,700kW[+12.7MW]
水量:18.5~15.0m3/s
落差:100m
流域: 185km2[1.00~0.81]
取水:弓掛川・馬瀬川527m
放水:馬瀬川[岩屋ダム]415m

水域は以下の如し。 この馬瀬第3発電所(or西村発電所)を建設する場合の瀬戸第二発電所(最 大使用水量:15.50m3/s・水車2台)の流域の大 半を占める西村ダムの217.3km2 ( 直接:163.3km2 間接:54km2[弓掛川] )の大半が失われることになる。発電所が絡み合う馬瀬川。和良川導水開 発時の下原発電所とかこんなんばかりだw


【瀬戸第二の救済策】
これだと瀬戸第二(Q=15.5m3/s)の取水域は31.8km2程度しか残らない。。 ということで下の地図の様に更に3.5km程導水路を延ばして和良川上流の土 京川から16.0km2 程取水するとかの荒技もあり得るかも 知れないとも思ったけど,これをやっても31.8km2が16.05km2増えて47.9km2程度に増えるのみで瀬戸第二の最大使用水量 15.5m3/s確保には遠く及ばない。土京川の水は和 良川の岩屋 ダム導水でも検討した様に岩屋ダムへ送るのが良い気もする。

31.8km2程度しか残らない
下流部の流域を拡張しつつ再掲するとこんな感じに。弓掛谷迄サイフォンで水路を延ばしたり,三ツ谷等途中の谷の水を頂いたりしても31.8km2程度しか残らない流 域が41.9km2程増えた。
更に西村ダムから発電所に向かう途中で,既設の鍋床谷・若佐谷に加えて,厚谷・猶山・保井戸辺りでも取水すれば最大使用水量15.5m3/sの内,半端な 0.5m3/s程度は確保出来そうである。
また弓掛堰堤では現行で2.78m3/sの取水量である。弓掛谷や三ツ谷の水を取 水して西村ダムへ送水する余裕は十分あるだろう(導管には余裕を持たせるものらしいので3.0m3/s迄なら導水出来そうだ。)



取水
流域
導水
摘要
瀬戸発電所



保井戸 1.06lm2 67m
猶山 2.06km2 163m
厚谷 3.01km2 37m(トンネル)
若狭谷 3.43km2 94m 既設・位置は推定
鍋床谷 1.00km2 0.0m 既設
西村ダム



三ツ谷 0.76km2 0.0m
弓掛谷 3.50km2 1.3km(サイフォン)
土京川
11.73km2
2.3km

弓掛堰堤



面積小さい鍋床谷が設置されてるのは西村ダムのすぐ脇で沈砂池とか共有出来るからだと思われる。
若佐谷程度が欲しいとなると厚谷と弓掛谷かねぇ。。土京川もそれなりに遠いがまあL=3.6kmで15.2km2ならやっても良さそう。

更にはサイフォン使って対岸の弓掛谷迄延ばすならもう一寸で土京川である。何も瀬戸第二の取水位を併せる必要も無くて流域面積あ たりの距離が最短になるになるように設定すれば良い。根本付近(取水位540m)だと支流を併せることが出来る。

以上で41.9+11.7;+5.8+若狭谷=60km2程は確保出来た。あとは上からの取りこぼしや意識的な放流で水を確保するのが良いか。

とはいえ,瀬戸(第二)にそんなにカネ掛けることなさそうな感じも強い。
この土京川導水,岩屋ダムへの導水も込みで(水が過剰な時は岩屋ダムに貯められる)機能しそうで色々試して(→和良川)比較検討した結果こいつを組み込むプランが割と良さそうであった。

【疑問】
本頁冒頭でみた最期(1979)の案のみならずここでみた1965年の案でも西村発電所(の相当物は)瀬戸第二を 無視して設定されている。どういう水運用を考えて居たのであろうか?
【現時点での暫定的な解?】
平水期を基本に設計された戦前派の瀬戸2なので増水期を中心に運用すれば十分な取水量が取れる感じであろうか??ゲートレス化もその方向性を示唆してる感 じもある。
とはいえ15.5m3/sは大きい量である。寧ろどちらの計画も弓掛には手出ししてない。本流は岩屋ダムへ送り,弓掛川は譲ると云う思想か?
→本稿でも瀬戸(第二)はあんま考えずに開発(案)を考えたが弓掛迄手出しする分救済策を考えてみたという形か。


<対照案>
上では瀬戸(第二)を考えずに開発(案)を考えて,そのフォローとして導水を考えたが,この疑問を積極的に回避する別の考え方もあり得る。
ここは下の画像でマウスオーバー後の地図画像の様に馬瀬川第三発電所(西村発電所) (案)は岩屋ダムへ直送で は無く一旦西村ダム湖畔で発電,その後,瀬戸第二へ送る水 と岩屋ダムへ送る水を西村ダムで振り分ければ良さそうである。
ということで,新発電所の流域の185.5km2と併せて185.5+41.9+11.7=239.1km2の流域の水が西村ダムに集められる。こちらで詳細提示しておいたが未成の計画案でもこうなってなかったしまあ保留で。★★


【小 原発電所構想】        
ここは計画案もあったことだし調子に乗ってもういっちょ上でも行く。

76.8km2 7.7m3/sかな

76.7km2で,落差は200m超なので近年の近年の平谷PSの様な[→纏めて見た](落 差を取って)流域面積当たりの取 水量を多めに確保する傾向に従うと12m3/s程度は行ける。清流の河川維持流量を厚めに積む感じで抑制的に行く。

[新設私案]馬瀬川第四発電所(小原第二発電所)     
出力:18,300kW[+18.3MW]
水量:10.0m3/s
落差:215m
導水:11.6km
流域:76.7km2
取水:馬 瀬川750m
放水:馬瀬川530m

馬瀬川は31.4MW新設増強,中呂も出来れば30m3/sにして和良流域から取水や場合に拠っては瀬戸第二の廃止で増強がメインということになる。[→益田川第二ルート構想私案だと中呂PSは40m3/sに倍増!]

と,此処迄何も考えずに調子よくガシガシ開発してきたが馬瀬川,清流としても有名でアユ釣りが盛んなのだそうな。。(馬瀬第二・岩屋・西村と三つもダムが あるので基本放流であろう。岩屋ダム建設時には西村ダムを廃止との声も上がったそうな。)
其処で延べ26.1(馬瀬川系統)+13(和良川系統)=39.1m3/sも取水して31.4MWも増強出来るのかどうなのか不安にはなる。
76km2で10m3/sってのは出水時に沢山発電しようという近年の設計思想である。通常時は多めに河川維持流量を流すなどし,馬瀬川750mの取水堰 には多少の貯水量も確保して不特定利水への配慮もしておきたいところ。

上では西村ダムを活用少なくとも存続する方向性としたが,妥協策として 西村ダム・弓掛堰堤・瀬戸第二発電所の廃止等も視野に入って来るであろう。
馬瀬川第三・第四の取水施設には魚道等も完備し補償等でも誠意を持って対処し(再エネ電力で利益を享受する)日本マクロ経済と地域社会と豊かな自然環境の 共存共栄を図っていきたい所である。