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小口川の水力発電(23.7訪問)
常願寺 川概観常願寺川・称名川立 山付近・有峰開発[和 田川右岸(在来)第一 ルート[水量小]和田川右岸(新)第二ルート[水量中]和田川左岸(有峰) 第三ルート[水量大]・有峰導水・上流部(神通川水系)]・ 小 口川[祐延ダム小口川第三真立ダム小口川第二・(有峰第二)・(小口川ダム)・(有峰第三)小口川第一小俣ダム

凄いダムと発電所だ。
先ず祐延(すけのべ)ダム。常時満水位,驚異のEL1,400.5m!
21.7に黒部川と常願寺川をぐるっと回ったのだけど,小俣ダム(→小口川にあるが本来水源的には有峰開発・和田川第二ルートの施設)・小口川第一発電所 (新中地山PS併設)有峰第三発電所放水 口(→小口川にあるが水源的には有峰ルートの施設)・有峰第三PS(地下SP)トンネル入口ぐらい しか見れていない。その時(21.7)は初富山水発調査行で黒部も有峰も立山も有料部分へは入らず先ずは無料で見れるとこ ろを優先したのである。
その後,一応纏めつつ割と放置してたんだけど,23.5になって熊野川を 纏め ているうちに小口川にも辿り着き,改めて調べて見ると,有料の有峰林道小口川線を使えば沿川にある小口 川 ダム(→小口川にあるが水源的には有峰ルートの施設)・有峰第二発電所(→同じく有峰ルートの施 設)・小口川第二発 電所祐延ダムと祐延ダムへ導水したいと思ってる西坂森谷を 一気に見て有峰ダムへ到達出来そうである(真立ダム小口川第三はちと離れていて接近方法不 明→こんな文章みっけ「今回ご紹介するのは,当社全水力131発電所のうち,河川維持流量発電所 を除いて唯一車両のアクセスができない小口川第三発電所 (1931年運転開始,出力14,500 kW)と,発電所直下にある真立ダム(1929年竣工)です。」[『電 力土木』北陸電力])
そぞろ神のものにつきて心をくるはせ、道祖神の招きにあひて,あやしうこそものぐるほしけれであるw 徒然なるままに越の細道でも再決行せねば♪

先ずは机上調査での結果をメインに上流から纏めて見る。和田川右岸第二ルート和田川左岸有峰ルートにはそれぞれ逆調整池として小俣ダムや小口川だむが建設されたが,それに先 行する小口川では小口川第三ダムの下流に特にダムは建設されなかったようである。2~3m3/sでは逆調整池は不要 ということか。昔は小俣ダムに代わる何かが旧小口川第一発電所の放水地点にあったりしたかも知れない。

~小口川~

【祐延ダム】

祐延(すけのべ)ダム[便覧][水力]   
河川     常願寺川水系小口川
目的/型式     P/重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積     45.5m/125.5m/44千m3
流域面積/湛水面積     6.8km2 ( 全て直接流域 ) /60ha
総貯水容量/有効貯水容量     879.0万m3/875.3万m3
ダム事業者     北陸電力(株)
着手/竣工     1928/1931
    天端標高:1401.470m
    常時満水位標高:1400.500m
      越流頂標高:1399.650m
     最低水位標高:1372.00 m
       基礎標高:1356.015m
放水:小口川第三発電所2.78m3/s

なんとまあ呆れる程高い場所にあるダムである。
何も知らない私が,有峰との間で揚水すれば良いのにと思ったけど実際相手が有峰 ダムで はないものの揚水運転をやってた事もあった様だ。
流石にこんなに高いと流域面積が6.8km2しかない。
普段の基準だと0.7m3/s程度しか取れない所を2.78m3/sも大量に(w)使ってる代わりに元揚水の上池でもある875万m3(凡そフル稼働で1 カ月分)のダム湖の貯水量で カバーという事である。

>全集水面積は 7 km2 程しかなく主に融雪期と梅雨期のダム流入を貯水することにより年間運用しています。[『電 力土木』北陸電力]

小口川第二を過ぎると道路脇から見られる発電施設はなくなりひたすら山の中を走る事になる。
随分走ると漸く古びたダム堤体が見えてくる。

割と古い上に厳しい自然もあってコンクリートも大部くたびれている様に見える。

堤体裏・ここもやはり渇水期の様だ。


綺麗な湖。


有峰ダムにも貯水されない西側和田川支流の西坂森谷(足谷)の上流部に堤高高めのダム造って導水したい (→地理院に記載がないだけで導水路はあるようだった。さすがにねぇ。。)。
小口川支流の名無しの北川の支流にも造れそう。ぞれぞれ1.25km2と1.06km2である。2.3km2となれば1.34倍に出来た事になる。
水量倍増とは行かないだろうが高落差を利用した14.5MWの小口川第三がより活躍出来るであろう。和田川支流分は小口川第二・第一に取って水量が純増と もなる。



~足谷(西坂森谷)[和田川支 流]~

有峰貯水池足谷取水口[ひ ろし][まるがり][水力
取水量:16.7m3/s[←結構デカい]
流域:3.3km2[←とは調べ(推定)・小さい…]

現地でも場所がわからんかった。。→ひょっとして林道脇のこ れ[G]!?めっちゃ簡単にいけますやん…orz
有峰林道の橋より下流側だとばかり思ってたら上流側だった。。志村後ろ後ろである…orz

それにしても面積に比して取水量は莫大である。比率は過去最高かも?

莫大な貯水量に比べて流域面積が(意外に)狭い有峰貯水池なので集水に必死なのであろう。
元々は地味な和田川の上流ってだけだしな。




北陸電力(株) 小口川第三発電所[水力] [DB]       
運開:1931.11[日本海電氣(株)(14,000kW)]・揚水運転:1934-1978
ダム水路式・貯水池式 (元混合揚水・年周期)
認可最大出力:14.500kW      常時出力:3,700kW[25.5%]
最大使用水量:2.78m3/s[0.44]
有効落差:621.20m←デカいw(一般水力に於いて日本最高落差だそうな。とはいえ嘗ては揚水もやっってたとのこと。)
水車: 出力14900kW×1台
導水路:総延長3,794.9m[3,8]
流域面積:7.9km2
取水:小口川[祐 延ダム] 他4(候 補1候 補2候 補3候 補4候 補5) 計5箇所※ 1400.5m  ※:DBより。但し水力さ んに拠ると小口川第二の少なくとも一箇所の沢は 取水を停止しているそうなのでこちらも既に停止している のかも知れない。
放水:真立谷川[真 立ダム]746.85m→小口川第二発電 所


真立(まったて)ダム[水力] [川の名前地図]   
常願寺川水系小口川支流マツタテ川
昭和2(1927)年:着手    昭和4(1929)年:竣工
堤高:21.818m、 形式:バッドレスダム(扶壁式)→貯水量の少なさ故の扶壁式であろう。
総貯水容量:2.6万m3    有効貯水容量:2.3万m3[2h] ←小さいw
天端標高:749.172m4
常時満水位標高:748.263m      最低水位標高:744.063m       基礎標高:727.354m
流域面積:23 km2(直接3.2km2・間接19.4km2)←直接間接はとはずがたり計測。合計 22.6km2とほぼ合っていそう。
湛水面積: 0.01平方キロメートル
受水:小口川第三発電所2.78m3/s7.9km2・小 口川11.5km2・マ ツタテ川3.2km2 ←此処で増える水は流域面積14.7km2分である。祐延ダムが7.9km2でV=875.3万m3・Q=2.78m3/sを提供するのと比べてV= 2.3万m3・Q=0.36m3/s分とまあ物足りなさはある。小口川を堰止めたりしてもう一寸貯水量増やせないものやろか??
送水:小口川第二発電所3.14m3/s

水力さんは小口川上にある様に書いているが地図だと正確にはマツタテ(真立)川上にある様に見える。
小口川線は近くを走っているものの,道は通じて無く,祐延ダムか小口川第二から山道を歩いてじゃないと辿りつけないとんでもない場所の様である(斯くして冒頭の「当社全水力131発電所のうち,河川維持流量発電所を除いて唯一車両のアクセスができない 小口川第三発電所」に繋がるのである)。


さて,小口川第三発電所が(混合)揚水発電をやっていた時のお相手の下池がこの真立ダムとのことである。貯水量は僅少の2.3万m3w
揚水量が毎秒どんなもんだったのか不明であるが,貯水量を使うのでは無く,小口川と マツタテ川の沢水を汲み上げて祐延ダムに貯める運用だった様だ。
恰度繁藤堰堤穴内川ダムとの間で混合揚水 をやっ ている穴内川発電所運用と同じである。木曽ダムと牧尾ダムの間の三尾発 電所も木曽ダムの利用水深は結構浅く,佐久間ダムが溢 れそうな水を毎日 新豊根ダムに避難させる様に見える新豊根発電所も 水量こ そ違え似たような運用と云えるのかも。(割と初期の)混合揚水って結構そんな感じ(=系統の為に揚水すると云うより自分の水確保の為に揚水するという感 じ)なのかも?

北陸電力(株) 小口川第二発電所[水力] [DB] [場 所]←林道小口川線の直ぐ脇で見学できそうである。  
運開:1929[ 日本海電氣(株) ]
ダム水路式・調整池式
認可最大出力:5.600kW  常時出力:2,200kW[39.3%]←常時高いな。。
最大使用水量:3.14m3/s[1.36]
有効落差:220.00m
水車:2台 総出力5840kW
        導水路:総延長3274.0m
    流域面積:23.1km2
    取水:小口川[真 立ダム]他4(候 補1候 補2候 補3候 補4候 補5候 補6候 補7=1・2・3・6・7辺りが大きめの沢に見える。。) 計5箇所※ 748.3m ※:DBより。但し少なくとも一箇所の沢は取水を停止して いるそうで,チロル式の取水口の上に岩が乗っかってる写真がある。維持のコストの方が大きいのであろうか。再整備してFIT認定とかできないのかな??
    放水:小口川[小 口川第一発電所2.61m3/s]510.2m

3.14m3/sの水を放水するが直下の連檐する小口川第一は2.61m3/sしか水を使えず少量であるが0.53m3/s程漏らしてしまう。
更に,小口川第二取水口から同放水口までの流域6.1km2分の水も使えないと云う事になる(まあ絶えず最大流量流している訳では無いだろうが)。小口川 第二は14.7km2の流域から0.36m3/s分増 やして利用している。
小口川第一が古く,後から建設した方が電力需要が増えてて大きな発電所を建設した可能性も有るし,小口川第一は有効落差が小口川の中では比較的小さく 161mしかないので余り大容量の設備を建設するにペイしなかった可能性などもあり得る。
また此処で使い切れなくても直下に在る有峰用の小口川ダムが受け 止めて有峰第三発電所で有効活用できると思えなくもないが,この小口川ダムは有峰第二の放流する 74.0m3/sを逆調整して有峰第三の使う26.0m3/sに均す役目がある。
新小俣ダムを構想して逆調整機能を下に持ってくことで尖頭調整力を上げることを考えて居るのであるが,その際に必要な逆調整池機能は大きく減少するのでこ の辺のバッファーとしても使えそうである。

有峰第二や第一と比べると古さを感じさせる建屋。

鉄管

直ぐ上流には砂防ダム。発電所を護っている。



【小口川ダム】

有峰第二発電所[→有峰左岸ルート
出力:120,000kW   水量:74.00m3/s 放水位:424m


小口川ダム[→有峰左岸ルート
貯留量:V=146.9万m3  取水:有峰第二74.00m3/s 424.0m 放水:有峰第三26.00m3/s 429.0m



有峰第三発電所[詳しく はこちら→有峰左岸ルート
21.7


【小俣ダム】   
有峰開発で和田川ルートが開発された際に建設された。その際に小口川第一発電所が水没するので移転 したそうな。
その際に同じ湖面に放水すると云う事で同じ建物に入れたそうである。詳しくは和田川ルー トの項を参照。従って戦前運開のシステムだけどここの建屋は高度成長期のもの。
それに加えて有峰第三発電所の放流水も流れ込んできて,100mつづ違う三つの発電所の水を受け止める。

有峰第三発電所放水口[→有峰ルート
出力:20.0MW 水量:26.0m3/s 落差:92.0m 取水:小口川[小口川ダム]429.0m

北陸電力(株) 新中地山発電所[→和田川ルート
出力:73.5MW 水量:33.0m3/s 落差:259.30m 取水:和田川[新中地山ダム]604.00m

北陸電力(株) 小口川第一発電所[水力
運開・1924/8[ 中越水電(株)[wiki]2,600kW ]
水路式・流込式
認可最大出力:3,200kW   常時出力:1,000kW
最大使用水量:2.61m3/s
有効落差:161.3m  基準落差158.0m←なんだ??
水車:最大出力3320kW×1台
導水路:総延長2061.0m
流域面積:29.2km2
取水:小口川[小 口川第二発電所3.14m3/s]502.4m
放水:小口川[小俣ダム]328.1m

新中地山発電所と同じ建屋に二つの発電所が入ってい る珍しいケース。
21.7
また発電所は小俣ダム湖畔に建っていて直ぐ下はダム湖である。

小俣(おま た)ダム
北陸電力(株)
目的:発電
堤高:37m
流域面積:274.6km2 ( 直接:36.6km2 間接:238km2 )
総貯水容量/有効貯水容量:76.1万m3/58.7万m3
着手/竣工:1958/1960
取水:小口川[小口川第一発電所1924・2.61m3/s・新中地山発電所1959・33m3/s]
送水:小俣ダム発電所・小俣発電所(30m3/s)
21.7


(常願寺川合流EL.263m)

纏め:

最大出力
常時出力
最大水量
水源
放水先
改良
小口川第三
14.5MW
3.7MW
2.78m3/s
祐延ダム
真立ダム
導水・揚水化など
小口川第二
5.6MW
2.2MW
3.14m3/s
真立ダム
小口川第一発電所・小口川ダム

小口川第一
3.2MW
1.0MW
2.61m3/s
小口川第二発電所
小俣ダム


おまけ
有峰を調べていて有峰から跡津川にかけて跡津川断層が走っていてその鞍部が有峰有料林道の入口(現在では通行止めが続いていて終点)の大多和峠の様であっ た。
一方で西坂森谷祐延から長棟経由で茂住谷にも断層が並行して走ってる そうな。こんな風に繋がっていたなんて。地球,ダイナミックだな♪
出典:地 震本部