<室山野用水>
▲ 急流に豊富な水量と水発の条件を完璧に満たしている早月川。発電所も上流・下流を中心に輻輳 しておりやや こしい。 色々調べて行く内にどっかで見たことあるなあと既視感に襲われたがやっぱりおまえだったかっww→[山行が・早月川の左岸道路(仮称)] しかも重要地点である蓑輪と中村の間というピンポイントなセレクション。参りましたと平伏するしか無いw(しかもこの回,水路との絡みが多い。何処迄行っ てもヨッキには先回りされてる気分だ。) さて,そのレポの中でよっきは >これより古い大正3(1914)年の地形図も確認しているが、そこにはこの道も隧道もなかったこと と書いているが,下流の早月第一・第二発電 所の運開がそれぞれ1918・1919(パリ講和会議!)であり,しかも両発電所はまだ手前も手前の早月川の扇状地の上であり,蓑輪の更にその奥 地へ開発の手が伸びるのはもう一寸後に なろう。 立山水力電気(株)の手に拠って上流から中村発電所運開: 1920(T8).8・蓑輪発電所運開:1926.12なのである。 但しその更に上流の最奥部では白萩発電所の 運開:1918.5とここらをすっ飛ばして既に開発は始まっていたようではある。今から100年以上も前にどの様な検討があったのか,興味は尽きない。 (上流域の方が勾配的には有利だったので有ろう。) 勿論,山室野用水など更に時代を遡る江戸時代に今の中村発電所や伊折発電所のある辺り(中流域?)に建設されてはいるのであるが。 [ひる の なりかわ]というブログの「大日公園と室山野用水」と いう記事の下の方に室 山野用水路(パイプライン)という写真があって中村発電所導水路直結で(分岐が中村発電所より上(発電前)で)「共通幹線用水路」が 分岐しそれらから 室山野用水路と東福寺野用水路が分岐している看板地図が載っている(是非見に行きたい→堪らず現地迄行って来たw・難なく同じ物が見つかった!これ↓)。 23.5 この東福寺野用水の室山野用水からの分岐直後のU字型カーブこそ将 にヨッキが間違 えて行き過ぎて停まった箇所(左岸道路の記 事のここ・よっき作成の地図ではこれ)であろう。 ここの標高は地 理院だとEL.307m。中村の堰堤よりも高く,矢張り中村発電所の手前で分流させてるらしい。 1920年より前の中村発電所運開前はどんな上流 から取ってたんだ?!(→下の図で判明。)またヨッキは蓑輪発電所の導水路を室山野用水の現水路と書いてるけど,これは高度が低すぎる。これとは別に山室 野・東福寺野の用水路 (共同幹線水路トンネル)があると考えた方が良さそう(→上の図でも中村発電所の導水路の途中分岐と描かれており,蓑輪発電所の導水路ではないのははっき りしている様に思う。これは地理院が共通幹線用水路を描き損ねているのも原因の一つと思われる。)。 ヨッキがこ こら[地理院]で見かけた看板(是 非見 に行 き たい・→現地訪問でもこいつは見つからなかった)に拠ると(潰れていて見づらいが)山室野用水の取水点はほぼ現中村発電所取水点のようである(ただ標高 300mちょいで取水すれば良いから江戸時代 の人が取水点をそんなに高い所に取るのは可怪しい気がする。精々こ の辺かも)。l →怪しいと思ってた傍からもっと上の方にあった(伊折取水地)との記述を見かけた。[立 山日和] >東加積(カヅミ)台地をさらに上っていくと「歴史的土地改良施設案内」の説明看板が上がっていました とあり,「現在中村取水地 標高340m」「旧伊折取水地 標高400m」と記載された看 板(これ)があるそうな。見に行きたい。。(→堪らず現地迄行ってみてき た。見つかるか不安だったが意外にあっさり見つかったが色褪せていた。。クリックで拡大) 23.5 中村ダムの取水位・伊折発電所の放水位が360mであることを考えるとこの標高340m・標高 400mの正確性に聊かの疑問が残るところ(少なくとも現在 中村取水地標高340mは明確な間違い?)であるが現時点で は未解明である。 既に伊折発電所も中村発電所も運開後の1977 年の竹内氏の論 文『富山平野における隆起扇状地の水田造成と灌漑について』に寄ると,400mの等高線が引っ込んでゐるので桑首谷出合と思われる場所の直ぐ上流(EL.350m 付近)が取水口となっている地図を発見した。 取水地点はほぼ現行の取水ポイントの中村発電所堰堤と同じ様な位置ではあるが,水路はうねうねしていており,特に中村発電所との共通導水には全く触れられ ていない。 この当時 (77年)は未だ室山野用水と中村発電所は取水点こそ共通でも別々のルートで室山野用水は地上区間の旧水路(『山行が』の早月川のレポの現在地に描かれている。)を利用して いたのかも知れない。 なお,この論文だと「室山野」に「もりやまの」と振り仮名が振ってある。 現地の看板では「むろやまの」となっており,昔はもりやまのと呼 んでたけど漢字表記に引き摺られて今ではむろやまのと呼ぶようになってしまったのかな? 決着には角川地名辞典辺りを参照する必要がありそう。 |
上流の馬場島と白萩の使用水量を単純合計すると13.16m3/s(+7.59m3/s)である。 比較的新しい伊折発電所の流域面積に対する水量の比率は[1.40](中村のそれは0.57)であり,中村発電所の水量を同等に引き上げるとすると 13.4m3/sとなる。 同様に比較的新しい馬場島発電所の流域面積に対する水量の比率は[1.89](中村のそれは0.57)であり,中村発電所の水量を同等に引き上げるとする と 18.0m3/s(!)となる。 同じく伊折の認可最大出力に対する常時水量の比率は[27.8%](中村のそれは72.1%)であり,中村発電所の認可最大出力を同等に引き上げるとする と11,100kW(+6.8MW)となる。対応する水量は13.77m3/s(+8.2m3/s)となる。 まあ結局いずれにしても中村発電所地点で最大13.0m3/s程度が期待持てそうな感じではある。 山室野用水・東福寺野用水への分水が必要である点を割り引く必要があるとしても,上のどの基準を援用しても大幅な増強が見込めそうである。 6.47m3/s(+0.90m3/s)で水車を交換すること無く出力を5,000kW(+0.7MW)に上げられる。 13m3/s程度迄上げられそうであるので,+6.5m3/sするとすると5,300kW(+5.3MW)の出力が見込まれる。 結果以下の様な感じに出来そう: [増強私案] 中村発電所 △ 水路式・流込式 認可最大出力:10,300kW[+6.0MW] 常時出力:3,100kW[30.1%] 最大使用水量:12.97m3/s(+7.4m3/s) 有効落差:97.00m 導水路:総延長4341.8m 流域面積:95.4km2 水車:横軸フランシス水車×2台 総出力5050kW+1台 5500kW 取水(364.24m):伊折発電所(9.00m3/s)・早月川 放水(260.08m):蓑輪発電所[途中分岐→山室野用水・東福寺野用水]・早月川 中村発電所の下でも増強を考えるがそちらの残余落差はそれ程大きくない。(蓑輪堰堤(頭首工)の上迄しか運べないだろうってのもある。寧ろ中村単独で増強 するよりも,ここから一気に蓑輪堰堤迄運んだ方が良いかも知れない。具体的にはこちら) |
~小早月川~
▲ ということで,この日,蓑輪頭首工の見学が済んでさて残る扇状地上の 発電所を駆け足で見て有峰へ急ぐぞと思って早月川を渡った瞬間,香ば しい隧道が目に飛び込んで来た。 r141虎谷大榎線とこれでも県道指定されている。wikiに は要出典の註記付きではあるが >過去は滑川市を結ぶ虎谷滑川線という名称であった(うち滑川地内は、現在は富山県道51号蓑輪滑川インター線となっている) との記述がある。r51と連檐する路線だった時代もあったらしい。 おいおい,これは見逃せないだろうと云う事で進入を試みる。 蓑輪頭首工の上の割と広い河道を横目に見ながら暫く行くとなんだかさっきの新早月 PSと似たような建物が… !…私としたことが,小早月発電所をすっかり失 念していたww 市民の出資で設立された小水力発電である。建屋はこ の辺に在った様な気がする。(→グー グルだとちゃんと記載されてる♪) 小水力発電の例に漏れずに道路に圧力管(鉄管では無くポリエチレン管?が多い印象)を埋めてると思われるがよく解らない。良し,取水地を探索である。 (株)アルプス発電 小早月発電所[アルプス発電] [水 力] 運開:2012.4 水路式・流込式(小水力) 認可最大出力:990kW 常時出力:140kW 年間発電量:5,464MWh/年(見込) 最大使用水量:1.25m3/s 常時使用水量:0.19m3/s 最大出力時有効落差:101.670m 常時出力時有効落差:108.140m 水車:横軸単輪2射ターゴインパルス水車 出力1000kW×1台 取水:小早月川[砂防堰堤(これかな?G 空撮・ここならこ こ地理院・もう20m程上がると更に砂防ダム[G 空撮・地 理院]あり。取水口から20メートルほど下流にある沈砂 池と除塵機という表現が下の記事にはあり整合的である)] 326.23m 放水:小早月川215.90m(最大出力時)・215.61m(常時出力時)[蓑輪頭首工204m] 運開は2012年と2011年の東日本大震災後となったが,それ以前から地元の土建会社社長の発案で事業化は始まっていたようだ。
諸元から割と高低差はあるようだ。 先ずは虎谷の聚落が現れる。石碑にはとらたにの屋号と金郷ミ云亨という謎の漢字4文字。。 聚落を抜けた辺りでr141の終点(ここまでとあるが路線名的には多分起点) その先に分岐路があるので見て見たが帰宅後見て見ると全然落差を稼げていないこんなところである。 どんどん進むが全然堰らしいものは見当たらない。 途中砂防堰堤の工事で道路にえらい段差が着いてて底を擦ったりしながらやっとのことでそれらしき施設に到着する。山が奥深い。 こ の砂防ダムが水源であっているようだ。 流域面積は調べて見ると約12.1km2程の様である。私の期待する目安に近い結構良い水量取っている様だ。小水力に批判的な私でも可能性を感じざるを得 ない。要は棲み分けであ る。 |
今日は早月川と常願寺川を攻める♪蓑輪頭首工なう。 pic.twitter.com/llHcc0DQNk
— とはずがたり (@tohazugatali1) May 27, 2023
【中流部増強案検
討】 ▲ 馬場島・白荻の合計使用水量13.16m3/s>伊折の使用水量9.00m3/s>中村の使用水量5.57m3/s<蓑輪7.51m3/sの使用水量と なっており,中村が底となっている。 伊折と同時に取水して中村をすっ飛ばす形で蓑輪で発電する並行発電所を建設したい。 今,蓑輪発電所迄並行して増強すると蓑輪堰堤から早月発電所と潅漑用水での利用分15m3/sに支障 を来す可能性がある。(→調べてみると蓑輪PSの放流分は大浦用水 に主に送ってゐる様子 であつた。また大浦用水は幹線トンネル開通後は電力会社の導水路となっていると読み取れる[詰まり今は大浦用水では無く早月第二発電所導水路が正式名称と なった?]。) また蓑輪頭首工で蓑輪発電所放流水の他に川から夏期は7~14m3/s程取水しているのでその辺の水をこの並行発電所が使って発電してやるのである。 また中途半端な大きさの発電所を 二箇所(中村の増強分と蓑輪の増強分)で増設するのは不効率である。 ということで,増設は伊折発電所放流水で取水して蓑輪堰堤で放流する一箇所とする。現地で視認した所,水路が張り巡らされていて蓑輪発電所の放水口から早 月発電所・合口用水へ導水は出来そうな感じではあったんだけど。。 中村堰堤案=ボツ 現状では二手に岐れる川の片方のみから取水している中村堰堤で あるが,川全体を堰止めて取水出来る様にしたい。 満水位380mで貯めるとこんな感じになる。31.8ha。利用水深20mでV=362万m3 <鍋増谷> 伊折橋の直ぐ脇に鍋増谷へ 鍋増谷ダム構想 満水位500mで貯めるとこんな感じになる。24.0ha。利用水深50mでV=854万m3。支流に作るので本流の災害にも強いかも知れない。 [私案]鍋増谷ダム 堤高/堤頂長 75m/250m 満水位/利用水深/川面標高 EL.500m/ 湛水面積/有効貯水量 24.0ha/850万m3 流域面積:89.6km2以下? (直接24.5km2(大熊谷含む) 間接64.1km2(伊折発電所流域)) 導水:早月川 今,伊折発電所放流水9.00m3/sの内,中村発電所が取水する5.57m3/sと室山野用水(高々1~2m3/s程度だろう)が取水する残り 2.0m3/sと早月川の水を足して10m3/sにして蓑輪方面へ送りたいので,このダムが供給を期待されるのは8.0m3/s程度となる。 但し,小早月川や伊折より下流の面積も30km2程有るので8.0m3/sまるまる期待するのは厳しいかも。これより一寸低めにする。 またV=850万m3なので8.0m3/sの水は295万h程持つ感じか。 最大放水量は8.0m3/sとしつつ,ダム(満水位500m)から中村取水堰堤(取水位363m)の間の落差137mを使って発電したいが,どの程度が良 いかは要検討である。 [私案]鍋増谷発電所 出力:6,000kW[+6.0MW] 水量:5.5m3/s 落差:130m 取水:鍋増谷[鍋増谷ダム]←早月川 500m 放水:早月川[中村堰堤]363m 一応5.5m3/sとすると6.0MWとなった。夏期は此処からの放流水8.0m3/s分は蓑輪堰堤で逆調整・平準化して早月・新早月に送られる形になろ う。農業用水って別に昼も夜もないよねえ?蓑輪頭首工に一寸した逆調整機能が欲しい所。 冬は補給しつつ安定化して流す感じでいいだろう。下流の発電所全て(鍋増谷・中村・蓑谷・新蓑谷・新早月・早月・早月第二・早月第一・早月川沿岸第一)の 稼働率を上げられる。 [増設私案]新蓑輪発電所 出力:9,400kW[+9.4MW] 水量:7.4m3/s 落差:150m 流域:95.4km2+桑首谷 取水:早月川[伊折発電所・中村堰堤(鍋増谷ダ ム)]・桑首谷 363.3m 放水:早月川[蓑輪堰堤]202m |