電 力 総研 水 力あれこれ 北陸水力発電
とはずがたりな掲示板(利 水スレ電 力スレ)
23.5.19独立
熊 野川流域の水力発電と開発(21.7訪問)
1.流域の年降水量 2. 神通川総扉(神一・神二・神三) 3. 高原川(跡津川金木戸川・有峰引水) 4.宮川・下小鳥 5.井田川流域万波高原  6.牛ヶ首・大 久保用水 7.熊野川(有峰開発) 8.長棟川 
有峰開発[和 田川第一 ルート[水量小](別頁):和田川第二ルート[水量中]有峰 ルート[水量大]]・小 口川・祐延ダム
熊野川: 考察[稲松(1981)ひろし仮説中越水電発電所ダム周辺図(第三発電所記載!?)
沿川風景: 熊野川第二発電所小 俣川(小俣発電所)・熊 野川発電所熊野川ダム(ダ ム諸元ダム周辺図)・黒川(r187未成区間)・小原林道河 内新熊野川発電所・最上流部開発


神通川の下流で流入してくる熊野川である。21.7は小俣ダム・松ノ木発電所から小俣発電所の入口にアプローチ。そのまま熊野川に侵入した。朝早く奈良を 出て一気に黒部,立山をさらっと見て日帰りという強行軍で可成り疲労した一日であったがその最終盤戦である。
小俣からアプローチしたので熊野川第二発電所辺りは未だ見ていない。今後の課題である。

神通川
(熊 野川合流EL.7m)

~熊野川~

(急滝川合流EL.49.2m)

(虫谷川合流EL.62m)

(黒川合流EL.78m)

現在熊野川第二発電所が最初の発 電所である。
山の方から支流が次々合流するが結構標高が高く,この先の熊野川第二の放水位は138.5m もある。もう一回ぐらい発電出来そうであるが。。
熊野川第一がないし,熊 野川発電所が第一格かと思ってたけど熊野川発電所の運開が1987と新しいのにに対して第二は1921とだいぶ古い。称名川発電所と称名川第二発電所佐 久 間発電所と佐久間第二発電所のように,小さいこちらが第二でデカい方には第一をつけないやつかと思ってたが,運開年代的に齟齬があるし,既に廃止済の小出 力の熊野川第一発電所が嘗てあった様だ。(→ど うやらその推論が合っていそうである♪ 調べに行ってみなくては。。)

論文も発見。一寸矛盾があるようだが,,
「電 力 土 木 の 歴 史 ― 各 河 川 の 水 力 開 発 の 変 遷」    
>60年前(22)熊野第1,(23)熊野第2,(24)熊野第3 神通川支流熊野川に連続している熊野第1(1,800KW),熊野第2(320KW), 熊野第3(1,150KW)の3発電所は大 正9年よ り大正15年の間に運転開始した発電所であるが,その中,中間の熊野第二発電所は上流に現在建設中の県熊野川ダムの為に廃止とな り,代って新熊野川発電所(7,000KW)が58年9月着工,60年4月運開の予定で建設される 。

出典:https://www.jstage.jst.go.jp/
とある。現在,熊野川第二発電所が430kWであるので規模感的に嘗ての熊野第2(320kW)と同じものであろう。だから熊野第二が廃止になるというのは誤りであ ろう。大正9年(1920)を60年前と呼ぶので40年前(1980年代中頃)の論文である。廃止になったのは熊野第一と第三で片方は新熊野川としてリプレースされたものと思 われる。で,ややこしいがここでの新熊野川は発電容量から現在の熊野川ダム取水で設置された熊野川発電所(7.0MW)と 思われる(で,現代の最上流にある新熊野川発電所は5.0MW である。)。㉓の発電所がスルーしてる箇所に ダムを示す斜線のダム湖が描かれてるのもこの説(下流から見て2番目の発電所が廃止された)を補強していると思われる。そしてその上流に第三があるがこれ も今では廃止されている様だ。現在の新熊野川発電所にリプレースされたと思えるのだが,確証はない。調べて行く内に幾つか補強する証拠や言及を見かけた (→ひろし現地看板)

また当初,熊野川をなんとなく常願寺川に含めてたけどこの論文でもそういう扱いになってるのは興味深い。こんな図も。矢張り熊野川は(神通川水系ながら)有峰常願寺ファミリー しても良いのかも知れない♪
もっと云うと有峰開発時に,跡津川へダムを造って揚水発電をして跡津川ルートをメインにしようとしていた形跡があって,寧ろ,常願寺川全体が神通川ファミリーになるところだったのかもしれない!?
出典:土木学会

一方,第一・第三熊野川発電所問題であるが,ひろしさんにもこんな表現発見:

>元は熊野川シ リーズ3発電所あってここが第二、この上流に第一 があってさらに上流、新熊野川発電所の辺りでしょうか、第三があったようです。[ひろし

ひろし情報によると下流から第二・第一・第三とあって,第一が現熊野川発電所にリプレースされたばかりか第三も新 熊野発電所にリプレースされたということか?!───【仮説※】    

現地視察や諸元を確認するに新熊野川PSはかなり現代的なスペックであり,上流に第一と第 三があってその第一・第三の二発電所が新熊野川(現熊野川)にリプレースされ,現在の新熊野川PSはその後新設たと考えるのが自然な様な気がするのだ が…。。
その後wikiで運営母体の中 越水電の記事を見かけた。上述の論文と多少の齟齬があるような。。
また便覧に は「(熊野川ダム建設に伴い)熊野川第一発電所が支障となり休電補償が行われた」 とある。熊野第三は支障にならなかったのであろうか?

中越水電が運転していた発電所[wiki (中越水電)]    
発電所名 種別 出力
(kW)
所在地・河川名 運転開始 備考
熊野川第一 水力 1,400 上新川郡大山村(現・富山市)
(河川名:神通川水系熊野川)
1920年1月 1986年10月廃止
(1987.1運開の日本海発電・熊野川発電所としてリプレースか?)
熊野川第二 水力 320 上新川郡大山村(現・富山市)
(河川名:神通川水系熊野川)
1921年11月 現・北電熊野川第二発電所
熊野川第三 水力 1,150 上新川郡大山村(現・富山市)
(河川名:神通川水系熊野川)
1926年11月 現・日本海発電・新熊野発電所(2001.12運開)としてリプレー スか?
小口川第一 水力 2,600 上新川郡大山村(現・富山市)
(河川名:常願寺川水系小口川)
1924年8月 現・北電小口川第一発電所
布瀬川 水力 330 下新川郡東布施村(現・黒部市)
(河川名:片貝川水系布施川)
(1922年3月) 前所有者:布瀬川水力電気
現・北電布施川発電所
下立 水力 57 下新川郡下立村(現・黒部市)
(河川名:黒部川)
(1915年8月) 前所有者:愛本電気
1937年廃止[14]

ということで下流に嘗て発電所があった可能性は少なそうだが,さて,熊野川発電所の6.0m3/sの内,熊野川第二は2m3/sしか使っていない。
勿論,低落差で使い辛くはあるんだろうし農業用水が取って行く分もあるのかもしれないけど,熊野川が使った尖頭時に流れてくる水を下流で利用 しないのは勿体ない。

熊野川PS放水口=熊野川第二PS取水口辺りで取水し,もっと下で発電する発電所が作れそうである。潅漑用水の絡みがなければ,だけど,,熊野川第二の放流水を使用するのでは落差がとれないので熊野川第二に平行してもっと下流に持って行く発電所を考えるとこんな感じか。

[私案]熊野川第一発電所[場所:この辺に地下式かな?]
出力:2,600kW~3,100kW←ちいさい。。
水量:4.0m3/s
落差:78m~91m
導水:5.5km2 7.5km
取水:熊野川[熊野川発電所]168m
放水:熊野川85m~62m

規模が小さい。熊野川第二に接続する形の小水力じゃないと無理かな。。

北陸電力(株) 熊野川第二発電所[水力]   
富山県富山市文珠寺
運開:1921.11[中越水電(株)]
水路式・流込式
    認可最大出力:430kW    常時出力:150kW (34.9%)
    最大使用水量:2.23m3/s
    有効落差:24.60m
    水車:横軸フランシス水車 出力460kW×1台
    導水路:総延長1840.0m
    流域面積:39.8km2
    取水:熊野川発電所167.82m
    放水:熊野川138.52m

熊野川第二発電所取水口 EL.167.82m [場 所]

熊野川発電所放水口 EL168m[場 所
発電所から随分下にある。

(小俣川合流) EL171m [場 所]
割りと近くに,常願寺川第一発電 所がある。これも熊野川が有峰ファミリーと思いこんでいた理由の一つ。ただ水の流れとしては分離されているようだ。
普通に小俣川と呼んでたけど川の名前地 図では名称不明となっている。
~小俣川?~  
小俣発電所場 所<東小俣>]「→常願寺川
認可最大出力:33,600kW  常時出力:13,700kW
最大使用水量:30.00m3/s
有効落差:128.57m
導水路:総延長4575.0m 放水路:総延長2407.0m
取水:小俣ダム発電所(317m)
放水:常願寺川第一発電所、常西合口用水(178.03m)[こ こ?]→立地が神通川沿いと云うだけでこちらには放水もせずお互い交わらないと云う事らしい(地理院 には放水路が描かれていないってことか?)。
熊野川を有峰でキーとなる小俣を抱えている丈に神通川水系に属していながらもはぐれ者の有峰ファミリーぐらいに感じてたけど買い被りすぎかw
寧ろ熊野川の支流の小俣川端に佇んでる小俣発電所がはぐれ者というわけか。川は小さく.小俣発電所から放流は全くされてないよ うである(例 の如く地下水路に弱い地理院なので描き損ねてるけど多分地下水路で合口用水方面へ直送)。
→小俣発電所の水を熊野川には流さないと明記された文章を発見!(>小俣発電所の放水は熊野川に出すことなく,延長2,450mの放水路により既設 上滝発電所放水池付近に導き常願寺川下流各用水に分水する[土木学会])

小俣ダム発電所に近づくには東小俣総代の許可が要るようだ。

なんだろう。。(マウスオーバーで拡大)



今から向かう熊野川発電所の所在地は富 山市西小俣この辺も常願寺で散々お世話になった小俣な の である(寧ろ小俣ダムも小俣ダム発電所も小俣とはかけ離れた場所にあった)。小丘を挟んだ反対側が小俣発電所である。
狭い道[こ んなかんじ(すとびゅう)]を谷底の熊野川(下の写真)を眺めながら進むと一寸開けていて発電所が佇んでいた。


[廃止]北陸電力(株) 熊野川第一発電所

運開:1920.1(中越電気工業(株)後 の中越水電) 廃止:1986.10
出力:1,400kWその後1,800kW に増強?
熊野川ダム建設に伴い廃止,日本海発電(株)熊野川発電所にリプレース?

取水:熊野川
放水:熊野川


日本海発電(株) 熊野川発電所[水力] [場 所<西小俣>]  
運開:1987.1
ダム水路式・貯水池式
認可最大出力:7,000kW  常時出力: 600kW[8.6%]
    最大使用水量:6.00m3/s →40km2で6m3/sはダムが有るとは云え優秀。まあ常時出力はそれ程高くはないけど。
    有効落差:140.00m
    水車:立軸斜流水車 出力7200kW×1台
    導水路:延長2428.0m/放水路:延長1041.0m
    流域面積:40.00km2
    取水:熊野川[熊野川ダム]319.00m
    放水:熊野川第二発電所168.00m

北陸電力ではなく日本海発電の発電所なので一寸イメージが違う。多分赤いペイントで描かれた発電所名のせいかな。
クレーンのようなものもみえるがあっさりしてる感じなのは地下深いところにあるからか?川沿いにはあるが,放水場所は一寸下流になる。
21.7

混凝土で覆われた水圧鉄管。一寸特異だ。


この直ぐ先[こ こら]に,大雨で通行止めになると云う警告板とゲート,そしてアナグマ(多分)のお出迎え。
この先は化外の世界だと強く気持ちが引き締まる。アナ グマは相変わらずのんびりしてたがw(ハクビシンかタヌキの可能性もある。皆似てると思うけどハクビシンはジャコウネコ,ネコで,タヌキはイヌ科,アナグ マはイタチの仲間で分類学的には違うそうな。アナグマは人を警戒しないそうだ。)


熊野川ダム 

山道を進んで行くとダムが現れる。熊野川ダムである。
21.7
流域面積39.8km2に対して660万m3の貯水量を持つ,中堅のダムだ。

     熊野川ダム(富山県管轄)[水力] [便覧(再)] [便覧(元)] [wiki
河川     神通川水系熊野川
目的/型式     FN(W)P/重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積     89m/220m/371千m3
流域面積/湛水面積     39.8km2 ( 全て直接流域 ) /34ha
総貯水容量/有効貯水容量     910.0万m3/660.0万m3(760.0万m3・▲100万m3)
ダム事業者     富山県
着手/竣工     2008/2017
    堤高:89.000m、堤頂長:220.000m
     総貯水容量:9,100,000立方メートル
    有効貯水容量:7,600,000立方メートル
      洪水調節容量:2,200,000立方メートル(有効貯水容量の内)
       利水用容量:4,200,000立方メートル(有効貯水容量の内)
    河川維持水用容量:1,200,000立方メートル(有効貯水容量の内)
      堆砂容量:1,500,000立方メートル
標高    天端標高:329.000m
      設計洪水位標高:327.500m(サーチャージ)
      自由越流頂標高:326.000m
      常時満水位標高:318.500m(越 流頂標高)
      計画堆砂位標高:286.500m
    底部取水管中心標高:273.000m
     副ダム越流頂標高:250.500m
         河床標高:243.000m
         基礎標高:240.000m~237.000m
      副ダム基礎標高:236.000m
    集水面積:39.8 平方キロメートル    湛水面積: 0.34平方キロメートル
洪水吐からの最大放流量 340m3/s

堤体直下

天端

天端には利水標も


ダム湖



     常用洪水吐の位置を2.9m下げ、上水道用水の容量を廃しその他の容量に転用する容量再編を行ったそうな。
有効貯水量が100万m3減っている。そいつは発電に回さんかい!!

2.3kmと3kmの導水路で黒川流域の楜ヶ原川と黒川から水をひっぱってこれそう。
この辺(黒川含む)は北陸地方整備 局に拠ると(内 陸と比較して)一応は降水の比較的多い 地域である。

有峰引水は100km2で20m3/sだった。まあここは15km2しかないけど15m3/s位は引っ張って来て建設中止となった黒川ダムの代替を図りた い。
併せて熊野川ダムの増強もして貯水量を増やしていきたい。辺りは無人地帯なので可 能な筈である。

~黒川~  
ということで詳細を見て行く。
この黒川,長棟川への入口にもなっている。

富山県道187号荒屋敷月岡町線・未成区間
この黒川には治水ダムを建設する計画もあったが中止となっている。
丹生川ダムの様にここも県道が建設途中で抛棄されている。23.5に富山県を来訪したが有峰林道がまさかの冬季通行止めで主要目的地の二つの内の一つが 吹っ飛ぶという参事を経験したのだがその時に空いた時間で寄ってきた。
未利用で放置されてもったいなかった。。

入口付近(マウスオーバーで拡大)。
23.5
トンネル
23.5
何故か行き止まりの写真が撮れてなかった。。その手前付近。行き止まりから横へ抜ける道は地 理院では二重線なのにとてもそんな良い感じでは無かった。


今,こ こら[すとびゅう]EL.315m [地理院]である。
大清水付近で黒川は三つに岐れる。川の 名前地図に拠ると何れも名称不明とつれない感じなので勝手に名前を付けてみた。
黒川は大双嶺という地名もあって大双嶺沢と迷ったが,大双嶺はもっと山の中で一寸ズレる様 だ。。
大双嶺の「東南部の峠・蛇越(じゃごえ)を越す と、熊野(くまの)川に降り河内(→後で到達するここ)に通じている[aikis]」 と のことで地名が中途半端な場所に書かれてて迷うがこ ちらの山道沿いでこ の沢沿いの聚落ではないらしい。

千長原[aikis]も 大双嶺[aikis]も 上流の廃村名である。川の名前地図には載るが,既に地理院には地名の記載はなし。此処らも普通に訪問しているaikisさん,流石としか云いようが無いが
>大双嶺の分岐を過ぎしばらく進むともうひとつ分岐があるが、ここが集落への登り口。往時は四輪車が通れたようだが、現在は荒廃して車輛の通行はで きない。
とあるが,もうひとつの分岐が何処か不明だが,この辺が川の名前地図に載ってる千 長原である。
この道は川の名前地図に拠ると大規模林道大山・福光線と 云うらしい。この辺で直ぐ車 道としては途 切れてるっぽいす とびゅうももっと手前で直ぐに引き返している。
どうやってあんな遠く(大山は岩峅寺の立山橋挟んで西側)迄伸ばすねんw
無駄に林道建設しまくっていた頃の名残で行き止まりの林道が残さ れたようである。
税金の無駄遣い腹立たしい。

治水兼ねて導水するとこんな感じ。流域は10.1km2程。導水距離は千長原沢から3.7km程。

これで今は尖頭需要用に特化してるっぽい熊野川発電所の稼働率をもうちと上げられるかな??
楜ヶ原川は検討省略。そっちは熊野川発電所に直接送るぐらいで良いかも。

またこの先の桧峠は長棟川最奥部への車道と成ってゐるがゲートで封鎖されているようである。

さて,ダム回りを探索してみる。
天端は道路になっていてよさげなトンネルもあったが,道は直ぐに行き止まりであった。中央線が引か れてない(完成時には引いたけどすっかり消えてしまってるけど放置されてる?)辺り未成臭はぷんぷんしているが,21.7当時はなんも考えずに引き返して きた。

漫然と見てたので行き止まり点の写真は無し。地図だとこ れ


ダム周辺図  
で,この道はなんだということになるがこ この看板で判明。なんと先程の大規模林道大山福光線の一部 だったw(クリックで拡大)

色々突っ込み所があって,ヤバすぎて消されてるのかも知れない(w)けど,不動壁山の所にはピラ○○と尖山という文字が見えて,検索掛けるとこんなブログ [日本珍スポット100景]も引っ掛 かる。
どうもそれと似たような存在?!らしいww

またこの上流にある今から訪問予定の新熊野川発電所であるが,熊野川第□発電所となってて (□は判読不能),仮称としては第三とか第四だったのかもしれない。今は第二迄あるので普通に考えても三だろうが四角っぽい漢字形からみても四?!もしか して更なる計画があったうちの第四だけ実現して新熊野川発電所!?冒頭でそういう記述が出ていて色々考えた様にやはり昔 は熊野川第三が上流あって,発電量から判断するに現代の新熊野川発電所ほど高落差ではないにせよ,熊野川第一に接続する形でもっと上流を使う形で,1987年のダム竣工時点では上流に発電所があったっぽい。

[廃止]北陸電力(株) 熊野川第三発電所?
所在:富山県
上新川郡大山村(現・富山市)
運開;1926.11[中越水電] 廃止:熊野川発電所運開後?(日本海発電(株)新熊野川発電所にリプレース?)
出力:1,150kW?

その他諸元:不明
取水:熊野川
放水:熊野川(熊野川第一発電所→熊野川ダム?)

また計画道路の点線の行き先に「赤倉」と地名が描かれているけど,グーグルマップによると対岸の将 にいま立ってる看板のある辺りが赤倉らしい,,いずれにせよ小俣川を跨ぎ小口川か横江頭首工辺りに出る全体計画か?
そんなもの造る位ならここが通行止めで立山橋(大山・岩峅寺)から有峰口まで延々と橋が無い常願寺川なので橋架けて欲しい。横江頭首工の天端道路を整備し てくれれば便利である。

整理が約2年後になって場所がすっかり解らなくなってるけど何やら廃施設もあった。
銘板には熊 野川浄水場 富山県とある。(→見 付けた![すとびゅう] 地理院だとこ こか)

熊野川ダムは再開発されており,それを期に総貯水量はそのままに有効貯水量が760万m3から 660万m3に減らされてしまっているが,便覧に拠ると「上水道用水の容量を廃しその他の容量に転用する容量再編を行った」とあるが,浄水場 とは将にこの廃止された上水用水の施設ではなかろうか!?着手は2008年で竣工は2017とあるが,2008年の着手と共に廃止されたならそこから15 年程経って居ればこの廃墟ぶりも概ね適合的っぽい。

wikiに 拠ると以下の様な記述があって,420万m3分は用途から削られたようだ。未 だ元気な頃?の浄水場の写真もwikiには載っていた。
>熊野川ダムは有効貯水容量760万立方メートルのうち上水道用水として420万立方メートル、洪水調節用として220万立方メートル、不特定利水 用として120万立方メートルがそれぞれ割り当てられている。しかし、この上水道用水の容量は現在まで一 度も使用されたことはない。
使う宛てもない水の浄水場。しかもこんな場所にあってはダムの水を大金掛けて喞筒アップする必要が出てきて高い水しか供給できないだろうしどういう考え だったのか?

勿論,水道水ぐらいで本ダム事業が無駄になることはなくて,発電利水に治水に大活躍なのである。ヒステリックな批判は辞めて合理的に批判していきたい。

さて奥地への進入を開始する。すとびゅうは情けない事に道 路が狭くなる辺りで早くも脱落。未だ県道は続いている。

途中妙に新しい道が接続して…いないw県道から一寸離れた橋の所迄新しくなっててあとは未舗装となっている。ばさばさと音を立てて鹿が逃げていったのはこ こらだったか。

記憶が曖昧になっているが,どうも小原林道(の改良された姿)らしい。

地理院では23.5の今でも細線で描かれてるが新しく改良(災害復旧の可能性も)されたらしい。もともとは橋と県道の間の様な未舗装道路だったのであろ う。
帰りにこちらを寄り道して辿ってみる。

<落差約70m>

さて落差70mを空けて随分と奥地に新熊野発電所がある。2年前の訪問時,またこの頁作成時には全く気付かなかったが特異な発電所である。
流域面積が極小(13km2しかない)で,その割には厚めの水量(面積に対する指数1.54)を確保しており,最大出力も5.0MWと可成りデカい。運開 は2001年と新しめである。
そして有効落差が驚異の300m超。一方で導水路延長は1km未満である。水を有効に使い切る為に発電所は互いに連結されることが多いが,ここは下の熊野 川ダムと70m程の落差 があって孤立してる。

これは熊野川奥地の無人の曠野のどん詰まりの急勾配区間を利用した可成り効率的な発電所である事が解る。
お隣で祐延ダムを利用した驚異の高低差700mの小口川第三発電所があるだけのことはある。
300mとか700mとか見せられると此処とダムの間の比高70mなんて誤差みたいなものに見えてくるww

さて進んでいく内に県道が終わったらしい。「これより私有地,私道につき」と警告めいた看板が現れる。河内聚落 跡である。河内聚落の位置は上で掲げた地図で確認された し。地図の下の方にある。

周囲は植林地っぽい杉林で,離村した廃村あるあるの光景である。aikis さんも当然到達してて訓(よ)みは「かわち」だそうな。

そして左折して発電所に向かう道(下の写真左)と,直進すると蛇 越から黒川(大双嶺!)方面への廃?道(下の写真右・クリックで拡 大・マウスオーバーで看板(さっきと同じ物があった)拡 大)への分岐。看板は割と新しく見える。

林道ではなく私道なのかってのは兎も角,私有林で林道も私道の色彩が強いのだろうか?
川も合流点であった。発電所の放流口が見えないか頑張ってみたけどよく解らなかった(どうやら放水口はここららしい「空撮」)。

下流の眺め。
よく見ると山の中腹にガードレールが見える(マウスオンで拡大)。先程の小原林道か?
 


日本海発電(株) 新熊野川発電所[水力]   
富山県富山市河内
運開:2001.12
水路式・流込式
認可最大出力:5,000kW   常時出力: 430kW (8.3%)
    最大使用水量:2.0m3/s[1.54]
    有効落差:308.00m←でけえ♪
    水車:横軸ペルトン水車 出力5260kW×1台
    導水路:総延長949.0m
    流域面積:13.0km2→ちいせえ・よく2m3/sも取れたな。雪解け水の賜物か?→23.3追記:寧ろ巨大な有効落差の賜物であろう。
    取水:熊野川722.00m
    放水:小原川(熊野川合流点)392.00m

橋を渡るとすぐに無愛想な鉄柵門が現れてこれ以上の進入を謝絶された。G 空撮なら建屋が写ってる。


下流は大した流量も期待出来ないし70mではやることは限られてる。200m以上3m3/以上か100m以上6m3/s以上が5MWの目安である。
先ずは上流の豊富な水源と落差を活かしたい。何も無い無人の山野であった。


~上流開発案~
今,新熊野川PSの取水位が722mである。930m程度で20km2程欲しい。新熊野 PSの流域だけで13km2しかないので熊野川の上流だけで取れないので他からも取水は考える。色々やったが狭いしなかなか難しい,,ということで一旦保 留にしておく。。

~新熊野増強案~
寧ろ新熊野の流域面積を広げて発電量を増やしたいところである。現状1km弱の導水路で効率的だと澄ました顔をして無人の山間に佇んでいるが,もっと貪欲に水を集めても良さそう。
流域面積13km2に7.5km2を足すと1.5倍以上には出来る。


上の画像右手の流域はちょっと遠い。真立ダムに送って小口川第二で発電しても良いかもしれぬ。


~熊野川ダム上流部開発(案)~
落差70m程度(熊野川D満水位318.5m・新熊野PS放水位392m)で流域31.7km2程。水量を4m3/sとっても2.4MW程度であり,本稿の対象規模には達しない感じ。




~小原林道~

なんか真新しいし何がどう成ってるのか見るだけ見て見ようと,本日最後の目的地を終えて5時。
7月でまだ日は高いとは云へ今から富山県から奈良県迄帰る必要がある訳で,ハイになりつつも,もう一箇所重い水発を攻略する気にもなれず,さりとてそのま ま今来た道を単純なピストンで戻るのも物足りなくて,小原林道への進入を決行した♪
小俣も小口もこまた,こぐちと「こ」なのでここも「こはら」なのだろうか?→ここのサイト[HAYANEKOの旅心]に拠 ると「おはら」らしい,

道は綺麗で現地での即断での進入だったので地理院の地図 も頭には入って居らず,どんどんすいすいとと云うかするすると吸い込まれるように奥へ奥へ進め,いけるままにクルマを進めて行く。何処をどう曲がったか良 く覚えてないが適当に当たりを付けて道を曲がって行く。

どうやら地山工事らしい。災害復旧らしい。グー グルの空撮で一帯を見て見ると先程の橋が破壊されたか存在してないように見え る。。

流石にこれだけ進めてあの熊野川ダムの奥地からしか行けないという事はない(詰まり道路は里側から伸びてきている)だろうという確信が芽生えてきて入山よ りクルマをひたむきに進める事約25分後, 下 界が開けてきた!
出た!さあ,ここは何処だ!?見覚えあるぞ。

そこは1,2時間前に来訪して入口だけ見て有料林道(林道小 口川線)には入らずに引き返した小口川 ダムから取水する地下式有峰第三発電所の前であった!
すげ~,ここに繋がってたのか~!!
逆にここから入れば熊野川までぐるっと見れた訳である。地理院では勿論繋がってなかったがG 空撮だと道路建設が進んでる様子が見て取れた

地図では二箇所あった林道末端部 であるが,どうやらどっちでもなく下の行き止まり林道の途中から分岐して伸びて小口川側と繋がったらしい。小原林道が取り付け部のみだとすると大山福光線 が予定通り建設されてる感じ?!
横江頭首工の天端も通行禁止でその上流のこ れも老朽化で通行禁止の今,岩峅寺の雄山神社前の立山橋から有峰口迄橋が無い。この大山福光線になんとかしてどこかに橋を架けて貰えると良いのか も知れない。