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21.7.4大改訂
20.6.8独立
有峰・常願寺川和 田川新ルート(21.7 逍遙)(23.5悶絶)(23.7到達!)
常願寺 川概観常願寺川・称名川立 山付近有峰開発和 田川右岸(在来)第一 ルート[水量小]和 田川右岸 (新)第二ルート[水量中](本稿目次)和田川 左岸(有峰) 第三ルート[水量大]有峰引水・ 上流部(神通川水系)]・小口川・祐延ダム(神通川水系)熊野川常 西用水・常東用水

地図(マップル)に国 土地理院に描かれた水路や送電線(残念ながら発電所名は未載)や水 力ドットコムやネット地図(今回はグー グルマップが役立った)を動員して直接書き込んでいったらぐっちゃぐちゃになって訳解らんくなったので整理の為に検索掛けたら下のような北電の有 峰に関する 鳥瞰図が見つかった(一部・鳥瞰図全体はこちら)。これで整 理や。
   

解りにくいがここではルートに分けて水の効率的使用を検討。

【有峰各ルート目次】  水利用の概観

●和田川第一ルート(有峰ダム和 田川右岸在来 ルート)[水量小]:和田川第一6.80● (和田川放水)→亀谷6.12→中地山6.12●→(牛首川取水→小見11.91→)─ [小口川渡河] →松ノ木17.59→上滝17.59─(和田川第2ルートと合流)→常西用水

●和田川 第二ルート(有峰ダ ム和田川右岸新ルー ト) [水量中](本 頁):有峰貯水池有峰ダム計画概 要図発電所配置の謎和田川第二PS32.20→ 新中地山 ダム新中地山PS33.00→ (有峰ルート小口川ルートと合流)小 俣ダム▲V=58.7 万m3小俣ダムPS小俣PS30.00→(和田川第1ルートと合流)上滝放水池・常西用水取水口付近 常西用水(常 願寺川第一~第四)

●有峰ルート(有峰ダム左 岸ルート[水量大](別 頁):有峰第一74.00→有峰第二 74.00→小口川ダムV=146.9万m3▲→ 有峰第三 26.00→(和田川第二 ルートと合流)小俣ダム▲58.7万m3→ 小俣ダム30.00→小俣30.00─(和田川第1ルートと合流)→常西用水

【開発(案)】…こちら


水利用の概観   
使用水量が減少する箇所(▲)を見ると右岸新ルートの小俣ダムと 有峰新ルートの小口川ダムが ある(冒頭鳥瞰図 も 参考されたし)。特に小俣ダムではピーク時の大量の水を放水する両ルートが重なってるのに,である。こ こで水が溢れるんじゃないかと心配になるが,ほぼ完璧に管理された有峰ダムの水流なので寧ろ此処迄使って大容量の水量で尖頭電力発電を行っているのであ る。この様なダムを逆調整池という。よく見ると和田川右岸新ルートの約30m3/sを小俣ダムV=60万m3で,和田川左岸有峰新ルートの約75m3/s を小口川ダムV=150万m3で受け止めている事が判る。つまりQ m3/sを利用する尖頭発電に於いてその逆調整池はV=2*Q*10^4 m3の貯留量があれば良いと云うことが示唆される様だ(要は10m3/sの利用 水量に対して20万m3の逆調整池が必要)。
詰まり有峰ルート(和田川左岸ルート)はどうも有峰第一・第二で発電して一旦終わりらしい。。また右岸新ルートは和田川第二・新中地山で終わりらしい。意 外に小さい。。折角の水発主体の電力代の安い優良電力会社だったのに無理して原発を作った(中電と関電に購入して貰う約束迄取り付けて建設 した)せいでLNG火発の建設も遅れ,石炭火発も老朽化して原発事故で原発が停まると今では発電力が足りずに苦しんでいる(し かも志賀2号機の建屋の下には一旦は専門家が活断層と認定した断層が走っており,政府が原発利用を促進と云った瞬間にその結論がひっくり返った。全く信用 ならず廃炉にすべきである。)陸電なので発電量を増やしていきたい。
有峰・常願寺プロジェクトで はこの二つのダムで均され た後で30m3/sの安定した水となって下流の常願寺用水へ渡されるのである。
本項で は下 流に逆調整池を新設して現在 新中地山PSで終わってる大 容量水力発電による調整能力向上によって再エネ電力時代に相応しい系統罔を確保せんと するのが主なアジェンダとなる。これは有峰ルートのところで検討する。

本頁では1959年の有峰ダム竣工時に新規開発された和田川新ルート(仮称)を見て行く。新ルートと云ってももう65年近く前の新である。。
在来ルートが既設の亀谷(1923運開・6.12m3/s・9.9MW)に比較的ささやかな水量(6.80m3/s・和田川第一発電所)で接続したのに対 して,こちら(和田川第二発電所)は堂々の32.2m3/sでの営業運転であり,和田川第二12.2MW・ 新中地山73.5MW(主力発電所→♪)・小俣ダム3.2M・小俣22.6Mと連檐して合計111.5MWを叩き出す(とはいえ現代の原発1基の1/10 の規模感である…)。
基本30m3/sでの流れであり,和田川第二12.2MW・新中地山73.5MWの85.7MWを調整力として,小俣ダムV=60万m3で逆調整をして均 した水を常西用水へ送っていた感じか(但し,有峰新ルート(水量大)運開以前の時点では,小俣ダム前後で使用水量にそれ程差はない)。
第三の有峰ルートが出来た時点で調整力電源は有峰第一・第二合計385MW,和田川第二・新中地山合計85.7MWの合計490.7MWを 発電した 106.2m3/sを小口川ダムと小俣ダムのV=210万m3(水を止めて5時間半分・下流でも発電して7時間半強)で逆調整している感じである。効率的 な天然ガス火力の導入が遅れた道電(北電)と陸電(北電)と四電の弱小系旧一電であるが,陸電に関しては優秀な調整力を持ってたということもいえる。(四 電の松尾川もなかなか優秀な調整力であるが42.2MW程度である。)

~和田川~

【有峰湖】   
有峰ダム 有峰常願寺川発電計 画概要図 利水票 有峰ダム発電所(維持水 量発電所)

有峰ダ ム[→有峰ルート
流域面積/湛水面積     219.9km2 ( 直接:49.9km2 間接:170km2 ) /512ha
総貯水容量/有効貯水容量     2億2,200.0万m3/2億400.0万m3
着手/竣工     1956/1959
    堤頂標高:1089.00m     設計洪水位標高:1088.00m(サーチャージ)
    常時満水位標高:1088.00m    越流頂標高:1081.30m
    有峰第一発電所取水口標高:1040.00m付近    最低水位標高:1015.00m
    和田川第一、第二発電所取水口標高:1004.00m     基礎標高: 949  m
取水:神通川水系金木戸川[有峰引水]真川[折立、折立増設発電所]・和田川
放水:和田川第一発電所6.8m3/s(1959.6)・真川発電所(8.35m3/s・1927)・和田川第二発電所32.20m3/s (1959.6)・有峰第一発電所(1981)74.00m3/s・有峰ダム発電所(2011)0.17m3/s

【有峰常願寺川発電計画概要図】また建設計 画概要図も入手した♪1980年代に建設された有峰ルートは載ってない事に注意。   
また初期のこの段階では小俣ダム発電所も計画されていない。小俣ダムも小口川調整池となっており,小口川ダムが上流に出来た今では一寸ややこしいw
出典:土木学会

一度目は其処迄興味なく先を急いで有峰林道に進入せず,二度目は興味最高潮でもう6月(あと数日で小見線は開通)になりそうな時期なのに冬期通行止めで阻 まれ,三度目の正直で,有峰ダムとのファーストコンタクト♪
小口川沿いを見たかったので冬が明ける7月と付き合って呉れる息子の夏休みを 待っての決行となった。



利水標    
なんと天端に掲げられていた。ダム天端は時間で向きが入れ替わる一方通行で(5分位?)信号待ちしてから通行出来る。後に車が来ないタイミングを待って天 端に進入,停車して急いで撮ったので斜めになっている。



上の39.0m3/sってのは和田川第一と第二を併せた水量。水利許可上は二つ併せて和田川発電所的な扱いか?やはり(→此 処で議論した様に)本来は(許認可上は?)一つの発電所として造る心算で準備してたのかも。
下のは後年の河川維持流量確保に伴い開発された有峰ダム発電所のもの。
他方,同じ導水管を使って送水される真川発電所への水量は積み上げられてなく,和田第一・第二への水量を削って補給する形か?

和田川系給水塔


谷底を覗くと二つ程建物がある。左側の川近くのが維持流量発電所の有峰ダム発電所か?


北陸電力(株) 有峰ダム発電所(有峰発電所)[水力]     
運開:2011.11
ダム式・河川維持流量式
 認可最大出力:170kW
年間発生電力量:約1,300MWh/年
最大使用水量:0.170m3/s
有効落差:127.59m
    水車:横軸単射ターゴインパルス水車×1台
    流域面積:220.0平方キロメートル
    取水:和田川[有峰ダム
    放水:和田川


<右岸第二ルート>

【発 電所配置の謎】             
有峰ダムを出発する導水路は和田川を前に二 手に岐れて真川発電所の上 部水槽若しくは調整池への水路を分け,更に和田川第一と第二への水路に岐れる。
在来ルートへ繋がる和田川第一発電所と新ルート形成の和田川第二発電所は近接している。
この二つは 建設時期が同 じであり,どうせなら,一箇所の和田川発電所にしてダムも一寸下げて建設するなりしてそのダムから新中地山発電所と亀谷発電所に送 水するようにすれば何かと柔軟性もあって固定費用も減らせて良かったんちゃうの??(→水利許可 的にも一緒みた いに見える)

なにかそうするよりベターだった理由があるのだろうけど未解明である。敷地が狭いとかダム建設には地質が悪いとかなんかあるんだろうけど。。
土木 学会]に拠ると
>地形の関係上, その導水路および調圧水槽は両発電所共用とし水圧管路以下を個々に設置し…発電をする
としている。地形の関係ってのがよく解らないが..

更に調 査を進める中 で『北陸電気事業百年 史』 (1998・北陸電力刊)を入手!そこには以下の様な経緯が記されていた,

(色々計画の策定の経緯があった後,跡津川等を切り離し)有峰貯水池の水はすべて常願寺川筋で利用することとし,和田川第一発電所…のほか,その約 250m上流の台地に和田川第二発電所を新設することにし(→跡津川の開発計画(→こちら参照)を分離し た後に和田川第二の計画が浮上した?),取水口,導水路およびサージタンクを両発電所共用とし,導水路は工事中の水路(戦前の旧有峰計 画?有峰跡津計画のもの?)を切り拡げて用いることにした。しかし,この水路は地質調査の結果,100m以上の水圧※をかけるには不適当と判断されたの で, 有峰ダム直下に有峰発 電所を設け,和田川導水路に作用する水圧を55mにとどめることにした。和田川第一発電所は既設亀谷発電所に接続し,和田川第二発電所は下流に連続して新 設する新中地山および小俣発電所,ならびに既設の常願寺第一発電所に接続することとした。…
しかし,この第1次案には二つの問題点が,その後明らかになった。第1に,有峰発電所と和田川第一,第二発電所との連携運転のために,有峰発電所下流に大 規模な調整池が必要になったが,その適地がないこと,そして第2に,有峰貯水池の落差の変動幅が大きいため有峰発電所に特殊な水車・発電機を備える必要が あり,効率も低いことであった。したがって,有峰発電所の設置を取り止め,和田川第一,第二発電所を有峰貯水池に直結することになった。さらに和田川第一発電所の建設をとりや め,和田川第二発電所の規模を大きくする案も検討されたが,すで に第一発電所の工事が相当進捗していたため見送られた。

※:水圧の単位がmってなんだ??と思ったが水頭(水の高さ)で表した水理計算で使う(使ってた)量の様である。その後キロ(kg/cm2)を使う様にな り,その後今のMPa(メガパスカル)となったようだ。[SUNHOPE AQUA]で,水頭100mは0.98MPaとなるようだ。[水道屋さんの道具箱]


おお,実際両発電所の統 合が検討されたこともあったんだな!
疑問点は尚残り,先ず第一に,結局,有峰発電所を取り止めて和田川第一・第二発電所を有峰貯水池に直結する計画に戻ったのだけど有峰発電所計画が廃止される原因の一つとなった100m以上の水圧問題はどう解消されたのかが 不明(和田川第二は有効落差458m(でかっ!)・最大使用水量32.2m3/sである。)。第二に,こちらが寄り本質的だが,そもそも第1案を策定時にな んで第一発電所と第二発電所に分けたのかが結局不明である。間接的には跡津川の計画が廃止になったので常願寺側に大容量の和田川第二を建設したよ うに読める
中規模の和田川新ルートであるが,元々は跡津川へ落として下池を形成しつつ揚水発電もする計画(→A.A.P.[跡津有峰計画])が,跡津にダム建設に反対があり,また水が減少する常願寺川側の反発で沙汰止みになった様であるが,A.A.P.のメインの発電ルート は跡津経由で陸電自慢の神一~神三につないでそちらの発電量も強化する計画だった様である。跡津に巨大ダムを建設する計画が変更(撤回) 後,有峰発電計画を入れたり色々してる内に,既存ルート活用の和田川第一発電所の建設が先に進んでしまって無駄に見える和田川第一・第二の近隣での併置と なったようである。


そんな訳(推論)で和田川第一・第二発電所と新中地山ダムはほぼ同じ場所にある。が,接近は叶わなかった。
今は新真谷トンネルがぶち抜いてゐるその旧道区間上にあるようだった。 こういうの(トンネルで回避)は地表が地滑り区間とかで良くある光景なんだけど,愛しの我らが発電所とダム君達は災害対策大丈夫なのだろうか??

和田川第二発電所入り口付近[場 所
23.7

北陸電力(株) 和田川第二発電所[水力] [DB]   
富山県富山市亀谷
運開:1959.6
ダム水路式・貯水池式
認可最大出力:122,000kW   常時出力:48,200kW[39.5%]
最大使用水量:32.20m3/s  常時水量:12.70m3/s?
有効落差:458.42m
水車:ペルトン水車2台 総出力137800kW(←36m3/s程度迄水を増やせそう)
発電機:立軸三相同期発電機(磁気推力軸受使用) 容量70000kVA×2台(←水車の出力よりも高い14MVA)
     最 大有効落差:470m[1.09]、出力68900kW[1.12/効率1.03]、流量16.1m3/s
     基 準有効落差:430m[1.00]、出力61400kW[1.00/効率1.00]、流量16.1m3/s
     最 低有効落差:380m[0.88]、出力53200kW[0.87/効率0.98]、流量16.1m3/s 有峰ダムの和田川第一、第二発電所取水口標高:1004.00mってのがこれか?(ズレはありそう)
取水:有峰ダム[和田川,神通川水系金木戸川(有峰引水),真川[折立発電所],真川・岩井谷・スゴ 谷・東坂森谷・大谷川[折立増設発電所]) 1088.00m
放水:和田川[新中地山ダム]604.00m

出典は現地看板等であろうか?水力さんの和田川第二発電所の発電機の落差と出力の関係の 記述が興味深い。
DB由来の高落差456.42mに対して,ペルトン水車1台辺りの出力が載っていて。それによると有効落差は380~470mと100m近い変動を許容し ている様だ。そして一番水量が多い時期であると思われる最大有効落差の水車効率(有効落差でみた)が一番良いようだ。


北陸電力(株) 和田川第一発電所[→常願寺川]   
運開:1959.6
ダム水路式・貯水池式
 認可最大出力:27,000kW  常時出力:10,000kW[37.0%]
最大使用水量:6.80m3/s 常時使用水量:2.5m3/s程?
有効落差:486.92m
導水路:総延長7227.9m
水車:横軸ペルトン水車×2台 総出力28000kW
取水:和田川[有峰ダム6.80m3/s]1088.00m
放水:和田川[亀谷発電所6.12m3/s・563.94m]572.00m

百年史の記述だと第二PSは第一PSの「約 250m上流の台地」に建設とある。
この250mは高低差では無く距離の様で,実際に放水位では第一は第二の32m程下流に建設されたようだ。取水は共通で結局有効落差は28.5m程こちらの方が 高くなっているが3m程逸失落差も大きくなってるという計算になる。
ほぼ同じ位置に態々別々に発電所を二つも建設したのは無駄にしか思えないが,色々計画変更があったようで結局時間切れという感じである。


和田川第一発電所というか旧道入り口付近。発電所迄は結構ある。[場 所
23.7


真 川調整池(まがわちょうせいち)ダム[→常願寺川]     
目的:発電(真川発電所8.35m3/s) / ダム事業者:北陸電力(株)
堤高:19.09m
堤頂標高:995.303m
常時満水位標高:993.939m(サーチャージ)
最低水位標高:984.849m
河床標高:976.213m
流域面積/湛水面積     105km2 ( 全て間接流域 ) /1ha
総貯水容量/有効貯水容量     4.8万m3/4.7万m3[1h33m分…少ない]
着工/竣工:1928/1930
堤頂標高:995.303m
常時満水位標高:993.939m(サー チャージ)
 最低水位標高:984.849m
   河床標高:976.213m


北陸電力(株) 真川発電所[→常願寺川]   
運開:富山県電気局 着工:1927.5 運開:1930.2
水路式・調整池式
認可最大出力:33,600kW   常時出力:3,700kW
最大使用水量:8.35m3/s
    有効落差:488.40m
    水車:横軸ペルトン水車×3台 総出力34800kW
    導水路:総延長15017.0m
 流域面積:105.1km2
取水:(湯川(地図では放水路延びて居ない・G 空撮のここか?),湯川小谷川[川の名]、ホトロ谷川[川の名][G 空撮]→真 川サ ブ谷大 瀬戸谷沢カ ラ杉谷・赤萩谷川(こ こ?))→([有 峰ダム]→)牛首谷川[真川調整池ダム[取水堰数:12]1007.73m
放水:小見発電所、真川466.47m

和田川第一・第二共通の導水管の途中分岐で真川の調整池への導水路があるようだ。真川発電所の取水位は公称1007.73m(真川取水設備[→これ]での 標高?)となってるが,事実上,真川調整池の満水位993,94mが取水位といっていいのではないか?
逸 失落差は真川堰堤基準で1007.73(取水位)-466.47(放水位)-488.40(有効落差)=52.86mもあるが,真川調整池基準だと 39.07と割と減少する。真川堰堤から延々と(導水路総延長15km超!)運んでくる間に大部エネルギーを失うのではないか?
戦前の1927年着工なので色々設計が古い可能性はある。


繰り返しになるが和田第一第二両発電所の標高差は30m程度である。元々真川PSにも水は回せるし有峰ルートも出来た今,和 田川第一を廃止して第二に統一してしまっても良いぐらいではないか? (第一の使用水量6.8m3/sに対して第二は+4.0m3/s程度は増やせそうな感じはある。それによって稼働率や資本効率等改善させられそうな。。その場合,落差を使い切るには新中地山ダムから亀谷発電所取水口に向けて小水力でも建設しても良いかも。和田第二の放水位604mと亀谷の取水位563mの間には37m程の落差があって亀谷の6.12m3/sで発電すると1,800kW程度の規模感になる。小さいか。)
そもそも亀谷PSは途中の沢からの取水もあるし,無闇に取水位を30m高く する訳にも行かなかったのかな?(今では途中の沢からの取水は無さそう)
廃止した和田川第一の水車は高落差用の2台のペルトン水車であるが例えば称名川第三及 び第四発電所(案)に転用出来たりすると激アツ。(落差も水量も下位互換にはなってい る。落差と水量が過小で効率低いかも知れないけどどうなんだろう…)
とはいえ,和田第二の規模感(122MW!)と比較して如何にも小さい和田第一だけど単体で見ると27MWと水発にしては大きい方ではある。態々廃止することはないか。

【運用】
今どちら(和田川第1第2)も結構常時出力高 め(常時の最大に対する比率はそれぞれ37.0%と39.5%・此処参照)で,有峰ダムから小俣経由の和田川第二と,中地山・上滝経由の和田川第一で割と常時,常願寺用 水へ流している感じである。この辺は明々白々な尖頭用の有峰ルートとは対比的である。
余り効率的にも見えない和田川在来ルートにも流すのは途中の沢からの取水を有効活用するに最適な最低量なのかもしれない(余りに水量僅少だと水車効率低下 する可能性があるだろう とのの意味で。)
また普段は余力を持って発電している和田川左岸第一ルートもフル稼働する際には亀谷の堰堤で追加で水は取れないので(取れないどころか一部使い切れない水も出る)下流の小見発電所直下の取水設備などで取水して松ノ木で発電する等の形をとるのであろう。

新中地山(しんなかちやま)ダム[水力] [場 所][便覧]    
河川     常願寺川水系和田川
目的/型式     P/重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積     35m/71.7m/7千m3
流域面積/湛水面積     238.6km2 ( 直接:79.63km2 間接:159km2 ) /1ha
総貯水容量/有効貯水容量     68千m3/58千m3  or     総貯水容量:17.1万m3/    有効貯水容量: 7.8万m3
ダム事業者     北陸電力(株)
着手/竣工     1956/1959
最低水位標高:599.00m
取水:和田川[和田第二発電所
送水:新中地山発電所33.00m3/s

真立ダム真川調整池と同じく貯水量は極小。。サージタンクと迄は云わないけど,単なる 調整池で地形の関係で堤高がたまたま15m以上あっただけである。
それでも堤高で 測るというお役所仕事でダム便覧にも掲載されてる。限界的な立地で辿り着くのが困難なせいか便覧にも写真は載っていなない。
水 力 さんのダム画像は貴重である(北陸電力様の御厚意により、土木設備を見学させて頂きました,とのことである)。

いずれにしても此処が見学できないので次の見学ポイントは小俣ダム迄すっ飛ぶことになる。

~小口川~
【小俣ダム湖】  
小俣ダムは和田川右岸ルートの建設に伴い1960年に竣工。新中地山発電所は1959と前年に運開してるけど竣工前に暫定的に利用を始めていたのかな?

有峰第三発電所放水口[→有峰ルート
出力:20.0MW 水量:26.0m3/s 落差:92.0m 取水:小口川[小口川ダム]429.0m

小口川第三発電所[→小口川ルート
出力:3.2MW 水量:2.61m3/s 落差:161.3m 取水:小口第 二発電所

新中地山発電所[水力]    
運開:1959.8
ダム水路式・調整池式
認可最大出力:73,500kW  常時出力:31,200kW[42.4%]
最大使用水量:33.00m3/s 常時水量:14.00m3/s?
有効落差:259.30m
水車:2台 総出力80400kW
導水路:総延長6255.0m
    流域面積:238.8平方キロメートル
    取水:和田川第二発電所、和田川[新中地山ダム]604.00m
    放水:小口川[小俣ダム]326.24m
21.7
新中地山発電所は小口川第一発電所と同じ建屋内にある。
名前的には和賀川と仙人木屋と 新矢部川を彷彿させるが,これらは同じ所から発電してるけど事業者が違うケース。
寧ろ取水先的には益田川(ました・飛騨川)の瀬戸第一・第二や単体の発電所であ る四電・吉野 川水系の東豊永の様に全然違う場所から取水してたまたま同じ場所で発電してる ケースである。なんかの都合(補助金絡みとか?)で同一の発電所扱いするのは拙かったのであろう。
両者とも小俣ダムに放水をしている。

小 俣(おまた)ダム[便 覧][wiki]    
北陸電力(株) 目的:発電
堤高/堤頂長:37m/131.5m
流域面積/湛水面積:274.6km2 ( 直接:36.6km2 間接:238km2 ) /7ha →7ha=7万m2で有効貯水量は58.7万m3だと平均利用水深(?)は約8.3mって感じか。
総貯水容量/有効貯水容量:76.1万m3/58.7万m3
着手/竣工:1958/1960
取水:小口川[小口川第一発電所1924・2.61m3/s・新中地山発電所1959・33m3/s・有峰第三26.00m3/s(・有峰第二 [48m3/s])]
送水:小俣ダム発電所(30m3/s)・上野用水

小俣ダム(EL=320m)は和田川右岸新(第二)ルート建設時に小口川上に設置された30m3/s超の水量を流す同ルートの逆調整池である。
本ダム建設に伴い元々あった小口川第一発電所が水没するのに伴い,新設の新中地山発電所と共通の建屋に同居することになった変わり種発電所ペアである。
今では有峰(和田川左岸)ルートも建設され同ルート上にある有峰第三26.00m3/sも含め小口川第一2.61m3/s・新中地山33.0m3/sの合 計61.61m3/sが流れ込 む。
なんなら有峰第三が使い切れないまま小口川ダムの容量を使い果たすと溢れた有峰第二の使用水のうち第三で使える分を引いた残り48m3/s分も流れ込む。 その場合流入は100m3/sを越えることになる。
有効な放水は小俣ダム発電所経由での小俣発電所への30m3/sのみ。
小ぶりな小俣ダムで有峰からの大量の水を使い切れる量なのであろうか??と心配になって現地へ飛んだので,今になってみると有峰ルートの逆調整池は小口川 ダムなのでこれで十分なんだと思える けど,現地へ飛びきっかけを作ってくれたダムである♪
恐らく運用は日周期で小口川ダムと小俣ダムの200万トンを小俣発電所の30m3/sで使い切ると18時間。次の日の尖頭発電迄には空に出来る。こんなも んなのであろう。

訪問当日は雨上がりでダム湖水は茶色く濁ってたし降雨時にどの程度水が溢れてしまうのかは知りたい所。まあ有峰ダムは完璧に水をコントロールできるであろ うからそれ以下なので大した面積ではないのだけど。
21.7
天端は閉鎖されてなかった。鉄板が引いてあって対岸には工事車輌もいたので遠慮しておいたが山作業や山歩きの人は利用出来るのかな?
21.7
ダム直下の様子。左岸に蓋がされた水路が見えるが小俣発電所行き30m3/sというよりは模式図の(慣)上野用水がこれなのであろう。
21.7
行った日は梅雨の合間の晴の日で,前日も大雨だったのであろう。茶色の濁流でワイルドなダムという印象を残した。

ダムに付随して小俣ダム発電所があり,その水はそのまま小俣発電所に運ばれているようである。

小 俣ダム発電所[水力]    
所在地:富山県富山市才覚地
運開:1960.11
ダム式・調整池式
認可最大出力:3,200kW      常時出力:1,000kW[31.3%(10m3/s程?)]
最大使用水量:30.00m3/s
有効落差:13.00m
水車:横軸カプラン・出力3350kW×1台
取水:小口川[小俣ダム]330.3m
放水:小俣発電所317.0m

小俣発電所・小俣ダム発電所への取水口は多分これ。当初の計画にはなかったようだが, 小俣ダムから小俣発電所の間の損失落差が13m程有って水量は大量の30m3/sということもあって後から入れ込んだ様である。
所在地は才覚寺ということで小俣ダムの近く(直下の?)地下にあるようだ。やたら濁っている湖水が印象的だった。木ぎれみたいなのも沢山浮いていた様だ。

どれも古いなあという印象。(小俣ダムの竣工は1960)
余り水深深くすると新中地山と小口第一の発電に支障を来すけど更新工事兼ねて貯留量あげられないのかねえ。。

この後,水は小俣ダム発電所・小俣発電所を経て常願寺川沿岸用水土地改良区の合口用水(放 水位EL188m)へ注がれる。



~神通川水系熊野川支流小俣川~(→熊野川) 

小俣ダムの存在感に比して小俣にある小俣発電所は常願寺川から丘を一つ越えた目立たない小俣にあって行きにくい場所にある。

小俣発電所[水力] [[JSTAGE/水利科学]]    
運開:1960.11
所在地:富山県富 山市東小俣
水路式・流込式
認可最大出力:33,600kW(出力増加前32,700kW)[→水車効率88.9%]   常時出力:13,700kW(増加前)[41.9%]
最大使用水量:30.00m3/s 常時水量:11.2m3/s[JSTAGE/水利科学
有効落差:128.57m
    水車:立軸フランシス・出力33700kW×1台
導水路:総延長4575.0m   主要導水路 幅4.00m×高4.00m、延長4348.0m
放水路:幅4.00m×高4.00m、総延長2407.0m
    流域面積:275.4平方キロメートル
取水:小口川[小俣ダム(330.3m)→小俣ダム発電所(317m)]
放水:上滝発電所放水池[常願寺川第一発電所、常西合口用水](178.03m)[こ こ?]→立地が神通川水系熊野川支流小俣川沿いと云うだけでこちらには放水もせず取水もせずでお互い交わらないと云う事らしい(地理院 には放水路が描かれていないってことか?)。

熊野川が有峰ファミリーの一員ぐらいに思ってたけど子細に見てくと寧ろ熊野川の支流の小俣川端に佇んでる小俣発電所がはぐれ者というわけか。
川は小さく.小俣発電所から放流は全くされてないよ うである(例 の如く地下水路に弱い地理院なので描き損ねてるけど多分地下水路で合口用水方面へ直送→下の画像な どで確認出来た)。

用水系統模式図
出典:水 土里
小俣発電所最大使用水量30m3/sの内,潅漑取水量?は27.64m3/s(92.1%・▲2.36m3/s),上滝発電所最大使用水量 17.59m3/sの内15.03m3/s(85.4%・▲2.56m3/s)を用水としては取水するらしい。
この減少分合計2.36+2.56=4.92m3/sはどこへ行くんだ??

行きにくいどことか辿り着けなかった。


小俣ダム発電所に近づくには東小俣総代の許可が要るようだ。ムラの共有地でもあるのであろうか??

東小俣総代の許可がないと進入不可とのことであった。
発電所を見たいと云ったら許可してくれたのかな??

なんだろう。。(マウスオーバーで拡大)

ここから目の前の熊野川支流には流さず(従来ルートの)上滝発電所よ りも 東側に放水するイメージ図の記述なんだけど地理院にそれっぽい水路も描 かれて無く詳細は不明。
上滝発電所放水池(此 処)に放流するという記述は見かけた。それが各種の図(→鳥瞰図・ 用水模式図()なんか)とも整合的である。

水 力さんに寄ると別 の道路が通じている上部水槽は近づけた様だ。そっちだけでも見に行けば良かった。(→23.5行ってきた♪)

変な用水が高い所を走ってる交叉点(ここ:地 理院ス トビュウ)の写真正面の細道に進入。地理院だと黄色く塗られてないが,
実はこの交叉点の手前の高台が大 山上野(地理院)である。もしかしてこの"変な用水"が小俣ダムで分岐していった上野用水!? だとすると一寸胸熱。
23.5
心配になるほどどんどん奥に入っていくとやっとある。チェーンがあって立入を謝絶される。。

水路を跨ぐ橋の上からだと良く見えた。
23.5
小俣ダム方面。旧橋が残されてる様だった。大量30m3/sの水はゆっくりとしかし力強く流れている。
水力発電には興味ないどころか自然破潰だと批判的な息子だが門前の小僧なんとやらで水量多いなとか正確な感想を述べる。

旧橋の脇には小川があって水路で分断されててサイフォンにでもなってるのか?と余水を水路に導くかのような設備があった。

新しい橋は1986年11月竣工。有峰ルート開設と同時に色々増強はしたのかも知れない。古い橋がそのまま残ってるので水量増とかではなさそうだけど。

名前は古坂橋であった。

この道路,散々奥まで伸びてる癖に何処にも通じてないらしい。斜面を下りて直ぐ,横江頭首工の対岸,岡田辺りに出れると便利なんだけどね~。
また同じ道を延々と引き返してその日のメインに考えて居た小口川(有峰第三へ の地下トンネルの入口脇にある有峰林道小口川線のゲート)に向かった。
件(くだん)の"変な用水"(写真)だけどこれが上野用水であってたとして小俣ダムで取水して小俣ダム含め発電には使えていない。
ここの小俣発電所上部水槽から取水にすると少なくとも小俣ダム 発電所では発電できることにはなるけど。。

上滝発電所・常西用水取水口   
ここで松ノ木発電所・上滝発電所からの常願寺ルート横江頭首工から両岸分水工,中滝発電所(最近新設)経由の横江ルートとこの小俣ルートが合流する。
上滝発電所は21.7の時も撮影してたがすっかり忘れており,23.5再訪時に写真を撮りに寄ってここ前に撮ったわ!となった(笑

神社の脇から岩ゴロゴロしてる常願寺川の向こう側に見える。
23.5
なかなか直接横付けという訳には行かずに対岸からが一番近いようである。 背後は山だしこれ以上は近づき様がないようだ。。
両岸分水工や左岸連絡橋(→常願寺)を探すとそこが上滝発電所放水池への 入口のようであったが,関係者以外の立入を禁止されてるようであった。立派な橋なのに勿体ない(まあ趣味者にうろうろされても迷惑であろうw)。



【開発篇(序)】
冒頭で検討した様に,下流に更に貯留量を設定すると其処迄全力で放流(尖頭発電)出来る。30m3/s時代(本頁 の和田川右岸新ルート)の逆調整池が小俣ダムのV=30万m3で75m3/s時代(和田川左岸有峰 ルート)の逆調整池が小口川のV=150万m3だったように,まあそれくらいの池を用意すれば尖頭用にガンガン突ける感じだw
第一(案)をこちらで,その拡張(案)をこちらに纏めてみた。こんな感じになる。

横江堰堤(案)


小俣導水(案)



それにしても常願寺川本流から取水するのが特に松ノ木発電所なんかベストっぽい(地理院の地図にも載ってる)のに現状では取水施設は見当たらなかった(→こちら参照)。上流の,真川発電所→小見発電所と亀谷発電所→中地山発電所の放流水と和田川からの水のみ使っている様である。  称名川発電所は水害で称名川からの取水を止めてしまったそうな(→参照)。松ノ木発電所も本宮砂防堰堤付近での取水を水害を機に早い時期に止めてしまった可能性はある。
今,発電量増を追うために本宮堰堤付近から小俣ダムへの導水とか構想してるけど水害で破潰されるリスク(もうリスクと云うより頻度)を考えると投資が引き 合わないのかもしれない。昔より砂防堰堤も強化されてるとは思うしなんとか土石流を抑えて取水出来無いものかと思う。松ノ木の脇や横江に調整池を設置する 私案はその辺がクリティカルに弱点ぽい。