23.5.19独立
長棟川流域の水力発電と開発
1.流域の年降水量 2.神通川(神一・神二・神三) 3.高
原川(跡
津川・金木戸川・有峰引水) 4.宮川(下小鳥) 5.
井田川流
域・久婦須川・万波高原 6.牛ヶ首・大
久保用水 7.熊野川
8.長棟川:舟倉用水・長棟川第二発電所・長棟川第一発電所・奥山発電所・開発【奥地開発(+5.1MW)・長棟第一・第二増強(+4.0MW)】・おまけ
~長棟(ながと)川~
>グリーンタフの硬い地盤である岩稲累層を流れる川だけに、流域の殆どが、岩壁に挟まれた狭く険しいゴルジュ帯が広がっており沢登りの対象となる。
>イワナやヤマメの生息が多く、国道41号に程近い好立地もあり、それを求めてくる釣り人が多い。 [wiki]
だそうな。太田薄波・奥山・長棟と何れも聚落は既に廃村になっている様だ。
0.舟倉用水 ▲
長棟川の水は取水されて船倉用水に流れ込んでいて,その一部を利用して長棟川第二発電所が発電している。
普通は農水省辺りの息の掛かった水土里ネット辺りが引っ掛かるんだけどこれは見つからなかった。。代わりに地元の情報誌?の特集が見つかった。こんな感じ
らしい。
出典:『月
刊グッドラックとやま』2010.12
とやま水土里探訪ブロ
グなんてのは見つかった。こんな所に用水を掘り抜いた先人達の偉業に敬服である。
一旦壊れた際の修復に早月川で出て来た山室野用
水・東福寺野用水を建設した椎名道三が此処でも出てくる。色々繋がっている。
舟倉用水に沿って笹津と猪谷を結んでいる神通川右岸県道はr188東猪谷富山線である。
神通川沿いを猪谷から薄波へ通じるこのr188も薄波と寺津
の間で分断されている。万波高原といい,熊野川と云いとんでもない山の中で林道走破心をくすぐられるが長棟川上流もなかなか僻地ぶりが凄
い。
…と2018年発行の県別マップル見て思ったけど今地
理院見て見ると開通している!?
wikiに
よると
>この間通行不能区間あり(区間:富山市薄波 - 富山市寺津、延長:2.0km、理由:道路老朽化のため、期間:当面の間、迂回路:なし)
だそうな。。老朽化かw当面通行禁止で道路の指定自体は残ってるから地理院は描いたままにしてて,マップルは車両通行不能と云う事で消したのか。老朽化だ
から道路幅とかも広いし地理院上では異変は察知できないんだなw
通
行不能区間のレポあり。レイドのおばちゃんはブナオ峠で
も活躍されてた方や!
神一発電所の脇にこの富山側の入口があるこ
この様子。
直ぐに行き止まりになってて,舟倉の方へ向かう市道の方がヘアピンで道なりっぽく続いていた(こ
こ)。
この先,ヘアピンに沿って坂を上がると舟
倉用水との交叉部に至る。
上流方面
下流方面
何れも暗渠になっているようである。
1.長棟川の発電所群
現在,三箇所ほど発電所がある。
下流の長棟川第一と第二。神一と神二の関係はこれ。
出典:北陸電力
出典は長棟川第一発電所構内に所内機器点検時の所内電源用に設置したエンジン発電機から軽油が漏れた2012年の記事より。
長棟川第二発電所[水力]
▲
出力:1,300kW
発電量:5,810MWh(1997年度)
水量:2.78m3/s
落差:62.7m
流域:58.6km2
取水:舟倉用水(長棟川第一発電所+長棟川+沢)205.2m
放水:神
通川[神二ダム(満水位:116.80m)]135.15m
神通川第一発電所建設の前史として日本発送電寺津発電所の計画(着工済み)時点では長棟川合流部より河口に今と同じ程度の総落差の寺津発電所を建設する計
画だったようであり,神一ダムの満水位は180m程なので,寺津発電所が竣工していた際には長棟川第二は水没し廃止されたであろう。。[→この辺参照]
北陸電力(株) 長棟川第一発電所[水力]
▲
運開:1925.7[立山電力(株)]
出力:4,000kW 常時1,800kW (45%)
発電量:25,261MWh(1997年度・設備稼働率72.09%)
水量:2.64m3/s→後
補の奥山よりも使用水量に劣っている。こちらもそこそこ落差は大きい(→増強検討)
落差:191.8m
流域:52.5km2
取水:長
門川401.4m(奥山放水口傍)
放水:舟倉用水(長棟川第二発電所)
北陸電力(株) 奥山(おくのやま)発電所[陸
電][国
交省][DB]
運開:1962.12
出力:10,300kW[2015年:+0.3kW] 常時:1,800kW[恐らく増強前]
発電量:43,265MWh(1997年度・設備稼働率47.95%) [900MWh/年増]
水量:3.6m3/s
落差:336.00m
流域:32.0km2
取水:横
谷752m[G]・長
棟川755.2m 後1箇所 DB:754.79m
放水:長
門川401.4m(長棟第一取水口傍) DB:400.02m
奥山発電所は水力さ
んも到達していない秘境の発電所である。長棟川は越中・富山県の川だが,その際奥部,長棟の聚落は嘗て(江戸時代)は鉱山として発展していた様だ
が1930年には最後の10戸が離村し廃村になったそうな[wiki]
今でも,長棟川下流の第一・第二発電所のある神通川沿いの薄波(うすなみ)と長棟川の上流部との間に長棟川第二発電所の水圧鉄管が通って
いるものの車道はなく,車道は熊野川支流の黒川を遡るr187荒屋敷月岡町線の
末端から続き桧
峠を越える長峰
林道経由となる。
しかも長棟と富山側を結ぶ桧
峠[地理院](→向こう側は熊野川支流黒川)にはゲートがあって長棟との間を結ぶ長棟林道は通行禁止で
通れない[wiki]
そうな。す
とびゅう(グーグルカーorバイク)は桧峠直下の此
処[地理院]迄入って来てる。
嘗て神岡線の駅もあった岐阜の高原川支流茂住谷側からは茂住峠[地理院]を通って長棟聚落
跡には入れるらしいが,やはりこちらにもゲートがあって通行禁止だ
そうな。
>峠から長棟方向へ下る。長棟峠への道を後目に桧峠方面へ。路面は相変わらずダート。橋を渡ったあたり(939m
ライン)で営林署の看板とゲートがあった。[自転車・峠おやじ(茂住峠)]
>このゲートの奥22KMより事業実行上の専用林道ですから・・・通行を禁止し
ます。
ゲートはこ
の辺らしい。現在では斯くして人為的ではあるけど到達不能区域となっているのである。
地図を掲げてみる。
長棟川を遡ると茂住峠とは別に長
棟峠[地理院]という跡津川の方から神岡に出る峠もあるが,そちらは車道です
らないようである。
また両峠の中間に無
名の峠があるが,長棟側から峠迄は川沿いに上がる軽車道で行
けるがそこから先は途切れている(様に描かれている)。何があったのか(実現しなかったけど長棟峠の車道化の試みがあったりした?)気になる所である。
気になると云えば,長棟林道の向こう(富山平野側)のr187荒屋敷月岡線も改
良が未成な区間迄ある様に見える(→なんと黒川ダムというダム建設が2002年に中止になって放置されてるらしい[wiki])
,.
月岡は開発(ここは日本史でも習うし"かいほつ"とちゃんと呼んで欲しい♪江戸時代の新田開発由来の地名であろう)駅付近であるが,この荒屋敷がどこ
か判らないが[wikiに
拠ると起点:富山市大双嶺字新屋敷割らしい。
字名としては「新」屋敷で「あらやしき」と読むっぽい],お隣の熊野川のr184河内石崎線同様,
行き止まり
県道ということらしい。実際に林道で繋がってはいるしr187が茂住月岡線とかだったら激萌えなんだけどねえ~笑
また黒川ダムは造っても水力発電には役立ちそうに無い。概算で17km2程度しか無さそう。水量が足りん。なんでこんなとこに中途半端に造ろうとするかね
え。土建
国家嘆かわしい。必要なものつくれや。水力発電も高規格道路も必要な箇所だらけなのである。
3.現況
上の立入禁止とは方路峡を挟んだ神一寄り。
入口には薄波の宣伝が。坂田金時(金太郎!?)の舞台はここだという。。
さて,ここを左に回ると早速香ばしさが漂ってくる(まあ金太郎の時点で香ばしいんだけどw)
寺津でも見た「この先,薄波~寺津間は,幅員狭小の為通行止めです」との看板の他,発電所管理用道路を整備しております!?
道路の鉄板はこの工事の為に重量ある工事車輌が通るかららしい。
長い交互通行区間を抜け暫く行くと工事現場が現れた。(こ
の辺だったような気がする。)
「長棟川第一発電所土木建築設備大規模改修工事」とのこと。
上の現況概観で見た様に,上部水槽等へは現状では猪谷口から直接クルマでは行けず大回りして常
願寺川の上滝と神通川の笹津の中間辺りの福沢から熊野川支流の黒川を延々と遡り,更に桧峠からは一般車通行禁止の長峰林道を経てやっと到
達する長棟川第一発電所(1925.7運開)だが,下部の発電所建屋などは薄波から細い道路(地理院
のこ
れ)を抜けて辿り着ける筈であるが,運開100年目に向けて建屋や水車(推定)等の設備改修工事をするに当たって,この細道の部分を通らずに辿り
着けるように此処からトンネルを掘るらしい(マウスオーバーでトンネル入口となるらしき部分拡大)。
標高はほぼ発電所の立地面と同じで500m程のトンネル掘った後,200m程の橋を架ければ発電所に着けそうである。
まあ吉野橋から此処迄も大概に狭い路
だったのですれ違いとか如何すんのって感じだけど,工事の時は交通整理して普段は商用車が入るぐらいだから問題ないのであろう。
この先,進んでも不通区間になるだけだしと,工事現場を抜けてえらく細くなった印象の道を見て日和ってしまい,長棟第一発電所も第二発電所も薄波聚落も見
ずに帰る決断をしてしまった。。あんま頭が働いてなかったと見える。疲れてたんだな。。再訪を期したい。
23.5
4.電力開発 ▲
1.奥地開発 2.
長棟第一・第二増強
~奥地開発~
最奥部,長棟川755m[奥山発電所取水口]に向けて集水してみる。EL970m(広
川・金
山谷・長
棟川)で21.0km2。落差200m超・水量も新熊野川流に多めに積めて3.0m3/sとすると5.1kWとなる。
[私案]新奥山発電所or奥長棟発電所
出力:5,100kW[+5.1MW]
水量:3.0m3/s
落差:200m
導水:5.4km
流域:21.5km2
取水:長
棟川・金
山谷・広
川 970m
放水:長棟川[奥山発電所取水堰堤]765m
祐延や有峯が直ぐ隣である事が判る。この発電所の建設に際しては茂
住峠の改築などが必要になるかも。長棟峠の開削?でも可♪
更には桧
峠は遠回りである(今はゲートで閉鎖されてるそうな)。奥山発電所から長棟第一発電所へ降りられる道路も必要かも。そもそも今はr188東猪谷富
山線が長棟川第二(長棟
川の神通川合流点)付近で途絶している。奥山発電所から長棟第一・第二経由で富山市に出るみたいな新ルートを水力開発とセットで構想しても良いかも!?
>旧長棟村部は降水量1800mm以下と富山県内では比較的乾燥している。[wiki]
そうなので余り水量は期待出来ないのかも。。冒頭の降水量図では2000mmはありそ
うなんだけど。。
~長棟第一・第二増強~
さて,奥山PSでは32.0km2で3.6m3/sも確保してい
る(10km2で1m3/sの経
験則での目安より多い。しかもそこまで降水量が多くは無い長棟で,である)。対して下流の癖に長棟第一は2.64m3/s
しか取れていない。
更に,舟倉用水の水を分けて貰ってる長棟第二に比べても使用水量で劣後する始末である。。
お陰で昨今の低稼働率の大型発電所に較べれば決して低くない検討している奥山の設備稼働率45%に対して長棟
第一は70%超えである。(今行われてる工事の中身は気になる所だが)こ
れは増強するしかない。
今52.5km2あるので5.28m3/s詰まり倍増は出来そうである。長棟第二も同様に使用水量を増やせそうだが,舟倉用水と
の兼ね合い次第ではある。
規
模も小さいし見送るべきであろう。大沢野用水みたいに神1~3の何処かから取水出来る様にした方が安定するだろうけど歴史的な部分もあり現状維持かな??
結果以下の様になる。
[増強私案]長棟川第一発電所[→現諸元]
出力:8,000kW[+4.0MW]
水量:5.28m3/s[+2.64m3/s]
落差:191.8m
流域:52.5km2
取水:長門川401.4m(奥山[→現諸元]放水口傍)
放水:舟倉用水(長棟川第二発電所[→現諸元]2.78m3/s)
この増強分は神一ダムに落として貯留しても良いかも知れぬ。
その場合,長棟第一で発電後,規模の小さな長棟第二の増強
は見送りそのまま導水路で神一ダム(というかその調整池の神通川)へ送れば良い。導水距離1.7kmで済むので近い。
300万m3ちょいと決して大きくは無い神一ダムだが流込より調整電源を増強できるのがでかい。
なんなら長棟第一の直下に調整池をつくってもいいなあ。。渓谷にそこそこ水を貯められそうである。
基本,舟倉用水への給水が優先であるが,水に余裕が出てくると発電に回せる可能性も高まってくる。
長棟川第三発電所
出力:1,300kW
発電量:5,810MWh(1997年度)
水量:2.78m3/s
落差:62.7m
流域:58.6km2
取水:神通川・長棟川[長棟川第二発電所]135.15m
放水:神
通川[神二ダム(満水位:116.80m)]
第二発電所は現状,長棟 川の神通川流入部に位置していて放水位はそこでの神通川の水位である135mである。
取水元の舟倉用水はその後も神通川に沿って流れてるのでもっと下流で取水して20mも下の神二ダムに流し込むと有効落差稼げるのでは?!と思ったが,神二ダム付近では舟倉用水も高度を下げててあんま意味なかった様だ。。
おまけ
有峰を調べていて有峰から跡津川にかけて跡津川断層が走っていてその鞍部が有峰有料林道の入口(現在では通行止めが続いていて終点)の大多和峠の様であっ
た。
一方で西坂森谷・祐延から長棟経由で茂住谷にも断層
が並行して走ってる
そうな。こんな風に繋がっていたなんて。地球,ダイナミックだな♪
さっきの地図★★をよく見ると茂住谷から祐延ダム湖及び跡津川から大多和峠経由で有峰ダム湖が割と直線的に連なっていて地球のずれ目を感じる事が出来る。
出典:地
震本部