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22.2.9運開

双六川・金木戸川・有峰引水と水力発電

1.流域の年降水量 2.神通川(神一・神二・神三) 3. 高原川(跡津川金木戸川・有峰引水) 4.宮川(下小鳥) 5.井田川流域久婦須川万波高原   6.牛ヶ首・大 久保用水 7.熊野川  8.長棟川

金木戸川・有峰引水:有峰引水金木戸川沿川風景模式図見座発電所山吹谷金木戸発電所取水域の謎池の尾発電所]・
上流部開発(北ノ俣P開発(諸元)18.9MW奥 金木戸P開発(諸元)12.6MW) 導水妄想篇(別頁)

さて双六川・金木戸川である。以下の様に高原川との合流地点ぐらいを双六川,中の俣川を岐けた辺りから金木戸川になる感じの地図の表記だけ ど金木戸川 の源流は双六岳 となっており,最上流部が本来の双六川なのかも。
ダムは下流が双六ダム,上流が金木戸ダムである(金木戸発電所ダムだからかも知れないけど全体が双六川で特に中流を金木戸川と呼ぶとか?)。

双六谷という名前もネットで検索掛けると良く引っ掛かった。

また嘗て跡津川に巨大貯水池(ダム)を建 設する計画(画像出典:地 質調査総合センター)があ り,金木戸川の水をそちらに導水する計画があったようだ。

その地質調査総合センターで見 付けた論文(1951年11月調査)に拠ると
>跡津川を開発す るために金木戸川の水を誘導することは極めて有利であるが,金木戸川はその過半の水量を利用して発電実施が神岡鉱山秣式会赴の手に よつて既に行われているから,果してどの程度まで利用しうるかは將來の問題である。
とある。当時は有峰実現前で池の尾発電所も有峰導水(最大20m3/s)もないが,1953年運開の金木戸発電所の計画は既に具体化していたものと思われ る。(「発電実施が神岡鉱山秣式会赴の手によつて既に行われている」という表現が発電所建設中と読めるかどうかは微妙な気がするが。。)
で,神岡鉱山が「金木戸川はその過半の水量を利用して発電実施」だとして,それが現行同様の6m3/sが当時からだとすると,結局,有峰の取っていく 20m3/sの水量の余裕は当時としてもあったということになる。(有峰導水開発時に北陸電力と神岡鉱山の間でなにか話し合いがあったかどうかは 不明だがその昔は25m3/sもこの発電所で使ってたということはなさそうである。飽く迄洪水時に取水出来る貯水池への導水だからこそ可能な水量である。
流込式の金木戸発電所と貯水池の有峰ダムでは取水する水の性質が異なるのである。(有峰の20m3/sは洪水時に大量に確保して貯めるもの。平時は金木戸 の使用水量はちゃんと下流に維持放流する事になっている筈であろう。=詰まり論文の「(神岡鉱山が)金木戸川はその過半の水量を利用」という表 現はややミスリーディングだったといえよう。跡津川ダムが利用しようとしていたのはこの有峰導水的な水である。))

結局,跡津川ダムは出来ず,金木戸川には有峰引水が設置された。。跡津川はこちらに纏めた。


■有峰引水       

>神通川上流高原川から洪水時の余剰水を有峰貯水池に引水することが計画され,その第1期分年間約1億m3は実現され,第2期分6,000万m3は 今後実現される。
科 学技術振興機構

こんな表現を見付けた。北ノ俣川が1期分で中ノ俣川と双六川が2期分?それともこれらが1期分で更に増強の予定があったのかな??

概念図   
支流側の双六川は国 土地理院地図では金木戸川と成ってゐる。双六川こと金木戸川から有峰湖迄高低差80m位あるようだが発電する程ではな いのか?
常願寺川有峰開発はこち ら参照
出典:kabupro.jp
双六川若しくは双六谷は双六岳近くの金木戸川上流を指すようなので上の地図様に高原川との合流部まで双六川とは呼ばないのではないか。
また神三ダムは神一ダムが適当だらう。北の俣は地図などでは全て北ノ俣だし北ノ俣分水槽から金木戸発電所取水堰堤の間には池の尾発電所がある筈なのに書い ていない。
和田川第一,和田川第二発電所有峰ダムへの引水(有峰引水)の「取水量等の報告」のデータ改竄という陸電が起こした事件(まああんま五月蠅いこと云わんで もとも思うけど,まあこういうのはきっちりしないとな~)に関して陸電が作成した資料の筈なのに細かいミスだらけである。志賀原発の活断層じゃないって データも改竄しとんちゃうか。

模式図   
出典:経 産省

上 の模式図(全体像はこちら)だと金木戸川側から20m3/sも 取水しているそうだが,上の地図と現実の地図の位置関係(池尾発電所付近)に一寸乖離 があるようにも見える。
また地図と水力.comの記述にも乖離がありそうだ。

水力.com
有 峰発電所 取水:神通川水系金木戸川+折立、折立増設発電所+和田川[有峰ダム]
池 の尾発電所  最大使用水量5.50m3/s 取水:金木戸川→中ノ俣川→北ノ俣川

地 図だと
有峰発電所 取水:金木戸川(双六川)→中の俣川→北の俣川→和田川[有峰ダム]
池の尾発電所 取水:金木戸川(双六川)→中の俣川→北の俣川→池の尾発電所
に見える(金木戸川(双六川)→中の俣川→北の俣川迄共通)。

結局,有 峰引水模式図には(不祥事とは無関係の?)北陸電力池の尾発電所での発電が書いて無く て,池の尾発電所直下で取水して神岡鉱山金木戸発電所で発電し,更にその直下の双六ダムと高原川方面で取水して発電する富山共同自家発電(株)見座発電所 も書いてないから可怪しくて,国土地理院からは分水槽が読み取れないから分離してるように見えてしまっていて,水力.comは有峰引水の北の俣と中の俣 と分水槽を無視してるから一寸混乱しているようだ。

林野庁の図面(地図)発見♪[中 部森林管理局巨 大pdf注意]。
金木戸川(双六川)取水口と中ノ俣川取入口の間のメガラ谷でも取水出来そうだけど明記はされていない。また双方の施設は(有峰を運営する)電発ではなくて 陸電(林野庁は北電と書いている)の施設のようだ。

金木戸川(双六川)の「取水口」と中ノ俣川の「取入口」の微妙な表記の違いがなんか意味してるのかは気になる。


~金木戸川沿川風景~  
さて前振りが長引いていたが沿川風景を見ていく。

双六川近辺の模式図を再掲するとこんな感じになる。我ながら巧く描けた♪ 全 体はこちら
出典:国 交省

~高原川~[→高原川篇

浅井田ダム

(金木戸川[双六川]合流)EL480m

富山共同自家 発電(株)  見座発電所   
    認可最大出力:25,500kW  常時出力:7,600kW
    最大使用水量:29.00m3/s    常時使用水量: 8.77m3/s
    最大出力時有効落差:103.0m    常時出力時有効落差:105.0m
    導水路:総延長11439.7m
    取水位標高:594.30m
    流域面積:418.3平方キロメートル
    取水:高原川流域:高 原川下 佐谷[葛山発電所]、チ カツエ谷双六川流域: 双六川[双六ダム]山吹谷井 ノ口谷下 坪谷 
    放水:高原川482.55m


~双六川(金木戸川)~   

~山吹谷~    

見座発電所取水口松 本市教委=link切れ
取水量:0.9m3/s
流域:11km2=双六ダムの間接流域
送水:恐らく双六ダム
場所:こ れ

松本市教委さんの金木戸第二発電所のファイルの写真にはばっちり富山共同自家発電って書いてる利水標が載っ ている。連檐しているのかな?


神岡鉱業(株) 金木戸第二発電所水力] [松 本市教委][松 本市教委(取水部)mesco(三井金属エンジニア リング)][EPC
岐阜県高山市上宝町金木戸
運開:1964年5月[mesco][aika]
水路式・流込式
出力:850kW[mesco]886kW[aika] ←増強があった様だ[EPC
常時出力:367kW[EPC
最大使用水量:0.62m3/s[aika]=rink 切れ
取水:山吹谷792m
放水:山吹谷[見座発電所取水口]607m

環境リスク調査融資促進利子補給金交付決定事業
平成27年度申請分交付決定
https://epc.or.jp/gf/h27/jogen-iinkai/jogen-iinkai2/kanakido2.pdf

三井金属鉱業株式会社 水力発電事業(金木戸第二発電所)
■事業概要
本事業は、岐阜県高山市で昭和39年運用開始した現在の水力発電所「金木戸第二発電所」(水路式)が、老朽化の進行により、早晩、停止せざるを得ない状況 にあるため、大規模な更新工事を行い、発電した電力を全て電力会社に販売するものである。



双六(すごろく)ダム[場 所][水力] [便覧]    
河川     神通川水系双六川
目的/型式     P/重力式コンクリート
堤高/堤頂長     19m/53.3m
流域面積/湛水面積     148.8km2 ( 直接:137.8km2 間接:11km2←山吹谷) /ha
ダム事業者     富山共同自家発電(株)
着手/竣工     1952/1953
取水:金木戸川(双六川)[金木戸発電所]・山吹谷[金木戸第二発電所(放 水口=多分これ)]
送水:見座発電所(取 水口=多分これ)

神岡鉱業(株) 金木戸発電所[水力] [DB]    
岐阜県高山市上宝町金木戸
運開:1953.7
水路式・流込式
認可最大出力:18,000kW  常時出力: 5,760kW
最大使用水量:6.00m3/s
有効落差:352.80m(上 部水槽965m程)
流域面積:116.0km2※
導水距離:未公表?
取水:金木戸川[金木戸ダム]他? 972.30m
放水:金木戸川[双六ダム]606.00m

【金木戸発電所の取水域の謎】   
※金木戸Pは旧一電ではない神岡鉱業の所有する発電所のせいかDBにも記載漏れがあって取水箇所も不明である。
しかし,スペック上は池 の尾と金木戸の流域面積の差が21.6km2あるのに,実際のその面積差は金木 戸の取水口が金木戸ダムしかないとすると10.7km2程しか無いのが跡 津への導水を検討する中で判明。

金木戸Pの残る流域10.9km2は導水路の途中に取水口があるものと推定される。 深洞とその南側の沢( 松ヶ谷 というらしい[ソー ス:中部森林管理局])で約5.1km2程度の取水が出来る。

この倍程の取水流域(5.8km2程度)が他にもあるということか。
一方で,池の尾の流域面 積を調べて見ると98.5km2 となる(私の 計測は他所でやってる限り結構正確である)ので,池の尾の諸元の94.6km2と3.9km2程の誤差もある(実際より諸元が狭い)ような。。
もし詰まり池の尾の取水域が実際には98.5km2だとするとそれに10.7km2と5.1km2を足すと113.3km2となって残る誤差(未確認の取 水域)は2.7km2程迄縮まる。

金木戸(かなきど)ダム[場 所
種類:取水堰
所有:神岡工業(株)
送水:金木戸発電所 6.00m3/s
取水:金木戸川[池の尾発電所5.5m3/s]972.30m→金木戸発電所の取水位は972mだが, 金木戸ダムの標高は地 理院だと981mもある..G 空撮の様子

池の尾発電所の放水位が972.5mなので金木戸発電所と連携していると思われて,地下の導水路部分で池の尾の放流水へ金木戸ダムの水が合流する形なのか も。
中房第五と第四の間で似たようなことがあって,1180mで中房第四が取水した水に中房第五が1167mで放流して中房第四も取水位は事実上1167mなのに中房川の取水位1180mで取水位が記載されているっぽい。
ここは金木戸ダムではなく池の尾放流水に併せているようだ。

北陸電力(株) 池の尾発電所[水力
所在地:岐阜県高山市上宝町金木戸
運開:1962.9 出力増:2012.6.21[設備改修(+100kW)]
水路式・流込式
    認可最大出力:9,100kW      常時出力:1,300kW
    最大使用水量:5.50m3/s
    有効落差:199.70m
    水車:立軸単輪単流渦巻フランシス水車 出力9460kW×1台
    導水路:総延長5710.1m
    流 域面積:94.6km2→そのままこれが有峰引水の流水面積になっていると思われる。出水時に集水・導水するには 100km2で20m3/sぐ らいが目安になるのではないかな?
    取水:金木戸川中 ノ俣川北ノ俣川→ 1188.30m
    放水:金木戸川[金木戸ダム]972.49m

ここ上,北ノ俣分水工から上流側が有峰引水と重複区間となる。(地図)

 北ノ俣取水堰・北ノ俣分水槽
流域面積:94.6km2
取水:金木戸川・中ノ俣
送水:有峰引水分水(20m3/s)・中の俣川取水(5.5m3/s)



中ノ俣川取水堰(仮称)[場 所
北陸電力
取水量:?
流域:
池の尾発電所及び有峰引水取水

金木戸取水堰(仮称)[場 所
北陸電力
取水量:?
流域:
池の尾発電所及び有峰引水取水


【上流部開発】           
北ノ俣 P開発(諸元)[18.9MW]奥 金木戸P開発(諸元)[12.6MW]

<北ノ俣発電所開発>    
さて,有峰引水と池の尾発電所の取水口まで遡ってくるとEL1188.3mである。ここで有峰引水20m3/sとは別 に池の尾発電所の5.5m3/s,合計25.5m3/s取れてると云う事になる。
勿論有峰引水の20m3/sってのは出水時用に大きめに取ってダムに貯める為の数字であ り普段から発電用に使える数字ではない(大きすぎて設備が遊んでしまう)。
とはいえこの上に果敢に攻めて取水してみる。
1380mで取水してみる。以下の様な78.9km2が取れる。


こんな感じになりそう。なかなか♪少々導水路が長くても大丈夫やろ。

[私案]北ノ俣川発電所     
出力:18,900kW[+18.9MW]
水量:12.0m3/s[1.52]
落差:190m
流域:78.9km2
導水:7.65km+4.20km=11.8km
取水:北ノ俣川[地 図]・中ノ俣川[地 図]・北ノ俣支流[地 図]・小倉谷[地 図]・金木戸川・打込谷[地 図]1380m
放水:北ノ俣川[分水槽]1185m

<奥金木戸発電所>    
上の中の俣発電所の計画を受けて,更に金木戸川・打込谷に向けて上流1748m辺りで取水する。 24.9km2だ。


[私案]奥金木戸発電所     
出力:12,600kW[+12.6MW]
水量:4.2m3/s[1.68]
落差:363m
流域:24.9km2
導水:
取水:打込谷[地 図]・打込谷支流[地 図]・金木戸川[地 図]・蓮華谷[地 図]1748m
放水:1380m



続篇:有峰引水増強・跡津導水は引き続きこちらで妄想構想。