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風力発電及び下げしろ対策・ 周波数変動対策,広域送電対策など

その1,
1.概要 
2.周波数変動対策(2-1. 蓄電池制御等実証モデル事業 2-2. 系統への大型蓄電池導入実証実験 2-3. 個別発電所への蓄電池導入事例)
3.広域送電対策(北本連系増強) 4.東北電力の取り組み
5.北海道・東北・東京電力による送電の実証実験  6.中西日本に於ける取組 
→北海道・東北・東京電力広域送電罔図はこちら

その2.洋上風力  その3.日本に於ける風力発電導入量推移など その4.電発の風力発電所

本頁では連系に関しては主に本島の基幹ネットワークに関して記述し,離島に関しては此処で検討。

<その他・風力発電と送電罔(もう)>
日本全体送電罔概要図 道東と道北連系 系統側蓄電池による風力開発(北電) 宗谷・留萌風力開発 道央ループ系統 道南・函館・奥尻島
北本連系 常磐系統増強 東京電力基幹系統罔 秋田・山形・宮城系統増強策 九州→本州送電 揚水発電など  揚水など調整力(巨大蓄電池一覧とコスト) 



1.概要

●大きく分けて陸上風力発電と洋上風力発電がある。

て,より強い風がより安定して吹く洋上では30%程に上がる。
勿論洋上の方が建設コストが掛かるのでそうでなければ収益性が落ちてしまう。。

●稼働率の変動は連系可能量に特に中小規模の電力会社には制限が有りその緩和が課題となる。

電力各社の風力発電連系可能量と既連系量(MW)
電力会社
連系可能量
(2011.9末現在)
既連系量
(2011.3末現在)
今後のプロジェクト等で
可能になる(予定)量
その他・備考
北海道
360(2011.8)
276
560(+200)
北海道→東京送電実証実験による
東北
1580
500→1510(2013.3末)
①420
+②1500(=3500)
①東北電力の蓄積データによる技術的検討による
②秋田送電及び上北送電
東京

357


中部

211


北陸
250
146
450(+200)
中西日本の風力発電容量拡大への取組(第一陣)による
関西

81

関西余裕有る(=可能量が─印)のに既連系量すくなっ!
中国
620
299


四国
250
166
450(+200)
中西日本の風力発電容量拡大への取組(第一陣)による
九州
1000
331


沖縄
25
14


合計
4085
2381
5085(5.1GW)(+1020)

出典:http://www.rikuden.co.jp/press/attach/11122201.pdfなどより作成
この後原発の廃炉決定で接続可能量は増加している筈だが未反映である。後述するように2015年末で3GWちょいなので未だ連系可能上限には全体としては達していない。

原子力偏重の関電は再稼働の必要性で苦しんでいるが,地熱発電も適地が存在しないばかりか風力発電開発も進まず発電量が増えない(→高コストの石油火力のフル稼働を強いられる)傾向にある様だ。
古くは黒四の建設や,その後の原子力開発への果敢な投資などイケイケの関西企業らしい社風を活かし次世代のエネルギーでも先鞭をつけて欲しいところ。
より現実的には西日本管内の大きな括りの中で風力発電の電力を最大限利用する為に関電の風力で発電された電気の広域的な受け容れ,が重要になるだろう。

●風力発電の大きな問題点として低周波騒音公害問題があり,また環境問題として渡り鳥などの衝突がある。
低周波は人体には直接体感できないものの障子などを振動させることによって苛々を惹き起こすようである。発電所からの距離と云うより個別対応が鍵になりそうである。
また風力の予測が難しく安定的な発電が出来ずに撤退するケースや風車の落雷などによる破損落下事故なども発生している。
大陸の大味な地形に伴う単純な風況と異なり日本の複雑な地形は複雑な風況をもたらしノウハウの蓄積迄は稼働率が低迷するという面がどうもあるようである。更には建設至上主義的な(=建設が主目的に堕している)プロジェクトも散見されるようで心配である。(>>1434-1438)

●世界的にも導入が進んでいる。
日本は寧ろ遅れている状況。

出典:>>1615
国別の導入量。2014年の新設(左)と累積(右)

世界累計設置容量(2010年)
国名
容量 (GW)

その他・ 備考

2010年 2014年
2015年

中国
42.3①
114.69①
145.1①

米国
40.2②
65.879②
74.47②
新規原発設置停止中
独逸
27.2③
39.165③
44.95③
国内需要の8%を風力が占める
印度 13.1⑤ 22.465⑤
25.09④
スペイン 20.7④ 22.987④
23.03⑤

英国 5.2⑨ 12.44⑤
国内電力の10%を風力で賄っている>>1919
イタリア
5.8⑥
8.66⑧


フランス
5.7⑦
9.28⑦


カナダ
4.0⑩
9.69⑥


ブラジル

5.94⑨

未接続分も含む
デンマーク
3.8⑪


国内需要の20%を供給。2025年には50%以上を目標
その他
26.5


日本:2.5GW(2011年末>>949)→3.04GW(2015年末・20位前後)
世界全体
194.4

432.4

出典:ウィ キペディア・2014年は>>1615,2015年は>>1920参照

米中独印西が突出しているけど周波数変動対策はどうなってんのかねぇ?いずれも系統全体に占める割合は大したことない(独西はEUで全体とみる)と云うこと か?

ドイツでは風力発電の導入が進み日本の発電に対する自然エネルギー比率0.5%に対してドイツでは風力発電が8%を占めその発電の不安定性が系統接続(連 系)している近隣諸国へも影響を与えるまでになって配電を調整する機器が取り付けられたとのこと(ソー ス)またドイツ北部のバルト海沿岸の風力発電地帯からドイツ南部への送電罔(もう)の建設が環境等の反対で滞っているのも問題のようである。
但しwikiに 拠るとEU全体で2005年現在で3%,2020年には13%を風力で補う見込みであり,デンマークでは既に国全体の電力需要の20%が風力で賄えてお り,2025年には50%にする予定とのこと。

EU内では互いに系統連系するフランスが原子力偏重でベース電源を担い,イギリスやデンマークが風力,スペインが風力と太陽光と棲み分けをして相互補完的 な仕組みを取っている様である。実際に独仏・西仏で電力のやりとりはあるようであるし,デンマークはスカンジナビア諸国4国でノルドプールという電力共通市場を構成して電力供給の安定化を図っている(>>1020)とのこと。
国 内で完結する日本が脱原発のドイツだけとか自然エネルギーのスペインだけ真似してみても意味が無いと云う事を示唆しているが元々欧州数カ国分の規模の日本 であるから地域毎に補完性を発揮する余地が有る事を示していると言える。風況の良い東北・北海道で発電した電力を福島原発の廃止で不要になった送電罔を活 用して首都圏へ送ったり,九電や四電の風力発電を下げ代(風力発電等の受け容れの為に火力発電の発電量を下げる能力)の大きい関電で受け容れる等の施策が 採られるべきである。
但しwikiに 拠るとEU全体で2005年現在で3%,2020年には13%を風力で補う見込みであり,デンマークでは既に国全体の電力需要の20%が風力で賄えてお り,2025年には50%にする予定とのこと。

日本風力発電協会の予測によると、2010年度に2440MWだった風力発電の規模は2020年度までに5倍近い1130万kW(1万1300MW=11.3GW)に拡大する(図2)。その 後は陸上に加えて洋上の風力発電が急速に伸びて、2050年度には陸上と洋上を合わせて5000万kW(=50GW)に到達するロードマップが描かれている。この規模は 原子力発電の年間の発電量の15~20基分。>>983-984
これを実現するには今の連系余力(東電・中電・関電以外の電力会社の合計5.1GW)の最大10倍の送電罔容量を確保・整備しなければならない。。(東電や中電や関電にも立地出来ればそんなに要らない。)
勿論,風任せで出力の変動する風力発電と一旦稼働すると安定的に出力しっぱなしで運用されることが多い(原発大国フランスでは調整が行われているそうな)原発では性質が異なるので単純に代替できる訳ではない。


以上から風力発電の問題点として先ずは送電対策が必要である。送電罔の容量の他,自然エネルギー故に周波数変動対策も必要である。本頁ではこれらに就いて検討する。その課題の一方で,潜在的エネルギー賦存量としての特に洋上風力の可能性は高いようである。次項で検討する。なお離島での風力発電の活用も一つの重要なテーマであるがそれは頁を改めて纏める予定である。

2.周波数変動対策

2-1. 実証実験  

「再生可能エネルギー導入のための蓄電池制御等実証モデル事業」

2013年04月02日 15時00分 更新
90億円かけて太陽光や風力の出力安定化へ、全国8地域で実験開始
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1304/02/news029.html

環境省2012年度の補正予算で実施する「再生可能エネルギー導入のための蓄電池制御等実証モデル事業」の対象プロジェクトが決まった。青森県の六ヶ所村から鹿児島県の与論島まで8つの地域で、太陽光発電や風力発電の出力変動を大型の蓄電池で抑制する実験が始まる。
[石田雅也,スマートジャパン]
 国内で再生可能エネルギーを推進する立場の環境省が90億円の予算を使って大規模な実証実験を開始する。太陽光発電や風力発電で大きな問題になる出力の変動を抑制するために、大型の蓄電池を使って変動分を吸収する試みだ。全国8地域を対象にした6つのプロジェクトを選び、2018年度まで4年間かけて実験を続ける。良好な結果が得られれば、太陽光発電や風力発電の普及に弾みがつく。

 環境省が選定した6つのプロジェクトは青森県と秋田県の風力発電所、大阪府の太陽光発電所、さらに九州の離島を対象にした実験プロジェクトが3つ含まれている(図1)。このうち特に規模が大きいのは青森県六ケ所村と九州電力の離島における実験だ。

図1 蓄電池制御等実証モデル事業の採択案件。出典:環境省
事業団体名
事業名
蓄電池の種類
規模
出力/容量
接続する再生可能エネルギー
事業実施場所
六ヶ所村風力開発(株)
六ヶ所村風力発電所蓄電池併設による出力抑制事業
NAS電池
10MW/60MWh
風力発電+太陽光発電
青森県上北郡六ヶ所村
(株)風の王国・男鹿
風の王国風力・太陽光発電事業
鉛蓄電池
2.7MW/6.9MWh
風力発電+太陽光発電 秋田県男鹿市船越
住友商事(株)
再生可能エネルギー導入促進の為の,夢洲に於ける経済性の高い蓄電池システムの実証
リユーズEV電池
0.5MW/0.4MWh
太陽光発電 大阪市此花区
九州電力(株)
離島に於ける再生可能エネルギー
リチウム電池
8.5MW/8.5MWh
風力発電+太陽光発電 対馬市(長崎県)・種子島(鹿児島県)・奄美大島(鹿児島県)→参照
(株)JCサービス
離島での大型蓄電池導入による太陽光発電の導入量拡大及び防災型電源ネットワークシステム構築実証モデル事業
鉛蓄電池
0.6MW/0.6MWh
太陽光発電 徳之島(鹿児島県)
医療法人 龍美会
与論島風力発電と太陽光発電の変動抑制用蓄電池制馭実証事業
リチウム電池
1.0MW/0.89MWh
風力発電+太陽光発電 与論島(沖縄県)

 九州電力は長崎県の対馬のほか、鹿児島県の種子島と奄美大島で同様の実験を実施する。それぞれの島内に2~3.5MW(メガワット)の大型蓄電池を設置して、太陽光発電所や風力発電所から送られてくる電力を制御する仕組みになる。

 特に離島の場合は電力の需要が小さいために、太陽光発電や風力発電の出力変動による影響が相対的に大きく、その結果として電力の周波数が不安定になりやすい。出力の変動分を蓄電池で吸収することによって、電力を安定化させることができる(図2)。

図2 太陽光発電の出力変動を抑制するイメージ。出典:九州電力

 一方の六ヶ所村では大規模な風力発電所が3か所で稼働している。その中のひとつである「六ヶ所村風力発電所」(33MW)に、10MWの蓄電池を併設して出力の安定化を図る。

 すでに六ヶ所村では2010年9月から2年間かけて「六ヶ所村スマートグリッド実証実験」に取り組んだ経験がある(図3)。村内にある別の「六ヶ所村二又風力発電所」(51MW)34MWの蓄電池を設置して、出力制御の実験を実施してきた。

 今回は新たに近隣の太陽光発電所からの電力を加えて、風力とのハイブリッド発電の状態でも出力を一定にした送電を試みる予定だ。さらに停電時に風力発電所を独立に稼働させる「自立運転」の手法を確立することも目指す。

図3 「六ヶ所村スマートグリッド実証実験」の概要。出典:日本風力開発、トヨタ自動車、パナソニック、日立製作所


2-2. 大型蓄電池の系統への導入
 そもそも北海道は系統が独立している上に経済規模が小さい。太陽光発電の出力変動を火力・水力発電で調整する訳であるが,発電機には発電出来る下限(下げしろ)があって調整能力に限界がある。北海道は土地が広く太陽光発電が集中立地し限界に達しつつあった。

 そこで500kW以上の太陽光発電設備の合計量が700MWに達した時点で从来の条件を緩和して北海道電力が接続を拒否できるようにした。
 それ以降,北電管内では太陽光発電と蓄電池などの合成出力の変化速度を、1分間に発電所定格出力の1%以下に抑えるという条件付きで連系接続が許可される事になった。これに応じて導入された発電所と蓄電器は2-3で後述する。

 そしてもう一つの対策が本節で述べる巨大蓄電池の設置である。

大容量蓄電システム実証事業
図1
事業者
変電所名(地名)
定格出力
蓄電容量
蓄電池の種類
実証事業名
事業年度
北海道電力
住友電工
南早来変電所
(北海道勇払郡安平町)
15MW
60MWh

レドックスフロー電池
大型蓄電システム緊急実証事業
( 下げしろ対策+周波数変動対策)
2013~2015年度
東北電力
西仙台変電所
(宮城県仙台市太白区秋保町)
20MW
(短時間40MW)
20MWh
リチウムイオン電池
(+火力発電制馭)
大型蓄電システム緊急実証事業
( 周波数変動対策)
2013~2015年度
東北電力
南相馬変電所
(福島県南相馬市小高区)
40MW
40MWh
リチウムイオン電池
大容量蓄電システム需給バランス改善実証事業
2016年度~
九州電力
豊前変電所
(福岡県豊前市)
50MW
300MWh
大型蓄電池
大容量蓄電システム需給バランス改善実証事業
2016年度~

2013年08月02日 11時00分 更新
電力供給サービス:
巨大な蓄電池を北海道と東北の変電所に導入、太陽光や風力の出力変動に対応
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1308/02/news015.html
総額296億円の国家予算で実施する「大型蓄電システム緊急実証事業」の対象が2件に決まった。北海道電力と東北電力がそれぞれ1カ所の変電所に大型蓄電 池を導入して、太陽光や風力発電設備からの出力変動に対応できる技術を5年間かけて検証する。
[石田雅也,スマートジャパン]

図2 大型蓄電池を使った太陽光・風力発電の出力変動対策。
出典:北海道電力、住友電気工業
 

図4 蓄電池と火力発電機を組み合わせた周波数調整の仕組み。出典:東北電力

2-3. 個別電池の発電所への導入事例
太陽光の連系容量が北電管内では太陽光発電と蓄電池などの合成出力の変化速度を、1分間に発電所定格出力の1%以下に抑えるという条件付きで連系接続が許可される事になった。と云ふ事で北海道の蓄電池付きを中心に巨大メガソーラーを集めてみた


3.北本連系増強問題  
北本連系に関してはwiki (>>2181)本サイト内コンテンツ参照

北本連系増強に関しては北海道電力のニュースリリースがある。
http://www.hepco.co.jp/info/2013/__icsFiles/afieldfile/2013/07/31/130731_2.pdf



所有者
送電容量 送電電圧 送電亘長 工程
既設ルート
電発
600MW
DC


増設ルート
北電
300MW
DC250kV 約122km 2014年4月着工
2019年3月運開予

概略系統図


さて,今回(2018年9月)の地震で浮上した一つの問題は折角の既存の北本連系600MWが肝腎な時に使えなかったというものがある。
風力発電・原発・送電端と発電端の違い等で知ってはいたが実は火力発電所は電気が起動に必要で,今回のブラックアウトでも先ずは山奥の水力発電で先ず電気 を起こし,その電気を遠くの火発に送ってブラックアウトから復帰を果たすことになったのだが,この北本連系の既設線,旧式の他励式で電気送るに電力喰うそ うでブラックアウト時には北海道側が停電してて機能しなかったw
幸い増強ルートが北電の手で建設中で2019年3月開通予定,2018年7月現在で工事進捗率は90%(ソース)!ってことなので厳冬期には間に合うのではないか。こちらは停電でも使える自励式である。
現新併せて900MWとなると可成り系統に余裕が出来るのは間違いない。

今後の問題は道南幹線(下図51,27万5,000V),函館幹線(下図57,18万7000V)の容量が併せて900MWしかないそうなので,双葉・西双葉~青森の900MWが隘路となってくる。







4.東北電力の取組み   

風力発電導入拡大に向けた取組み
http://www.tohoku-epco.co.jp/oshirase/newene/04/pdf/h25_02.pdf
出典:東北電力

東北電力は,同社電力系統に連系している風力発電の実績データに基づき、国の「風力発電系統連系対策小委員会中間報告書」に沿った検討方法により技術検討 を行い、蓄電池等による変動対策が不要な通常型の風力発電については85万kW(850MW),蓄電池等により変動対策を条件とした出力変動緩和制御型に ついては33万kW(330MW)とし、合計118万kW(1180MW)を導入上限と評価してきた。

そこで平成24年7月(2012年)に再生可能エネルギーの固定価格買取制度(以下、FIT法という。)が施行されその立法趣旨を踏まえ、さらなる連系拡大に向けて技術検討を進めた。
技術的課題は以下の2点

【課題①】風力発電の短時間に小刻みに生じる出力変動※1が、系統の調整力で吸収できる範囲を超過する
【課題②】風力発電の緩やかに変化する大きな出力変動※1よって、系統の供給力が需要規模を超過する(「下げ代不足」※2と云う)

※1 風力発電の出力変動
 風力発電の出力は風速や風向によって変動しるが、その変動は、図3に示すように「小刻みに生じる出力変
動」と「緩やかに変化する大きな出力変動」に分解可能。
 技術検討では、電力系統の調整力がそれぞれの変動に対して対応可能であることを確認する。

※2 下げ代不足
日々の需給運用において、夜間等の需要が小さな軽負荷時に制御可能な下げ方向の調整余力を下げ代と呼ぶ。
5月などの軽負荷期の夜間帯等には、下げ代が少なくなるので、この時間帯に風力発電の出力が増加して発電過剰の状態になると、風力発電を出力抑制して、需要と供給のバランスをあわせる必要がある。

課題①に関して過去10年に亘り東北電力が蓄積してきた風力発電の出力実績データの分析結果にもとづき、風力発電が連系拡大した際に期待できる平滑化効果 (確率的に均される効果)の進展を反映した結果,同社管内トータルで200万kW(2000MW)程度の連系が可能な見通しが得られた。

課題②についても、再生可能エネルギーの固定価格買取制度により風力発電の出力抑制が年間30日を上限として認められたことから「連系線を活用した実証試 験」分の40万kW(400MW)を含めて200万kW(2000MW) 程度に連系拡大した状況においても対応できると考えているとのこと。

以上の結果から、この度、風力発電の受付を200万kW(2000MW)迄拡大する事が可能となった。
 これらの風力発電の連系拡大に向けた取り組みにより、平成25年3月末(2013年)時点で54万kW程度(「出力一定制御型風力発電」約5万kWを含めると59万 kW程度)の風力発電が連系済であり、2013年の時点での連系予定を含めると合計で151万kW(1510MW)程度まで連系が進む見通しが得られており(即ち 現時点で申請残が既に連系の導入上限を上回っていた様だ),残りの余裕枠は50万kW(500MW)程となっている(→連系に余裕がなくて出力抑えられて いる松尾八幡平地熱発電に余裕分を回せよなぁ・・)。

5.北海道電力・東北電力・東電による実証実験

2012年10月01日 13時00分 更新
自然エネルギー:
200MWまでの風力発電を連係、北海道から東京へ送電可能に
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1210/01/news017.html
[石田雅也,スマートジャパン]

 すでに北海道は全国の都道府県の中でも風力発電所の数が群を抜いて多く、さらに大規模な建設計画が目白押しの状態にある。広くて風の強い場所が数多くあるためで、今後ますます風力発電による電力供給が盛んになっていくことは確実だ。
 ところが問題は、風の強さによって発電する電力量が大幅に変動してしまうため、その変動幅を電力会社の送配電ネットワークで調整できなくなる可能性がある。そうなると、せっかく発電した電力を利用できなくなってしまう。
 そこで北海道電力は風力発電による電力を東京電力のネットワークに送電するための実証実験を開始することにした。風力発電所からの電力量に応じて、まず 東北電力との間にある連係線を使って東北へ電力を送り、さらに東北の需給状況によって東京へ電力を送る(図1)。それでも電力が多くなる場合には、北海道 と東北にある風力発電所の出力を制御する。

図1 北海道電力と東京電力による実証実験の全体像。出典:北海道電力
 東京電力が販売する電力量は北海道電力の約10倍、東北電力の約4倍あるため、それだけ電力量を調整できる幅が広い。北海道や東北で消費できない電力を 吸収できる余地が大きいわけだ。北海道で再生可能エネルギーによって発電した電力を、大量消費地の東京で有効活用できることになる。

 北海道電力は合計200MW(メガワット)までの風力発電を対象に、2016年3月まで実証実験を続ける予定だ。その対象として建設計画中の5つの風力 発電所を選定した(図2)。5か所の合計で136.5MWになり、さらに新しい風力発電所も追加する。2011年8月の時点で北海道電力が送配電できる風 力発電の許容量は360MWで、新たに200MWを加えると1.5倍以上の規模になる。

図2 実証実験の対象に決まった5つの風力発電所。出典:北海道電力

因みに北海道の送電罔



南山形幹線

2014年05月11日日曜日 河北新報
東北電、山形に高圧送電線新設へ 震災教訓で新潟ルート確保
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201405/20140511_55012.html
 東北電力は2018年度の運用開始を目指し、山形県山辺町と上山市の間に27万5000ボルト高圧送電線「南山形幹線」を新設する。宮城、新潟両県を起 点に山形県内を走る2本の高圧送電線をつなぎ、災害時の電力供給ルートを増強する。東日本大震災で宮城ルートの送電が断たれ、大規模停電した反省を踏まえ た。

 山形県内の主な送電網は地図の通り。新設する南山形幹線は全長22.5キロで、山辺町の西山形変電所から上山市内で朝日幹線に接続する。

 14年度の供給計画によると、15年4月に着工し、18年6月の運用開始を目指す。高圧送電線の新設は、県内では1999年に整備した山形幹線以来の大事業となる。

 東北電力山形支店によると、飯豊、蔵王両幹線が通る米沢市など県南部を除き、県内の大半は宮城変電所(宮城県加美町)が起点の陸羽、山形両幹線から電力を供給する。朝日幹線は県内を走るが供給は行っていない。

 南山形幹線の新設で、災害時、陸羽幹線などの宮城ルートが寸断しても、朝日幹線から山形幹線に送電する新潟ルートが確保できるため、県内の安定供給が維持できる。

 新潟ルートから新庄変電所(大蔵村)を経由し秋田市などに送電することも可能。秋田県の大動脈の奥羽幹線の代替ルートとしても期待される。

 東日本大震災の発生時は宮城県の送電設備が被災し、…山形県内は送電設備の被害が皆無だったにもかかわらず、約53万戸が影響を受け、内陸部を中心に復旧まで最大30時間を要した。11年4月7日に起きた余震でもほぼ同じ地域の約58万戸が停電した。

 山形支店は「震災の教訓を踏まえ、送電網を増強する。新たなルート構築で、山形や日本海側への安定供給にも寄与したい」と説明する。

南山形幹線の本格工事開始について
~山形県・秋田県南部沿岸地域へのさらなる安定供給に向けて~
https://www.tohoku-epco.co.jp/news/normal/1189688_1049.html

平成27年 6月 1日

 現在のところ、山形県内への電力供給は、米沢市や鶴岡市などの一部の地域を除き、宮城県方面からの供給ルートで行っております。東日本大震災では、山形 県内の送電設備に被害はなかったものの、宮城変電所(宮城県加美郡加美町)が停止したことから、山形県内でも大規模な停電が発生しました。
 こうした経験を踏まえて、当社は、西山形変電所(山形県東村山郡山辺町)と既設の朝日幹線(電圧:27万5千ボルト)とを結ぶ新たな供給ルートを構築す ることにより、山形県および秋田県南部沿岸地域への供給ルートを多重化し、同地域における電力のさらなる安定供給を図るものです。

(別紙)南山形幹線の概要(PDFファイル/56KB)
https://www.tohoku-epco.co.jp/news/normal/__icsFiles/afieldfile/2015/06/01/1189688b.pdf

名称
南山形幹線

区間
朝日幹線No.267鉄塔~西山形変電所

亘長 22.5km
亘(こう)長とは、線路の2点間の長さ(送電鉄塔や配電柱間など支持物間の水平距離)を合計したもの(→ヤフー知恵袋)だそうな。
鉄塔基数
54基
但し朝日幹線No.267鉄塔を含む
電圧
27万5千V
設計電圧は50万V
回線数
2回線

工事開始
2015年6月1日

使用開始予定
2018年6月





首都圏向け送電倍増 東北から「連系線」新設
http://news.goo.ne.jp/article/kahoku/politics/kahoku_K201508190A0A103X00002_225410.html
08月19日 08:48河北新報

 経済産業省が、東北電力管内から首都圏向けの送電能力を倍増させる検討をしていることが18日分かった。「連系線」と呼ばれる送電線を新設し、現在 500万キロワットの送電可能容量を将来的に1120万キロワット規模に増やす方向だ。東京電力管内の電力需要は最大5000万キロワット前後で、約5分 の1を賄えることになる。
 地域をまたいだ電力販売を活発にして事業者間の競争を促し、電気料金の引き下げにつなげたい考えだ。
 全国規模での電力融通を指揮する電力広域的運営推進機関(広域機関)が基本計画を9月にまとめ、連系線を建設する電力会社を募集する。工期は10年程度で、連系線の長さは計約145キロを想定している。総工費は少なくとも1390億円に上るとしている。
 東北では、関西電力系のグループが秋田港(秋田県)に出力約130万キロワット、仙台港(宮城県)に出力11万2000キロワットの石炭火力発電所の建設を計画している。オリックスも福島県相馬市で石炭とバイオマスを使った火力発電所やメガソーラーを建設する予定だ。
 広域機関などによると、これらを含む15社が東北で計約507万キロワットを発電し、連系線を利用する計画。新電力の発電量が増える2018年度以降にも現在の連系線は空き容量が不足する見込みのため、送電容量を拡大する。
 来年4月に電力小売りの全面自由化を控え、新規業者が電力事業に参入しやすい環境づくりの一環。地域独占してきた大手電力会社にとっては、事業環境が大きく変わる可能性がある。
 東北電力は「広域機関で、連系線の増強に関する計画、策定プロセスの検討が進められていると承知している。連系線に接続する電線などを維持、運用する事業者として、技術検討に協力していきたい」とコメントした。

東北電力→東京電力 現行500万kW(5GW)→1120万kW(11.2GW)

2015.8.18 14:30
東北から首都圏への送電能力を倍増へ 経産省が新連系線を検討
http://www.sankei.com/politics/news/150818/plt1508180012-n1.html

 経済産業省が東北地方から首都圏向けの送電能力を倍増させる方向で検討していることが18日、分かった。全国規模での電力融通を指揮する「電力広域的運営推進機関」が9月に基本計画をまとめ、「連系線」と呼ばれる送電線を建設する電力会社を募集する。
 東北電力管内から東京電力管内への送電可能容量は現在500万キロワットあり、これを将来的に1120万キロワット程度まで増やす。東電管内の電力需要は最大5千万キロワット前後で、5分の1程度をまかなえる規模になる。
 工期は10年程度かかる見通しで、連系線の長さは約140キロを想定している。総工費は少なくとも1390億円に上る見込み。
 平成28年4月の電力小売り全面自由化以降、新規参入者の増加でさらに500万キロワット以上の利用が見込まれる。現在の連系線は5年ほどで空き容量がなくなるため、送電容量を拡大する。
 電力自由化で地域をまたぐ電力販売が広がるなか、連系線の強化も各地で加速している。北海道と本州間の北本連系設備は60万キロワットから90万キロワットに、東日本と西日本を結ぶ東京中部間連系線は120万キロワットから300万キロワットまで容量を増やす計画だ。

首都圏向け送電倍増 東北から「連系線」新設
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201508/20150819_71010.html

 経済産業省が、東北電力管内から首都圏向けの送電能力を倍増させる検討をしていることが18日分かった。「連系線」と呼ばれる送電線を新設し、現在 500万キロワットの送電可能容量を将来的に1120万キロワット規模に増やす方向だ。東京電力管内の電力需要は最大5000万キロワット前後で、約5分 の1を賄えることになる。
 地域をまたいだ電力販売を活発にして事業者間の競争を促し、電気料金の引き下げにつなげたい考えだ。
 全国規模での電力融通を指揮する電力広域的運営推進機関(広域機関)が基本計画を9月にまとめ、連系線を建設する電力会社を募集する。工期は10年程度で、連系線の長さは計約145キロを想定している。総工費は少なくとも1390億円に上るとしている。
 東北では、関西電力系のグループが秋田港(秋田県)に出力約130万キロワット、仙台港(宮城県)に出力11万2000キロワットの石炭火力発電所の建 設を計画している。オリックスも福島県相馬市で石炭(とは註:11万キロワット)とバイオマスを使った火力発電所やメガソーラーを建設する予定だ。
 広域機関などによると、これらを含む15社が東北で計約507万キロワットを発電し、連系線を利用する計画。新電力の発電量が増える2018年度以降にも現在の連系線は空き容量が不足する見込みのため、送電容量を拡大する。
 来年4月に電力小売りの全面自由化を控え、新規業者が電力事業に参入しやすい環境づくりの一環。地域独占してきた大手電力会社にとっては、事業環境が大きく変わる可能性がある。
 東北電力は「広域機関で、連系線の増強に関する計画、策定プロセスの検討が進められていると承知している。連系線に接続する電線などを維持、運用する事業者として、技術検討に協力していきたい」とコメントした。

東北・東京間連系線、1120万kWに増強へ-広域機関が新ルート案
http://www.shimbun.denki.or.jp/news/main/20150806_02.html
2015/08/06
電力広域的運営推進機関(広域機関)は、東北電力エリアと東京電力エリアを結ぶ連系線を太平洋側に新設し、東北から東京向けの運用容量を現在の500万キ ロワットから1120万キロワットに増強する方向で検討を進める。工事費は1390億円以上になる見込み。既設の相馬双葉幹線の空き容量は2019年度以 降はゼロになるが、計500万キロワット以上の電源が同区間の連系線利用を希望しており、新ルート建設が不可避となっている。広域機関は9月にも基本要件 を定めた後、他の事業者からも案を募集する。

広域機関がこのほど開催した「広域系統整備委員会」(委員長=古城誠・上智大学教授)で検討の方向性を決めた。新設する送電線は約60キロメートル。東北 電力西仙台変電所と南相馬変電所の間に新たに設ける50万V開閉所を起点に南下し、東京電力福島第一原子力発電所から延びる福島幹線に接続する。(1面)

>(今後新たに東北で)計約507万キロワットを発電し、連系線を利用する計画。
現行の5GWの送電線容量はどの程度使われてるのかな?5GW分発電して東京に送るに5GWの送電線が必要と云う単純計算でいいのかな?

>経済産業省が、東北電力管内から首都圏向けの送電能力を倍増させる検討をしているとが18日分かった。「電力広域的運営推進機関」が9月に基本計画をまとめ、「連系線」と呼ばれる送電線を建設する電力会社を募集する。
電力広域的運営推進機関が立案するようだが,送電線を建設する電力会社を募集する主体もこの機関なんかな?

>。新設する送電線は約60キロメートル。東北電力西仙台変電所と南相馬変電所の間に新たに設ける50万V開閉所を起点に南下し、東京電力福島第一原子力発電所から延びる福島幹線に接続する

この辺↓(個人メモ・TSUKUBA機に保存)が検討資料の様だ。

東北東京間連系線に係わる計画策定プロセスについて
https://www.occto.or.jp/oshirase/kakusfuiinkai/files/seibi_03_02.pdf
平成27年7月28日
広域系統整備委員会事務局

太平洋側(浜通り)で幹線増強をする事のようだが災害時の不安がある。
内陸部に山形幹線と朝日幹線を繋ぐってニュースもあった>>2340>>3020が,秋田からの電力を電気が集まる仙台を避けて羽後─新庄・朝日幹線と山形幹線を結ぶ変電所─米沢─栃木方面に建設すりゃあいいんちゃうの?
勿論これは秋田方面での風力電力開発も視野に入っている訳だが。



6.中西日本に於ける取組み概要
http://www.fepc.or.jp/environment/new_energy/dounyu/

http://www.rikuden.co.jp/press/attach/11122201.pdf
中西日本における風力発電導入拡大に向けた取り組み

 中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力および九州電力の中西日本6社は、相互に協力し地域間連系線を活用した中西日本における風力発電導入 拡大を図ることとしております。まず先行した取り組みとして、今後風力発電の導入が進むと風力発電の出力変動に対する調整力に余裕がなくなる北陸電力およ び四国電力から、系統容量の比較的大きな中部電力および関西電力に電力を送電し、北陸電力および四国電力が必要な調整力を確保することで、中西日本におけ る風力発電の導入拡大を図ることについて、具体的に検討していきます。
 今後も引き続き中西日本6社は、さらなる風力発電導入量拡大に向け、取り組んでいきます。
(2011年12月22日 プレスリリース資料より)

関電の夏場の供給能力を論じる時に(特にサンケイなど二流の原発を再稼働したくて堪らない)マスコミが管内の電気が足りないから外から運んできてやっと辻 褄を合わせた的なニュアンスを匂わせていたが,広域で最適な調整するのは寧ろ当たり前である。特に関西は風力・地熱・水力などの賦存に劣り原発に大いに依 存していた訳だしねー。