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バイオマス発電

<概要> <木質バイオマス発電鶏糞発電など><製紙系><製材系など
木質バイオマス発電の買取価格設定に関する疑問点> 



■概要
バイオマス火力発電は再生可能エネルギーの一つである。
 バイオマス燃料は値段が比較的高価であること,纏まった供給量の確保が比較的困難であることが問題点。>>901-902
メリットは日本の森林の荒廃の抑制が大きいと思われる。
石炭との混焼や燃料チップの地域ネットワークを構築しての供給体制などが課題。日本国内に於いては木質バイオマス燃料の供給が隘路になって現在の稼働予定で目一杯な印象が強い。
これ以上の増強の可能性の検討は実際,実機を数年間に亘って稼働させてみてからと云った感じでは無かろうか?

FITに於いては原料の出所によって価格が細かく決められている>>926-927

燃 料で分かれるバイオマス発電の買取価格。出典:資源エネルギー庁
バイオマス未利用木材利用は33円に決められたが疑問があるようである。

そもそも欧州などではバイオマスは熱源としての利用が主で,熱効率が非常に悪く,電源としては補助的な位置づけなんだそうな。>>943
从ってコストに関しては本来は蒸気との併給がメインの利用法であって単独でそれ程良好な訳では無い。 石炭混焼や熱源併設などへの誘導が必要なんかも知れない。

そもそも,政策誘導して高めの料金設定をしたようだが,原料の供給(新しく行われる間伐)などが追いつかない事態になる可能性もありそうとの事である。
現在は森林内に大量に放置されている間伐材を取ってくれば良いがそのストックを取り尽くした後は,間伐実行のフローの量が(乾燥等のタイムラグあるけど) 供給量となる。
原料高騰すれば自動的に高いバイオマスの収益性も下がるだろうし(高コストの電力が増えすぎない様にする)安全弁付きとも云えるのかも知れないが,他に利 用可能な森林資源が過剰に燃やされる様な勿体ないことになる事態は避けたい所。

コストを勘案するとバイオマス専焼より混焼がメインかと思われる。
またバイオマス原料を輸入に頼るのも一つの方法であり,臨海型の大型のバイオマス発電施設が幾つも建設されているが,買い取り優遇制度が終了した後や国内 の供給の動向如何では海外 からの輸入バイオマス原料への転移も視野に入れているようである。


出典:林 野庁「国産材の加工・流通・利用検討委員会」の開催概要についての会議資料より(2012.2.7開催)

調べてゆくと,中小水力同様,結構たくさん存在している事が判る。中小水力が戦後の農山村電化促進事業が大きな経緯と成っていたが,こちらはそもそも製 紙,製材など産業用に導入されてきた経緯がある様である。
また近年の温室効果ガス抑制政策の流れでのここ10年ほど(原発事故以前)の導入も目立つ。

原発事故以後の原発代替が可能であるかどうかの視点が強い本サイトであるので,無理に日本中に散らばるバイオマス発電を追うよりは基本原発事故以降の新規 開発案件を蒐集してゆくのを基本とする。

主にFIT導入後のバイオマス発電の一覧はこちら参照

3.木質バイオマス発電の買取価格設定に関する疑問点
市場価格を前提としても32円から27円ぐらいには下げられそうである。
更にコジェネ同様熱源としても利用出来ると良いのかも。
ガスコジェネで8~9円のコスト減相当になる様なので勿論その分のシステムの費 用は上乗せされるけど少なくとも25円ぐらいには出来るかも。寧ろそうなるように誘導すべきかも知れぬ。

■WEDGEによるレポ

未利用材バイオマス発電 補助金4重取り(2013.1.21)
WEDGE編集部
 日本の森林は毎年8000万立方メートル増えているが、材として搬出されているのは年2000万立方メートルに過ぎない。安い輸入材に押されて国産材需 要は低迷。スギの価格は1立方メートルあたり1万円程度と、最盛期(1980年)の4分の1まで下がったからだ。山林には大量の未利用材が残されている。 人工林は放置すると荒廃するため、林野庁は間伐(間引き)に補助金を出しているが、伐った間伐材のほとんどは山林に放置されている(伐り捨て間伐)。
 7月から始まった再生可能エネルギー固定価格買取制度(Feed-in Tariff、以下FIT)では、未利用材を燃料とするバイオマス発電には32円/kWH(税抜)という高い買取価格が設定された。この価格を決める最大 の要素が、燃料となる木材チップの価格。山林に残された未利用材を搬出するには手間がかかる。燃料チップ価格は12000円/トンと、スギの市場価格とそ う遜色ない価格がつけられた。
 いままで山に捨てるしかなかった木が商品になるのだから、さぞ地元は盛り上がっているだろうと、取材班は会津地域の素材生産事業者(森林組合など木材を 伐採、搬出して流通側に渡す事業者)を回った。しかし、返ってきたのは「山にお金は大して還元されない。あれで6万トンも集まるだろうか」という反応だっ た。

 それもそのはず、取材班が独自に入手した書面によると、素材生産事業者に提示されている価格は5000円/トン。チップ加工代や運搬費がかかるとして も、12000円とはあまりの開きだ。「未利用材は搬出に手間がかかるのに、これではコスト割れだ」との声も聞かれた。
 さらに調査を進めると、この発電プラントは、10年度の補正予算で農林水産省から9・5億円の補助金を受け取っていることがわかった。「資源循環型地域 活力向上対策事業」として、設備投資の半額補助、名目は雇用対策である。
 グリーン発電会津が補助金を申請した10年12月当時、大詰めを迎えていた経済産業省の審議会で検討されていたFITの買取価格(発電側から見ると売電 価格)は、15~20円という一律価格である。会津のプラントは32円ではなく、20円の買取価格で事業が運営できるよう設計されていたはずなのだ。実 際、補助金の申請書面に記載されている年間燃料費は4・96億円。年間6~7万トンの未利用材を用いる「山林未利用材専焼発電所」とあるから、上限 8300円/トンのチップ価格を想定していた計算になる。
 8300円がいつのまにか12000円になり、しかし実際は山側に5000円しか還元されていない。

木質バイオマス発電 買取価格32円はおかしい 価格決定の透明化を(2012.11.20)
朝野賢司 (電力中央研究所社会経済研究所主任研究員)
 固定価格買取制度(Feed-in Tariff、以下FIT)とは、再生可能エネルギーによる電力供給を、20年間等の長期に「固定」した価格で、電力会社に買い取ることを政府が義務づけ る制度で、2012年7月から施行された。
 最大の論点の一つが、ではいくらで買い取るのか、という点だ。FITの買取価格は、再エネの種別・規模別等で16区分に分けて、「効率的な供給を行う場 合に通常要する費用」に「適正な利潤」を加えて算出される(再エネ特措法〔以下、FIT法〕3条2項)。有識者5名による調達価格等算定委員会(以下、調 達委)は、業界団体の希望価格とコストデータを査定し、希望価格をほぼそのまま認め、経産大臣に意見書を提出した(6月に大臣が決定)。つまり、業界の 「言い値」が今年度の買取価格となった。
 木質バイオマス発電に関しては、日本初の未利用材チップのみによる発電所とされるグリーン発電会津(以下G会津)が、「IRR8%では、買取価格は32 円/kW時になる」と希望価格を示し、調達委もこの言い値をそのまま認めた
 しかし、この計算は間違いが2点、謎の資本費計上が1点あることによって、仮にG会津が調達委で示した計算諸元が正しいとしても、買取価格は30円 /kW時である。
この30円/kW時の買取価格から、控除すべき項目が2つある。①設備投資補助金9.5億円、および②未利用材チップ価格が調達委での12000円/トン (発電所着、水分率40%)ではなく、8000円/トンであった場合だ。

 これらを控除した場合の買取価格…設備補助金(9.5億円)を建設費(初期投資)から控除すると27円/kW時、燃料費(未利用材チップ価格)が 8000円/トンの場合は24円/kW時である。両方を控除すると21円/kW時になり、調達委が査定した「32円/kW時」から、約10円/kW時切り 下げられることになる。