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2016.3.28作成
北海道・東北・東京広域送電罔図

その昔交通公社の時刻表には連絡早見表が充実しており,その花形と勝手に思っているのが本州⇔北海道連絡早見表であった。
列車番号1Mの上野発の「はつかり」かそれと平行して走る常磐線経由の「みちのく」に乗ると深夜に函館行き連絡線1便(31便とかもあった)があって,更 に早朝函館に着くと1Dの「北斗」(もしくは平行して山線経由の「北海」)に接続するのが第一選択時刻であって,その次には夜に上野を出る寝台特急電車の 「ゆうづる」(常磐線経由)か「はくつる」に乗車すると早朝に青森について其処から連絡船に乗り換えて函館からはおおぞらかなんかに乗り継ぐのが第二選択 時刻という感じであった。更には札幌から先の連絡も載っていた。
残念ながら東北新幹線や青函トンネルの開通する頃には本州・北海道の鉄道利用はみるみる衰退してしまってその連絡早見表もどんどん簡略化されてしまったの であるけど,あれから四半世紀以上経った今,再び北海道と本州の連絡に心を踊らせる局面に立ち会うことになったのである!感無量である。
とはいえ今回は電車ではなく電力である。そして風況の良い無尽蔵の風力発電の電力を北海道から東北へ,東北から首都圏へと運ぶのがメインである。勿論風力 は間歇性電源であるから凪の時は東京のLNG火力から東北へ,更に東北から北海道への逆潮流もある訳だが,50Hz圏全体として化石燃料の消費を減らす為 にもこの壮大な送電罔改革は必須なのである。

日本における10kW以上の風力発電設備の分布図(北海道)
宗谷地方と留萌地方に多い事が解る。
出典:NEDO

北海道電力管内系統図
風力発電の立地を考えるに宗谷地方・留萌地方⇒札幌地区への送電罔が弱い気がする。

出典:北海道電力
空知・上川・十勝を中心とする地域に水力発電が多い。
水力発電は流込み式だと無理だけど調整池・貯水池式だと調整が出来る筈だけど発電方式はどうで運用はどうなってんだろう??



北本連系系統図


日本における10kW以上の風力発電設備の分布図(青森県・秋田県)=出典:NEDO

下北半島及び津軽半島,秋田沿岸も風力発電が多い。

東北電力連系系統図
制約発生は2014年度の区間
出典:東北電力



応募電源が全て連携した場合の想定潮流図<対策前>
常磐幹線と相馬双葉幹線で熱容量がオーバーしてしまうようだ。


運用拡大方策
区間1:相馬双葉幹線と相馬共同火力への送電線の分岐点付近に新設される開閉所から福島第一へ繋がる福島幹線上に設置される開閉所迄建設することで容量制約箇所が西仙台変電所~宮城変電所の青葉幹線に移る。
区間2:青葉幹線の容量を解消する為に宮城中央変電所から相馬共同火力への送電線の分岐点付近に新設される開閉所迄送電線を新設する。




蓄電池設置状況

事業者
変電所名(地名)
定格出力
蓄電容量
蓄電池の種類
実証事業名
事業年度
北海道電力
住友電工
南早来変電所
(北海道勇払郡安平町)
15MW
60MWh

レドックスフロー電池
大型蓄電システム緊急実証事業
2013~2015年度
東北電力
西仙台変電所
(宮城県仙台市太白区秋保町)
20MW
(短時間40MW)
20MWh
リチウムイオン電池
大型蓄電システム緊急実証事業 2013~2015年度
東北電力
南相馬変電所
40MW
40MWh
リチウムイオン電池
大容量蓄電システム需給バランス改善実証事業
2016年度~

図2 大型蓄電池を使った太陽光・風力発電の出力変動対策。
出典:北海道電力、住友電気工業
 

図4 蓄電池と火力発電機を組み合わせた周波数調整の仕組み。出典:東北電力

まとめと今後
ドイツは北の風力発電を南の工業地帯へ運ぶ為の送電罔の建設に手間取ってゐて,発電した風力電力をデンマークやポーランドに輸出しているけど発電量が多すぎて系統を不安定にしかねない規模になってゐるとのこと。
早いところ建設して欲しいところであるけど,日本もドイツ程嫌われてはないけど電磁波の影響などあって決して歓迎されるインフラという訳でも無いのである。
そもそも原発が停まっている現在,福島第一・第二(計910MW)・柏崎刈羽(821.2MW)・東通(110MW)⇒首都圏には併せて1841MW分の 送電力がガラ空きになっている筈である。少なくとも東北・北海道の風力電力を相双地区や中越地方迄引っ張って来れれば後は太い流れに身を任せられる筈であ る。越後変電所~本名変電所・新庄変電所~羽後変電所に50万V旧で増強したらどうだろうか?一寸遠回りなら南山形幹線からそのまま南下して直結という手 もあろう。
こんな事を考えていたら電力広域運営機構も似たようなこと検討していたw(下図のB案が新潟経由,C案が直接南下案である。北側の延伸も羽後変電所から更に北へ向かう感じである。)心強い。


とまれ,このプロジェクトが終了したらその次の本州・北海道連絡調査は東京・北樺太連絡のサハリンからのガスパイプラインになりそうで,今から楽しみにしているw
日本のガスは高い。LNGの高さをアメリカのシェールとサハリンからのパイプラインでなんとか打破したい所。