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21.7.11 更新
吉野川中流域
吉野川綜合開発と利水現況(24.7訪問)

流域概況綜合開発篇分水状況下流部開発潅漑用水早明浦ダム上流部

1.現状と水量 
水利用の現状 年平均降水量等量線図(四国) 月平均流量(吉野川河口付近)
水問題に係わる現状

2.吉野川綜合開発(概略全図開発略史 )

3.現状と発電所・ダム
地域地図 
池田発電所池田ダム吉野川北岸用水香川用水銅山川(伊予川)白川谷地区大歩危・小歩危(赤野ダム)・東豊永地区・(永淵ダム)・奥太田川穴内 川・(敷 岩ダム).・立川川・山崎ダム早明浦発電所早明浦ダム汗見ダム
[私案]新吉野川綜合開発(別頁)

支流と開発:
(鮎喰川)・(穴吹川)・(貞光川)・(松尾川)・(銅山川)・(祖谷川)・(穴内川)・(地蔵寺川)

吉野川の,そしてそれは四国全体の,利水上の問題点は自明で有り,早明浦ダム(V=2億8,900万トン)単独依存体制である。吉野川流域だけで四国の 20%を 占めるそうだが,これらの流域に加えて香川の全域,愛媛や高知の一部も吉野川からの導水に頼り切りになっているが,水源が四国の水甕たる早明浦ダムにほぼ 限られてい て,早明浦ダムの集水域は僅か吉野川の上流500km2足らず(より正確には472km2)。吉野川流域3,750km2に香川県の面積 1,877 km2を足した5,627km2の7.5%でしかないのである。この流域に雨が降らないと他 でどんなにざんざん雨が降っても早明浦ダムに水は一滴も入ってこないのである。しかも早明浦ダムの上流側でも高知県側が分水して取水もしている。

水利用の現状          
紀の川(これも上流は吉野川だ…ややこしいw)の資料をみてて,(四国の)吉野川の水量の未利用分の多さを体感した。(なんか比較している数 値がこれいいのか(=意味のある数値の比較なのか)どうなのか河川官僚に騙されてる様な感じがしなくもないけど)吉野川のポテンシャルすげえ!

出典:国 交省

>この川の最大洪水流量*は24,000m3/sと日本一であるが、渇水時の最低流量は、わずか20m3/s以下に過ぎない。 あまりあにも季節による流量の差が激しいのである。[水土礎
水土の礎も悲痛な叫びを上げている。
早明浦から下流に全くダムがないのは最早異常事態と云って良いだろう。

さて,現在の水利用と分水量はこんな感じ(下図)。分水ばっか律儀に計上してるけど肝腎の池田発電所の使用水量の計上 が何処にあるのか不明である。。
諸元から容量が5.0MW,最大使用水量が62m3/sで年間発電量が約30GWhである。フル稼働している時間帯ばかりではない筈だが,フル稼働してると仮定すると6,000時間(250日)である。
21.6M秒×62m3/s=13億3,920万トンの水を(最低)使って発電してるという感じか。勿論常にフルマックスで発電してる訳ではなく,少量の 水で発電効率が低下している時間帯もあるだろう,とのことでそれ以上の水は使っていそうである,今,15億トン程度利用していると仮定し,且つ無効水量 26.7 億トンの中に池田発電所で発電に利用されている水が含まれるとすると(池田発電所以下で大きな分水・導水はない),池田ダムの放流水量の半分以上は発電に は使われている ことになる。使い切れない10億トン(推定)をどう活用して行くかが課題ではある(開発篇では大歩危小歩危の保護と両立する形でのダム建設・発電所建設を検討した)。
出典:吉野川歴史探訪(四国整備局)
名頃ダムを始め,松尾川ダムへの祖 谷川などからの膨大な導水罔によって取水される量は意外に少なく年間0.9億トンしかないようだ。。松尾川本流の分は計上されてないとか?0.9億トンで はあんま発電出来ないやろ,,穴内川で2.1億トンである。最大使用水量の違い(穴内川から取水する平山発電所21.5m3/s・松尾川から取水する松尾川第一・第二は僅か6.3m3/sである。。)に可能使用水量が或る程度反映されてはいるのかもし れない…。

さて,一帯は一体全体どんな降水状況になっているのか。

年平均降水量等量線図          
出典:国 交省
そこそこ降ってる様に見える。流石に瀬戸内寄りは雨が少なそうだが。。

月平均流量の変動(吉野川水系 旧吉野川)          ▲
出典:瀬 戸内海の環境情報
まれに20m3/s程度の時もあるが,基本は30~50m3/sに収まってて,近年は少雨傾向で60m3/sはほぼ無いと云う感じである。1975年に池 田システムが竣工しているようであり,減りだしたのは1978年辺りからからで,竣工した香川用水の影響ではないと云うことでいいのかな?
それとも数年経ってフル稼働してから減ってる?

いずれにしてもこれこれは事業を伸展させたい官僚や土改連の連中の脅しに近い修辞だと解釈出来るのかな?まあ私も事業を進めたい派ではあるし,10年に一度でも水がなければ我々は干からびて死んでしまうので良いとはなからないか。

またグラフを見ると水不足は数ヶ月続くようである。穴内川ダムには2m3/sで供給出来る760万トンの水が常時貯められているとのことである。

吉野川中流域の発電所の増強などを考える。嘗て綜合開発が試みられるも吉野川分水や大歩危・小歩危の水没に対する徳島県の反撥が大きく中途半端な形で完了 した(完成しなかった)とも云える。
早明浦から池田迄六つのダムで発電する計画もあったが,現状で本流では早明浦ダムと池田ダムでしか発電をしていない。大歩危・小歩危を守りつつ,水量確保・洪水防止を含めて検証の上増強を検討・提案した い。

吉野川水系の水問題に係わる現状          


吉野川総合開発計 画 出 典:Wikipedia 小歩危ダムWiki 早明浦ダムWiki 新宮ダムWiki 吉野川四 国整備局・吉野川歴史探訪

太平洋戦争の敗戦後、荒廃した日本の国土に連年台風が襲来し全国各地で水害による深刻な被害が続発した。…内閣経済安定本部は、河川を根本的に改修するこ とで洪水による被害を減らし、かつ有効利用することで食糧増産と電力増強を行い経済成長を早期に回復させるという目標を掲げた。その根本となったのが河川 総合開発事業であり、複数の多目的ダムを建設して治水と利水を行い戦後問題になっていた水害の抑止と食料不足の解消、及び工業地帯への電力供給による工業 生産力の回復を目指した。…VA方式での河川総合開発が全国各地の河川で推進されたのである。

戦後の吉野川水系の開発は、複数の事業者によって同時進行で進められた。先行したのは電気事業者で、日本発送電株式会社が過度経済力集中排除法の適用を受 け1950年(昭和25年)に分割・民営化したことで四国地方においては四国電力株式会社が四国四県の発電施設を全て継承した。既に…1939年(昭和 14年)に戦前では屈指の大ダムである大橋ダム(吉野川)が完成していたがこれら水力発電事業の拡充を図った。四国電力は1949年(昭和24年)に完成 していた長沢ダム(吉野川)や大橋ダム等の旧日本発送電施設を継承した他、さらに大森川や穴内川に発電ダムの計画を進めた。

一方、1938年(昭和13年)から内務省によって吉野川河水統制事業の予備調査が進められていたが、戦争により中断。銅山川分水も愛媛県と徳島県の対立 が解けぬまま中断していた。さらには1946年(昭和21年)に南海地震が発生、旧吉野川・今切川河口部で地盤沈下が発生し今切川樋門等の防潮施設が破 損、汐止め効果が減退した。こうしたことから吉野川水系の総合開発の必要性が問われた。

1949年、経済安定本部は全国の主要水系10水系を対象に、多目的貯水池による総合的な治水対策を柱とした「河川改訂改修計画案」を発表した。吉野川も 対象として選定され「吉野川改訂改修計画」が建設省治水調査会より経済安定本部に答申された。この計画において初めて早明浦(さめうら)ダムが登場。また 早明浦ダム直上流に桃ヶ谷ダムを、銅山川には柳瀬ダム下流に大野ダムを建設する計画を立てた。翌年には、吉野川改訂改修計画を発展させた「吉野川総合開発 計画」をまとめた。

1950年5月,「国土総合開発法」が制定され,この法律に基づいて1951.4に四国地方総合開発審議会が設立され四国総合開発の検討を開始。1953 年には同法に基づいて吉野川(水系?)もその調査地域に指定された[以上四国整備局]。それに先だち?[]以下wiki] 吉野川水系では1949年(昭和24年)に吉野川改訂改修計画が策定され、翌1950 年(昭和25年)には吉野川総合開発計画が策定された。経済安定本部 と建設省、四国電力、1952年(昭和27年)より加わった電源開発及 び四国四県の関係する機関・自治体は「四国地方総合開発審議会」を設置して吉野川水系の河川総合開発事業について協議・検討した。その結果 治水(洪水調 節)と利水(かんがい、水力発電)に焦点を当てた開発計画としたのである。これが「吉野川総合開発計画の原案ともいえるもの」[四国整備局]となった。

経済安定本部が示した原案では吉野川の本流に(現在の早明浦ダムに相当するダムと本項の小歩危ダムの)二つの巨大ダムを建設し、その下流に二ダムから放流 された河水を平均化させて下流への水位変化を抑制する目的を持った逆調整池(現在の池田ダム)の計三ダムを建設し、支流の大森川と穴内川、そして銅山川に もダムを建設して治水と利水を図ろうとするものである。この後修正案が二つ、電源開発からの案も二つ出され、原案と併せると五つの案が登場した。五 案の内四案は先述の巨大ダム二基を建設するのが柱となっており、一つは現在「四国のいのち」と呼ばれ四国四県の水がめとなっている早明浦ダム(さめうらダ ム)、そしてもう一つがこの小歩危ダムであった。

経済安定本部原案

原案におけ る小歩危ダムは高さ126.0メートル、総貯水容量3億750万トンという極めて巨大なダム計画であり、現在の早明浦ダムの規模に匹敵す る。仮 に完成した場合その湛水 (たんすい)面積は上流端が高知県長岡郡本山町の中心部付近まで及ぶ。目的は洪水調節、かんがい、水力発電の三つである。洪水調節 では上流の早明浦ダムや穴内川に計画された樫谷ダム(後の穴内川ダム)と共に吉野川の洪水を調節、ダム地点において計画された洪水量毎秒8,000トンを 毎秒3,050トン削減し、下流には毎秒4,950トンを放流する。かんがいについては銅山川に計画されている岩戸ダム(堤高136.0m・総貯水容量2 億8,900万トン・新宮ダム[堤高42.0m・総貯水容量1,300万トン]の前身・岩戸ダム計画は銅山川が伊予川と呼ばれる流域、徳島県三好郡山城町 (現・三好市山城町岩戸)、吉野川合流点から約2.0キロメートル上流の賢見温泉付近に建設が予定されていたダム計画)のダム湖との間で連絡水路を建設し て岩戸ダム湖へ導水し、そこから法皇山脈を貫くトンネルで愛媛県宇摩郡金田村(現在の四国中央市)に導水する。これにより既設の柳瀬ダム(1953年竣 工)と共に銅山川分水によって慢性的に水不足に悩む宇摩地域の潅漑を行う。

経済安定本部修正第一案

修正第一案では小歩危ダムや岩戸ダムの水没予定地の関係から両ダムの計画は削除され、その代わりに小歩危ダム下流部の三好郡池田町大田付近、祖谷川合流 点 下流に大佐古ダムを建設し、小歩危・岩戸両ダムの目的を統一させるという案である。この大佐古ダムは高さ146.0メートル、総貯水容量6億7,600万 トンであり、現在日本において最も貯水容量の大きい徳山ダム(揖斐川・岐阜県)をも超える超巨大ダム計画であったが、計画が巨大すぎたため 立ち消えとなっ ている。

経済安定本部修正第二案

修正第二案では小歩危ダムの規模が高さ106.0メートル、総貯水容量1億6,500万トンに縮小され、代わりに早明浦ダムの規模が高さ72.0メートル から高さ80.0メートルに高直しされ、総貯水容量も1億4,700万トンから1億8,800万トンに拡張されている。目的については原案と同一である。

電源開発B案

電源開発が呈示した二案のうちB案と呼ばれるものは、発電能力の増強を視野においている。小歩危ダムの役割は原案・経済安定本部第二案と変わらないもの の、規模が高さ90.0メートル、総貯水容量が1億600万トンに縮小されている。洪水調節については早明浦ダムの規模を第二案より拡大するほか、小歩危ダム上流に高さ33.0メートル、総貯水容量3,650万トンの敷 岩ダムを設けて小歩危ダムの減少分をカバーする。また潅漑については岩戸ダムの代わりとして岩戸ダム地点よりも上流の山城町大 野に高さ65.0メートル、総貯水容量4千150万トンの銅山川に高さ 65.0メートル、総貯水容量4,150万トンの大野ダムを設けて両ダム(小歩危と大野か?)間に連絡水路を建設し、香川県三豊郡へ導水す る。水力発電事業については早明浦ダムに吉野川第一発電所、小歩危ダムに吉野川第二発電所を建設して合計で185MW(下図だと182MW)の発電を行う(別に途中の敷岩ダムで33MW)。(宇摩への導水は消え たと云う事か?)

電源開発A案
電源開発が呈示したもう一つの案・A案では、小歩危ダムの役割が大幅に変更されている。それは小歩危ダムの目的が水力発電に限定され多目的ダムではなく なっているということである。規模も高さ38.0メートル、総貯水容量1千万トンと当初の原案に比べ大幅に規模が縮小された。この案では吉野川にダムを合 計6基階段状(早明浦・敷岩・永 渕赤 野・小歩危・池田)に建設するのが最大の特徴となっている。早明浦ダムの規模は高さ92.0メートル、総貯水容量2億5,500万トンと現在の規 模に近くなった。

各案比較表
数値の上段はダムの堤高(m)、下段は総貯水容量(m3)である。
ダム 河川 現行規模 吉野川改訂
改修計画⓪
経済安定本部
原案①
経済安定本部
修正第一案②
経済安定本部
修正第二案③
電源開発B案

電源開発A案

大森川ダム 大森川 73.2
19,120,000
60.0
18,000,000
60.0
18,000,000
60.0
18,000,000
60.0
18,000,000
60.0
18,000,000
川崎ダム 吉野川 29.6
4,200,000
29.6
4,200,000
桃ヶ谷ダム
吉野川 ?
?
早明浦ダム 吉野川 106.0
316,000,000
72.0?
147,000,000?
72.0
147,000,000
72.0
147,000,000
80.0
165,000,000
92.0
255,000,000
92.0
255,000,000
敷岩ダム 吉野川 33.0
36,500,000
33.0
36,500,000
樫谷ダム
(穴内川ダム)
穴内川 66.6
46,260,000
65.0
48,000,000
65.0
48,000,000
65.0
48,000,000
65.0
48,000,000
65.0
48,000,000
永淵ダム 吉野川 26.0
6,600,000
赤野ダム 吉野川 28.0
4,800,000
小歩危ダム 吉野川 126.0
307,500,000
106.0
165,000,000
90.0
106,000,000
38.0
10,000,000
新宮ダム 銅山川 42.0
13,000,000
大野ダム



65.0
41,500,000
65.0
41,500,000
岩戸ダム
136.0
289,000,000
116.0
163,000,000
大佐古ダム 吉野川 146.0
676,000,000
池田ダム 吉野川 24.0
12,650,000
17.0
14,800,000
10.0
5,700,000
17.0
14,800,000
17.0
14,800,000
17.0
14,800,000

こうして複数の案が呈示されたわけであるが
四 国整備局



中止へ
最終的には何れの案も採用されなかった。それは四国地方総合開発審議会の中における合意形成が図れなかったた めである。その最大の原因になったのが徳島県による吉野川分水への反対であった。徳島県にとっては…徳島平野の水源に吉野川を利用しており、慣行水利権を 古くから所有している。昭和30年代に愛媛県の銅山川分水が違法取水に及んでいたは四国電力が審議会からの離脱を表明した。それは電源開発の遅れが経常利 益に影響を及ぼしかねないことに苛立 ちを覚えていた四国電力が、水利権問題に解決を見出せない審議会に対して痺れを切らしたのが理由である。四国電力は離脱後単独ことが発覚したこともあり… 吉野川から必要以上の水量を愛媛県や香川県に 供給する分水計画には強硬に反対していた。このため関係自治体との調整に手間取り、計画は手付かずのまま長期化することになった のである。こうした膠着状態が続くうち、今度で徳島県と交渉を成立させ水 力発電事業に着手、大森川と穴内川のダム計画に着手した(両河川ともいずれも吉野川からの分水があるものの(ややこしい分水自体は)戦前に片付いている: 吉野川上流から取水する長沢発電所ダムはダム工事着手が1941,発電所運開が戦後の1949に完成してい る。穴内川から取水する平山発電所(旧)・繁藤堰堤は発電 所が1909年に早くも完成してる。最大使用水量は長沢発電所は9.8m3/s,平山発電所(現)は21.50m3/sである。)。そして1959年(昭 和34年)に大森川ダム、1963 年(昭和38年)には穴内川ダムを完成さ せ、(混合)揚水発電による電力供給を開始した。この時点で(穴内川ダムが発電専用で建設された為)穴内川治水計画が消 滅した。そして吉野川総合開発計画は早明浦・小歩 危(後に中止)・池田の三ダム建設に絞られ岩戸ダム計画(→安本原案・新宮ダム として実現)は立ち消えとなった。

一方1960年(昭和35年)には「四国地方開発促進法」が施行され、1962年(昭和37年)には水資源開発促進法が成立して水資源開発公団が発足した が、吉野川水系は1965年(昭和41年)吉野川水系は水資源開発促進法に伴う指定河川となり、1966年に「吉野川水系水資源開発基本計画」(フルプラ ン)が作成された。これに伴い香川用水・吉野川北岸用 水・愛媛分水(銅山川分水)・高知分水計画が盛り込まれ、その水源として早明浦ダムが位置づけられた。吉野川の河川開発も時代の変化と共に 四国地方全体の最大の 課題である水資源開発にシフトしたのである。
建設省と電源開発は(これらの動きを受けて)再度吉野川総合開発の検討を行い、最終的に治水事業は早明浦ダムに絞り、小歩危ダムと池田ダムは発電専用とし て計画を進めることになった。1966年(昭和41年)の第44 回電源開発調査審議会において出力は合計85MWの揚水発電に規模を減らし、池田ダムで逆 調整を行う方針とし、小歩危ダムは電源開発A案に沿って高さ 38.0メートル、総貯水容量1千万トンの規模で計画変更が承認され、再度調査が開始された。 だがここで地元の猛烈な反対に遭遇する。小歩危ダムが建設されることにより、ダムサイト付近の小歩危に留まらず上流の大歩危も水没する。…1964年に剣 山国定公園にも指定された風光明媚な景勝地である。…自然環境保護と観光資源保護の観点から地元を中心に反対運動が盛り上がった。また吉野川沿岸を走る国 道32号や土讃本線の付け替え問題もあって計画は頓挫に等しい状況になった。

1962年に香川・愛媛側を一度は徳島の多額の費用に対して徳島県民の住民感情を尊重するための出資に合意しておきながら、1964年に入り、建設費多額 や徳島の新規用水が安い事を理由に出資拒否したためである。国は愛媛・香川県の強硬な反対に負け、徳島県側に全額負担の依頼を申し入れ、結局この問題は架 橋問題で国の心証を悪くすることを避けたい徳島県側が折れる事になった。これに対して、交渉に当った徳島県武市副知事(1965年の知事選では当選した武 市恭信と公認を争い,1967年に徳島市長に当選し,1973年の知 事選では社会、公明、民社各党の推薦を受けて戦ったが敗北した武市一夫の 様だ。後藤田氏の公認を巡り三木派と非三木派の対立が表面化するのは翌1966年の参院選に向けての様で,この時は自民党は一丸となって恭信氏を推したよ うだ[徳島新聞][wiki])。) は「到底受け入れがたい。徳島の住民感情は激しく踏みにじられた」と憤りを隠さずに語った。
1947年より貞光町長を三期務めた後、1963年に衆議院議員に当選していた武市恭信は「徳島に橋を、香川・愛 媛に水を、高知には道路を」をスローガンとして1965年に徳島県知事に当選し、圧倒的多数が反対であった徳島県議会を1年がかりで説得 し、香川用水導水実現に尽力した。[wiki] [wiki

一方で、早明浦ダムは1963年(昭和38年)より建設省四国地方建設局が実施計画調査を行っていたが、1967年(昭和42年)4月に吉野川水系水資源 開 発基本 計画に基づき早明浦ダムと池田ダムの事業主体が公団に移管された。こうして四国最大の早明浦ダム事業が着手されることになったが,(頓挫状態の小歩危ダム の事業主体は宙に浮く形となり?)小歩危ダムを利用した電源開発計画は事実上不可能となり、こうした経緯もあって小歩危ダム計画は1971年(昭和46 年)の第56回電源開発調査審議会において中止することが決定され、電源開発は早明浦ダムを利用したダム式発電所に事業を変更することとなり、小歩危ダム で開発されるはずだった利水容量については早明浦ダムの堤高を100mから106mに変更し、小歩危ダムによって開発される量の倍以上の約4300万トン が確保されることになった。また、早明浦ダムの計画変更については徳島県が費用を負担することとなり、小歩危ダムの開発中止によって吉野川 総合開発で利水 容量で不利を被ったという事実は存在しない。 早明浦ダムは1963年に着工され1975年に竣工している。




地域地図          


~沿川風景~

池田発電所[水力
所在地:徳島県三好市池田町ウヱノ
    昭和50(1975)年5月:運用開始
ダム式・流込式
    認可最大出力:5,000kW      常時出力:1,900kW[38.0%]
発電量:約30GWh/年(年間約3千万キロワット時)
最大使用水量:62.00m3/s
有効落差:10.02m
水車:横軸円筒(チューブラー)カプラン水車 最大出力5200kW×1台
流域面積:1,904.0km2(DB)/1291.5km2(水力.comさん調べ案内板)
取水:吉野川[池田ダム]87.8m
放水:吉野川77.3m

流域面積の違い612km2は分水第一118.8km2・天神72.9km2・ 平山102.3km2・銅山川第三251.9km2・辺りを抜くかどうかの差かな? 1,904km2からこれら548.1km2引くと1,355,1km2。だいぶ近づくが未だ63.6km2程の差がある。名頃28.0km2や松尾川第 一103.7km2を引く と引きすぎになる,,名頃と松尾川第一を加えて,天神を加えないと606.9km2とかなり水力さん調べ案内板の記載の数字と似たような面積にはなるのだ が。。なんで天神だけ加えないのかという疑問は出るのだが,こいつは1987運開と新しいからというのがそれっぽい回答となる。

池田ダム[水 力][便覧] [wiki
河川     吉野川水系吉野川
目的/型式     FNAWIP/重力式コンクリート
流域面積/湛水面積     1,904km2 ( 全て直接流域 ) /144ha
総貯水容量/有効貯水容量     1,265.0万m3/440.0万m3
ダム事業者     四国地建→水資源公団→[独立行政法人水資源機構管轄]
着手/竣工/完工     1968/1974/1975.3
堤高:24m(基礎岩盤~天端標高でこんな感じか~。)
     総貯水容量:1,265.0万m3
    有効貯水容量: 440.0万m3
    洪水調節容量:440.0万m3(有効貯水容量の内)
      発電容量: 80.0万m3(有効貯水容量の内)
        天端標高: 94.50m       洪水時満水位標高: 90.7 m(サーチャージ)
     常時満水位標高: 88.1 m     低水位標高: 87.5 m
      下流河床標高: 73.50m    基礎岩盤標高: 70.50m
    流域面積:1,904km2  湛水面積:  144ha (1.44km2)
受水:三縄発電所14.6m3/s・伊予川発電所9.0m3/s・・早明浦ダム65.00m3/s
送水:香川用水15.8m3/s・吉野川北岸用水14m3/s・池田発電所62.0m3/s 合計:91.8m3/s

wikiに拠ると
>ダムは船明ダム(天竜川)と同じく巨大な水門によって川を堰き止めているが、この水門の大きさは左岸にある吉野川ダム統合管理事務所(3階立て) の建物がスッポリ入る巨大なものである。
とのこと。堤高24mでもこんな感じで出来るんやな。巨大な堤体造るより安上がりで早く出来そう。船 明ダムの様子はこんな感じ

で,事前知識を全て忘れて訪問した池田ダムはこんな感じであった。遠景。

鳥瞰。デカかった。
22.2
落差が低い分魚道があって鮎の遡上が可能なようだ。
出典:四 国地方整備局
よく見ると魚道がある。★★
24.7

吉野川北岸用水[水 土里
出典:四国地方整 備局
取水量:最大14m3/s→正確には13.981m3/sだった[現地]。

吉野川北岸用水取水工

吉野川北岸用水取水工入り口

眼下には取水施設が見える。

利水票も確保♪

取水量再掲
期間
取水量
その他
6/1~30
12.007m3/s

7/1~9/30
13.981m3/s

10/1~10
9.531m3/s

10/11~4/15
1.923m3/s

4/16~4/25
2.823m3/s

4/26~5/20
4.672m3/s

5/21~31
7.622m3/s

なんか余所より取水の最大となる期間が遅い気がする,,
また10/10から一気に冬期の渇水期への減少も大きい。。
どういう構造なのだろうか?



B 事業の規模
受益市町
徳島県三好市・東みよし町・美馬市・つるぎ町・阿波市・吉野川市・上板町・板野町

受益面積
水田     4,719 ha
畑     1,543 ha
農地造成     37.2 ha
計     6,300 ha

幹線水路 総延長 69.2km

出 典:中国四国農政局


香川用水[水 機構
取水工:最大15.8m3/秒
東西分水工
調整池:宝山湖 V=300万m3

池田ダム・香川用水取水工
22.2
近づいて利水標確認したり,可能か模索してる5m嵩上げした時の影響とか確認するのを怠ってしまった。(→24.7訪問)
24.7


事務棟

工事してた。耐震補強等らしい

説明板

平面図と縦断面図

水辺の様子


池田ダム・香川用水取水工→(トンネル水路)→東西分水工→調整池→東 部幹線水路

出典:水 機構


用水供給一覧
区  分  供給対象  供給水量
農業用水  8市6町
 水  田  19,762ha
 樹園地   3,908ha
   計    23,670ha
 最大通水量 11.3m3/秒
 年間 1億500万m3
水道用水  8市5町(まんのう 町
以外の香川県全市町)
 最大通水量 3.87m3/秒
 年間 1億2.210万m3
工業用水 坂出市・宇多津町・丸 亀市  最大通水量0.63m3/秒
 年間 1990万m3



水道が満濃池で有名なまんのう町だけ対象に入ってないの同町だけは満濃池で事足りているということか?


吉野川北岸用水や香川用水の取水施設(や魚道)は造り直す必要が出てくるかも知れないが人家などはなさそうである。5m程満水位を上げて,池田ダムの放水 位を下流に 移すと池田発電所の出力を倍増出来る。

あと落差少ない(池田発電所の有効落差が10m程度)ので舐めてたけど池田ダムでかかった。流石四国 三郎。誰にも迷惑掛からないのでもう5mぐらい満水位上げてもいいんじゃないか?併せて放水地点をR32の四国中央橋付近まで延ばせば水力発電の出力倍増 が出来る。 pic.twitter.com/UGOotRyGfo

— とはずがたり (@tohazugatali1) February 11, 2022

後程,頁を改めて検討してみる。

[大佐古ダム計画(②案)=吉野川綜合開発参照][便覧
場所:吉野川と祖谷川合流点よりもやや下流[大佐古は此処
高さ146.0メートル
総貯水容量6億 7,600万トン
湛水領域:
今の三好市から、高知県長岡郡本山町と現在の銅山川・新宮ダム直下まで水没


(祖谷川合流→こちら参照

三縄発電所[水力][DB]
四国電力(株)
所在:徳島県三好市池田町大利
運開:1912 [四国水力・旧三縄発電所]改修:1959 [四国電力・新三縄発電所]
ダム水路式・調整池式
認可最大出力:7,000kW    常時出力:1,400kW  
最大使用水量:14.60m3/s
有効落差:57.60m
水車:最大出力7300kW×1台
導水路:総延長1712.7m
流域面積:249.12km2[DB・間接] /352.8km2[DB・直接]
取水:祖谷川[三縄ダム]154.00m
放水:祖谷川[ほぼ池田ダム(取水位87.8m)]92.80m


三縄(みなわ)ダム[便覧][DBDB] [→祖谷
河川     吉野川水系祖谷川
目的/型式     P/重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積     17m/80.8m/21千m3
流域面積/湛水面積     850.1km2 ( 直接:249.1km2 間接:601km2[紊乱…もとい便覧] ) /7ha 間接流域 600km2なんて何処に隠してあるんだ!?
総貯水容量:29.9万m3   有効貯水容量:18.3万m3
最高水位[常時満水位] :154.00m/ 最低水位:  151.00m/  利用水深: 3.00m
ダム事業者     四国電力(株)
着手/竣工     1957/1959…新三縄発電所は調整池式に改修されたということのようである


これも有効活用するにはのんびり流れる吉野川から導水するのがよい。
154mの高さから持ってくるとなるとこ の辺(三好市山城町下名(しもみょう))となる。導水路約12km。
約30m3/s,29.20m3/s取水すると三縄の出力を3倍増出来る。

調整池の有効貯水容量は18.3万m3。最大使用水量が14.6m3/sだから876m3/m,52,560m3/hであり,凡そ3時間半持つ計算にな る。

(新々)三縄発電所
出力:21,000kW[+14.0MW]
使用水量:29.20m3/s(+14.60m3/s)
導水路:総延長14km
取水:祖谷川[三縄ダム]・吉野川[下名頭首工]

問題は,大歩危・小歩危の水流がどの程度減じるのか,だな~。。下流の池田が62m3/sなので10m3/s位は余裕で流せそうではあるけど。


伊予川発電所[水力] [DB
水利権獲得:1938[美馬水力(株)] /着工:1942[伊予川開発(株)1941設立]/運開:1947.8[日本発送電(株)]/増強:2021[四電(+300kW)…高効率水車ランナ 導入による]
 認可最大出力:3,400kW      常時出力:0kW
    最大使用水量: 9.00m3/s
    有効落差:44.2m
   水車:立軸単輪単流渦巻フランシス水車 最大出力3200kW×1台
    導水路:総延長1577.6m
    流域面積:114.3平方キロメートル(案内板)・329.2平方キロメートル(水力発電所データベース)
    取水:銅山川[銅山川ダム]140.00m
    放水:吉野川93.80m





水力.comによると案内板によれば最大使用水量17.35m3/s・出力6,000kW・有効落差41.78mとのことでだいぶズレているが嘗てそんな 時代があったのかもしれない。
銅山川は水不足に悩む宇摩・新居浜地区の水甕として開発されて水量が激減した筈だしな。
また案内板とDBの誤差は直接流域と間接流域の差であろう。案内板は古そうなので銅山川第三251.9km2の運開より前で,その時代はどういう算出ベー スか214.9km2を愛媛に取られる時代があったのであろう(銅山川第一170.7km2・1953運開だけでは足りない)。

~銅山川~→全体はこちら参照
吉野川との合流部
24.7

伊予川発電所相川取水堰[場 所][DB
此処に取水堰があるのはDBに取水堰数2とあり,また四電の資料にも取水堰っぽい記述があるから判明する。

岩戸ダム(計画①③案吉野川 綜合開発参 照)
堤高:
総貯水容量:

伊予川発電所銅山川取水堰[水力] [DB
堤高:14.00m 堤長:75.40m
取水:銅山川(伊予川) 送水:伊予川発電所(9.0m3/s)

取水工

吊り橋は解放されており,脇の小学校に通う児童らが使う様であった。


現在は岩戸地区(の一寸北側)に伊予川発電所の取水堰がある。岩戸ダムが出来たら水没していた感じか。
良くあるダム好適地に先に発電所があったやつか。

大野ダム(計画④⑤案吉野 川綜合開発参 照)


新宮ダム



~白川谷川~
吉野川との合流部


白川発電所は地滑りの危険で廃止されてしまったが,復活を検討してみた。



(小歩危)

[頓挫]小歩危ダム
ダム 河川 現行規模 吉野川改訂
改修計画⓪
経済安定本部
原案①
経済安定本部
修正第一案②
経済安定本部
修正第二案③
電源開発B案

電源開発A案

早明浦ダム 吉野川 106.0
316,000,000
72.0?
147,000,000?
72.0
147,000,000
72.0
147,000,000
80.0
165,000,000
92.0
255,000,000
92.0
255,000,000
小歩危ダム 吉野川 126.0
307,500,000
106.0
165,000,000
90.0
106,000,000
38.0
10,000,000
池田ダム 吉野川 24.0
12,650,000
17.0
14,800,000
10.0
5,700,000
17.0
14,800,000
17.0
14,800,000
17.0
14,800,000
最後迄建設が模索された小歩危ダム。wikiに 寄ると三好市城山町西宇に計画されていたとのこと。こ の辺(EL.136m)であろうか?
西宇の範囲は以下の如し。の”ダムサイト付近の小歩危に留まらず上流の大歩危も水没する”と云う表現から推定すると割と下流,白川谷川に近いこ の辺(EL.119.8m)か?

wikiには左岸・右岸ともに西宇となっているが,西宇が両岸にまたがる地点はなさそうである。

(大歩危)

大歩危観光遊覧船乗り場

観光基地になっているがその駐車場から上流側の眺め


~藤川谷川~
吉野川との合流部



赤 野ダム(計画⑤案=吉野川綜合計画参 照)
場所(場 所):
堤高(計画):28.0m
総貯水量(計画):480.0万m3

最終段階の電発案である。式岩永渕・赤野・小歩危とつないで発電を考えて居たよ うである。

地名としての赤野は地理院に記載されてるが,地区名としてGマップではヒットせず。バス停のみ引っかかる。バス停の時刻表はこれ(ジョルダン)
国道沿いでもあるし結構止まるか(阿波池田行きが4本。祖谷の久保迄行くやつらしい。)

その脇にある谷は赤野谷と云う様だ。




暫く行くと高知県に入る。
長岡郡である。

更に暫く行くと土佐岩原駅。脇で赤根川が合流
~赤根川~
この先の南小川で発電する東豊永発 電所放流水と併せて開発したい。

赤根川地図


霧石高原地図




上流側,ラフティングで歓声が上がっている。


この辺もファフティングが盛んなようである。
岩原駅の上流付近から南小川の合流点付近が盛んなようである。
出典;大豊町

~南小川~
東豊永発電所など
南小川は永渕ダム(予定)より上流に流れ込むが,下流に導水して発電する計画を構想したので此処に置く。

永渕ダム(計画⑤案
吉野 川綜合計画参 照)
場所(場所):高知県大豊町永 淵
堤高(計画):26.0m

総貯水量(計画):660.0万m3
最終段階の電発案である。式岩・永渕・赤野小歩危とつないで発電を考えて居たようである。
永 淵付近はEL183m程である。天端205m・常時満水位200mぐらい?

さて,ダムが足りないのは明らかな のでこいつらの亡霊を現代に蘇らせたい。。

県 境付近の狭隘部(EL165m)に満水位200mでやったら108km2も取れた大田口発電所辺り迄湛水域が伸びるダムとなった。
ほぼ人家はなくてなかなかいい感じのロケーションかも。道路の上から張りだして家があるとことはあるが,ダム湖の上の家ということになろう。この辺で詳細検討

~奥太田川~
大田口発電所など


(穴内川合流→こちら参照)

敷 岩ダム(計画④⑤案小歩危参 照)
場所:高知県大豊町敷 岩はここら
堤高(計画):33.0m
総貯水量(計画):3,650.0万m3

最終段階で現れる電発案である。式岩・(永渕赤野)・小歩危と連携して発電を考えて居たようである(A案)。永渕・赤野が無いのがB案
小歩危ダムなしで考えると,敷岩・永渕・赤野でダムを建設して赤野ダムが逆調整池となる。ダムの容量は小さいので敷岩で発電した水を永渕と赤野の合計 1000万m3で貯める感じとなるか?

本ダムを推計するとこんな感じになった。地理院だと地名が式岩になっている。
湛水面積:67.4ha 常時満水位:220m ダム地点標高:206.5m

早明浦の放水位が240mなのでここに造るのは貯水上適切なら兎も角ちょっと高低差が物足りない感じはある。画像左下には既に山崎ダムがある。

山崎ダム[Gmap] [地 理院
電源開発(株)
早明浦ダム逆調整池
標高:224m

24.7,現地訪問。敷岩の手前で旧一国の栄光を十分に偲ばせるR32から岐れて極細の県道で吉野川を割と遡り,山の中腹からやっと現れる。
意外にでかいダムであった。
24.7
坂を下りてダムにアプローチ。

天端には進入可能っぽかった。

一応進入禁止の標識はあるが解放されて紐で結ばれている

諸車の通行は禁止で徒歩はOKということらしい。

ダム堤体。ハイダムではないだけのことはあるささやかさである。


早明浦発電所の放水位240mに対して,11.5km(直線距離で7.6km)も離れていてEL223m 程度の様である。ダムの前後で殆ど標高が変わってないのでダム建設以前の標高が記載されているっぽい。
ダムは堤高15m未満である。

【山崎ダム検討】
専門救助研究所に よると山崎ダムの逆調整池機能は殆ど機能していないとのことである。
早明浦・山崎ダムによる人為的な水位変動

早明浦ダム~山崎ダム~池田ダムの吉野川上流約63km(吉野川全長は194kmなので、約32%)は、池田ダムの湛水区間約6kmを除くと、通常時は早 明浦ダムからの放流水が川の水量の大半を占め、放流操作により、大きく水量が変動する。
早明浦ダム~山崎ダムの約11kmは、発電放流により放流なしから60トン/sまで乱高下。
山崎ダムから下流の約56kmも、山崎ダムの逆調節機能が不十分なため、時間単位の大きな変動が常態化している。

ダムによる人為的な水位変動を改善するための提案

    逆調節機能は十分効果を発揮しないのは、容量不足のせいかもしれないが、どうみても、早明浦発電所との連携不足としか思えない、ルーズな操作。

山崎ダムに魚道の設置
山崎ダムはそれほどの落差がない「堰堤(えんてい)」(日本では高さ15m以上をダム、未満を堰堤という)なのに、建設時に魚道を付設しなかった。このた め、アユなどの回遊魚がこれ以上、上流へ遡上できない。
出典:専門救助研究所

上のHPでは豊 永水位観測所早 明浦ダムの放水量を比較して,殆ど山崎ダムの逆調整が機能していないことを示している。
興味深くて自分もデータを取ってきて見てたけどそんな綺麗な凹凸は全く見れなかった。。。
取った時期が一年で一番雨の多い梅雨の時期でそんな細かい放流水の調整をする時期では無かったのかも,,

24.7.11木からの1時間おきの放水量。11日の午前11頃,大雨のピーク(流入量が約250m3/s)で一旦放水量を0にした後,大雨のピークが過 ぎてから水を流し始め放水量は225m3/sでピークを迎えた後,徐々に減らしてその後は57m3/s程度で安定している。

7.11~14の貯水量(1000万m3・)と流入 量(m3/s・)と流出量(m3/s・)

降雨のピークは二回あって二回目はもう貯水量に余裕がないのかゼロにはせずに放流を開始している様だ。

また日を改めて見て見る必要がありそう。

個人的にはあんま山崎ダム意味なさそうに感じているけど,例えば10m程度水を貯めるとして満水位が232mとなるとなんか使い途あるかなぁ。。
早明浦ダムの直下,汗見川と地蔵寺川の合流部に早明浦発電所の逆調整機能付きのダムを満水位245m程度で建設して発電取水,敷岩ダム満水位225m・V =3000万m3を建設してその末端部が山崎ダムより上流に来るぐらいにしてそれへ向けて発電。
導水距離約5.4km,総落差20m,水量60m3/sで


早明浦発電所・ダム

早明浦ダムに付随する早明浦発電所42MWの最大使用水量は65.00m3/sであるからその位は最大使えると云う事になる。
とは云え恒常的にそんなばんばん垂れ流してゐる訳でもなさそうで,まあ常時放流水量は常時発電量4.8MWから判断するに7.4m3/s(= 4.8/42)程度であらう。

因みに早明浦ダムに付随する早明浦発電所42MWの最大使用水量は65.00m3/sであるからその位は最大使えると云う事になる。
とは云え恒常的にそんなばんばん垂れ流してゐる訳でもなさそうで,まあ常時放流水量は常時発電量4.8MWから判断するに7.4m3/s(= 4.8/42)程度であらう。水車効率を考えるとそれよりはでかいか。
河口付近で渇水期には20m3/sだそうだからこの辺は10m3/sとかそのくらいなのかも知れぬ。

早明浦ダムと汗見川

治水も目的に這入る早明浦ダム。洪水期は7/1~10/10と一寸後ろにズレ気味だけどその間は発電容量は抑えられるようだ。10月の雨は,今も恰度台風 来てるけど越冬用の水として貴重なんじゃないのかな??

土 佐中島橋からの眺め。香 川県のサイト古 そうな写真があったが右岸側の混凝土の床止め工(なのか?)は昔は無かったようだ。

下流の眺め

正面。工事中のようだ。こいつらの所為で天端に入れなかった。。




早明浦発電所[水力
四国電力(株)
最大出力:42,000kW 常時:4,800kW 年間発電量:約129,000MWh(設備利用率35.0%)
最大使用水量:65.00m3/s →最大出力と常時出力の差から常時放流量は7.4m3/s程度?(水車の効率考えるともう一寸多いのかも)。
有効落差:76m
水車:立軸斜流水車
取水:早明浦ダム(331.0m)
放水:吉野川(240.3m)

早明浦ダム[水力] [便覧
河川     吉野川水系吉野川
目的/型式     FNAWIP/重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積     106m/400m/1200千m3→1187千m3
流域面積/湛水面積     472km2 ( 直接:417km2 間接:55km2 →汗見ダム(流域51km2とのこと)以外にも間接領域あるのか?!) /750ha
ダム事業者     水資源機構ダム事業部
着手/竣工     1965/1978
再開発着手/竣工     2018/
総貯水容量:3億1,600万m3
有効貯水容量:2億8,900万m3
   利水容量:1億7,300万m3(有効貯水容量の内)
    洪水調節容量: 8,000万m3(有効貯水容量の内、非洪水期10月11日~6月30日)
    発電単独容量: 3,600万m3(有効貯水容量の内、非洪水期10月11日~6月30日)
    洪水調節容量: 9,000万m3(有効貯水容量の内、洪水期7月1日~10月10日)
    発電単独容量: 2,600万m3(有効貯水容量の内、洪水期7月1日~10月10日)
無効貯水容量:2,700万m3 (死水容量: 1,000万m3・堆砂容量: 1,700万m3)

標高
ゲート頂標高:367.00m
天端標高:345.00m
洪水時満水位標高:343.0 m(サーチャージ)
常時満水位標高:331.0 m
洪水吐越流頂標高:325.00m(クレストゲート)
洪水期制限水位標高:329.5 m
最低水位標高:275.0 m
堆砂標高:268.0 m
低水位放流管呑口中心標高:262.00m
基礎岩盤標高:239.0 m

たまに渇水になって香川県民を困り果てさせる早明浦ダムである。嘗ては,早明浦ダム(堤高72.0m・総貯水容量1億4,700万m3)・小歩危ダム (126.0m・3億750万m3)・岩戸ダム(136.0m・2億8,900万m3)等の巨大ダムに分散させる予定が徳島県の分水への不信感や小歩危の 景勝への自然保護等で早明浦(106.0m・3億1,600万m3)に集約されてしまって早明浦に負担が掛かってる面は否めない(岩戸ダムに関しては愛媛 に送る分は銅山川沿いに新宮・柳瀬・富郷・別子と4ダム体制になってぬかりはない)。

問題点としては上に貼り付けてお いたように,
・早明浦ダムの治水機能の限界
(計画1/80,管理開始以降33年間で計画流入量を4回オーバー)
・低い早明浦ダムの計画安全度(計画1/5,実際1/3程度)
(管理開始以降33年間で22回の取水制限を実施)
・早明浦ダムの濁水の長期化
がある。

頁を改めて大増強を検討する。

少しでも早明浦の水量を確保する為に導水を考える。

早明浦ダムの常時満水位は331.0 mだそうであるが,地理院の湖面は326m程度で,これは洪水吐越流頂標高が近い。洪水吐越流頂標高も一寸よく判らないけど330m迄は貯めておく感じで いざとなると326m程度で吐き出す様だ。

~汗見川~

さしあたって対象とする汗見川(凄い名前だw)の標高は結構低いので渇水期に真価を発揮すると考えて取水面は325m程度とする。満水の時は取水しない感 じになろう。
そう考えて見て見ると323m 地点にお誂(あつら)え向きの堰があるような。まあこの地点で取水することにしよう。水位が足りないとかあったら堰の嵩上げで対応。
そもそもなんか農業用水でも取水してるのかと念の為,調べたらなんと早明浦用の導水ダム,しかも電発所有だから発電用!,だった様だw


便覧にはダムの立地が「吉野ツバキノ」となってるけど吉野は早明浦ダム本体の立地地名なので誤りであろう。 汗見ダムの立地は南岸が大田羅,北岸は嵯峨野と云うらしい。
24.7,久々の調査行で四国入り。毎度凍結だのパンクだの霧だの何かが起きる四国行であるが,前日には大雨で松山城の石垣が崩れる不穏な空気の中,息子 の部活が中止のワンチャンスに決行。
満濃池やら伊予川発電所取水堰やらを見て順調に吉野川を駆け上り,早明浦ダムを見て最後,夕刻迫る中,最後の汗見ダムへ向かうが,立川川付近からざんざん 降り続く雨が更に激しくなり,ダム手前1キロ強(こ こら)で無念の撤退決断となった。
まあ本稿書くに際してス トビュウみたらあっさり最大目標の利水票みれたんだけど,,

取水堰[場 所EL.253m]
潅漑?

拡大

上流方面。割と水が貯まっている。


堰[場 所EL.251m]



汗見ダム[便覧]
電源開発(株)
目的:発電
堤高/堤頂長:18.5m/63.5m
流域面積/湛水面積     51km2 ( 全て直接流域 ) /2ha
総貯水容量/有効貯水容量     79千m3/29千m3
竣工:1972
取水;汗見川(7.0m3/s[→ ストビュウ])
送水:早明浦ダム(吉野川)→早明浦発電所

なにはともあれ俺如きの考える事はとうに当事者は考えており実現してると云う事だなw まあ前向きに考えれば私の発想は正しいということだろう♪


もう一箇所地蔵寺川もあるぞ,と調べてみるが,上流へ辿っていくと平石川になり,なんと331.7m 地点に既に取水口があってしかも今度は太平洋側に送水されている,おいw
此処から高知分水として天神発電所・鏡川・鏡ダム経由で送水されてるそうな。また別途どこかで纏めなくては。。→纏めた
地蔵寺川は汗見川ともども早明浦発電所放流水の放水先の吉野川に合流する240m地点で纏めて取水して下流の発電所で利用するのがよさそう。