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23.5.23独立作成
立山(真川・湯川)
常願寺 川概観常願寺川・称名川立山付近(鳥瞰図計画概要図・真川:岩井谷ダムスゴ谷【開発(+7.8MW)】・湯川:白岩堰堤【増強検討】・常願 寺川:千寿ヶ原小見増強)・有峰開発和 田川右岸(在来)第一 ルート[水量小]和田川右岸(新)第二ルート[水量中]和田川左岸(有峰) 第三ルート[水量大]有峰引水)]・小 口川・祐延ダム(神通川水系)熊野川扇状地の農業用水

立山開発を考える。
但し入り込むのは難しそうで,私のスキルでは無理。ネット調査でお茶を濁す程度である。

有峰が開発尽くされてるのに対して,立山はアンタッチャブル感が強い。   
一つは国立公園という開発の規制が厳しい区域と云う事,もう一つは地質が悪そうという点がある。

出典:北陸電力
とはいえ調べて見ると,面積の広い範囲が有峰の一環として既に開発されており,なるほど,これはこれで十分かという感じになってくる。

建設計画概要図   
また建設計画概要図も入手した♪1980年代に建設された有峰ルートは載ってない事に注意。
 更には真川からの導水方法も実現したものとは異なっている(折立発電所への導水と岩井谷・スゴ谷からの導水は水色の線の様に分離された。(マ ウスオーバー)。
その後岩井 谷・スゴ谷方面からも落差があるので更に有峰ルート増設後の1985年頃,折立(増 設)発電所が設置された(青い四角)という経緯 のようである。)。
出典:土木学会


~真川(常願寺川)~   
折立ダム 折立発電所 岩井谷ダム 折立(増設)発電所 スゴ谷【開発(+7.8MW)】 真川取水設備真川調整池(→真川PS[別頁])

折立ダム[水力]    
有峰ダムへ導水する前に折立発電所で発電している。登山道の入口の手前にあってクルマで辿り着くことが可能であるが,なかなか古びた堤体である。対応(送 水)する発電所が1960年運開とのことで,古いなという印象を持った小俣ダムと同いである。
こちらは混凝土の劣化が目立ち,積雪や凍 結など厳しい自然環境を思わざるを得ない。
23.7

折立発電所[水力]    
運開:1960.12
水路式・流込式
出力:4,000kW  常時: 820kW
水量:2.13m3/s →折立ダムでの取水量が気になるところ・10m3/s位あって有峰ダムに導水(補水)してる?
有効落差:246.82m
流域面積:19.4km2
取水:真川[折立ダム]1354.81m
放水:和田川[有峰ダム]1088.00m

岩井谷ダム[水力]    
有峰ダムに導水している。
土木 学会]に拠ると詳細が判明。
>(真川(岩井谷ダム)及びスゴ谷から有峰ダムへ導水する)水路の最大通水量を56m3/sとし,真 川の水の大部分を貯水池に導入するもので,発電に使用しない水(とは註:発電使用量は(折立発電所構想が導水と分離して建設され,岩井谷ダ ムからの導水部分には未だ発電所(折立増設)がなかったこの段階で)最大4m3/s)は水槽 に設ける余水吐により直接有峰貯水池に放流される。
これは当初計画であると 思われて,実際は折立発電所への発電取水と岩井谷・スゴ谷からの導水は分離され,岩井谷ダムは岩井谷と真川の合流点の真川上に建設され,当 初より下流の,従って大水量の真川・岩井谷・スゴ谷の水も集水出来るようにした様だ。
詰まり当初案での最大 56m3/sが変更になった可能性がある。とはいえ仮に折立発電所の使用分を抜いたとは云へ水量を確保する為に下流に導水線を移した のであるから水量を減らす様な事はしなかったのではないか。寧ろ面積が増えた分,合計で最大60m3/sぐらいにしててもおかしくはない。

折立(増設)発電所[水力]    
運開:1986(85?).10
 水路式・流込式
出力:4,000kW(水車効率85%)  常時: 0kW
水量:13.00m3/s →岩井谷ダムでの取水量が気になるところ・50m3/s程あって有峰ダムに導水(補水)してる?
有効落差:37.30m
導水路:主要導水路 幅3.00m×高3.00m、延長7007.0m
放水路:幅5.00m×高4.00m、延長565.0m
    流域面積:72.4km2
    取水:真川[岩井谷ダム]・スゴ谷,東 坂森谷大 谷川 1173.80m
    放水:和田川[有峰ダム]1087.19m


~スゴ谷~   
真川との合流点で真川PSの取水堰がある他,岩井谷経由で有峰ダムへ導水する水路の取水堰もある。

スゴ谷取水堰堤(仮称)[場 所
取水位:1178m程

変にあれこれ足掻くより,有峰に委ねて,ここは上流からの発電に特化する。
超急勾配で,割と短い導水距離で落差稼げる感じ。
EL.1560mで17.4km2程ある。有効落差400m弱だし水量には上方の補正かけて2.5m3/s程期待出来そう。


[私案]スゴ谷発電所   
出力:7,800kW[+7.8MW]
水量:2.5m3/s
落差:368m
導水:
取水:スゴ一の谷・スゴ二の谷(鳶谷)EL.1560m
放水:スゴ谷[有峰ダム取水堰]

こんな所にどうやってという感じもするが,EL.1133m迄林道が来てるのであと一寸であるw
建設資材は上部水槽はヘリ,取水堰は水路トンネルからって感じ??EL.1133m迄のアプローチはこんな感じ





真川取水設備[水力
取水量:?
流域面積:

(本来)一番メインの取水源だと思われる真川の取水堰堤はこ こ。真川とスゴ谷の合流点に建設されてる。取水位は1002m程か。
水力さんの頁には
>真川上流の取水設備を北陸電力様の御厚意により見学させて頂きました。
とあり,様子が写真付きで見られる。羨ましい♪

>下流にも堰堤が見えますが砂防ダムです。ここからも補助的に取水を行っています。
こ れこ れからも取水してるのか?標高が合わない感じもするけど,,

~牛首谷川~

真川ダム(真川取水堰堤・真川調整池ダム)[→常願寺]   
堤高:19.09m
堤頂標高:995.303m
常時満水位標高:993.939m(サーチャージ)
最低水位標高:984.849m
河床標高:976.213m
流域面積/湛水面積     105km2 ( 全て間接流域 ) /1ha
総貯水容量/有効貯水容量     4.8万m3/4.7万m3[1h33m分…少ない]
.着工/竣工:1928/1930
堤頂標高:995.303m
常時満水位標高:993.939m(サーチャージ)
 最低水位標高:984.849m
   河床標高:976.213m

真川発電所の調整池には牛首谷川源流部にバレットレスダムの 真川調整池ダ ム(満水位:984.8m)があり,有峰からの水も此処で受けたり[標高は矛盾するので誤記かとも思われるが一部の図に水路上に▶◀と書いてあって逆に有 峰に?(和田第一と第二 に?)水を 送ったり!?]している可能性もある様だが,少なくとも有峰ダムとの間に水位に差はあるのでどういう運用なのかはよく解らない。。(→有峰ダムから真川発 電所への導水 は最大6m3/sなのは判明!)


その後の調査で(岩井谷ダムスゴ谷の取水堰堤で)真川の水の大部分を(有峰ダムの) 貯水池に導入し,その量は56m3/sと判明 している。基本真川発電所の真川での取水は可成り少ない(10km2ちょ いしかない)と見て良さそう。
こんな感じのダムでも造ったらどう か なんかちらっと思ったりもしたが,なんかもう寧ろ逆でこっち側の嘗てのメインの導水路は廃止して仕舞って基本有峰ダムからの水で発電しますとしてしまって も驚かないw

途中の沢からの水も大した事ない筈だし,見れば見るほどメインの補給元は有峰ダ ムな気がしてき たw
この際,有峰ダムと真川調整池の水位の間の100m程の落差を活用する発電所を建設してもう正式に正々堂々と有峰ファ ミリーのカミングアウトすれば良いのにという感じである(笑


~湯川~
【導水路の有無の謎】  白砂砂防堰堤 【増強】

今の所水発では使われていない様に見える。どの資料にも湯川まで導水路が延びて居ないのである。
立山砂防軌道の物凄いスイッチバックと林立する砂防堰堤(私が実際に目にしたのは称名川のそれだけど)のイメージで, なかなか水発に利用は難しいのかも知れない。

ところが以下の様な資料を発見。真川発電所が白岩砂防堰堤(湯川)[→ 国交省]を使って取水してるのか??

白岩砂防堰堤[国 交省][JSTAGE/水利科学][国 交省]  
着手:1929.10.6/竣工:1939.12.14
堤高:63m(非越流部) 20.0m(越流部)  堤頂:76m
落差:108m (7基の副堰堤含めて)
完成:1939年
流域面積:22.1km2
貯砂量:100万m3

>湯川は流出土砂が多いため, これから発電用補給水を取水するため,簡単な取水堰堤を築造するとすれば相当多額の投資を必要とするのであるが,既設砂防堰堤を利用すれば,その投資額は 相当節減されるし,既設堰堤の堤高が高ければ高いほど発電効果は大きくなる。そこで,電力計画では,白岩堰堤の水叩およ び副堰堤を利用して取水し, これを下流の真川発電所に送水して,その常時電力量を12%以上増加させている。これにより,白岩堰堤はさら に発電水利にも相当の寄与をなしていることになる。[JSTAGE/水利科学

電力計画というと将来のことのようだ が文章は「増加させている」と現在形というか既に実現済のこととして書いているよう に読 める。。但し図中,湯川への導水路は計画を示すような点線で ある。。
出典:[JSTAGE/水利科学
さて,実際に真川発電所に取水されてるのかどうなのか。。
湯川流域か らの真川発電所への取水の計画は有ったが実現しなかったのではないかと現時点(23.5.24)では考えて居る。実際に称名川第一の称名川 からの取水は水害で破潰されて廃止されてしまっている。
最下流の常願寺川第四~第七の発電所計画も陸電側の事情で中止に なってしまった様である。災害面,水発依存の低下等,思い当たる理由は幾つかあるのである。

出典:国交省


更に調査を進める中で『北陸電気事業百年史』 (1998・北陸電力刊)を入手!そこには有峰開発の何回かに亘った計画変更が記されており,p560の図6-7有峰を巡る開発構想と図6 -8 常願寺川有峰発電計画第1次案水路概要図では真川から湯川へ水路が延びて描かれている。

=画像準備中


現状で状況は不明であるが,水力さんは 湯川の白岩堰堤を真川発電所の取水先として扱っている。
ということで調べて見ると幾つか証拠発見!!!地理院は黙殺してるけどちゃんと湯川に導水路伸ばして取水はしているようだ。

真川発電所湯川設備(白岩堰堤第二副堤)[夜 雀][
取水量:1.8m3/s[0.81]
流域面積:22.1km2

大体10km2で1m3/sという私の目安と合致はしてるな~♪

さて,この湯川の使用水量や取水点が判明したのだが,概ね取水点は1070m付 近のようであり,有峰に送るにはちと標高がたりなくて残念な感じ。
二重投資を厭わず有峰ダムに導水するにはちょっと高い場所からとなる。
ルート名
取水地
取水位
流域
導水距離
その他
真川ルート EL.1,070m
22.1km2
2.4km
取水量1.8m3/s ※湯川小谷川迄の導水なら 0.9km程。
有峰ルー ト 湯 川多 枝原谷 EL.1,210m
21.0km2
3.5km
貯水池有り・既存の有峰導水へ接続。容 量が足りない場合は逸失してしまうが,真川PSの取水口が下流にあるので無駄になる訳ではない。
称名ルート(下) EL.1,079m

3.2km

称名ルート(上)

EL.1,449m
12.2km2
4.2km こ ちら参照(発電量:+6.4MW)
まあ二重投資してまでもって感じではないかな。。
有峰ダムに送れば,莫大な貯水量とそれを真川・和田川第一に6m3/s程,和田川第二に32m3/s 程,有峰第一に75m3/s程送って尖頭発電出来るのは魅力ではある。
一方で称名川上流の開発をする際に称名の滝の水量確保の為にも湯川からの導水が良さそ うであった。


真川で有峰ダムからの水を常時利用するには有峰ダム放水位の1088.00m(最低取水位は和田川第一と真川は1004m)と真川発電所の取水位1007mの間の70m程の未利用落差を埋める必要があろ う。

上で構想した導水で得た水源等を活用して有 峰ダム→真川発電所の導水を常設化して真川調整池の放水前に発電所を建設するとこんな感じかな。

[私案]大品山発電所←この名前は萌えるな♪(→ソース)
出力:2,900kW~4,300kW[+4.3MW]
水量:4~6m3/s
落差:85m
取水:和田川[有峰ダム]1088m
放水:牛首谷川[真川調整池ダム]998m

現状でどの程度真川に送水しているか不明であるが,導水量を確保して常設化すると真川の調整力も現状の真川調整池が小さいだけに強化出来る。

また湯川での取水位が1070m程度で,真川取水設備が1000m程度であるとすると易老沢的な発電が出来るかも。1.8m3/sで70mで1000kW程度であるが。



小見取水堰堤
真川発電所の奥にあるが,クルマの進入禁止で接近は出来なかった。。

真川発電所[→常願寺川
水路式・調整池式
認可最大出力:33,600kW   常時出力:3,700kW
最大使用水量:8.35m3/s
有効落差:488.40m (放水位+有効落差=954.9m・真 川調整池の水面位は地図読みで996m。真 川の取水堰の水面位が地図読みで1008m。少なくとも調整池からでも40m近く損失落差があって大きすぎるような。。)
導水路:総延長15,017.0m
流域面積:105.1km2
取水:(湯川(地図では放水路延びて居ない・G 空撮のここか?),(湯川小谷川[川の名]・ 湯川も未確認なのにこんな所に実際にあるのか不明)、ホトロ谷川[川の名G 空撮地 理院・近いから在っても可怪しくは無いがここも実際にあるのか未確認]→真 川サ ブ谷大 瀬戸谷沢カ ラ杉谷・赤萩谷川(こ こ?))→([有峰ダム]→)牛首谷川[真川調整池ダム][取水堰数:12]1007.73m
放水:小見発電所(取水位:467.24m)[→常願寺川]、真川466.47m




~称名川~

称名川発電所[→称名川




千寿ヶ原【瀬戸蔵堰堤】   



【小見発電所増強検討】
現在の下流の小見発電所の最大使用水量は11.91m3/sで同じく真川発電所8.35m3/sと称名川発電所2.39m3/sの和,10.74m3/sより 1.17m3/s多い。その分を含めて真川側にのみ取水堰堤があって真川本流より取水しているようである。
その流域は有峰が取水していく流域を除き,真川が取水して行く分を含むと以下の様に67km2となる。真川はこの流域の一部以外にも有峰から最大 6m3/s補水を受けることが出来る設備があるようである。

流込式の称名川発電所から約2.4m3/s,ぱっと見よりも恐らくしっかり調整出来る(=極小の真川調整池の他,有峰からの補水で)調整式の真川発電所か らの8.4m3/sをメインに残りを真川から補 給して12m3/s弱で発電している発電所って感じである。
これに加え牛首川の傍に原調整池もあって割としっかりと調整できているのかも?

が,そもそも称名川発電所の使用水量は上流の称名川第二発電所の4.35m3/s よりだいぶ低い。そもそも小見発電所の流域面積は183.7km2あるから本来 20m3/s位は出せそうな気がするんだけど。。
今計算してみると称名川発電所の流域が36.8km2。真川堰堤 以遠で有峰導水の手迄で67.3km2。合計113km2って所である(真川上流部の有峰導水等もある現在に於いて小見の利用水量11.9m3/sっての は意外に穏当か)。
ここから湯川有峰導水をや るなら▲21km2で92km2となる。

逆に現状では小見発電所は称名川本流からは取水してないっぽい(称名川発電所からの放流水の直接利用のみの様子)であるが,称名川第二発電所~称名川発電 所の間の流域も上の113km2に上積みできる。
牛首川 も考慮に入れて20.3km2程上乗せ出来て称名 川上流と併せると57.0km2

斯くして真川・称名川の両河川の合流点で150km2程の流域面積と なり,13m3/s程は 安定して確保出来 そうである。
11.91m3/sの現行水量を増やすには微妙な量ではある,,

合流点にあるのは瀬戸蔵砂防堰堤である。

この辺に堰を建設して以下で調整力を確保したリできるかも知れない。
小見Pの取水位が467.24mであるから,称名川と常願寺川の合 流点ぐらいでEL.470mで貯留して行きたい。
唯一と云って良い嵩上げ対象建築物がこ こグリーンビュー立山である。(富山地鉄は勿論,地 図読みだと折角の真川大橋ももうちょい嵩上げが必要。地形的[す とびゅう]には可成り高く思うんだけど)
新しそうな真川大橋であるので地図の標高が更新されてない可能性もある。また原調整池の標 高がEL.465m程度なので其処迄高くする必要もない?

利用水深を4m程として計算してみると貯水量は157.3万m3と推計出来た♪概ね小口川ダムと似たような数字である。あちらの24.7km2に比べれば 5倍程の流域面積がある。あちらは逆調整池で機能が異なるけど。
10m3/s程度の供給なら43hも持つし,一日5h程度の尖頭負荷なら一週間持つ。一週間あれば上流からの水が十分貯まりそうである。

問題点としては土石流的な災害にちゃんと対応出来るかという点である。本宮堰堤(→常 願寺川)・千寿ヶ原堰堤・白岩堰堤を初めとしてえげつない量の砂防ダム がスタンバイしている し,実際に称名川発電所は大水害でやられ1971に復旧してい る。その後50年以上無事とも云えるのだが。。計画高水流量4,600m3/s[GL とやま]に対応出来る堰堤の建設はまあ不可能では無いだらう。現行の小見発電所取水堰も砂防堰堤に改造しても良い。

それでも本流はちょっとというなら原調整池のお隣の牛首川に調整池かなぁ。。
まあ其処迄調整力にこだわらなくても良いような気もしてきた。。。

一応,現況では横江頭首工への通常時(小俣発電所稼働時)の取水量 18.89m3/s の水源である。ここで取水した調整力電源の逆調整に松ノ木発電所横に堰堤を設けて小見15.2MW と松ノ木5.8MWの合計21.0MWの調整力を確保出来る

まあ要らんかなぁ。。水量増やしても小見・松ノ木と導水管全部増強するのはカネ掛かりすぎそうであるし。。

常願寺川から小俣ダムへの導水案常願寺川から小口川ダムへ の導水案と被る面はあるのでまあ保留で。