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伊奈川の利水概要篇(23.10訪問)
概要篇旧ルート篇新ルート篇橋場篇

【新開発ルート】(木曽川)←伊 奈川発電所伊奈川ダム(←越百川)←伊奈川 第二発電所【導水拡大】←(今 朝沢なと)

【在来ルート】(木曽川 [須原堰堤])←橋場発電所田光発電所相之沢発電所 ←[伊奈川ダム]

伊奈川は須原付近で木曽川に合流する川である。伊那川とも書くようで,伊那とは木曽山脈で隔てられててこの辺は伊那でも何でもない木曽であるが,伊那の方 から流れ出てくる川という意味のようで有る。。

伊那川は、木曽山脈(中央アルプス)の最高峰・木曽駒ヶ岳に端を発し、南西へと流 れ木曽川に合流する河川である。急峻な地形に加え、冬の豪雪によっ て流量 を豊富であったことから、水力発電の適地として古くから注目されていた。大正時代、下流より橋場発電所・田 光発電所が順次運転を開始し、昭和初期に相之沢 発電所が完成。木曽発電による伊那川開発はこれで一段落した。
戦後、伊那川を含む木曽川筋の水力発電所を継承した関西電力は、未だ開発の余地を 残す伊那川に注目。上流 に伊奈川ダムを建設し、木曽川との間に存在する標 高差440メートル余りを利用した大規模な水力発電を計画した。伊奈川ダムは1974年(昭和49年)に着工し、1977年(昭和52年) に完成。伊奈川 発電所が運転を開始した。
開発はその後も続行され、1986年(昭和61年)、伊奈川 ダム上流に伊奈川第二 発電所が完成。伊奈川発電所とは異なり大ダムを伴わな い水路式発電所であ るが、400メートルにも及ぶ落差を利用し、新たに最大2万1,600キロワットの電力を発生できるようになった。これにより、関西電力の 木曽川における 発電所総出力は100万キロワットの大台を突破した。wiki]

本稿では戦前に開発された小規模な橋場発電所・田光発電所・相之沢 発電所の一連のシリーズ発電所を旧ルート,戦後開発された伊奈川発電所・伊奈川ダム・伊奈川 第二発電所を新ルートと呼称する事とする。

この伊奈川ダム(1977竣工),なんと伊奈川発電所(木曽川沿・40.7MW・11.00m3/s・438.00m・1977運開)と相之沢発電所(伊 奈川沿・6.2MW・3.11m3/s・243.0m・1938運開)の両方に水を供給していてしかもその取水位に多少の差がある。後からダムが建設され てより高効率の新発電所が建設されたが, 生き残った例である。なかなか珍しい。(とはいえ近傍の賎母と山口寝覚と木曽の関係もまあこれであるか。変則的な形態としては時津と矢作がある。一般的には矢作ダムの串原・旭(和戸)PS大聖寺川の枯淵PSみたいに新設のダムと合わずに廃止され別途建 設され る事の方が多いと思われる。)

伊奈川ダムの水を伊奈川PSで発電して木曽川に放水するのと,相之沢PS以下の3発電所で発電して木曽川に合流するのの発電効率は以下の如し。

P/S名
出力
水量
落差
水効率
伊奈川P/S
40.7MW
11.00m3/s
438m
3.7
大桑P/S
12.6MW
38.40m3/s
39.09m
0.32



477.09m
4.02
相之沢P/S
6.2MW
3.11m3/s
243m
1.99
田光P/S
2.5MW
2.78m3/s
108.79m
0.90
橋場P/S
1.9MW
4.09m3/s
55.80m
0.46

10.6MW

407.59m
3.35
両ルートの比較をすると云うまでも無く新ルートの圧勝である。
また調べると橋場発電所が大桑発電所取水口の直下で放水していて大桑発電所では利用出来ない様にも見える が,どうも大桑発電所に送水は出来る構造となっているらしい(現地で探すも対応する構造物未発見)。
施設未確認だが橋場の放流水が大桑で使えるとしても新ルートの勝ちである。

基本的に相之沢を使用する必要が感じられないけど水が溢れそうな時に使う感じかな?橋場がぎ りぎり大桑発電所の取水口の下で発電してるのも悶絶である。
但し伊奈川ダムの流域は76.6km2と使用水量に比べて小さい様な気がする。

さて基本的に相之沢を使用する必要が感じられないけど水が溢れそうな時や尖頭需要時に使う感じで あろうか(相之沢発電所の常時発電量は0kWなのがそれを裏付けていそう)。
但し伊奈川ダムの流域は76.6km2と使用水量に比べて小さい様な気がする。また貯水量も少ない気がする。
伊奈川ルートは取水位995.00mと相之沢ルートの取水位982.0mよりも13m程高いが,放水位は相之沢ルートの末端橋場の放水位525.94mに 対して539.50mと14mも高い。
渇水期は伊奈川が動かせずに相之沢に頼るとかあるのであろうか?取水位の差は有峰ルート和田川ルートみたいである。