20.10.25運開
天竜川水系遠山川関連水力発電所開発篇
現状篇はこちら (
飯島発電所 梨本堰堤 北又渡発電所 易老沢発電所
) 易老沢導水 北又渡導水 木沢発電所新規開発 池口・梶谷導水 飯島2号機 その他
2.開発
1.易老沢導水[3.3km2/1.56km](諸河内発電所[+0.47MW]) 2.北又渡導水[21.6km2/6.6km] 3.木沢発電所新規開発(諸元)[+35.5MW] 4.飯島2号機・清水発電所(飯島発電所2号機[+19.5MW/+26.1MW]・藁野発電所[+4.3MW]・清水発電所[+28.2MW]) 5.池口川・梶谷川単独案[+10.9MW/+10.3MW]
2-1.易老沢導水 ▲
先ずは最奥部の易老沢であるが,似たように隣の諸河内から導水込みで引水して序でに発電してみる。
[私案]諸河内発電所 △
水路式・流込式
最大出力:470kW[+0.47MW]
最大使用水量:0.45m3/s (流域水量比:136%)
有効落差:125m
流域面積:3.3km2
導水:1.56km程度
取水:諸
河内(1105m)
放水:易老沢[北又渡発電所取水堰堤](975.0m)
面積も出力も小さいので導水に徹してみる。導水距離1.78kmで取水位EL984m。流域面積は4.0km2。まあこんなもんかなあ。。事業の可否としては易老沢の導水管
がどの程度余裕あるかであるが,(後から増強するのはコストが掛かるので?)割とどこも余裕を持って作ってある様子ではある。
2-2 北又渡拡張(上村導水) △ ▲
そして,北又渡本体の取水地域拡大。上村川の上流域から取水出来よう。21.6km2で導
水距離は6.6km程。そこそこまとまった流域を確保出来はする。
問題点はこの辺が比較的小雨であるという点と,それにも拘わらず下で北又度と飯島の間に設置をしたいと思っている発電所構想(仮称・木沢発電所)で上村川流域を使いたいので二重投資になってしまう点,北又度発電所の北又沢取水口への導水管がどの程度余裕があるのかという3点である。但し3点目は(後から増強するのはコストが掛かるので?)割とどこも余裕を持って作ってある様子ではある。下で比較検討。
2-1と2-2は北又渡発電所(→現行諸元)の拡張となる。現行で認可最大出力24,200kW・最大使用水量:11.50m3/sで水車出力は24,9000kW×1台とのこと。水量の上限は11.8m3/s程度となり,0.3m3/s程度の受け容れ余地はない。
勿論,規模がでかいだけに施設は遊んでいる時間帯も多そうなので発電量は増やせるとは思うが。さしあたっては2-1のみで良さそうな感じはしている。
2-3.木沢発電所 △
次ぎに北又渡発電所666mと梨元堰堤490mの間にある170m程度の有効落差が開発余地となる。
北又渡発電所は流域面積86.3km2で最大使用水量11.50m3/sで,比率は0.13%。易老沢は流域面積8.8km2で最大使用水量
1.20m3/sで,比率は矢張り0.13%。可成り良好。新しい発電所の形である。
雨量を確認してみる。大
野に1800mのラインが通っている。北又渡から遠山川の北岸(右岸)を導水するか南岸(左岸)を導水するかの選択があるが,より雨量の多い側の
南岸とする。面積も(調べてないが南岸の方が)広そうである。
ということで先ずは全体はこんな感じ。広い♪係数1.33を乗じれば25m3/sが見えてくる。9.8m3/sしか利用してない飯島発電所の増強待ったな
しの事態である。
以下仔細に見て見るとこんな感じ。
加加良沢[場
所][地図]★★
この一寸変わった地名だけど支流に加加森沢があり上流に加加森山があって加
加良銅山跡なんかもある。踏鞴(多々良・たたら)と響きが似てるし鉱山系の地
名?
14.8m3/s。指数0.13%を使うと驚異の1.9m3/s。
遠山川[場
所][地図]★★
124.6km2。指数0.13%(130%)を使うと驚異の16.0m3/s。
そんな大量で大丈夫か?!まあ16.0の内,11.5m3/s位は北又渡P/Sから供給される訳だが。
南側は光(てかり)岳で直ぐ南隣りになる寸又川の時に見かけたやつだ。あんな山奥にあった光岳
が南側にある土地感覚に大井川に対する天竜川の奥深さを感じる事が出来る。
上村川・神灯沢[場
所][地図]★★
46.8km2。指数0.13%を使うと6.0m3/s。但し此処は大野よりも北西側なので減らす。4.6m3/sぐらいかな。
更に上流21.6km2を北又渡に渡すとなると残りは24.7km2。24.7km2に導水距離5.7km。二重投資ではある。やるならどちらか一方か。
【比較検討】
導水名 |
追加距離 |
流域 |
取水位
|
想定水量 |
総落差 |
推定発電力 |
効率
|
摘要
|
北又渡導水(→2-2) |
6.6km
|
21.6km2 |
937m
|
2.8m3/s
|
446m
|
10.6MW
|
1.6
|
北又渡の出力を上げる必要がある。
|
梨本導水(2-3の単独実施) |
5.7km
|
46.4km2
|
666m
|
6.0m3/s
|
190m
|
9.7MW
|
1.7
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僅かにこっちか?
|
梨本導水(2-2と重複実施)
|
〃
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24.8km2
|
〃
|
3.2m3/s
|
〃
|
5.2MW
|
0.9
|
|
上村川発電所(独立)
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10.3km
|
37.0km2
|
820m
|
4.8m3/s
|
320m
|
13.0MW
|
1.3
|
|
ここまで考えるなら発電所という固定費用が掛かるけど上村川単独で発電するのも良いかもと調べて見たのが上図一番下の欄。13MW級。
発電所を造るなら上村川沿いだけでは無く,このプラン★★では梨本or木沢発電所が取水出来なかった遠山川北岸からも補給すると15.7km2程増やせる(→地図)★★。2.0増やして16.2MW
級。なかなか大きくなるが,導水距離は伸びて16.3km。発電量はなかなかだけど効率は悪い。
もう一寸標高を下げて距離と面積を効率化してみる。720mで64.1km2(小川沢や馬老沢の名称不明の川の名称のソースは飯田市のハザードマッ
プの「中郷」よ
り)。水量は8.3m3/s程期待出来そう。15.7MW程いける。少しは効率は良いが発電量は減るのはまあしゃーない。更には取水口も多めに取る必要もある。
[私案・改]上村川発電所
出力:15,700kW[+15.7MW]
水量:8.3m3/s
落差;220m
流域:64.1km2
導水距離:8.3(上村川本導水路)+0.5(小川沢支水路)+5.4(北又沢支水路)=14.2km2
取水:上村川・北又沢・他720m
放水:遠山川[梨本堰堤]490m
結局,梨本導水(単独)(詰まり北又渡の上村導水はせず,上村川単独の発電もしない)が一番効率的な様だ。
[新規構想(A案)]木沢発電所
出力:35,500kW[+35.5MW]
水量:24.5m3/s
落差:170m
流域:189.1km2★★
導水:13.3km[2.67]
取水:遠山川[北又渡PS]他 667m
放水:遠山川[梨本堰堤]490m
更に梨本堰堤の南側にも可能な流域あり。
上村川を抜いて池口川と梶谷川を併せるとなかなか広い192.1km2,取水量は25m3/s程行ける♪
更に上村川も加えると宏大な216.8km2。
[新規構想拡大版(B案)]木沢発電所 △
出力:40,500kW[+40.5MW]
水量:28m3/s
落差:170m
流域:216.8km2
導水:13.3km+4.8km=18.1km[2.23]
取水:遠山川[北又渡PS]他 667m
放水:遠山川[梨本堰堤]490m
導水容量比で見た効率性でこちらは単独案にやや劣後する。下で見る様に,池口川・梶谷川は下で見る様に飯島発電所の増強用に確保しておいても良いかもしれぬ。
2-4.飯島発電所増強or清水発電所 △
其れに伴って今でも小さい飯島発電所は大増強すべきである。勿論川の事もあるから鮎だのウグイだの育つ時期に合わせてきめ細かな河川維持流量保証は必須で
あるけど。
梨元堰堤の貯水量を確保したい。今はダダ漏れである。=要検討
また梨元堰堤地点での流域面積は241.0km2。
更に木沢B案を採用しない場合,5.6km程度の導水路で池口川・梶谷川36.5km2をまるまる流域に加えられる。合計277.5km2となる。
単純に使用水量を倍増させて20m3/s程度とすると26MW。導水路は8.7+5.6=14.3km程。
[私案]飯島発電所(2号機) △
出力:19,500kW[+19.5MW]…①/ 26,100kW…①’
水量:15.0m3/s / 20.0m3/s
有効落差:153.17m
水車:出力
導水路:8.7(既設に並行して建設)+5.6(池口・梶谷)=14.3km
流域面積:241.0+36.5=277.5km2
取水:遠山川[梨元堰堤]・池口・梶谷(490m)
放水:遠 山川(名田熊沢川)(324.61m)
2号機を建設するに際してもう一寸下流で放流して有効落差を使い
切りたい。
飯島発電所に並行して導水管を建設して更に平岡ダム周辺まで送ろうとすると名田熊沢をサイフォンで跨ぐことになる。
飯島発電所があの立地なのは名田熊沢を越えられなかったからだと判る。
わざわざ支水路を作ってサイフォンで跨いでとかするなら2号機ではなく同じ梨元堰堤を取水源とする南岸回りの別発電所を建設した方が良さそうである。
その前に,大河の遠山川であるのでここまで水量が大きく取れるとなると現行飯島発電所の放流水と平岡ダム迄の20m弱残す落差の発電の可否を検討する。
因みに梨元以下に51.0km2程の流域がある。5.0m3/s程足せる。飯島の1号機(現行機)と足して15m3/sであるが20m弱では大した事は出
来ない。
梨元での241.0km2に加えると292km2となり,30m3/s程期待持てたりするかも。
藁野辺りに満水位326m程度のダムを建設して平岡ダム取水位308.0m程度に向けて発電。
[私案]藁野発電所 △
出力:4,300kW[+4.3MW]…②
水量:30m3/s
落差:17m
取水:藁野ダム326m
放水:平岡ダム306m
と,こんな感じとなる。変に取水路延ばすよりは良いのかもしれないけど…今の所,新2号機の放流地点を下流に寄せれば十分であろう。 現飯島発電所(現行1号機)はピーク用と割り切るのである。
旧南信濃村の財政をしっかり支えた発電所達であったが増強の折はより広域自治体となった現飯田市の財政をしっかり支え
て呉れることになるであろう。
2号機ではなく別ルート(南岸経由)で別発電所を新設も検討してみる。南岸の水を使う事で上の清水発電所と飯島2号機を事実上統合することが出来るかもしれない。
[私案]清水発電所 △
出力:28,200kW[+28.2MW]…③
水量:19.5m3/s(←28.7*1.0-9.3=19.4)
落差:170m
流域:46.1(独自)+241.0(飯島共通)=287.1km2
導水:12.7(小嵐川サイフォン)+1.2(小嵐川支水路)=13.9km
取水:遠山川[梨本ダム]・池口川・梶谷川・小嵐川490m
放水:遠山川(清水地先・小河内川)[平岡ダム]313m
2-5 池口川・梶谷川 ▲
おまけ;池口川・梶谷川を単独で整備するケース。EL.530mで47.3km2ある。
藁野ダム・藁野発電所を建設する場合は放水位がEL.326mとなって有効落差は194mとなる。
[増強私案]清水発電所 △
認可最大出力:10,900kW[+10.9MW]…④/10,300kW[+10.3MW]…④’
最大使用水量:6.3m3/s
有効落差:204m/194m
導水:10.5km←ぎりぎりw
取水:梶谷川他530m
放水:遠山川[平岡ダム](316m・
この辺)/[藁野ダム]326m
①+②+④'=34.7MW>③=28.2MW
①+②+④'の方が6MW程発電量が高く,藁野で調整も出来るが,ダム建設に加え,導水路が倍近く必要で発電所も1箇所多いとまあ③を成案としておく。