電 力総研 水 力あれこれ(天竜川[信濃区間]) 天竜川中上流域 天竜川中下流域
と はずがたりな掲示板 (利 水スレ電 力スレ)
運開:22.10.07
和知野川(22.10逍遙)

1.概況 2.現況(和知野発電所和知野ダム]・豊発電所岩倉ダム]・和合発電所)  3.開発

1.概況

和知野川は水量が比較的豊富な中央アルプス南側沿いの河川。和知野発電所付近以奥は 2200mm以上である。
出典:国 交省河川局
出典:天竜川上流河川事務所


2.平岡地区現況
天竜川本流に平岡と泰阜がありその間で天竜川に流れ込む和知野川に三箇所の発電所が存在している。
発電所名
取水
運開
出力
常時(率)
取水位
放水位
落差
水量[面積比]
流域面積
水源
平岡
天竜川
1952
101,000kW
23,900kW[23.7%]
308.0m
259.6m 45.65m
256.0m3/s[70.1]
3,650.0km2
平岡ダム
飯島
遠山川
1947
12,700kW
2,000kW[15.7%]
490.0m
324.61m
153.7m
9.87m3/s[41.0]
241.0km2

和知野
和知野川
1939
6,300kW
2,000kW[31.7%]
397.0m 320.17m
72.25m 10.50m3/s[63.6]
165.0km2 和知野ダム


1936
14,500kW
5,500kW [37.9%] 732.0m
405.08m 304.83m 5.54m3/s[42.6] 129.5km2 岩倉ダム
和合

1937
3,000kW
1,600kW[53.3%] 936.0m
734.5m
187.0m
2.00m3/s[55.6]
36.0km2

泰阜
天竜川
1936
52,500kW
12,900kW[24.5%]
355.0m
316.51m
36.86m
178.0864m3/s[59.7]
2,980.0km2
泰阜ダム

これらの和知野川沿いの3発電所は戦時中に日本発送電が一気に開発した。平岡ダムも着工は1940.5と和知野発電所竣工に引き続き着手されたのが判る が,戦局が悪化し完成は戦後も7年も経過した1952となった。
泰阜もほぼ同時期,飯島も平岡同様,戦時中に着工され大陸で徴用された労働等で工事 が強行されたようだが運開は戦後である。
いずれにせよ1930年代半ばから一気に開発されたのがこの周辺という事になる。泰阜発電所も平岡発電所も元々は福沢桃介率いる矢 作水力[wiki]が着工した様だ。和知野川もこの大同電力系の矢作電力が開発した様だ。wikiに は阿 南町誌を出典として「上流側から和合発電所・豊発電所・和知野発電所の順に建設された」との記述があるが,水力 DBに拠れば豊,和合,和知野の順序である。水力さんにはいずれも矢作水力の記述はないばかりか和知野の運開を1939年設立の日本発送電として いるが,wikiに 拠ると和知野川の発電所群の日本発送電への移管は1941年の第一次出資時との事である。1939の運開時には未だ矢作水力だった様である。


和知野発電所[水力] [wiki]     
中部電力(株)
運開:1939(矢作水力)
水路式・流込式(ダムがあるのに調整力は持って無さそう。。)
認可最大出力:6,300kW     常時出力:2,000kW[31.7%]
最大使用水量:10.50m3/s[水量指数0.64]
有効落差:72.25m
水車:出力6520kW×1台
導水路:総延長3386.3m、
 取水:和知野川[和知野ダム]397.00m
 放水:和 知野川[平岡ダム端]320.17m

戦前の未だ資本財が貴重だった時代のものなので流域面積に比して水量が少なく代わ りに常時水量が高くなっている。近傍の新しい早 木戸と比較すると明瞭である。
北又渡(1991運開・水量指数1.33)や平谷(1996運開・同指数1.26)のように現 代風にすると使用水量は20.0m3/s程度と倍増,出力も12.5MW程になるかな。その場合常時出力の最大出力比は16%となる。(早木戸は10% 程度)
まあありそうだな~。水管とか増設して行けないかな。早木戸の項で検討したように早木戸川から水を補給しても良い。

22.10
右側は余水路である様だ(明記されてる)。

水圧鉄管と余水管

建屋と防水壁?割と高い塀が川と発電所を画していた。変電施設も人工地盤の上にある感じか?(マウスオーバー)


平岡付近でというか佐久間から温田付近まで延々と天竜川に沿うr1飯田富山佐久間線から分岐して和知野川に沿うのはr430為栗和合線である。
和知野付近で和知野川を渡る和知野大橋付近。 橋は1998年3月開通とのこと。中央線が引かれてなくてただっぴろい。。(マウスオーバーで橋の画像)

ヘキサ

後から開通したR151のBPを遥か下に望む。

ここまで来るとダムは直ぐ傍である。

和知野(わちの)ダム[地 理院][グー グル(水利票ある♪)]    
中電・発電・取水堰
取水量:10.5m3/s[0.64]
流域面積:165.0km2
取水(位):和知野川(売木川落合397.0m)

和知野ダムは通りがかった微かな記憶はあるのだけど写真が行方不明。。→帰省に組み込んで行ってきた!

このへんも「〜だに」を使うみたいだら♪ pic.twitter.com/p3hvykpvBu

— とはずがたり (@tohazugatali1) October 2, 2022

和知野川と売木川の合流部に建設されたなんか格好良いダムである。既に晩秋の色も濃い 22.10に行った時は1門から水を流しているだけだったが梅雨も末 期の雨上がりの23.7に通りすがった際に定点観測してきたが全門開放で必死で水を流していた(マウスオーバー)。
全4門中,和知野川が3門,売木川が1門って感じである。
22.10(マウスオーバー23.7)

利水標がお迎えしてくれる。割と水をたっぷり貯められそうな感じがするのに公式設定では貯留量無しの様であるのは残念だ。
上の写真でも判る様に,水門の大きさ分程度しか貯められないとすると利用水位数mって所である。

ダムを横から眺める


木々が邪魔だけど取水した10m3/sの水の滔々とした流れと隣の魚道。全門開放の23.7はご覧の通り(マウスオーバー)。駒場発電所や昼神発電所同 様,洪水時には発電を停止してしまうようだ。。ダム増強などを下で検討してみる。
左岸の1門(上の写真だと画面一番右手)だけでも閉じ気味にすると取水出来そうな感じもす るんだけどなあ。泥水なんで沈砂しきれず水車が傷つく危険もあるのかな?
22.10(23.7)

このダムを眺めるに恰好の(恐 らくR151帯川トンネルの旧道)は落合橋というようだ。



中部電力(株) 豊(ゆたか)発電所[水力] [DB①] [DB②] [wiki]     
運開:1936[矢作水力(株)]
水路式・調整池式
認可最大出力:14,500kW     常時出力:5,500kW [37.9%]
最大使用水量:5.54m3/s[42.6]
有効落差:304.83m
水車: 出力14900kW×1台(嘗ては2台だったが2006年に?大水車一台にリプレースした模様[DB① には現行設備は2006年とある。水力さんの02年と08年の間ということで整合的か?])
導水路:総延長13008.7m
流域面積:129.5km2
取水:和 知野川(調 整池?)、売 木川[取水堰堤1.98m3/s・岩 倉貯水池(調整池)]、他(本 谷川心 川鈴ヶ 沢川[金谷堰堤]0.53m3/s,辺りか?) 計7箇所[DB②]  732.0m
放水:和知野川[和知野川ダム直上]405.08m

建屋と変電設備(マウスオーバー)


放水口付近と下流(阿知波ダム)方面眺望


ここも同じく増強出来そう。倍増させると+14.5MW,3倍増も可能かも知れない!?


中部電力(株) 和合発電所[水力][wiki
運開:1937[矢作水力(株)]
水路式・流込式
認可最大出力:3,000kW    常時出力:1,600kW[53.3%]
最大使用水量:2.00m3/s[]
有効落差:187.0m
水車: 出力3800kW×1台
導水路:総延長4149.2m
流域面積:36.0km2
取水:和 知野川(グー グル)936.00m 陣 畑川(942m)?(グー グル)
放水:和知野川[豊発電所取水口直上]734.50m




~売木川(=和知野川支流)~



~鈴ヶ沢川(=売木川支流)~



~心川 (=鈴ヶ沢支流)~   

心川堰堤[場 所

心川堰堤と看板には書いてあった。残念ながら利水標は見当たらない。

対岸に歩道があるようだ。

橋 の向こうの山道から対岸迄来てみた。

 



金谷堰堤[場 所]    
流域面積:約11.5km2
取水量:0.53m3/s[0.46]

斜面の中腹を走る道路から堰堤の取水設備遠望


名前は鈴ヶ沢では無く金谷(かなや)堰堤と云うらしい。

金谷はこ の辺の地名である。

半年も経ってからなので何処に立ってたのか覚えてないけど激写に成功してる♪


ここを奥まで辿ると五座小屋峠を経てR153の治部坂峠の平谷側の靭に出る。天竜川の支流域と矢作川の支流域が最奥部で隣り合わせとなっている場所であ る。
自治体の境界が峠よりも和知野流域寄りに平谷村の村域がでっぱっている。




豊発電所売木川取水堰(仮称・丸畑堰堤→本当にそういうこともあ るみたい♪)[場 所EL.732m]
流域:約42.4km2
取水量:1.98m3/s[0.467]

だいぶ遡上していくとやっと堰堤が現れる。
22.10

自由越流で小ぶりな取水堰である


例の如く吊り橋があってその袂に水利標識が貼り付けられていた(マウスオーバー)。

確認ヨシ!此処での取水量は1.98m3/sとのこと。


この辺は丸畑渓谷というらしい。wikiに は「売木川取水堰(丸畑堰堤)」という標記もあった。


~岩倉川(=売木川支流)~

上流にダムが有るぞと調べて見たら,離れてるけど発電用のダムだった!

下流からアプローチ。いきなり通行止め予告の看板が。岩倉ダム土砂運搬工事とのことでなんとダム脇の道路を半年も昼間通行止めにして迄土砂搬出をおこなう ようだ。


暫く行くと夕暮れの逆光の中に岩倉ダムの堰堤が現れた!

洪水吐?の部分がやけに新しい様な,,。ここもゲート廃止したのか??ダムニスト氏も元々はローラーゲート だったと推定していた♪
訪 問記さんによると
>建設当初はクレストに3門のローラーゲートを備えていましたが、2000年(平成12年)の改修でゲートが撤去され現在は自由越流式ゲート3門と なっています。
とのこと。


岩倉ダム[便覧]・岩倉貯 水池[場 所EL.840m][wiki
河川     天竜川水系岩倉川
目的/型式     P/重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積     25m/100.6m/19千m3
流域面積/湛水面積     8.8km2 ( 全て直接流域 ) /6ha
総貯水容量/有効貯水容量     435千m3/408千m3
ダム事業者     中部電力(株)←なんと!取水堰から離れてるけど中電のやつやん!関電の草木発電所の草木ダムと取水堰の関係と似ている様 だ。
本体施工者     清水建設
着手/竣工     1935/1936
ダム湖名     岩倉貯水池 (いわくらちょすいち)

wikiに は「渇水期に放流する」と書かれているが,僅か40.8万m3である。取水口の丸畑堰堤での取水量は 2m3/s弱。1m3/s補給するとして一日5時間として一日1.8万m3。22日で40万tを使い果たす。水が上流から補給されることはされるんだろう けど心許ない貯水量ではある。   

ダム湖。着いたのは右岸側なのだが何もない。。左岸側に転戦する。

左岸側には看板もあった。薄で隠れてしまってるけど。。


利水標が痛恨のピンぼけ…orz
とはいえ1.98m3/sとは読み取れる(→困った時のす とびゅうでははっきり確認出来た。現地行く苦労が…w)。ここで放水した以上の取水を丸畑堰堤で出来ないのであろうか・・?


この先,R418に沿って川を遡上すると平谷峠を経て,R153との交叉部に平谷村の中心部がある。

電源開発(売木開発豊増強和知野増強)     

EL.840mで取水して豊発電所売木川取水堰で発電出来そう。31.0km2である。水量 3.8m3/s・落差104mとすると3,300kWである。もう一声欲しい感じではある。。
鈴ヶ沢川上流からも取水すると8.85km2追加で,4.9m3/s程度,4,200kWか。あともうちょい欲しいなあ。。


[私案]売木発電所
出力:4,300kW[+4.3MW]
水量:4.9m3/s
落差:104m
流域:39.8km2(=30.95+8.85)
取水:売木川(道洗沢川)・軒川・岩倉川[岩倉ダム]・(鈴ヶ沢川上流?)
放水:売木川[豊発電所]

豊発電所の売木川取水堰では今は1.98m3/sしか取水していないので当然取水量増が必要で二倍以上と なると導水管の増設が必要になろうか。
上で指摘したように下流の豊発電所・和知野発電所ともに増強が可能であろう。

[増強私案]豊発電所(2号機増設)
発電所総出力:43,300kW[+28.8MW (2号機出力)]
発電所最大使用水量:16.54m3/s [+11.0m3/s(2号機使用最大水量)]
有効落差:304.83m
導水路:総延長13008.7m(平行して新設・上部水槽やサージタンクなどは共用)[導水距離発電力比は0.5である。只発電力を厚めに取っての数 字。]
流域面積:129.5km2
取水:和 知野川(調 整池?)、売 木川岩 倉貯水池(調整池)]、他(本 谷川心 川鈴ヶ 沢川,辺りか?) 計7箇所[DB②]  732.0m
放水:和知野川[和知野川ダム直上]405.08m

[増強私案]和知野ダム=保留
流域:165km2

和知野ダムを嵩上げするに際して,松二等を参考に水面下でも放水出来るとして満水位410mに設定すると立ち退きが必要になるのは豊発電所に隣接する家な ど数軒[す とび
ただ大した量は貯水出来ない。要検討。
3m程嵩上げして400mなら立ち退きも不要かも。


[増強私案]和知野発電所(和知野発電に2号機増設案)
発電所総出力:14,400kW[+8.1MW(2 号機出力)]
発電所最大使用水量:21.50m3/s [+11.0m3/s(2号機使用最大水量)]
有効落差:86m
導水路:総延長3.4km(平行して新設・上部水槽やサージタンクなどは共用)[導水距離発電力比は0.5である。只発電力を厚めに取っての数字。]
放水路:1.5km
取水:和知野川[和知野ダム]400.00m→2号機を新設するなら今より嵩上げして400m程度取水出来る様にはしたい。。
放水:天竜川[平岡ダム]309.0m(平 岡ダム端迄放水路を延ばして落差を稼ぐ)

もっと下流にダムを建設して貯水量を稼ぐ方法もあり得る。

[私案]新和知野ダム[場 所
堤高:60m程?
堤頂長:136m
湛水面積:29.8ha
取水位:380~400m
貯水量:約400万m3



[新設私案]新和知野発電所(離れた場所に新設案)
発電所総出力:8,100kW[+8.1MW]
発電所最大使用水量:11.0m3/s [+11.0m3/s]
有効落差:86m
導水路:3.5km
取水:和知野川[和知野ダム]400.0m→2号機を新設するなら405mから395m位迄取水出来る様にはしたい。。
放水:天竜川[平岡ダム]309.0m(平 岡ダム端で発電。)