電 力総研 水 力あれこれ
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25.5.19運開

手取川の水力発電牛首川(手取川上流部)篇(25.5周 遊)

上流部・牛首川篇 中流部(在来篇) 手取川綜合開発篇 下流部(潅漑) 大日川・梯川

手取川:最 上流部開発案(+19.4MW)】三ツ谷市ノ瀬発電所風嵐 谷川白峰発電所大道谷川─●赤谷川─下田原川→桑島発電所手取川ダム[→綜合開発 篇中流部在来篇

上流部は,白山水力が鳥越発電所(廃止)を1929年に建設した後,恐ら く(ほぼ確実に)それに合わせる形で戦後陸電が桑島(1955運開)白峰(1956運開)市ノ瀬(1958運開)を 下から順に開発した形である。恰度神一 (1954運開)神二(1954運 開)神三(1955運開)と 陸電が総力を挙げて電力供給を整備していた頃である。手取川水系では尾添川で白山水力を引き継いだ矢作水力が戦前1938年に吉野谷の奥に尾口発電所を設置したが,それに接続する形で三ツ又第一発電所が1961年運開している。1950年代の陸電の開発としては近隣では他に九頭竜川の上打波発電所(1959)等があるが,その掉尾を飾るのは勿論1959年から60年に掛けて順次運開の有峰開発である(この時運開したのは中水量の和田川右岸ルート)。その後大日川ダムや九頭竜ダムは60年代後半,手取川ダムは70年代最終盤の設置となる。

あと飛騨川上流は断固益田川だと宣言した以上,ここも牛首川である!な かなか慣れないなーw

〜手取川〜

<白山温泉>

市ノ瀬堰堤(仮称)[場 所823.2m]     
流域:約41.9km2[1.12程度]
取水量:4.8m3/s[→利水票]
取水:手取川(湯の谷・細谷川出合)

r33白山公園線を延々と遡ると市ノ瀬発電所取水堰堤に至る。この先,別当出合付近迄続いている。山の向こう側は富山県で富山県道にも同じ名前の白山公園 線があって双方対応しているように見えるが,富山県側はr451の一般地方道で同一路線ではないようだ。向こうもr33だとテンション激上がりなんだけど 残念w
因みに向こう側(東側)は川としては庄川水系大白川であ る。向こうから白山に向かおうとした時は厳重な通行止めで進入出来なかった。。
更に南側は九頭竜川水系打波川である。そこの最上部上打波発電所も1958年運開と牛首川の3発電所や三ツ又第一と同じ時期の運開となる。こりゃ高度成長もするねぇ。。

さて。訪問時は下から遡って辿り着いた訳だがどこも凄い水量であったが,ここも凄い水量で放流していた。北陸の凄い雪解けパワーである。


圧倒されてて後から見て見ると全体の雰囲気を捉えた写真がなかった。。
上流(裏?)からみた取水ゲート。

その壁に利水票は貼ってあった。4.8m3/s


キャンプ場の裏手みたいな所に沈砂池が


〜東俣谷川〜

市ノ瀬発電所取水堰堤
流域:約6.2km2
取水量:
 
〜中の俣谷川〜

市ノ瀬発電所取水堰堤
流域:約5.1km2
取水量:
 
〜西俣谷川〜

市ノ瀬発電所取水堰堤
流域:約7.1km2
取水量:

〜三ツ谷川〜     

県道の橋の上から上流方面の眺め


奥の取水堰は兎も角せめて手前のサイフォン(→ここ)迄と思ったけど入り口から水没してて止めておいた。。

ストビュウだとロープが掛かってるのでこの日は千載一遇のチャンスだった?!




〜小三谷〜

三ツ谷に対する小三谷か。
市ノ瀬発電所の導水路が横切るが取水はしてないようだ。
もし取水したとしても0.92km2程と狭い。
 

訪問時も特に気付かず通過してしまったようで写真もない。



北陸電力(株) 市ノ瀬発電所[水 力][DB]     
所在地:石川県白山市白峰
運開:1958.3(6.2MW?) 設備改修:2015.6(出力増+.6.5MW)
水路式・流込式
認可最大出力:6,500kW(出力増加前6,200kW)  常時出力: 540kW(出力増加前データ)
最大使用水量:7.00m3/s[1.14]
有効落差:110.00m
水車:横軸二輪単流渦巻フランシス水車(両掛) 出力6600kW×1台(出力増加前データ)
導水路:総延長5676.0m     放水路:総延長206.0m
流域面積:61.1km2
取水:手取川、東俣谷川、中の俣谷川、西俣谷川 820.95m
放水:手取川[白峰発電所取水堰堤] 702.98m

白峰発電所取水堰堤と道を挟んで至近にある市ノ瀬発電所の建屋(と建屋近影・水圧鉄管代わりと細く見える。。)★★


早月川でいうと白荻発電所(運開:1918,出力:3.2MW,水 量:5.26m3/s,落差:74.50m, 流域:59.3km2)的な 存在で,戦後生まれながら有効落差もイマイチである。馬 場島発電所(運開:1963・出力:21.7MW・水量7.9m3/s・落差:319.0m・流域:41.7km2
)的なものが欲しい所である。また山向こう南側の上 打波発電所(運開:1958・落差:150m・出力:10.4MW・流域:67km2)と似たような運開時期の市ノ瀬であり,スペックもなんとな く似ている。

またDBより取水は4箇所となっており,小三谷からは取水してない様子。こ の辺で取水すると0.96km2となる。更に根倉谷から0.7km程の導水で導水路に接続出来る。

【開発案】    
やってみると割と綺麗に纏まって31.7km2も取れた♪
水量は市ノ瀬が結構多めの7.0m3/s取って居ると云うことで落差に恃んでもう一寸取っても良かったが控えめに抑えた。
その分宮谷川からも取水して流域を増やしてみた。こちらは現行の市ノ瀬Pと違って三ツ谷からは取水しないしそこそこバランスは取れてるかも。
規模もでかいし一押し♪


[私案]奥白峰発電所   
出力:19,400kW[+19.4MW]
水量:6.3m3/s[1.75]
落差:370m
流域:31.7km2+4.2km2=35.9km2
導水:8.3km+1.0km
水車:ペルトン
取水:岩 屋俣谷川(別山谷出合)細 谷川湯 ノ谷丸 岡谷(だん)(+宮 谷川) 1083m
放水:手取川[白峰発電所取水堰]705m


白峰発電所牛首川取水堰堤[場所]
目的:発電
流域:
水量:7.53m3/s

早月川などと同じで川の水流の殆どを逃がし脇でちょろっと取水するスタイルの堰堤。

この手の自由越流タイプを不真面目な堰堤と呼んでるけどまあ増水期は御覧の通りでこれで良いのであろう。増水期の桃山発電所や大桑発電所の取水堰堤(増水の桃山冬枯れの大桑)もこんな感じだった。

利水票もゲット


直ぐ下には沈砂池があったが改修工事中との看板が。

今は取水・発電はしていないようだ。


〜宮谷川 〜
上流は開発案で利用したいと思ってる宮谷。
現状では白峰発電所が取水に使っているが,メインの導水路は左岸なので右岸支流の宮谷からは牛首川本流との合流部直下を水路橋で対岸に渡っていく。
25.5

合流部は砂防ダムあり,謎の仮設橋ありで水量も相俟ってなかなかのダイナミックな風景
マウスオーバーで画面変わって仮設橋が伸びていく正面の谷が宮谷である。



百万貫岩



風嵐堰堤[場所]     
目的:発電(桑島PS)
取水(量):手取川 (10.60m3/s)
送水:明谷川ダム

砂防ダムの途中に設置みたいな風嵐堰堤


利水票も確り


〜風嵐谷川〜     

風嵐谷川取水堰堤[場所]  
目的:発電(白峰PS)
流域:
水量:



〜ホイチ 川〜     

ホイチ川取水堰堤[場所]
目的:発電(白峰PS)
流域:
水量:




風嵐谷川取水堰堤[場 所][こ れシ マッタ利水票あるぅ]  
目的:発電(桑島PS)
流域:
取水(量):風嵐谷川(?m3/s)
送水:明谷川ダム


牛首川との合流部
 




〜明谷川〜     

白峰発電所取水堰[場 所
取水:
流域:約5.6km2

白峰発電所明谷川取水堰堤から1.7km程度の延伸で大道谷の支流太 田谷EL.740mに至る。
流域2.3km2程取れる(少ないか…)

〜小又谷 〜     

白峰発電所取水堰[場 所][こ れ?][こ の辺か?
取水:
流域:約2.25km2程度?


北陸電力(株) 白峰発電所[水 力]     
所在地:石川県白山市白峰
運開:1956.12(14.2MW) 取水量増による出力増:2015.5.21(15.1MW[+0.9MW])
水路式・流込式
認可最大出力:15100kW(出力増加前14200kW)      常時出力: 1700kW(出力増加前データ)
    最大使用水量:9.40m3/s(出力増加前データ)
    有効落差:181.00m
    水車:立軸フランシス水車×2台 総出力15600kW
    導水路:総延長8855.8m、主要導水路 幅2.40m×高2.85m、延長6121.4m
    放水路:幅3.20m×高2.30m、総延長143.3m
   取水位標高:703.30m
    放水位標高:511.40m
    流域面積:97.4平方キロメートル
    取水:手取川[市ノ瀬発電所]宮谷川風嵐谷川ホイチ谷、小又谷川、明谷川 703.30m
    放水:明谷川[明谷川ダム(仮称)

下で見る明谷川ダムのダム湖畔の奥にひっそりと佇んでいる…と云いたいところだが,目下工事中で賑わっていた(日曜日で休工日で誰も居なかったけど)。
 

発電所の直下で桑島発電所明谷川ダムに放水している。



桑島発電所明谷川取水堰[
目的:発電(桑島PS)
流域:?km2
取水(量):明谷川(12.90m3/s)
送水:桑島発電所

こぶりながら確りした堰堤を持ったダムである。

湖面
kuzuryu/uchinami00.html#Kuchinami-P

利水票

予想に反して12.9m3/sしかない。桑島の全水量17.3m3/sを供給出来るのかなと思ってたんだけど。



〜大道谷 川〜

R157<谷峠を経て滝波川水域へ>

25.5の初訪問時はR157を手取川の進入ルートとした。未だ残る残雪に雪国を感じつつ峠道を快走していく。水は綺麗である。


桑島発電所大道谷取水堰堤(仮称)[場 所511m
取水:?
流域:約18.4km2

峠から残雪に驚きつつ快適に坂を駆け下りると白峰大橋
さて,この辺に堰はないかなと眺望の利く大橋の上から川を眺めてみると何やら対岸に怪しげな(古そうな)混凝土の構造物が。
手取川の水発施設との人生での初めての邂逅にちょいと感動。どうやらこの釜の谷を跨ぐ水路橋で,堰堤は見落としててもっと上流らしい。


一寸遡るとありましたよ♪木々に邪魔されてよく見えないけどw
 
今日は手取川全部と夜に飲み会の意欲的なプランなので向こう側に辿り着くみたいな事は諦め次に向かう。


<白峰聚落>
(大道谷合流)

〜赤谷川 〜

桑島発電所赤谷取水堰堤(仮称)[場 所507m][ひろし
取水:1.60m3/s?[→ひろし
流域:km2

25.5,勿論,見に行くべく赤谷大橋脇の赤谷林道に進入。
 
延長12kmもあるようだ。

入り口から直ぐ枝が落ちてて不穏な雰囲気


あからさまな災害復旧工事現場の完成直後の箇所を抜ける。


と…突然の道路面消失!!


通行止めの看板すらなく道路が終わってるのは久々の体験な気がするw
ひろしさんは無事到達してるし災害復旧工事が終われば開放されてて奥迄行けるのかも。



〜下田原 川〜

導水1.4km程で流域11.4km2程取れる。
kuzuryu/uchinami00.html#Kuchinami-P 


北陸電力(株) 桑島発電所[水 力][DB]      
所在地:石川県白山市桑島
改修:1979.7(手取川ダム竣工に伴う移転(落差・出力減))
水路式・流込式
認可最大出力:7,500kW(η=84.5%)   常時出力: 480kW[6.4%]
最大使用水量:17.30m3/s[0.97]
有効落差:52.30m(損失落差▲9.53m)
水車:立軸カプラン水車 出力7850kW×1台
導水路:総延長10779.1m
流域面積:179.0km2
取水:手取川[風嵐堰堤]、風嵐谷川,明谷川[明谷川ダム(仮称)]、大道谷川、赤谷川、他1(不明...どこだ??釜の谷ぐらい?) 計6箇所 511.42m
放水:手取川[手取川ダム449.59m

【考察】
手取川ダム満水位(手取川第一取水位)より15mも下の放水位である。嵩上げ(落差減)は果たして本当にあったのかね??設備更新で水面下でも放水出来る施設を入れたっぽい?

穴と橋さんには
>で、この発電所の面白いところが、手取川ダムの完成に伴う湛水のために、発電所を「湛水ラインの上に移動させて」現在の姿になっているというんである。つまり、オリジナルはもっと有効落差が大きかった、ということ。
と明記されている。

出典はどうやらひろしさんで
>かつては倍くらいの有効落差がありました。手取川ダムの建設に伴い発電所建屋を湛水面上に移して存続しています。
とある。

水車効率(η)や損失落差等にそれ程不審な点は無いし,取水位・放水位・有効落差等に誤りは無いとすると,明らかに放水が手取ダムの湛水位以下なので設備更新で水面下でも放水出来る施設を入れたっぽい?


調べて見ると落差や出力の半減ぶりがよく解った。

[廃止](旧)桑島発電所JSCE『日立評論』
竣工:1955.11(・白山水力) 廃 止:1978.9(北陸電力・手取川ダム建設に伴う)
出力:15,000kW
水量:17.28m3/s
落差
:107.0m
水車:16,000kW 両掛横軸フランシス水車?
取水:牛首川他 511.42m
放水:手取川[鳥越発電所


桑島発電所の運開島時の水車の情報を発見
>最近設計に着手走る北陸電力株式会社桑島発電所用の16,000kW 水 革は発 機の両例に第9函の如/こ、それぞれ対称の 8,000kW 単流車輪塾を直結したもので、16,000kWl台が形成され、中央の調速機アクチエエータにより2箇のサーポモータを駆動して8,000kW迄は片側の みを運転しこれを超過すれば自重柑勺に両側の水草に負荷を平衡せしめ高能率運転を行うよう計画されている。 本水車はこれを若し竪軸塾とし8,000kW 水草2台を設置する場合に比較すれば、最初建設に要する所要資材は水車及び発が、綜合効機の合計では前者ほ多少軽減されるが,総合効率は後者の方が最高値 に於て僅かに優つている。しかし運転に当っては前者はこれを全自動発電所として常時運転員を置かず昼間だけの勤務員で十分と考え
られるが、後者は通常の中容量発電所として昼夜交代の勤務員で保守に当らなくてほならぬ敲、かなりの運転経費を要することになる。これ等の諸点を綜合すれば本水車の場合には竪軸2台案より横軸1台実の方が有利とされ、本案が採用されることゝなった。
出典:『日立評論』1953年



水量をそのままに落差を減らして出力を減らした感じか?この16,000kWが定格であって実際の認可出力とは乖離があるのかも?→ビンゴで15,000kWとの記述が見つかった。
和知野と比較してみると現行のデータと結構ズレてるのが解る。。DBによると和知野の施設は1990年に更新されてるので昔は水量・落差とも変更になった?


中島発電所尾添発電所とよく似たトンネルの向こうの発電所であった。
残念ながら,当然のように,トンネルの入り口で閉鎖されていてそれ以上近づけなかった。我らが大井川発電所はトンネルの向こう迄行けるのに。。(と思ったけどトンネル 画像アップしてなかった。。近日公開予定)

取り敢えず深瀬大橋へ向かって谷を降りて行く。深瀬の聚落は廃屋が雪に潰されてちょいと凄まじき様子になっていた。

立派な(←伏線w)深瀬大橋が見えて来る。測水所もある。

橋の名前は深瀬大橋なのに測水所の名前は尾口大橋水位観測所という様だ。尾口って こっちの方だし,なんか名前間違えてない??

さて,どうしても見れそうになかった尾添と違って,中島みたいにここ桑島は橋の上や対岸から望むことは可能。

橋の上で写真を撮ってたら向こうから商用車が橋に入ってこようとして大急ぎで渡りきる。
でも,橋の向こう,どっちも通行止めなんですけど。。あの商用車こんな週末に何の用事で向こう側から出てきたんだ!?

肝腎の看板だけど拡大しててもしっかり撮れてなかった。。
新しく購入したPENTAXのデジカメだけどこれが大外れで直ぐに電源切れちゃうし電源入れてから写真を撮れるようになるまでイライラと待たされるばかり か撮った写真もぶれたりすること多い。もう誰も使わなくなって機能を洗練させるか会社も無いのかもしれない。パナソニック,ニコンと色々試してみたが全部 ダメであった。気の効いた中韓台のメーカーが出してるやつないのかな〜。




手取川ダム[→綜合開発篇]     
目的/型式     FWIP(→手取川第一発電 所・180m3/s)/ロックフィル
堤高/堤頂長/満水位     153m/420m/465.00m(手取川第一P取水位より)
流域面積/湛水面積     428.2km2 ( 直接:247.2km2 間接:181km2 ) /525ha
総貯水容量/有効貯水容量     231000千m3/190000千m3
着手/竣工     1970/1979
取水:瀬波川雄谷尾添川目附谷→(荒谷?)→手取川[手取川ダム]

容量配分図
 出典:北陸地方整備局

洪水期利水容量(6月半ば〜10月半ば?)は洪水用に2000万トンほど取って居てその時の満水位は461mらしい。


酷い場所であった。

トイレ,使用休止(水害の余波みたい)


売店,休業中(廃止?)


天端,立入禁止。


ダムへの入り口はインター形式でかっちょ良かったんだけどねぇ〜。


(→下流篇・中流在来篇綜合開発篇)