電 力総研 水 力あれこれ
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25.5.19運開

手取川の水力発電手取川下流部・七ヶ用水篇(25.5 周 遊)

牛首川(手取川上流部)篇 手取川(中流部)・尾添川篇 手取川綜合開発篇 下流部・七ヶ用水(潅漑)篇  大日 川・梯川

目次:白山頭首工(七ヶ用水)─●白山発電所開発案(+1.93MW)─<鶴 来市街>鶴来発電所鶴来古町発電所─[宮竹用水:●宮竹第二発電所─●宮竹第一発電所─]─●明島発電所─●七ヶ用水発電所

25.5周遊時は上流から下ってきたので最終盤の調査。一日駆けずり回ったので結構くたくたであったし,白山頭首工取水量 40m3/sと手取川第三の放水量70m3/sの差分の30m3/sを使って12.5MW級の手取川第四発電所を妄想してた時期も あったけど,調べて見る と潅漑用水使って既に結構使われてたし,手取川第三が70m3/sも使うのはピーク時のごく一部の時間帯であろうと解ってきたので余り新規案件押し込む余 地もなさそうってのもあって悉皆調査はスルーしてしまった。再訪を期したい。

〜沿川風景〜

[大日川→大日川篇]

福岡第一発電所→ 中流部・尾添川篇→ 牛首川篇
水量:14.69m3/s 放水:122.29m

[直海谷]手取川第三発電所→綜合開発篇・手取川ダム
水量:70.00m3/s 放水:112.00m

白山頭首工[場 所][水 力]    
目的:潅漑(七ヶ用水・宮竹用水)・発電(白山・鶴来・鶴来古町・明島)
取水:手取川・大日川[手取川3P(70m3/s)福 岡1P(14.69m3/s)
取水位:110m程
取水量:42.63〜30.00〜13.91m3/s( 手取川七ヶ用水)
流域面積:

「はくさんとうしゅこう」だと信じて疑わなかったが水力さんによると「しらやまとうしゅこう」らしい,,吃驚。(確かにしら やまと大書きされてる。。)
ここから白山発電所迄のレポはジオ白山さんに詳しい[→geohakusan.com

期別水利権単位:m3/s 
期 間 潅漑期 非潅漑期 受益
面積
4/13〜4/19 4/20〜5/3の
内7日間
4/20〜9/10 9/11〜
翌年3/19
3/20〜4/12


七ヶ
30.00 42.63 30.00 13.91 30.00 5,077.5ha
宮竹
10.20
13.32
10.20
4.87
10,20
2,324.4ha
合計
40.20
55.95
40.20
18.78
40.20
7,401.9ha
最大取水量の42.63m3/sを取水するのは僅か1週間である。明島も鶴来・鶴来古町も40m3/s程度の最大使用水量で,潅漑用水の使用水量に関わら ず取水可能時は最大40m3/s取ってる運用か?そうでないとなかなか資本効率悪そうである。

潅漑利水票



<七ヶ用水系統図>
出典:石 川県
高橋川(旧富樫用水)は鶴来発電所の前で分水しているように見えるが,こ こ(鶴来発電所と宮竹分水工の間)に放水路があって,通常はこっちに水を流して鶴来の水を確保している様に見える。
また現代の富樫用水は明島発電所の下で分岐するようになっている。少なくとも,其処迄は40m3/s確保されているのであろう。

<七ヶ用水取水口の移り変わり>


沿革[水土里]   
宮竹用水は手取川から梯川の間の能美平野を潤す県下第2の用水です。明治前期の宮竹用水は今の灯台笹・宮竹町地内で3ヶ所に分け取水していました。明治 18年に石川県は手取川を直轄管理とし、治水事業の一環として用水口の合併(とは註:恐らく左岸の)を計画し、大洪水での頓挫後の明治30年に再着手しま した。従来の場所より六百間(1,086m)上流の岩本町地内天狗山東の御座ヶ渕に取水口を移し、水路トンネル(371m)を開削し、堀割水路715mを 新設して従来の水路に接続しました。
手取川右岸の七ヶ用水は明治36年(とは註:1903年)に取水口合併事業により、宮竹用水合併取水口の上流の場所で取水口の1本化を行ったため、その後 の干ばつ時における七ヶ・宮竹両用水の水争いが絶えませんでした。
手取川水力発電会社は七ヶ用水本流の沈砂池に白山発電所建設計画し、発電用水取入堰堤(今の白山頭首 工)を七ヶ用水取水口の上流800mに設け、昭和12年に発電を開始しました。
昭和17年に発電と農業用水の増大を図るため、農用地開発営団により、白山堰堤嵩上げ工を計画、昭和19 年に着手しましたが、太平洋戦時下であり、物資の欠乏と労力不足のため一時中断しました。
(戦後になって)農業取水量を増加させるために,昭和23年に農地開発事業として農 林省直轄事業として実施され、この事業の中でこの白山頭首工堰堤を50cm高くすることとし、昭和26年(とは註:1951年)に国営事業 が完成、通水しました。
昭和23年、旧辰口町出口、北市、徳久地内に集水暗渠を着工、同25年完成させ、下郷用水地域の用水補給を行えるようにしました
戦後宮竹用水の天狗壁堰堤の嵩上げ、取入口の水門化、隧道及び水路改修、沈砂池、管理道路を同25年3月に完成し、毎年の洗堰工事の無駄と取水の円滑化が 図られました。〔国営手取川農業水利事業〕
しかしながら、七ヶ用水との分水比7対1による水量では水不足は依然として解消できなかったため、昭和25年に農林省により大日川ダム計画が立案され、昭 和35年の着工を機に宮竹用水永年の懸案だった耕地面積による分水比3:1による 分水協定が幾度にもわたる協議を重ねた末、昭和36年4月に成立しました。
この新分水協定に基づき、七ヶ用水の白山頭首工を合口取水堰(既設のまま利用)として、宮竹用水の取水も同時に行うこととし、天狗橋下流の七ヶ用水幹線水 路で分水し手取川を逆サイフォンで宮竹用水に接続しました。昭和42年3月のことです。



堤体全景と取水部拡大

取水部と用水。地図[地 理院G 空撮]を見ると堤防の外側にも水路があって(空撮から判断するに水も両方に流れてて)取水体制は万全の様子である。


施設に着くと早速利水票がお出迎え。上は白山・鶴来・明島発電所の3連である♪下は発電所名は不記載でイマイチだけどどうやら新設の鶴来古町のものらし い。
現地では予習をしてこなかったので訳が分からず写真だけ撮っておいた。


施設全体を指して白山頭首工と信じて疑わなかったが現地では「白山発電用ダム」となっていた。堰堤としては白山発電用ダムという名前で取水施設が白山頭首 工というわけ?


〜七ヶ用水〜    
白山頭首工を出た直ぐの場所。


北陸電力(株) 白山発電所[DB] [水 力]    
所在地:石川県白山市鶴来今町
運開:1937.6手取川水力電氣(株)
水路式・流込式
認可最大出力:1,470kW[η=79.4%]    常時出力: 830kW[56.5%]
最大使用水量:30.00m3/s
有効落差:6.30m
水車:立軸カプラン水車 出力1600kW×1台 (現行施設運開:1937?)
導水路:総延長505.0m 巾×高さ:6.72m×3.60m / 放水路:総延長736.7m
流域面積:741.3km2
取水:手取川[白山頭首工]→七ヶ用水 103.50m
放水:七ヶ用水[鶴来発電所・鶴来古町発電所] 94.29m

対岸の道の駅から発電所発見!探してたのは頭首工だったので見逃すところだったw(まあもう探索後半戦で疲れてたので接近はスキップしてしまったけ ど。。)


【開発案】    
鶴来発電所地点で40m3/s程使っている。上流のこちらにも白山今町発電所でも作ったら良さそう。現地で確認した所によると灌漑期中心に七ヶの30m3/sに対して宮竹に10m3/sの40m3/sを通水しているようである。
あちらが落差6.95mに対してこちらは落差6.30mと微妙ながら向こうの条件の方が良かったのであろう。

[私案]白山今町発電所
所在地:石川県白山市鶴来今町
水路式・流込式
認可最大出力:565kW[+0.565MW]
最大使用水量:10.00m3/s
有効落差:6.80m[←鶴来に対する鶴来古町の有効落差増を参考にした]
導水路:総延長505.0m / 放水路:総延長736.7m
流域面積:741.3km2
取水:手取川[白山頭首工]→七ヶ用水 103.50m
放水:七ヶ用水[鶴来発電所・鶴来古町発電所] 94.29m

常願寺川や黒部川よりも手取川の勾配は緩やかな様ではある。

頭首工の取水位を1m位上げて途中の水路も1m程度なら余裕がありそうなので 10〜20m3/s程余分に取水して発電できないだろうか?
現行白山発電所と並行して発電するのである。まあ設備も古そうだしもう統合して水車2台化する一新で良いのでは?

[増強私案]白山発電所
所在地:石川県白山市鶴来今町
水路式・流込式
認可最大出力:3,400kW[+1.93MW]
最大使用水量:50.00m3/s[←10m3/s程増量してみた。発電後,川に戻せそうな水路がある。]
有効落差:8.0m[←鶴来に対する鶴来古町の有効落差増を参考にして増やし,更に1m嵩上げした。昔から嵩上げが検討されたり実際に実行されたりしてきたようである(→白山頭首工沿革)]
導水路:総延長505.0m / 放水路:総延長736.7m
流域面積:741.3km2
水車:チューブラ水車×2
取水:手取川[白山頭首工]→七ヶ用水 103.50m
放水:七ヶ用水[鶴来発電所・鶴来古町発電所] 94.29m


<鶴来市街>    

北陸電力(株) 鶴来発電所[水力]    
所在地:石川県白山市鶴来古町
運開:1936.10[石川電氣(株)]
水路式・流込式
認可最大出力:1,600kW[η=76.8%]    常時出力: 870kW[54.4%]
最大使用水量:30.60m3/s
有効落差:6.95m
水車:立軸カプラン水車×2台 総出力2100kW
導水路:総延長907.0m
流域面積:741.3km2
 取水:七ヶ用水[白山発電所] 95.29m
放水:七ヶ用水 87.09m

北陸電力(株) 鶴来古町発電所[kissf5][jepoc] [Infrato][陸 電]   
所在地:石川県白山市鶴来古町
着工:2022.2 運開:2025.5
水路式・流込式
認可最大出力:584kW[η=84.3%]
見込発電量:約460万kWh/年
最大使用水量:9.40m3/s
有効落差:7.52m
水車/発電機:水中タービン発電機(スウェーデン製)
流域面積:741.3km2
取水:七ヶ用水 95.29m?
放水:七ヶ用水 ?m

最近の機材で運開して水車の発電効率(η)もだいぶ上昇してるようだ。旧鶴来の方もリプレースしたら1,750kW程度には上昇させられそう。

鶴来発電所(右)と鶴来古町発電所(真ん中左側の筒みたいなやつ)。
ここも予習無しで鶴来駅近くにクルマ停めて金沢迄出ようとたまたま通りがかった。見逃すところで危うかったw


七ヶ・宮竹分水工[手取川宮竹 用水土地改良区]    

〜宮竹用水〜    
出典:手取川宮竹用水土地改良区

手取川宮竹用水土 地改良区の頁に以下の様な表が載っていた。第一・第二共通らしい?

期別小水力発電水量


手取川宮竹用水第二発電所[kissf5][手取川宮竹用水土地改良区]     
設置者:石川県?
管理者: 手取川宮竹用水土地改良区?
水路式・流込式
運開:2018.4
出力:580kW
最大使用水量:
総落差:15.4m
水車:S型チューブラ水車(定格690kW)
導水:上郷用水路の一部区間の延長約1.8km・地下埋設管
取水:宮竹用水[鶴来発電所・鶴来古町発電所
放水:宮竹用水[宮竹第一発電所
送電:余剰電力は、発電所に隣接した一般配電線を利用して北陸電力鰍ノ送電

手取川宮竹用水第一発電所[kissf5][水力] [手取川宮竹用水土地改良区]    
設置者:石川県?
管理者: 手取川宮竹用水土地改良区?
新規事業採択:1986.4[県営かんがい排水事業上郷地区]
発電事業計画追加:1988.3 運開:1995.3(上郷発電所) 名称変更:2014(宮竹用水第一発電所),2017 
水路式・流込式
出力:640kW
最大使用水量:6.50m3/s
総落差:15.5m 有効落差:12.7m(▲2.8m)
水車:S型チューブラ水車(定格690kW)
導水:上郷用水路の一部区間の延長約1.6km・地下埋設管
取水:宮竹用水[宮竹第二発電所
放水:宮竹用水・長滝放水路?
送電:余剰電力は専用線を利用して久常変電所まで送電

使用水量・総落差もほぼ一致するので同型のS型チューブラ水車(定格690kW)を使ってコストを下げているのかな?



北陸電力(株) 明島(あからじま)発電所[水 力]    
所在地:石川県白山市明島町
運開:1954.5(北陸電力・4,500kW) 設備改修:2011.7(出力増+200kW)
水路式・流込式
認可最大出力:4,700kW  常時出力:1,800kW
年間発電電力量:約33.8GWh(+0.3GWh)
最大使用水量:40.00m3/s
有効落差:13.70m
水車:横軸カプラン水車 出力4800kWラ1台
導水路:総延長2333.8m / 放水路:総延長592.0m
流域面積:741.3km2
取水:七ヶ用水[鶴来発電所]87.12m
放水:七ヶ用水 [七ヶ用水発電所]70.20m


富樫用水・郷用水分水工(仮称)[場 所


七ヶ用水発電所[水 力][kissf5]     
設置者:石川県?
管理者:手取川七ヶ用水土地改良区?
所在地:石川県能美郡川北町中島[場 所約70m]
運開:2004.4
水路式・流込式
認可最大出力:630kW      常時出力:110kW
総発電量:4,011MWh/年
最大使用水量:15.00m3/s    常時使用水量: 2.94m3/s
最大出力時有効落差:5.45m    常時出力時有効落差:6.25m
水車:S形チューブラー水車 出力700kWラ1台
取水:七ヶ用水[明島発電所
放水:七ヶ用水(中村用水・山島用水・大慶寺用水・中島用水・新砂川用水)


中村用水・山島用水分水工(仮称)[場 所


山島用水分水工(仮称)[場 所



大慶寺用水・新砂川用水分水工(仮称)[場 所約60m]