23.05.28運開
神通川の水力発電 神通川第一~第三篇(23.5Comp♪)
1.流域の年降水量 2.神通川総扉(神一・神二・神三・潅漑用水) 3.
高原川(跡津川・金木戸川・有峰引水) 4.
宮川(4-1.宮川・下小鳥川/4-2.宮川上流・小
八賀川) 5.井田川水域(神通左岸圏域) 6.牛ヶ首用水 7.熊野川 8.長棟川
神通川(神一・神二・神三)
戦後,日本発送電の解体の過程で地域別に分割されたが,潮流主義を取って,発電所は立地点の営業担当会社ではなく需要先の会社に与えられて,庄川や黒部
川,宮川(ここでは関係ないけど木曽川)の発電所は送電線と一緒に関西電力が総取りした。
これによって電力不足も発生する中で危機感を持った陸電は,電力不足の中,自前で開発を試み,それが神通川第一~第三発電所とそれに付随する神一~神三ダ
ムである。発電所は神通川第○発電所というのが正式名称であるがダムは神○ダムという略称みたいなのが正式名称である。
諸元:模式図 :(宮川・高原川→)神一ダム・(長棟川(→舟倉用水)・長棟川第二発電所→)・庵谷発電所・神通川第一発電所・神二ダム(→大沢野用水)・神通川第二発電所・神三ダム・神通川第三発電所・神通川第三左岸発電所(→牛ヶ首用水)・大久保用水(→
大久保発電所→新保用水)
現況・神一ダム・庵谷発電所・神通川第一発電所・神二ダム・神通川第
二発電所・神三ダム・神通川第三発電所・神通川第三左岸発電所
模式図
出典:国
交省をとはずがたりが一部修正
佐久間も奈川渡も高瀬3連発ダムであり,ここも同様である,但し地名が付いて無くて没個性的な感じもある。神三は笹津だろうけど,神一は庵谷だと一寸下流
だし,神二はもっとピッタリな地名無かった?まあダム名に地名が付くと有名になる感じはあるんだけど。殿山とか割と小さそうな地名だ。地元の人が合川ダム
と呼ぶ訳である。3連発ダムは最上流が母艦的な大容量で最後が逆調整池である。ここも規模はそれらより小さいけど神一が一番大きくて神三は逆調整池であ
る。船明同様落差は小さい。只見川は一応,奥只見・田子倉・滝の三連発ともいえるけど規模がでかすぎて大鳥・只見と間にダムが挿入されている形。
【諸元】 ▲
神一(じんいち)ダム、(神通川第一ダム)[便覧][水力(神
一)][水力
(庵谷)][日立評論]
▲
目的/型式 P/越流型直線重圧力トンネル、暗渠1,294.4力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積 45m/344.4m/108千m3
流域面積/湛水面積 1960km2 ( 全て直接流域 ) /78ha
総貯水容量/有効貯水容量
574.2万m3/319.4万m3 (以前は498.3万m3/307.9万m3 )
ダム事業者 北陸電力(株)
着手/竣工 1951/1954
堤頂標高:185.00m
洪水時満水位標高:182.00m(サーチャージ)
常時満水位標高:180.78m
予備放流水位標高:180.00m
最低水位標高:177.00m
越流頂標高:170.50m
計画洪水量:5,800m3/s(工事時点)
洪水吐(クレストゲート):テンターゲート×9門
取水:神通川水系神通川(高原川[猪谷PS(31.6m3/s)・新猪谷PS(45m3/s)] ・宮川[蟹寺PS(宮川・43.6m3/s])
送水:庵谷発電所(1976・100m3/s)180.50m・神通川
第一発電所(1954・150m3/s)182.00m
出典:日立評論
>神通川第一発所地点は戦時中旧日本発送電によって寺津発電所として富山県下新川郡下夕村地内に堰堤を築き約500m下流に導水し落差65mを得て
出力70,000kWの計画で昭和18年12月に着工し、19年5月中止命令により準備工事に着手したばかりで中止となっていたがが、北陸電力株式会社の
創立に伴い戦時設計に検討を加え旧堰堤地点より約4l(m上流に旧設計より低い堰堤を築造し神通川が大きく蛇行するのを約1kmの圧力陸道で短絡して殆ど
同一の総落差を得て発電せんとするもので、昭和27年12月建設工事に着手し目下冬期渇水期に間に合わすべく夜を日に継いで工事を急いでいる。完成後は最
大出力80,000kWを発電する北陸電力最大の設備で目下本発電所下流に工事中の神通川第二発電所40,000kWと共に将来とも北陸電力の主力発電所
となるものである。[日立評論]
(長棟川第二発電所[→長棟
川])
北陸電力(株) 庵谷発電所[水力]
▲
昭和51(1976)年7月:運用開始
ダム水路式・調整池式
認可最大出力:50,000kW 常時出力: 0kW[0.0%] →ピーク用である
最大使用水量:100,00m3/s
有効落差:59.30m
水車:立軸フランシス水車 出力51400kW×1台
取水:神通川[神通川第一ダム]180.50m(神一より低いのは
何故??)
放水:神通川[神通川第二ダム]116.00m
北陸電力株式会社 神通川第一発電所[水力]
[日
立評論]
▲
昭和29(1954)年1月:運用開始
ダム水路式・調整池式
認可最大出力:82,000kW(運開時80,000kW)
常時出力:27,7000kW(26,500kW)[33.8%]
最大使用水量:150.00m3/s 常時水量水量50.7m3/s(運開時)
有効落差: 最大水量時…62.50m 常時水量時…64.0m(運開時)
水車:立軸フランシス水車×2台 総出力96000kW
取水:神通川[神通川第一ダム]182.00m
放水:神通川[神通川第二ダム]116.00m
神二(じんに)ダム、(神通川第二ダム)[水力]
[便覧]
▲
目的/型式 P/越流型直線重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積 40m/336.8m/107千m3
流域面積/湛水面積 2060km2 ( 全て直接流域 ) /67ha
総貯水容量/有効貯水容量
866.3万m3/314.1万m3 (以前は756.2万m3/312.6万m3 )
ダム事業者 北陸電力(株)
着手/竣工 1952/1953(1954のデータもあったようだ)
堤頂標高:119.80m
洪水時満水位標高:116.80m(サーチャージ)
常時満水位標高:115.90m
予備放流水位標高:113.80m
最低水位標高:112.50m
越流頂標高:105.30m
洪水吐(クレストゲート):テンターゲート×9門
取水:神通川水系神通川(庵谷発電所(1976・100m3/s)・神通川第一発電所(1954・150m3/s))
送水:神通川第二発電所(1954・172.0m3/s)・
大沢野用水
北陸電力株式会社 神通川第二発電所[水力]
▲
昭和29(1954)年2月 :運用開始(41000kW?)
平成25(2013)年5月27日:取水量増加により出力増加(44000kW)
ダム式・調整池式
認可最大出力:44,000kW(出力増加前41.000MW[+3.0MW]) 常時出力:11,100kW[25.2%](出力増加前データ)
最大使用水量:172.00m3/s(出力増加前160.00m3/s)
有効落差:29.80m
水車:立軸単輪単流渦巻カプラン水車×2台 総出力43000kW→2013の出力増加で定格出力以上の出力が可能に!?
流域面積:2,060km2
取水:神通川[神二ダム]116.80m
放水:神通川[神三ダム]85.80m
神三(じんさん)ダム、(神通川第三ダム)[水力]
[便覧]
目的/型式 P/越流型直線重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積 15.5m/242m/23千m3
流域面積/湛水面積 2063km2 ( 全て直接流域 ) /26ha
総貯水容量/有効貯水容量
145.5万m3/80.6万m3 (以前のデータ:142,3万m3/81.0万m3)
ダム事業者 北陸電力(株)
本体施工者 前田建設工業
着手/竣工 1953/1954
堤頂標高:88.00m
洪水時満水位標高:86.60m(サーチャージ)
常時満水位標高:86.00m
予備放流水位標高:82.90m
最低水位標高:82.50m
越流頂標高:79.00m
主ゲート(洪水吐):ローラーゲート×8門
取水:神通川第二発電所(1954・172.0m3/s)
送水:神通川第三発電所(110m3/s)・神通川第三左岸発電所(牛ヶ
首用水)・大久保用水(大久保発電所)
北陸電力株式会社 神通川第三発電所[水力]
▲
昭和30(1955)年1月:運用開始
ダム式・調整池式
認可最大出力:9,400kW 常時出力: 0kW[0.0%]
最大使用水量:110.00m3/s
有効落差:10.22m
水車:立軸カプラン水車 出力10200kW×1台
放水路:総延長307.0m
取水:神通川[神三ダム]86.00m
放水:神通川[こ
こ・G]74.90m
神通川第三は10mちょいと落差小さい,,逆調整池の神三と思いきや高稼働率(高常時出力)の左岸(59.2%)
や大久保(48%)へは逆調整して均した水を送ってそうだけど,ここは0kWと尖頭用?!
北陸電力株式会社 神通川第三左岸発電所[水力]
[建屋] ▲
昭和31(1956)年1月:運用開始
ダム水路式・調整池式
認可最大出力:7,100kW 常時出力:4,200kW[]
最大使用水量:52.31m3/s
有効落差:16.00m
水車:立軸カプラン水車 出力7550kW×1台
導水路:総延長1768.5m、主要導水路 口径5.50m、延長34.0m
放水路:幅10.00m×高13.00m、総延長1294.0m
取水:神通川[神三ダム]86.00m
放水:牛ヶ首用水(薄島発電所)67.20m
北陸電力株式会社 大久保発電所(通称:塩の発電所[塩地区にあるからとのこと→看板])[水力]
▲
所有:富山電燈株式会社[運開]
明治32(1899)年 3月 7日:竣工
明治32(1899)年 3月29日:運用開始(120kW)
明治32(1899)年 4月 1日:供給開始
大正 5(1916)年 :2号機(400kW)運用開始(520kW)
昭和 6(1931)年 6月 :1号機廃止(400kW)
平成11(1999)年 3月 :2号機廃止、入替(500kW)
水路式・流込式
認可最大出力:500kW 常時出力:290kW[48.0%]
最大使用水量:3.11m3/s (運開時:1.20m3/s)
有効落差:20.50m (運開時:18.2m)
水車(現在):横軸フランシス水車 出力530kW×1台
導水路:総延長21.8m 放水路:総延長82.0m
取水:大久保用水[神三ダム]79.15m
放水:潅漑用水(新保用水)・神通川57.24m
【現況】23.5訪問。21.7の常願寺・有峰訪問を整理する中でめらめらと再訪
問欲が高まっていたところに,息子
の中間試験明けで部活も塾もないという日が出
来てどっか行くかとの提案があって即決。先ずは早月川を徹底的に調べ上げて午后2時半頃満を持して小口川線の入口に到達した我々は呆然。5.27だったが
冬季閉鎖とのこと。小見線は6/1で惜しかったが小口川線はまだ先の7/1に開通だそうで,未だ一ヶ月も先…。前回未だ小学生で暇だった息子と7月の週末
に訪問し
て
ああ行けるけど高いし今日はあちこち見たいところ他にもあるし止めとこと思った壮大な伏線を回収した様だ。。
ということで,まあ神通川だなと計画変更して,黒川ダムの未成県道や中川原の中古屋(リサイクルショップ)に寄ったりとr67ばりの迷走後,付近に辿り付
いた。
まず現れたのが大久保発電所である。例の如く予習はしてきてな
いので,水門らしきものがちら見して農業用水迄手を出してたらキリ無いんだよなあと(嬉しそうに)愚痴をこぼしながら近づいたら発電所であった。大久保用
水に関して詳細はこちら。
大久保用水の流れ。結構たっぷりである。
23.5
記念碑 「県営かんがい(潅漑)排水事業 大久保 新保 合口用水改修記念碑」とある。
発電所への取水門(だったと思う)
上部水槽?の水門
上からの鉄管と建屋
下へ下りてみる。
なんか公民館みたいな建屋w
正面。落差はそれ程無さそう。。実際スペック上は20mあるけどもっと小さく見える。。
看板
大久保発電所から川沿いに行くと建設中の函渠が。R41の凄いバイパスが猪谷~笹津では出来てたが,ここらも建設予定であろうか?実際笹津辺りからガラガ
ラになるR41も富山近郊の市街地ではダラ混みしてて古い2車線道路の限界は見て取れた。インター辺り迄は4車線で直結して欲しい所。
その向こうにも続いている(マウスオーバー)。
渋滞する都市部ではなくガラガラの山間部から立派な道路が出来ていくのが日本の病理であるが。。
さて,次ぎはいよいよ神三の諸設備にアプローチ。下流から接近する。先程の看板で神三の発電所は左岸にあるらしい(復習無しで忘れてるのでこの時点で神通川第三が別に
ダム式で存
在しているのをすっかり忘れている)
橋の上から直ぐに左岸第三が発見出来た。
遠くには神三の堰堤もチラ見え(マウスオーバーで拡大)。
接近
こんな平べったい田圃のまんなかでどうやって落差を稼いでいるのかと思うがダムから圧力鉄管で引っ張っ
て来るのであろう。
サージタンクっぽい円筒形のものは葛原用水?のものらしい。
23.5
さらっと見てダム堤体へ向かう。
取水点があるので先ず寄った右岸。一寸迷ったけど無事利水標発見♪
取水門
上の写真真ん中と右に写ってる水路の水は止まってるように見えたがその左隣の写真だと見にくいが,ここの取水口からは取水をしていた。どんな違いがあるの
かな?
左の小さいのが大久保用
水(合口用水)で右のデカいのが神通川第三用の取水口かな?
帰りがけに寄った左岸からの眺め。堤体と正面は第三発電所。マウスオーバーでちょっと引いた写真
ゲート
湖面・なんだあれは??(マウスオーバーでアップ) 曝気装置かなんか?
左岸は第三左岸の取水口がある。
左岸の利水標
下流方面。割と水は豊富だった。
近くの笹津駅。活気は感じられ無かったが構内はかつての繁栄を偲ばせるに十分な広さが感じられた。富山地鉄や神岡鉱山からの軌道が乗り入れるなど活況を呈
していた過去があるのだ。
神通川東岸の細い県道r188を行く。こ
の辺。平場(マウスオーバーの桃線)は道路と用水(大沢野用水)だった様である。
と,程なく神二に付く
大沢野用水という用水の取水口らしい
湖面
利水標
肝心な部分が恰度隠れてるw(貯留量の記載はないようだ)
接写。172.00m3/sヨシ。
帰り道,左岸からの眺め:
看板
発電所
神三と神二は結構近かったが,神一は一寸離れている。神二を見た後,そのまま遡上して楡原も過ぎてどでか
いR41BPに乗り損ねて旧道をいってBPに乗り込むと直ぐに発電所へ行くには曲がらねばならない分岐で,それを降りて行くとやっと眼に飛び込んでくる神
通川第一発電所。
水圧鉄管に高圧電線に,赤い鉄橋に,熊野川発電所で見たの同じ様なフォ
ントで色違いの文字!
間近で見る建屋。デカい♪
サージタンク
周辺案内図が立っていた
放水口。迫力在る♪
放水口から下流方面の眺め。放流水は莫大な量だがダム湖には未だ未だ余裕があるようでなんだかのんびりとした雰囲気。
建物の裏手に回る。水圧鉄管は2本。
その先にはトンネル。進入禁止のようだった。
直ぐ奥には後から建設された庵谷発電所である。トンネルの向こうにはちらりと建屋っぽいものが見える。
脇の赤い橋を渡る。発電所の脇にある吊り橋はあるあるだが,ここは立派で一般の通行にも供されている。
寺津橋とのこと。
開放感のある谷底にあった神一とは違って後補のこちらは何やら秘境感たっぷりの立地。後から余裕の無い場所に無理矢理建設した感じはある。
サージタンクも見える。
この先にはwikiに
拠ると「老朽化の為(!)」不通となっているr188東猪谷富山線がある。地
理院も全く普通(≠不通)の道として描いている。
地図上,並行して直ぐ上を走るのが長棟川で出てくる舟倉用水である。
赤い鉄橋(寺津橋)の道がr188と合流するこ
この様子。向かいの山の上にあるのは神通第一のサージタンクかな。
寺津橋からヘアピンでこちらに向くので発電所方向をみていることになる。合流す
るこの県道r188は先程神二へ行くのに通った(大沢野用水の下にあった)道である。
直ぐに行き止まりになってて,舟倉の方へ向かう市道の方がヘアピンで道なりっぽく続いていた(こ
こ)。
その後再び42号線に復帰し,一山越えて急坂を下りてやっと神一ダムに到着する。割とはるばるという感じの距離感で
あった。
ダム脇あるあるの廃トンネル。笹間川ダムを思い出す。
堤体
神一ダム
早朝奈良出発で早月川,常願寺川,中古屋(リサイクルショップ)と一日中駆け巡って疲れてるせいか,何度も撮ってしまうw
堤体上を横から
直ぐ脇にはさっきの廃トンネルのもう片方の出口。
一体何の為のトンネルなのか?堤体の工事に邪魔だとしても竣工後廃止しなくて良い様な。。
吉野橋から堤体を望む。放流水が中央の一箇所に集まるようになっているようだ。放流はしていないようだった。
下流方向。水が貯まってはいる。
橋を渡ると看板群が。坂田金時ゆかりの地,薄波にようこそ,とある。長棟川第二発電所は薄波にある。またもr188の入口である。進入レポは長棟川の方で。
長かった一日もその長棟川で任務完了(工事もあり道も悪そうで薄波には辿り着けなかった),その後右岸の神二・神三に寄りつつ生駒への帰宅の途に就いた。
開発:
宮川[蟹寺PS(43.6m3/s]・小豆沢D(万波高原PS)→/高原川[新猪谷D(V=125.5万m3)→猪谷PS(31.6m3/s)・
新猪谷PS(45m3/s)→神一ダム(V=319.4万m3)→庵
谷発電所[100m3/s]・神
通川
第一発電所[150m3/s]→神二ダム→神通川
第二発電所→神三ダム(V=)→神通川第三発電所・神通川第三左岸発電所(→牛ヶ首用水)・大久保用水(→
大久保発電所)