電 力総研 水 力あれこれ
と はずがたりな掲示板(利 水スレ電 力スレ)
20.9.27運開

木曽川上流域の発電所

(20.10.31逍遙!/21.3.25 追加調査♪/21.5.22再追加調査w)

 水量豊富な木曽川。開発が進み,各区間の水消費量にアンバランスが発生。途中,2ルートに分かれている。
三浦ダム三浦発電所滝越発電所王滝川ダム牧尾ダム御岳発電所常 盤ダム─常盤発電所─木曽ダム─(木曽川取 水ダム[福島]─[木曽川渡河]─)合流点寝覚発電所─(小川合流)─上松発電所桃山発電所─(伊奈川発電所)─須原発電所─(伊奈川合流)─大桑 発電所─(阿寺川合流)─読書 ダム(次頁)
②…─王滝川ダム─牧尾ダム三尾発電所木曽ダム木曽発電所読書ダム(次頁)

木曽ダム・木曽発電所の完成で再開発は完了したようなんだけど,大桑発電所を筆頭に水利用上の隘路が発生しているような気がしてるんだけど。

~王滝川(詳しくはこちらに)~

三浦(みうら・みうれ)ダム(三浦湖)[wiki]     
関西電力(株) 着手年/竣工年    1935年/1942年
流域面積/湛水面積:73.48km2(直接69.48 km2・間接4.08km2)/280 ha
総貯水容量    6,221.57万m3  有効貯水容量: 6,160.0万m3
利用目的    発電
運用:毎年12月から発電を行いつつ水位を下げ始め、翌年3月半ばに水位を0メートルとし、そこから雪解けの出水を貯留していく
間接流域:白谷川・枝川[河 川DS][水 力][地 理院]

三浦発電所[wiki][場 所(1250m)][水 力]    
関西電力(株) ダム式・調整池式
出力:7,700kW (1953年出力引き上げ)
最大使用水量:17.50m3/s
取水:三浦ダム1304.10m 放水:王滝川・滝越発電所1248.60m

滝越発電所[場 所(1056.8m)] [王滝川詳細]   
関西電力(株) 運開:1951.11
最大出力:28,900kW (2002リプレース。出力増強+1,500kW) 常時出力:0kW
最大使用水量:17.50m3/s
面積:73.5km2(三浦発電所・三浦ダムと同じ。滝越では新規取水せず!取水堰もなし?)
取水:三浦発電所(1245.83m) 放水:王滝川1051.92m
導水路:総延長4,677.0m



王滝川ダム[wiki] [王滝川詳細]   
関西電力(株)
湛水面積0.1平方キロメートル・総貯水量は58万9,200立方メートル
満水位標高1,044.0メートルから1.6メートル以内の有効貯水量は20万9,400立方メートルに及ぶ(数字は2008年3月末時点)。
取水:王滝川1044.0m(19.07m3/s)  送水:王滝川発電所

利水標


牧尾ダム[wiki][水力][] [便覧(現)][便覧(元)]    
(独法)水資源機構
河川     木曾川水系王滝川
目的/型式     AWIP →AWI:愛知用水 P:三尾発電 所 /ロックフィル
堤高/堤頂長/堤体積     105m/264m/2615千m3
流域面積/湛水面積     304km2 ( 直接:73km2 間接:231km2 ) /247ha →新旧ともに同じ数字であるが,新では間接領域の表示が消えた。御岳発電所の取水領域を間接としていたか?
総貯水容量/有効貯水容量     75000千m3/68000千m3
ダム事業者:着工時/現在     愛知用水公団/ 水資源機構水路事業部
本体:着手/竣工     1957/1961
更新:着手/竣工     1981/2006


このサイトに寄ると牧尾ダ ムの目的は潅漑と上水道と工業用水で発電は無いようだ。。便覧には明記されているのでまあ抜けてるだけか。

中京圏・愛知用水(兼山ダム地点で取水)の水甕。繋がり的にはこちらの対象のダム。
後から設置された為,御岳発電所と御岳発電所の取水源の王滝川ダムの間に存在。
1957年(昭和32年)、牧尾ダム建設工事は着工され、世界銀行による資金援助も受けながら4年の歳月を費やし1961年(昭和36年)に完成した。
屡々渇水に悩まされ,第2・第3の水源として阿木川ダム(阿木川)・味噌川ダム(木曽川)が建設された。
山を挟んだ反対側,小川の水を導水出来そうである。。詳しい検討は先ずはこちらで

三尾発電所取水口:牧尾ダム湖畔


関西電力(株) 御岳発電所[wiki][水 力]
運開:1945.6,29
改修:2003.4…1号機ランナー交換,2004.5…2号機ランナー交換
最大認可主力:68,600kW  常時出力:16,560kW
最大使用水量34.34m3/s
有効落差229.00メートル(1・2号機)または229.21メートル(3号機)
流域面積:416.1km2 (末川と西野川で約138.7km2)
    王滝川系導水路(王滝川→上部水槽):総延長17234.0m
    鯎川支水路:うぐい川→王滝川系導水路):総延長4242.7m、
    西野川系導水路:末川→上部水槽):総延長12685.7m
取水:合計19箇所! ○王滝川[王滝川ダム]①(1044.0m)・下 黒沢②・○濁 川③小 谷沢④・(小俣川導水路)・千 沢⑤鈴ヶ 沢⑥溝 口川⑦大 又川⑧樽 沢⑨三 郎沢⑩・(西野川導水路)
  西野川導水路:○末 川⑪(1037.5m)・○西 野川⑫⑬?ソース]・鹿 ノ瀬川⑭湯 川⑮白 崩川⑯・○白 川⑰  小俣川導水路:○鯎 川⑱・○小 俣川⑲ ○…堰等が地理院で確認出来て存在が確実な取水口
放水:王 滝川[常盤ダム(1,2 号機786.2m)(3 号機783.0m)



取水路も2系統からなり発電機も1・2Gと3Gの2系統に分かれるが上部水槽は一つだそうで1・2Gと3Gの違いは発電機の設置標高のみの違いっぽく10m程高い王滝川沿いは一寸落差を殺している事になる?それとも5km程 長距離なのでその分勾配付いてて高くなってるだけ?

西野川の取水堰の配置はこんな感じ。


西野川の上流に貯水ダム欲しい所(→こちらで検討)。

常盤ダム[場 所] [wiki]     
堤高/ 堤頂長:24.00 m/111.89 m
流域面積    111.9 km²
湛水面積    27.0 ha
総貯水容量    1,288,000 m³ 有効貯水容量    664,000 m³
着手年/竣工年    1939年/1941年
取水:王滝川[御岳発電所(34.34m3/s)]783.0m 送水:常盤発電所(30.90m3/s)

上流の御岳発電所の流域面積と比較すると下流にあるにも拘わらず304km2も小さくなっているが,これは恰度牧尾ダ ムの流域面積であり,丸尾ダムがガッ チリ水を溜め込んでるのを差し引いているものと思われるが,逆に西野川流域の御岳発電所取水後の面 積が全部カウントされてない気がする。
その面積を計測すると61.1km2程ある。流域面積は直接流域61.1km2・間接流域416.1km2(御岳発電所)って感じはする。もっと云うと間 接流域は御岳発電所の王滝川沿いのみで西野川流域は直接流域カウントで良いな。


三尾発電所[水力]
関西電力(株) ダム水路式・混合揚水式
認可最大出力:37,000kW (2016.11の設備更新前35,500kW)
最大使用水量:30.90m3/s
有効落差:137.20m
運開:1963.5(発電のみ)・1964.5(揚水運用開始)
取水・上池:牧尾ダム 放水・下池:木曽ダム



常盤発電所[wiki][水 力]    
関西電力(株) 運開:1941年 ダム水路式・調整池式
認可最大出力:15,000kW      常時出力:4,860kW
最大使用水量:48.00m3/s
有効落差:35.55m
水車:2台 総出力15480kW
流域面積:553.7平方キロメートル
取水:王滝川[常盤ダム](783.00m) 放水:王滝川[木 曽ダム](742.50m)

20.10

~木曽川上流~[→詳細はこちら]

水力発電(水量)的には本流が王滝川方面なのでこっちは支流扱いする。

味噌川ダム[便覧
事業者:水資源機構
目的:洪水・不特定・水道・工業用水・発電
天端標高:1,130m
流域面積/湛水面積    55.1km2 ( 全て直接流域 ) /135ha
総貯水容量/有効貯水容量    6,100.0万m3/5,500.0万m3 →なかなかの貯水量である。
着手/竣工    1973/1996

とはいえ,未だ雨が降るとこんな風に流下していく。

この間幾つか中電所有の小さな発電所が連檐している。こちら参照

寝覚発電所木曽川取水ダム(と称:福島堰堤)
場 所(740.9m)][さ まよって][木 曽川名水探検隊][wiki
取水量:13.91m3/s(水利権増強時データ)
取水:木曽川(木曽福島)

木曽福島付近にある。此処では木曽川取水ダム(福島)とか気分で福島堰堤とか書きたい。須原や上松にも木曽川を堰き止めて取水している取水堰堤 があるので。。
皆さん結構レポしてる。。近づけたようだ。。利水標も発見できたかも知れない。。行けば良かった。
→21.5.22本懐を遂げたが肝腎の利水標識はなかった。。無 念
木曽福島の市街地に近づくとダムが見えてくる。
21.5
この日は前日に豪雨で水かさが増(=洪水)していて凄い迫力だった。ゲートを全面的に上げて全水量 を全力で放水していた。

4径間の内,ゲートがあるのは取水側と反対側の2門のみみたいだったけど。

一方で増水時にはゲートを全開にして取水もしてない発電所も目立つ(例えばこことか) けど此処はしっかり取水してた。

此処での取 水を逃すと利水量の関係で遥か下流の南木曽・読書ダム・発電所まで取水出来ないのでしっかり取水して欲しい所。まあ上松でも須原でも取水を しようと思えば出来るから取り逃がしてもええか。寧ろ上松以下の下流で使用水量が増えな いので支流等から流れ込んで増えた水を取水出来ないのが問題か。

利水標はなかったが堰堤の正式名称は確認出来た。○○発電所○○川取水ダムが基本っぽいな。


木曽川名水探検隊さんの記述によると
>木曽川電力という会社が設置した木曽川神戸発電所とその関連施設を、関西電力の前身の大同電力が買収し、下流に大きな発電所(寝覚発電所)を建設 するために神戸発電所を廃棄。その堰堤と取水口、水路トンネルを改造したものだとか。寝覚発電所が右岸にあるのに木曽川取水ダムから導水路が左岸に伸びて て王滝側合流点で大胆に川を跨いでるのはそういう経緯があったからなのであろう。
とのこと。
なるほど~。寝覚P/Sの歴史の箇所で詳しく見る。

神 戸という地名は王滝川の合流点付近にある。昔はその辺に発電所があったのであろう。
恰度,王滝方面への県道が分岐する元橋があった場所である。


三尾発電所放水口:木曽ダム湖畔


木曽ダム[場 所][便 覧]    
関西電力(株)
目的:発電
堤高:35.2m
流域面積/湛水面積     578.9km2 ( 全て直接流域 ) /42ha
総貯水容量/有効貯水容量(貯留量): 436.7万m3/184.4万m3
取水量:108.41m3/s( 木曽発電所60.00m3/s ・ 寝覚発電所48.41m3/s )
着手/竣工     1963/1968
取水:王滝川
送水:木 曽発電所・寝覚発電所・牧尾ダム(揚水・三尾発電所)

木曽ダム堰堤と取水口
20.10
wikiに は以下の様にあるが,二階建て構造には見えないし,最終的には直ぐ近くにある取水用調整池迄 は両発電所とも水路を共用してるようにみえるんだけど。。
>木曽発電所取水口は寝覚発電所取水口と共用でありダム右岸に位置する [3]。コンクリート容量を節約するためダム堤体に接続する2階建て構造となっており、木曽発電所水路は下部に繋がる(上部は寝覚発電所用)[杉山光郎・ 松岡元一・原田稔「木曾発電所工事とダム左岸砂れき層の処理について」『発電水力』第94号、発電水力協会、1968年5月、 50-75頁。]。

(木曽川電源開発は支流王滝川の)最上流部に三浦(みうれ)ダム という一大人造湖を誕生させるまでに至り,斯くして三浦ダムから最下流の今渡発電所まで、木曽川本川の開発は一通り終えたが、開発その時々における設計思 想の異なりは、のちに運用上の不合理を生じさせることとなった。これが顕著に表れていたのが、上松発電所・桃山発電所・須原発電所・大桑発電所の存在であ る。これらの発電所は発電に使用できる水量が比較的少なく、せっかく三浦ダムから発電力を増強させるべく補給水を放出しても、これら小規模発電所では使い 切れず…(木曽川への放水を余儀なくされて)しまう。この問題に対し、関西電力はこうした小規模発電所をバイパスする水路を新たに開削し、これを活用する 発電所の建設を検討し始めた。これと同時期に関西電力は愛知用水公団(現・水資源機構)の牧尾ダム建設事業に参画しており、これと連携して開発計画に着手 した。

開発案としては次の2案が考えられた。一つは牧尾ダムから下流の読書ダムまで一気にバイパスする案、もう一つは牧尾ダムの下流に木曽ダムを新たに建設し、 これに中継させて読書ダムへとバイパスする案である。前者は計画された水路敷設ルート上に地質不良箇所が発見されたことから、採用されたのは後者の方で あった。…1968年(昭和43年)に木曽発電所が運転を開始した。これにより、三浦ダムから今渡発電所まで一貫して大ダムを伴う調整池式水力発電所に よって接続されたことで、河川利用率は57パーセントから76パーセントへと飛躍的に向上したのであった。

と云う事で木曽ダムから水路は平行する2ルートに分かれることになる。下で数値や配置は確認するが,一つは①木曽ダム─寝覚65.8m3/s─上松 48.65m3/s─桃山37.57m3/s─須原36.17m3/s─大桑38.40m3/s─読書ダムのルートで,もう一つが②木曽ダム─木曽 60m3/s─大桑38,40m3/s─読書ダムである。①が緩行線,②が急行線と云った趣である。①の各発電所の出力が歴史的な経緯からバラバラであ り,且つ小さいのが②ルート建設のきっかけとなったと云う事である。

木曽ダムから木曽発電所ルートと寝覚ルートの最末端大桑発電所の処理能力への疑問から調査 行の必要性を感じ安房峠行きを息子に提案,息子は猿なぎ洞門行きを希望し,早起きして奈良から長野の日帰り調査行と相成った訳だが,利水標識がどこにもな く唯一の収穫が此処。しかも(勿論立入禁止の)敷地の奥深くに隠されるように掲げてあって望遠でやっと激写。長丁場だったこの日一番の収穫であった。
その後の水利趣味の中で,これ以上苦労してゲッとした水利標には,祖谷峡の高野発電所矢作川支流の飯田洞発電所等があるが,激写により判った事の大きさは未だここが一番で ある。

<水量の謎>
木曽ダムの水は木曽発電所に60.00m3/s,寝覚発電所に48.41m3/s送られる。詰 まり満々と水を湛えていた木曽ダムの取水量は 108.41m3/sであり,最大使用水量60m3/sの木曽発電所は木曽ダムから(すべて?原則?)取水しており,最大使用水量65.80m3/sの寝 覚発電所 は木曽川取水ダム(木曽福島)[と小川]から17.39m3/sの水を取水している ということになる。(勿論両者併せた水量よりも最大使用水量が低いケースも十津川第一発電所の 導水支線のようにあるが,単純和に成ってゐる発電所が多い印象である。勿論木曽ダムや牧尾ダムや三浦ダムがすっからかんになって木曽川本流だけ奔流が流れ てる状態では木曽川から取水した分を寝覚発電所ではなくより効率的な木曽発電所で使う事はありうるのかもしれないけど,この利水標に使用先迄入ってると云 う事は木曽川取水ダムでその許可を取ってるかどうかってことか。現地ではこれで全部 判ったぞと思ったけど未だ未だ調べると謎が増えてくる。以下 wikipediaを用いて調査。可成り判明した。矢張り上の写真は重要な鍵であった。

歴史 wiki (寝覚発電所)[一部とは改変]に寄ると
>(寝覚)発電所の建設地点は、大同電力が水利権を持っていた「駒ヶ根」地点を上下に分割したうちの上流側にあたる。下流側は桃山発電所として 1923年(大正12年)に開発されたが、上流の寝覚地点は電力需要の関係で長く開発されなかった。

>駒ヶ根地点から分割された時点での水利権許可では、最大使用水量は1,000立方尺毎秒(27.83立方メートル毎秒)に留まり[とは註:古い発 電所なんかで小数点が現れるのは尺貫法時代のものなんだなっw]、発電所出力は1万キロワット程度となる予定であった。大同電力ではその後の計画見直し で、
・王滝川:「王滝第一」地点の下流側1,600立方尺毎秒(44.52立方メートル毎秒)(常盤P/Sの項には「王滝第一」を分割した上流側が常盤P/Sとなったそうな)
・木曽川上流部:木曽川電力「神戸」地点500立方尺毎秒(13.91立方メートル毎秒)
・支流小川:木曽川電力「小川」地点100立方尺毎秒(2.78立方メートル毎秒)
の3地点を寝覚地点に組み入れて、落差を増加させるという計画を立て,合計2,200立方尺毎秒(61.22立方メートル毎秒)を取水するという許可を得 た。

>こうした計画変更を経て大同電力は1936年(昭和11年)9月に寝覚発電所建設に着手 する。工事に伴い木曽川電力の既設神戸・小川両発電所を買 収の上廃棄し、前述の通り神戸発電所については取水堰・導水路などの一部設備を改修し活用している。
1939年(昭和14年)4月1日、電力国家管理の担い手として国策電力会社日本発送電が設立され、大同電力は強制買収を前年12月に政府より通知され る。買収対象には寝覚発電所など14か所の水力発電所が含まれており、これらは日本発送電設立の同日に同社へと継承された。なお継承直前の1939年3 月、使用水量を引き上げ
木曽川:取水625立方尺毎秒(17.39立 方メートル毎秒[+125立尺/秒])[とは註:上で出てくる数字と等しい!]
小川:取水140立方尺毎秒(3.90立方メートル毎秒)
とし,合計2,365立方尺毎秒(65.80立 方メートル毎秒[+765立尺/秒])とする許可を得て、同時に発電所出力を当初の3万2,600から3万5,000キロワットに増強している[合計使用 水量65.80m3/s及び出力35.00MWは現在の取水量に等しい!]。

要するに,1938.9の運開後,1939年3 月の時点で王滝川44.52m3/s+木曽川17.39m3/s+小川3.90m3/s=65.81(単純計算)≒65.80m3/s(許可量)の許可を 取っていたけど木 曽ダム運開時点で小さな小川の水流が確保できない場合はダムがあって余裕がある王滝から小川分も取れるようにした44.52+3.90=44.82 (単純計算)≒44.81m3/s(許可量)のであろう。発電所の能力を上げた訳では無いから水量は据え置いてこんな感じになったかと推定出来そう。誤差 が0.01出るけど尺貫法とメートル法の四捨五入の差なんか?

牧尾ダムの貯水量低下はたまにあるそうでその時に木曽川上流にゲリラ豪雨等があって水が余裕といったような時の為に必要な許可なのかもしれないが,それす るならそもそも,木曽川取水ダム(木曽福島)から木曽発電所or木曽ダムに導水出来る様にしといた方が良いんじゃね?

~中沢川~
直ぐ脇を中沢川が流れているがそこから導水出来そう。面積は小さいけど。。

(木曽川・王滝川合流点)
この辺で木曽川取水ダムからの水が木曽川を渡ってやってくる。

国 土地理院の地図では水路と平行して小橋がある様に描かれているが,実態は一体の橋だった。出入口には2.5m巾制限の標識があり,離合不可,幅員 狭小!
隣りに見えるのが木曽ダムの勇姿。橋の向こう側のコンクリートの塔はサージタンクとやらで,水量を安定させる設備のようだ。

川の手前にも同じ奴があった。サージタンクであろう。


(仮称)寝覚発電所取水口(分水工)[場 所(738.5m)]    
まあ小さな水路だけどこれと木曽ダムの取水口を併せて,木曽ダム108.41m3/sと木 曽福島にある木曽川取水ダム(17.39m3/s)からの水が合流して木曽発電所寝覚発電所に振り分けられる重要なジャンクションの 機能を果たしているようであ る。平面交叉ではなく上下立体式になっていて,そしてどうも木曽川(木曽川取水ダム)から 木曽ダムへは水は送れない構造の様である。一応木曽ダムから木曽発電所への総水量と木曽発電所の最大使用水量が一致している(推論はこちら)ことも木曽川源流方向からの木曽発電所での利水をしていないことを示唆する(が追 加的に取水量が設定されているケースもある(極端なのが大井川発電所の横沢第二ダ ム,ちょろ沢の癖に絶対取水無理な大井川発電所最大使用量が設定されとる!穏健なケースだと読書4Gも使用量=ダム取水量=75m3/sだけど柿 其から1.11m3/s取水してる。)から確定ではない)。

この下には木曽発電所で直送する水路が存在している様である。で(木曽川へは木曽川取水ダム[福島]からの合流は不要(許可を取ってないから不可?)こん な水 のジャンクションの施設が要らないから地下に送水管だけ埋めたと云 うことか。地下にもあるけど見えないだけかもしれぬ。)
寝覚ルートより木曽ルートの方が高効率なんだから木曽川取水ダム(福島)から送水出来る様にしても良さそうなんだけど。。重要度の割に結構小さめの貯水量の木曽ダムであるが, 拡張に関してこちらで検討した[→寝覚・新木曽]

~小川(上松)~
r473上松御岳線のBP(新道)と思しき快適な2車線道路を上がって行くと恰度BPが立ち退きに失 敗して力尽きたかと思える様なカーブを描く辺りにバーンと圧力鉄管が現れる。
木曽ダムから木曽発電所への75m3/sを送る頼もしいヤツである。小川(上松)との比高はご覧の通りぐらいある。
21.5
太い♪


その後直ぐに小川ダムが現れる。途中の県道脇にはこんな感じの滝?湧き水?水は豊富そうな印象。


(仮称)小川取水ダム[水 力][場 所(739.5m)]   
取水量:3.90m3/s
面積:77km2(とは総研調べ)
取水位:739.5m
取水:小川(上松)…大桑村の殿にも取水に使われる小川があるので。。
送水:寝覚発電所・木曽発電所

堰堤は灰沢への橋の上から良く眺められる。須原や上松と同じく越流型である。

導水路などの施設へはヘリポートの向こう側にあって施設には近づきがたい。

取水門のアップ。大雨後なのに門は閉じていて取水されてないようにも見えた。大雨後は取水しない事も多い(例えば阿智川等で経験)けど,今日は出水はしてるけどここ小川はそれ程の増水って感じでもなさそ うなのになぁ。。
やはり此処は貯水池に導水して行った方がいいな。こちらで検討。


現在寝覚で取水している流域面積:77lm2もあるのに3.90m3/sしかない。

しかもこの量を王 滝川(木曽ダム)から補填するかのような使用水量増を行っている。もしくは木曽発電所への支水路も建設されたそう[wiki (木曽ダム)]だからそっちへの導水がメインの運用をされているのかも。木曽発電所へのサージタンクもあるそうだけどこ れかな。
柿其同様,勿論,効率良い方へ流す方がセオリーなのかも知れ ないけどこちらは寝覚も重要な発電所なのか水量配分の関係か寝覚への水路も廃止されていない様だ。(柿其は旧ユニットである読書1~3Gへの導水は廃止さ れてる様に見受けられた。)

875m地点での小川の流域面積。6.0m3/s程度は行けそう。
此処から寝覚発電所や木曽ダムに向けて発電しても良いけど渇 水に 悩むことも ある牧尾ダムに送って,三尾発電所木曽発電所の増強に使った 方が良さそう。
出力容量は増えないけど発電量全体は増やせそうである。
小川取水分の水量3.90m3/sは既に木曽発電所で取れるように措置されているしその分木曽ダムから寝覚へのピーク発電量の送水で措置できるようされて いる(ここらの推論参 照)ので話しは楽である。



寝覚発電所[水 力][wiki]     
関西電力(株)
場所:長 野県木曽郡上松町小川
運開:1938.9(大同電力)
ダム水路式・流込式(→木曽ダムから取水しててしかも常時出力0kWなのに流込なんか。。)
認可最大出力:35,000kW  常時出力:0kW
最大使用水量:65.80m3/s
有効落差:64.29m [▲4.59m]
水車:2台 総出力42,000kW
発電機:容量20,000kVA×2台。周波数は50・60Hzの双方に対応→東電へ供給も可能!?
流域面積:985.0平方キロメートル
取水:
 ・木 曽川(740.9m・17.39m3/s):総延長2280.6m
 ・王滝川[木曽ダム](739.5m・48.41m3/s) :導水路総延長4535.8m
 ・小 川(739.5m・3.90m3/s):導水路総延長1811.3m
放水:上松発電所、木曽川(670.62m)

導水距離が長い木曽川がやや取水位が高くなっている。ジャンクションの手前にはサイフォンまである総延長2.3kmの導水で損失高低差は1m程度で済むの は朗報ではないか。木曽ダムから発電所迄の4.5km2でも逸失高低差は4.6m程度である。
木曽ダム・発電所完成後はやや過大な設備を 持て余しているようにも見える寝覚発電所である。その辺の規模最適化をこの辺で検討した[→寝覚・新木曽(▲2.8MW)

r473の旧道と思しき道を行くとそれっぽい建物

と水圧鉄管が現れる。

下を覗くと発電所である。


取水量の検討は此処参照。ほぼ解明出来たと思っている。

施設に関しては水車の出力が44MWあって発電機の容量が40MWもある。
今,65.80m3/sで35MWなので水量を78.96m3/sに迄増強して発電機もあと4MW増強すると最大出力42MWの発電所が出来上がりそうで ある。。
とは言え,寝覚の使用水量は多過ぎて下流で捨てざる得ないので安易に増強出来ない。。

寝覚の床
景勝地である。まあ発電趣味拗らせた後に見ると水量少ないな,としか思えない。上流の寝覚P/Sの最大使用水量64.29mとそこから直送される下流の上 松P/Sの48.65m3/sの差は戦後の窮乏の中ながらの河川維持流量的な配慮なのかもしれない。木曽ダム・木曽発電所の運開で寝覚P/Sが 64.29m使うことは減ったのでは無いかと思ってるんだけど。
20.10
国道19号からも見えそうだったが,中央西線の特急しなのから眺めも良さそうである。見学中にも特急「しなの」が颯爽と駆け抜けて行った。

関西電力(株) 上松発電所[水 力]     
場所:長 野県木曽郡上松町荻原
運開:1947.2(日本発送電(株))
水路式・流込式
認可最大出力:8,000kw  常時出力:0kW
最大使用水量:48.65m3/s
有効落差:21.10m
水車:出力9325kW×1台
流域面積:985.0km2
取水:寝覚発電所(670.70m)
放水:桃山発電所、木曽川(647.57m)

上松の小川合流点から木曽川右岸を延々と良い道が建設されたがその県道から一寸下りたとこにある。
21.5
手前は桃山発電所の取水施設。建屋が上松発電所なのは看板から判ると思う。建屋左後ろの円筒はサージタンクか。

発電所あるあるの吊り橋♪


>水車・発電機は大峰発電所(京都府)にあった2組のうち片方を転用したもので、水車はフォイト製、発電機はシーメンス製である。[wiki (寝覚)]
転用出来るんやな♪色々設備を無視して増強とか妄言垂れ流してゐる俺だけど中古で流用出来るならやり易いぞw

また
>寝覚発電所と下流桃山発電所の間の木曽川には、景勝地「寝覚の床」がある。桃山発電所の建設時、計画では寝覚の床の上流側で取水する予定であった が、景勝地保存のため付近での水の利用を取り止め、その取水口を下流側に設置していた。
>寝覚・桃山間が大同電力時代には開発されなかったため、ここには約23メートルの未利用落差が残った。太平洋戦争開戦後、電力拡充のためこの区間 にも開発の手が及び、1943年(昭和18年)8月、逓信大臣より日本発送電に対し上松発電所建設命令が発せられた。着工は同年10月で、1944年(昭 和19年)12月末までの竣工を目指し工事が進められたが、戦時下にあって資材・労力の不足が続いた。労力については近隣町村からの勤労報国隊や学徒勤労 隊の動員によってかろうじて補給したが、資材不足で工事は進まず、1945年(昭和20年)3月にはついにセメントの入荷が皆無となってしまった。[wiki (寝覚)]

同じくこんな状況の中で1945.6に運開した御岳は混 凝土の巻立を省略したりした様だ。

>終戦により工事は一旦停止されるが、戦後の電力不足によって翌1946年(昭和21年)3月商工大臣より工事続行命令が発せられ、冬の渇水に間に 合わせるため12月末までの竣工を目標に工事が再開された。竣工を急ぐため導水路トンネル工事では大部分でコンクリート巻き立てを省略したが、12月に洪 水で水路が一部崩壊する事故が発生、復旧のため運転開始は1947年(昭和22年)2月13日となった。その後4月より9月末まで河川敷内の開渠区間を暗 渠に改修する工事を実施し、1949年(昭和24年)2月からはトンネル無巻部分の巻き立て工事を施工、8月10日に竣工させた。後者の工事に伴い、発電 所出力は運転開始時の6,500キロワットから8,000キロワットに増強されている。[wiki (寝覚)]

戦中戦後の混乱ぶりが手に取るように判るが,上のように上松は戦時中に着工され日本発送電時代乍ら戦後の1947年に運開している。6.5MWから 8.0MWへの増強はトンネルの混凝土(コンクリート)巻立て完成によるそうなので恐らく水で削られての崩落を恐れることなく目一杯水を流せるようになっ たと云うのであろう。

結局,現在では寝覚発電所の使用水量は64.29m3/sとなっており,上松の使用量は寝覚の最大放流量よりも15.61m3/sも少ない。この分は上で見た様に1968年運開の木曽ダムから木曽発電所へ直送さ れる水量もあるので今では寝覚発電所がフル活用されてない可能性も高いが,寝覚ノ床を含む木曽川に流すしかない筈であ る(特に上松に貯留量をもった調整池はなさそう)が,勿論寝覚ノ床の景勝保存の為にはそれも見識の一つである。寝覚ノ床も景勝地とは聞いてはいたものの, 水力発電趣味を昂じた目で見てみると水流がしょぼいのがよく判るのである。

水を余らせているなら勿体ないのでこの15.61m3/sを下流で使うと発電量 が増やせるだろうけど寝覚ノ床を考えると此処はそのままで已む無しなのだらう。そもそも木曽ダムと木曽発電所が出来た現在,一回使い捨ての水を年にどれほ ど使っているのか不明である。[→この辺で検討してみた。]

(仮称)上松堰堤(or小 野堰堤)or桃山発電所木曽川取水ダム[wiki
堤高:7.27m / 堤長:85.46m
流域面積:
送水先:桃山発電所 取水量:37.57m3/s
場所:上松というか場所としては寝覚の方が上松に相応しくて,この辺は小野と云う感じ。木曽川取水ダム(小野)とか上松堰堤と書く事とする。寝覚発電所の木曽川取水ダムを木曽川取水ダム(木曽福島)とか木曽福島堰堤とした様に,である。
ゲート:自由越流+土砂吐

此処は寄らなかった。。(→21.5本懐を遂ぐ♪)
21.5
まあこの取水量37.57m3/sと云うのは桃山発電所の利水量であり上松から一体で取水してるのも解っていたので目新しい発見はなにもない。

寝覚の使用水量(65.80m3/s)>上松の使用水量(48.65m3/s)>桃山の使用水量(37.57m3/s)であるから此処で取水はしてない筈 だが,地 図上では堰がある。
どの様な許認可に成ってゐるか水利標を見てない(此処にも掲示して無いのかも→上の如く利水標を実際に見ても特に上松の放水の取扱はなんとも書いてなし) から不明であるが,例えば上松P/Sが改修や検査で停止中は木曽川から取水 するのかも知れぬ。

実際の堰の様子はこんな感じ。水量が増えれば直ぐに越流する感じで須原と似ているが,ガチで取水してやろ うという感じではない。
この日は前日の豪雨で豪壮だったがお陰で堰はただの斜面を下る水の壁みたいになってる。横の部分で取水する様 だ。

また水だがこんな感じに見えた。結構大量の水を余らせて吐水してる感じであった。なんならどんだけ桃山発電所に送水してるか解らないぐらいであった。また 晴れてる時に来てみたい。


桃山発電所[水 力][wiki (桃山発電所)][DB]    
関西電力(株)
運開:1923.11 (大同電力(株))
改修:1994[+1MW出力増強]
水路式・流込式
認可最大出力:25,600kW     常時出力:0kW
最大使用水量:37.57m3/s
有効落差:79.55m
水車:2台 総出力26600kW
    流域面積:1059.6平方キロメートル
    取水:木曽川[上松堰堤]・上松発電所(直結) 2箇所(647.42m)
    放水:須原発電所(36.17m3/s・直結)・木曽川?[未確認 だが使用水量の関係(この下の須原で水量が1.4m3/s程減る)で余水吐ぐらい有るのでは無いか?](561.98m)

で確認したように本発電所の運開は大同電力時代の1923年で使用水量は最大37.57m3/s(1907年当初 「駒ヶ根」水利権獲得時点で500尺毎秒・その後分割など経て「桃山」800尺毎秒=22.26m3/s)で,古い分,上流に あって取水元の戦時中に着工し,戦後の混乱期,日本発送 電時代の1947年運開で景勝地ながら発電増強が優先された上松発電所(48.65m3/s)よりも使 用水量が11.08m3/sも 少ない。更にその上流の上松より先に,桃山よりも後に出来た寝覚発電所(65.80m3/s) よりも28.23m3/sも少ない。
从(したが)って,上松発電所や寝覚発電所で(ピーク時に)発電に使用した水の一部はそのまま木曽川に放流している様である。この分を桃山発電所で使用で きる様にすれば 増強出来る筈である。ただピークは一瞬であり,引き合わないという判断は当然あり。

またこの発電所で使用された水はそのまま須原で使用されるが,これはwiki (桃山発電所)に拠ると
>1932年(昭和7年)7月に洪水被害のため下流須原発電所の取水堰が崩壊した際、取水堰を廃止して須原発電所取水口を桃山発電所放水口に直結す るという形で復旧工事が実施された
からだそうな。またwiki (須原発電所)に拠ると
>その復旧に際して取水堰を廃止し、約750メートル上流の桃山発電所放水口まで水路を延長するという形で工事が実施された。
>改修と同時に使用水量を1,300立方尺毎秒(36.17立方メートル毎秒)に増量することとなり、1933年(昭和8年)8月にその許可を得 た。水量増加と同時に発電所出力も1万キロワットへ引き上げられている。
既に両発電所は一体である。須原の取水堰がどの辺かは不明だが,こ の辺の開渠は怪しい(桃山方に700m延ばしたという記述とも整合的)。

またwiki (桃山発電所)には
>(1934年に)設備に余力があるため使用水量を1,350立方尺毎秒 (37.57立方メートル毎秒)へと増量とする許可を得た。翌年5月、発 電 所出力が2万4,600キロワットへと引き上げられている。
ともある。 1932に須原の取水堰に洪水被害が出て復旧に一体型となるように災害復興して水量も須原の使用量を上げることので一致させ申請が1933に認められたの もつかの間,1934には桃山の設備に併せて水量を引き上げたので微妙にまたズレてしまったということらしい。

またこれらの表現は,使用水量は木曽川の桃山地点での可能な最大使用水量で決められたと云うよりも,設備に応じて(水はもっとあった)と云う事のようだ。

>1994年(平成6年)6月に更新工事が竣工、使用水量は従前と同一ながら発電所出力が1,000キロワット増強された[19]。改修後の水車は 三菱重工業製、発電機は三菱電機製で、双方とも60ヘルツ専用である[3]。
現在,異常に高効率の発電効率の桃山と須原であるが,1934年の24.6MWから 1994年に設備更新に伴い更に引き上げられて25.6MWになっている。
現在の技術を使えば木曽PSやその他ももっと高効率になるのかも知れない。発電効率を0.85でやってきたけどそろそろ0.87程度で行くべきか!? 1994年からも30年近く経ってるしな。90%位になってても可怪しくは無い筈である。重電メーカーも原発のタービンなんか期待してんじぇねーぞ。

関西電力(株) 伊 奈川発電所[→伊奈川
運開:1977.11.4
ダム水路式・調整池式
認可最大出力:40,700kW  常時出力: 3,100kW[7.6%]
最大使用水量:11.00m3/s[1.43]
有効落差:438.0m
水車:出力42000kW×1台
導水路(越百川→伊奈川ダム):総延長3366.3m
導水路(伊奈川ダム→発電所):総延長2688.7m、
流域面積:76.6km2
取水:越百(こすも)川・伊奈川[伊奈川ダム]995.00m
放水:木曽川539.50m→地 図からも空 撮写真からも放水場所が判らない。。

尖頭発電所である。尖頭利用水は発電所捨てられてしまうことがままある(貯水して置くにもダム建設の保管コストが掛かるし,全部発電所で使おうと容量整備 すると資本コストが掛かる)。
ここも発電後は大桑堰堤



須原発電所[水 力 ][wiki] [DB]     
関西電力(株)
所在地:長 野県木曽郡大桑村殿
運開:1922.5(木曽電気製鉄・後に大同電力)
水路式・流込式
認可最大出力:10,800kW[近年+0.8MW増強]   常時出力:0kW
最大使用水量:36.17m3/s(1,300立方尺毎秒)
有効落差:34.90m
水車:2台 総出力11120kW
流域面積:1059.6平方キロメートル
取水:桃山発電所(直結)(561.93m)
放水:大桑発電所、木曽川(524.50m)

元々水利権「駒ヶ根」が「駒ヶ根」と「大桑」に分けられたうち,大桑はそのまま大桑として実現したものの,「駒ヶ根」は更に二転三転して,結局「寝覚」 「桃山」「須原」に分割され発電所として実現している。更に桃山と須原が一体運用されている。

>1996年(平成8年)1月に更新工事が竣工、使用水量は従前と同一ながら発電所出力が800キロワット増強された[18]。更新後の水車は日立 製作所製[6]。
ここも桃山同様リフレッシュ工事によって800kW増強している。

発電所建屋と水圧鉄管。有効落差は35m弱なので裏山低いところから一寸落としただけって感じである。
20.10
勿論,上松から桃山を廃止して直送したい場合は裏山のもっと高い所(650m弱)迄鉄管を延ばせば良いので不可能では無いが,,

須原発電所の放水口
1+2の3箇所ある様に見えるが,発電機は2台なので1+1なのであろう。
建物向かって左側


同じく右側


(仮称)木曽川取水ダムor須原堰 堤       
取水:木曽川[伊奈川発電所・須原発電所・橋場発電所]
送水先:大桑発電所
場所:(須原)

取水堰と須原発電所の変電所設備と発電所建屋
10月末日で最早冬枯れの雰囲気で水も少なかった。5月の増水時の水,こ れこれを冬迄取っておきたいものである。。三浦ダム(V=6,000万m3)や秋神・朝日ダムは 尊い。中流にももう一つ6,000万トンぐらい作れないものやろか。。
20.10

[B]須原発電所は桃山発電所の放流水で発電しているのであるが,桃山発電所で放水時に木曽川で取水している気配は殆 ど無い。寧ろ最大使用水量は1m3/s程少ないので余水を木曽川に流している筈である。
と云う事で此処での専用取水可能面積は以下の通りとなる:47.5km2[B,C]。3.8m3/s程度期待出来るかな。。    


(伊奈川合流)

須原・伊奈川付近の問題は木曽川の発電所との連携がまるで取れていない点である。模式図を書いてみた。問題点は二 つ。
①須原の水はそのまま大桑に取られて,小野堰堤(仮称・上松PS放水且つ桃山PS取水地点)以下の流域41.8km2の水と伊奈川PSの放流水 11.0m3/sが伊奈川PS地点で全く使用されていない。
②また須原の伊奈川の木曽川合流地点で伊奈川流域65.8km2分の水が惜しくも全く利用されずに読書迄流れている様に見える。

②は調べて見ると
>(大桑発電所の)取水堰は1か所あり、その高さ(堤高)は7.12メートル、長さ(頂長)は138.47メートル。…上流須原発電所の放水(放水 路に直結)と支流伊那川 橋場発電所の放水(取水堰上流へ放流)を集める。[大同電力(株)沿革史][wikiwand
だそうである。
確認出来ていないが水は送れるようになっているようだ。とはいえ大桑PSの使用水量は須原に毛の生えた程度なので両発電所ががんがん発電する尖頭期には溢 流させてることも多そうではあるが,,

伊奈川の放流水の活用方法は伊奈川の項で議論しておいた。まあ15m位しゃーないよねって話には なったが。。

木 曽発電所である。此処迄 上流から流れる順に見て来たが,ここは木曽ダムから直送されて,更に此処で発電した後に読書ダムに直送されるのであるけど,水力さんや地理院に騙されて (水力さんは大桑発電所に放水とあって確かに近いけど大桑発電所で発電には使えない位置で寧ろ読書ダムの最上流とでも云うべき位置であり,地理院の地図に は発電所から放水地点迄の地下水路の記号がなかった。。),此 処で放水すると勘違いしていたw

関西電力(株) 木曽発電所[場 所][wiki][水力]      
長野県木曽郡大桑村
運開:1968.1.27
ダム水路式・調整池式
認可最大出力:116,000kW  常時出力:41,100kW
最大使用水量:60.0m3/s
最大有効落差:231m  有効落差:225.90m
水車:出力126000kW×1台
導水路:総延長14881.0m、主要導水路 圧力トンネル 口径4.80m、延長14610.2m(現地では以下の看板があったが微妙に違っていて,恐らく見学者用に簡便に書いており,水力. comさんの記述の方が正しいのであろう。)
水路橋:264m
流域面積:907.4平方キロメートル
取水:王滝川[木曽ダム]・木曽川→調整池739.50m
放水:木曽川[大桑発電所傍・読書ダム]482.80m[地 理院][グー グル

先ず近づくと冷却水を貯めとく水槽がでーんとあった。背景の築堤は須原発電所から大桑発電所への導水路である。

地上部はあっさりしたもので水圧鉄管もないし,変電施設が目立つ程度。エース級の発電所と思って居たのに随分小さい。。
判りにくいけど↓(矢印)で示したなんか勾配の付いた屋根が特徴的である。

水も特に此処では放水している様子はない。。現地に来た時は木曽発電所の水は大桑でも使うのに水量が段違いで何処かで大量に水を放水してると思いこんでい たのだw

そこらの排水口も特に水は流れていない。


仕組みの図解がある。可成り色が醒めているけどこれが解明に決定的に役立った。是非塗り直して欲し い。。


また地上施設は非常にあっさりしたものだったが,全部は地下にあるようだ。と云う事は送電施設は兎も角,地 上部に見えてる水路関係はほぼ全部大桑P/S関連の施設と云う事か!!
(さっきの冷却水を貯めとく水槽だけは木曽発電所用のようだけど。。)

で,さっきの矢印(↓)はこの搬入路(長さ300m)でこれがその入口なのかっ!やる気のない傾いた写真で失敬。。orz
そんな大事な写真になるとは思わず適当に撮り流したものであった。。


放水先を大桑発電所と書いている[水力] さんにも地下の水路を書いてない[地 理院]にも完全に騙されてしまったが,木曽発電所の放水先は大桑発電所付近の読書ダム湖であり,ちゃんと水力.comさんが放水レベルが大桑 P/Sより木曽P/Sの方を1m高く書いてある様に一寸上流にあって[グー グル]で水飛沫を上げてる放水口が木曽ダムのそれであるようだ。

と云う事で木曽発電所で60m3/sを放水してるのにそれを受ける大桑の水量が38.4m3/sしかないやんけ,という欠点の最大部分が私の勘違いと云う 事で解消したw


小川(殿)取水口[場 所(524m)
利水標識が此処でも見当たらず取水量は不明である。。

[D]小川(殿)の水量であるが,流域面積は18km2程あるようである。


大桑発電所[水 力][DB]      
関西電力(株)
場所:長野県木曽郡大桑村野尻
運開:1921.3(木曽電気製鉄・後に大同電力)
水路式・流込式
認可最大出力:12,600kW   常時出力:1,580kW
最大使用水量:38.40m3/s[0.31] (木曽発電所の60m3/sを考慮すると0.79)
有効落差:39.09m
水車:3台 総出力13050kW
    流域面積:1242.0km2
    取水:須原発電所(直結)木曽川、伊那川(伊奈川),小川(殿小 川) 3箇所 (524.34m)
    放水:木曽川[読書ダム](481.51m)

DBに拠ると,なんと,直下で合流して僅差で取水出来てないと思ってた伊奈川が取水に入っている!?
更にDBには取水形式:取水堰・須原直結及び取水河川:木曽川・伊那川・殿小川とあり,取水箇所は3箇所となっていた。桃山の記述だと上松の放水口と木曽川を各一箇所,計2箇所と数えてる風だったがここはそうすると4箇所になっ てしまう。
あんま整合性無いこと多い気がしてるDBだからなあ。。新熊見発電所の生田川と並んで取水 してる気配がない気がする。。

上部水槽


発電機建屋と水圧鉄管(この角度からだと2本にしか見えないけど発電機に対応して3本ある)
また川の水量も先程の木曽発電所の白っぽい河原より碧緑で水が貯まっているのが判る。勿論,読書ダムの貯水範囲なのであろうけど,木曽発電所の放流水も一 役買っているに違いない。

行ったのは電力需要はそれなりに緩いと思われる10月末の晴れた土曜日であったが恐らく満水と思われる豊潤な水量で上部水槽も水路も満たされていた。フル 稼働している様子である。


大桑発電所には横から水を追加できそうである。2.5km程度の引水で長通川と阿寺川から導水出来る。面積は50km2もある。4.0m3/s程度は期待 出来るかも。1,300kW程は増強出来そう。
但し,上流780m付近から取水して柿其川と一緒にして読書ダム付近で発電する構想(妄想)もある。とすると 2.55m3/s程取られて残りは1.45m3/s程度である。これではまあ資本効率悪いだろうな。。没で。


一方で,最小限度の投資となると桃山から須原まで迂回する中規模発電所の建設となろう。
その時は大桑の容量が不足する。上の水路巾を倍増させて90m3/s程度の水量で発電となるであろう。

~阿寺(あてら)川~
木曽川との合流点の様子。清流っぽい。こちらで
それにしても柿其・阿寺・蘭川・賎母とこの辺の地名聞いただけでテンションあがる響き感半端ない。



読書(よみかき)ダム
総貯水容量:435.8万m3 有効貯水容量:267.7万m3


120m3/s程度で6時間分貯水可能。120m3/sで流入しても118.9m/sで発電してれば運用上問題無さそうな規模か。
こんな感じのダムが上松辺りにも欲しいんだけど。。

以下(中流域)はこちらで


<木曽川上流部発電力増強策検討>
と云う事で以上の現況を受けての[増 強案]であるがこちらに移動した。

年間降水量等はこちらに 移転