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20.10.8運開

東ノ川の水力発電と尾鷲第一・第二発電所(21.9)(24.11)

東ノ川(源流)─源流部開発───[北山川:源流───池原ダム(→池原発電所)](東ノ川[坂本ダム]古川取水口)─ (域外導水)→●尾鷲第一発電所
又口川:(源流)───[銚子川:────取水堰→]●尾鷲第一発電所・クチスボダム──尾鷲第二発電所[中川→(河口・尾鷲湾)]

 【新宮川水系開 発】      
  • >戦後…経済安定本部は中断していた河川総合開発事業の 再開を図り、1947年 (昭和22年)に24河川を対象とした調査が行われた。この際熊野川は建設省と農林省が共同で調査を開始した。農林省について は熊野川本流上流部を紀の川と連絡水路でつなぎ熊野川の水を紀の川へ分流させる計画を立て(→猿谷ダム)、建設省はアメリカのTVA(テネシー川流 域開発公社)方式である多数の多目的ダムを熊野川本流および北山川に建設し、治水と灌漑、水力発電を行おうとした。[wiki]
    >この「熊野川総合開発計画」は熊野川本流に三箇所、北山川流域に五箇所の多目的ダムを建設する壮大なものであった。この内北山川には上流より前鬼口ダム、北 山ダム、大沼ダム、小松ダムの四ダムが計画され、北山川支流の東ノ川に大瀬ダムが 計画された。この中で最上流部に計画されていた前鬼口ダム(ぜんきぐちダム)が池原ダムの原点である。規模は高さ95.0メートル、総貯水容量2,950 万トン(とは註:ちいせえw)の重力式コンクリートダムであった。調査は1949年(昭和24年)に 本格化したが、予測された総事業費約450億円(当時)に対して完成後の治 水、かんがい効果がわずかであることが判明。費用対効果のバランスが著しく欠けることで「熊野川総合開発計画」は1953年(昭和28年)をもって 中止され、上記のダム計画も全て中止された。… こうして建設省による「熊野川総合開発計画」は頓挫した[wiki]
    >1950年(昭 和25年)に熊野川水系は国土総合開発法に基づき吉野熊野特定地域総合開発計画の対 象区域となり…1952年(昭和27年)には電 源開発促進法の成立により公営企業である電源開発が誕生したが、電源開発は建設省が(1953年に熊野川綜合開発)計画を中止した後も水力発電単独で調査 を進めた。 [wiki]
    >戦後の電力不足を重く見た日本政府は、1952年(昭和27年)第3回電源開発調整審議会(電調 審)で熊野川の開発を電源開発にあたらせることとした。先にアメリカ合衆国海外技術調査団 (OCI) が実施した調査を踏まえ、予備調査を実施し[た][wiki]
    >調査終了後1954 年(昭和29年)7月に第15回電源開発調査審議会が開かれ、席上10地点の水力発電所からなる「熊野川開発全体計画」が策定さ れた(とは註:1956年に概要が発表されたという中身と思われる)。この計画では建設省が中止したダム計画八箇所のうち六箇所を引き継ぎ熊野川本流筋に 風屋ダムと二津野ダム、北山川筋に池原(旧・前鬼口)、七色 (旧・北山)、奥瀞(旧・大沼)、大瀬(とは註:その後の阪本と思われる)の四ダムを建設。さらに大瀬ダムから流域変更を行って三重県尾鷲市を流れる銚子 川の支流・又口川を経て熊野灘へ導 水、この間に二箇所の発電所を建設。熊野川本流に建設省が施工を進めていた猿谷ダムでは紀の川分水を利用して二箇所の発電所を建設するという壮大な計画で あった(とは註:この計画が現在全て実現していてこの地域の骨格をなしている)。 [wiki]
    >候補10地点のうち十津川第一・第二発電所を含む4発電所(他は尾鷲第一・第二発電所)が着工準備地点に指定された。[wiki]
    >この内熊野川本流筋の風屋・二津野ダム、及び紀の川分水に絡む西吉野第一・第二発電所、そして尾鷲分水に絡む東ノ川の大瀬ダム[7]がまず着手さ れ、続いて北山川筋の池原・七色・奥瀞三ダムからなる水力発電所群が着手されたのである。池原ダムはこれら「熊野川開発全体計画」における最大、中核の施 設として計画された。(そ の中で大瀬ダムも規模を池原に譲って縮小され坂本ダムとして着工されたものと思われる。) [wiki]

    >電源開発としては初めての100mを超えるアーチダムである。下流のクチスボダムで発電に利用された水は中川経由で太平洋に流れるため日本で唯一 2回の流域変更が行われる。 [wiki]
    >1956年(昭和31年)10月、吉野熊野総合開発計画の概要が発表される
    >1959年(昭和34年)7月、(坂本)ダムの工事着工開始

  • 銚子川水系図       
    こちらには現役の発電所もある。(マウスオーバーすると表示。デカい画像なので表示しっぱなしになるかもです。)
    出典:川名図


    和 歌山県の資料に拠ると東ノ川流域の年間降水量は概ね3000mmに達しておりなかなかである。


     


    〜北山川〜

    池原(いけはら)ダム[水力] [便覧]    
    河川     新宮川水系北山川
    目的/型式     P(池原発電所342.0m3/s) /アーチ
    堤高:111m、堤頂長:459m(現地案内板)460m(ダム便覧)
    容量 総貯水容量:3億3,837.3万m3 /  有効貯水容量:2億2,008.3万m3
    標高 堤頂標高:321.000m / 満水位標高:318.000m / 低水位標高:283.000m
    面積   流域面積:300km2[直接:277km2/間接: 23km2]     湛水面積: 8.43km2
    事業者: 電源開発(株)
    着工/竣工:1962/1964

    地図なんか見ても,もう巨大すぎて,水ばっか貯めてないでもっと発電所多くした方が良かったんちゃうのっていう印象を受けるw
    ダムの活躍ぶりはこのブログのエントリー[台 風一過の池原ダム]がアツかった!奈良の人みたい。

    〜東ノ川〜

    廃村の無人地帯,東ノ川 [wiki]である。随分近年迄簡易郵便局などが残っていたそうな。
    またr266大台河合線と同様に,r228東川河合線指 定は山道でちゃんとされてる[道路族]のだそうな。
    東ノ川は集合地名であり大字そのものは小橡なり河合なりに分割されていたようだが個々の聚落はダム建設が直接の契機となりいずれも廃村になっている様だ。
     またこの辺は新宮ではなく尾鷲の影響が強いようで尾鷲へ出て行った人が多かったそうな。今は尾鷲へは狭隘な道路がR425に指定されている (不通の時が多い)。
    水も尾鷲に送られて発電に使用されている。

    坂本(さかもと)ダム[水力
    電源開発(株)
    目的:発電
    着手/竣工:1959/1962
    堤高:103m、堤頂長:256.3m
    総貯水容量:8,700.0万m3 /   有効貯水容量:6,800.0万m3
    流域面積:101km2 /    湛水面積:2.59km2
    取水:東 ノ川古 川西 ノ谷など(取水位:387.5m)
    放水:尾鷲第一発電所21m3/s

    坂本ダムは新宮川水系の東ノ川上のダムであるが,ダム直下は既に池原ダ ムとなっている様子は地図から も解るが,特に河川維持放流等は行って居らず池原ダムの渇水時には無水区間があらわれるのだそうな[ダムの風景]。完全に河川 がここで分断されていて,ここからは尾鷲第一・第二発電所を通じて又口川側と直結しているということらしい。

    元々は大瀬ダムとして計画されていたようだ。大瀬はこ の辺らしい。池原ダムの貯水量を増やし,大瀬ダムの詰まりは尾鷲第一・第二の年間使用水量を減らしたという形である。海岸線ギリギリまで使える尾 鷲ルート(尾鷲第二の放水位は僅か6m!)に対して池原ルートは瀞峡等もあり,小森発電所[→諸元(北山本篇)]65.43m(gsi)で あり,かなり不利なのである。水を取られることに対する反対でもあったか,池原ダム(満水位310m)と比較して高い坂本ダムレベル(満水387.5m) のダムを大瀬に建設するのが不利だったのか。結局,池原ダムV=2億2,008.3万m3(池原発電 所342m3/s)に対して坂本ダム6,800.0万m3と三倍の差が付いて仕舞っている。これが1対1位だったら尾鷲第一の使用水量が160m3/sぐ らいあって出力も320MW級になってたかも!?そんな世界線も見て見たかった。

    この為に,坂本ダムを見学しに行こうとするとかなり延々と嘗て東ノ川だった今は池原貯水池と成ってゐる谷を遡上していく必要がある。また湖面が連続してい るからなのか,よく見るとグーグルは坂本ダムをダムとして認識してないようである,

    24.5に初池原をキメたあと,ずいずいと遡って行く。21.9に尾鷲側から来ようとしたときは災害通行止めであった(良く寸断されるらしい)

    まずはトボト谷。林道トボト谷線分岐。


    〜備後川〜













    大台ヶ原を中心に流れ込む使い切れない程の豊富な水は新宮川水系からダムで堰き止め違う水系で有効活用すると云う姿勢は猿谷ダムと西吉野導水と似たものがある。
    また太平洋直送という意味では宮川第一・第二発電所と被る。あちらは途中に調整 池すらない 直下型で松尾川第一・第二発電所に似ているがこちらは途中でもそれなりの調整池(V=690万m3)があり,尾鷲第一で尖頭発電しつつ,尾 鷲第二用に逆調整も可能な贅沢な造りである。まあ放流先が海だと逆調整は不要っぽいけど。



    こういう観点から,坂本・尾鷲系の取水強化を検討してみる。

    橡谷[場 所]4.48km 7.09km2
    小橡川 [場 所]6.74km 18.21km2
     
    あかん,,距離の割に全く流域が取れない。。
    更に倍やw

    北山川1.48km


    矢張りダメっぽい。。
    70km2近い流域は基本勝てそうだけど,落差が100m,更に下流部の開発を考慮に入れると70m程度しか差が出ないのが響いている。


    〜銚子川水系又口川〜

    坂本ダムの6,800万m3を有効に使い切る為に流域101km2に対して21m3/sと高めの取水量である。
    山の中を取水路が走り回っている(様に見える。慣れるとそんな多くはないことが解る。)
    宮川銚子川含めて地図に記載するとこんな感じ。


    尾鷲第一発電所[水力
    電源開発(株)
    運開:1962.4
    ダム水路式・貯水池式
    認可最大出力:40,000kW/常時出力:10,900kW
    最大使用水量:21.00m3/s
    有効落差:225.30m
     水車:フランシス・出力46500kWラ1台
     導水路:総延長10723.4m
     放水路:総延長5.7m
    流域面積:101.0km2(坂本ダムのみ・銚子川水系は含まず)
    取水(387.5m):新宮川水系東ノ川[坂本ダム(古 川取水口)]、銚子川水系不 動谷(389m)古 和谷(441m)
    放水:又口川[尾鷲第二]133.00m

    こ の橋の上からの尾鷲第一発電所遠望。有効落差200m超は伊達じゃないな!
    21.9

    不動谷付近で銚子川第二発電所と交錯する。

    クチスボダム[水力][場 所
    電源開発(株)
    着手/竣工:1959/1961
    堤高:35m、堤頂長:98m
    流域面積:131.0km2(直接・間接として坂本ダムから101km2や銚子川流域からも尾鷲1PSを介して流入)
    総貯水容量:1,960.0万m3 /   有効貯水容量: 690.0万m3 /取水量:25m3/s (76h40m分)
    流域面積:131.0km2     湛水面積: 0.21平方キロメートル







    尾鷲第二発電所[水力
    電源開発(株)
    運開:1961.9
    ダム水路式・調整池式
    認可最大出力:25,000kW/ 常時出力:5,600kW
    最大使用水量:25.00m3/s
    有効落差:120.92m
    設備
        水車:フランシス・出力27000kWラ1台
        導水路:総延長2403.4m
        放水路:総延長1438.9m
    取水:尾鷲第一発電所、又口川[クチスボダム](137.00m)
    放水:中川水系中川(二級水系)(6.05m) →海!

    ぐちゃぐちゃに入り組んだ尾鷲市近郊(市街地の外れと云った感じ)の山裾に尾鷲第二発電所はあった。


    中川 発電所直下の様子。25m3/sがうねりながら海に流れてる感じでは無かった。やはりピーク電源用ということか。


    直接流域は131.0km2のクチスボダムを尾鷲第一以外にも水源としているがその分の上乗せが4m3/sということか。
    一寸少ないような。。



    【東ノ川上流部開発】            

    上流部は多雨地帯である。
    高度もそこそこあるので発電試みる。
    ボ ツ案
  • EL.740mで 取ると8.3km2程。1.2m3/sで行って3.6MWであった。
     
    643m取水だと9.0km2・4.3kmで効率は下がるようだった。ただこのままだと小さいのでもう一発上を追う。EL.1295mを狙うと 6.4m3/s。


    [私案]東ノ川第一発電所
    出力:3,600kW
    水量:1.2m3/s
    落差:350/370m
    面積:8.3km2/
    導水:4.5km / 6.19-1.43=4.76km
    取水:東ノ川EL.740m/763m
    放水:東ノ川[坂本ダム]EL.387m

    [私案]東ノ川第二発電所
    出力:3,700kW
    水量:0.8m3/s
    落差:550m/370m
    面積:6.4km2/ 6.829km2
    導水:4.5km/1.3km
    取水:東ノ川EL.1295m/1140m
    放水:東ノ川EL.740m/763m

    併せて+6.7MWとなる。

    導水距離が長すぎるのが気になる。
  • 上流部は勾配がキツく落差を短距離で稼げる。
    また落差を併せることで同一の水車・発電機を使えてコストを下げることが出来る。松尾川や常願寺川でやられてる手法である。
    ということで集水に小回りが効く1140m付近で取水して坂本ダム388mで発電するが途中763mで発電して有効落差を370mに併せた発電所を二箇所 建設するという形してみる。

    [改良私案]大台ヶ原第一発電所  
    出力:3,500kW[+3.5MW]
    水量:1.2m3/s[1.76]
    落差:375m
    流域;6.8km2
    導水:1.4km
    取水:西ノ滝(gsi)・ 中ノ滝(gsi)・ 東ノ川(千石嵒(ぐら))(gsi)1144m
    放水:東ノ川(gsi)765m



    [改良私案]大台ヶ原第二発電所   
    出力:3,500kW[+3.5MW]
    水量:1.2m3/s[1.33]
    落差:375m
    流域;9.0km2
    導水:4.8km
    取水:東ノ川(gsi)765m
    放水:東ノ川[坂本ダム(gsi)] EL.387m



    合計。7.0MWで導水距離は6.2kmでぎりぎりいけそう。大台ヶ原で雨もざんざん降るし。


    この辺の道路も興味深い。例えばこ んな感じ[とは掲]。県道の未成線の地図はこ ちら[道路族]