飛騨川益田川馬瀬川佐見川 水力あれこれ
御 岳 山
王滝川
付 知川 加子母川(白川)
小坂川
秋 神川
益田 川
西野川
味噌川
と はずがたりな掲示板 (利 水スレ電 力スレ )
22.2.21大改造
21.6.11運開
白川・赤川・黒川の電源開発(構想)史
第一回水力調査 第四次水力調査 飛騨100万KW構 想 開発篇

中津川市の加子母地区を水源に加茂郡に流れ込む白川。その開発構想史篇である。全く実現はしなかったので開発史では無く開発構想史なのが哀しい所である。
東隣は付知川流域であり,北は王滝川流域である。
王滝川と云えば大水源御嶽山であり,最上流の方ではそこそこ雨も降りそうである。(面積は小さいけど3000mmに掛かっている。加子母地区を中心に 2500mmでカバーされている。)
出典:国 交省

先日中山七里に厭いて(水力発電の調査に行きすぎて短期間に二度三度とこの辺を通りがかったのである…)下呂から大渕の帯雲橋交叉点でR41を曲がらず R257へ直進して加子母からR256とr62下呂白川線で白川街道でR41沿いの白川口へ抜けてみた。流石クソ自民地盤,道は良かった (R41より曲線などはマシ)けど特に白川街道が延々と長かった。。加子母は中津川@木曽川沿いの印象が強いが川自体は飛騨川側に繋がってて,加茂郡西白 川村河岐で飛騨川に合流しているのである。そして西白川村は成長し今では白川町となったが,加子母と白川に挟まれた途中の区域は(西白川が成長して白川と 名告る)今でも(合併せず独立を保ち)東白川村である。

さてこの東白川も(ただっ)広く,発電の為の流域面積は広く取れそうだが逆に導水距離は長くなりそう。
加茂郡の広域大合併が成立しなかったのも,白川と東白川の小合併も成立しなかったのは残念だったけど東白川村もこの距離では役場が遠くなる し。。ってのはあったのかも知れない。次は加子母迄行かず,直ぐに上原・門和佐を経由する県道(こちらもr62)も通ってみたい。松 坂峠が未整備っぽいので時短にはなりそうにないが。

この日,白川に着くと(もう夜の8時とかで田舎にしかないコンビニで都会の方は余りご存知ないかもしれないけどデイリーヤマザキし か空いて無くて街は真っ暗だったけど)意外に都会であった。名倉ダムで見かけた 路線バ スが白川行 きであったのも,高山本線が態々白川口という名前で駅を設けているのも,白川が加茂郡北部の要衝だったからのようである。(23.2にこの地を再訪した我 々はまたもこのデイリーヤマザキへ寄って今度は昼飯を買い込んだ。)

せめて東白川村も白川町と合併すりゃあ良かったのに,よくある二個上に呑み込まれるのは已む無しだけど一個上に呑み込まれるのは嫌だの法則で美濃太田(美 濃加茂市)に呑み込まれるのは良いけど白川に指図される位なら独歩で行くという決断を下したのかも知れない(当時は市町村合併ウオッチしてたけど広域合併 が破断した後,それ以上の気運が全く伝わってこなかったから飽く迄憶測だけど。)

ともあれ20kmぐらい水を延々と加子母から引っ張って白川付近で飛騨川の上麻生ダム(EL=156m)に注水するとすると落差260m程取れる。 20kmは遠いし途中で一発取水も入れたい。白川の支流には黒や赤が揃っていてなんだか面白い。

飛騨川で流し込むには黒川と赤川を渡る面倒くささがあるので黒川と赤川の合流点で渡れば一箇所で済み,またそこで取水して最後。飛騨川でもう一つかな。一 寸バランス悪いけど。。
まあ飛騨川(益田川含む)は導水路が鉄管でバンバン川を渡っていく印象があるからあんま気にしなくて良いかも知れないが。。鈍重なコンクリートの水路橋 (柿其みたいな。。)よりは遙かに軽やかな感じであるし多用するにやぶさかではないだろう。

色々可能性がありそうな のに,全く何の発電も行われていないのが現状である。

白川とその上流の加子母川を使った発電は此処[→加子母川]で検討し,白川全体の開発はこちら(開発妄想篇)に纏めた。

【第一次水力調査】        
さてその白川,1910(M43)年~1913(T2)年に亘って日本全国 で行 われた第一次水力調査でも対象に成っていて以下の様な結果が残されている。
出典:『飛騨川』中部電力(株)(1979)
なんと狭い領域に5箇所も!
数値は以下の様になっている。

河川
放水(推定)
取水(推定)
水量(米法概換算)
落差(米法概換算)
出力
水路亘長
その他
20
白川
加茂郡西 白川村河岐(こ の辺?160.1m)
西 白川村和泉(こ の辺205m?)
75立尺(2.1m3/s)
105尺(38.1m)
496kW
2,387尺

21

白 川(水戸野)216m
東 白川村五加 (こ の辺276m?)
66立尺(1.84m3/s)
178尺(53.9m)
739kW
3,136尺

22

東 白川村五加 この辺302m?
東 白川神土 この辺386m
50立尺(1.4m3/s)
273尺(82.7m)
736kW
5,066尺 

23
黒川
益 田川(白川口)159m
黒 川(赤川出合)222m
25立尺(0.6m3/s)
176尺(53.3m)
277kW
3km程

24

黒 川(赤川出合)224m 黒 川(黒川)383m
10立尺(0.3m3/s)
501尺(151.8m)
315kW
6km程

とはいえ平水(少水?)を基本に水量を設定したこの時の調査は水量が小さすぎて現在でそのままの形で実現することは難しい。

【第 四次水力調査】     
1956~1959年の第四次水力調査ではこんな感じになっている。
出典:『飛騨川』中部電力(株)(1979)
地図と落差があって無い気がする。


水量
落差
出力
その他

白川第一
5.52m3/s
90.0m
4,200kW
取水:白川410m(約90km2) 放水:白川320m程度?

白川第二
12.50m3/s
87.0m
9,200kW
取水:白川310m 放水:白川220m程度では?

黒川
2.24m3/s
126.0m
2,400kW

黒川は小さいけど白川第一・第二は結構それっぽくてそのままでも実現しても良さそうな感じである。
また黒川の上流の△は線で結ばれてないけど黒川発電所の取水点だと思うし,白川第二PSと黒川PSの放水点と 赤川の△は連繋して取水しそうであるが,送水 先が明記されていなくて不明である。表にも載ってない様子であった。
大柿と上麻生は名倉と新名倉みたいに平行して強化する感じ?上麻生(推定)は神渕川から取水する計画があったのも興味深い。この神渕川発電所は規模が小さ くて既に廃止されてしまったやつである,

加子母で展開した私の案と対応させるとまあ結構 良い感 じ。近代語訳するとこんな感じか!?
No
と称
河川
放水(推定)
取水(推定)
流域面積(推定)
水量
落差
出力
その他備考
20/23
白川第二 発電所
白川・黒川
益 田川[上麻生ダム]156m
黒 川(赤川出合)白 川(水戸野) 216m
約260km2
21.2m3/s
56m
9,900kW

21/22
白川第一 発電所
白川
白 川(水戸野)216m
白 川(越原) 400m 約90km2
8.5m3/s
160m
11,300kW


加子母発 電所
加子母川
白 川(越原) 400m (加 子母川)603m 約25.8km2
2.6m3/s
193m
4,200kW

23
黒 川発 電所
黒川
黒 川(赤川出合)216m 黒 川赤 川457m
約50km2
3.5m3/s
210m
6,100kW


【飛騨川100万kW構想】          
戦後の水系一貫開発の流れの中,1962年に中電が発表した二つの案で,白川関係は佐見川開発に巻き込まれ て大きく変動する!
今の馬瀬川開発に繋がっていく焼石発電所(非揚水・128.0MW!)の第1案と佐見川上流にダムを建設して白川と黒川からも取水して新七宗発電所 240MWを建設する第二案である!ブフォッww
これは凄い。地味な佐見川が馬瀬川張りの大変身する可能性を秘めていたのか!?何処をどうブレークスルーするとあの小河が240MWの電力を産む化け物大 河に変貌するのか計画図を見ててもダムを造るねんな,,以外の想像が付かない。。
"飛騨川百万キロ構想"
出典:『飛騨川』中部電力(株)(1979)

勿論,やってもええで♪とは思うけど,この新七宗構想,焼石構想ともども,「高根・小原開発後の東上田・瀬戸第一両既設発電所の増強」の為に考えられ たものだそうで,図には益田川(飛騨川)からの導水は無いのでぞんな形の増強になるのかは不明だけ ど何らかの形で東上田・ 瀬戸第一をサポートする役目はありそう。

これを拡大解釈すると並行して増強ルートとなって,どっかで纏めたい(今はあちこちに散在する形になっている。。)と思ってる私の飛騨川第二ルート案となる。

余裕のある水量を使っての発電なのか?
詳しくは佐見川の項に譲るが,黒川・白川ともにEL.440m程からの取水をして佐見川に建設の ダムに 導水,そこから新七宗EL199m程にぶち込む感 じ?
有効落差237m程として120m3/s程水は必要になる。混合揚水にして名倉ダムに黙った余った水をせっせと汲み上げるにしても     流石に佐見川・白川・黒川だけではそんなに大量の水,集まらんやろ。。。

取り合えず上記案が想定して居るであろう取水を可視化してみる。
黒 川EL.386mから8.32kmで佐見川ダム(EL.382m)付 近である。白川(越原)EL383mから10.7kmで佐見川ダム(El.381m) 付近である。
佐見川ダムの間接流域として150km2近い流域を確保しようとしていた様である。まあ納得の布陣ではある。


【加子母開発+佐見川導水】
佐見川ダムを建設するとして,(原計画には消えてしまった)白川方面の発電をどう組み合わせるのかを検討してみる。
結局加子母をどうするのか,である。佐見川に取水するとなると加子母の②案を使うのが適合的である。一寸取水標高は高めだが送水距離も長い(10km 程あ る)しそのままで。。
更に佐見川に送るのだから佐見川から取水しても良いかも。一寸標高下げて560mで取水して見る。
1.9km2となる。4.5~5.0m3/s程期待持てるかも。これも条件を合わせて検討してみると7,700kWも行けそう♪こっちが本命かな。


[私案改]加子母発電所
出力:7,700kW[+7.7MW]
水量:5.6m3/s[1.33]
落差:166m(=560-383-6.8-4)
流域:41.9km2 
導水:6.8km
取水:加 子母川(白川)560m
放水:白川(越原) 390m

この場合,第四次調査での白川第一 は廃案である。基本白川第一をダム付きで 佐見川に統合する感じか。なかなか大胆で良いwが,一寸大げさな感じがしなくもない。

またこれ以降,1965年案(150万キロ 構想1979年時点案:飛騨川筋電源一覧表では佐見川や馬瀬川は (結局 実現しなかった)計画が残っているのに,ポテンシャルありそうな白川は一切の計画は消えてしまい現れなかった。
ちと残念である。

また個人的に佐見川ダムを現代的にリバイバルできないか足掻いてみたが現時点(23.9)では諦めの方向である。佐見川では流込式の14.0MWの新発電所を構想できて満足している。
白川でも足許を見つめて水路式・流込式発電所を次項で構想してみ る。