電 力総研 水 力あれこれ
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木曽川上流域の発電所増強検討

その後のアップデートで 内容が古くなってるが比較検討の為に残してある。

水量豊富な木曽川。開発が進み,各区間の水消費量にアンバランスが発生。途中,増強により2ルートに分かれている。
①三浦ダム・三浦発電所─滝越発電所─王滝川ダム─御岳発電所─常盤ダム─常盤発電所─木曽ダム─(木曽川取水ダム[福島]─[木曽川渡河]─)合流点寝覚発電所上松発電所─桃山発電所─須原発電所─大桑 発電所─読書ダム─
②…─王滝川ダム─牧尾ダム三尾発電所木曽ダム木曽発電所─読書ダム─

木曽ダム・木曽発電所の完成で再開発は完了したようなんだけど,旧ルート上の大桑発電所を筆頭に水利用上の隘路が発生しているような・・。解消と増強を検 討してみる。 現況レポはこちら

こちらでは木曽ダム・木曽発電所がスルーしたローカルな水源からの常時水量を積み上げて行ってピーク電源としての隘路というか増強の余地がないかどうかを 探っていく。

神 戸ダム構想 (中沢川導水) 小川牧尾導水 上松 (小野)堰堤構想 萩原沢導水 須原堰堤増強案

まずは確認:


木曽川取水ダム(木曽福島・神戸)

木曽川取水堰堤 (木曽福島) 流域面積:328.3km2・取水量:17.39m3/s(ソース・53.0%)・場 所(740.9m)

328.3km2ではあるが,この辺は1500~2000mmが拡 がる地帯となっているので基礎流量として17.39m3/s(625立方尺毎秒・面積比53.0%)は一寸低めである。何しろ許認可時のままの水量で あり,当時は水量と云 う寄り水車や発電機など機器の制約で水量いっぱいに許可得てた訳でもなさそう(例えば桃 山では増量している)だからである。流域面積比52%。せめて60%は欲しい。60%(75%)で 取ると19.7m3/s(24.6%)となる。もう2.3~7.2m3/s程取れそう。
この辺は木曽福島取水堰から木曽ダムへ送水管を新たに建設したい。今でもジャンクション部で 水を木曽福島側から木曽発電所へ送れている可能性もある(記述は見当たらないけど寝覚用の小川も木曽運開時に改造された)けど水量を増やして木曽ダムで貯 留も出来る様にするのである。以下,概ね流域から6割程度を見込ん で恒常的水量(常時量ではない。まあその辺は適当な量である。)としてみる。

妄想的な増強法として神戸(ごうど)にダム建設である。これがあれば中沢川からの導水や木曽福島堰堤から の木曽ダムへの導水は不要となる。


現在の木曽福島堰堤直下の社木・御室と中沢川下流の川合の聚落が水没してしまうので川合は立ち退き,社 木・御室の住宅街(こんな雰囲気)は5~10mの堰堤建設で対応する必要はある。ここはなかなかネックになりそうだ。。が,不可能 ではなさそう。
湛水面積は道の駅付近にダムを建設して34.8ha。今サイフォン橋がある辺りにダムを建設するともう一寸少なくなる。
いずれにせよ32万*5(利用水深※木曽発電所の有効落差から木曽ダムの利用水深を判断)=160万m3程 度は新規に有効貯水出来そう。木曽ダムの存在感に比して意外に小さい184万m3の 貯留量を倍増近く出来る。(まあこれだけやって160万m3か よって批判は甘受せざるを得ない。。西野川ダム(V =750万m3)西洞ダム(V=210万m3)の 建設の方に期待した方が良い な。。)
立ち退きも不要で貯水量が470万m3に出 来て,やや過大な寝覚の施設も活用出来る方策がこちら[→寝覚・新木曽


木曽ダム[諸元][現況と考察はこちら
堤高:35.2m
流域面積/湛水面積     578.9km2 ( 全て直接流域 ) /42ha
総貯水容量/有効貯水容量(貯留量): 436.7万m3/184.4万m3
取水量:108.41m3/s( 木曽発電所60.00m3/s ・ 寝覚発電所48.41m3/s )
着手/竣工     1963/1968
取水:王滝川
送水:木 曽発電所・寝覚発電所・牧尾ダム(揚水・三尾発電所)

関西電力(株) 木曽発電所[場 所][諸元・沿革]
長野県木曽郡大桑村
運開:1968.1.27
ダム水路式・調整池式
認可最大出力:116,000kW  常時出力:41,100kW
最大使用水量:60.0m3/s
最大有効落差:231m  有効落差: 225.90m
水車:出力126000kW×1台
導水路:総延長14881.0m、主要導水路 圧力トンネル 口径4.80m、延長14610.2m(現地では以下の看板があったが微妙に違っていて,恐らく見学者用に簡便に書いており,水力. comさんの記述の方が正しいのであろう。)
水路橋:264m
流域面積:907.4平方キロメートル
取水:王滝川[木曽ダム]・木曽川→調整池739.50m
放水:木曽川[大桑発電所傍・読書ダム]482.80m[地 理院][グー グル


この辺は多雨の王滝川沿いの流域面積578.9km2に対して木曽発電所へ60m3/sとまあ良い量である。

まあもう十分水を湛えてたけどほんの数百mの導水路で一寸だけ水量増やせるので提案。
中沢川:9.76km21.0m3/s程度増やせるかも。出力 はまあ良いから発電量(kWh)の増強をしたい。木曽ダムの流域面積は588.7km2となる。勿論,上述の神 戸ダムがあれば不要。上流から黒川上流を水源とする発電所に給 水する案もある。

また木曽川上流域から10m3/s程木曽ダムに導水したいと 書いたがこの導水路に接続すれば良い。
そうすると現在 は流込で寝覚発電所に送るしかない(?)木曽川上流の流れ を木曽ダムに貯められるしより発電量の多い木曽発電所で使える。

木曽ダムから木曽発電所ルートと寝覚ルートの最末端大桑発電所の処理能力への疑問から調査 行の必要性を感じ決行。ただし利水標識がどこにもな く唯一の収穫が此処。しかも(勿論立入禁止の)敷地の奥深くに隠されるように掲げてあって望遠でやっと激写。ただこの日最大の収穫でもあった。

木曽ダムの水は木曽発電所に60.00m3/s,寝覚発電所に48.41m3/s送られる。詰まり満々と水を湛えていた木曽ダムの取水量は合計最大 108.41m3/sであり,最大使用水量60m3/sの木曽発電所は木曽ダムから(原則?)取水しており,最大使用水量65.80m3/sの寝覚発電所 は木曽川取水ダム(木曽福島)[と小川]から17.39m3/sの水を取水している ということになる。(勿論両者併せた水量よりも最大使用水量が低いケースも十津川第一発電所の 導水支線のようにあるが,単純和に成ってゐる発電所が多い印象である。


寝覚発電所取水口[場 所(738.5m)
まあ小さな水路だけどこれと木曽ダムの取水口を併せて,木曽ダム108.41m3/sと木 曽福島にある木曽川取水ダム(17.39m3/s)からの水が合流して木曽発電所と寝覚発 電所に振り分けられる重要なジャンクションの機能を果たしているようであ る。そしてどうも木曽川(木曽川取水ダム(木曽福島))から木曽発電所方面へは水は送れな い構造の様である。 寝覚ルートより木曽ルートの方が高効率なんだから木曽川取水ダム(福島)からも送れる様にすれば良いのに。。但し二重構造の内,新ルートの木曽発電所へ行 くのは下の様であるから上から落とせば良いようになっているのかも知れない。この辺は未解明。


~小川(上松)~
寝覚PSで使用する為に開発され,どうやら現在木曽PSでも使う様にされたらしい小川取水堰堤。こちらの地図計測で流域面積:77lm2もあるのに 3.90m3/s(推論はこの辺から)しかない。しかもこの量を王 滝川(木曽ダム)から補填するかのような使用水量増を行っている様だ。
木曽への接続後も木曽Dでの最大取水量=木曽PSの最大使用水量という上の調査結果から補填的に利用しているのは変わらないと思われる。増水時には木曽に も寝覚にも3.9m3/s送れるようにしているようだが,どうも大水時には取水を停止するタイ プの堰のようである。。

しかしどうせなら貯留出来た方が良いので牧尾ダム(満水位:EL.880m)に送水すると良さ そうなの で増強を此 処(王滝川の頁)で検討。そ の辺以下とする。
こんな感じ。免許は3.9m3/sだけど基本牧尾からの発電利水に使う事にして1.5m3/s(王滝側なので係数は1.0(100%)で)で良いかな。

牧尾ダム渇水があるんだけど,もしもう満杯というなら新しく小川の上流に牧尾と同レベルのダムを建設してそのダムから三尾発電所に送水,場合に拠っては出 力増強などでも良いかも知れない。まあなるべく新規ダム建設は減らしたいので無理はしないけど。


以上から寝覚PSの基本水量を検討すると木曽川上流17.39m3/sが基本水量

寝覚発電所[諸元
寝覚PS 取水 量:17.39m3/s[木曽福島17.39]・放水位670.62m
ダム水路式・流込式(→木曽ダムから取水しててしかも常時出力0kWなのに流込なんか。。矛盾を感じる・・。→木曽福島堰堤からの水も木曽発電所に送水し ている傍証となる?)
認可最大出力:35,000kW  常時出力:0kW
最大使用水量:65.80m3/s
有効落差:64.29m
水車:2台 総出力42,000kW
取水:①木 曽川(740.9m・17.39m3/s) ②王滝川[木曽 ダム](739.5m・48.41m3/s) =ピーク時 ③小 川(739.5m・3.90m3/s)
放水:上松発電所、木曽川(670.62m)

施設に関しては水車の出力が44MWあって発電機の容量が40MWもある。こ んなに余裕がある発電所も(気田の豊岡PSとか時々あるが)珍しい。
今,65.80m3/sで35MWなので水量を78.96m3/sに迄増強して発電機もあと4MW増強すると最大出力42MWの発電所が出来上がりそうで ある。。
少なくとも小川の分を 3.9m3/sをピーク時用に上乗せしても大丈夫そうではある。。(基本は牧尾ダム経由としてもである)[+2.0MW]となる。

とは言え,寝覚の使用水量は多過ぎて下流で捨てざる得ないので安易に増強出来ないのには注意が必要である。。飽く迄ピーク時用電源ということである。
やや過大な寝覚の施設も活用出来る方策がこ ちら[→寝覚・新木曽

寝覚の下は上松である。寝覚発電所が寧ろ上松発電所で,上松発電所は倉本発電所の方がしっくりくるのだけど。上松では寝覚の放流水を取水す るのが基本で小 川の水も取水しないやる気のなさぶりであるが,基本寝覚の放流水のみ利用で木曽川からも取水せずな気がする(木 曽川に堰すら見当たらないのだ!)。寝覚が流して20m3/s程度で運手している時,流石に木曽川にガンガン水が流れてたら取水出来る分は取水し て運転するべきなんちゃうの??


上松発電所[諸元
上松PS 基本使 用水量:17.39m3/s[寝覚PSと同じ]・放水位647.6m
水路式・流込式
認可最大出力:8,000kw  常時出力:0kW
最大使用水量:48.65m3/s
有効落差:21.10m
水車:出力9325kW×1台
取水:寝覚発電所(670.70m)
放水:桃山発電所、木曽川(647.57m)

結局,現在では寝覚発電所の使用水量は64.29m3/sとなっており,15.61m3/sも少ない。この分は寝覚ノ床を含む木曽川に流すしかない筈であ る(特に上松に貯留量をもった調整池はなさそう。少なくとも上松(小野)で取水する桃山発電所の利水標識に貯留量の記載もなく堰堤もゲート型ではなく越流 型であった)。
上で見た様に1968年運開の木曽ダムから木曽発電所へ直送さ れる水量もあるので今では寝覚発電所がフル活用されてない可能性も高いが,水を余らせているなら勿体ないが寝覚の床の景勝保存も重要なのでこの 15.61m3/sはこのままで良いだらう。

上松と桃山発電所の間でも同様の問題が発生しているがそちらは寝覚ノ床みたいな景勝地はないので増強出来るのでは無いか?

(仮称)木曽川取水ダム(上松)or上松堰堤
上松PS 最大使 用水量:65.80m3/s[寝覚PSのもの]・放水位:647.6m
桃山PS 最大使 用水量:37.57m3/s[須原PSとほぼ同じ]・取水位:647.42m


上松の使用水量>桃山の使用水量であるから普段は此処で取水はしてないのかも知れないが,地 図上でも判るがご覧の通り堰がある。
このやる気のない自 然越流堰も空撮では斯くもはっきり写るのである。寝覚でちゃんと発電してれば上松では殆ど取水 しないと云うことになるがどうであろうか?
例えば普段は取水しないが上松P/Sが改修や検査で停止中は勿論木曽川から取水するのであろう。常時利用出来る水量が60m3/s以上なら寝覚にも水が流 されてるが寝覚の常時出力が0kWだからそんな感じでもないのであろう。
となると,寝覚に送る水も足りない渇水期なのでそれ程期待は持てないとは云へ木曽ダム・福島堰堤以下にもそこそこの面積は拡がってるので,そこからの水を 普段から取水してる可能性はある。

[A]上松発電所放流口地点で取水可能量を検討する為に専任?で取水可能な面積を計測してみる:71.5km2[A]。 そこそこある。(木曽ダムへ送る増強策対象の中沢川は対象から抜いてあることに注意)
東側は比較的降雨量が少ない(1,500~2,000mm)ので4.2(60%)~5.7(80%)m3/s程 度期待しておくか?雪解け水は多少奔流を阻止してくれる。75%を適応して5.4m3/sとする。

神戸ダムが出来てそれ以下だと5.5km2程狭くなり65km2程度が面積となる。渇水期の水量はどん なものであろうか。。

有効活用するにしてもやはり堰堤が有効そうである。放取水位がほぼ同一面の647mである。648m位迄貯水して余裕を5m程持たせるとすると653m程 度迄堤防が欲しい。利用水深1mで22万m3程は貯水出来そうである。
寝覚の放水65m3/sに対して桃山・須原の取水量は37.57m3/sとなっていて28m3/s程度で水はピーク時に貯まって行く。2時間10分程で満 水か。利用水深2m程,耐久時間4時間は欲しいかも。

上の計画と合わせてこの萩原堰堤も備修正し たバージョンがこちら[→寝覚・新木曽


更に上松でも近所から取水[F]萩原沢…規模小さいけど近いので。。0.7m3/s程度

またこの発電所で使用された水はそのまま須原で使用されるが,これはwiki (桃山発電所)に拠ると
>1932年(昭和7年)7月に洪水被害のため下流須原発電所の取水堰が崩壊した際、取水堰を廃止して須原発電所取水口を桃山発電所放水口に直結す るという形で復旧工事が実施された
からだそうな。既に両発電所は一体である。
取水堰が破潰される形で形状変更されたので,桃山が停まると須原も停まるって事か?流石に桃山では全部余水吐きして桃山は動かさずに須原だけ動かすことも 出来るのでは無いかとも思うが,定期検査など期間併せればいい話だしそんな仕組みが備わっているかは不明。

桃山発電所[諸元
桃山PS 基本使 用水量:26.7m3/s(上記)・放水位562.0m
水路式・流込式
認可最大出力:25,600kW     常時出力:0kW
最大使用水量:37.57m3/s
有効落差:79.55m
水車:2台 総出力26600kW
    流域面積:1059.6平方キロメートル
    取水:木曽川、上松発電所(647.42m)
    放水:須原発電所(561.98m)

余裕があるので新水源を開発しても良い:


須原発電所[水 力]
須原PS 基本使 用水量:26.7m3/s(桃山PSに等しい)・放水位524.5m
水路式・流込式
認可最大出力:10,800kW   常時出力:0kW
最大使用水量:36.17m3/s
有効落差:34.90m
水車:2台 総出力11120kW
取水:桃山発電所(561.93m)
放水:大桑発電所、木曽川(524.50m)

となる。基本使用水量27.99m3/sと実際の発電所の使用最大水量37.57m3/sを較べると:

詰まり桃山と須原の26.7m3/sに対する36.17~37.57m3/sというのは常時的に流れ込んでくる水量に 対する発電所の最大使用水量としては割りと真っ 当な規模っぽい。。

本発電所の運開は大同電力時代の1923年で使用水量は最大37.57m3/sで,古い分,上流にあって取水元の戦時中に着工し,戦後の混乱期,日本発送 電時代の1947年運開で景勝地ながら発電増強が優先された上松発電所(48.65m3/s)よりも使 用水量が11.08m3/sも 少ない。更にその上流の上松より先に,桃山よりも後に出来た寝覚発電所(65.80m3/s) よりも28.23m3/sも少ない。
从(したが)って,上松発電所や寝覚発電所で発電に使用した水の一部はそのまま木曽川に放流している様である。これはピーク水量の宿命とも云えるものなん だけど,この分を桃山発電所で使用できる様にすれば 増強出来る筈である。
たまにしか使わないピーク電源の資本コストが発電の売り上げを上回らないという経営判断が現況ではあるのであろう。

更に同じくwikiには
>また1934年(昭和9年)4月には、設備に余力があるため使用水量を1,350立方尺毎秒(37.57立方メートル毎秒)へと増量とする許可を 得た[7]。翌年5月、発電所出力が2万4,600キロワットへと引き上げられている。
という表現が有り,使用水量は木曽川の桃山地点での可能な最大使用水量で決められたと云うよりも,設備に応じてと云う事のようだ。

~伊奈川~

伊奈川発電所[水力]
関西電力(株)
運開:1977.11
ダム水路式・調整池式
認可最大出力:40,700kW 常時出力:3,100kW
最大使用水量:11.00m3/s
有効落差:438.00m
水車:出力42000kW×1台
流域面積:114.1km2(=76.6+37.5)
取水:越百(こすも)川→伊奈川[伊奈川ダム]995.00m
放水:木曽川539.50m

伊奈川発電所増強構想で伊奈川流域から更に追加で37.5km2は伊奈川ダムへ送水したい。詰まり伊奈川発電所の流域は
114.1km2相当と云う事になる。8.0m3/s程期待出来るか。



(仮称)木曽川取水ダム(須原)

須原取水ダム(从 来地点) 基本使用水量:38.2m3/s=26.7(須原PS)+8.0(伊奈川PS)+3.5[B]

取水堰と須原発電所の変電所設備と発電所建屋


[B]須原発電所は桃山発電所の放流水で発電しているのであるが,桃山発電所からの放水時に木曽川から追加取水出来る 形にはなってないそうだが,寧ろ最大使用水量は1m3/s程少ないので余水を木曽川に流している筈であるが,放水口もこ れってのは見当たらない
と云う事で上松以降,次の取水ポイントは須原放水口=大桑取水口なのである。上松をスルーした様に,桃山もスルーした形となる。
また上松取水口以下須原発電所直下の大桑発電所取水堰以上の流域面積は調べると 47.5km2ある。取水量は 2.9~3.8m3/s程度期待出来るかな。。 3.5m3/sとしておく。


更に(伊奈川合流)が殆ど須原発電所直下にある。多 くが伊奈川発電所に送られて木曽川に直送されるのでそ れ以外の面積を測ってみると65.7km2程になる。
併し,伊奈川発電所増強構想で内37.5km2は伊奈川ダムへ送水したい。詰まり伊奈川流域から流れ込むのはその差,28.2km2相当と云う事になる。
その伊奈川であるが,以下の様にギリギリ須原に間に合わない。取水するならなんとかしたい所。


小川(殿)取水口[場 所(524m)
利水標識が此処でも見当たらず取水量は不明である。。
[D]小川(殿)の水量であるが,流域面積は18km2程あるようである。
王滝側なので1.7~2.0m3/s程度と推定しておく。


小川(殿) 1.8m3/sを足すと寝覚向けピーク水量分含めて最大90m3/s超となる。


これらより
<恒常用>
38.2m3/s
<伊奈川流域導水>
1.8~2.4m3/s=2.0
<小川(殿)>
2.0m3/s

恒常計:42.2m3/s
─────────────
<ピーク用>
木曽ダム(寝覚向け) 48.41m3/s
伊奈川 3.0m3/s
─────────────
合 計   87.6~93.5m3/s

但し※は寝覚発電所構成する水源(とはずがたりが勝手に新規開発したり水量推計含む)

須原で取水して野尻で発電する大桑発電所は現在小川(殿)含めて38.4m/2程取水している。

この辺が須原で取水・発電する際の水量目安となる。


[妄想新案・増強]大桑発電所
大桑PS 基本使 用水量:42.0m3/s=38.2(須原取水ダム)+2.0(伊奈川)+1.8(小川(殿))
と,ここで初めて既存使用水量を凌駕する。これは一つ大桑を増強するしかない。現行38.4m3/s使えるので,溢れる分と更にピーク時に寝覚(上松)や 伊奈川から流れてくる水の一部を受け止めて発電をするのである。

<1>
先ずは伊奈川を含めた須原の取水堰の増強。
廃木材再生業者((株)ウッドアール・オークワ)にのみ立ち退いて貰う事で合流点付近下流に新しい堰を建設するのである。[→どうも現状でも伊奈川の水を大桑で取水してるらしい事がその後判明・要現地調査である]


[増強私案]大桑発電所
出力:12,600kW(=4.200*3)→ 17,300kW[+4.7MW]
水量:38.40m3/s→53.00m3/s[+14.60m3/s]
有効落差:39.09m
取水:木曽川[須原ダム]
放水:木曽川[読書ダム](481.51m)
水車:3+1台 総出力4350*3kW+ 5000kW(新設)=18050kW
    流域面積:1242.0平方キロメートル
    取水:須原発電所木曽川小川(殿小川)(524.34m)
    放水:木曽川[読書ダム](481.51m)


大桑発電所の上部水槽→これが左右どちらかに拡張されるイメージ


ピーク用に多めに設定されている寝覚の分を常に使える訳ではないことを勘案してどの程度の水量にするのかが一番経 営効率良いかの問題で資料を持たない私としては当てずっぽうにならざる得ない(苦笑)

寝覚の半分程度を使うとすると20m3/s上乗せ。上の案だと10m3/s程度ってとこ。色々考えて苦労した割りには地味な結論である。



亦(また),念の為,現状を検討する為に1m3/sの水を流した時の発 電力を比較してみると,まさかの寝覚ルートの勝ちぃ!?
個別に原因を分析してみると,桃山と須原の効率が高すぎる・・。
どうみても木曽P/Sの方が効率高そうだし,実際
>木曽調整池の新設に伴い、木曽調整池に設けられた上下2 段の取水口の上段からは寝覚発電所へ、下段からは木曽発電所へと改造された。この結果通常は効率の良い木曽発電所を優先し、流量が豊富なときやピーク時に は2つの発電所が同時に運転できるようになった。
https://www.nef.or.jp/ieahydro/contents/pdf/4th_a11/jp/05.pdf
との表現もある。詳しくは以下参照

調べてみると須原と桃山の効率が異様に良い。何かデータにエラーがあるのか効率が良いってのが間違えで最高水量が少ないから36.17m3/s以上使うと ロスとなって勿体ないってことか?
一応スペックのソースは複数に当たっている。

また木曽ダム→寝覚の48.41m3/sはピーク用の水源である。これを除くと普段の水量は寝覚P/Sで21.3m3/s程度となって寝覚・上松・桃山・ 須原では十分現行能力で間に合う事になる。大桑は増強すべきである。

発電
所名
運開
水車
有効
落差
現状 その他
発電力 水量 発電効率
通過水量(ピーク)
逸失水量
通過水量(常時) MW/(m3/s)or面積
(木曽川取水堰[福島])

17.39m3/s

129.7m3/s※


17.39

(木曽ダム)

108.41m3/s
(60m3/s)


60m3/s→木曽

(小川)

3.90m3/s


3.90

木曽
1968

225.9
~231m
116,000kW
60m3/s

125.8m3/s
(77.39m3/s)
3.9m3/s

60
1.93MW/(m3/s)
85%
寝覚
1938

64.29m 35,000kW 65.80m3/s 84.4%
21.29
0.53MW 83%
上松 1947

21.10m 8,000kW 48.65m3/s 79.5%
17.15+[A]m3/s 21.29+X
0.16MW 79%
(滑川)(木曽川取水堰[上 松])
[A]
65.80+[A]m3/s


24.59m3/s [A]=7.2m3/s程度
桃山 1923

79.55m 25,600kW  37.57m3/s 87.4%
28.23+[A]m3/s 24.59
0.68  87%
(萩原沢)
[B]

73.0+[B]m3/s★2
24.59+[B]m3/s★2
須原P/Sに木曽川取水施設無いので取水可能になるのは須 原の放水地点
須原 1922

34.90m 10,800kW 36.17m3/s 87.3%

40.64+[A,B]m3/s
0.30 87%
(伊奈川P/S)
11m3/s

84.0+[B]m3/s


(木曽川取水堰[須原])

[C]

90.3+[B,C]m3/s

47.29m3/s [B,C]=4.7km2程度
(小川[殿]取水)

[D]

95.0+[D]m3/s★2

49.09m3/s [D]=18km2・1.8m3/s程度・[E]設置の場 合は3.1km2程度
大桑 1921

39.09m 12,600kW 38.40m3/s 85.6%

56.6+[D]m3/s
0.33 85%
小計
174.64m
57,000kW




寝覚経由計:2.00
増強案







(小川[殿]取水)

[E]




[E]=14.9km2
新木曽

166m


65.80+[A]+[E]m3/s 0m3/s

※存続:桃山・須原→34.00m3/s・49.8MW
※廃止:桃山・須原→72.00m3/s・97.9MW

どうもすっきりせんのぉ。。

桃山・須原は一体的な発電所であるけど古くてそんなに効率的なのも解せない。
水量に対して発電しきれない程度の出力を認可されてて許可されてる最大 水量ではそんな発電出来ないとか??
そんな邪推までしてしまうが,謎は謎である。。

ちょっとミステリである。

桃山・須原徹底解剖:


上松発電所[諸元
運開:1947.2.15
水路式・流込式
認可最大出力:8,000kw  常時出力:0kW
最大使用水量:48.65m3/s
有効落差:21.10m (逸失落差:▲2.03m)
水車:出力9325kW×1台
導水路:総延長2507.0m
取水:寝覚発電所(670.70m)
放水:木曽川[桃山発電所](647.57m)→桃山取水位とほぼ同じ

桃山発電所[諸元・沿革
運開:1923.11
水路式・流込式
認可最大出力:25,600kW [87%]    常時出力:0kW
最大使用水量:37.57m3/s
有効落差:79.55m (逸失落差:▲5.89m)
水車:2台 総出力26600kW
導水路:総延長4305.4m
    流域面積:1059.6平方キロメートル
    取水:木曽川、上松発電所(647.42m)
    放水:須原発電所(561.98m)

1994年に設備更新で24,600kWから増強。もし 24,600kWだと84%である。  

須原発電所[諸元・沿革
運開:1922.5
水路式・流込式
認可最大出力:10,800kW [87%]  常時出力:0kW
最大使用水量:36.17m3/s
有効落差:34.90m (逸失落差:▲2.53m)
水車:2台 総出力11120kW
導水路:総延長3845.7m
取水:桃山発電所(561.93m)
放水:大桑発電所、木曽川(524.50m)

1996年に設備更新で10,000kWから800kW増強。も し10,000kWだと81%である。   こんな変わるのか。。


そこそこ特に異常は見当たらないんだよなぁ。。→どうやら 1990年代の設備更新のお陰らしい。昨 今の水車は87%程出るようである