電 力総研
水 力あれこれ
と はずがたりな掲示板
(
利 水スレ
・
電 力スレ
)
天ノ川・十津川電源開発と逍遙
十津川第二発電所
奥吉野発電所
北山川
熊野川
20/7/10着手
20/10/8完成
十津川第一発電所と栗平川上流土砂ダム
十津川(北山川と合流して熊野川[新宮川])の中流域と云って良いのだろうか?全くの山の中に風屋ダム(
→諸元
) と十津川第一発電所
(→諸元)
はある。
山行が
もこの辺来ている。「
隧道レポート 七泰の滝の下の謎の穴
」 である。十津川第一の導水路のドン詰まりが舞台なのであるが,関連して周囲調べてる内に浮上した十津川第1発電所取水路の記載に関する
地理院地図の謎(誤記?)
の解明と集水域の
土砂ダム
と例の如く
電源開発模索
などである。
発電所名:十津川第一発電所[
水力. com
][
DB
]
事業者:電源開発(株)
運開:1960.10
種別:一般水力(ダム水路式・貯水池式)
出力:認可最大出力75.0MW 常時出力21.0MW
水量:最大使用水量60.00m3/s
有効落差:144.23m
導水路:総延長16696.6m、主要導水路 圧力トンネル 口径5.20m、延長8325.7m
十津川導水路:円形圧力トンネル 内径5.2m、延長8654m
滝川導水路:延長4214m
芦廼瀬川導水路:延長4271m
流域:553.0km2→
DBのこの記述と便覧の風屋ダムの記述 は矛盾している。十津川第一の集水域の内,大野川・芦廻瀬川は風屋ダムを経由しないので数値は本来ズレる筈である。どちらかがミスであろう。
取水:十津川[
風屋ダム
]・
大野川
・
芦廼瀬(あしのせ)川
295m
放水:十 津川[
津風呂ダム(→十津川第二)
]
(139m)
風屋(かぜや)ダム(風屋貯水池)[
ダム便覧
][
水力. com
]
河川 新宮川水系十津川 ←熊野川でも新宮川でもなく十津川となってる♪
目的/型式 P(
十津川第一
)/重力式コンクリート
堤高/堤頂長 101m/329.5m
流域面積553km2(直接:445km2・間接:108km2[
栗平 堰堤
(栗平川)・
奥里堰堤
(
滝川
)]4.7m3/s) 湛水面積:4.46km2 (446ha)
容量:総貯水容量:1億3,000万m3 / 有効貯水容量: 8,900万m^3
ダム事業者 電源開発(株)
着手/竣工 1954/1960.10
水深:利用水深30m / 常時満水位:295m
発電力,使用最大水量,有効落差,有効貯水容量,流域面積などどれを取っても日本一流のダムである。電発が建設し1960(S35)年に完成。日本の高度 成長を電力供給面で支える一翼を担ったダムである。
さて,
山行が
での
隧道レポート 七泰の滝の下の謎の穴
内 の机上調査篇での「建設の機械化1960年6月号」より抜粋された
の画像左手,滝川支水路
と
国 土地理院地図
に描かれた水路
には乖離(矛盾)がある。
十津川第1発電所一般計画図での滝川支水路の分岐部は上の国土地理院地図の
+
の 部分であるが,其処に分岐の記載はない。
その
+
部である
滝 川沿いの水路管と村道との交点
には手持ちのマップルにも導水路前BSがあって此処から一山越えた滝川の取水口が奥里取水口であるのは間違いない。
一方で,この
+
部は「機械化1960年」(一 般計画図)だと栗平川取水口との分岐点となっていて一気に風屋貯水池へ流出してるっぽいが,現在の国土地理院では此処には分 岐はなく寧ろ栗平川取水口(計画地?)付近へ一旦大回りして栗平川取水口計画地辺りで分岐して奥里取水ダムの更に奥の取水口へ伸びてる支線(「機械化」の 一般計画図に は記述無し)と一緒になって風屋調整池へ流れ込んでいる様に描かれている。
取水口も一般計画図では栗平川と滝川本流の2箇所から取ってて合理的なのに態々滝川から2箇所で取水して栗平川の方へ迂回して風屋ダムに流し込んでいるの も可怪しいし,導水路前バス停付近(+部)が標高280m,栗平川取水口(計画地)付近の分岐点の標高が 304mとなっているから(分岐部が地下深くにあるという事であろうが)この経由は色々可怪しい。
寧ろこの
国土地理院図での分岐部こそが「機械化」の一般計画図に 於ける栗平川側の取水堰の位置っぽい
のである。
と,云う事で早速ググってみると新たな情報が。
紀 伊山系直轄砂防事業の対応状況について
[
巨大 pdf注意!
]
この資料には
長 殿谷砂防堰堤群
の 対応状況と並んで栗平(くりだいら)川砂防堰堤群の対応状況があってどうやら大規模な土砂崩れが此処でも起きたらしい(ずっと「くりひら」と訓(よ)んで たけど「くりだいら」らしい)。もしかして栗平川取水口も呑み込まれた結果地形が改編されてる!?と思って更に調べを進める。
紀伊山系直轄砂防事業
栗平地区(奈良県十津川村)
https://www.kkr.mlit.go.jp/kiisankei/map/8.html
に拠ると平成23年(2011年)紀伊半島大水害で上流で大規模な土砂崩れが発生して湛水池が出来てるそうな。+派上の国土地理院の+の場所に対応してい る。
水路はこの時点では判然としてないが「機械化」の一般計画図に則っている。
また湛水池からWebカメラ方面への航空写真もあった。
大部派手に山腹が逝ってしまって居る。
どうやら手許の2007年度版の県別マップルには載ってない(A)の箇所にある
こ のトンネル
は割と最近に建設されたようだ。この災害復旧工 事の為に建設されたものにしては苔むしているけど2007年に出来ていなくて2020年に出来てると成ると災害復旧工事の為に先ず建設されたと考えるのが 自然なような。。
また栗平川取水口がこの災害に呑み込まれた可能性は位置的に否定された。
謎は解明されなかったが,一方で栗平川上流に巨大な湛水池が出来てるのだからいっそ
治水・利水両用のダムを建設出来ないやろか??
この辺は崩れやすい地質のようで直ぐ近くの
奥吉野発電所
の旭ダムでは
排砂トンネル
が建設されたそうな。
ゼンリンを切って独自路線に進んだgoogleだけど地図も独自で,独自の衛星写真でも使ったか,しっかりと湛水池が載っている。
国土交通省へ対する挑戦状か!?(笑)
https://www.google.co.jp/maps/@34.0733493,135.8251596,15z
山津波で出来た土砂ダムが発電用ダムとして活躍している
例
もあるのである。 (池が出来たの江戸時代とかだけどw)
閑話休題(それはさておき),更に風屋ダムに関する調査を続行すると此処へ来て新証言キター!!
https://www.kkr.mlit.go.jp/river/iinkaikatsudou/qgl8vl0000004aue-att/40_4.pdf
[
巨大pdf注意!
]
これだと機械化1960と同じ経路で水路が描かれている。施設の所有者である電発の資料なので間違いは有るまい。し かも,本来私が一番知りたい(そのせいであちこちのダムや取水堰を駆けずり回っている…)取水量まで明記されてる!!
ということで国土地理院が敗北(水路経路の記述が間違い)との(意外な?)結末となった。
因みにこの資料は風屋ダムの濁りに関して作成され たもののようであ る。大自然との斗いは続く宿命のようである。
更に"意外な?"に関しては。その後あちこち見て行く内に地理院の地下水路は可成り不正確で ある事が続々判明した。
近い所だと
小森発電所の放水口
とか,初期の頃の私を悩ました案件だと
馬瀬川第二
や
下小鳥
の放水路とか,他にも
越百 川導水路
の不記載等々。
この取水管(
『機械化』
だと滝川支水路とされてる)だけど放っとくと風屋ダムの直下で十津川に流れ込んでしまう のを風屋ダムに注ぐ為のものである。第1集水用注水口で流量4.7m2/sである。
標 高約297m
。,先程見たように栗平川取水口(計画地)付近の分岐点の標高が304mで奥平取水ダム付近が
標 高304m
なので殆ど有効落差が取れずこの送水管を用いた小水力発電もなされていないと云う事らしい。奥平取水口だけ
堰
ではなく
ダ ム
となっているので一寸規模が大きいのかも(
ス トビュー
)しれない(その後調べてみると
堤高に基準
が あって15m以上はダム,それ未満は堰堤との事が判った)けど,それでも発電は一寸難しそう・・(その後各所の水量などを見るに4.7m3/s等は結構上 等の水量である。発電したいwとは言え取水をメインにしているので風屋ダムとの有効落差がほぼ無くて発電は十津川第一P/Sに纏めた方が効率的という事で あろう。)。
ただ一寸謎も有って,例の+地点,
滝 川沿いの水路管と村道との交点
では導水管は道路の下を通ってる感じで,道路面付近で
標 高280m
程。湖面が少々高すぎる気がする。
通 潤橋みたい
に奥里ダム側の勾配で水を落とししてもう一度向かいの山の斜面途中迄勢いで上げたりしてるのかな?(→どうやらそうらしい。サイフォン という様だ。勾配では無く高度と水圧管で行けるらしい。ソース:
ダムペディア
の滝川を渡る水 圧鉄管辺りを参照されたし・栗平川のサイフォンはよく判らないがて)
兎も角,確定した情報で取水堰・取水ダム情報を纏めておく。ダム便覧も取水堰も載せてくれれば良いのに。海外の様に貯水量で分けて暮れても良い。
<第一集水路>
奥里取水ダム[
ダム 便覧
]
(標 高297.6m)
河川: 新宮川水系滝川(十津川支流)
目的/型式 P/アーチ
堤高/堤頂長/堤体積 20.5m/81.3m/2千m3
流域面積:34km2 ( 全て直接流域 )
総貯水容量:17.6万m3
取水量:
3.0m3/s
ダム事業者:電源開発(株)
着手/竣工:1954/1960
栗平取水堰(擬定地:
標 高302.4m
)
河川: 新宮川水系栗平川(滝川支流)
取水量:
3.0m3/s
ダム事業者:電源開発(株)
第一集水路(
標 高:298m
)
最大集水量:
4.7m3/s
注水先:風屋ダム(
取 水口295.0m
)
<第二集水路>
小川取水堰(
標 高:326.6m
)
河川: 新宮川水系芦廻瀬(あしのせ)川(十津川支流)
取水量:
3.0m3/s
ダム事業者:電源開発(株)
大野川取水堰(
標 高:309 m
)
河川: 新宮川水系大野川(芦廻瀬(あしのせ)川支流)
取水量:
4.7m3/s
ダム事業者:電源開発(株)
第二集水路
最大集水量:
4.7m3/s
注水先:十津川第一発電所
風屋貯水池の水質混濁が問題になっているようであるが,まあそれとは関係なく我が奥栗平川ダム構想いけんちゃうか。
まあ山体崩壊とか簡単にするような地質だとやばいかね,常考・・・とまれ,日本の技術力を信じたいとこ。
因みに地形が改編しちゃってるからよく判らないけど土砂ダムの地点は
こ の辺
。 標高500m程,流域面積10km2以下と云った所。
ウ オノ谷
・
カ ヅネ谷
を経由して,(3m3/sを2箇所で集水して4.7m3/sなので1m3/sを3箇所で集水して2m3/s程度行けるかな??と云う事でそ れよりは控えめにして)1.5m3/sで標高296m位で風屋ダムに流し込むことを考えると,凡そ2,500kW(仮称:高時発電所・近傍の山より。)で ある。そこそこちゃうか。更に奥里ダムの上流の
滝 川
からも導水すればより水量確保が可能である。
3m3/s
を確保出来れば 5,000kWに出来る♪より上流では あるが今4.7m3/s取ってる所を3m3/s取る位は余裕では無いか?
ざっと当たりを付けたところで実際に地図で測って見て見る。
【風屋周辺発電所構想検討】
▲
栗平川・旭川・滝川方面
芦廻瀬川方面
神(か ん)納川方面
栗平川・旭川・滝川方面
△
滝川は
こちら(大峰)
とぶつかるので
奥吉野方面
からのみ取水してみる。50.7km2程か~♪メインの宇無ノ川は勿論大 峰山麓で水量豊富である。
そこで本当は旭ダムの貯水量使いたいとこだが敢えて471mのダム直上から取水。未練を断って落差を求める。(出来れば栗平川と宇無ノ川には貯水量欲し い。)
放水は勿論風屋ダム295mである。
[私案]栗平川発電所or風屋北発電所
出力:8,500kW[+8.5MW]
水量:6.0m3
落差:172m
面積:50.7km2
取水:6箇所471m
放水:十津川[風屋ダム]295m
なかなか♪
滝川方面は大峰で検討したやつように残して置いている。
[B案]奥里発電所[
→大峰
]
出力:11,700kW[+11.7MW]
水量:3.3m3/s (途中の沢で取水可能)
落差:427m
導水:13.6km程度 (0.86)
取水位:741m
放水:奥里ダム310m[風屋ダムへの導水路の増強が必要(3.0m3/sしかない)]
この栗平川(or風屋北)発電系による影響は栗平取水口(及び奥平ダム)の機能低下である。取水量低下でも既存設備の施設維持コストは掛かり資本効率は低 下するが,結局風屋ダ ムに流入するので使用水量そのものへの直接の悪影響は出ない。更には奥里発電所構想で 奥里側で放水があって奥里ダムでの取水が増えると栗平川側からの取水が少ない方が有り がたいのである。結局なかなかバランスの取れた感じになってきている。
この辺の計画に似た方向で
奥吉野
と
大峰
でそれぞれまとめた。
芦廻瀬川方面
△
さて,栗平川同様,芦廻瀬川でもやってみる。
(A案)先ずは取水位527m
取水位からの導水は4.5km程か。
600m程でやってみる。面積は30km2に減る。
(B案)大野で発電するケース
(C案)風屋にもってくケース(可能なら主導水路の途中にぶつければ(図中
桃色線
)導水距離が一 番短くて良い様な。。)
風屋に回すと5.5kmで295m,大野に回すと4.5kmで放水位308m。
ざっと計算してみるとA案:8.3MW,B案9.2MW,C案9.6MWとなった。B案を採用してみる。
[私案]大野川発電所
出力:
9,200kW[+9.2MW]
水量:3.85m3/s
落差:280.5m
導水:4.5km+
流域:
31.4km2[→上のB案]
取水位:白谷・芦廻瀬川・大野川 595m
放水:大野川[大野堰堤]308m
葛川方面
△
残る一箇所,穴で
よっきがレポした芦 廼瀬(あしのせ)川
の小川堰堤にも導水・発電してみる。
面積従って水量も大して取れないから導水序でに発電する
易老沢(いろう ざわ)[出力250kW・流域8.8km2・水量1.2m3/s]
や
弥 山(みせん)[出力420kW・流域
6.8km2・水量 0.557m3/s]
的な感じになるか。ミュージアムの出し物的な
赤松[0.8kW]
程小さくは無らない筈。
(A案)導水距離を最短にすると1.45kmでここ(
葛 川EL448m
)。上流は6.3km2。小川堰堤の標高はEL326m程のようであるから落差は120m程。水量1.0m3/sとして 1,000kW程度かな。
[私案]小川小水力発電所
出力:1,000kW[+1,0MW]
水量:1.0m3/s
落差:120m
流域:6.3km2
導水:1.45km
取水:葛川
放水:芦廻瀬川[小川堰堤]
(B案)6.3km2の水量+1.0MWの発電と比べてどっちがどっちか判らないが導水距離をもうちっと延ばして(3.0km程度になる)
此 処らで取水
すると発電も諦める代わりに11.0km2(倍増近い)にする手もある。
更にもう1.66km延ばせば(総延長4.7km)
熊 谷
からも取れる。更に1.34km延ばせば(総延長6.0km),
立 合川
となる。
(C案)この辺は
小森ダム付近での計画
とかち合う感じ。向こうは7.0MW程出せ る。
小森案を突き放す為に標高高くして取ってみる。
[私案]葛川発電所
出力:2,350kW[+2.35MW]
水量:2.0m3/s[1.56]
落差:140m
流域:12.8km
導水:4.5km
取水:
葛 川
・
熊 谷
・
立 合川
480m
放水:芦廻瀬川[小川堰堤]330m
出力は小さいが,こちらは十津川第一・第二で発電出来る。どっちが有利か慎重に検討したい。
→慎重に検討してみた
ルート名
流域面積
総落差
発電量指数
十津川回り案
12.8km2
140(葛川)+144.23(十津1)+90.00(十津2)= 374.23m
4,790
北山回り案
22.8km2
235(葛川)+49.00(小森)=284m
6,475
北山回りに軍配上がった♪
ここは面積が効くみたいである。
あと殆ど誤差に近いけど風屋ダムから発電所へ導水してくる途中で補充できそうな沢がある。親ノ谷とその脇のイリ谷。最近は無闇な導水に懐疑的になりつつあ る俺ではあるが導水路の直近だし。。
これも上の(C)案の途中合流を併せたりすると効率的かもと思ったり。
神(かん)納川方面
△
さて西側,神納川方面を開発していく。標高が低い三田谷はサイフォンで跨ぐ。流域の東北の尖端,伯母小岳を介して川原樋川と熊野古道で繋がっている地域で ある。また西端には護摩壇山という如何にも修験道の謂われありそうな山もある。
[私案]神納川発電所
出力:
9,000kW[+9.0MW]
水量:4.0m3/s
落差:270m
流域:38.2km2
取水:神納川・小井谷573m (取水位は一寸嵩上げしたい)
放水:十津川[風屋ダム]299m