電力総研TOP 水 力あれこれ

22.6.28更新
21.6.13頃運開
粕川(かすがわ)の電源開発

知らなかったが発電所がある。読み方は此処から。
沿川の平均年間降水量は2000~2500mmってとこ。此処から推定される取水流域比は75%ってとこ。

出典:国交省

下流から遡上しながら見て行く。

~粕川~

揖斐川から分流(EL=35m)

お約束の山を出たところの堰である。左右両岸に潅漑用水を取水しているようだ。
粕 川取水堰(仮称)(EL.=76.2m) [YT

左岸に関しては小島取水口というらしい[岐 阜大
5/1-9/30に2.39m3/sの慣行水利権を保有しているようだ。



なかなか因縁深い歴史有りそう!

池田町側(右岸)の用水の状況は現時点で不明。調べてもなかなか引っ掛からないが此処らは牧田川 圏域だそうで粕川との関係は軽視されがちなのか?

埒があかないので現地へ飛ぶことにした。結構上流へ遡ると頭首工が現れた。両岸に取水施設があるのが判る。
22.8
左岸アップ

右岸アップ

両岸の取水施設と堰堤の魚道


<揖斐川町土地改良区小島水系区>
右岸・立入禁止の看板には揖斐川町土地改良区とある。

こちらには揖斐川町土地改良区小島水系区とある。

潅漑用水(小島用水)


<粕川一ノ井水土地改良区>
左岸・粕川一ノ井水土地改良区→遂に判明!一ノ井水と云うらしい。小島用水の一ノ井組と一寸被るが。。

看板アップ

水路の流れ。


この日は疲れてて(前日の同窓会でなんと講演を頼まれたのである!)此処を見た後,春日まで見たがその後の5箇所程のダム・発電所・取水口をすっ飛ばして 帰って来てしまった(西平には寄った)。そろそろ調査も限界かも。

<小島取水口と現時点で最下流の春日発電所間の未利用落差あり!検討はの②で行う>
以下,3連続する発電所の配置はこんな感じ。更に上流でも水源確保の可能性ありそう。



中部電力(株) 春日発電所[水力][DB
所在地:岐阜県揖斐郡揖斐川町春日六合
運開:1920(T9)2[不明]・出力増強:?[+200kW]
水路式・流込式
   認可最大出力:2,000kW  常時出力:1,400kW[70%]
    最大使用水量:4.17m3/s (46.8%)
    有効落差:58.40m
    水車:横軸フランシス水車×2台 総出力2200kW
    導水路:総延長3348.7m
    流域面積:89.0km2
    取水:粕川[小宮神発電所放水口]加藤]→高橋谷川[高橋谷ダム]164.96m
    放水:粕川101.47m

橋の上から全景

道の上から鉄管下部。どうやら可愛い円筒の建物が発電所建屋のようだ

鉄管上部。無骨なカクカクしたのが上部水槽??

リプレースしたい所だが水力さんに拠ると+200kWの出力増強がどっかの時点であったらしい。余り新しいとリプレースなんかしてる場合ではないけど, DBにも現行設備の設置年月日は記載がない。
まああんま近年のものではなさそうだけど。運開から100年も経って居るし,そろそろ大規模に更新したい所。

流域面積が89km2あって常時出力も最大出力の70%と高めだし,平行して発電所建設して発電場所を70m程度迄下げたりすると良いかも。


高橋谷ダム[場 所][水 力][便覧
    堤高:18.5m
     総貯水容量:3.9万m3    有効貯水容量:3.9万m3
    流域面積:10.6 平方キロメートル    湛水面積: 1ha
着手/竣工:1916/1919

>古いダムで、堆砂が激しくて、ダム湖はほぼ埋まっている。[便覧
とのこと。有効貯水量=総貯水量=3.9万となってるけどスペック上の話しで実際は有効貯水量=堆砂容量=3.9万って感じなのだろう。。

明らかに此処と小宮神PSの二箇所以上で取水しているのにDBには記載無し。

中部電力(株) 小宮神(こみかみ)発電所[水力] [『飛騨川』]
岐阜県揖斐郡揖斐川町春日小宮神
運開:1908(M41).12[岐阜電氣(株)/運開時300kW]
水路式・流込式
   認可最大出力:800kW      常時出力:710kW[88.7%]
    最大使用水量:3.06m3/s (42.0%)
    有効落差:33.33m
    水車:横軸フランシス水車 出力850kW×1台
    導水路:総延長391.2m(小宮神~河合)・1350m程?(河合~長谷川)
    流域面積:72.2km2
    取水:粕川[河合発電所放水口]、長谷川[ス トビュウ][地 理院(水路の記載無し)]201.21m
    放水:粕川[春日発電所取水口]166.00m

『飛騨川』中部電力(1979)の記述によると明治41年の運開時より粕川と長谷川の水を利用していたようであるから施設が当時のものかどうかは別として 当初から両河川の水を使っていた様だ。

河合発電所を前に,河合と云うぐらいなのでそれがあるのは明白なのだが,川が二手に岐れる。
~長谷川~

小宮神発電所長谷川取水口[ス トビュウ][地 理院(水路の記載無し)206m

(押又谷分岐:288m付近)
~押又谷~
以下③で河合発電所へこちら(長谷川)側からも導水すると288mで押又谷が分岐する事になる。

そのまま長谷川を遡上すると峠の向こうは明神湖。不通県道である。峠で繋がってる(少なくとも25年前の昔は通行可能だった)林道を下れば大学時代に良く 来た思い出の明神の森である。
とすると伝説のシビックを掛川に取りに行った帰りに冬季通行止めに入ったら坂が凍結してて同行のシルビアが登れなくて四苦八苦したの此処らか!?(峠から 県道ではなくそのまま林道を池田町 への方へ抜ける道だった可能性もある。)

いずれにしても今では災害通行止めで林道の通り抜けも出来なくなっている様だ。余り投資効果の無い部分に関する緊縮財政には賛成だがちと淋しさは否めな い。


中部電力(株) 河合(かわい)発電所[水力
所在地:岐阜県揖斐郡揖斐川町春日川合
 運開:1913(T2).5[岐阜電氣(株)]
水路式・流込式
    認可最大出力:1,500kW   常時出力:1,100kW [73.3%]
    最大使用水量:1.90m3/s (50.3%)
    有効落差:96.62m
    水車:横軸フランシス水車 出力1560kW×1台
    導水路:総延長1002.1m
    取水:粕川[取水堰]303.20m
    放水:粕川[小宮神発電所取水口]203.76m

粕川取水堰(仮称)[場 所
取水位:303.20m
流域面積:37.8km2

北側の方が雨量も多いし流域も広くて勾配もきついと云うことでこちらからメインに離水しているのだ極めて妥当か。

以上を纏めると常時出力も結構高くて水量を十分に使い切れていない。
発電所 現行発電量(常時) 現行水量(常時?) 流域面積 有効落差
導水路
その他
春日
2,000kW(1,400kW[70%])
4.17m3/s(2.9m3/s)
89.0km2
58.40m
3.35km

小宮神
800kW(710kW[89%])
3.06m3/s(2.72m3/s)
72.2km2
33.33m
0.39km

河合
1,500kW(1,100kW[73%])
1.90m3/s(1.38m3/s)
37.8km2
96.62m
1.00km

合計
4,300kW(3,210kW)



4.74km

河合で粕川は粕川本流と長谷川に岐れる。長谷川は随分勾配がゆったりしていて河合発電所と同じレベルから取水仕様とするとこんなに長い距離を導水する必要 が出てくるので現状では粕川方面でしか使いこなせていない。
この辺が課題となりそう。

2.開発余地

可能性としては
3発電所の取水量を倍増[+2.3MW(春日)]
春日発電所取水・粕川井堰(仮称)発電の新規建設[+2.2MW]
長谷川での発電(河合へ導水含む)[+1.7MW]
粕川上流での発電(河合発電所更新)[ +4.5MW]
倉ノ谷導水(小宮神発電所の更新)[+1.3MW] 
などがありそう。

②一番下部なので上とのバランスとか考えずに只管水を集めて発電すれば良いから気は楽で有る。
春日の流域面積:89.0km2=9m3/sに加えて19.96km2=2m3/s程追加分,更に川を渡って足打谷7.08km2=0.7m3/sの合計 11,7m3/sで行く。
落差は春日の101mに対して粕川合同井堰(仮称)75mで精々23m程度である。これだけ頑張っても2,200kW程度。

ここは小水力の範疇のようでは有るなあ。

近年の中電の設計思想は多めに発電力積んで自慢のLNG火力で柔軟に調整していくと云うものである。
春日PSの流域面積89km2に春日PS地点で追加で取水出来る26km2を併せて合計115km2。12m3/s程は期待持てそう。

[私案]粕川発電所
出力:2,200kW[+2.2MW]
水量:11.7m3/s
落差:23m
導水:3.2km (0.68)

あかんわ。。12m3/sも集めてもこれっぱかでは。。
平行して造って現行設備の稼働率を落とすよりは思い切って日PSを廃止して粕川取水堰付近で新春日PSを設置する方向で検討してみる。
なるべく既存の設備を活用する為,既存の鉄管などを最大限活用する。

取水施設→取水量を倍増させてそのまま利用(必要によって増強)
既設導水管→そのまま利用・取水量倍増には平行してもう一本増設で対応
上部水槽・サージタンク→取水量に応じて容量倍増
水圧鉄管→サイフォンとして再利用
新設導水管→現春日発電所地点からサイフォンで対岸に渡りそのまま圧力トンネルで導水。(水圧鉄管をサイフォンの一部として使えるか不明だけど原理的には 同じだよね。。)
途中取水→既設の高橋谷に加えて現春日発電所地点と新春日発電所の間の足打谷でも取水。
新発電所→粕川井堰(小島取水口)付近に建設

[私案]新春日発電所(or粕川第一発電所)
出力:7,700kW[+5.7MW]
水量:11m3/s
落差:83m
流域面積:89.0+16.9=105.9km2
取水:粕川[粕川第二発電所(or小宮原発電所)]・高橋谷・足打谷・野原谷・樫
放水:粕川[小島取水口]



そこそこの規模になったけど小宮原PSから高橋谷D経由の既存水管が目一杯拡張した水量に対応出来るかが不明。


③⑤冒頭の図でも書き込んだように河合 発電所の長谷川筋からの導水
押又谷303m付近[ストビュ ウ][地 理院303m
長谷川303m付近[ストビュウ][地 理院303m
追加面積:20.6m3/s→2.1m3/s
程取れる。河合近くの倉ノ谷からも取水出来る。
配置が既存の発電所と接続しづらいし,固定費用が永遠に掛かってしまう。
もういっそのこと小さくてバラバラの両発電所を合同させれば良い。新河合発電所or粕川第二発電所である。


[増強私案]新河合発電所or新小宮原発電所(or粕川第二発電所)
出力:6,600kW[+4.1MW]
水量:6.0m3/s[+2.2m3/s]
流域:37.8km2[粕川・現河合発電所取水堰流用]+24.7km2=62.5km2
落差:130m
導水:
取水:粕川・長谷川・303m
放水:粕川[新春日PS取水堰]166m

別々に増強するのと出力は変わらん上に資本コストは削減できるであろう。

④河合発電所の奥での発電。
高さが足りないので分流後の351m程度で取水。35.5km2
3.6m3/s取水で低落差44mに挑む

[私案A]奥河合発電所or(粕川第三発電所)
出力:1,300kW[+1.3MW]
水量:3.6m3/s
落差:44m
流域:35.5km2
導水:1.8km
取水:粕川・表川351m
放水:粕川[河合取水堰]303.20m

小さい。もっと上流を見て見る。
432m(表 川正 面谷吹(ふ きん)谷粕 川古 田谷尾 西谷)で取れそう。それでも3,000kW強っぽい。ないかなぁ


[私案B]奥河合発電所or(粕川第三発電所)
出力:3,300kW[+3.3MW]
水量:3.1m3/s
落差:128m
流域:30.9km2
導水:5.4km
取水:粕川・表川432m
放水:粕川[河合取水堰]303.20m

455mでちゃれんじ。流域は27.7km2に2.8m3/sで150mとすると3,500kW。この辺が限界 か。。


4,000kW以上は欲しいと云う持論の私だけどまあ連続して開発すると云う事でここも入れる。北の方は2,500mm~3,000mmと雨も多めだし な。
出来ればこ の辺に貯水池欲しい。。人跡未踏って程ではないにしろ立ち退きは不要っぽい。

[私案C]奥河合発電所or(粕川第三発電所)
出力:3,500kW[+3.5MW]
水量:2.7m3/s
落差:150m
流域:27.8km2
導水:km
取水:粕川・表川455m
放水:粕川[河合取水堰]303.20m

どうも現在の粕川の河合 取水堰の位置が中途半端の様である。

粕川第二発電所(新小宮原)の現河合発電所の取水堰と想定されてる取水位をもっと下げる事で長谷川方面への導水距離を減らし流域面積を増やしつつ,粕川第 三発電所(新河合)の落差をデカくする事が出来る。


[増強私案]新小宮原発電所(or粕川第二発電所)
出力:4,200kW[+3.4MW]
水量:7.2m3/s[+4.14m3/s]
流域:72.2km2(現小宮原流域)-2.4km2(取水点を上げる事に拠る逸失分)=69.8km2
落差:70m
導水:
取水:粕川・三 谷・尾又谷・長谷川 240m [谷名は川名地図より。但し多少地形が違 う・・GSV だとこんな感じ。地理院には不記載の林道もある様だ]
放水:粕川[新春日PS取水堰]166m

そして満を持して粕川第二(新小宮原)の新取水堰に向かって粕川第三(新河合)を建設する。
取水ポイントが上述の2案(私案B私案C)。大差ないが私案Bの方 が導水距離とか節約出来そうである。

[増強私案]新河合発電所(or粕川第三発電所)
出力:4,700kW[+3.2MW]
水量:3.0m3/s[+1.1m3/s]
流域:30.9km2
落差:188m
導水:5.4km
取水:粕川・表川432m
放水:粕川[粕川第二PS取水堰]240m

まとめるとこんな感じ:

発電所 最大発電量(常時) 現行水量(常時?) 流域面積 有効落差
導水路
その他
粕川第一(新春日)
7.700kW
11m3/s

83m


春日
2,000kW(1,400kW[70%])
4.17m3/s(2.9m3/s)
89.0km2
58.40m
3.35km

粕川第二(新小宮原)
4,200kW
7.2m3/s
69.8km2
70m


小宮神
800kW(710kW[89%])
3.06m3/s(2.72m3/s)
72.2km2
33.33m
0.39km

粕川第三(新河合)
4,700kW
3.0m3/s
30.9km2
188m


河合
1,500kW(1,100kW[73%])
1.90m3/s(1.38m3/s)
37.8km2
96.62m
1.00km

合計
16,600kW





合計
4,300kW(3,210kW)



4.74km