電 力総研 水 力あれこれ 天竜川中上流
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20.10.9運開

船明ダムと天竜川下流域の電源開発

現況浜名用水 磐田用水 電源開発

さて遠く諏訪湖から延々と発電しつつ天竜川流下の旅をしてきた水どももこれで最後のお勤め,船明ダムである。まあ有名だから今更説明もなんであるけど船明 とかいて「ふなぎら」 であり,明るいのはギラギラしてるって事から明の漢字を宛てたのであろう。

明と書いて「ぎら」と訓ませるのは子供心になかなかお洒落だと思った。太陽は明々(ぎらぎら)輝くと書ける のであ る♪
近所には日明(ひやり)と云う地名もあるようである。こっちは「ひあかり」から来ている様だ。明の字,自在だら~。

wiki に拠ると,船明ダムは1977年(昭和52年)に完成(←意外に新しい)。 本ダムの完成によって、「1925年(大正15年)に福澤桃介が天竜川電力を立ち上げ、建設を開始した大久保発電所(長野県駒ヶ根市)以降、日本の電源開 発事業・土木事業を牽引してきた「天竜川電源開発事業」は52年目にして完結し、終了したのである」とある。色んな意味で掉尾を飾っているダムだけどまだ 可能性在るぞということを含めて検討をしていく。まあこの辺を最後に平野部に出てしまうのでなかなか電源開発が難しいのは確かではある。

船明ダム
21.8

電源開発(株)船明ダム[水 力
目的:発電
着手/竣工:1972/1976
堤高:24.5m、堤頂長:220m
総貯水容量:1,090.0万m3    有効貯水容量: 360.0万m3
利用水深:2.2m
流域面積:4,895km2    湛水面積:1.90平方キロメートル




船明発電所[水 力
電源開発(株)
運開:1977
ダム式・調整池式
認可最大出力:32,000kW    常時出力:11,400kW
最大使用水量:270.00m3/s
有効落差:14.50m
取水:天竜川[船明ダム]57.00m
放水:磐田用水、浜名用水、天竜川42.00m

天竜川下流地域取水事業[国 交省資料
事業種類
事業名 取水地点 取水量
関係市町村
その他
出典
国営農 業水利事業※1
国営天竜下流
農業水利事業
船明ダム 潅漑期:37.977m3/s
非潅漑期:11.921m3/s
浜松市、磐田市、 袋井市、森町 潅漑面積:8,905ha 水利権更新に関わる
河川協議資料

国営三方原
農業水利事業
秋葉ダム
潅漑期:5.469m3/s
非潅漑期:1.354m3/s
浜松市
潅漑面積:4,405ha
上水道事業
三方原用水
秋葉ダム
上水1.221m3/s 浜松市


広域水用道水※2
供給事業
遠州広域水用道水
供給事業
船明ダム 寺谷浄水場・於呂浄水場
121,300m3/日(1.404m3/s)
浜松市、磐田市、 袋井市、森町 開始:1979年8月 遠州広域水道用水供給事業 
静岡県企業局
都田浄水場
115,500m3/日(1.337m3/s)
浜松市、湖西市、 新居町 開始:1989年4月
工業水用水道事業※2 中遠工業用水道事業 船明ダム 175,000m3/日(2.028m3/s) 磐田市、袋井市 開始:1979年7月
静岡県 HP

西遠工業用水道事業 秋葉ダム 241,000m3/日(2.789m3/s) 浜松市 開始:1967年10月








【取水量合計】

秋葉ダム
潅漑期:8.258m3/s





船明ダム
潅漑期:42.746m3/s



※1>>


※2>>

件名
遠州広域水道用水供給事業
中遠工業用水道事業
水利使用者名
静 岡県企業局
目的
上水道
工業用水
取水量 1・2月
2.002m3/s
3・4・12月
2.128m3/s
5・11月
2.253m3/s
6・10月
2.378m3/s
7・8月
2.503m3/s
9月
2.428m3/s
通年
0.932m3/s
給水区域
浜松・浜北・天竜・磐田・袋井・豊岡・豊田・ 森・竜洋・福田・浅羽・湖西・新居 磐田・袋井・豊岡・豊田・竜洋・福田・浅羽

どうもというか考えて見れば当然だが,此処を起点に浜松側の西岸と磐田・袋井側の東岸に分かれて幹線用水路が設置されてそれぞれ配水しているようだ。
東側は磐田用水。西側が浜名用水が代表的な潅漑用水のようだが水道用水・工業用水も重複しててなんと呼ぶのが正式なのかはよく判らない。磐田用水・寺谷用水はこちらで纏めた。

また用水だけど一旦発電してからその放流水をそのまま送水している様だ。船明ダムの直下の河床下に暗渠(左岸導水路)があるようだ。最大40m3/sちょ いなのでまあ殆どは天竜川に放流されることになるが勿論フルタイムで270m3/s放流している訳でもないだろう。
出典:ダム便覧

船明発電所運転実績
稼働率:68.2%(2015年実績)
出典:静 岡県

2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 平均
使用水量(百万立方㍍)  5,485.80 4,517.00 5,364.50 5,016.00 4,791.60 5,109.30 0.00 2,788.50 0.00 4,724.67 (62.8%)
ダム放水量(百万立方㍍) 1,946.00 5,587.26 4,684.70 1,448.40 1,110.40 1,271.50 0.00 3,520.80 0.00 2,795.58 (37.2%)
発電量(千kWh) 185,558.00 131,369.00 181,979.00 169,388.00 168,493.00 178,822.00 0.00 97,426.00 0.00 159,005.00
出典:静 岡県よりとはずがたり修正(2010年の使用水量とダム放水量を1/10した)

発電量は経年も月別も結 構一定である(船明ダムの機能である逆調整とはそういうものである)。月間発電量の上限は23.8千kWhなので結構上に張り付いてるけど 稼働率が上がらないのは需給ギャップなのか?水がある時 に需要が無くて or供給力がなくて発電出来ない感じか?
ここではタイムラグがあるとは云え上流の佐久間・秋葉での放流を受けて発電する船明発電所であるので前者を取りたい。
詰まり使用水量が少なくて(秋葉1~3合計336m3/sに対して船明270m3/s),気田川等から流れ込む水を有効に使い切れてないという立場であ る。ただ気田川の水は均されてないのでダムが欲しい所である。
更に阿多古川や二俣川の水も使いたい。

下で見るように,船明発電所の使用水量が支流の流込でダムでの通過水量は増えてるのに少なくなって もゐる。是非供給力を増やして対 応したい。

此処から磐田用水,浜名用水へ分水し,ダムも発電も終わりである。1977年と竣工も結構遅め。

ただダム直下(41m)で取水して上野部辺りで発電して堤防内に函渠掘ってこの辺(26.7m)で放水するなどでもう一 発発電出来そうでは?
秋葉第二PS放水口の見学をして遠江横山 ダムを思いつく前に作成の図なのでそれが反映されてないけど。。
船明では発電で使う270.00m3/sという結構大きな量を取水している。水源は大いに越したことはないので阿多古 川と二俣川にお出ましを願う。
両流域で合 98.6km2ある。此処らでの検討等から2億トン程水を増やせそう。詳しくはこの辺で検討。


主に磐田用水の地下水路の経路が解らないのでイマイチ導すれば良いかってのは考えあぐねる部分はあるんだけど,ダム直下で取水して二俣辺りで発電して上野 部辺りで放水する二俣発電所案と,船明ダムで取水して上野部辺りで発電す る上野部発電所案の二つ思いついたが,結局岩田用水へ水を返すとなると余り放水位を低くできず新設は余り効率的では無い様な気もしている。
船明は浜名用水从属+ピーク電 源として稼働率を落として二俣で はなく野部発電所を最大150m3/s程度で出来るとどうだろうか?

西鹿島頭首工(旧浜名用水取入口)[場 所][静 岡県][浜 松市][廃墟日常 →図面などあり
(取水量:17.0m3/s)

随分河床が低くなってしまったようだ。
22.5
向こう側に見える取水口跡の真上にある金原明善翁胸像

碑文。像の主は言い出しっぺとかではなくスポンサーだったようだ。
22.5
鹿島橋の橋脚。既に注意ぐらいの水嵩にならないと取水出来なくなってる感じ?


今は船明ダムからの取水になった筈(天竜川下流農業水利事業に統合された様だ)なので取 水先は船明ダムの直下船明発電所の放流水で導水幹線にどこかで接続しているのであろう。

図2-33 浜名用水の用排水系統図(1) 浜名用水の用水系統図
出典:浜 松市立中央図書館/浜松市文化遺産デジタルアーカイブ

図2-34 浜名用水の用排水系統図(2) 浜名用水の排水系統図
出典:浜 松市立中央図書館/浜松市文化遺産デジタルアーカイブ

水を200m3/sでも使えると色々あり得そう♪

[試案]二俣堰堤[こ の辺(敢えて川巾が広めの場所に造って洪水時の下流への流下をスムーズにしていく)]
堤高/堤長:
満水位:41m

[試案]二俣(城)発電所or西鹿島発電所
水路式・流込式
出力:15,000kW[+15.0MW]
水量:200m3/s→船明を有効活用出来る
落差:9m
導水:755m
取水:天竜川[二俣堰堤・船明発電所直下というか西 鹿島頭首工跡直上]41m
放水:天 竜川[阿蔵辺り?](28m)

って感じになる。まあまあデカい。落差が一寸小さい感じは否めない。

もっと云うと上で検討した様に船明の使用水量が少なくて水を逸失している可能性がある。


磐田用水阿蔵取水口跡[水土][自然と歴史][youtube][地 理院
元取水量:13.9m3/s?[国 交省(22p参照)]

近づけなかった…orz
たぶんこ れ。対岸からの遠写。地図の場所とズレてるから何代かある内のひとつか。何度か潰れて造り直したらしいし。
22.5


[私案]二俣(川)発電所
ダム水路式・調整池式
認可最大出力:21,500kW[+21.5MW]
最大使用水量:120m3/s →船明の使い切れてない水も利用出来る。
有効落差:21m
導水:7.3km →二俣川取水直後に発電所・そこから上野部迄は放水路
取水:天竜川[船明ダム]・二俣川57.0m
放水:天 竜川磐 田用水・上野部発電所]32.0m →磐田用水へ供給

[私案](上)野部発電所
水路式・調整池式
認可最大出力:4,000kW[+4.0MW]
最大使用水量:120m3/s
有効落差:4m
取水:磐 田用水[二俣川発電所]32.0m →磐田用水への残り水を利用
放水:天 竜川24m

佐久間・秋葉・船明の増強結果まとめと検討
使い切れない水は基本的に増水時に一時に流れ込む水を抑えきれない事で起きる。ダムがあれば今は下流に無為に流されてしまっている新水源が開発出来るので ある。

佐久間・新豊根・水窪には余裕がある(佐久間は新豊根への揚水も使っている)。船明と秋葉は余裕は無い。勿論新設の西渡・相川・気田第一・気田第二もガラ ガラである(新設規模に拠るけど相川・西渡は規模が微妙。。)。詰まり既設の佐久間・新豊根・水窪,新設の諸ダムにどれだけ水を貯めて秋葉と船明の処理能 力を上げられるかが課題・
可能使用水量増\負担増 新豊根
水窪
佐久間
大千瀬ダム・相川ダム 西渡ダム
秋葉
気田川秋葉ダム
船明
負担減合計(水量)
[類計]
佐久間ダム
(添島・井戸 川・ 虫川 19.1km2)
豊根発電所添島導水 4.1km2
小沢川・河内川 10.1km2
門桁 56.8km2






▲71.0km2
(2億1000万トン)
秋葉ダム

翁川 9.1km2 翁 川 17.4km2
佐久間河内川 5.3km2
(大入・東薗目川 17.0km2)
 計22.7km2
大千瀬 川・相川(99.7km2)
 
(佐久間地区・水窪川(124.9km2)


▲131.5km2
[▲202.5km2]
(3億9000
万トン)

船明ダム





白 倉川 17.4km2 気田川 210km2
▲227.4km2
[▲429.9km2]
(6億8000万トン)
天竜川下流







阿多古川 61.6km2
二俣川 37.0km2
▲98.6km2
[▲528.3km2]
(3億トン)
総計負担面積(水量)増
+4.1km2
+76.0km2
+22.7km2

+99.7km2

+17.4km2

210km2
98.6km2

累計得失差[累計増]
(有効可能使用水量
[累積有効可能使用水量])
+4.1km2
+76.0km2(低稼働率)
▲49.8km2
(1億5000万トン)
+99.7km2(新設)
0.0km2(新設見送)
▲114.1km2
[▲185.1km2]
(3億4000万トン
[4億9000万トン])
+210km2(新設)

▲119.0km2
[▲331.3km2]
(3億6000万トン
[8億5000万トン])


佐久間の処理量…新豊根(19.1)と水窪(10.1+56.8)の増分計(合計86.0km2)は両ダムに付随する発電所の発電量の増加にもプラス。佐 久間は,負担が軽くなる代わりに水窪他(52.4)や大入他(5.3)などを受け入れて合計74.7km2の負担増。結果11.3km2分の負担減であ る。この分は新豊根の揚水(コストである)を減らす事が出来る。またこれは新豊根の面積増19.1を下回っているので新豊根の機能に負担はならないばかり か必要に応じた揚水可能量の増加も見込めるのではないか。日本一の発電量を更新出来る日も近い♪

秋葉の処理量…上流で新豊根・水窪・佐久間・西渡・相川で394.4km2分の水が新たに貯水出来る。新たな負担は白倉川17.4km2で差し引き 394.4km2となる。
100km2あたり2~3億トン/年の水量が降り,一定規模のダムがあれば流入量の殆ど(90%以上) を貯めて使う事 が出来る概算を使えば約7~12億トンが諸ダムに受け止められて秋 葉が今放流している12億3,000万トンの大半を流さずに発電に 回せる事になる!?
気田川に関しては一旦秋葉に引き込む計画はあるけど同量以上を気田川第二ダムに引き込むので秋葉の負担にならないように導水することにする のでここでは計算に入れない。
ということで私の当初の目論見はほぼ達成できたと云っても良かろう♪上の推論で弱点があるとするなら西渡・相川の貯水量が十分かどうかで ある。

船明の処理量…これまでで747.8km2の安定化に成功してて98.6km2が流込差し引き563.2km2の余裕が出来る。秋葉と同じ様に 100km2あたり2~3億トンの水量が降り,ダムがあればその殆ど(90%以上)る概算を使えば10~15億トン程度の安定が見込めて発電に使う事 が出来るように成る。船明が今放流している27億5,500万トンの 1/3~ 半分以上ぐらいは発電出来る様になりそう。0.64と今は低めの水利用率だが 10~20%の改善は見えて来た感じである。更に上野部へ向けた発電所で100m3/s程度の発電をすると10億トンぐらいは使えてほぼ使い切れるといっ ていい感じになるのではないか?

2015 年(静岡県取り纏め資料)こちら の妄想放水量抑制可能推定 量
ダム・発電所 最大使用水量 有効貯水量 年間使用水量 年間ダム放水量 年間通過水量
水利用率
貯水量に拠る発電時間
摘要
佐久間ダム・佐久間発電所 306.0m3/s 2億0,544.4万m3
55.1億→56.5億
5.8億m3→4.4億m3 61.0億m3
90.4%→92.6%
186.5h(7.7日)

秋葉ダム・秋葉1~3発電所
336.0m3/s
775.0万m3 58.2億→63.1億m3
16.1億→11.2億m3
74.3億m3
78.4%→84.9%
6.4h

船明ダム・船明発電所
270.0m3/s
360.0万m3 53.8億→62.3億m3
24.8億→16.3億m3
78.5億m3
68.5%→79.4%
3.7h

[妄]大千瀬ダム・大千瀬川発電所







[妄]気田川秋葉ダム・光明発電所
50.0m3/s
650万m3程






[妄]遠江横山ダム・横山発電所







なかなか良い感じで改善でけた♪
更には佐久間ダム取水・大千瀬ダム放水の佐久間第三発電所,船明ダム取水・天竜川(上野部付近)放水で磐田発電所(本頁では 二俣(川)発電所)等の存在が水利用率を更に高められそう。

船明の存在で秋葉が尖頭調整を思いっきり出来る様になったように,下流に河口堰でも建設すると船明でも尖頭発電出来たりしないかな??