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2022.1.10改訂
2020.8.24作成

奥気田・門桁(かどげた)地区水力開発(21.1訪問)

(天竜川: 船明ダム)─【開発私案】(別頁)─気田発電所(杉川合流)増強私案─気田堰堤─豊岡発電所(石切川合流)【増強私案】豊岡堰堤佐久間ダム水窪発電所水窪ダム(別頁)←]門桁堰堤瀬戸の 沢堰堤─(気田川源流)【門桁地区開発私案(+11.0MW)

天竜川から岐れて気田発電所豊岡発電所と気田川を遡上していくとその最奥部の聚落は門桁である。気田川の最奥部も門桁川とも呼ばれるらしい。

どこからかが門桁川かはよく判らないが此の聚落辺りが境となっているであろう。また 気田川を共に遡上する県道はこの門桁で気田川を離れ山住峠を経て水窪へ道が通じているが,一部の水も気田川から取水され水窪発電所へ送られていて,その取水堰堤も門桁にあって,門桁堰堤と呼ばれている。地名故と思ったが川の名前 でもあったようだ。直ぐ隣の瀬戸ノ沢からも取水されているが堰堤は別々であった。
これら門桁から水窪発電所経由で佐久間ダムへ送られる水力発電施設は。発電量日本一の佐久間ダム・発電所を中心とした巨大水力発電インフラ群を形成してい る。

領域は以下の通りである:
瀬戸ノ沢(3.1lm2 程度)

門桁(53.7km2 程度)



問題意識① 秋葉ダム・船明ダムが貯め切れていない水量の存在 約12億トン/年

問題意識② 水窪発電所・豊岡発電所・西渡発電所の低稼働率

事実 水窪ダム・新豊根ダム・佐久間ダムの巨大な貯留量

考察結果 豪雨の後の本谷堰堤などはゲートを開放して発電してないように見えた。流込式は雨に弱くて(多分土砂混じりの水で発電すると勿論沈砂は通常する けど量的に間に合わず水車の命である羽根を傷つけたりするのかも)折角の書き入れ時に機能しない可能性がある。水を増やすなら発電使用などと云うスケベ根 性を出さずに直向きに水を集めるのに徹するべきなのかも知れない。有本堰堤がやる気無いように見える (←問題である!)のも大雨時のみ取水することで下流の西渡辺りに配慮し ているのかも。

この辺を解消するべく気田川奥地から水窪ダムに水を送る事にしたい。昨今の環境意識の高まりで水系の異なる水の混淆は避け,ダムが足りない直ぐ山向こうの寸又川からの導水は検討しない(ただそれなりにやればプラスに なりそう。。)・そもそも論として門桁から水窪ダムへ水を送ることが現状でも可能っぽい[→ 水窪ダム]。

豊岡発電所と水窪発電所へ水を供給する気田川上流部。
実は豊岡発電所も水窪発電所も低稼働率である。門桁取水堰の部分にダムと調整池を儲けると両発電所で使える調整池になって良さそうである(→可能な限りダ ム建設は避けるのが基本原則だが上流部でのダム建設は下流全体に波及効果をもち効率的で有効である)。
利水効率から基本は水窪経由になるから豊岡はそのおこぼれを貰う形となり,別に 水源を求める必要がある。門桁の気田川上流域は基本的に水窪発電所との関係で諸事考察する。


流域面積と降水量と取水量の関係
因みに門桁堰堤の取水量は不明であるけど,門桁と瀬戸の沢の直下の様子は豊岡発電 所の様子で分かる。2015年の使用水量は4620万m3/年であり,途中の沢からの取水は沢が小さいので殆どが豊岡堰堤からの取水と推定され る。

流域の降雨量はこんな感じ
出典:天竜川上流河川事務所

豊岡ダムの集水面積は65.0km2=6500万m2となり,年平均雨量は2,400mm=2.4m以上(2,600mm以下)が期待できて,この許で年 間降雨量1億5600万m3 以上(1億6,900万m3以下)①となる。
門桁の集水域53.7km2に2400mm以上当て嵌めると1億2,888万m3以上となる。意外に少ないか。。

これだと下のグラフから豊岡堰堤・発電所を通過する水が9,000万~1億 3,080万m3/年程②だから門桁と瀬戸ノ沢での水窪発電所への取 水量が2,600万m3~6,000万m3以上 程度③(=①-②)になる。。門桁での取水量,2,600万では流石に少なさそうだがこの数値は2015年のもので2015年の門桁の取水 に異常があったか豊岡の通過水量が多くなっているので例年 は6,000万程度か?取水率(流水量に対する取水量)は半分程度と目される。

2016年・2017年も手に入ったので比較してみると,水の使用率が2015年と大部違ってバラツキがある様子。2015年の35%に対して2016年 は50.8/92.8=54%,2017年は37%で ある。2016/17年のダムの通過水量は9500万トン程度と4000万トン程2015年より少ない。

2015年は門桁での 取水が少な かったのかも知れない(勿論2015年はこの辺の雨量が多かったのかも知れない)。2015年の門桁での取水量が少なかった場合,門桁の平年の取水量は 7,000万トンほどとなる。門桁での取水(=使用)7,000万tに対して豊岡の使用水量が3,500~4,600万tってとこか。ま あそんな感じでも可怪しく無さそうだが,まあ断片的な3年間の数字から何かを読み取ろうとするのは不正確であろう。

2015年度数値

2016年度数値

2017年度数値



また堰放水量は2015~2017年はそれぞれ8460万m3/年,4,200万m3/年,5,950万m3であり,門桁と瀬戸の沢の逃した水量は途中に 大きな沢もないので合計1億3,080万m3/年,9,280万m3/年,9,500万m3/年程が門桁の放流量に加えて門桁から豊岡ダムの間の集水量で ある。豊 岡が殆ど貯水 量のない堰堤であって水利用率が35%,54%,37%である。

門桁の取水域が53.7km2程。門桁から豊岡ダムの間の集水域は8.3km2。門桁の年間降水量をX万m3/年とすると門桁から豊岡堰堤は0.15・X となる。瀬戸ノ谷は3.1km2。水量は3.1/53.7*X=0.058X。ここは門桁と同じ比率でとるとする。
門桁の取水量が8.5m3/sと豊岡の取水量より多い事実に対して豊岡は貯留量がある。とはいえ僅少で古いシステムである。
豊岡の1/3程度よりは高そうだけど1/2も取って無さそうでもある。
流石に門桁の本気度は違う!として通過水量が同じ位の2016年と2017年は5/12=41.6%程度とする。この5/12とは1/3以上1/2以下の 中間である。
門桁の放流率は0.58となる
2016年:0.58*(X+0.058X)+0.15*X=9,280万m3/sとなって0.613*X=9,280万m3よりX=1億5,122万
2017年:0.58*(X+0.058X)+0.15*X=9,500万m3となって0.613*X=9,500万m3よりX=1億5,497万 

程度が門桁上流53.9km2の降水量となる
これは佐久間ダムと秋葉ダムの差から推計した100km2辺り3億m3という値と 整合的である。
で,門桁の取水量は41.2%で 6,200万m3/s程度と推計される。さてこの妄想の精度,どんなものか!?まあ当てずっぽうとして当座この程度の雨が降ると考えて色々検討してみる。


いずれにせよ上の年間降雨量の地図だとこの辺1800~2200程度の降雨域と云った感じである。

この必ずしも少なくない量の水量をなんとか活用していきたい。

項目
2015
2016
2017
平均
備考
豊岡堰堤放流量
84.6
42.0
59.5
62.0

豊岡発電所利用量
46.2
50.8
35.5
41.2

合計
130.8
92.5
95.0
106.2


平均で年間100百万トン超=1億トン程度が豊岡堰堤・発電所を通過する水量という事になる。概ね門桁以遠で年間2億トン降雨して半分の一億トン取水,残 る1億トンが気田川を流下,その4割程度を利用する感じである。


電発:門桁取水堰[水窪ダムへ 送水][場 所
取水量:8.5m3/s[ス トビューで見えることが判明,行って来た。]
取水面積:53.7km2[とは総研調べ]
以下の様な電発ネットワークの一翼を担っている。

此処も川の合流部。気田川本流は門桁国有林方面(凄い行き先だw)であり,恐らく林道である。子どもの 頃,山奥の響きがあって一寸憧れた春野町だがそこか ら更に28kmも山奥である。

県道は瀬戸の沢沿いに進むがその後峠越えで水窪の方へ抜けていくことになる。その先ず気田川を渡る橋がそのまま天端になっている様である。

これはストビューでも確認出来る水利標。此処が電源開発の開発である事が判る♪水窪発電所を解して地域の 大発電所の一大水甕,佐久間ダムへと繋がっている のだ。
気田川も,水窪発電所のある水窪川も,佐久間ダムと同じ天竜川水系なのだがそのままでは佐久間ダムより下流で天竜川に流れ込むので佐久間発電所の発電に使 えないのである。

佐久間ダムへの水集めが至上命題(とは総研でも確認!)の 中,門桁も水窪発電所へここから53.7km2に対してやや多めの8.5m3/sで送水する。
残念ながらダムと云うより取水堰であり貯留量はない。門桁堰堤では取れるだけ取って 水窪発電所に流して調整は水窪ダムに貯めた水で行い,更に発電した水も巨大な佐久間ダムでガッチリ無駄な逸失は無し,門桁での下流流失分は小さいながらも 豊岡堰堤で受け止めという割りと完璧な布陣と云えよう。基本的に此処にダムは要らないのである。

電発:瀬戸の沢取 水堰   
[水窪ダムへ 送水][ggl ストビュ]
流域面積:3.1km2

門桁堰堤の直ぐ脇には瀬戸ノ沢の取水堰。利水標は見当たらなかった。。此処は知りたかった んだけど。。
misakubo03.html認 可最大出力:8100kW


此処から県道は突如気田川遡上を止めて山住峠を越えて水窪の方に出て行くが門桁 と瀬戸ノ沢の水もこの峠を地下水路で越えて水窪河内川の水を併せて水窪発電所へ送水している。

門桁堰堤の流域はそこそこ広くて(瀬戸の谷抜いても)こんだけ:53.7km2[ソース]。瀬戸ノ 沢3.1km2[ソース]を含めると56.7km2程度になる。

とはいえ門桁の取水量8.5m3/s(に更に豊岡ダムの4.647m3/sもある)は瀬戸谷を含めた数字であっても(←未確認である),なかなか強気な取 水政策だと云う事が判る(取水時に も逃さず取水するという事 かも知れないけど)。
水を確保したい強い意志の顕れではあるか?(→発電では無く取水を主眼とする堰堤は厚めの水量を確保していることは多い。門桁も発電に利用される水量の範 囲内とはいえ,水窪や少なくとも佐久間での取水・貯水を念頭に置いた厚めの水量であるかも知れない。)

ともあれ,水窪及び豊岡の低稼働率は事実であるので,門桁(奥気田)の水を色々利用しつつ貯留していく方向を検討してみる。

既存のダムでしかも水窪も佐久間も基本的に多雨の一期間以外溢水させてない(例えば水窪はここら参照・佐久間はこちら)ので貯留量に余裕はありそうだ し,溢れるなら稼働率を上げて下流に水を流せば良いので水窪ダムに水を集める事を検討する。

【門桁取水増強策】
さてここで構想するのは水窪ダムへの導水・貯水と追加の発電である。下流での豊岡発電所とのバッティングは必至で併せた対策は必須であろう(→こちら参照)。

水窪や佐久間の貯留池で豪雨を均せば秋葉と船明でも溢れさせずに 使 える様になるのだ。

門桁ゲートのあるこ の辺(547m)は割と水窪ダムに近く,5.2km程度で水窪ダム(498m)に至る。なんなら途中灰 の沢(553m)でも取水して良い。(24.5現在,どうも送れるようになってるんちゃうかと思ってるけど直送ルートを形成すれば取水量は増やせ るであろう。)


twitterで気田森林鉄道の話題をみっけた。   

https://twitter.com/noiseandblame/status/1330838128085532673

おさじん
@noiseandblame

気田森林鉄道。

林野庁のHPでは「気田川沿いを奥部の都沢まで遡上」とあるけど、実際は都沢どころかコガネ沢以降にも軌道跡が続いている。

コガネ沢の分岐を渡る橋梁はコンクリの橋台を残し落橋。
それ以降の路盤もコンクリによる補強が目立つが、土砂が堆積しほとんどただの斜面。

終点はどこ…。

https://twitter.com/hbf1xdmk2pcm/status/1330860434748895232

ペッカー
@hbf1xdmk2pcm

小耳にはさんだ話だとコガネ沢までが実際に使用され、その奥は造られたが使用されなかったとか。ホントかは分かりません。終点は構造物で言うなら最奥の切 通しですかね?この奥は何も無いし。

なかなかテンションあがる。ヨッキもレポしてくれないかなぁ。。門桁から山の向こう側の大間辺りへの奥 産道みたいなの発掘してきてくれそうw

林野庁のHPとはこ れの様だ。めっちゃ最近も修正してるじゃんw

国有林森林鉄道路線別概況=抜粋(令和2年10月25日修正)

局番号 路線 概     況
722
14 気田上部の篠原貯木場を起点に、気田川沿いを奥部の都沢まで遡上。(森 林組合軌道、東邦電力軌道を取得)
723 15 気田森林鉄道から気田川と伊老沢との合流点で分岐し、伊老沢沿いを遡 上。
724 16 気田川支流の杉川中流にあった麦倉貯木場を起点に、杉川沿いを遡上。
注:河川等の名称は国土地理院5万分の1地形図の表記を基本としている。路線は森林鉄道路線一覧表の路線番号を参照のこと。
 河川等の名称は国土地理院5万分の1地形図の表記を基本としている。

さて,コガネ沢(841m)は此 処,都沢(693.9m)はこ ちらになる。易 老沢を思い起こさせる伊老沢(548m)はこ ちら
此処からだと送水先は門桁 取水堰(516.1m)になるだろう。森林鉄道の起点の篠原貯木場はこ の辺(156.9m)か?こんなレポ[崖っぷち]も みっけ。杉川で囲まれた半円状の土地とのことでこ ちらかな?

林鉄の買収元が東邦電力軌道と云う事で気田川沿いは東邦電気によって開発されたことが示唆されるが実際はもう一寸複雑で,先ず天竜電気が開発した気田発電 所 を岡崎電灯系列の中部電力(岡崎)が合併し,中部電力(岡崎)と緊密な松永が率いる東邦電力が,電力国家管理政策が具体化される中で(国営化・一体統合の 強硬な反対論者の松永はこれへの対抗上?)これら電力会社と合同(松永は抵抗するが結局,国策の日本発送電体制として成立)したと云う流れらしい。[wiki]
<都沢>
とりま都沢EL705mの集水面積:20.9km2
 
<コガネ沢>
都沢より更に奥での取水・発電は可能か?より奥地の小金沢EL.837mで の集水面積。
10.9km2で1.1m3/sかな。
P=9.8*Q*H*ηであり,結局Q(水量)とH(有効落差)の積が効く・水量は面積に比例するとすると(まあコガネ沢と都沢の比較に際して違いは軽微 である)その積を比較することでどちらが有利か判別できるが,都沢のQ*H=20.9*190=3971に対してコガネ沢はQ*H=10.9*(190+ 132)=3509と都沢の勝ちとなる。両者の中間,763mで取水すると面積は17.2km2。例のQ*H値はQ*H=17.2*(190+58)= 4,265。この辺が良い様だ。

ごちゃごちゃするので整理してみる。取水点候補が都沢・コガネ沢の2箇所,発電箇所候補が水窪ダムと門桁堰堤の2箇所。計4箇所のマトリックスが形成出来 る。更にコガネ沢で取水して都沢で発電も出来るであろう。想定発電力を推計してみる。
面積辺りの取水量係数は一寸強気に1.5としてみる。

総落差
発電\取水
都沢(EL.705m)
コガネ沢(EL.837m)
水窪ダム(満水位:505.0m)
200m
332m
門桁堰堤(El.518m)
187m
319m
都沢(EL.705m) ──
132m

推計発電力
発電\取水
都沢(EL.705m)
コガネ沢(EL.837m)
水窪ダム(満水位:505.0m)
5.3MW(7.1MW)
4.6MW
門桁堰堤(El.518m)
5.0MW(6.8MW)
4.4MW
都沢(EL.705m) ──
1.8MW(*)
都沢取水側の発電力の()内は(*)を加えた数値

コガネ沢より都沢の方が落差は低いのに流域面積の関係で都沢取水の方が発電力が大きくなる。また水窪ダムへの導水量も多く取れるしこちらの方が良い。

更に都沢よりも高くそしてより広域から取水して見る。


京丸沢迄伸ばして28.9km2。
この辺は2400~2800mm地帯[→雨量図(出 典:国 交省河川局)]だし下流にダムはあって貯められるし出水時の水確保も視野に入れて多めの係数1.5~1.7程度は期待していいか な。。4.5m3/s
先程の「ad hocで1km2辺り300万m3」を適応すると年間 約9,000万m3の水を新たに(少なくとも直接)水窪ダムに貯める事が可能になる。,

更にミテラ沢・灰の沢・ニゴリ谷等からも取水して36.2km2・5.5m3/s程にすると11.0MWも取れた♪
これなら10km越の導水路もOKだらう。これを成案とす。

[構想]奥気田発電所〔案〕
出力:11,600kW[+11.6MW]
水量:5.8m3/s[1.60]
落差:235m
流域:36.2km2
導水:本導水路9.44km+支水路:3.19km=合計:12.63km
取水:京 丸沢(ヨシナ沢・ヤナ沢)[堰堤]都 沢気 田川(門桁川)ミ テラ沢灰 の沢ニ ゴリ谷 745m
放水:水 窪ダム(505m)

流石,林野庁公認奥地だ。水量も落差も結構イイ感じに取れる。

因みに杉川の奥に伸ばすともうL=3.8kmでS=6.08km2程取れて42.3km2になって 12.8MW程度には出来る。 この辺は豊岡発電所の拡張とのぶつかりが出てくるので一旦保留。



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