電 力総研 水 力あれこれ
有田川 日高川 日置川 古 座川(現状・開発)
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2021/06/02更新
20.9.21運開

古座川の水力発電と佐本・三尾川(21.9訪 問)(23.5再訪)

1.現状(佐田発電所七川ダム)と訪問記  2.開発

出典:七川ダム現地看板

1.現状

日高川日 置川に 続いて南紀第三段は古座川である。(第四段が有田川)

此 処も日置川や有田川の様に一枚看板体制であり七川(しちかわ)ダムと佐田(さだ)発電所の タッグである。とは言え合川ダムが正式名称が殿山発電所に付随する殿山ダムだっ た事に象徴されるように発電専用ダムだったのに対してこちらは県営の多目的ダム(とはいえ目的は洪水と発電)である。この辺は有田川の二川ダムと同じである。竣工も同時期だが殿山ダム1957と 七川ダム1956がほぼ同時期で遅れて二川ダム1966が竣工している。日高川の椿山ダムはやや遅れて1988竣工であり,富田川2は未だダムはない。

多目的ダムで洪水も目的に入ってるので洪水期は水位を9.5mさげてその分発電に使える水の貯留は減るようだ。殿山ダムの貯水量が発電のみで 1,379.5万m3なのに対してこちらは発電と洪水で2,540万m3である。それぞれの容量はどうなってるのかな。。

21.9に現地訪問。その日は銚子川に接近し(近寄れず・・),崩壊した高浜トンネルを見に行った帰り がけに寄ってみた。R42からR371に曲がりだらだら上がっていくと七川ダムであった。約9カ月前に色々拡張を検討してたが佐本川とかすっかり忘れてて 折角近く迄来たのにすっ飛ばしてしまった。。
現地の看板によると七川ダムは,洪水調節と発電の多目的ダムとして,和歌山県が古座川綜合開発事業の一環として,1953年から着工し1956年3月総事 業費約13億円を以て建設された県下初の補助ダ ムであります,とあった。
堰堤は蒼然としてるように見えたが戦後間もない着工と云う時期のものであった。また古座川は二級河川であり県が事業主体で多目的ダムとして国の補助を受け て建設されたようだ。二級河川なのは日高川も日置川も有田川も同じである。
23.4にすさみ町と日置川逍遙に併せて再訪した。
ここは日置川の殿山ダムと違って洪水も目的に入っている。洪水が目 的に入っていない殿山ダムが170トン(毎秒?)放流してたのに対してこちらは全く平然としていた。貯留量はしっかりしてそうである。導水もして平時の流 量を確保して発電力を増やして行きたい。
一枚看板の佐田発電所・七川ダムを既に見ていたけど日程に組み込んだのは佐本川や小川からの導水を視認したかったからでもある。

古座・河口・r228高瀬古 座停車場線
河口右岸に古座の市街地がある。古座は既に串本に合併されている。上流は古座川町として自立を選択した。
ここから古座川に寄沿う(主)すさみ古座線 (r38)であるが,市街地を出た所で左岸に転線する。その先の右岸の担当は此処迄左岸を担当してきた(一)高瀬古座停車場線(r228) となるが,こちらは分断県道であり,ヨッキ (「山行が」)もレポしている。こ いつがその成れの果て(型式上は起点付近)のようだ。不通区間は小粒ながらなかなかオモロイので興味の湧いた方は「山行が」を是非ご覧頂きたい。不通区 間の再調査もヨッキは口走っちゃってるので是非コメント欄で盛り上げていきたい(笑)

明神橋付近・小川分流[こ こEL.10m
古座川に小川が合流するが古座川に沿うr38すさみ古座線が曲がる側の道路である。小川にはr43那智勝浦古座線が寄沿って遡上する。
23.4
~小川~



鶴川橋付近・鶴川分流[こ こEL.10m
ここから上流は串本から山越えをしてきたR371が 寄沿う。河口からここまでアッテンドしてきたr38すさみ古座線は重複区間となるが格下の県道なので上書きされて痕跡は出ない模様。
r38が古座川を鶴川橋で渡ってR371に合流してくる(此処でも古座川に沿うr38が曲がる側である)。この橋,鶴川の合流点にある橋で鶴川橋で鶴川は 渡ってない。鶴川という地名も合流点付近にあるので地名からということか。
向かいの細い川が鶴川。R371も少なくともここでは鶴川を渡っていない。
23.4


一枚岩[こ こEL.20m
ちらちらこの単語が眼に入ってたので駐車場があったので一応寄ってみた。川床が一枚岩になってるかと思いきや崖が一枚岩であった。見事♪9
23.4

三尾川(みとがわ)と(一)佐本深谷三尾川線
r39串本古座川線が分岐。橋を 渡った対岸で更にr39からr224佐本深谷三尾川線(分断)が 分岐している。
R371とr39が分岐するとは云え,国道に上書きされてしまって潜伏しているr38すさみ古座線としては全くの中間点である。
かつて白浜の紀伊富田駅迄,三尾川紀伊富田停車場線と云う長大な県道が存在していたようだ がその起点と思われる。
この路線,ヨッキの白浜久木線の机上調査 篇の記述の中で知ったのだが,ヨッキはr38沿いだと推定しているが, r213(とr36上富田すさみ線=正確には生馬佐本江住線と云う感じ)が三尾川紀伊富田停車場線の分割から産まれたようにr224も三尾川紀伊富田停車 場線の分割から誕生した様な気がする。そしてr224が庄川(しゃがわ)越の,r36が地蔵峠の不通区間を抱えているように,r224が深谷地区に不通区 間を抱えていることになる。3箇所も不通区間を抱えて一気に整備したいという考えから各路線一箇所の不通区間を抱えた3路線に分割して各不通箇所に岐れて 開通運動させた方が良いと云う方針転換すら感じることができる。
現地では全くスルーしてしまって写真一枚ないが…。。なんとか調査したいと思っては居る。

久留美谷[合 流部31.7m
一寸奥迄延びて居る支流。七川ダムの平常時最高水位である117m以上の標高の流域は3.2km2。必要な導水距 離は (佐田川?を渡る)サイフォン一箇所込みで1.6km。まあ小さいな。。

寧ろこ こら(一枚岩の上EL.20m付近)で発電する途中で補給するぐらいの位置づけが良さそう(マウスオーヴァーで表示)。

宮の平
佐本川分流。川の両岸をr38とr224が走って来たが,r224は 佐本川に沿って遡上していく。この佐本川からも七川ダムに取水したいと思って居る。
[疑問]さ て,その際に多少の謎がある。今,七川ダムの平常時最高水位である117mとなるが,例えば七川ダムのバックウォーターを遙かに離れ た 古座川上流と思われるこ の辺(小川から導水した水の放水先想定地)の川面の標高が未だ100m程である。
これより下流のこ こら(建物有り・陸上)が104m程。同じ場所のG 空撮だとこんな感じ。水没するようには見えない。詰まり地図の標高が低すぎるかダムの標高 が高すぎるのである。
同じ様に(佐本川に一番近く佐本川からの放水先の想定地である)添野川沿いのr38 の道路面付近の標高が114m程度となっている。川面だと100m程度。地理院はT.P.(東京湾中等潮位)でやってる(と思う)けど七川ダムは 別の基準を使ってないか??
大阪湾最低潮位(O.P.)だったとしてもO.P=T.P.-1.30mなので整合的な感じでも無い。ダムの諸元の数字がT.P.+ 10m ぐらいだと恰度良い感じである。。K.P.(古座湾中等潮位とか熊野灘最低潮位)でもあるのかもしれないw(唐突であるけど『日本鉄道名所 6北陸線 関西線 紀勢線』(1987小学館)によると阪神電鉄の施工基面高はO.P.+29.3mという中途半端な数値を使っている。なんかの理由で七川ダム建設時に施工 基面高の数値をいじってそれがそのまま残ったりはしないかな??因みに同書では国鉄紀勢本線の古座駅の標高は4m20となっており,地 理院の4.9mと齟齬は無さそう。)

~佐本川~
佐 本川(109m) …そこそこ流域面積ある35.9km2。導水距離:3.0km程で湖 畔に。ダムを造れば導水距離は2.2km程度で良い。
満水期には118m迄貯まる七川ダムなので水が逆流しないように水門を閉じるなどの措置が必要かも。上で述べたように七 川ダムの満水位118mには疑問があるのだが。。

取水堰で対応するとするとこ の辺(EL.127m)で取水して東 谷からも取水して3.5kmでこ こら(建物有り・陸上)104m程に至る。

ダム新設して七川堰堤と兄弟ダム体制にするとこ の辺(EL.79m)に堰堤建設して導水すると1.6km程で行ける。いずれにせよ35km2程確保出来そう。
可成り無理矢理導水してきたが,ここは比較的に穏当な投資でそこそこの距離を確保出来そうである。

110m位で貯水するとこんな感じになるけど,七川堰堤に余裕がある範囲でがばがば導水すればいいのでまあ本格的な堰堤は不要か。

100mでの面積が68,993m2だったので推計で98.0万m3貯められる様だ。意外に多いな,,
3.5m3/s程使用水量増やせるとなえると以下の様になる。

さて,r224 佐本深谷三尾川線の佐本深谷であるが途中深谷を経由するのでは無く起点が佐 本深谷という地名のようである。
佐本平野とか佐本根倉とか佐本の付いた地名が一帯に散在しているが,この辺は嘗て佐本という自 治体[佐本村:wiki]で,今はすさみ中学1校に統合されたが佐本中学校(最後 は小学校と統合)も比較的最近(2008年)まで残っていたようだ。





~栗垣内川~
栗垣内川分流。ここでr36法師峠方面(未通)がr38に合流する。r36とr38の重複区間はここから峠側である。ここもスルーしてしまった。(詰まり 写真無し。)
栗垣内川に沿って遡上すると法師峠に至るが,車道としては未通である。す とびゅうも此処迄行って引き返している。が,ここで分岐しているのが林 道宮城線[Road of declining]とのことであるが,宮城川の深部を経て,道は合川ダムには出ずに,なんと矢ヶ谷に通じているようであった。









真砂(まなご)
下流から遡って行くと先ず現れるのが発電所である。旧道上にあるらしく,分岐がある。ダムの先は堤頂と同レベルなのであるが,行き止まりである。
23.4

佐田発電所[水力.com] [ひろし][DB(ダ ム名が七色ダムとなっている・七 色は十津川沿いの地名である)]
事業者名:関西電力(株)[2005.3末迄和 歌山県]
運開:1956
ダム水路式・調整池式
認可最大出力:7,200kW  常時出力:1,800kW
最大使用水量:16.00m3/s
有効落差:55.00m
水車:2台 総出力7600kW (2018年11月から1995年以来の分 解点検)
取水位標高:[七川ダム]116.00m
放水位標高:古座川57.00m

国 道から一寸横に入った谷底にある。上から眺めるのみ。
21.09

その道を奥に行くと堰堤が現れる。

七川(しちかわ)ダム[旧名:古座川ダム][便覧][水力.com
河川    古座川水系古座川
目的/  堤高/堤頂長    FP/58.5m/154m
流域面積/湛水面積    102km2 ( 全て直接流域 ) /179ha
総貯水容量/有効貯水容量    3,080万m3/2,540万m3
ダム事業者    和歌山県
着手/竣工    1951/1956
標高
 天端標高:119.50m
   常時満水位標高:116.00m[佐田発電所取水位
   洪水期制限水位標高:106.50m
   低水位標高: 95.00m(利用水深21m)
   基礎標高: 61.00m

結構大きめの貯水量は洪水対策の容量を確保しているからの様である。

wikiに 拠ると「2019年に「常用洪水吐きに日本最古の高圧スルースゲートを設置した多目的重力式コンクリートダムで、戦後のダム史上極めて価値ある土木遺産」 (JSCE) として、土木学会選奨土木遺産に選ばれ 」たのだそうな。

定点観測
21.09
23.4

ご覧の水位。結構余裕がある様にみえる。
21.9

23.4

和 歌山県河川/雨量防災情報
七川ダム の最新データ

2020年09月21日
09時00分 現在
2020年11月08日
22時20分 現在
2021年09月13日
09時10分 現在
2023年05月07日
15時00分 現在
放流量 9.5 m3/s 3.9m3/s
6.8 m3/s 12.9 m3/s
流入量 5.2 m3/s 2.2m3/s
3.4 m3/s 66 m3/s
貯水位 103.82 m 99.9m
98.23 m 99.4 m
貯水量 1,067.7万m3 772.4万m3
667.1万m3 738.8 万m3



地図だとダム湖面の標高が95m程度となってるけど冬の渇水期でも未だ100m程ある。。

此処までの山は険しいけど七川ダムのダム湖はの んびりした雰囲気であった。一寸四国の物部川上流の永瀬ダムに 似ている。勿論あちら程大きな街ではないけど。。

ここから生駒に帰るにはどうしたらいいのか。371号をそのまま北上すれば高野山に迄出るが,流石に山中を右往左往するのには飛んでもない時間が掛かりそ うである(これが短時間で行けるぐらいに山を貫くとそれはそれでテンションあがるがそんなものは永久に実現せんで宜しい)。県道38号線を通ると周参見に 出る。そこから高速経由で帰るのが順当の様であった。そのまま北上すれば日置川の合川ダムであった。そちらも見たかったがもういい加減良い時間になってい たのでそちらへ寄るのは現実的ではなかったであろう。

新規開発検討は次項で。