電力総研 水力あれこれ(四国) 四国 水力
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20.09.08完成
21.07.02分離・更新
物部川の電源開発(中下流篇)(21.6逍遙)

概要篇上流篇中流篇下流篇

中流篇:永瀬ダム永瀬発電所吉野ダム吉野発電所杉田ダム杉田発電所

水量豊かな物部(ものべ)川流域である。水量が豊富のイメージであるが,此処でも話しはそう簡単でも無く,6~9月の雨季に集中する使いにくい水だったそ うな。
穀倉地帯になった下流域に対して水を永瀬ダムV=4,147.0万m3を中心に据えてしっかり 供給するのが本中流篇の対象地域と云う事になる。

寛文(かんぶん)4年(1664年)に土佐 藩家老職の野 中兼山が山田堰を建設し、香長平野にかんがい用水路網を整備するとともに、治水対策を行い、 ほぼ現在に近い位置へ河道を固定化したことなどにより、以降、水田の開発が進み、 物部川の水と温暖な気候、肥沃な土壌を背景に二期作が盛んに行われる穀倉地帯へ と変化しました。
それでも、物部川流域では、降雨が6月から 9月の梅雨期と台風期に集中して一時 に降るため、晴天が続けば河川の流水が急激に減少し、農業用水に不足をきたすことが多かったのです。[出典:国 交省四国整備局

ダムと水発が完備されてて水量も永瀬はもう一寸大きく出来るかなって感じはあるけどまあ割りと完結してはいる様だ。

出典:四 国電力

水量(一部)
出典:四 国電力

四国地区水力発電所一覧表(物部川水系抜粋・いずれも高知県)
2015 (H27).3.3日現在
https://www.safety-shikoku.meti.go.jp/skh_d8/08_toukei/27_toukei/suiryokuichiran.pdf

[水]…水力.comさん当該発電所頁
設置者名 発電所名 取水河川名 流域面積
(k㎡)
使用水量
(㎥/s) 
有効落差
(m)
最大出力
(kW)
常時出力
(kW)
ダム高
(m)
使用開始
年 月
その他・備考
高知県公営企業局 永瀬[] 物部川[永瀬ダム] 295.20 30.00 89.63 22,800 5,900
[25.8%]
87.00 1955(S30).8 ダム水路式・貯水池式
年間発電量:106,400MWh
設備稼働率:53.27%
吉野[] 物部川[吉野ダム] 343.40 37.00 16.12 4,900 980
[20%]
26.90 1973(S28).4 ダム式・調整池式
年間発電量:23,700MWh
設備稼働率:55.21%
杉田[] 物部川[杉田ダム] 440.00  40.00 35.02 11,500 2,700
[23.5%]
44.00 1959(S34).9 ダム式・調整池式
年間発電量:62,800MWh
設備稼働率:62.34%
県企業局計




39,200 9,580



流域面積(km2)の1/10ぐらいの使用水量(m3/s)になってる!?

水力発電利水ダム一覧
[ダ]…ダム便覧さん当該頁
ダム名 管理者名 着工 / 竣工 貯水量 流域面積/湛水面積
( km2 / ha)
その他
永瀬(ながせ)ダム[] 国土交通省
四国地方建設局
1950 / 1956 総量:49,090千立米
有効量:41,470千立米
295.2 / 2.08
吉野(よしの)ダム[] 高知県 1952 / 1953  総量:2,091千立米
有効量:474千立米
343.4 / 0.32
杉田(すいた)ダム[] 高知県 1952 / 1959 総量:10,532千立米
有効量:5,732千立米
440 / 0.94
吉野と杉田は調整池式程度の規模である。大井川や寸又川ダムに似ている。

永瀬ダム[便覧][水力
河川     物部川水系物部川
目的/型式     FNP/重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積     87m/207m/380千m3
流域面積/湛水面積     295.2km2 ( 全て直接流域 ) /208ha
総貯水容量/有効貯水容量     4,909.0万m3/4,147.0万m3
ダム事業者     四国地方建設局
着手/竣工     1949/1956
満水位標高:196.0m






曲がりくねったダム湖。4方向ぐらいから川が集まってくる谷筋に亘って拡がって居る。



永瀬発電所はダム水路式なのでダムからは一寸離れた場所にある。川が弯曲していることもあって寧ろ次の吉 野ダムに近い。

高知県企業局 永瀬発電所[水力
所在:高知県香美市香 北町白石
運開:1955.8
ダム水路式・貯水池式
認可最大出力:22,800kW([私案]→45,600kW[+22.8MW])    常時出力:5,900kW
    年間発生電力量:106400MWH(1億640万キロワット時)
    最大使用水量:30.00m3/s([私案]→60.00m3/s)
    有効落差:89.63m
    水車:立軸単輪単流フランシス水車 最大出力11700kW×2台
    導水路:圧力トンネル 口径3.80m、延長3240.4m
    流域面積:295.2平方キロメートル
    取水:物部川[永瀬ダム]196.00m
    放水:物部川[吉野ダム]98.50m

V=4,147m3の貯水池を水源としていて,上流には多雨地帯を控えていて,下流にはV=47.4万m3の逆調整池 が控えているので割りとピーク電源対応可能な前提条件は揃っている。
四国の調整力もそろそろ限界で太陽光や風力の接続制限がなされている。関電との系統一体化が先ずは必要となってくるがそれとは別に調整力を整備しても良い のではないか?
最大60m3/sとして出力倍増させれば+22.8MWになる。県営ダムと県企業局経営なので四電が調整力募集するなどなんかのスキームが必要にはなるだ ろうけど。
さて,この思いつきがfeasibleなのかどうかが問題である。永瀬ダムの放流量は此 処で取れるが30m3/sを越えてる時間帯は殆ど無い様子である。割りと恰度良い規模感って感じかねえ。。
60m3/sで1時間運転すると21.6万m3となる。吉野ダム47.4万m3は2時間10分程で一杯になってしまう。吉野発電所も37m3/sで発電す るとすれば5 時40分ってとこでピークとしては十分である。
取り敢えずは保留で。渇水期の冬は割りと放流量0が並んでるようだしなあ。。

鉄管

国道の上から見た発電所建屋。

近く迄行く道は一寸見当たらなかったのでこんな写真w


吉野ダム[便覧
目的/ 堤高/堤頂長     P/26.9m/115.5m
流域面積/湛水面積     343.4km2 ( 全て直接流域 ) /32ha
総貯水容量/有効貯水容量     209.1万m3/47.4万m3(看板:50.0万m3)
ダム事業者     高知県
着手/竣工     1951/1953

高知県企業局 吉野発電所[水力
所在地:高知県香美市香北町吉野
    昭和28(1953)年4月25日:運用開始
ダム式・貯水池式→精々調整池式だと思うんだけど。。
認可最大出力:4,900kW   常時出力: 980kW
    年間発生電力量:23700MWH(2370万キロワット時)
    最大使用水量:37.00m3/s
    有効落差:16.12m
    水車:立軸カプラン水車 最大出力5250kW×1台
    取水:物部川[吉野ダム]98.50m
    放水:物部川[杉田ダム(ほぼ)]82.00m

ここはめっちゃ眼下にダム湖があるけどそれ以上は近づけなかった。

河岸段丘の上の方に変電施設だけある様だ。

看板は国道沿いに確りと掲示。
既に夕闇迫りつつ中,これから南国IC経由で奈良県迄帰ろうとする我々を引き止めて離さない感じである。木曽川でも益田川でも思うけど水発の盛んな土地は 基本的に高速から遠い。。
永瀬からちょろっと行けば東豊永辺りを見学しつつさくっと高知道へ通じそうな印象で来たけど南国市迄延々川を下るのが結局早そうでしかも他の選択肢は事実 上無いに等しかった。
南国市なんてもう高知市やんとちょっと引き気味であったがのだがまあそんなの忘れて寄り道である。


永瀬から吉野へのピーク電源+30m3/s・22.7MWを上で検討したが, 60m3/sで1時間運転すると21.6万m3となる。吉野ダム47.4万m3は2時間10分程で一杯になってしまう。37m3/sで発電するとしても5 時40分ってとこ。勿論5時間持てば十分だけど水を使い過ぎてしまうのは勿体なくはある。
貯水量で云ったら吉野では心許なく杉田V=573.2万m3の方が良い。吉野ダムから杉田ダムへも同じく30m3/sで発電すれば必要な 電力を生み出すに必要な水は減らすことは出来る。吉野発電所は有効落差が小さいので倍増とは行かないけど。
と云う事で吉野発電所でもピーク電源を開発する事にしてみる。今は6mの未利用水位があるので,杉田ダムの満水位78mに対して76mぐらいに放水すると 有効落差を増やせそうである。

[私案]吉野第二発電所
出力:5,400kW[+5.4MW]
最大使用水量:30.00m3/s
有効落差:22.12m
取水:物部川[吉野ダム]98.50m
放水:物部川[杉田ダム]76.00m

永瀬発電所の増強と併せると+28.2MWである。取り合えず保留としておく。

杉田(すいた)ダム[便覧
河川     物部川水系物部川
目的/堤高/堤頂長  発電P / 44m/140.5m
流域面積/湛水面積     440km2 ( 全て直接流域 ) /94ha
総貯水容量/有効貯水容量     1,053.2万m3/573.2万m3(現地の利水標:580.0万m3)
ダム事業者     高知県
着手/竣工     1952/1959
満水位標高:78m

高知県企業局 杉田(すいた)発電所[水力
所在地:高知県香美市土佐山田町杉田
    昭和34(1959)年9月:運用開始
ダム式・貯水池式
    認可最大出力:11,500kW      常時出力:2,700kW (23.5%)
年間発電電力量:6,280万kWh
    最大使用水量:40.00m3/s (90.9%)
    有効落差:35.02m
    水車:立軸カプラン水車 最大出力11500kW×1台(現地看板には12000kW)
    取水:物部川[杉田ダム]78.00m
    放水:物部川[合同堰(ほぼ)] 42.50m

国道沿いの看板達。親切である。

ダムの様子

発電所建屋?ダム事務所かも。

ダム脇では上流から流れ着く流木を処分していた。

上の写真の左手にも写り込んでいるダム湖の対岸にあった何か。

ここの天端はめっちゃ狭いけど通行可となっていた。写真取り損ねた。。