電 力 総研 水 力あれこれ(関東)  荒 川(概況)中下流上流篇] 多摩川 利根川
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22.5.15運開
荒川の利水・発電[その3・主要部増強篇]
(上流現況篇中下流現況篇)
出典:埼玉県

荒川発電のコアは以下の部分である。調整力水源は二瀬ダム・滝沢ダム・大洞ダムである。
水源池名
流域
容量
送水
水量
摘要
二瀬ダム
170km2
夏期:1,600.0 万m3
冬期:2,000.0万m3
二瀬発電所
7.50m3/s

滝沢ダム
108.6km3
夏期:2,500.0万m3
冬期:5,800.0万m3
滝沢発電所
4.25m3/s

大洞ダム
72.9km2
5.5万m3
大洞第一
4.05m3/s
3h46m分


夏期:4,100万m3
冬期:7,800万m3

15.80m3/s


連繋する発電所は以下の様なラインナップとなる。MWは調整力で動かせる容量規模。滝沢発電所は連檐はしていない。
川又発電所→栃本発電所・(二瀬ダム)→二瀬発電所5.2MW→宮平発電所2.3MW→( (滝沢ダム)→滝沢発電所3.4MW→)(落合堰堤)→大滝発 電所6.1MW→( (大洞堰堤)→大洞第一11.9MW→大洞第二(約1.3MW))(強石堰堤)→秩父発電所7.4MW: 合計:37.6MW

下で検討の結果,以下の様な調整力増強案を得た。落合堰堤と強石堰堤に多少の貯留量を確保して上流で発電開始した水が届く迄は持たせられるとより良い気が する。。
(二瀬ダム)→二瀬発電所5.2MW→[増強]宮平発電所6.6MW[+4.3MW]((滝沢ダム)→滝沢発電所3.4MW→)(落合堰堤)→[増強]大滝発電所11.4MW[+5.3MW]((大洞堰堤)→大洞第一11.9MW→大洞第二(約1.3MW))(強 石堰堤)→[増強]秩父発電所13.2MW[+5.8MW]:合計53.0MW[+15.4MW]

とはいえ,これだけ頑張っても1000MWクラスの最新鋭のLNG火発には遠く及ばない。水発での調整力は基本揚水で各一般水発は出来るだけ沢山発電する のに徹するという最近の流れはこういう性質の上にあるのであろう。

更に,最上流でも開発を試みる。連檐発電所群の起点にもなる。



二瀬ダム[便覧]       
河川     荒川水系荒川
目的/型式     FNP/重力式アーチ
堤高/堤頂長/堤体積     95m/288.5m/356千m3
流域面積/湛水面積     170km2 ( 全て直接流域 ) /76ha
総貯水容量/有効貯水容量     2,690.0万m3/2,180.0万m3(発電利水容量:洪水期・最大1,600.0万m3/非洪水期間2,000.0万m3)
ダム事業者     関東地方建設局
本体施工者     熊谷組
着手/竣工     1952/1961

東京発電株式会社 二瀬発電所[水力]       
    所有:埼玉県企業局[運開]-東京発電株式会社[現在]
    昭和33(1958)年11月   :着工
    昭和36(1961)年 2月   :運用開始
    平成20(2008)年 3月31日:東京発電へ移管
ダム式・貯水池式
    認可最大出力:5,200kW   常時出力: 200kW
    最大使用水量:7.50m3/s
    有効落差:82.63m
    水車:横軸フランシス水車×2台 総出力4200kW
    放水路:幅3.50m×高3.60m、総延長334.1m
    流域面積:260.0平方キロメートル
    取水:荒川[二瀬ダム]542.00m
    放水:荒川[宮平発電所]457.98m



~滝沢川~

滝沢ダム[便覧]       
河川     荒川水系中津川
目的/型式     FNWP/重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積     132m/424m/1670千m3
流域面積/湛水面積     108.6km2 ( 全て直接流域 ) /145ha
総貯水容量/有効貯水容量     6,300.0万m3/5,800.0万m3
ダム事業者     関東地建→水機構ダム事業部
着手/竣工     1969/2007
 

東京発電株式会社 滝沢発電所[水 力]            埼 玉県
    平成12(2000)年11月:埼玉県企業局により着工
    平成19(2007)年 7月:運用開始
ダム式貯水池式
    認可最大出力:3,400kW  常時:270kW
    最大使用水量:4.25m3/s
    有効落差:106.90m
    取水:中津川[滝沢ダム]565.0m(or537m)←滝沢ダム満水位
    放水:中津川450m程度←満水位と有効落差より推計
可能発生電力 11,396.0MWh/年


東京発電株式会社 川又発電所[水 力]       
    所有:東京電力株式会社[運開]
    昭和28(1953)年6月:運用開始
水路式・流込式
    認可最大出力:3200kW      常時出力: 400kW
    最大使用水量:1.80m3/s
    有効落差:1号 220.00m         2号 220.20m
    水車:横軸単輪2射ペルトン水車 最大出力1830kW×1台       横軸単輪2射ペルトン水車 最大出力1480kW×1台
    導水路:総延長3871.6m
    流域面積:36.4km2
    取水:入川[川又堰堤]871.42m
    放水:入川[栃本堰堤(栃本発電所)]637.10m
今は入川方面でしか取水してないが滝川方面からも取水すると取水量を倍 増する事が出来そうである。[→増強案


[増 設]川又発電所(3号機)     
出力:3,500kW[+3.5MW]
水量:1.9m3/s
落差:220m
追加の流域面積: 37.9km2

中津川奥地開発】          
何故か中津川方面の開発は遅れて滝沢ダムが出来たのが2007年になってからである。滝沢ダムの奥地方面も手つかずである。
川又発電所は1958運開なのに。半世紀上遅れている。

調べて見るとやはり関東平野,山梨県北部にも近いこの辺は小雨の様だ。川又発電所の流域だと今,川又が取水している入川(荒川源流)よりは私が開発検討した滝川流域の方が雨量が豊富に見える。
出典:国交省
滝沢ダムの水位状況はこんな感じ。

滝沢ダム貯水池運用実績
出典:国交省
まだ余裕が在る感じかな?滝沢ダムの方が二瀬ダムより貯水量が多くて余裕があるのに勿体ないことである(同等の二瀬ダ ムの資料に運用実績は載っていなかった。載ってたけど多くが低い水位で運用していた時期のもので参考になりにくい,,残念だ。)。
先ずは荒川上流から滝沢ダムへの導水路があってもよいかも。

そして結構バラツキ在るけど560m越えてるのは5カ年60カ月中5カ月。8.3%である。この期間発電出来なくなるとはいえ冬期で水量も余り無い時期で ある。
また水面下5m位なら発電出来るかも(新丸山ダム建設に伴う笠置PSの更新で は常時満水位が6.5m上昇するも水路工作物の補強と防水壁の設置(と水車交換)で なんとか対応 出来る様だ。水車交換が増強によるものなのか,特別な装置が付いているのかは不明)防水壁の設置と水路工作物で6.5m水面下でも行けるとなるとなかなか お洒落である♪また松二(松尾川第二発電所)では放 水位が水車中心から最大 6.7m上で も大丈夫だそうな(高度成長期の枯れた技術である)。
いずれにせよ,中津川上流760mで取水して,満水水位下の560mで発電してみる。
流域は70km2程採れる。(相原沢も入れて。)

[私案]中津川発電所
出力:11,900kW[+11.9MW]
水量:7.0m3/s
落差:200m
流域:70km2超
取水:神 流川中 津川※・脇の支 流※・相 原沢大 滑沢・脇の支流770m
放水:560m

※:堰堤で取水位嵩上するならこの辺に纏められるし導水距離も減らせる)


東京発電株式会社 栃本発電所[水 力]       
    所有:関東水電株式会社[運開]
    昭和 2(1927)年9月  :運用開始
水路式・流込式
   認可最大出力:4,500kW   常時出力:1,200kW[26.6%]
    最大使用水量:3.50m3/s[0.37] 推定常時水量:0.93m3/s
    有効落差:163.92m
    水車:横軸単輪単流フランシス水車 最大出力4783kW×1台
    導水路:総延長6674.2m
    流域面積:94.08km2
    取水:入川[栃本堰堤(川又発電所)] 634.53m
    放水:荒川[宮平発電所] 457.26m

東京発電株式会社 宮平発電所[水力]       
所在地:埼玉県秩父市大滝
    所有:武蔵水電株式会社[運開]
    大正12(1923)年1月  :運用開始
水路式・流込式
   認可最大出力:2,300kW     常時出力:1,500kW]
    最大使用水量:4.20m3/s(7.5m3/s[▲3.3m3/s]) 推定常時水量: 2.7m3/s
    有効落差:70.32m
    水車:立軸単輪単流フランシス水車 最大出力1350kW×2台
    導水路:総延長2511.7m
    放水路:総延長611.5m
    流域面積:260.0平方キロメートル
    取水:荒川[栃本発電所(3.5m3/s・ EL.457m)・二瀬発電所(7.5m3/s・457.98m)] 455.77m
    放水:荒川[大滝発電所] 381.07m

①宮平発電所は現在,栃本発電所と二瀬発電所の2箇所から取水しているが,それら両発電所の最大放水量11.0m3/sを下回る。
②ご近所(直線距離で3km程度)でほぼ宮平取水位に近いレベルで放水していると思われる滝沢発電所と連繋していない。なんなら滝沢の放水位が微妙に宮平 より高くて導水しても発電に使えないかも。
【宮平発電所増強】     
この2課題 を一挙に解決するのが現行よりやや低い取水位での発電所建設である。
現行2機の発電機を設置しているので3号機となる。

[増強私案]宮平発電所3号機
出力:4,300kW[+4.3MW]
水量:8.0m3/s(7.55m3/s・0.45m3/s)
落差:64m
取水:荒川[栃本発電所3.5m3/s・二瀬発電所3.3m3/s滝沢発電所4.25m3/s]450m
放水:荒川[落合堰堤(大滝堰堤[→大滝発電所])]381.0m


東京発電株式会社 大滝発電所[水力]        
    所有:武蔵水電株式会社[運開]
    大正10(1921)年4月  :運用開始
水路式・流込式
    認可最大出力:4,000kW    常時出力:2,000kW[50%]
    最大使用水量:6.10m3/s(11.75m3/s(▲5.65m3/s))
    有効落差:1号 90.36m          2号 90.52m
    水車:立軸単輪単流フランシス水車 最大出力2300kW×2台
    導水路:総延長2050.9m
    流域面積:290.24km2
    取水:荒川[宮平発電所] 381.75m
    放水:荒川[秩父発電所] 287.85m

宮平に引き続いて使用水量不足で尖頭需要対応が出来ていない。常時出力の比率も高く拡大の余地有りである。


東京発電株式会社 大滝発電所3号機
水路式・流込式
    認可最大出力:5,300kW[大滝合計:9.6MW]
  最大使用水量:7.00m3/s(5.65m3/s・1.45m3/s)(大 滝合計:13.10m3/s)
    有効落差:90.5m
    水車:立軸単輪単流フランシス水車 最大出力2300kW×2台
    導水路:総延長2050.9m
    流域面積:290.24km2
    取水:荒川[宮平発電所] 381.75m
    放水:荒川[秩父発電所] 287.85m








~大洞川~

大洞ダム[便覧]       
目的/型式     P/重力式コンクリート
堤高/堤頂長     24.7m/45m
流域面積/湛水面積     72.9km2 ( 直接:57.9km2 間接:15km2 ) /ha
総貯水容量/有効貯水容量     11.0万m3/5.5万m3
ダム事業者     埼玉県
着手/竣工     1958/1960

~大血川~

東京発電株式会社 大洞第一発電所[水力]             
    所有:埼玉県企業局[運開]-東京発電株式会社[現在]
    昭和33(1958)年3月   :着工
    昭和35(1960)年5月   :運用開始
    平成20(2008)年3月31日:東京発電へ移管
ダム水路式・調整池式
    認可最大出力:11,900kW    常時出力: 550kW
    年間可能発電量:47096MWH(4709万6千キロワット時)
    最大使用水量:4.05m3/s
    有効落差:343.06m
    水車:立軸フランシス水車 出力11900kW×1台
    導水路:総延長8478.4m
    流域面積:57.9km2
    取水:大血川、大洞川[大洞ダム] 687.0m
    放水:荒川[大洞第二発電所] 334.0m


東京発電株式会社 大洞第二発電所[水力]             
    所有:埼玉県企業局[運開]
    昭和36(1961)年12月   :着工
    昭和38(1963)年 2月   :運用開始
    平成20(2008)年 3月31日:東京発電へ移管
水路式・流込式
    認可最大出力:1,600kW    常時出力:  0kW←荒川と大血川が集まる川の真ん真ん中にあるのに!?
    年間可能発電量:6854MWH(685万4千キロワット時)
    最大使用水量:5.00m3/s(4.05m3/s)
    有効落差:37.28m
    水車:横軸フランシス水車 出力1600kW×1台
    導水路:総延長1161.2m
    放水路:総延長203.2m
    流域面積:78.5平方キロメートル
    取水:荒川[大洞第一発電所(4.05m3/s)・ 大血川] 330.20m
    放水:荒川[秩父発電所]290.94m

大洞第一発電所と秩父発電所の間の未利用落差を埋める発電所。





昭和電工株式会社 秩父発電所[水 力]           
    昭和17(1942)年11月:運用開始
水路式・流込み式
    認可最大出力:7,400kW     常時出力:2,400kW[32.4%]
    最大使用水量:10.90m3/s[15.80m3/s(▲5.1m3/s)]
    有効落差:79.38m
    流域面積:330.0km2
水車:87%
    取水:荒川[大滝発電所 (6.10m3/s)[11.75m3/s]大洞第二発電所(5.0m3/s)[4.05m3/s]]290.20m
    放水:荒川195.37m

ここも要追加投資である。ここは下流で連檐が無く,暫く発電所がなくなるので放水位を下げて対応できる。
ただし玉淀まで繋ごうと野心的に行くなら同時点で放水して取水しやすいようにするのが良い。
【秩父発電所増強】          

延長距離(放水地点) 放水位(落差)   効率
0.9km延長(こ こら) 190m(▲5.4m)    6.0m/(km)
2.2km延長(こ こら) 184m(▲11.4m)   5.18m/(km)
4.4km延長(こ こら) 174m(▲20.4m)   4.63m/(km)

[私案]秩父発電所増設機
出力:5,800kW[+5.8MW]
水量:7.5m3/s(5.1m3/s・2.4m3/s)
有効落差:80m
取水:荒川[大滝発電所 (6.10m3/s)[11.75m3/s]大洞第二発電所(5.0m3/s)[4.05m3/s]]290.20m
放水:荒川195m