九頭竜川 水力あれこ れ 陸電水発抄
と はずがたりな掲示板 (利 水スレ電 力スレ)
2020.12.03運開
九頭竜川水系真名川中下流篇(23.7, 24.9訪問)

奥越地方の発電および農業水利
九頭竜川(流域概要 水 系発電所一覧) 奥越綜合開発 石徹白電源開発(+8.9MW) 上打波・下打波・東勝原発電所(+3.2MW) 足羽川 日野川
真名川[(南:根尾谷・西:足羽川)・ 笹生川D・雲川D・中島PS・真名川D真名川PS五条方PS真名川頭首工]・奥 地開発

~沿川風景~(上流篇より続く)

山から下りて大野盆地に出てきた場所に発電所や頭首工などが密集している。真名川ダム等を撮った21.10はこっち側は完全にスルーして通過してしまっ た。
真名川用水の取水口は真名川頭首工というようだ。

6.6 奥越地方の発電および農業水利(発電のみはこちら)
出典:国 交省

 真名川の五条方には、堀兼用水大 井用水のための取水口があり、森政領家地区には明後用水の 取水口があった。これらの取水口は、洪水のたびに破損し、修理を行っていた。
 昭和24年(1949)頃に3用水を合併し合同の堰堤を造る案が出 てきて、各用水組合で協議を重ねた。当初はなかなか決まらなかったが、ようやく組合を存続するという形で工事を行うことで決着した。
  取水口は堀兼用水の取水口とし、ここに3用水の合同頭首工を築造して、北陸電力五条方発電所(とは註:1953年運開)の落水をも合わせて取水することと なった。
昭和29年(1954)に着工され、昭和33年(1958)に竣工し た。この工事の完成によって、日照りが続いても2ヵ月は大丈夫といわれ水不足や水争いも解消され、…
昭和31年(1956)には木の本原野196haの開拓のため、真名川用水を利用することとなった。
出典:国 交省

>1958 年には,図-2 に示す真名川から真名川から堀兼,大井,明後の 3 用水の合口堰が竣工し,真名川用水の取水量は夏 12.49 m3/s,冬 3.50 m3/s となった。[早瀬 2017


>建設省の真名川ダムと県営真名川発電所の建設に伴う真名川用水路の取水協定がまとまり、2 月3日市民会館で真名川土地改良区連合、北陸電力、県企業庁による協定書の調印式が行われました。協定では真名川へ常時毎秒2㌧の河 道用水(河川の環境を守るための水)を流すことが 織り込まれており、昭和45年(1970年)から「地下水かん養源を守るため、真名川に水を流してほしい」と建設省へ要望してきた市民の宿 願がようやく実を結ぶことになりました。…五条方地点で夏冬を問わず常時毎秒2卜の水を本川に流すことが織り込まれています。
>また、取水の基本原則として第1に真名川土地改良区連合が農業用水に夏は毎秒12.49㌧,冬は3.5㌧を取り、次いで河道用水を本川に放水した 後に北電富田発電所が取水することになっています。
>今までは農業用水を確保した後は富田発電所が取水し、残った水だけ本川に流していたため渇水期には川にほとんど水が流れませんでした。
>現在貯水を続けている真名川ダムが放水可能な状態になりますと、真名川本流へは木落・五箇・横枕用水の1.6㌧, 魚道の0.56㌧,河道用水2㌧,計約4㌧が常時 流れることになり、地下水のかん養対策で最も重要とされてきたことが実現することになります。[1977 年(昭和52)大野市議会報

真名川ダム建設により(恐らくダム地点ではなく真名川頭首工地点での)河川維持流量的な毎秒2.0m3の放水が実現したらしい。
木落・五箇・横枕用水ってのが本流を流れるのか?
現状では冒頭の図の様に少なくとも木落用水は発電用水から取水している様である。
横枕は大 野IC付近[→G]で真名川本流から取水はあり得そう。
五箇は勝原駅前に五箇公民館があるが,九頭竜川沿及び打波川沿 いの地名である・・・。この五箇を指す訳ではなさそう。。

>問 来年(1982年)3月末に行われる建設省と真名川土地改良区連合との水利権更新に際して,市はどのような対策と対応を考えているか。
>答 水利権更新時の許可水量については,現在県奥越耕地事務所で調査し,資料を作成中と聞く。この結果を踏まえて,真名川土地改良区連合とも十分協議したい。 特に冬場に同連合から得ていた生活用水(非潅漑用水)の3.5tを,1t前後増量してもらえるよう働き掛けたい。困難性はあると思うが,真名川の綜合開発 等に伴う地下水の枯渇,河川水の変動など生活用水に大きな後遺症が出ている。[1981 年(昭和56)大野市議会報

現在,Q=12.3m3/sとなっている真名川土改連 の取水量であるが嘗ては灌漑期12.49m3/s・非灌漑期3.5m3/sだった様だ。真名川ダム運用開始後の1981年の大野市の要望が実現したかは不 明。利水票には灌漑期と非灌漑期を詳細に分けて書いている場所も多いが,真名川頭首工の利水票はそうなっていなかった。(冬期に12m3/s超も取水は出 来無いと思うので通年同量というより詳細不記載なだけだと思われる。)


北陸電力(株) 五条方発電所[水力]      
運開:1953.1.15(17500kW?)/改修(増加):2013.5.10(17800kW)
水路式・流込式
認可最大出力:17,800kW(出力増加前17,500kw)  常時出力: 8,100kW(46.3%・出力増加前)←割と高め。
最大使用水量:16.00m3/s
有効落差:129.95m
水車:2台 総出力18200kW(出力増加前?)
導水路:総延長 8841.1m
流域面積:141.8km2
取水:中島発電所(16m3/s)[雲川ダム・笹生川ダム] 373.22m
放水:真名川[真奈川頭首工→真名川用水・富田発電所]230.33m

北陸電力(株) 真名川発電所[水力]        
運開:1977.4or1978.1[福井県企業局]・2010.3:北陸電力へ譲渡・2014.3:出力増加(14200kW)
ダム水路式・貯水池式
認可最大出力:14,200kW(出力増加前14,000kW)  常時出力: 680kW[4.85%](出力増加前データ)←常時ちいせえ。。尖頭用 電源として機能してるの??
年間発電電力量:約70.2GWh(7020万キロワット時)←約68.9GWh(6890万キロワット時、出力増加前データ)
最大使用水量:15.00m3/s
有効落差:109.80m
水車:出力14800kW×1台
導水路:総延長2186.710m
流域面積:223.7km2
取水:真名川[真名川ダム]348.0m
放水:真名川[真奈川頭首工→真名川用水・富田発電所]230.2m(230.4m)

真名川頭首工[場 所
送水:発電(富田発電所)16.00m3/s・潅漑(真名川用水)12.30m3/s・その他用水(大野市)0.1m3/s(8,640m3/日)
取水:発電(五条方発電所)16.00m3/s・発電(真名川発電所)15.00m3/s・真名川[堰堤]

五条方発電所と真奈川発電所の放流を受け,富田発電所と周辺の農業用水へ送水する真奈川・笹生川等の結節点である。九頭竜川・打波川等の結節点の富田堰堤に対応する。
資料に拠ると富田堰堤からの2004年の平均取水量38.8m3/sに対し て真奈川頭首工からのそれは16.0m3/sだそうな(フル取水!?)。概ね5:2である。真名川・富田が送水する富田発電所(とそれより下流の壁倉発電 所と市荒川発電所 迄)の最大使用水量は80m3/sである。
概ね50m3/sと20m3/sの比率で送ってる感じであるが真名川からの上限が16m3/sなので真名川がフルで送ってるけど九頭竜側だけでは賄えない 時間も多そう。
(九頭竜ダムからの管理された水で発電する湯上P西勝原第三はそれぞれ53.0m3/s, 56m3/s。)流込式の初期開発の九頭竜川・打波川等から10m3/s(東勝原が 8.6m3/s,西勝原第一Pが11.13m3/s,両者併せて発電する西勝原第二Pが26.41m3/s)程度という感じか。
単純計算で真名川+五条方+西勝原第二+第三=113.41m3/sとなる。ここから農業用水など差っ引く訳だが富田P以下の使用水量80m3/sよりは 多めに確保出来そうな感じがしなくもない。まあ一年を通じてそんな大量に得られる訳でも無いからそれ以下になってしまうのも已む無しで新規投資する程の事 も無い感じか。
また真名川発電所からも4m3/s程度送れる様にようにして真名川での取水量を16m3/s→20m3/sに増やしたい。どの程度の投資が必要になるので あろうか?

真名川堰堤他
真 名川が大野盆地に出た所[地理院]に一寸した堰堤があって,五条方発電所・真名川発電所の放流口と農業用水(真名川用水)の頭首工,富田発電所の 取水口などが集まっている。

堰堤と取水施設と五条方発電所の水管と上部水槽。
23.7
取水部近接写。コンクリートが白い。後で見た五条方発電所の放水施設なんかより新しい感じ?
23.7
勢いよく水を噴きだしてるが,地図上では真名川発電所の放流水の様である。真名川PSの水を富田発電所で使ってな いのかと心配になる。因みにこの放水口も真新しい。
23.7
現状では五条方発電所Q=16m3/s,真名川発電所Q= 15m3/sであり,真名川用水の富田発電所の取水量はQ=16m3/s, 真名川土地改良区連 合へはQ=12.3m3/sとなっているので,水が 余ってても 16m3/s以上は取れずに真名川に流す しかないのであろう。
真名川の左岸諸用水(上記参照)にも給水する必要があるが真名川の水もあって全ては使い切れない感じか。真名川発電所→富田発電所も 5m3/s程度は確保しても良い気がする。。
24.9に通りがかった際にも23.7程ではないが放水はしていた。上で見た,河道用水2.0m3/sよりは多そうな感じもするけどこんなものなのかな?またこの2トンが設定される前迄の渇水期は殆ど放流できる水はなかったそうである。真名川ダムで推古氏は余裕ができたんちゃうのと思わなくもないけど。。
24.9

頭首工など主要施設のある向こう側へ渡る為に一寸下流の佐開橋を渡る。そこからの眺め。雨天だったせいか水量たっぷりな感じではある。
23.7
ここに逆調整池を設ければその分だけ上流からの発電を尖頭用に出来る。先程吹き出してる水を見た様 に,真名川と五条方から流れ出る水を使い切れていないのではないか?(勿論雨天直後なので水が大量に溢流してる印象を与えてはいた)

地図上の五条方発電所の"方"の字付近にあったコン クリートの函。多分逆サイホンの出口と思われる。此処を介して五条方発電所(と真名川発電所)が富田発電所と連檐しているのである。


真名川発電所は奥まった場所にある。放水先は地下を通るようでよく解らなかった。合流部は解らないが流石に真名川への放水路のみならず富田発電所にも真名 川用水にも送れるようになってるはずである。


真名川用水中央管理所棟(金文字には”真名川用水中央管理所”とある)


真名川分水工(潅漑)


分水工(真名川発電所)…真ん中の水門から水が流れ込んできてる点とG 空撮等も参考にするとどうやらこう(マウスオーバー)らしい。

これなら真名川(取水)・真名川発電所・五条方発電所→富田発電所・真名川用水が全部行ける。真ん中の水門から真名川に放水も出来れるなら五条方発電所→ 真名川(放水)も 行ける。
現地では訳解らずとりま写真だけとっていたけどこれで決まりだと思う。システマティックな水の動きが解明できてわくわくする♪

分水工(富田発電所)と利水標(拡大)…ここから川をくぐって先程のコンクリートの箱の所へ出てくると思われる。
ここに貼られた利水標識から真名川方面から富田・壁倉両発電所 へ送られる水は16.00m3/sと判明する(笹生川・雲川→中島→五条方→富田と16m3/sが流れる構造の様だ)。真名川発電所が出来る前は此処で五条方発電所と真名川頭首工で取った水を右岸の真名川用水 (富田・壁倉発電所方面)と左岸の堀兼用水・大 井用水・明後用水等への水が分配されたのであろう。


謎の小屋と利水標(拡大)


謎の小屋の上流側に潅漑の利水標(拡大)


真名川取水口(五条方発電所放水口)
23.7

五条方発電所


以下,実は建設時期としては中島発電所や笹生川ダムと同時期建設の富田発電所・壁倉発電所に連檐する。
富田発電所は九頭竜川上の富田堰堤からの取水を糾合する。

山裾を富田方面(北西)へ向かう


真名川用水は途中で小丘をトンネルでくぐったりする。
これは出てきた所
23.7

合流点(トンネルから出てくるのが富田堰堤からの水で横(橋が架かっている)から合流するのが真名川頭首工からの水)
24.9

北陸電力株式会社 富田発電所[→九頭竜川]   
運開:1958,9.29
水路式・流込式
認可最大出力:19.200kW  常時出力: 1,900kW[9.9%]
最大使用水量:80.00m3/s
有効落差:28.20m
水車:出力20800kW×1台
導水路:総延長7568.2m
流域面積:791.8km2
取水:九頭竜川[富田堰堤(西勝原第三発電所56.0m3/s西勝原第二発電所26.41m3/s)]・真 奈川[真奈川発電所15m3/s五条方発電所 16m3/s]227.50m
放水:九頭竜川[壁倉発電所]195.20m

上流の発電所の使用水量と比較してやや少なめではあるが,先程見た様にかなり多くの農業用水に取水されるの で



北陸電力株式会社 壁倉発電所[→九頭竜川][水力]  
運開:1958.9.29
水路式・流込式
認可最大出力:25,600kW(運開当時13,400kW)  常時出力:2,200kW[8.6%]
最大使用水量:80.00m3/s[1.05]
有効落差:37.70m
水車:総出力27800kW
導水路:総延長5280.836m
流域面積:761.83km2
取水:九頭竜川[富田発電所]195.203m
放水:九頭竜川[下荒井ダム(市荒川発電所)151.40m



(真名川[赤根川・清滝川]合流)

下荒井ダム[FB




以下,概要及び上流篇開発篇に 続く