電 力総研 揖保川水系電力開発
とはずがたりな掲示板(利 水スレ電 力スレ)
20.9.21運開

妄 想!揖 保川水系発電開発③[上流部](22.4訪問)

これまで見て来た結果,以下の様な可能性を得た。

 この頁の課題は先ずは草木ダム以下の現状を把握・レポした後,判明した草木ダムから取水口や草木発電所から三方川取水ダムの間の未利用の有効 落差の有効活用や黒川など現状未利用の水源の活用─揖保川上流発電所計画検討─,である。
0で現状報告。1で多数取水パターン2で草木ダム活用と草木発電所廃止パターンを 検討する。そ して3.番外篇にて妄 想ベースで安積発電所と上野発電所の統合計画を検討する。さらに4.源流部発電の可能性も探る。

0,現況
施設名
流域面積・
有効落差
放水・取水 使用最
大水量
その他
草木ダム [便] 13.4km2 537m 0.89m3/s
草木発電所取水口
14.4km2 草 木川(514.6m)
草木発電所 [水] 202.20m 揖 保川(302m) 1,400kW






三方川取水ダム
?km2 揖 保川(246.4m) 3.95m3/s
安積発電所 [水] 71.00m 揖 保川(168.5m) 8.90m3/s 5,600kW

安積PSと草木PSの位置関係は以下の通り。赤い領域は後述。


1.増強
⑤三方川取水ダムへの発電所建設
⑤草木発電所絡みの改善

0.現況

草木発電所は可成り上流にある。二,三度揖保川逍遙した私でもなかなか草木発電所には行き着 かなかった。もう市川の生野というか朝来の方から直接入る事にしてみた。
そこは神子畑川沿いで山の向こうの円山川水系にある明延鉱山の選鉱場の跡がある場 所であった。色々立体的に繋がっている。

本日,神子畑選鉱場を通りすがる。 pic.twitter.com/RHNXfctZWj

— とはずがたり (@tohazugatali1) April 9, 2022

関西電力(株) 草木発電所[水力] [DB
所在地:兵庫県宍粟市一宮町百千家満[場 所
交通:JR播但線 新井駅より約20km
発電所諸元
運開:1913.11[姫路水力電氣(株)]/出力増:1959.12
水路式・流込式
    認可最大出力:1,400kW    常時出力:420kW
    最大使用水量:0.89m3/s [61.8%]
    有効落差:202.20m → なかなかの高落差♪
    水車:横軸ペルトン水車 出力1520kW×1台
    取水位標高:514.6m
    放水位標高:不明m
    流域面積:14.4km2
    取水:草木川([草木ダム]→取水堰)
    放水:揖保川302m 程度か

22.4


また放水位はDBにも不明となっている。こ こ[地理院]に放水口っぽいのが描かれていてEL.302m程度と思われる。
川を覗いて見る。上流には地図でも確認出来る堰っぽいものが。

発電所の真横の様子。積極的にだばだば水が放流されてる感じでは無く良く判らなかった。川の向こう側から覗き込んだ方が良さそうであった。

水圧鉄管の様子。使用水量は僅か0.89m3/s。鉄管も細い。


この水は山を越えた裏っ側,草木川の上流で取水している。そして草木川の揖保川への合 流はより下流にある。

取水口[場 所][DB
(制水門) 型式             スライド・ゲート
(制水門) 門数     (門)       1
(制水門) 径間(口径)     (m)       4.50
(制水門) 高さ     (m)       1.60

取水門は草木の聚落の脇にひっそりと佇んでいる・

下流側。あからさまに水が少なく干上がりそうだけど,脇 に短絡ルートがあるせいもあるようである。

取水ゲート(制水門?)


取水設備と利水標(マウスオーバーでアップ)


堰の上流側(と納車されたばかりの我が新車♪) 河道貯留で利用水深1m弱は行けそうな?!

判りにくいけど取水堰付近からダムを望む(マウスオーバーでアップ)

上で堰下流の干上がりの原因として言及した短絡路(こっちもそんな水が流れてる訳でもないな。。)


全部見終わったので草木ダムへ向かう。と,途中のビニールハウスに違和感…停まってみると鹿が網に絡まってた。。

昨日,人気のない山中の聚落で温室に巻かれた網に鹿が絡まってた。暴れたせいで皮が剥け可哀想な状 態。猪や鹿の獣害が叫ばれる中で助けて良いものか迷うが,罠に掛かってる訳でもないので助けてあげようと近づくと凄い暴れて余計絡まるし威嚇にキュー キュー鳴くし諦めた。如何したら良かったのだろうか pic.twitter.com/quCbx7X8Hy

— とはずがたり (@tohazugatali1) April 10, 2022


草木ダム[便覧] [夜 雀
目的/型式     P/重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積     24.8m/86.4m/9千m3
流域面積/湛水面積     13.4km2 ( 全て直接流域 ) /7ha
総貯水容量/有効貯水容量     248千m3/248千m3
ダム事業者     関西電力(株)
本体施工者     藤原組
着手/竣工     /1913(実際は1918湛水開始とのこと)

鹿さんを救えずにやや気落ちしながらも,気を取り直して近づくと道が急勾配になる。ダム脇あるあるである。堤体が白い。現地では気付かなかった(から特に しっかりとってなくてこんなアングルしかない)けど更新工事直後なのかも。

夜 雀]さんに拠ると堆砂が進んでゐるそうな。また最初は取水堰で取水しててダムは後補らしい。夜雀さんはここで取水しててとか書いてて気付いてな いっぽいけど後からダムを建設したので取水口とダムが離れてしまっているということらしい。

天端(入れない・隙間から撮影)

堤体背面。未だ数mは貯水出来そう。何も無ければ(=洪水時に自由越流しなければ)取水量の0.89m3/sに維持流量を上乗せした分を自動的に流れる様 な仕組みになっているのかな??



1.草木発電所その場での増強+その下流での多沢取水パターン

その場でのと云うのは後から移転増強を考えるからである。

福知川上流から草木ダムへ導水(草木ダム湖のレベル以上が必要なので例えば533m 付近。集水面積9.9km2程度)。
水量が一定増強出来る。有効落差も草木ダム付近で取水すれば+20m程伸びる。序でに貯水量も増やし たい。

取水:
取水口・取水河川名 標高 流域面積 想定取水量 貯水量
草木ダム 537m 13.4 km2 0.89m3/s 24.8万立米
福知川取水工 537m 9.9km2 0.30m3/s[ダム無し]
0.65m3/s[ダム在り]

流域面積に対する取水量の比率は6.6%程度である。小ダムありで大ダム(引原ダム)ありで10%,直接取水で3%の中間にあるので矛盾はしない。
15 万立米ぐらい貯められるダムが欲しいねえ。3角錐の公式から川巾100mとして10mの水深としてダム長をhとするとV=(1/3)*{(1/2) *100*10}*h=(500/3)*h=150,000よってh=900となる。まあこれぐらいの規模感ならなんとかなりそう。 

勿論,草木ダムが受け止めてくれるなら不要。但し現行の規模だと小さすぎるので倍増させる必要はあるかも。

取り合えずダム容量分は確保出来たとして,水量は0.89+0.65=1.54m3/s。更に20m有効格差を確保出来たとして(約20+202.20 =)222m

草木発電所
最大出力:2,800kW (+1.4MW)
使用水量:1.54m3/s
有効落差:222m

まあ倍増は出来るものの如何せん小さい。。規模が。。以下で見る様な上流部総嘗め開発の草木川・福知川からの導水ぐらいの位置づけで良いのかも知れぬ。

次に草木放水~三方取水の空白区間の開発である。
草木発電所放水口で取水し,同じ標高で東公文川・公文川・阿闍梨川・(仮称)阿闍梨川南谷・高野川と取水して三方川取水ダム付近で水を落として発電する。
どうやらこの辺はダム無しの場合,流域面積の0.03掛け程度が取水量になりそうである。
取水口・取水河川名 標高 流域面積 推定取水量 その他
揖保川
302m 40.33km2 1.21m3/s
〃(草木発電所放流水)
草木PS放流分 1.54m3/s 福知川導水考慮済
東公文川 303.4m 4.6km2 0.14m3/s
公文川 303m 28.6km2 0.86m3/s
阿闍梨川 301m 9.2km2 0.27m3/s
巣口川
303.7m 1.83km2 0.05m3/s
高野川 303m 6.8km2 0.20m3/s
合計
91.35km2
4.27m3/s


[私案]三方発電所(252m)
最大使用水量:4.27m3/s
最大出力:1,700kW(+1.7MW)→ちいせえ,,流石に水量も小さすぎる。とは云へ倍増の8.5m3/sにしても3,400kW程度では全然引き 合わんやろ。。
有効落差:50m

またこんなに大騒ぎ(取水口6箇所!)で2.73m3/s程度(川からの取水分)かって感じがする。あり得ない不効率である。。

やり直しである。。

2.草木ダム活用・草木発電所廃止パターン

逆転の発想で,草木発電所付近で取水ではなく,草木発電所を三方川取水ダム付近に持ってくるのはどうであろう?!

詰まり,草木発電所廃止して下流に移転することで落差確保して発電がええんちゃう??

取水は先程と同じく草木ダム0.89,福知川堰堤0.65の合計1.54m3/sとする。

発電:
[私案]福知発電所
最大出力:3,600kW[+2.2MW]
有効落差:280m
最大使用水量:1.54m3/s[ダム在り]
取水:草木川[草木ダム]530m
放水:揖 保川245m

草木発電所
出力:0kW(▲1,400kW)

まあそこそこの規模にはなるとはいえ未だ未だ小さい。。

全図


そして上の三方発電所はもう一寸上流から取水してやりなおしである。

80m程上流から取水し直してみる。68.6km2で4.5m3/sも取れるのかという疑問は当然在るけど一寸チャレンジングに見える取水量だけど,揖保 川沿いでは倉床川・黒原川流域が一番降水量が多いことに期待するものである。
そしてその程度を仮定すると4.8MWと5.0MW近い規模を確保出来る。
また公文川には調整池を設ける事で流域面積を広く,導水距離を短くしている。そして公文川の上流では新設・公文川ダム[私案]に貯留すべくこまめに取水。 上流での水量安定化は下流の維持流量維持にも役立つであろう。


[改訂版私案]三方川発電所
出力:4,800kW[+4.8MW]
水量;4.5m3/s[65.6%]
落差:130m
導水:15.3km
流域:68.6km2
取水:黒 原川倉 床川倉 床川支流東 公文川公 文川支流公 文川[堰堤(公文川・溝谷川)]・阿 闍梨川高 野川高 野川支流380m
放水:揖保川[三方川堰堤]245m

その公文川ダム。最 上流の橋付近には小さな聚落がある様に見えるがこんな感じ[G ストビュウ]。
まあなんとか水没はしないしなんなら手厚く補償して移転して貰っても良いだろうけどそれ程大変な感じではなさそう。電源開発に伴う農山村振興を国策として 側面支援もしたい。


[私案]公文川ダム
堤長:180m程度 堤高:60m程度
湛水面積/貯留量: 18.7ha



3.番外篇
さて番外篇である。調子乗って上野発電所と安積発電所を統合出来たりするかも,と思いついたからである。
詰まり安積発電所の取水地点を引原川側で上野発電所に組み込み,揖保川側を揖保川上流に組み込むのである。
この場合草木発電所をわざわざ新設移転して廃止し なくてもよい。強化しても大勢に影響は無さそうだけど。

大掛かりな工事になる。コストは掛かりそうである。思いつくメリットは以下の如し
①古い小さい上野発電所を安積発電所に統合することで固定費用を削減できる
②上流から取水する分,取水量は少なくならざるを得ず,その分下流域で使用できる水量は増加する。

取水口:
引 原川・広路川(282.1m) →標高はこれを基準とする。
取水量:
引原川方は野尻発電所の増強構想後放水量6.84m3/sを使用する。
揖保川方は上で検討した流域面積を流用。
取水口・取水河川名 標高 流域面積 推定取水量 その他
引原川

6.84m3/s
揖保川 (283m) 40.33km2超 1.20m3/s
草木発電所放水分

0.89m3/s
公文川・東公文川 (282m) 33.2km2超 1.00m3/s
合計

9.93m3/s
キモはたまたま野尻発電所の放水口の同レベルで公文川と東公文川が合流しており都合が良い。
これで合計の使用最大水量が9.93m3/sとなる

新発電所諸元

安積発電所=既設
最大出力:9,900kW
最大使用水量:9.93m3/s
有効落差:120m
放水:揖保川(168.5m)=既設

旧野尻発電所 0kW(▲780kW)
旧安積発電所 0kW(▲5,600kW)

差し引き:+3.55MW(>先程考えた増強案の増分(+0.92+1.2=)+2.12MW)

纏めると以下の如し。
発電所名 認可最大出力
現行出力 増強後出力 増加分 現行使用量 増強後 増加分
1.第一案(4箇所)




草木増強 1.40MW 2.8MW +1.4MW


三方川(新設) 0.0MW 1.7MW +1.7MW


上野
安積
0.78MW
5.60MW
1.7MW
7.4MW
+2.12MW





+5.22MW(1)


2.草木廃止案(3箇所)




草木(廃)
→福知
1.40MW 3.6MW +2.2MW 0.89m3/s 1.54m3/s +0.65m3/s
上野
安積
0.78MW
5.60MW
1.7MW
7.4MW
+2.12MW 3.14m3/s
8.9m3/s
6.84m3/s
11.79m3/s
+3.7m3/s
+2.89m3/s



+4.32MW(3)


3.番外案(2箇所)




草木増強 1.40MW 2.8MW +1.4MW


上野
安積
0.78MW
5.60MW
9.9MW +3.55MW





+4.95MW(2)










草木増強と三方新設を一体のプロジェクトとしてみれば4.1MWの増強プロジェクトとして位置づけられるようだ。

4.最上流系
さて川合部を中心に取水ポイントを物色。
倉床川
402.5m
http://maps.gsi.go.jp/#15/35.243131/134.650326/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1
386.1m
http://maps.gsi.go.jp/#15/35.236471/134.652128/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1
374m
http://maps.gsi.go.jp/#16/35.233229/134.651742/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1

公文川
365.1m
http://maps.gsi.go.jp/#15/35.226621/134.607625/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1
377.9m
http://maps.gsi.go.jp/#15/35.228899/134.609041/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1
421m
http://maps.gsi.go.jp/#15/35.240993/134.602776/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1

黒原川
383.8m
http://maps.gsi.go.jp/#15/35.212281/134.670882/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1
417m
http://maps.gsi.go.jp/#16/35.212264/134.679143/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1
442m
http://maps.gsi.go.jp/#16/35.219714/134.681354/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1

黒原川が標高高いな,,倉床川が低い。

公 文川[372.8m]倉 床川[ 372m] 黒 原川[370.8m]草 木第二発電所[303m] こんな感じで検討してみる。

43km2である。合計1.3m3/s程取水出来そう。1.3m3/sを標高差63mで発電。

草木第二発電所
最大出力:682kW..
有効落差:63m
最大使用水量:1.3m3/s

ちいせえ,,これはないわ,,。

全部小さめのダムを造って取水量を2.6m3/sとして1,350kWって所だ。
まあ将来の課題であろう。

最後の纏め
と本頁の1.を併せてこんな感じである。
野尻+上野+安積:+3.86MW
山崎+播磨新宮:+7.40MW
草木+三方川:+3.1MW
―――――――――――――
          +14.36MW