電 力総研 水 力あれこれ
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23.08.17独立
20.11.17運開
奈良井川・薄(すすき)川の発電所

松本付近で犀川へ合流する奈良井川を取り扱う。奈良井川は特に開発が進まなかったよ うで,奈良井ダムに付随して(奈良井ダムの放流に从属する)奈良 井発電所が 設 置されているのみである。。一方,松本市街で奈良井川より分岐し東側の山に分け入る薄川は4箇所 も水発が開発されたが,何れも古く規模は小さい。薄川(更に田川を)併せた後に流れる松本市街には堰(せぎ・用水路の事)の取水堰(せき)が二箇所程ある (勘左右衛門堰拾ヶ堰)。梓川をサイフォンで くぐって迄安曇野へ流している。梓川より奈良井側の方が水がぬるくて良いのだそうな。

農業用水に関して,梓川は水量が安定しないので奈良井川にしたという旨の記述をよく見かけるが,安定しなくても面積は段違いなんだし山間部では雨もよう降 るので取水量で劣後する筈は無いんだが,梓川のほうがボラティリティが高いと云うことはお互い近くなんで
ないだろうし,水量が多すぎて直ぐに堰が破潰されてしまって安定しないってことかな?もし奈良川の水量が安定しているってことなら上流部でもう一寸発電を 開発したい所。

~沿川風景~

(源流)
山の向こうは西側は木曽川水系味 噌川 ダム, そして東側は天竜川水系横川ダムである。
江戸時代に鳥井峠を穿って木曽川源流を水源として水を引っ張って来る請願もあったが,相手が御三家尾張藩で,松本藩が憚って実現しなかったという一幕も あったそうな[]。
味噌川ダムと同じロックフィル式のダムである。

奈良井(ならい)ダム[便覧][水力
河川     信濃川水系奈良井川
目的/型式     FNW/ロックフィル
堤高/堤頂長/堤体積     60m/180.8m/953千m3
流域面積/湛水面積     46km2 ( 全て直接流域 ) /38ha
総貯水容量/有効貯水容量     8000千m3/6400千m3
ダム事業者     長野県
着手/竣工     1966/1982
    堤高:60.0m、堤頂長:180.8m、堤体積:952,667立方メートル
    天端幅:10.0m
     総貯水容量:8,000,000立方メートル
    有効貯水容量:6,400,000立方メートル
     洪水調節容量:3,500,000立方メートル(有効貯水容量の内)
       利水容量:2,900,000立方メートル(有効貯水容量の内)
      堆砂容量:1,600,000立方メートル
        堤頂標高:1070.0m
     設計洪水位標高:1067.2m
    洪水時満水位標高:1064.3m(サーチャージ)
     常時満水位標高:1053.0m
      最低水位標高:1039.0m
     計画堆砂位標高:1039.0m
    上流側河床面標高:1012.0m
        基礎標高:1010.0m
    計画高水流量:350立方メートル毎秒
    計画調節流量:230立方メートル毎秒
    計画流下流量:120立方メートル毎秒
    最大流下能力:180立方メートル毎秒

長野県 奈良井発電所[水力
長野県塩尻市奈良井
運開:1984.4
ダム式・河川維持流量式
 認可最大出力:830kW
最大使用水量:2.5m3/s
有効落差:41.8m
水車:横軸単輪単流渦巻フランシス水車×1台
流域面積:46km2
取水:奈良井川[奈良井ダム]
放水:奈良井川

(平沢付近)900m

(贄川付近)837m

(洗馬付近)723m




~小曽部川~


~薄川~     
下流から第一・第二・第三・第四と綺麗に並んでいるが何れも規模は残念なぐらいに小さい。。雨量の少ない地域★★だから仕方がない部分はあるんだけど。。

すげ~。薄川第四は取水が標高1244.76mで流域5.8km2の極限地から取水して発電してる。

ただいずれも古くて小水量で発電量が僅少なのが無念である。

第三・第四の位置図


合の山沢川取水堰堤 [DB
高さ:4.55m/30.21m
流域面積:5.8km2
取水量:0.42m3/s

中部電力(株) 薄川第四発電所[水力] [DB
長野県松本市入山辺
運開:1928.6[松本電燈(株)?] 更新?:1988.01
水路式・流込式
    認可最大出力:790kW    常時出力: 80kW
    最大使用水量:0.42m3/s[0.72]
    有効落差:259.03m
    水車:横軸ペルトン水車 出力895kW×1台
    導水路:総延長2321.1m
    流域面積:5.8km2
    取水:合 の山沢川(大門沢)1,244.76m[余 水路?]1箇所[DB]→日向沢と 妖しく絡む(取水位と同レベルの標高地点で交叉もしている)が無関係のようだ(地下水路の苦手な地理院なのでこんなうねうねした水路では無い可能 性も高い)
    放水:薄川第三発電所、薄川 975.47m

中部電力(株) 薄川第三発電所[水力] [DB
長野県松本市入山辺
運開:1920.9    所有:松本電燈(株)? 更新:1993.03
 水路式・流込式
    認可最大出力:160kW    常時出力:110kW (68.7%) ←常時出力高め
    最大使用水量:0.42m3/s[0.13] ←取水口を二つもあるのに直結する上の第四と同じ使用水量だ
    有効落差:51.30m
    水車:横軸フランシス水車 出力180kW×1台
    導水路:総延長692.3m、
    導水路:総延長514.7m、
    流域面積:32.7km2
    取水:薄川第四発電所(直結)、薄川、合の山沢川(大門沢) 3箇所(発電所も一箇所と計上か?) 973.12m
    放水:薄川第二発電所、薄川 919.39m

【奥薄川開発】

薄4は落差259.03mとなかなかの有効落差だが水量が少なすぎて,薄三は取水路延ばしている割には使用水量が薄4と同量で水量が小さすぎるんやな。
薄4に関しては流域を4.8km2加えることで発電力を倍増出来そう。
薄3に関しては1.5m3/s程度に迄増やせば良い。430kW程度は増やせる。

既存の面積からの取水量が小さいのが問題でわざわざ伸ばしても面積は大して伸びないようだ。。

薄3より上,薄4より下の大 門沢(合の沢川)日 向沢桧 沢コ ナコ沢薄 川穴 口沢わ さび沢1130mで取水,薄4放水位・薄3取水位の920mで発電してみる。
有効落差200m。流域面積29.2km2。水量は2.5m3/s程度期待出来て4.2MW。あんまパッとしない。。

薄3より上,薄4より下の1085mで取水,薄2放水位・薄1取水位の760mで発電してみる。有効落差315m。薄3の流域をもろに奪うが,元々薄3の使用水量は薄4に併せてあって僅 少。影響は無視できそう。
薄2への影響も甚大。
流域は29.4km2

[私案]薄川第五発電所
出力:8,400kW[+6.15MW](薄2・3・4廃止の ケース)~7,000MW[+7.0MW](同 じく存続のケース)
水量;3.0~2.5m3/s
落差:330m
流域:29.4km2
取水:大 門沢(合の沢川)桧 沢薄 川[堰堤]穴 口沢 1085m
放水:薄川760m

薄川第五でもろに影響を受けるのは薄川2である。今は途中の沢からの給水は無しだが設置しても良いかも。まあ規模が小さい薄川の旧来発電所群な のでそれらは一切放置で新発電所だけつくるのも見識である。


[増強私案]薄川第二
認可最大出力:1,300kW     常時出力: 620kW
    最大使用水量:1.14m3/s
    有効落差:149.20m
    水車:横軸ペルトン水車×2台 総出力1545kW
    導水路:総延長3361.56m
    流域面積:35.6km2[直接6.2km2・間接29.4km2]→直接12.5km2(総面積:41.9km2)
    取水:薄川[薄川第三発電所]・辰 巳沢大 和合沢大 仏沢一 ノ沢 919.79m
    放水:薄川第一発電所、薄川758.08m





中部電力(株) 薄川第二発電所[水力
長野県松本市入山辺
運開:1912.7[松本電燈(株)?]
水路式・流込式
    認可最大出力:1,300kW     常時出力: 620kW
    最大使用水量:1.14m3/s
    有効落差:149.20m
    水車:横軸ペルトン水車×2台 総出力1545kW
    導水路:総延長3361.56m
    流域面積:35.6km2
    取水:薄川、薄川第三発電所 2箇所(発電所放流口を1箇所と数えている様子) 919.79m
    放水:薄川第一発電所、薄川758.08m



中部電力(株) 薄川第一発電所[水力]    
長野県松本市入山辺
    所有:松本電燈(株)[運開]
    明治32(1899)年12月  :運用開始(出力60kW)
    明治33(1900)年12月  :水車発電機増設(出力120kW)
    明治41(1908)年 4月  :水車発電機取替(出力150kW)
    大正 9(1920)年 7月  :水車発電機取替(出力370kW)
    平成 6(1994)年12月  :水車取替(出力390kW)
水路式・流込式
認可最大出力:390kW     常時出力:270kW
 最大使用水量:1.156m3/s
有効落差:43.03m
    水車:横軸単輪単流フランシス水車 出力415kW×1台
    導水路:総延長1349.24m
   流域面積:53.4km2
    取水:薄川・薄川第二発電所757.74m
    放水:薄川703.59m



(田 川・薄 川合流EL.576m・松本市街)


■奈良井川最下流部      

勘左衛門堰[wiki] [水土里] [→穂高川
    取水口:松本市大字島立字荒井[→ ここ?
    補助取水口:安曇野市豊科高家字飯田(→梓川?新田堰[水土里]の記 述に「現在、勘左衛門堰と一緒に梓川の合口取水工から取水しています」とある。)
    延長:約10km
    灌漑面積:約323.9ha
>奈良井川の小麦淵(松本市島立)から揚水し、北流して安曇野の中央部に向かい万水川に至る。
>梓川と拾ヶ堰をサイフォンでくぐる。   
>拾ヶ堰をサイフォンでくぐったあと1kmほど拾ヶ堰と並行する。
>この堰の特徴の一つに、取水の多くを木曽山中から流れ出る奈良井川に求めていることがあげられます。奈良井川は梓川に比べ、水量が安定しており、 水温も温かいためと考えられています。

拾ヶ堰(じっかせぎ)[取 水口場所][水 土里][wiki] [→穂高川
>この堰は、奈良井川(松本市島内)から取水し、梓川を横断し、更に大屈曲しながら、烏川(安曇野市穂高)に至る約15kmの用水路で、安曇野にお ける最も大規模な用水路である。
>安曇野は、扇状地であるため地下に水がしみ込んでしまう乏水地域である。そのため古くから農業用水に恵まれず、柏原村、吉野村の庄屋などが拾ヶ堰 の開削を計画したものである。
>拾ケ堰は奈良井川より取水し、複合扇状地の中央を約570mの等高線に沿って横切り、安曇野市の約1000haの水田を潤す総延長15㎞の安曇野 一の大水路で、流末は烏川に注いでいる。
>拾ケ堰が誕生するのは文化13年(1816)。この大水路は3000分の1という非常に緩い勾配で、近代的な測量機器が全く無い中、クワやモッコ だけによる手掘りで造られた。しかも、着手からわずか3ヵ月という驚異的な早さで完成されている。

 (梓川[→こちら]合流・犀川[→ こちら]へ・EL.559m)