電力総研 水力あれこれ 黒 部付近発電
とはずがたりな掲示板 ( 電 力スレ 利 水スレ )
農業用水(黒部川早月川常願寺川神通川庄川)
22.06.26運開
黒部合口用水と発電所

1.概要 2.愛本堰堤 3.黒東合口 用水 4.黒西合口用水

本頁作成の22.6時点でいずれの発電所も未踏である。全部見て写真で重くなったら分割も検討するがとりま全部纏めてここで。黒部訪問時のレポぼこちらに載っている。

下の地図にも載っているように。黒部の愛本堰堤下流には現時点で主に6箇所の水力発電所がある。
愛本堰堤から黒西合口用水と黒東合口用水の二手に岐れてそれぞれ3箇所ずつである。黒東側が22.5MW,黒西側が10.3MW,合計32.8MWもあっ てなかなかのものである。

愛本堰堤
黒東合口用水:黒東第一(5.3MW・ 52.87m3/s)─黒東第二(10.4MW・43.0m3/s)─黒東第三(7.2MW・ 36m3/s・放水位42.82m)─
黒西合口用水:黒西第一(6.8MW・ 18.64m3/s)─黒西第二(2.2MW・13.0m3/s)─黒西第三(1.3MW・ 13.0m3/s/・放水位26.69m)─



1.概要               
■地区平面図
国営事業 「 黒 部 川 沿 岸 地 区 」
本地区は、富山県東部を貫流する黒部川の扇 状地を対象とし、黒部市外2町にまたがる約7,400haの農業地帯です。かんがい用水は、黒部川の豊富な水源に依存し、愛本堰堤により一括し取水して右 岸側は黒東合口用水路により、左岸側は黒西合口用水路により供給しています。
本事業は、この合口用水路の全面改修(4路 線、25.7km)と水管理施設等の整備を行うことにより、用水の安定供給と維持管理費の節減を図ると共に、関連事業としてほ場整備事業等を行い、農業経 営の近代化と営農の合理化を図るものでした。[国交省

黒部川合口用水(くろべがわごうぐちようす い)
合口用水は愛本堰堤より両岸で取水し、黒部川右岸の扇状地内にある四千石・下山・椚山・入善・青木・飯野・板屋用水、左岸の三ケ・若栗・荻若・合・吉田・ 飛騨用水に分水し、両岸の幹線路に各3つの低落差発電所を有する用水である。

その合口化事業の歴史は、大正時代に沃度加 里(ヨードカリ)を製造していた三重沃度が黒部川右岸三用水の合口化と発電を計画した事に始まる。計画自体は頓挫したが、その後の川北電気企業社による黒 部川電力株式会社の設立と、右岸六用水の合口化及び発電放水を黒部川に戻す導水路の計画変更によって、昭和2年4月から一括取水が始まった。その後、愛本 より下流にある両岸13用水の合口化を目的とした県営黒部川用水合口事業によって、昭和7年4月に愛本堰堤および黒西合口用水が完成した。これによって水 利権を持たない電力会社による発電事業の実施と、度重なる堰の修復や不安定な水量に伴う用水の維持管理にかかる農民の負担が解消された。[水 博物館

2.愛本堰堤(→利水標)           
潅漑用水:約7,500ha
農業用水最大取水量:毎秒75.39立方メートル[富山県
黒部川の両岸にはかつて13の用水が作られ それぞれの堰から水を取り入れていたが、黒部川での発電事業計画を機に用水合口化することになり、旧愛本橋の約50m下流に愛本合口堰堤が昭和7年に作ら れた。建設までには堰堤の位置や構造について富山県と内務省土木局(現国土交通省)との意見の対立があり、最終的に狭窄部においてローリングゲートを採用 した堰堤が作られた。その後、昭和9年、27年の洪水には何とか改修によって持ち堪えたが、昭和44年8月の大洪水では致命的な被害を受けたため、堰堤の 移設がきまった。新愛本堰堤は旧堰堤の130m上流側に越流型シェルタイプのローラーゲート構造の洪水吐ゲートとし、昭和48年3月に完成した。愛本堰堤に達する黒部川の水量は約28億トン/年であり、そのうち約50%が愛本で取水され、黒東・黒西用水路から発電および灌漑用水として利用されている。残りの約50%は本川へ放水される。[新川広域圏

愛本堰堤地点での年間総流量は28億トンとのことである。また愛本基準観測所地点での流域面積は667km2[国交省]とのことである。100km2辺りの流水量は概ね4.1億トン/年って所か。流石黒部川♪

愛本橋の上から見える(新)愛本堰堤。

脇には水位計測をする機器っぽいのが立ってる(模式図の 愛本基準観測所か?)がそれ以外にも古そうな設備跡っぽいものが。

愛本堰堤に近づく。近づきすぎて何だか良く解らんw
ス トビュウに拠ると鉄管を下から撮ってたらしいことが判る。建 屋でもとっておけよなぁ,俺w
宮野用水の導管らしい。

利水標識。なんと3連♪
左から潅漑(下記)・黒東第一(黒東合口用水)向け発 電用水(52.87m3/s)・黒西第二(黒西合口用 水)向け発電用水 (18.64m3/s)。

水利利用標識(転載)           
一級河川・黒部川 水利使用者:富山県 目的:潅漑(7290.8ha) 取水施設管理者名:富山県新川農林振興センター
  \期間
区分\
1月1日から
2月末日迄
3月1日から
3月31日迄
4月1日から
4月10日迄
4月11日から
5月15日迄
5月16日から
7月25日迄
7月26日から
8月15日迄
8月16日から
9月15日迄
9月16日から
12月31日迄
右岸取水口
13.60m3/s
18.30m3/s
23.21m3/s
51.273m3/s
39.216m3/s
37.660m3/s
33.821m3/s
23.21m3/s
左岸取水口
5.926m3/s
7.913m3/s
9.638m3/s
21.919m3/s
16.470m3/s
15.836m3/s
14.264m3/s
9.638m3/s
出島取水口
0.204m3/s
0.322m3/s
0.402m3/s
1.075m3/s
1.126m3/s
1.075m3/s
0.946m3/s
0.402m3/s
 計
19.730m3/s
26.540m3/s
33.250m3/s
74.267m3/s
56.812m3/s
54.571m3/s
49.031m3/s
33.250m3/s
こんなにこまめに決めてる水利標は初めて見たw
4/1~4/10と9/16~12/31が全く同じである。

右岸側が黒東,左岸側が黒西である。黒東側の発電用水が最大灌漑利用水量以上の水を使っているのに対して黒西は最大以下である。

正面図・ 断面図(拡大)歴史(拡大)概 要(拡大)の看板。

歴史(以下,上の写真の文章転載)
黒部川の扇状地は,昔「黒部四十八ヶ瀬」と言われた如く,流水は自由奔 放,洪水毎に氾濫,移動を繰り返し,数多くの分岐・合流を形成し,いずれが本流か定 かでは無かった。

その本流は,往古,現在の黒西部を流れ石 田(現在は黒瀬川の河口)で海に出ていて,後に東流して墓ノ木古黒部(墓 ノ木は黒部川中流・古 黒部は入善の小川河口付近)に流れ,再び西に転じて現在の河道に移ったと謂われている。

これら氾濫による分岐・分流が綴り合わされ,少しづつ一つ一つの用水系統が作り出され,黒部川の治水工事も相俟ってその骨格が形成されたのが,徳川時代初 期から中期の時代と謂われている。

その後,明治初期に入り,用水区域も次第に明確になり,維持管理体制も整備されたのであるが,依然として黒部川の氾濫による各用水の取入口の流失で,修復 が絶え間なく繰り返され,これに多量の資材と夫役を投じ辛うじて取水口の維持管理がなされていた。

1917(T6)年,工場の自家用水力発電所構想より電力会社が設立され,これと黒部川筋農業用水の西側6用水口,東側7用水口を,それぞれ1箇所で取り 入れする用水事業と併せた事業が計画され,漸く1929(S4)年に着工を見るに至り,1932年にその愛本堰堤が築造された(竣工した,の意か。 1932年に1年だけで本体が建設された訳でもあるまい)。

その堰堤は,現在の位置よりも150m下流に設置されていたが,1931年・1934年(洪水量 3,000m3/s)・1944年・1952年(4,700m3/s)・1957年(3,600m3/s)と,工事中を含めて5回の洪水に遭遇し, その都度補強と改築を繰り返してきた。

この破潰されっぷりの酷さが黒部渓谷の実力で,まあ飼い慣らせば膨大な力を得ることが出来るって事であろう。未だダムが足りてないの ではないか?(一応最終的に宇奈月ダムが建設されて最近は水害は起きていないということか?)

3.黒東合口用水[水力

大正末期、黒部川扇状地の農業用水の合口化 と段丘崖を利用した発電所建設計画が実施されることになり、大正15年から利用開始された。黒東合口用水は取水量52.87m3/秒、受益面積 5192ha、16用水路で黒部川の右岸墓ノ木以降の扇状地右岸全域と舟見野段丘の中央部及び下流部の農地を潤す。平成5年に大改修が完了し、黒東合口用 水路は随所に暗渠化(写真右)が行われた。 [立黒GP


こっちの方が古くて規模がでかそう。先ず水門。

こ こら。調整池?

更に水門

二つの水門の意味は不明。この水量では流れに逆らって水門閉じたりしたら直ぐに溢れ出そうではある。。


北陸電力(株) 黒東第一発電所[水力
富 山県黒部市宇奈月町中ノ口
運開:1929[黒部川電力株式会社(黒部川第三発電所)]/再開発:1993.5
水路式・流込式
   認可最大出力:5,300kW      常時出力:1,700kW
    最大使用水量:52.87立方メートル毎秒
    有効落差:12.10m
    水車:横軸カプラン水車 出力5600kW×1台
    導水路:総延長1385.3m
    取水位標高:131.18m
    放水位標高:115.58m
    流域面積:667.0平方キロメートル
    取水:黒東合口用水(黒部川[愛本堰堤])
    放水:黒東合口用水(黒東第二発電所)

北陸電力株式会社 黒東第二発電所[水力
富 山県下新川郡入善町下山(にざやま)
運開:1926[黒部川電力株式会社(黒部川第一発電所)]/再開発:1993.5
水路式・流込式
    認可最大出力:10400kW      常時出力: 3600kW
    最大使用水量:43.00立方メートル毎秒
    有効落差:28.80m
    水車:立軸カプラン水車 出力10900kW×1台
    導水路:総延長2630.3m
    取水位標高:115.58m
    放水位標高: 82.69m
    流域面積:667.0平方キロメートル
    取水:黒東合口用水(黒東第一発電所)
    放水:黒東合口用水(黒東第三発電所)

北陸電力(株) 黒東第三発電所[水力
富山県下新川郡入善町下山(にざやま)

運開:1926[黒部川電力株式会社(黒部川第二発電所)]/再開発:1993.5
    認可最大出力:7200kW      常時出力:2500kW
    最大使用水量:36.00立方メートル毎秒
    有効落差:23.80m
    水車:立軸カプラン水車 出力7530kW×1台
    発電機:立軸三相交流同期発電機×1台
    導水路:総延長1156.5m
    取水位標高:82.69m
    放水位標高:42.82m
    流域面積:667.0平方キロメートル
    取水:黒東合口用水(黒東第二発電所)
    放水:黒東合口用水



4.黒西合口用水[水力
大正末期、黒部川扇状地の農 業用水の合口化 と段丘崖を利用した発電所建設計画が実施されることになり、昭和7年から利用開始された。黒西合口用水は取水量最大で24.97m3/秒、受益面積 2330ha、13用水路で黒部川の左岸下立以降の扇状地の農地を潤す。1992(平成4)年に大改修が完了し、下立地内のトンネル化が目玉工事であっ た。 [立黒GP

黒部合口用水とあるように見える。

画面が真っ白なのはこのアクリル板?越しに撮ったからw



北陸電力(株) 黒西第一発電所[水力
富 山県黒部市宇奈月町栃屋
運開:1932[黒部川電力株式会社(黒部川第四発電所)]/再開発:1993.5
水路式・流込式
    認可最大出力:6800kW      常時出力:2700kW
    最大使用水量:18.64立方メートル毎秒
    有効落差:43.50m
    水車:立軸カプラン水車 出力7110kW×1台
    導水路:総延長5359.5m
    取水位標高:131.18m
    放水位標高: 76.50m
    流域面積:667.0平方キロメートル
    取水:黒西合口用水(黒部川[愛本堰堤])
    放水:黒西合口用水(黒西第二発電所)


北陸電力(株) 黒西第二発電所[水力
富 山県黒部市若栗
運開:1938[黒部川電力株式会社(黒部川第五発電所)]/再開発:1992.5
水路式・流込式
    認可最大出力:2200kW      常時出力: 840kW
    最大使用水量:13.00立方メートル毎秒
    有効落差:20.80m
    水車:横軸カプラン水車 出力2370kW×1台
    導水路:総延長1777.3m
    取水位標高:76.50m
    放水位標高:50.80m
    流域面積:667.0平方キロメートル
    取水:黒西合口用水(黒西第一発電所)
    放水:黒西合口用水(黒西第三発電所)


北陸電力(株) 黒西第三発電所[水力
富山県黒部市荻生
運開:1938[黒部川電力株式会社(黒部川第六発電所)]/再開発:1992.5
水路式・流込式
    認可最大出力:1300kW      常時出力: 540kW
    最大使用水量:13.00立方メートル毎秒
    有効落差:20.80m
    水車:横軸カプラン水車 出力1440kW×1台
    導水路:総延長841.7m
    取水位標高:50.80m
    放水位標高:26.69m
    流域面積:667.0平方キロメートル
    取水:黒西合口用水(黒西第二発電所)
    放水:黒西合口用水、黒部川