電 力総研 水 力あれこれ(紀伊半島)
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23.3.22大改造
20.9.27運開

貴志川の水力発電!

諸井頭首工 山田ダム・貯水池 R360バイパス(海南市内) 野上電車 r19箕六越え 有田川 開発

1.現況と開発

~紀の川~
岩出頭首工[地 理院15.1m][便覧

取水:六ヶ井4.72m3/s[4.96m3/s]紀の川左岸9.59m3/s[10.80m3/s] 合計14.31m3/s[15.76m3/s]

紀ノ川合流(地 理院16.2m)

~貴志川~
諸井頭首工[地 理院27.2m
取水:左岸0.78m3/s[0.98m3/s]右岸0.23m3/s[0.32m3/s] 合計1.01m3/s[1.30m3/s]

~田原川~

山田貯水池・山田ダム[便覧
河川     紀の川水系野田原川
目的/型式     A/重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積     34m/139.4m/45千m3
流域面積/湛水面積     16.4km2 ( 全て直接流域 ) /35ha
総貯水容量/有効貯水容量     3400千m3/3370千m3
ダム事業者     近畿農政局
本体施工者     酒井建設工業
着手/竣工     1950/1957
ダム湖名     山田貯水池 (やまだちょすいち)
満水位: 93.7m[地 理院

此処も津風呂ダム・津風呂湖と同じく現在直接流域のみの様である(→この辺参照)

が,和 歌山県の資料[水 土の礎]には嘗て貴志川(津風呂ダムは高見川)からの導水計画があったように読み取れる資料がある。
出典:水 土の礎

山田調整池に一旦水を貯めつつ農業用水に邪魔にならない範囲で貯水し,水を入れ換えて清浄にしつつ発電に供していく。
放水先は差し当たって諸井頭首工であるが供給量は僅少の様なので無視しても良いかも。
山田貯水池は推定満水位93.7mであり,27.3mの諸井だと60m程の落差が取れる。紀ノ川の方迄持って行くともう10m程取れる計算にはなる。
この辺23m辺りが良さそうな気がする。詰まり1m3/s程はダムから直接諸井に補給してやる必要がある。その水量を控除しても大丈夫かがポイントか。

ということで上流を見てみる。真国川と貴志川の95m程から取水して見るととれるわとれるは,なんと 180.8km2もの宏大な流域が得られた。

18m3/s程期待しても良さそう!?山田ダムの標高が低くてこりゃなしかなと思ったけどこれなら大水量でおせおせであるw
有効落差65m・水量15m3/sで8.3MW程期待できる。
概要図の山田ダムへの導水流域50km2ってのは真 国川のこの辺EL.239mから野田原川へ導水する計画だったっぽい。野田原川の最 上流でもEL,210mで1.5km程度の導水で行ける。津風呂ダムもそうだけどなんで実現しなかったのだろうか。。

[改造私案]山田ダム
目的/型式     AP/重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積     36m(+2m)/139.4m/45 千m3
流域面積/湛水面積     197.2km2 (直接16.4km2 間接180.8km2[真国川・貴志川]) /35ha
総貯水容量/有効貯水容量     410.0万m3(+70.0万)/407.0万m3 (+70.0万)

[私案]貴志川発電所
出力:10,000kW[+10.0MW]
水量:18m3/s
落差:65m
流域:197.2km2
導水:
取水:野田原川[山田ダム](真国川・貴志川)93.7m
放水:貴 志川(23m)

[改造私案]岩出頭首工[場 所EL15.1m]
逆調整池の機能付与

でけぇ♪でも岩出頭首工にそんなたっぷり逆調整する余裕あるかな。。

また山田93.7→諸井(第一発電所)27.4→岩出(第二発電所)15.1みたいなのもあり得るかも知れぬ。

更にこれ,まだ上流も行けそう。
取水位が100m程度なのでEL.300m程 度で取ってみると未だ53.1km2程有る。7.0m3/s確保だ♪(11.5MW程行けそう。)

更に上流でも,真国川でも行けそう。

[私案A]美里発電所
出力:11,000kW[+11.0MW]
水量:6.8m3/s
落差:190m
流域:53.1km2
導水:9.3km
取水:貴志川EL.305m
放水:貴志川EL.101m(美里BP付近)[山田導水取水口想定地]

先ずは真国川。同じ様に310m程度で取水して110mで放水。34.8km2。4.5m3/s程度取れそう。


[私案A]真国川発電所
出力:8.400kW[+8.4MW]
水量:5.2m3/s
落差:190m
流域:34.8km2+6.8km2(深山谷・勝谷)
導水:12.8km
取水:真 国川(岩滝)・支流・彦 谷深 山谷勝 谷(地名)300m
放水:真 国川(蓑垣内)EL.100m[山田導水取水口想定地]

奥からもそれなりの規模で取水する為に発電位置を微調整。取水位を下げた分,8km2程余分に取れる。

[私案B]美里発電所
出力:7,600~9,600kW[+7.6MW]
水量:6.0~7.6m3/s
落差:150m
流域:61.1km2
導水:7.3km
取水:貴志川EL.258m
放水:貴志川EL.101m(美里BP付近)[山田導水取水口想定地]

まだ奥がいける。支流の湯子川流域のEL.490mで取ると17.5km2,2.3m3/s程行けそう。


[私案B]湯子川発電所
出力:4,200kW[+4.2MW]
水量:2.3m3/s
落差:218m
流域:17.5km2+赤滝(仮称)
導水:11km
取水:湯 子川鳴 子川南沢(仮称)鳴 子川北沢(仮称)赤 滝沢(仮称)490m
放水:貴志川EL.258m

これだけやってもA案+0.8MWでは効率悪い。もう一寸高度を下げて面積,詰まり水量を追う。
EL.390mで36.5km2。落差は120m程。水量は4.5m3/s程度。4,600kW。おお一寸増えたぞ。とはいえ+1.2~3.2MW程か ~。


[私案B']湯子川発電所
出力:4,600kW[+4.6MW]
水量:4.5m3/s
落差:120m
流域:36.5km2
導水:km
取水:湯 子川貴 志川(鳴戸川) 390m
放水:貴志川EL.258m

いずれにせよ,二段階はあんま巧くないような気がする。
寧ろ二発電所造るなら真国川と貴志川の両方から取水して2段階でやった方が良さそう(C案)である。
今後の検討課題としたい。。

2.沿川風景

初めてこの辺に水利目的で入り込んだのは23.3である。1でみた開発案の現地調査をしたいとは思ってるけどそちらには未だ行けていない。
1953年7月の紀 州大災害(七・一八水害)をきっかけに有田川には二川ダム(これ↓)が建設されたとのこと。
23.3にこれを見に有田川に行く途中に貴志川流域を経由したのが貴志川への第一歩だったからである。

しかも先ず到着したのは海南インターであり,貴志川の属する紀ノ川水系でも有田川水系でもない無名の亀ノ川流域で,木津北辺りが分水嶺だったよ うである。開発は地形への生々しい感覚も薄れてしまって知らん間に分水嶺も通り越してしまう。

さて貴志川沿いから暫く走ると紀美野町という気持ち悪い町名の自治体に入る。日方(海南)から延びてた野上電 鉄の走っていた質実剛健な野上(のかみ)町と 気持ち悪い町名の美里町とが合併して紀美野という名前になってしまったようだ。野上が勝ちきれなかったようだ。美 里[wiki]も1955年に下神野村・上神野村・国吉村・長谷毛原村・真国村が合併,発足した時に「神野」が勝ちきれなかったか?ゲートボール 発祥の町らしい。

というてる内に野 上電鉄(1994年廃止)[wiki]発見!

昨日は一寸自由だったので水分補給に有田川・日高川の発電所群を見て来た。二階の威光か道は良く整備 されてた。で,野上電車が保存されてた(此処は貴志川沿い)。廃止は1994年だという。1994年なんて我々おじさん世代にはほぼ現代のイメージだけど こんな前近代の遺物みたいなのが未だ走ってたのか! pic.twitter.com/5TVWuvTuTt

— とはずがたり (@tohazugatali1) March 22, 2023


寺社が独自の権勢を張り,林業で栄えた紀伊国。鉄道も南海貴志川線,野上電鉄,有田鉄道,御坊臨海鉄道と役者が揃っていたけどいずれも廃止になったり経営 母体が変わったりしている。代わって道路罔が盛んに形成されてるけど劣勢を跳ね返すには至っていないようである。

貴志川を渡る。水は割と満々と湛えられてて,この川でも発電を検討しなくては。。この辺で標 高60m弱と云った所。
貴志川沿いには支流の野田原川の山田ダムぐらいしか目立ったダムは無い。流域が狭いというのはありそう,,
またこの辺迄野上電鉄は延びていたようで終着駅は登山口と云った。どうも生石(おいし)高原への入口という事らしい。

さて海南ICから辿ってきたR370は北東に向かい紀伊丹生川の方へ出てから橋本でR371(大 阪橋本道路)やR25(京 奈和道)と接続する。
有田川は南である。どっかで一山越える必要があるが,地図で目星を付けた(のにどうしてもナビがこの経路に同意しなかった)のがr19美里龍神線である。
一本西側には生石高原経由のr180野上清水線があるが,有田川は三田発電所から一番下の岩倉発電所のその下流での発電の可能性を視認したくて有田市街迄 降りる予定だったので成るべく有田川の重複を減らしたかったのである。
r180は更に町道を経由して有田川のメインディッシュの二川ダムの近くに出るが,r19は三田発電所の近くに出るようである。
どっちにしても地図上で黄色い一般地方道のr180+白くで目立たない町道のルートより緑の主要地方道のr19の方が目立ったし自然とそっちを選択するこ とになった。
r180は生石高原から札立峠,r19は遠井(とい)辻峠である。

さて,その後真新しいR370を快走する。どうやら最近開通した美里2バイパスのようである。

国道370号(美里2バイパス)の供用について[和 歌山県
国道370号(美里2バイパス)の全線2.7km(今回供用延長1.4km)が完成し、令和5年3月5日(日)16時に供用します。
○ 今回、大角三尾川大橋を含む1.4km区間が完成し、これにより全線2.7kmの2車線整備が完了します。
出典:和 歌山県

このR370号,終点は奈良市で榛原迄R369と重複してそこからR24の外周をルート取りして起点の海南市へ至ってゐる。[wiki(R370)][wiki(R369)]
どうせなら柳生でR369と岐れ,北上,和束・宇治を経由して再びR24に重複(橋本から五條の間でもR24とR370は重複している)後,京都市内から R367と合併して全体を若番のR367として海南から小浜へのルートとすれば良い。どうせ交通流動とか考えてない滅茶苦茶な最近の国道だからこの位して もいいだらう。
更にR369の柳生からは奈良からR308にしてR308は名張辺りへ延ばせば良い。R369は榛原以北はR370(改めR367)とR308に譲ってそ の先はR165に重複して西は大阪から東は多気,更には伊勢に延ばして,そこからR42を奪って浜松迄伸ばそうw

閑話休題,クルマはr19の分岐を通り過ぎて巨大な平成大橋,多分農道,予算余りすぎやろ,を横目で見ながら右折するとr19へ繋がる2車線道路 である。r19とは書いていないが有田川という文字で自然と誘導された。

さっき曲がり損ねたr19も直ぐに合流する。こっちがメインルートになっているのであろう。ちゃんと指定を変更して欲しいものである。

箕六という変わった地名の谷を遡上していくと徐々に道が狭くなってきて妖しい雰囲気となる。

絶対離合不可の道幅の道路を急勾配で上がり,ナビが嫌がったのも無理は無いなあと納得する。(無理矢理この道路上に経由地を設定してこっち経由を表示させ た)
どの画像を出せば雰囲気伝わるのか解らないが例えばこ んな感じ[すとびゅう]こ の辺の細さ[す とびゅう]もお判り頂けるであろうか?若しくはこ こからの狭さ[すとびゅう]など。未整備の山道の県道も未だ未だ沢山あるようだ。。
二階さんの威光もまあこんな所迄は照らしてないようである。それでも人家は高所にぽつりぽつりある。十津川や四国で見る光景である。

川は素知らぬふりをしてずんずん上がっていく。