電 力総研 水 力あれこれ
と はずがたりな掲示板(利 水スレ電 力スレ)
21.5.31運開
由良川と電力開発

洛北辺りを調べていくとちらちらと眼に入ってくる由良川水系。洛北を起点に綾部・福知 山を縦貫(東西だから横断?北海道が頭とすると縦貫か。)し,舞鶴と宮津の間で海に注ぐ。宮津も舞鶴も地域の都市として栄えたけど由良河口は港には適さな かったのか両者に挟まれた地味な聚落(宮津側が由良,舞鶴側が神崎)である。

下流部には支流に極小の発電所が2箇所,その他は中上流に数カ所中規模の発電所がある。掉尾を飾るのが大野ダム大野発電所であり,11MWの結構でかい発電所である。ただ常時出力は800kWなので尖頭用か。年間発電量は 4,290万kW(4.3GW)である。設備稼働率に直すと44.5%程度??流域面積354km2で最大使用水量25m3/sである。もう一寸水量増や せないものか。。

まず発電所が現れるのが支流の宮川である。宮川は福知山の北側,大江町で合 流(E.L.6m)してくる。小さそうな川であるが宮福線も一緒に遡上し宮津へ向かう。
街道として開けていたからか古めの小さな発電所が二つほどある。

■宮川

その宮川に合 流(EL=12m)する雲原川に先ずは発電所が。


~大江川~
小さな発電所である。

橋谷発電所[水力] [経 産省
関西電力(株)
京 都府福知山市大江町橋谷
運開:1923.1[帝国電燈(株)]・出力増加:1966.10(410kW)
水路式・流込式
認可最大出力:410kW    常時出力:100kW
最大使用水量:0.71m3/s
有効落差:82.10m
水車 出力465kW×1台
導水路:総延長2734.4m 減水区間4km 無水区間2.5km[地図等より類推とのこと]
    取水位標高:136.86m
    放水位標高: 46.76m
流域面積:25.2km2
取水:雲原川136.86m
放水:雲原川4676m

宮川本流にも小さな発電所が。
なんと210kWの癖に調整池式である!
使用水量の少なさも流域面積の小ささを考えれば尤もである。

内宮発電所[水 力][経 産省
関西電力(株)
京 都府福知山市大江町内宮
運開:1917.12[ 内宮電気(株) ]・  出力増加:1991.9(210kW)
ダム水路式・調整池式
認可最大出力:210kW   常時出力: 60kW
最大使用水量:0.557m3/s
有効落差:49.19m
水車:出力228kW×1台
導水路:総延長581.8m   無水区間・減水区間0.5km[地図等より類推とのこと]
    流域面積:16.3平方キロメートル
   取水:宮川(仏生寺川)[花折取水ダム]84.22m
    放水:宮川(仏生寺川)34.22m

花折取水ダム[地 理院

経産省,地図などより類推しちゃってるけどこんなささやかな使用水量で無水に迄なるのか?
まあ川の流量もそれなりにささやかっぽいけど。




~牧川(E.L.13m) ~
初めて現れる大きめの支流だが発電所はないようである。

夜久野の方迄だらだら上がって行った後,北向きに向きを変えそれぞれ東と西に直見川と板生(いとう)川の二手に岐れる(EL=135m)。
西側は円山川水系の領域,朝来である。

嘗ては村民らが発電所を自分らで建てたようである。また冬期は渇水で発電が巧く行かず内燃発電機を併設していたそうな。

[廃止]夜久野発電所[aika]
運開:1922[夜久野水電組合]
廃止:不明[関西電力(株)]
出力:62kW
落差:約60m
特徴:内燃発電機併設

>大正8[1919]年2月、夜久野地域に電気供給地域を拡大 していた兵庫県の北但電気が採算の合う特定の集落だけに配電勧誘を 行っていた… 上夜久野村、中夜久野村、下夜久野村の三村では各区長会に対して、北但電気の勧誘には乗らないように注意を促し、村営電気に関する調査研究 を急いだ…養蚕が盛んであった夜久野地方では、多忙期に夜の仕事が多いことから石油 ランプの煩わしさから逃れるために電灯への要望が強まっていたことから、三村共同による自家発電の計画を進めることになり…第一次世界大戦後の恐慌に よって資金調達が行き詰まり、起債により調達する…それでも工事費の三分の一に当たる4万5千円余りは三村の住民1,729人からの寄付金でまかない…電 力不足に陥り、昭和3[1928]年に内燃火力発電所を増設して、渇水期、養蚕期に おける電力不足を解消し、黒字経営が続いたと…[aika]

流石に62kWは復活しても意味がない気がするが,もう一寸増強して復活はできないのかな!?


福知山市街の中心部で土師川を分 流(EL=8m)。牧川分流時より上流なのに標高が可怪しい。

■土師川

竹田川分 流(EL28m)


~竹田川~

山の向こうは加古川水系


日ヶ奥渓谷[場 所

[廃止]春日部村 営水力発電所aika
>案内板によると、大正9[1920]年運転開始、水量不足を補う補助エンジン発電機も設置、さらに不運にも昭和3[1928]年大豪雨により貯水 池が決壊し発電所は水没発電不能になった。その後も復旧されることもなく廃止…
とのこと。僅か8年の命か。。夜久野同様のエンジン発電併置。

長殿に限らず熊川もそうだけど基本,水力発電所は水害にやられるのを前提にしないとあかん な。。



山家付近で合流する上林川は流域広いし雨量も期待出来る川の北側だぞと思うと案の定発電所があった。

~上林川(E.L.50m) ~

流域面積150km2nに対して使用水量が小さすぎる。。
また下流の2発電所同様ここも増強策を受けている。羽根車の交換時期だったということか?
橋谷の交換時期がやや早いけど。

山家発電所[水 力][経 産省
関西電力(株)
京都府綾部市広瀬町
運開:1919.2[ 帝国電燈(株) ] 出力増加:1996.10(760kW)
水路式・流込式
認可最大出力:760kW      常時出力:270kW
    最大使用水量:3.60立方メートル毎秒
    有効落差:26.43m
    水車:出力810kW×1台
    導水路:総延長2490.0m? 減水区間3.2km 無水区間0.3km[地図等より類推とのこと]
    流域面積:153.0km2←結構広い。
    取水:上 林川82.47m
    放水:上林川52.72m

福知山はしばしば由良川の氾濫にやられる印象があるけどこの上流辺りにダム作って水力発電も行えないかねえ。

故 屋岡町辺り,何人ぐらい住んでいるのだろうか?人口統計ラボに はプルダウンの中に故屋岡が現れなくて解らない。
もっと細分化されてるようだ。



新由良川発電所[水力
関西電力株式会社
綾部市戸奈瀬町[地 理院に戸奈瀬町という表記はないがgoo だとこの辺なんでこれで大丈夫だろう]
雲海:1924.4[川北電氣(株)?その後帝国電燈(株)(由良川発電所)]・ 再開発:1991.3(新由良川発電所)
ダム式・調整池式
認可最大出力:4,900kW(由良川発電所廃止時2460kW)      常時出力:290kW ←尖頭需要向けなのかえらい小さい。。
    最大使用水量:38.0m3/s
    有効落差: (1号機):15.90m・  (2号機):15.75m
    水車: (1号機):出力4670kW×1台      (2号機):出力550kW×1台
    流域面積:595.0平方キロメートル
    取水:由良川[由良川ダム]77.00m
    放水:由良川60.50m

2号機はなんだ?河川維持放流量用??

由良川ダム[便覧] [水 力][経 産省
関西電力(株) 目的:発電
着手/竣工:1922[川北電気] /1924
堤高:15.2m 魚道:1
総貯水容量:95.8万m3    有効貯水容量:30.2万m3
    流域面積:595.00km2
    湛水面積:  19ha
取水位:77.00m

<23m落差あり・直線距離8km>

新和知発電所
出力:5,500kW[+5.5MW]
水量:35m3/s
落差:19m
導水:10km
取水:由良川[和知発電所]100.65m
放水:由良川[由良川ダム]77m

こんなのが造れる筈である。

和知発電所[水力
関西電力(株)
所在地:京都府船井郡京丹波町市場
運開:1968.12
ダム式・調整池式
    認可最大出力:5700kW      常時出力: 400kW
    最大使用水量:35.00m3/s
    有効落差:19.52m
    水車: 出力6300kW×1台
    取水:由良川[和知ダム]120.50m
    放水:由良川100.65m


和知ダム[水力][便覧
由良川水系由良川
目的/型式     P/重力式コンクリート
    堤高:25.2m  
総貯水容量:511.9万m3    有効貯水容量:128.6万m3
    流域面積:573  平方キロメートル
    湛水面積: 0.56平方キロメートル
ダム事業者     関西電力(株)
着手/竣工     1961/1968

~高屋川(E.L.117m) ~

畑川(はたがわ)ダム[京都 府][便覧
河川     由良川水系畑川
目的     FNW
堤高     34m
流域面積/湛水面積     21.2km2 ( 全て直接流域 ) /20ha
総貯水容量/有効貯水容量     196.0万m3/153.0万m3
常時満水位:158.2m
ダム事業者     京都府
着手/竣工     1992/2012
標高:149m
京丹波町の水道用水として、新たに5,000㎥/日(0.058㎥/s)を確保



直ぐ裏手はもう胡麻川,桂川水系である。


由良川の発電所群の掉尾を飾るのがこの大野発電所(放水位:120.62m)である。ほぼ和知との間に落差は残ってない。引き締まったイイ感じである。

(上和知川分流EL120)

大野発電所[水力
京都府
南 丹市美山町樫原
運開:1961.5
ダム式・貯水池式
認可最大出力:11,000kW      常時出力:800kW
平均年間発生電力量:約42,900MWh(4290万キロワット時)
最大使用水量:25.00立方メートル毎秒
有効落差:51.74m
水車:出力11000kW×1台
流域面積:354.0平方キロメートル
取水:由良川[大野ダム]173.00m
放水:由良川120.62m

大野ダム[便覧] [水力
河川     由良川水系由良川
目的/型式     FP/重力式コンクリート
堤高     61.4m 
流域面積/湛水面積     354km2 ( 全て直接流域 ) /186ha 減水区間 0.2km
総貯水容量/有効貯水容量     28550千m3/21320千m3
建設     近畿地方建設局
管理  京都府(1962~)
着手/竣工     1957/1960

標高
    洪水時満水位標高:175.00m(サーチャージ)
     常時満水位標高:173.00m
    夏期制限水位標高:157.00m(6月16日~10月15日)
      最低水位標高:155.00m(洪水予想時予備放流位)
        基礎標高:115.00m

冒頭で述べたように水量がイマイチ少ないのではないか。
もし水量=発電量増やしたいなら(私は増やしたいのだけど)上和知川方面から取水出来そう。約4.5km。上 和知川上 乙見川で取水。
~上和知川~

上和知川は結構懐深くて173m付 近での流域面積が42.4km2程もある。
354km2で44.5%だとすると42.4km2を加えると合計で50%近い稼働率に引き揚げる事が可能ではないか?






~佐々里川~
分流EL335m

佐々里川が分流して中ノ谷川・八丁川などになる。

~八丁川~
分流EL384m

由良川源流(芦生)と比べて標高が高い。
407m付近の中 ノ谷川八 丁川道 ノ谷川から取水して由 良川(美山)258m付近迄運ぶと7.2kmである。
23.5km2ある。2m3/s程期待持てるのではないか?


[仮称]美山発電所
出力:2,200kW[+2.2MW]
水量:2.0m3/s
落差:134m
導水:7.2km (0.305)

あかん,一寸小さいな。。由良川源流から導水すると5km2。直ぐ上の一ノ谷だと1.4kmだ。狭いけど。1.9km2。
水量を2.2m3/sに出来ても2.4MWで0.28と効率が下がってしまう。これ以上の検討は本流を巻き込む方がいい。芦生のとこで更に検討。

八丁川のどん詰まりに廃村八丁(EL600m 程)がある。
学生の頃の憧れの廃村だがクルマも通わぬ廃村で終ぞ到達せず。

~中ノ谷川~
一方府道も走る中ノ谷川のどん詰まりは佐々里峠,その向こうは広河原,桂川流域である。
佐々里峠辺り迄はちょくちょく出かけていった。


(芦生)
此処も演習林があり京都最北端で憧れの場所だが行く機会を掴まず結局不到達。
関電の揚水発電の上池の計画があったが実現せず。水力発電推進派の俺としても流石にこれには好かったと旨をなで下ろさずには居られない。

とはいえ八丁川だけではイマイチであったので,由良川源流の力を借りたい。
もうこうなったら4.3km追加して由 良川源流EL411m付近から取水。25.6km2ある。ここも2.0m3/sとると途中の沢も含めて2.2m3/sとして全部で 4.4m3/s取ったとする。


[再検討]美山発電所
出力:4.800kW[+4.8MW]
水量:4.4m3/s
落差:134m
導水:7.2+1.4+4.3=12.9km (0.62)

ここまでやればOKか。こんな張り巡らせちゃって良いのかなという逡巡はある,,

むしろ,中ノ谷川を諦めて導路を5.9kmに短くして,面積を4.2km2減の19.3kmにするのはどうだろう。水量を1.8m3/sに減らすと 2,000kWになる。0.34になってぎり行けたり?この指標は導水路と発電力なので堰を造るコストが入っていないので堰で嵩上げは狡いけど堰で10m 程嵩上げして2,400kW(0.41)辺りがほんとは良いのかも。八丁川取水の後ろっ側,なんかた だっぴろいしな。。一応保留ということにしておく。

→発電ポイントを下げて再挑戦。今回の発電所は美 山野添EL207mだっ。途中河 内谷川(EL399)で取水して八 丁川(道ノ谷川出合付近EL399m)で取水,8.7km。八丁川分は20km2程。途中の河内谷川は予想より狭いけど6.6km2。全部で 2.0m3/s程は取れるか。

[再々検討]美山発電所
出力:3,100kW[+3.1MW]
水量:2.0m3/s
落差:188m
導水:8.7km (0.35)

う~ん,ギリギリのラインw

やはりもう5.7km延ばして由良川源流芦生から導水が必要か。先程のEL411m案よりも一寸広く(4.0km2程)取れるので3.8m3/s程度は見 込めるか。

[再々々検討]美山発電所
出力:5,900kW[+5.9MW]
水量:3.8m3/s
落差:188m
導水:8.7+5.7=14.4km (0.41)

この辺で手を打つことにする。