水力あれこれ
と はずがたりな掲示板(利 水スレ電 力スレ)


桂川の電力開発状況と余地

淀川水系淀川は上流で大きく三つに分かれる。瀬田川(及び琵琶湖周辺),木津川とそして本 稿の桂川(大堰川)であ る。

下流から見ていく。発電所構想妄想は水源確保してからその下に書くのであっちゃこっちゃするけどご注意を。。

~鴨川~

洛北発電所[水力
水路式・流込式
関電・1908運開(洛北水力)
出力:450kW 常時200kW
水量:1.25m3/s
落差:47.48/39.42m ←?
取水:鴨川(雲ヶ畑方)・貴船川・静原川165.24m
放水:鴨川115.75m

水力さんには落差が二つ乗っている。発電機も2台あるようだし鴨川方と貴船・静原川方で有効落差が違う様だ(同様の発電所に四電の東豊永発電所等がある。)



(観月橋)

~清滝川~

学生時代林道部と称して京都周辺の山の中を走り回っていた時期フィールドの一つである。

清滝は首無し原チャの心霊スポットだし髙尾は蛍と首無し地蔵へ通じる林道の入口である。

清滝発電所[水力
水路式・流込式
関電・1909運開(清滝水力)
出力:250kW 常時150kW
水量:0.95m3/s
落差:33.33m
取水:清滝川106.23m
放水:清滝川70.40m




栂尾発電所[水力
水路式・流込式
関電・1922運開(栂尾水力)
出力:750kW 常時250kW
水量:1.67m3/s  常時0.557m3/s
落差:57.70m
取水:清滝川187.41m
放水:清滝川128.02m

取水口


水利標


どちらも水量僅少で出力も僅少である。まあ京都の近くで環境的にも保護が重要なので多くは求めないことにしたい。

(保津峡)

(園部川分岐)

新庄発電所[水力]
ダム水路式・調整池式
関電・1951運開
出力:6,700kW 常時0kW
水量:11.60m3/s
落差:68.49m
取水:桂川[世木ダム]194.57m
放水:桂川119.00m

(胡麻川・田原川分岐)

日吉ダム[便覧][水 資源機構]
目的:洪水・不特定利水・水道
堤高:67.4m
平常時最高水位:HL=191.4m
流域面積/湛水面積     290km2 ( 全て直接流域 ) /274ha
総貯水容量/有効貯水容量(非洪水期利水容量/洪水期利水容量)     6,600.0万m3/5,800.0万m3(3,600万m3/1,600万m3) 
河川維持流量:2.0m3/s(通年) [水 資源機構]
着手/竣工     1972/1997
発電(自家発電施設):850kW …余剰電力は売電
最大使用水量(発電):3.0m3/s
最大供給水量(水道):3.7m3/s
流域面積:290km2

貯水池概要


選択取水設備






施設
水量
備考


水資源機構
日吉ダム
3.700m3/s




京都府営水道 嵐山地点
1.160m3/s

大阪広域水道企業団※
磯島取水場
1.576m3/s
※大阪市を除く府全域
伊丹市水道局
一津屋取水場
0.210m3/s

阪神水道企業団
大道取水場
0.754m3/s

       
水量確保だけど,田原川・海老谷・木住川・中世木川からHL=200mで取水すると47.8km2程取れる。
3.0m/3s程取れるとして,水道用の3.7m3/sを併せて6.7m3/s程発電に使えそうである。


[妄想]新庄第二発電所
出力:3,600kW(洪水 期は2,900kW程になる計算)→う~ん,大きい数字では無いよね。。
水量:6.7m3/s
落差:65.32m[非洪水期]/52.52[洪水期]
取水:桂川[日吉ダム]191.4m[非洪水期]/178.5m[洪水期]
放水:桂川119.00m
導水路: 7.9km /3.2km

各種施設新庄発電所と共有出来るとコストを下げられそうだとはいえこの規模でこの容量はつらみ。。没だな。。

自家発電の能力増強を考える。l
下流の水道使用水量が3.7m3/sあって,上の田原川・海老谷・木住川・中世木川から3m3/s取れるとして6.7m3/s。維持流量が2m3/sだか ら8.7m3/sとなる。今3m3.sで0.85MWだから5,7m3/sで1.6MW発電出来て合計2.45MWということになる。まあ弱いよな。。

牧尾ダム宇連ダ ム早明浦ダムみたいにたまには干上がったりすると上の様な導水路開発もやりやすい んだ けど。。
今の所あんま渇水の話しは聞かないし,寧ろ豪雨で災害が発生したり関西経済の地盤沈下で水需要が減ったりという話題ばかりである。
水不足の奈良にでも送水するかねえw

世木(せぎ)ダム[便 覧
    堤高:35.5m
    総貯水容量:559.5万m3
    有効貯水容量:279.0万m3
    流域面積:279km2
    湛水面積:48ha

死水容量は559.5万-279万=280.5万m3
この中に日吉ダムの堆砂容量250万m3も含まれる筈だから発電用の貯水容量が無いように見えたのも 見えただけで書いてないだけなのであろう。。

世木ダムの下流に巨大な日吉ダムが後付けで建設されて副ダムみたいになってしまった世木ダムw
なんと貯水池概要に拠ると日吉ダムの容量に世木ダム分も含まれるようである!水力には調整池式とあるけど貯留 量なさげなんだけど。。

~細野川~

この上流にR162が近年栗尾峠を京北トンネルでぶち抜いたBPを開通させたが旧道沿いに京北開閉所がある。
旧道は歩行者・自転車専用道にされたが,京北開閉所入口付近迄はクルマで入れる。


旧道も北側から歩いて峠迄行ってみたが災害でやられたらしく復旧工事をしていた。


周山
HL=237mの周山。194.8km2もある。20m3/s…は無理でも14m3/s程は行けそう。。12m3/sなら確実!

明石川と熊田川をでも取水して導水距離5.5km程で粟生谷で発電かな。周山からと併せて13m3/sとする。


[妄想]京北下宇津発電所
出力:3,200kW
水量:13m3/s
落差:30m
取水:桂川(周山)・明石川・熊田川 HL=237m
放水:桂川(下宇津) HL=202m

大した規模では無いけどぎり採算に乗る??



黒田発電所[水 力]
水路式・流込式
関電・1910運開(京都電灯)
出力:980kW 常時330kW →2,500kW[+1.52MW]
水車:出力2740kW×1台
水量:2.74m3/s → 7.00m3/s
落差:45.49m
流域面積:93.8km2
取水:桂 川342.11m
放水:桂 川292.80m

地理院地図と7mづつ位ズレてる。水力さんがどこから引っ張って来た数字かは把握してないけど,T.P.(東京湾中等潮位)とO.P.(大阪湾最低潮位) の差にしてはでかいし,建設時に京都電灯が使ってたなんかの基準位との乖離でもあるのか?

古い小さい発電所にありがちな山腹に水路這わせて導水する発電所である。21.1 に訪問

遠景


近景


余水吐からか水がだばだば出ていた。

湿っぽい日ではあったがやはり使用水量が少なすぎるのでは無いか?

取水堰
利水標は遠すぎて見えなかったし写真もぶれてしまったけどまあ此処一箇所の様なので2.74m3/sであろう。

此処は芹生(せりょう)峠を経て貴船と京北を結ぶ府道が脇を走る灰屋川の合流直下で水も集めやすそう。どうせ戦前の開業だしゆるゆると水を集めて流してい ると舐めてたけどまあそんな訳無いよな。生き残ってるのには訳がある。稼働率も高いのだろう。

増強も可能ではないか。水量を7m3/sに すると出力を2,500kWに 出来,+1.52MW増強出 来る。


その上流,未だ開発余地ありそう


[妄想]上黒田発電所
出力:1,500kW
落差:90m
集水面積:25.0km2
水量:1.8m3/s
取水:桂川(能見川・広河原方面分岐点)443m
放水:桂 川348m
導水距離:4.8km程

う~ん,一寸厳しいなあ。。ここも没だな。

京都の最奥部には京大の芦生の演習林があってそこを潰して福井側の永谷との間で揚水発電の計画があって(無事)潰れてしまったりしたのだが,そちらは既に 由良川の流域であって広河原・佐々里峠迄網羅する桂川の源流でも久多や朽木を網羅する安曇川の 源 流でもな い。
なかなか京都の山も奥が深いのである。